Daiwa House PRESENTS 熊川哲也 K-BALLET TOKYO Winter 2024『くるみ割り人形』
所作はねずみそのもの。そして不気味だけれど可愛げもある至芸を見せた。
そんなダークなムードから一転、無機質で完璧に美しい世界を体現する雪の女王・成田紗弥と雪の王子・田中大智は、シャープな回転技を見事に踊り切った。高速の音楽の中、ぴたりと合わせるコールドも圧巻だった。人形の国でのお祝いの宴では、マリー姫・日高世菜がその慈愛に満ちた踊りで舞台全体を包み込んだ。長く伸びやかな手足を自由に操り、大きくたおやかな壮麗さと強靭なテクニックには威厳さえも感じられた。王子という役をその華やかな存在感、溢れる誠実さで表現した栗山廉。夢の世界の勇敢で輝く王子にリアリティをもたせるパフォーマンスは見事だった。
二人のロマンティックなムードを創り上げるケミストリーは、1幕からクララと一緒に冒険をしてきた観客の心を癒し、甘く温かなもので包み込んだに違いない。完璧な世界観に溶け込む役作り、そして振付の難しさゆえ、他のキャストで何度でも観たくなる熊川版の『くるみ割り人形』。これから新たな組み合わせの主要キャストが登場予定だ。1年を締めくくる感動体験、お見逃しなく!
(C) K-BALLET TOKYO
以下、11月24日(日)