“高知の名門”が県勢初の日本一を狙う!高知10番・松田翔空「優勝して大坪先生を喜ばせたい」
県大会2連覇、全4試合無失点、揺るぎない守備力を武器に、高知高校が第104回全国高校サッカー選手権大会の舞台へ向かう。20回目の出場となる高知の名門が描く景色は、県勢初の日本一だ。
スポーツブルでは今回、チームを指揮する大坪裕典監督とエースストライカーの松田翔空選手にオンライン取材を実施。高知県大会を振り返ってもらいながら、全国大会への意気込みや現在のチーム状況を聞いた。
大坪裕典監督
- 無失点での優勝でした。まずは大会を振り返ってください。
「チームとしても『いい守備からいい攻撃』ということでやってきたので、無失点で終われたのは良かったと思う」
- 直近のリーグ戦では失点が続いていました。どうやって立て直したのでしょうか?
「無失点を目指しながらも、リーグ戦ではかなり失点を重ねてしまった。
その改善点を選手たちと一緒に見つめ、一つずつ潰していく作業をトレーニングの中で積み重ねてきた。それが今回のトーナメントに間に合ったのは非常に良かった」
- 大坪監督はゴールキーパー出身ということで、やはり無失点へのこだわりは強いですか?
「失点しなければ負けることはない。そういう考え方はゴールキーパーならではかもしれない」
- 高知中央との決勝はスコアレスの苦しい時間帯が続きました。振り返ってください。
「選手たちもボールを大事にしたかったと思うが、思うような展開にはならなかった。私自身、もう少しボールを大事にして欲しいという意図をずっと話し続けていたが、高知中央のプレッシング強度が高く、ボールを持たせてもらえなかった。自陣にボールがある状況を恐れたこともあり、捨て玉のような形が続き、縦に早い展開になってしまった。ハーフタイムには「落ち着いてボールを保持しながらやっていけば活路は見出せる」と話したが、なかなか修正できなかった」
- 県大会を通じてチーム・選手たちが成長したと思う点を教えてください。
「成長を感じたのは、緊張してもそれなりに力を出せるようになった点。トーナメントでは内容的に良いゲームはできなかったが、無失点で終われたこと、そして緊張した場面でも力を発揮できたことは収穫だった。昨年と比べるとテクニックの高い安定した選手が多く、ボールを大事にできるチームになっている」
- エースで10番の松田選手に期待することは?
「彼はうちのエースなので得点を量産して欲しいという思いはあるが、それだけではない。ゲームメイクもできる選手なので、前線でボールを良い形で受けて、得点に繋げてもらいたい」
- 高知は中高一貫で育成しています。彼らにとって選手権は集大成ですね。
「うちは高知中出身の選手が多いチーム。6年間高知中高で育ってきた選手たちが、最後の選手権でピッチに立っている。高知中ではドリブルやボールを大事にする部分を重視して成長し、高校ではそこに判断力を加えて成長してきた。
6年間の集大成として、この選手権で力を出し切ってほしい」
- 初戦の相手・昌平の印象について教えてください。
「昌平は非常に強く、代表レベルの選手も多いチームだが、これまでやってきた自分たちのサッカーがどこまで通用するか本当に楽しみ。やるからには絶対に勝って、次に繋げたい。今年の目標は日本一を取ること」
松田翔空選手
- 無失点での優勝でした。高知中央との決勝を振り返ってください。
「無失点・大量得点で勝つというのは去年から目指してきたサッカーだ。今年も『無失点のチームが優勝する』とずっと言い続けてきた。大量得点とはいかなかったが、無失点を意識しながら勝てて良かった」
- 全国切符を掴むPKでした。どんな心境でしたか?
「笛が鳴って周りが静まり返った時は、正直足がガクガクだった。どこに蹴ろうか蹴る直前まで悩んだが、練習でやっている間合いで決めることができた」
- 普段からPKの練習はしていましたか?
「PKの練習は、選手権シーズンやトーナメントが近づくと必ずやっている」
- 優勝が決まった瞬間、どんなことを思っていましたか?
「優勝した瞬間は素直に嬉しかったが、そこは通過点に過ぎない。頭の中はすぐに全国大会へ切り替わっていた」
- 6年間の集大成ですね。
「小学生の時に森本(稔)先生に呼ばれて、高知中に入り、高知高校と6年間やってきた。高知高校のサッカーは『繋ぎながらゴールを目指す、多彩な攻撃でゴールを目指す』というスタイル。1年生の時から試合に出させてもらっているので、自分が結果を出してチームを勝たせたいと思っている」
- 背番号10番はどういった経緯で?
「新人戦で背番号を決める時、自分から10番が良いと言った。中学では2年生から10番を背負っていた」
- 全国大会に向けて意気込みをお願いします。
「チームとしては、内容面でうまくいかないことも多いが、全員でカバーし合いながら雰囲気を盛り上げてやれている。
一試合一試合にかける熱量は、先輩たちを超えるものがある。目標は全国優勝。昨年は2回戦でプレミアの静岡学園に負けたので、まずはプレミア勢の昌平に勝って優勝し、大坪先生を喜ばせたい」
写真提供:高知高校サッカー部
文:SPORTS BULL(スポーツブル)編集部