菜食と苦行で身を清める!「プーケット・ベジタリアン・フェスティバル」
プーケットが中心となり、タイ全土で行われる「Vegetarian Festival(ベジタリアン・フェスティバル)」は、ただの菜食のお祭りではない。頬に鉄の棒を刺したり、刃のはしごを登ったりと、その儀式は目を覆いたくなるほど。研ぎ澄まされた信者たちのスピリチュアルなお祭りに、世界中から見学者が集まる。2015年は10月12日~21日の9日間開催予定。
タイ全土で祝う菜食のフェスティバル
タイに住む中華系の人々が中心となり、菜食を誓い身を清めるこのお祭りは、中国寺院が多くあつまるプーケットが有名。「Phuket Vegetarian Festival(プーケット・ベジタリアン・フェスティバル)」として、独立した名前を持つ。
太陰暦の9月9日にあたる9日間の期間中は、プーケットにとどまらずタイ全土で菜食を取り入れる人々が増え、レストランやスーパー、コンビニまでもベジタリアンのメニューを提供する。黄色い旗が「ジェー(菜食)」の目印。
肉や魚無しでも、湯葉などで代用し、工夫して調理されている。
190年続く伝統あるお祭り
ベジタリアン・フェスティバルの起源は1825年頃。当時、中国からタイに移住する出稼ぎ労働者が多かった。この労働者の慰安公演にプーケットを訪れていた京劇団員が、原因不明の重病を患ってしまう。その際、神に祈りを捧げながら厳格な菜食を行ったところ、この病がすっかり良くなった。この言い伝えから、幸福や平安を祈る菜食の儀式は、プーケットを中心としたタイ南部で広がりを見せ、190年経った現在でも継承されている。
ベジタリアン・フェスティバルは菜食だけにとどまらず、その苦行にも注目が集まる。白装束を身にまとった「マーソン」と呼ばれる信者は、火の付いた炭の上を裸足で歩いたり、刃の立ったはしごを登ったり、自分の頬に鉄の棒やピストルを貫通させたりと、見る側が目を覆いたくなるほどの苦行をこなしていく。
一種のトランス状態となっている彼らに痛みは感じないらしいが、一般の観光客の見学には注意が必要。それでも、この年に一度の奇祭を一目見ようと国内外から多くの観光客が集まるのは、この苦行から湧き出る彼らのエネルギーを体感したいからかもしれない。
ベジタリアン・フェスティバルに関するイベントは、バンコクやムットサーコーン、チョンブリーなどの都市でも開催。
年に一度の奇祭中の奇祭、ベジタリアン・フェスティバルで、美味しい菜食とマーソンの熱い信仰心に触れてみよう。
写真提供:タイ国政府観光庁
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