Daiwa House PRESENTS 熊川哲也 K-BALLET TOKYO Winter 2024『くるみ割り人形』
■観客を世界観に没入させる、新鮮なストーリー
(C) K-BALLET TOKYO
『くるみ割り人形』と言えば、クリスマスの夜、ドロッセルマイヤーがクララという少女にくるみ割り人形をプレゼントし、クララの夢の中でくるみ割り人形が王子に変身。物語が展開していくのが一般的だが、熊川版は人形の国のマリー姫がねずみの王様にねずみに変えられてしまうところから始まる。この魔法を解くことができるのは、純粋無垢な心を持つ人間のみ。人形の国の王様からその少女を探せという命を受けたドロッセルマイヤーは、少女クララを見つける。物語に無駄がなく、ファンタジーながら破綻のない説得力のある展開だ。観客は非現実的な世界にも疑問を抱かず、すっと没入してしまう。
■百聞は一見に如かず、絵本をめくるように変化する演出
(C) K-BALLET TOKYO
出演するダンサー達も口を揃えて言う「魔法のような場面転換」も熊川版の特徴。まるで絵本のページをめくっているような感覚に陥る、瞬時に変わる世界観。子供の頃、絵本を読んでもらっていた時に感じた、あのワクワクとした期待感が体感できる。舞台美術、装置は完璧に作り込まれ、リアリティさえ感じるメルヘンの世界。