くらし情報『明治学院大学経済学部 田中鉄二准教授が食料供給を安定させる方法を提唱・実証 衛星から得られる収穫予測情報と北・南半球の季節性の違いを利用』

明治学院大学経済学部 田中鉄二准教授が食料供給を安定させる方法を提唱・実証 衛星から得られる収穫予測情報と北・南半球の季節性の違いを利用

その結果、北半球で減少した収穫を部分的に南半球の増産で埋め合わせます。その反対に北半球で豊作であることが早期に分かれば、南半球の農家は価格低下を予測し、減産します。すなわち、早期予測情報により、国際小麦価格は安定化されることになります。これは大豆においても同様の事が可能であることが下表からわかります(図3)。本研究では世界規模の応用一般均衡モデルを構築し、上述の価格安定化メカニズムを実証しました。

この提案された安定化メカニズムの良い点は早期予測情報を一部の人々に秘匿にするのではなく、全世界の誰でもアクセスできるようにし、農家の利潤最大化行動にゆだねる事で市場安定化に導けるところにあります。すなわち、一度モニタリング情報を生み出せば、多くの経済政策と異なり、市場に介入するのではなく、市場の自由な動きを利用するので財政を悪化させることなく世界の食料安全保障を改善できる点もこのメカニズムの素晴らしい点です。

図1:リモートセンシング(NDVI)によるロシア、ウクライナの小麦収穫予測
a) 2008年 b)2012年
出所:The Global Agriculture Monitoring System (GLAM)
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