くらし情報『RNA合成酵素は遺伝子発現に抑制的にも作用することを発見』

RNA合成酵素は遺伝子発現に抑制的にも作用することを発見

●この研究成果は、RNA合成酵素(RNAポリメラーゼ)が遺伝子発現に抑制的に作用するという新規な機能を示すと共に、微生物が窒素欠乏に応答するための遺伝子群や発現させるための分子機構を理解・応用するために役立つ。

■ 1.研究の背景
原核生物の遺伝子発現は、RNA合成酵素(RNAポリメラーゼ)のコア酵素にシグマ因子が結合しホロ酵素が形成され、プロモーターの認識が可能となることで開始されます。モデル生物大腸菌は7種類のシグマ因子を持ち、これらを切り替えることで、環境に応じて異なる遺伝子セットを利用することが可能となっています。これまでのRNAポリメラーゼおよびシグマ因子に関する研究により、ゲノム上の遺伝子を選択し利用する仕組みが明らかとなってきました。しかしながら、シグマ因子RpoNの役割については、窒素欠乏時に窒素欠乏応答に必要な遺伝子群を利用するためのシグマ因子であることは分かっていましたが、その他の機能については分かっていませんでした。

■ 2.研究内容と成果
本研究グループは大腸菌をモデル生物として、1つの生物の遺伝子制御の全体像の理解を目指しています。その一環で、RNAポリメラーゼRpoNホロ酵素について、Genomic SELEX法を用いてゲノム上の結合領域を解析したところ、約50個の遺伝子群を標的としていることが分かりました。

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