【夏の甲子園】2回戦・履正社 - 享栄 両校の地方大会戦績を紹介
第108回全国高校野球選手権大会は8月11日、阪神甲子園球場で第7日を迎える。16時から2回戦第3試合として履正社(大阪) - 享栄(愛知)が行われる。
3年ぶり6回目の履正社と、31年ぶり9回目の享栄。ともに2回戦から登場する組み合わせのため、この試合が両校の大会初戦となる。7月28日の地方大会決勝から中13日、条件がまったく同じ状態で聖地に立つ。
7試合66得点の打線を持つ大阪代表と、6試合8失点の投手陣で勝ち上がった愛知代表。対照的な2校が初戦でぶつかる。
試合を前に、両校が地元でどんな戦いをしてきたのかを振り返る。
◆履正社(大阪)― 7試合66得点、延長タイブレークを2度勝ち切った
大阪大会 全戦績
2回戦(7月15日) 履正社 10-0 千里青雲※5回コールド
3回戦(7月18日) 履正社 2-1 関西創価※延長10回タイブレーク
4回戦(7月19日) 履正社 14-0 寝屋川※5回コールド
5回戦(7月22日) 履正社 11-1 清教学園※6回コールド
準々決勝(7月24日) 履正社 7-1 近大付※延長10回タイブレーク
準決勝(7月26日) 履正社 6-0 金光大阪
決勝(7月28日) 履正社 16-2 箕面学園
【通算】7戦全勝 66得点・5失点(1試合平均9.4得点・0.7失点)
山場は3回戦と準々決勝、いずれも延長10回
165校153チームが参加した大阪大会を、履正社は7試合で勝ち抜いた。序盤3試合のうち2試合をコールドで片づけた一方、山場は中盤に集中している。
3回戦の相手はプロ注目右腕・那須英翔(3年)を擁する関西創価だった。
1-1のまま延長に入り、10回裏に先頭の三木大亮(3年)が内野安打で出塁すると、続く城間煌陽(2年)がサヨナラ打を放って2-1。先発の木村颯(3年)は10回を被安打7、奪三振8、1失点で投げ切った。
準々決勝の近大付戦も同じ展開になった。
1-1で迎えた延長10回表、先頭の小杉悠人(3年)の内野安打から無死満塁の好機をつくり、主将で4番の辻竜乃介(3年)が走者一掃の3点三塁打。さらに高津冬真(3年)の適時三塁打、三木の適時打で一挙6点を奪って7-1とした。
決勝の箕面学園戦は3回に小杉の適時打、辻の犠飛などで4点を先制すると、2回以降は毎回安打の24安打で16-2。竿谷凛斗(3年)が6打数4安打、三木が6打数4安打、城間が5打数4安打と並んだ。
打点15の主将と、無失点の2年生
多田晃監督が率いるチームは、平均9.4得点・0.7失点と攻守のバランスが際立つ。辻主将は打率.462、打点15。
投手は木村と上山の2枚看板。木村は大阪大会で27回を投げて自責を含む失点は4、上山は15回を投げて失点0だった。木村が最後に登板したのは7月28日の決勝で6回、上山は7月26日の準決勝で141球。いずれも大会初戦までに2週間近い間隔が空く。
◆享栄(愛知)― 中京大中京、愛工大名電を連破しての31年ぶり
愛知大会 全戦績
3回戦(7月12日) 享栄 8-1 知立東※7回コールド
4回戦(7月19日) 享栄 4-2 愛知啓成
5回戦(7月21日) 享栄 4-1 中京大中京
準々決勝(7月23日) 享栄 10-2 愛知※7回コールド
準決勝(7月27日) 享栄 3-1 星城
決勝(7月28日) 享栄 4-1 愛工大名電
【通算】6戦全勝 33得点・8失点(1試合平均5.5得点・1.3失点)
5回戦でセンバツ出場校を退けた
174チームが参加した全国最多の愛知大会で、享栄はシード校として3回戦から登場した。
1-1で迎えた5回表に1番・藤井陽斗(3年)の適時打で勝ち越すと、9回表にも永谷陽翔(3年)の三塁打と暴投、藤井の適時二塁打で2点を加えて4-1。先発の近藤優(3年)が4回を1失点でつなぎ、上江滝拓未(3年)が残る5回を被安打1、奪三振5、無失点で抑えた。
準決勝の星城戦は1回裏に森迫煌斗(3年)の犠飛で先制し、6回裏に菅沼琥太朗(2年)の2点適時三塁打で突き放して3-1。先発の坂本亮太(3年)が5回無失点、上江滝が3回2/3を投げ、最後は近藤が2死満塁を無失点で切り抜けた。決勝の相手は愛工大名電だった。
1点を追う4回裏、先頭の四球から森迫の同点適時二塁打、坂本の勝ち越し適時打で逆転。5回裏に藤井の適時二塁打、6回裏に菅沼の適時打を加えて4-1とした。
愛知大会の決勝でこの2校が対戦したのは1968年、1995年、2021年に次いで4度目だった。
全6投手が最速140キロ超、上江滝は決勝で101球完投
大藤敏行監督は、母校・中京大中京を2009年夏の全国制覇に導いた指揮官だ。2018年8月に享栄の監督に就任し、8年目で初めてチームを夏の全国大会に導いた。
享栄が阪神甲子園球場に戻るのは2000年のセンバツ以来になる。
チームの土台は投手陣にある。登板する6投手が全員最速140キロを超え、大藤監督自身も「守り切って、少ない得点で勝ち上がっていくチーム」と表現する。
背番号11の横手右腕・上江滝は愛知大会で25回2/3を投げて失点2、決勝では9回を被安打5、1失点、101球で完投した。
得点力の差は大きく見えるが、履正社の66得点には5回・6回コールドの3試合が含まれる。この3試合を除いた4試合に絞ると31得点・5失点で、1試合平均は7.8得点。それでも高い水準だが、接戦の比率は数字の印象より高い。実際、履正社は3回戦と準々決勝を延長10回タイブレークで勝っており、7試合中2試合が1点差の局面から動いた試合だった。
一方の享栄は33得点のうち18得点が知立東戦と愛知高校戦の2試合に集中している。
投手起用の型も分かれる。
履正社は木村と上山の2人で7試合の大半をつなぐ2枚看板型、享栄は上江滝・坂本・近藤の3人が先発と救援を入れ替えながら回す分業型だ。
享栄の3投手は右・横手・左と持ち味が異なり、多田監督も「すごく良いピッチャーが3人いる」と警戒する。2回戦の見どころ
投手を惜しみなく使える初戦
1人1週間500球以内の投球数制限があるが、両校とも大会での登板はまだない。地方大会の決勝から中13日空いており、履正社の木村・上山、享栄の上江滝・坂本・近藤はいずれも万全の状態で初戦に入れる。特に享栄は準決勝と決勝で上江滝を連投させた経緯があるだけに、間隔が空いたことの意味は小さくない。制約なく継投を組める初戦は、分業型の享栄にとって戦いやすい条件といえる。
「先制して逃げ切る」か「後半までもつれさせる」か
開会式リハーサル後の監督対談で、両指揮官が描いた理想の展開は正反対だった。多田監督は「前半に2、3点リードで5回ぐらいまでいければ」「先制点を取って逃げ切りたい」と話し、大藤監督は「先に点を取られたら一方的なゲームになってしまう。後半までもつれたゲームができたら」と語った。序盤3イニングで履正社が先手を取れるか、享栄が0-0のまま試合を進められるか。ここが最初の分岐点になる。
警戒し合うキーマン
大藤監督は木村と辻主将に加え、2番の竿谷を「非常に足が速いので出さないようにと思っている」と挙げた。総盗塁24個の機動力は、投手と捕手にとって無視できない負担になる。
多田監督が名前を出したのは享栄の1番・藤井と3番・森迫。藤井は愛知大会で打率.444、4盗塁を記録した左打者で、決勝でも適時二塁打を放っている。今大会から夏の選手権でも指名打者制が導入されており、二刀流の坂本をどう起用するかも含めて、打順の組み方に両ベンチの狙いが表れそうだ。
この試合の勝者は3回戦第3試合に進み、同じ第7日第4試合で対戦する松商学園(長野) - 三重(三重)の勝者と当たる。3回戦は第11日・第12日に組まれている。
なお「バーチャル高校野球」では、開会式と開幕試合から決勝までの全48試合を無料ライブ配信する。
3年ぶり6回目の履正社と、31年ぶり9回目の享栄。ともに2回戦から登場する組み合わせのため、この試合が両校の大会初戦となる。7月28日の地方大会決勝から中13日、条件がまったく同じ状態で聖地に立つ。
7試合66得点の打線を持つ大阪代表と、6試合8失点の投手陣で勝ち上がった愛知代表。対照的な2校が初戦でぶつかる。
試合を前に、両校が地元でどんな戦いをしてきたのかを振り返る。
◆履正社(大阪)― 7試合66得点、延長タイブレークを2度勝ち切った
大阪大会 全戦績
2回戦(7月15日) 履正社 10-0 千里青雲※5回コールド
3回戦(7月18日) 履正社 2-1 関西創価※延長10回タイブレーク
4回戦(7月19日) 履正社 14-0 寝屋川※5回コールド
5回戦(7月22日) 履正社 11-1 清教学園※6回コールド
準々決勝(7月24日) 履正社 7-1 近大付※延長10回タイブレーク
準決勝(7月26日) 履正社 6-0 金光大阪
決勝(7月28日) 履正社 16-2 箕面学園
【通算】7戦全勝 66得点・5失点(1試合平均9.4得点・0.7失点)
山場は3回戦と準々決勝、いずれも延長10回
165校153チームが参加した大阪大会を、履正社は7試合で勝ち抜いた。序盤3試合のうち2試合をコールドで片づけた一方、山場は中盤に集中している。
3回戦の相手はプロ注目右腕・那須英翔(3年)を擁する関西創価だった。
1-1のまま延長に入り、10回裏に先頭の三木大亮(3年)が内野安打で出塁すると、続く城間煌陽(2年)がサヨナラ打を放って2-1。先発の木村颯(3年)は10回を被安打7、奪三振8、1失点で投げ切った。
準々決勝の近大付戦も同じ展開になった。
1-1で迎えた延長10回表、先頭の小杉悠人(3年)の内野安打から無死満塁の好機をつくり、主将で4番の辻竜乃介(3年)が走者一掃の3点三塁打。さらに高津冬真(3年)の適時三塁打、三木の適時打で一挙6点を奪って7-1とした。
木村は8回を被安打3、四死球7、奪三振11、1失点。残る2回を上山篤慶(2年)が完全リリーフで締めた。準決勝は上山が金光大阪打線を9回9安打4四死球で完封している。141球の完投だった。
決勝の箕面学園戦は3回に小杉の適時打、辻の犠飛などで4点を先制すると、2回以降は毎回安打の24安打で16-2。竿谷凛斗(3年)が6打数4安打、三木が6打数4安打、城間が5打数4安打と並んだ。
打点15の主将と、無失点の2年生
多田晃監督が率いるチームは、平均9.4得点・0.7失点と攻守のバランスが際立つ。辻主将は打率.462、打点15。
この打点15は出場49校の選手で最多だった。総盗塁24個も出場校2位で、長打だけに頼らないのが特徴になる。父は西武の辻竜太郎2軍野手チーフコーチという血筋でもある。
投手は木村と上山の2枚看板。木村は大阪大会で27回を投げて自責を含む失点は4、上山は15回を投げて失点0だった。木村が最後に登板したのは7月28日の決勝で6回、上山は7月26日の準決勝で141球。いずれも大会初戦までに2週間近い間隔が空く。
◆享栄(愛知)― 中京大中京、愛工大名電を連破しての31年ぶり
愛知大会 全戦績
3回戦(7月12日) 享栄 8-1 知立東※7回コールド
4回戦(7月19日) 享栄 4-2 愛知啓成
5回戦(7月21日) 享栄 4-1 中京大中京
準々決勝(7月23日) 享栄 10-2 愛知※7回コールド
準決勝(7月27日) 享栄 3-1 星城
決勝(7月28日) 享栄 4-1 愛工大名電
【通算】6戦全勝 33得点・8失点(1試合平均5.5得点・1.3失点)
5回戦でセンバツ出場校を退けた
174チームが参加した全国最多の愛知大会で、享栄はシード校として3回戦から登場した。
勝ち上がりの質を決めたのは5回戦の中京大中京戦だ。
1-1で迎えた5回表に1番・藤井陽斗(3年)の適時打で勝ち越すと、9回表にも永谷陽翔(3年)の三塁打と暴投、藤井の適時二塁打で2点を加えて4-1。先発の近藤優(3年)が4回を1失点でつなぎ、上江滝拓未(3年)が残る5回を被安打1、奪三振5、無失点で抑えた。
準決勝の星城戦は1回裏に森迫煌斗(3年)の犠飛で先制し、6回裏に菅沼琥太朗(2年)の2点適時三塁打で突き放して3-1。先発の坂本亮太(3年)が5回無失点、上江滝が3回2/3を投げ、最後は近藤が2死満塁を無失点で切り抜けた。決勝の相手は愛工大名電だった。
1点を追う4回裏、先頭の四球から森迫の同点適時二塁打、坂本の勝ち越し適時打で逆転。5回裏に藤井の適時二塁打、6回裏に菅沼の適時打を加えて4-1とした。
9回1死一、二塁の場面は二塁手・竹内泉汰(2年)の併殺で締めている。
愛知大会の決勝でこの2校が対戦したのは1968年、1995年、2021年に次いで4度目だった。
全6投手が最速140キロ超、上江滝は決勝で101球完投
大藤敏行監督は、母校・中京大中京を2009年夏の全国制覇に導いた指揮官だ。2018年8月に享栄の監督に就任し、8年目で初めてチームを夏の全国大会に導いた。
享栄が阪神甲子園球場に戻るのは2000年のセンバツ以来になる。
チームの土台は投手陣にある。登板する6投手が全員最速140キロを超え、大藤監督自身も「守り切って、少ない得点で勝ち上がっていくチーム」と表現する。
背番号11の横手右腕・上江滝は愛知大会で25回2/3を投げて失点2、決勝では9回を被安打5、1失点、101球で完投した。
準決勝から中0日での先発だった。背番号10の坂本は4番も打つ二刀流で、11回を投げて失点2、打っては準々決勝で3ランを含む4打点。背番号1の近藤は最速148キロの左腕で、5回戦と準々決勝に先発している。
得点力の差は大きく見えるが、履正社の66得点には5回・6回コールドの3試合が含まれる。この3試合を除いた4試合に絞ると31得点・5失点で、1試合平均は7.8得点。それでも高い水準だが、接戦の比率は数字の印象より高い。実際、履正社は3回戦と準々決勝を延長10回タイブレークで勝っており、7試合中2試合が1点差の局面から動いた試合だった。
一方の享栄は33得点のうち18得点が知立東戦と愛知高校戦の2試合に集中している。
残る4試合は8得点・6失点で、いずれも僅差だった。中京大中京、愛工大名電という2校を1失点ずつで抑え切ったことのほうが、この数字より雄弁だろう。
投手起用の型も分かれる。
履正社は木村と上山の2人で7試合の大半をつなぐ2枚看板型、享栄は上江滝・坂本・近藤の3人が先発と救援を入れ替えながら回す分業型だ。
享栄の3投手は右・横手・左と持ち味が異なり、多田監督も「すごく良いピッチャーが3人いる」と警戒する。2回戦の見どころ
投手を惜しみなく使える初戦
1人1週間500球以内の投球数制限があるが、両校とも大会での登板はまだない。地方大会の決勝から中13日空いており、履正社の木村・上山、享栄の上江滝・坂本・近藤はいずれも万全の状態で初戦に入れる。特に享栄は準決勝と決勝で上江滝を連投させた経緯があるだけに、間隔が空いたことの意味は小さくない。制約なく継投を組める初戦は、分業型の享栄にとって戦いやすい条件といえる。
「先制して逃げ切る」か「後半までもつれさせる」か
開会式リハーサル後の監督対談で、両指揮官が描いた理想の展開は正反対だった。多田監督は「前半に2、3点リードで5回ぐらいまでいければ」「先制点を取って逃げ切りたい」と話し、大藤監督は「先に点を取られたら一方的なゲームになってしまう。後半までもつれたゲームができたら」と語った。序盤3イニングで履正社が先手を取れるか、享栄が0-0のまま試合を進められるか。ここが最初の分岐点になる。
警戒し合うキーマン
大藤監督は木村と辻主将に加え、2番の竿谷を「非常に足が速いので出さないようにと思っている」と挙げた。総盗塁24個の機動力は、投手と捕手にとって無視できない負担になる。
多田監督が名前を出したのは享栄の1番・藤井と3番・森迫。藤井は愛知大会で打率.444、4盗塁を記録した左打者で、決勝でも適時二塁打を放っている。今大会から夏の選手権でも指名打者制が導入されており、二刀流の坂本をどう起用するかも含めて、打順の組み方に両ベンチの狙いが表れそうだ。
この試合の勝者は3回戦第3試合に進み、同じ第7日第4試合で対戦する松商学園(長野) - 三重(三重)の勝者と当たる。3回戦は第11日・第12日に組まれている。
なお「バーチャル高校野球」では、開会式と開幕試合から決勝までの全48試合を無料ライブ配信する。