【夏の甲子園】2回戦・天理 - 福山 両校の地方大会戦績を紹介

第108回全国高校野球選手権大会は8月10日、阪神甲子園球場で第6日を迎える。
18時30分から2回戦の第4試合として天理(奈良) - 福山(広島)が行われる。

2年連続31回目の出場となる天理と、春夏通じて初出場の福山。夏の全国制覇2回を含む屈指の実績を持つ私学の名門と、創部から半世紀を経て初めて聖地にたどり着いた市立の進学校という顔合わせになった。ただ、地方大会の中身を並べると、単純な「格上と格下」では割り切れない数字が並ぶ。試合を前に、両校が地元でどんな戦いをしてきたのかを振り返る。

天理(奈良)― 5試合で失点2、3度の完封で頂点に
奈良大会 全戦績

2回戦(7月12日) 天理 3-0 橿原

3回戦(7月19日) 天理 7-1 大和広陵

準々決勝(7月22日) 天理 13-1 奈良商工※5回コールド

準決勝(7月25日) 天理 7-0 畝傍※7回コールド

決勝(7月27日) 天理 8-0 奈良大付

【通算】5戦全勝 38得点・2失点(1試合平均7.6得点・0.4失点)

初戦は3-0、勝ち上がるほど点が入った

34チームが参加した奈良大会で、天理はシード校として2回戦から登場した。初戦の橿原戦は3-0の接戦。
派手さはないが、この試合を含めて大会全体で3度の完封勝ちを収めており、失点は5試合で2にとどまった。3回戦の大和広陵戦を7-1で通過すると、準々決勝の奈良商工戦では初回に6点を集めて13-1の5回コールド。この試合は新井幾大、岡田煌生、大形遼馬、長尾亮大と4人の投手をつないでいる。

準決勝の畝傍戦は左のサイドハンド・橋本桜佑(3年)が先発して無失点に抑え、打線は初回に2点、6回に一挙5点を加えて7-0の7回コールドとした。畝傍は春季奈良大会で40年ぶりに決勝へ進んだ公立校で、準々決勝でも生駒を5-4で振り切って勝ち上がってきた相手だった。

決勝はプロ注目右腕を攻略しての8-0

決勝の相手・奈良大付は、190センチの長身から140キロ台後半を投げるプロ注目右腕・新城楓雅(3年)を擁し、3回戦で智辯学園を9-6で破って勝ち上がってきた。天理は初回、主将で4番の金本相有(3年)の先制適時二塁打などで2点を先行。6回に3点、7回にも3点を加えて突き放した。
マウンドはエース右腕・長尾亮大(3年)が一人で守り、5安打完封。金本は奈良大会通算20打数10安打・7打点、決勝でも3安打2打点と、主将が打線を引っ張った形になった。

今春は奈良大会を制し、春季近畿大会でも4強に入っている。センバツ準優勝の智辯学園は3回戦で姿を消しており、県内「二強」の一角として臨んだ夏を、着実な勝ち上がりでまとめ切った。指揮を執るのは2024年1月に就任した天理OBの藤原忠理監督。前回出場した2025年夏は初戦で鳴門に4-5で敗れており、金本主将は初戦突破への思いを繰り返し口にしてきた。

福山(広島)― 91校85チームの頂点に立った市立の進学校
広島大会 全戦績

2回戦(7月10日) 福山 17-0 油木※5回コールド

3回戦(7月16日) 福山 3-2 神辺旭

4回戦(7月19日) 福山 8-1 賀茂※7回コールド

準々決勝(7月22日) 福山 11-1 広島城北※6回コールド

準決勝(7月26日) 福山 4-3 呉

決勝(7月28日) 福山 4-3 広島商

【通算】6戦全勝 47得点・10失点(1試合平均7.8得点・1.7失点)

「ベスト16の壁」を破った4回戦

福山は広島市の中心部にある学校ではなく、福山市の市立高校。中高一貫の進学校で、1975年の創部以来、広島大会の最高成績はベスト16だった。
夏の大会の真っ最中でも、試合前日に模擬テストを受けていた部員がいたという。

その「壁」を破ったのが4回戦の賀茂戦だった。先に1点を失いながら2回に一挙8得点で逆転し、7回コールドで初の8強入り。勢いに乗った準々決勝の広島城北戦は26打数16安打と打ちまくり、11-1の6回コールドで初の4強に進んだ。この2試合はいずれもコールド勝ちで、チーム打率は大会を通じて.349に達している。

準決勝・決勝はともに4-3、終盤に引っくり返した

準決勝の相手・呉は、この春の広島大会2回戦で福山にコールド勝ちしていた相手だった。福山は8回に試合をひっくり返して4-3とし、春の借りを返して初の決勝へ進んだ。

マツダスタジアムでの決勝は、7年ぶりの出場を狙う広島商が相手。
4回を終えて0-2とリードされたが、5回に内野安打をからめて1点を返すと、6回は先頭から3連打。無死一塁の場面でバントではなく強攻策に出たことが連打を呼び、捕逸で二、三塁と広がったところから適時打で2点を奪って逆転した。7回にも1点を加え、4-3で逃げ切っている。

投手陣は、エース右腕・來山凌也(3年)が全6試合に先発し、30回1/3を投げて防御率2.08。準決勝・決勝はいずれも來山が5回前後を投げ、2年生左腕・岩本大輝が救援して1点差を守り切った。打線は俊足の主将・渡辺雄介(3年)と福島悠杏が出塁し、投打の中心である岩本、強肩捕手の松井湧心が続く形。この4月に西条農、総合技術を夏の甲子園に導いた小田浩監督が就任し、就任からおよそ100日で91校85チームの頂点に立った。今大会で初出場は4校あるが、公立校は福山だけだ。


【夏の甲子園】2回戦・天理 - 福山 両校の地方大会戦績を紹介

1試合平均得点はほぼ並ぶが、この数字は割り引いて見る必要がある。福山は2回戦の油木戦が17-0の5回コールドで、この1試合が平均を大きく押し上げている。準々決勝以降の3試合に絞ると、福山は19得点7失点。対する天理は準々決勝以降の3試合で28得点1失点となり、終盤に向かうほど数字の差が開いていく。

もっとも、福山の準決勝・決勝はいずれも4-3。ともに終盤に逆転しての1点差勝ちで、競り合いを勝ち切った経験は2試合とも直近のものだ。天理は5試合すべてで先に主導権を握っており、逆に「終盤にリードされた展開」をこの夏はまだ経験していない。

投手起用も対照的だ。
天理は長尾、橋本、新井、岡田、大形と5人以上を使い分け、準々決勝は4人継投、準決勝は橋本と長尾のリレー、決勝は長尾の完封と、試合ごとに形を変えている。福山は來山が全6試合に先発し、終盤を岩本が締めるという型がはっきりしている。

2回戦の見どころ

DH制の使い方
今大会から夏の選手権で初めてDH制(指名打者制)が導入された。層の厚い投手陣を回していく天理にとっては、誰が投げても打線の並びを崩さずに済む制度で、継投のハードルは下がる。一方の福山は、投打の中心である岩本をどう扱うかが焦点になる。DHを使えば、岩本を野手として打席に残したまま來山と入れ替える、あるいは登板後も打席に立たせるといった組み立てが可能になる。両校がこの制度をどう運用するかは、そのままベンチの狙いを映すことになる。

約2週間のブランク
天理は7月27日、福山は7月28日が地方大会の決勝で、そこから中13日、中12日を置いての初戦となる。
両校とも1回戦を戦わず2回戦から登場するため、この試合が今大会の初戦だ。実戦から離れた期間が長いぶん、序盤の立ち上がりで感覚を取り戻せるかどうかが、そのまま試合の入りを左右する可能性がある。

接戦になったときの引き出し
福山は決勝で無死一塁からバントを使わず強攻に出て逆転につなげた。準決勝は8回の逆転。終盤に動ける手札を持っている一方で、天理は失点2という守りの数字が示す通り、点を与えないまま試合を進める形を得意とする。福山が中盤までにどれだけ食らいつけるかが、この一戦の分かれ目になりそうだ。

大会は8月5日から22日までの18日間(休養日3日を含む、雨天順延)。この試合は18時30分プレーボールの予定だ。

なお「バーチャル高校野球」では、開会式と開幕試合から決勝までの全48試合を無料ライブ配信する。

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