当たり前すぎる言葉【ママ友】について考えてみた
突然ですが、皆さんは「ママ友」いますか? 先日担当編集さんとエッセイのテーマを決めているときに、「飯田さんのママ友事情について、ってどうですか?」と言われて、ハッとしました。毎日仕事のことで頭がいっぱいだったり、エッセイやSNSでたくさんのママたちと繋がりを持っていたりで、ちゃんと向き合ったことがなかったのですが、もしかしたら私、ママ友いない…?せっかくの機会なので「ママ友」について考えてみたいと思います!
ママが先か、友が先か
自分の名誉のためにも声を大にして言いますが、友だちはそれなりにちゃんといるほうです。もちろんその中には同じ時期に妊娠・出産を経験した子もいて、そういう子とは必然的に「ママになっても友だち」という状態です。子育ての情報も交換し合ったり、子連れで遊んだりご飯を食べたり。でも、「もともと友だち」の子たちは「ママ友」っていう感覚ではないんですよね。友だちが先で、ママが後っていうか。だから彼女たちのことはあんまりママ友カウントしていません。純粋な、友だち。
そもそも「ママ友」ってどういう定義なんでしょうか。試しに広辞苑を引っ張り出してみたところ、なんと!載っていない!!!こんなに当たり前のように飛び交う単語なのに、きちんとした定義がされていないようなのです。一般的には「ママとして友だちになった人」という感じでしょうか。この考え方で言うならば、私には一人だけママ友がいます。
ママ友がゼロだった妊娠・子育て初期
私は湘南に住んでいますが、もともとこの場所は夫の地元で、私にとっては全く知らない場所。もちろん友だちなんて一人もいない状態で暮らし始め、友だちゼロ状態のままほどなくして妊娠。大人になるとそんなに簡単に友だちなんてできないものですよね。産院でのヨガや、パパママ教室みたいなものにも参加していましたが、グイグイと話しかけたりするのは苦手で、黙々と任務をこなしてしまい、まったく交流できず。
このまま一人ぼっちで大丈夫かなぁという心配はありつつも、まぁいまどきはSNSが物理的な距離を埋めてくれるから、身近にママ友がいなくてもいっか!という気持ちで出産に至りました。実際、子育てが始まってみても、だいたいのことはインターネットが解決してくれるので、ママ友がいなくて困ったことはありませんでした。ただ、私にはいなくてもいいけど、息子には同世代のお友だちができたほうがいいんじゃないか!?と次第に思うようになり、生後5カ月になる少し前に、初めて地域の子育て支援センターに行ってみることにしました。
唯一のママ友?との出会い
子育て支援センターには、息子と同じくらいの月齢の赤ちゃんがたくさんいて、もちろんママたちもいて、みんなでぼんやりと育児の話や情報交換をしていました。ただ、基本的にはその場だけの集まりで、知り得るのは「○○ちゃんのママ」ということだけ。何歳ですか?趣味は?お仕事は?なんてもちろん話題にあがるわけもなく、突っ込んだ話はタブーな感じもありました。でも私の目的はあくまで息子に友だちを作ること、だったので全然OKで、そこから毎週のように支援センターに通って、その場に居合わせた方々と交流をしていました。そうすると不思議なものでだんだんと、あぁこの人なんか好きだな、話が合うな、というのが、限られた時間や会話の内容だけでもわかってきて、自然とコミュニケーションが増えていく子がいて、そして次に「もっと話したい!友だちになりたい!!!」という欲が湧いてきたのです。
「この子と友だちになりたい!」だなんて、小中学生以来あまり出会ったことのない感情に出会って、ワクワクしたのを覚えています。ただやはり支援センター内では、なかなか切り出せず、ある日帰りのタイミングをわざとそろえるようにして、帰り道を一緒に少し歩きながら、なんとか連絡先を交換することに成功しました。ありがたいことに向こうも同じ気持ちでいてくれたようで、そこからすっかり仲良くなり、もう3年半。でもなんだろう?きっと彼女とは、ママじゃない世界線で出会っても友だちになっていただろうな、と思います。「ママだから」関係が成り立っているわけではなくて、もともと友だちになるはずだった子と、たまたまママになってから出会った、という感じかなぁ。だから私の中では、彼女も「純粋な友だち」としてカウントしていて、あまり「ママ友」とは思っていません。
人生も友だちもまだまだこれから!
ママ友って何なんでしょうね?いつの間にかセットで便利な単語になっているけど、あまりそれに引っ張られる必要はないんじゃないかなと思います。「友だち」ってかけがえのない一生もので、そんな簡単に、作ろうと思って作れるものでもないと思うので。
「ママ友」っていうとあたかも知り合いのママ同士はみんな友だちじゃなきゃいけないような気にさせられますが、「同じ保育園のママ」とか「近所のママ」とか、「友だち」をとっぱらった付き合い方もあって当たり前。こうやって書くとすごくドライな気もしますが、もちろん私自身もいつだって友だちは募集中だし、もっと増えたらいいなとは思います。だけど子どもの頃からずっとそうだったように、友だち作りが思い通りになることなんてないし、無理をする必要もない。ありのままの自分のやり方で、自然に身を任せるしかないんです。…と、このエッセイを書きながら、私自身にも改めて言い聞かせています。人生まだまだ長いから、きっとこれからも新しい友だちに出会うチャンスはあるはず。そう思うとワクワクしませんか?
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