幸い負傷者は出なかったが、数ヶ月間の工事中断を余儀なくされた。そんな苦労の末に造られた橋は、昨年発行された新札に日の丸を添えて描かれることになった。
これらの橋を無償で建設してくれた日本への感謝の気持ちは、広く一般のカンボジアの人々の中にもあるという。現地で日本語通訳として活躍するセン・セイハーさんはこう語ってくれた。
「これらの橋を日本に造っていただいたことは、もちろんみんな知っていますし、大事に使おうとしています。たとえば農家の人たちが新鮮な農作物を市場に運ぶにも、妊婦が出産のために病院へ行くにも、橋ができる前は小さなボートで1時間もかけて川を渡らなければいけませんでした。カンボジアの人々の生活にとって、言葉で言えないくらい大きな意味を持っているんです」
トンレサップ湖 ©ASEAN-Japan Centre
日本の協力で造られた橋が、カンボジアにはもう一つある。トンレサップ湖に架かる橋で、通称はずばり「日本橋」。
「きずな橋」や「つばさ橋」よりもはるか以前、1966年に造られた。重要な輸送路であったため内戦時に爆破されてしまったが、1994年に再び日本の手によって復旧。