人間国宝認定の京山幸枝若がなんとグランドサロン十三で記念公演!
の大師匠である初代京山幸枝が作った息継ぎの間隔が異様に長い“幸枝節”。これは幸枝が和歌山の海辺の出身で、若い時から海に潜って魚介を取って遊んでいたことで肺が鍛えられ、呼吸の長い独特の節が完成したと言われております。今も遺るSP盤でもその肺活量が確認できます。
その弟子の初代幸枝若(幸枝若の実父)は、幸枝のネタを受継ぎつつも、よりアップテンポで明るくリズミカルな幸枝若節を作り大成功を収めました。
それでも初代幸枝若はこの幸枝若節が現代に妥協しているという悩みを持っていたと言いますから芸の葛藤は奥深いし根深いものがあります。
幸枝若節の特徴として活舌の良さが挙げられます。単語と文脈の明快さは声の良さも手伝って聞きやすい浪曲の最高峰と言えます。
この幸枝若節を直接継承しているのが現幸枝若なのです。
音楽的要素が不可欠な浪曲では曲師の存在は極めて重要です。時にリズムパート、時にはメロディ、時には効果音を受け持つ融通無下な三味線を弾きこなさねばなりません。浪曲師とのイキが合わなければ成り立たないことは言うまでもありません。これで楽譜がないというのですから驚きです。近年では幸枝若の曲師は一風亭初月師匠が一貫して受け持っております。