再開発の波に消えゆくバンコクの下町情緒
ローカル感あふれるバンチャックの路地
BTSバンチャック駅。2011年にオンヌット~ベーリン間の延長によりバンチャック駅が開業した。スクムビット通りのソイ93~97にあたる。BTSオンヌットのひとつ先だ。駅周辺にはタイではおなじみの「テスコロータス」や「ビッグシー」といったスーパーはない。あるのは地元の商店と市場くらい。周辺には昔ながらの老朽化したタウンハウスが軒を連ねている。そんな下町のローカル感が好きで最近バンチャックに引っ越してきた。
駅から細い路地を入ると両側には露天が並ぶ。両側には野菜、お総菜、衣料品、日用品と様々な商品を扱う露天が多く並ぶ。外国人の姿も見かけることは少ない。さらに細い路地を入ると迷宮のような市場に入り込む。商品が無造作に積まれていたり吊されていたり「これぞタイだ!」と思わずニンマリしてしまう。
朝は近くの食堂や屋台で朝食を済ませ仕事に向かう人もいれば、朝食を買って行く人もいる。夕方には仕事帰りに市場で夕食を食べたり、夕食を買って帰る。人々の台所でもあるのだ。
食堂には英語のメニューなんてない。壁にタイ語でメニューらしきモノが書かれている程度。地元の人はいつも来るのできっと注文するのは決まっているのだろう。
初めての人には敷居が高そうだ。でも、お店のおばちゃんはニコニコと「何にするんだい?」と聞いてくる。料金も中心部に比べると若干安い。買い物を済ませた人はソンテウと呼ばれる乗り合いトラックに乗り帰宅する。今ではマイカー通勤する人も多いのだろうが、自宅からソンテウに乗って、駅なり大通りに出てそこからバスやBTSで通勤するというのは昔ながらのタイ人の通勤通学風景なのだ。
そんな下町情緒あふれるバンチャック周辺にもジワジワと再開発の波が押し寄せてきている。市場近くにあった老朽化したタウンハウスは取り壊され、市場の一部も撤去が始まっている。駅前に高層コンドミニアムが建つ日もそう遠くはないのであろう。
駅前には大型スーパーは無い
迷宮のような市場
地元民の足はこの軽トラ
再開発の波はジワジワときている
(text & photo : 中島貴義)
熱帯写真家フォトエッセイ「アジアの街角から」
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