すみだ北斎美術館、本に仕立てた「板本」に注目し魅力を伝える 企画展「北斎ブックワールド」を9/21から11/27まで開催
前の見開きの図柄と次の見開きの絵柄がつながるように仕立てられており、ページをめくりながら絵巻物のように鑑賞することができる点が特徴です。本展では見開き3ページ分の絵柄がつながった状態で鑑賞いただけるように展示します。
■3章 所蔵者・読者の痕跡
すみだ北斎美術館が所蔵している板本は、江戸時代に作られた後、数人の手を経て伝えられてきたものです。板本には蔵書印や、所蔵者や読者による書き込みなどがみられます。大事に伝えられてきた証、ときには心無くいたずら書きされてしまったものなど、北斎が生きた時代から現在までの150年以上の間にのこされた、所蔵者・読者の痕跡を紹介します。
◎注目!入手の嬉しさの書き込み
左:北尾政演『百人一首 古今狂歌袋』すみだ北斎美術館蔵(頁を替えて通期展示)
『百人一首 古今狂歌袋』は、紀州徳川家15代当主・徳川頼倫、浮世絵研究者・楢崎宗重が旧蔵していたものです。本書に付属している帙(ちつ、本を保護するために包むもの)の内側には、楢崎宗重による手書きのコメント(昭和壬寅之年首夏 偶然ニこの美本を入手し 嬉しさのあまり座右ニ備えて玩賞 これを恒とす)が記されており、本書を入手した喜びが伝わってきます。