2023年4月24日 13:00
タラ号海洋プロジェクト(2009-2013)の成果:新たなウイルスの発見 科学ジャーナル「Nature」に発表
発見した「ミルスウイルス」のゲノムは巨大ウイルスに類似しているものの、巨大ウイルスが本来持つ特徴的な遺伝子の検出がされず、その代わりにヘルペスウイルスが属しているデュプロドナウイルス域の遺伝子を保持していることがわかりました。
このことから、両群の特徴を有している予想外の構造をもっており、全く異なる進化を遂げてきたとされていた事実が覆る画期的な発見といえます。
そして「ミルスウイルス」は、分類学的にデュプロドナウイルス域に属し新たな「門」(ウイルスの分類階級)を構成するウイルス群であると明らかになりました。
ミルスウイルスは海洋に豊富に存在し、海洋プランクトンなど真核微生物を推定宿主とし、その存在量や活性において海洋生態系における主要なウイルス群の一つであることがいえます。
ミルスウイルスの概要
■今後の展望
近年、メタゲノム解析により自然界に存在するウイルスの多様性に関する知見が、飛躍的に拡大しました。しかし、今回の新規ウイルス門の発見は、既存のデータの中にもまだまだ未知のウイルス情報が隠れていることを示しており、ウイルスの世界の多様性を私たちが依然掌握しきれていないことを如実に表しています。