2023年12月4日 12:00
明治学院大学国際学部 合場敬子教授が論文「化粧による女子高生の身体構築」を発表
代償として挙げられたのは、化粧をすることによる面倒くささ、肌が荒れる、お金がかかる、化粧をしていない顔で外出できない、という点でした。
この中で、化粧をしていない顔で外出できないという点が最も深刻です。化粧の効用を説明している松井ら(1983)のモデルでは、化粧をすることが外見的評価を上昇させ、それがひいては自信や自己充足感といった心の健康を生み出すと想定しています。しかし、化粧をしていない顔で外出できないという女子生徒の語りは、幾つかの効用を生んでいる化粧が、化粧をせずに彼女が他者に会うことをできなくさせ、それによって彼女が不安を感じていることを明らかにしています。
・今後の研究展開および波及効果
化粧は大人の女性の身だしなみという規範で悩む女子高生がいるということは、現にこの規範によって苦しんでいる大人の女性もいることが推定されます。今まで、化粧は大人の女性の身だしなみという規範が生み出す問題はほとんど議論されてきませんでした。本研究は、この問題を人々が考察するためのきっかけを提供することができたと考えています。今後は、女性に奨励されている他の美容実践についても考察していきたいと思います。