【夏の甲子園】1回戦・新田 - 花巻東 両校の地方大会戦績を紹介
第108回全国高校野球選手権大会は8月9日、阪神甲子園球場で第5日を迎える。
午前8時から1回戦第1試合として新田(愛媛) - 花巻東(岩手)が行われる。
5年ぶり2度目の出場となる新田と、4年連続14度目の花巻東。出場回数では大きく開きがあるが、地方大会の中身を並べると、両校の性格の違いがはっきり浮かび上がる。
5試合で49得点を叩き出した新田と、5試合の失点がわずか1だった花巻東。試合を前に、両校が地元でどんな戦いをしてきたのかを振り返る。
◆新田(愛媛)― 5試合49得点、無失策。第1シードが「戦国愛媛」を制した
愛媛大会 全戦績
2回戦(7月13日) 新田 15-0 南宇和※5回コールド
3回戦(7月18日) 新田 8-0 新居浜東※7回コールド
準々決勝(7月21日) 新田 8-1 今治北※7回コールド
準決勝(7月24日) 新田 6-0 小松
決勝(7月26日) 新田 12-3 松山学院
【通算】5戦全勝 49得点・4失点(1試合平均9.8得点・0.8失点)
序盤3試合はすべてコールド
愛媛大会は7月11日開幕。
準決勝の相手は、準々決勝で前年王者・済美を破って勢いに乗る小松だった。
試合が動いたのは3回。1死一、三塁から3番・松田尚飛(3年)が先制の適時打を放つと、4番・中野陸(3年)にも続けて適時打が出て、この回一挙3点。エース右腕・築山朔弥(3年)は5回の1死一、三塁のピンチを三振で断ち切るなど的を絞らせず、6-0で完封した。186センチの長身から投げ下ろす速球にプロのスカウトも注目する。
過去10大会で8校が代表になっている「戦国愛媛」で、第1シード校が優勝したのは2015年の今治西以来。
決勝は2回に一挙4点、「9番まで切れ目なし」を体現
決勝の相手・松山学院は、部員17人で春夏通じて初の出場を狙ったノーシード校。
新田は2回、1死二、三塁から8番・得居飛翔(3年)が右中間を破る三塁打を放つなどして一挙4点を先制した。3回にも2点を加え、4回までに8点。序盤で試合の形を決め、そのまま12-3で押し切った。得居は決勝だけで4安打4打点、1番・酒井真聖主将(3年)も2本の適時打を放っている。
チーム打率は4割2分9厘。全5試合で打席に立った9人全員が3割を超え、5試合で63安打を積み上げた。
今春は県大会を2年連続で制し、続く四国大会でも英明、高知商を破って愛媛勢として20年ぶりの頂点に立った。夏の出場は2度目だが、1990年のセンバツでは初出場で決勝に進み、近大付に2-5で敗れて準優勝。前回出場の2021年は初戦を突破し、2回戦で日本航空に3-5で敗れている。
◆花巻東(岩手)― 5試合1失点、県史上初の4連覇
岩手大会 全戦績
2回戦(7月14日) 花巻東 10-0 盛岡農※5回コールド
3回戦(7月17日) 花巻東 7-0 花泉※7回コールド
準々決勝(7月20日) 花巻東 2-1 久慈
準決勝(7月23日) 花巻東 9-0 一関学院※7回コールド
決勝(7月25日) 花巻東 5-0 盛岡大附
【通算】5戦全勝 33得点・1失点(1試合平均6.6得点・0.2失点)
唯一の失点は、サヨナラで勝った準々決勝
花巻東も2回戦から登場し、盛岡農を5回コールド、花泉を7回コールドで下して準々決勝に進んだ。ここまで2試合連続の無失点。
大会で唯一つまずきかけたのが久慈との準々決勝だった。
初回に先制を許すと、その裏1死三塁から3番・赤間史弥(3年)の犠飛ですぐ同点に追いつく。だが、その後は両軍とも得点が動かない。9回2死一、二塁で打席に立った粒来琉雲(3年)が中前へ運び、2-1でサヨナラ勝ち。先発の菅原駿(2年)から2番手・萬谷堅心(3年)へつなぐ継投で1点を守り切った。この1点が、大会を通じて許した唯一の失点になる。
準決勝の一関学院戦では、5番に入った萬谷が投手ではなく打者として爆発した。
初回2死二、三塁からこの夏初安打となる中前2点適時打、3回にも右前適時打。
決勝の相手は、3年連続で顔を合わせる盛岡大附。萬谷と盛岡大附・須藤悠真の背番号1の左腕対決となった。
花巻東は2回、1死一、三塁から内野ゴロの間に1点を先制。4回には1死一、二塁から重盗で二、三塁と好機を広げ、齋藤蒼梧(2年)の適時打で2点を追加した。
萬谷は9回を94球で投げ切って無失点。打っても中軸として2安打を放ち、5-0で県大会史上初となる夏4連覇を果たした。
昨秋は岩手大会を制したうえで東北大会も優勝。今春も岩手大会を制しており、この夏で5季連続の甲子園出場となる。昨夏は1回戦で智弁和歌山を4-1で破り、2回戦で東洋大姫路に4-8で敗退。萬谷、赤間はいずれもその舞台でマウンドを経験している。
菊池雄星、大谷翔平を輩出し、2009年センバツで岩手県勢初の準優勝を果たした名門は、佐々木洋監督のもとで今年も堅守のチームを作り上げた。
平均得点だけを見れば新田が3点以上上回るが、この数字は序盤のコールド勝ちに引き上げられている面がある。準々決勝以降の3試合に絞ると、新田は26得点4失点、花巻東は16得点1失点。それでも新田の得点力が上回る構図は変わらないが、差は縮まる。
一方の失点は、どの区間を切り取っても花巻東が上回る。5試合で1失点、1試合平均0.2という数字は今大会の出場校でも屈指だ。
ただし、その1失点を喫した久慈戦は2-1のサヨナラ決着。接戦をものにする力と、僅差でしか勝てない試合があったことは、同じ数字の裏表でもある。
投手起用の傾向も対照的だ。新田は築山と木下の二枚看板を試合ごとに使い分け、序盤は3投手をつないで主戦を休ませた。
花巻東も萬谷、赤間、菅原と複数の投手を回しているが、決勝は萬谷が94球で完投しており、勝負どころではエースに託す形が見える。
1回戦の見どころ
「打の新田」と「守の花巻東」がそのままぶつかる。 5試合63安打・49得点の打線と、5試合1失点の投手陣。噛み合わせとしてこれ以上ないほど分かりやすい対戦になった。8月4日に阪神甲子園球場で対談した花巻東・佐々木洋監督と新田・岡田茂雄監督は、ともに相手打線を警戒し、ロースコアの接戦を予想している。
新田が序盤に得点して自分たちの形に持ち込めるか、花巻東が試合を締めたまま終盤に運べるかが最初の分かれ目になりそうだ。今大会から導入されたDH制が、両校の二刀流をどう扱うか。
花巻東は、決勝で完封しながら中軸として2安打した萬谷、外野手として3番に座りながら準決勝で完封した赤間と、投打を兼ねる選手が2人いる。DHを使えば投手の打席を他の選手に譲れる一方、打てる投手を打線から外すことにもなる。
新田も背番号1の築山が中学時代は捕手だった選手で、二枚看板を抱える。制度初年度の采配が、そのまま継投の設計に直結する。
愛媛勢は夏の全国大会で岩手勢に勝ったことがない。 対戦数自体は多くないものの、愛媛新聞によれば夏の選手権における愛媛勢の対岩手勢は0勝。新田にとっては初戦であると同時に、県勢の歴史を書き換える機会でもある。花巻東にとっては、昨夏も1回戦第1試合・午前8時開始の試合で智弁和歌山を破っており、朝の第1試合は相性のいい条件と言える。
大会は8月5日から22日までの18日間(休養日3日を含む、雨天順延)。この試合は午前8時プレーボールの予定だ。
なお「バーチャル高校野球」では、開会式と開幕試合から決勝までの全48試合を無料ライブ配信する。
午前8時から1回戦第1試合として新田(愛媛) - 花巻東(岩手)が行われる。
5年ぶり2度目の出場となる新田と、4年連続14度目の花巻東。出場回数では大きく開きがあるが、地方大会の中身を並べると、両校の性格の違いがはっきり浮かび上がる。
5試合で49得点を叩き出した新田と、5試合の失点がわずか1だった花巻東。試合を前に、両校が地元でどんな戦いをしてきたのかを振り返る。
◆新田(愛媛)― 5試合49得点、無失策。第1シードが「戦国愛媛」を制した
愛媛大会 全戦績
2回戦(7月13日) 新田 15-0 南宇和※5回コールド
3回戦(7月18日) 新田 8-0 新居浜東※7回コールド
準々決勝(7月21日) 新田 8-1 今治北※7回コールド
準決勝(7月24日) 新田 6-0 小松
決勝(7月26日) 新田 12-3 松山学院
【通算】5戦全勝 49得点・4失点(1試合平均9.8得点・0.8失点)
序盤3試合はすべてコールド
愛媛大会は7月11日開幕。
第1シードの新田は1回戦が免除され、2回戦から登場した。初戦の南宇和戦を5回コールド、新居浜東戦と今治北戦をいずれも7回コールドで片づけ、準々決勝までの3試合をすべて短縮試合で終えている。
準決勝の相手は、準々決勝で前年王者・済美を破って勢いに乗る小松だった。
試合が動いたのは3回。1死一、三塁から3番・松田尚飛(3年)が先制の適時打を放つと、4番・中野陸(3年)にも続けて適時打が出て、この回一挙3点。エース右腕・築山朔弥(3年)は5回の1死一、三塁のピンチを三振で断ち切るなど的を絞らせず、6-0で完封した。186センチの長身から投げ下ろす速球にプロのスカウトも注目する。
過去10大会で8校が代表になっている「戦国愛媛」で、第1シード校が優勝したのは2015年の今治西以来。
優勝候補の重圧をはねのけた形になった。
決勝は2回に一挙4点、「9番まで切れ目なし」を体現
決勝の相手・松山学院は、部員17人で春夏通じて初の出場を狙ったノーシード校。
新田は2回、1死二、三塁から8番・得居飛翔(3年)が右中間を破る三塁打を放つなどして一挙4点を先制した。3回にも2点を加え、4回までに8点。序盤で試合の形を決め、そのまま12-3で押し切った。得居は決勝だけで4安打4打点、1番・酒井真聖主将(3年)も2本の適時打を放っている。
チーム打率は4割2分9厘。全5試合で打席に立った9人全員が3割を超え、5試合で63安打を積み上げた。
さらに、守っては大会を通じて無失策。投手陣は築山と左腕・木下春空(3年)の二枚看板で、木下は準々決勝で7回1失点と好投した。序盤2試合は築山、岡田優羽(3年)、木下の3人をつないでいる。
今春は県大会を2年連続で制し、続く四国大会でも英明、高知商を破って愛媛勢として20年ぶりの頂点に立った。夏の出場は2度目だが、1990年のセンバツでは初出場で決勝に進み、近大付に2-5で敗れて準優勝。前回出場の2021年は初戦を突破し、2回戦で日本航空に3-5で敗れている。
◆花巻東(岩手)― 5試合1失点、県史上初の4連覇
岩手大会 全戦績
2回戦(7月14日) 花巻東 10-0 盛岡農※5回コールド
3回戦(7月17日) 花巻東 7-0 花泉※7回コールド
準々決勝(7月20日) 花巻東 2-1 久慈
準決勝(7月23日) 花巻東 9-0 一関学院※7回コールド
決勝(7月25日) 花巻東 5-0 盛岡大附
【通算】5戦全勝 33得点・1失点(1試合平均6.6得点・0.2失点)
唯一の失点は、サヨナラで勝った準々決勝
花巻東も2回戦から登場し、盛岡農を5回コールド、花泉を7回コールドで下して準々決勝に進んだ。ここまで2試合連続の無失点。
大会で唯一つまずきかけたのが久慈との準々決勝だった。
初回に先制を許すと、その裏1死三塁から3番・赤間史弥(3年)の犠飛ですぐ同点に追いつく。だが、その後は両軍とも得点が動かない。9回2死一、二塁で打席に立った粒来琉雲(3年)が中前へ運び、2-1でサヨナラ勝ち。先発の菅原駿(2年)から2番手・萬谷堅心(3年)へつなぐ継投で1点を守り切った。この1点が、大会を通じて許した唯一の失点になる。
準決勝の一関学院戦では、5番に入った萬谷が投手ではなく打者として爆発した。
初回2死二、三塁からこの夏初安打となる中前2点適時打、3回にも右前適時打。
5回には右翼フェンスを越える公式戦初本塁打を放ち、3安打5打点。マウンドでは背番号7の左腕・赤間が打たせて取る投球で完封し、9-0の7回コールドで4年連続の決勝進出を決めた。3年連続の同一カードとなった決勝
決勝の相手は、3年連続で顔を合わせる盛岡大附。萬谷と盛岡大附・須藤悠真の背番号1の左腕対決となった。
花巻東は2回、1死一、三塁から内野ゴロの間に1点を先制。4回には1死一、二塁から重盗で二、三塁と好機を広げ、齋藤蒼梧(2年)の適時打で2点を追加した。
萬谷は9回を94球で投げ切って無失点。打っても中軸として2安打を放ち、5-0で県大会史上初となる夏4連覇を果たした。
昨秋は岩手大会を制したうえで東北大会も優勝。今春も岩手大会を制しており、この夏で5季連続の甲子園出場となる。昨夏は1回戦で智弁和歌山を4-1で破り、2回戦で東洋大姫路に4-8で敗退。萬谷、赤間はいずれもその舞台でマウンドを経験している。
菊池雄星、大谷翔平を輩出し、2009年センバツで岩手県勢初の準優勝を果たした名門は、佐々木洋監督のもとで今年も堅守のチームを作り上げた。
平均得点だけを見れば新田が3点以上上回るが、この数字は序盤のコールド勝ちに引き上げられている面がある。準々決勝以降の3試合に絞ると、新田は26得点4失点、花巻東は16得点1失点。それでも新田の得点力が上回る構図は変わらないが、差は縮まる。
一方の失点は、どの区間を切り取っても花巻東が上回る。5試合で1失点、1試合平均0.2という数字は今大会の出場校でも屈指だ。
ただし、その1失点を喫した久慈戦は2-1のサヨナラ決着。接戦をものにする力と、僅差でしか勝てない試合があったことは、同じ数字の裏表でもある。
投手起用の傾向も対照的だ。新田は築山と木下の二枚看板を試合ごとに使い分け、序盤は3投手をつないで主戦を休ませた。
花巻東も萬谷、赤間、菅原と複数の投手を回しているが、決勝は萬谷が94球で完投しており、勝負どころではエースに託す形が見える。
1回戦の見どころ
「打の新田」と「守の花巻東」がそのままぶつかる。 5試合63安打・49得点の打線と、5試合1失点の投手陣。噛み合わせとしてこれ以上ないほど分かりやすい対戦になった。8月4日に阪神甲子園球場で対談した花巻東・佐々木洋監督と新田・岡田茂雄監督は、ともに相手打線を警戒し、ロースコアの接戦を予想している。
新田が序盤に得点して自分たちの形に持ち込めるか、花巻東が試合を締めたまま終盤に運べるかが最初の分かれ目になりそうだ。今大会から導入されたDH制が、両校の二刀流をどう扱うか。
花巻東は、決勝で完封しながら中軸として2安打した萬谷、外野手として3番に座りながら準決勝で完封した赤間と、投打を兼ねる選手が2人いる。DHを使えば投手の打席を他の選手に譲れる一方、打てる投手を打線から外すことにもなる。
新田も背番号1の築山が中学時代は捕手だった選手で、二枚看板を抱える。制度初年度の采配が、そのまま継投の設計に直結する。
愛媛勢は夏の全国大会で岩手勢に勝ったことがない。 対戦数自体は多くないものの、愛媛新聞によれば夏の選手権における愛媛勢の対岩手勢は0勝。新田にとっては初戦であると同時に、県勢の歴史を書き換える機会でもある。花巻東にとっては、昨夏も1回戦第1試合・午前8時開始の試合で智弁和歌山を破っており、朝の第1試合は相性のいい条件と言える。
大会は8月5日から22日までの18日間(休養日3日を含む、雨天順延)。この試合は午前8時プレーボールの予定だ。
なお「バーチャル高校野球」では、開会式と開幕試合から決勝までの全48試合を無料ライブ配信する。