の位置づけは、単なる「観光」「旅行」といった枠を超えている、と目黒氏は言います。
「設立当初は年1回の検定だったのが、今は年4回、年間2万人規模にまでなり、世界遺産への興味、注目はますます高まってきています。受検者は小学生から90代の方までと幅広く、男女比は4:6で女性が多め、10~30代が8割をしめています。」
なぜ、こんなにも多くの人々が世界遺産に興味を持ち、世界遺産を通して教養や倫理観を学ぼうとするのか。それは、「世界遺産が何のためにあるのか」に通じています。ユネスコで採択された世界遺産条約には「どの国や地域の人でも、いつの時代のどの世代の人でも、どんな価値観をもつ人でも、同じように素晴らしいと感じる価値を人類共通の財産として大切に守り、受け継いでゆく」とあります。これが本来の世界遺産の意義なのです。
「ユネスコの目的は国際平和の構築なんですね。世界遺産を通して相手の文化に興味を持てば、知らなかった人達との会話が始まり、相互理解が高まれば戦争はなくなるだろうという考え方。
旅行客が世界遺産を傷つけた、というニュースもありましたが、遺産価値を知り、その国や人を理解すれば、遺産を壊すことはしないだろうと思うんです。