18年ぶりの白星から中4日の鳴門渦潮、2大会続けて初戦を突破した霞ケ浦 夏の甲子園 第10日の見どころ

第108回全国高校野球選手権大会は8月14日、阪神甲子園球場で第10日を迎える。
16時から2回戦第2試合として鳴門渦潮(徳島) - 霞ケ浦(茨城)が行われる。

1点を10回まで守り抜いてサヨナラ勝ちした鳴門渦潮と、中盤の3イニングで5点を奪って押し切った霞ケ浦。ともに8月9日の第5日に初戦を戦い、中4日で再び同じ舞台に立つ。同じ日程を過ごしながら、投手の使い方だけが正反対だった両校が、ここでぶつかる。
試合を前に、両校の戦いぶりを振り返る。

◆鳴門渦潮(徳島)― 二邪飛の1点を、10回2死まで守り切った

大会成績
1回戦(8月9日・第3試合) 鳴門渦潮 2-1 八王子実践※延長10回タイブレーク

【大会通算】1戦1勝 2得点・1失点

先制点は犠飛、決勝打は2年生の初安打

相手は西東京大会を制した春夏通じて初出場の八王子実践。試合は序盤に動いた1点が、そのまま8イニング動かなかった。


2回、5番・西岡大誠(3年)が中堅へ二塁打を放って出塁し、内野ゴロで三塁へ進む。1死三塁から7番・荒井健太郎(3年)が二塁側へのファウルフライを打ち上げ、これが犠飛となって1点。鳴門渦潮の得点はここから9回まで動かなかった。

9回、八王子実践が2死一、二塁から代打・金子侑樹(3年)の右前打で追いつく。その裏、鳴門渦潮は先頭打者の一塁ゴロがいったんセーフと判定されながらビデオ検証でアウトに覆り、続く打者の左翼への大飛球も好捕されて勝ち越しを逃した。試合は今大会初のタイブレークへ。10回裏2死二、三塁、2番・山本飛佑雅(2年)が左前へサヨナラ打を放った。この夏、阪神甲子園球場での初安打がそのまま決勝打になった。
統合前の鳴門工時代だった2008年以来、18年ぶりの初戦突破だった。

西村大輝、10回128球を1人で

先発したのは「3番・投手」の西村大輝(3年)。10回を投げて38人と対し、5安打5奪三振4四球1失点、球数は128球だった。8回までに許した安打は3本で、100球未満の完封も見えていた内容だ。

鳴門渦潮は今大会の49代表校で唯一、地方大会で一度もDH制を使わずに優勝した学校で、阪神甲子園球場でもDHを採用していない。西村は徳島大会5試合すべてに先発し、準決勝まで4試合連続完投。決勝の阿南光戦は6回2失点で降板したあと左翼へ回り、8回から再び登板して締めた。徳島大会の投球回44イニングは49代表校の投手で最多、打者としても打率.368を残している。

森恭仁監督が「最後までエースとして立っとってほしい」と託した通りの初戦だった。

◆霞ケ浦(茨城)― 失策の1点を追い、5回と6回で試合を決めた

大会成績
1回戦(8月9日・第4試合) 霞ケ浦 6-3 中京

【大会通算】1戦1勝 6得点・3失点

7安打で6点、9番打者が3安打

相手は岐阜大会を勝ち上がった中京。初回、遊撃手の後逸が絡んで先制を許す苦しい入りだったが、そこから淡々と押し返した。

3回、1死三塁から9番・相田歩希(2年)の中前打で同点。5回は2死一、三塁から2番で主将の村上聖(3年)が左翼へ2点適時二塁打を放って勝ち越す。6回にも2死一、二塁から8番・野口空真(3年)、相田が連続適時打を放って2点を追加し、7回には代打・小磯陽希(1年)の遊撃ゴロの間にもう1点。安打数は7本で中京の8本を下回ったが、走者を置いた場面での一本が続いた。相田は4打数3安打2打点。
1年生の加藤龍と秋山桜介が先発に名を連ねる打線でもある。

小林が108球、エース稲山は48球

先発は左腕の小林将大(3年)。最速135キロながら、ゆったりとした腕の振りで中京打線のタイミングを外し、6回1/3を108球、5安打7奪三振4四球3失点(自責2)でつないだ。
7回途中、1点差に迫られた場面でエースの稲山幸汰(3年)へスイッチ。稲山は2回2/3を48球、3安打無失点で締めた。

最速148キロの稲山を「後ろ」に置き、球速の違う左腕を先に立てるこの形は、茨城大会でも使ってきたものだ。決勝の常総学院戦(9-7)でも先発は小林で、3回に稲山が引き継いでいる。
2年ぶり4回目の夏の甲子園出場で、高橋祐二監督のもと2大会続けての初戦突破となった。


18年ぶりの白星から中4日の鳴門渦潮、2大会続けて初戦を突破した霞ケ浦 夏の甲子園 第10日の見どころ

同じ中4日でも、抱えている数字はまるで違う。西村は初戦だけで128球を1人で背負った。1人1週間500球以内という制限に照らせば、8月14日時点で使ったのは128球のみで余裕はあるが、10回を投げ切った体の疲労は別問題になる。
対する霞ケ浦は、初戦の156球を2人で分けた。とりわけエースの稲山は48球しか使っておらず、この試合では先発から使うことも、また後ろに置くこともできる。勝ち方の質も対照的だ。
鳴門渦潮は1点を10回2死まで守り、追いつかれてもタイブレークで取り返した。徳島大会でも準々決勝の鳴門戦をサヨナラ、準決勝の生光学園戦を3点差からの逆転で勝っており、終盤に崩れない。

一方の霞ケ浦は、先制を許してから中盤の3イニングで5点を積む形。走者を出してからの一本が続いている状態で、打線が振れていることのほうが強みになる。

2回戦の見どころ

西村を「先発完投」で使えるか。鳴門渦潮のベンチが最初に決めるのはここだろう。西村は徳島大会で準決勝まで4試合連続完投し、初戦でも10回を投げている。ただし決勝では6回で降板して左翼に回り、8回から再登板するという使い方もしている。
この日、序盤から西村で行くのか、球数を抑える組み立てを選ぶのか。DHを使わないチームなので、西村を降ろせばそのまま打線の3番も動くことになる。
ここが最も見応えのある論点になる。

霞ケ浦が稲山をどこで出すか。48球しか投げていないエースを、先発に回すのか、初戦と同じく後ろに置くのか。最速148キロの稲山と最速135キロの小林では球速帯が20キロ以上違う。小林自身が「自分が変わった時に稲山が対応しにくいような投球ができる」と語っている通り、この落差そのものが霞ケ浦の武器だ。1点を大事にする鳴門渦潮打線に対して、どちらを先に見せるかで試合の入り方が変わる。

DH制の使い方の差。 今大会から夏の選手権でもDH制が導入された。霞ケ浦は初戦で8番に指名打者(野口)を置き、鳴門渦潮は投手の西村が3番に入った。同じルールの下で、真逆の設計思想を持つチーム同士の対戦になる。

この試合の勝者は、8月16日(第12日)の3回戦第4試合に進む。相手は同じ第10日の第3試合、日南学園(宮崎) - 横浜(神奈川)の勝者だ。

なお「バーチャル高校野球」では、開会式と開幕試合から決勝までの全48試合を無料ライブ配信する。

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