白い壁に記憶を映して - LAMARCK 18SS【ランウェイのケセラセラ】
「少し秋っぽくなってきましたね。」そんな挨拶を交わし始める頃、ファッション業界は春夏へと衣替えを始める。NY、ロンドン、ミラノ、パリ、東京と続く約一ヶ月半に及ぶコレクションサーキットが幕を開ける少し前、一足先にLAMARCK(ラマルク)の春夏ショーが開催された。【ランウェイのケセラセラ】は気まぐれでお届けする、ランウェイの走り書きメモ。空間と時間の間に生まれるものファッションショーが始まる前の数十分、来場者の話し声をBGMにしながら、ショーのコンセプトが記されたリリースを眺めて過ごすことが多い。まだまだ業界の中では新米の私にとって、正直この時間はきつい。なぜなら周りは業界の大先輩であるジャーナリストやエディターばかりで、気軽に話ができる人はほぼいないからだ。できることといえば、聞き耳を立てるかリリースを読み込むか、SNSの投稿準備をするくらい。大きい会場であれば来場者のチェックや観察ができるものの、今回はそうも行かなかった。
会場は恵比寿の小さなギャラリースペース。普段は展示会を行うような小さな部屋に配置されたのはたった二列の椅子。来場者は白い壁と向き合うように座り、今か今かとショーの開始を待つ。