町田ゼルビア黒田監督 不適切発言問題 発覚から処分までの全経緯
FC町田ゼルビアの黒田剛監督(55)が選手やスタッフに対する不適切な発言により、Jリーグからけん責処分を受けた。通報から12月の処分決定まで、一連の経緯を時系列で振り返る。
【画像】J1町田の黒田剛監督、予定通り続投方針「パワハラ認定ないので」
JFA窓口への通報で発覚
問題が表面化したきっかけは、日本サッカー協会の暴力等根絶相談窓口に通報が寄せられたことであった。この通報を受けて、クラブとJリーグによる調査が動き始めた。
クラブは独自の調査を開始するとともに、Jリーグとも対応を協議する方針を示した。
この段階では問題の詳細は公表されず、クラブ内部での静かな調査が進められていた。
2025年4月6日 週刊誌報道とクラブの反論
4月6日、光文社のニュースサイト「Smart FLASH」が黒田監督のパワハラ疑惑を報道した。報道内容は、選手を「造反者」と呼んだこと、コーチへの怒鳴り声、スタッフへの暴言などであった。
これに対し町田ゼルビアは同日、迅速に対応した。弁護士で構成される特別調査委員会の報告書を公式サイトで公表し、「パワハラには該当しない」との見解を示した。
藤田晋社長も自身のSNSで長文の反論を投稿。「極めて悪質な記事であり、大変遺憾」と強い言葉で報道を批判した。
4月から12月 Jリーグによる独自調査
しかし、Jリーグは町田の調査対応に疑問を呈した。特別調査委員会によるヒアリングにクラブの顧問弁護士を同席させたこと、黒田監督とヒアリング対象者が事前に接触することを規制しなかったことなどが問題視された。
Jリーグは独自に関係者へのヒアリングを実施。調査は数カ月にわたって慎重に進められた。
この間、黒田監督は通常通り指揮を続けており、町田ゼルビアは2024年シーズンをJ1で3位という好成績で終えていた。
2025年12月23日 Jリーグがけん責処分を決定
12月23日、Jリーグは黒田監督と町田ゼルビアにけん責処分を科すと発表した。けん責は始末書を取り将来を戒めるものである。
Jリーグが認定した事実は以下の通りだ。黒田監督は2023年頃から、自らの意向に沿わない選手を「造反者」といった表現を用いて排除する意図を持った発言をした。また、練習中に選手やスタッフの前で特定のコーチに対して大声で怒鳴る行為、懇親会の場でスタッフに対する暴言などの不適切な発言があった。ただし、暴力など有形力の行使がないことなどを理由に、パワーハラスメントとしては認定されなかった。
処分量定で考慮された5つの要素
Jリーグは処分の量定にあたり、以下の点を考慮したと説明した。
まず、暴力等有形力の行使は含まれておらず、規律違反としての悪質性の程度が極めて高いものとはいえないこと。
一方で、黒田監督は違反行為の存在を基本的に認めておらず、真摯に反省しているとは言い難い状況にあった。さらに、多くのチーム関係者に真実を語ることをためらわせるような発言を行ったことも明らかになった。
クラブの調査対応についても問題が指摘された。特別調査委員会によるヒアリングに顧問弁護士を同席させたことで、関係者が率直な供述をためらう結果となり、真相解明に支障をきたしたとされた。
また、相談窓口の体制にも課題があった。メールによる相談窓口は設置されていたが、相談に係る事実確認はクラブの経営陣が行うこととされており、経営陣が関与する事象について相談できる体制になっていなかった。
さらに、違反行為は強化部のメンバーやコーチ等がいるところでなされており、クラブには早期に問題を把握して是正する機会があったにもかかわらず、経営陣及び強化部から黒田監督に対して注意する等のけん制機能が働かず、外部への通報が行われるまで問題行為が放置、継続されたことも重視された。
クラブと黒田監督の対応
処分決定を受け、町田ゼルビアは声明を発表した。「当該監督個人の問題にとどまらず、クラブとして適切な管理・監督体制を構築できていなかったことに起因するものであり、その責任を重く受け止めております」としている。
クラブは指導体制および組織運営の在り方を根本から見直し、ハラスメントに関する相談・通報体制の再構築、管理監督責任の明確化を速やかに実行して再発防止に全力で取り組むと表明した。
一方、クラブは「パワハラについては認定されておりません」とも強調。誹謗中傷に対しては「然るべき法的措置を取って参ります」と警告している。
通報から処分決定まで長期化した背景には、クラブの調査対応の問題や、慎重な事実確認の必要性があった。今後の焦点は、町田ゼルビアが組織改革をどこまで実効性のあるものにできるかという点に移る。
【画像】J1町田の黒田剛監督、予定通り続投方針「パワハラ認定ないので」
JFA窓口への通報で発覚
問題が表面化したきっかけは、日本サッカー協会の暴力等根絶相談窓口に通報が寄せられたことであった。この通報を受けて、クラブとJリーグによる調査が動き始めた。
クラブは独自の調査を開始するとともに、Jリーグとも対応を協議する方針を示した。
この段階では問題の詳細は公表されず、クラブ内部での静かな調査が進められていた。
2025年4月6日 週刊誌報道とクラブの反論
4月6日、光文社のニュースサイト「Smart FLASH」が黒田監督のパワハラ疑惑を報道した。報道内容は、選手を「造反者」と呼んだこと、コーチへの怒鳴り声、スタッフへの暴言などであった。
これに対し町田ゼルビアは同日、迅速に対応した。弁護士で構成される特別調査委員会の報告書を公式サイトで公表し、「パワハラには該当しない」との見解を示した。
藤田晋社長も自身のSNSで長文の反論を投稿。「極めて悪質な記事であり、大変遺憾」と強い言葉で報道を批判した。
4月から12月 Jリーグによる独自調査
しかし、Jリーグは町田の調査対応に疑問を呈した。特別調査委員会によるヒアリングにクラブの顧問弁護士を同席させたこと、黒田監督とヒアリング対象者が事前に接触することを規制しなかったことなどが問題視された。
Jリーグは独自に関係者へのヒアリングを実施。調査は数カ月にわたって慎重に進められた。
この間、黒田監督は通常通り指揮を続けており、町田ゼルビアは2024年シーズンをJ1で3位という好成績で終えていた。
2025年12月23日 Jリーグがけん責処分を決定
12月23日、Jリーグは黒田監督と町田ゼルビアにけん責処分を科すと発表した。けん責は始末書を取り将来を戒めるものである。
Jリーグが認定した事実は以下の通りだ。黒田監督は2023年頃から、自らの意向に沿わない選手を「造反者」といった表現を用いて排除する意図を持った発言をした。また、練習中に選手やスタッフの前で特定のコーチに対して大声で怒鳴る行為、懇親会の場でスタッフに対する暴言などの不適切な発言があった。ただし、暴力など有形力の行使がないことなどを理由に、パワーハラスメントとしては認定されなかった。
処分量定で考慮された5つの要素
Jリーグは処分の量定にあたり、以下の点を考慮したと説明した。
まず、暴力等有形力の行使は含まれておらず、規律違反としての悪質性の程度が極めて高いものとはいえないこと。
一方で、黒田監督は違反行為の存在を基本的に認めておらず、真摯に反省しているとは言い難い状況にあった。さらに、多くのチーム関係者に真実を語ることをためらわせるような発言を行ったことも明らかになった。
クラブの調査対応についても問題が指摘された。特別調査委員会によるヒアリングに顧問弁護士を同席させたことで、関係者が率直な供述をためらう結果となり、真相解明に支障をきたしたとされた。
また、相談窓口の体制にも課題があった。メールによる相談窓口は設置されていたが、相談に係る事実確認はクラブの経営陣が行うこととされており、経営陣が関与する事象について相談できる体制になっていなかった。
さらに、違反行為は強化部のメンバーやコーチ等がいるところでなされており、クラブには早期に問題を把握して是正する機会があったにもかかわらず、経営陣及び強化部から黒田監督に対して注意する等のけん制機能が働かず、外部への通報が行われるまで問題行為が放置、継続されたことも重視された。
クラブと黒田監督の対応
処分決定を受け、町田ゼルビアは声明を発表した。「当該監督個人の問題にとどまらず、クラブとして適切な管理・監督体制を構築できていなかったことに起因するものであり、その責任を重く受け止めております」としている。
クラブは指導体制および組織運営の在り方を根本から見直し、ハラスメントに関する相談・通報体制の再構築、管理監督責任の明確化を速やかに実行して再発防止に全力で取り組むと表明した。
一方、クラブは「パワハラについては認定されておりません」とも強調。誹謗中傷に対しては「然るべき法的措置を取って参ります」と警告している。
通報から処分決定まで長期化した背景には、クラブの調査対応の問題や、慎重な事実確認の必要性があった。今後の焦点は、町田ゼルビアが組織改革をどこまで実効性のあるものにできるかという点に移る。