【夏の甲子園】3回戦・高川学園 - 天理 両校のこれまでの勝ち上がりを振り返る

第108回全国高校野球選手権大会は8月15日、阪神甲子園球場で第11日を迎える。
午前8時から3回戦第1試合として高川学園(山口) - 天理(奈良)が行われる。

ともに2回戦から登場し、8月10日にそろって7点を奪って初戦を突破した2校の対戦だ。しかも勝ち方の中身は対照的で、高川学園は相手の6失策を突いて加点を重ね、天理はエースが13三振を奪ってねじ伏せた。両校とも初戦は3年生エースの1人完投。中4日で迎える再登板が、この試合の最大の焦点になる。試合を前に、両校の戦いぶりを振り返る。

◆高川学園(山口)― 相手の6失策を突き、木下瑛二が105球で完投

大会成績
2回戦(8月10日・第3試合) 高川学園 7-1 高岡商

犠飛と敵失で挙げた2点が、そのまま試合を決めた

相手の高岡商は4年ぶり23度目の出場。
打線に1年生3人が並ぶ若いチームで、7年ぶりの夏の白星を狙っていた。

試合を決めたのは2回だった。5番・吉田唯人(2年)が振り逃げで出塁し、送りバントと河内山潤(3年)の右前打、横山恵大(2年)の死球で1死満塁。ここで9番・田中良典(2年)が左翼へ犠飛を放って先制し、続く開原荘太(2年)の打球を二塁手が処理できず2点目が入った。5回は吉田、6回は開原の適時打で加点。9回にも1死から三沢弦汰(3年)と衛藤諒大(3年)が連打で走者をため、相手の失策と河内山のセーフティースクイズを絡めて3点を上乗せした。

打線は毎回の12安打に4盗塁と、走ってかき回した。守っては無失策。
今春の選抜大会では守備の乱れから英明に3-5で敗れており、そこからの立て直しがそのまま結果に出た形だ。

エースは105球、二刀流で6番も務める

先発の木下瑛二(3年)は9回を105球で投げ切り、5安打8奪三振2四球1失点。最速146キロを誇る右腕で、2025年夏、2026年春に続く3季連続の出場となるが、聖地での完投はこれが初めてだった。

高川学園は今大会からのDH制を使わず、木下を6番打者としてスタメンに置いている。控えには松笠陽平(3年)、宮崎隆成(3年)ら。山口大会決勝でも木下が3回途中で降板したあと宮崎がつなぎ、最後に木下が再びマウンドに戻る継投で下関国際を5-3で振り切っており、複数投手を動かす引き出しはある。

◆天理(奈良)― 長尾亮大が131球13奪三振、4年ぶりの初戦突破
大会成績
2回戦(8月10日・第4試合) 天理 7-2 福山

主将の一発で口火を切り、6回に4点

相手の福山は広島県代表で今大会が初出場の公立校。7回まで3安打に封じられた。


先制したのは4回。主将で4番の金本相有(3年)が左翼スタンドへソロ本塁打を運んだ。試合が動いたのは6回で、大塚弘登(3年)の2点中前打に山中喜晴(3年)、永井仁之丞(2年)の適時打が続いて一挙4点。7回に前田奨太(3年)、9回に小沢典弘(2年)が適時打を放ち、突き放した。12安打に犠打5と、送って返す形が徹底されていた。8回に福山の岩本大輝(2年)へ2点二塁打を浴びたのが唯一の失点だ。

この勝利で天理は夏の甲子園通算50勝に到達し、史上4校目となった。昨夏は初戦で敗れており、初戦突破は4年ぶりとなる。


8回まで毎回奪三振、131球の完投

エース右腕・長尾亮大(3年)は9回を131球、7安打13奪三振1四球2死球2失点。8回まで毎回三振を奪う内容で、変化球の切れが目立った。奈良大会でも5試合でチーム2失点、長尾は決勝で5安打完封と、藤原忠理監督が掲げる「守り勝つ野球」を体現している。

天理はDH制を採用しており、長尾は打席に立たない。控えには左のサイドハンド・橋本桜佑(3年)、左腕・新井幾大(3年)が控える。

【夏の甲子園】3回戦・高川学園 - 天理 両校のこれまでの勝ち上がりを振り返る

初戦の日付も球数の桁も近い。差は26球で、どちらも中4日。1週間500球の制限が起用の枷になる局面ではなく、両監督とも「エースで行く」という判断を素直に下せる状況にある。
むしろ効いてくるのは登板間隔よりも、前回どれだけ楽に投げられたかだろう。木下は105球で9回、長尾は131球で9回。1イニングあたりの負担はわずかに木下が軽い。

勝ち方の質も対照的だ。高川学園は相手のミスを確実に加点につなげ、走塁で揺さぶって12安打を7点に変えた。天理は12安打・犠打5と手堅く積み上げつつ、投手が三振で試合を締めた。相手の失策に頼らずに点が取れるか、という問いが高川学園に、13奪三振の再現性という問いが天理に、それぞれ向けられている。

3回戦の見どころ

最大の注目は、両エースが再び先発した場合の投げ合いだ。
木下は最速146キロの直球で押すタイプ、長尾は緩急と変化球で三振を取るタイプ。球種の性質が違うため、序盤にどちらの投球リズムで試合が進むかで、点の入り方が大きく変わる。高川学園の打線は左打者が多く、天理の左腕・橋本の起用タイミングも読みどころになる。

DH制の使い方の違いも試合展開に効く。天理はDHを置いて長尾を投球に専念させ、高川学園は木下を6番に置く。終盤に高川学園が代打策を採れば木下の降板も選択肢になるが、その1点で継投の判断が縛られる可能性もある。今大会から導入された制度の差が、そのまま采配の差として表れる一戦だ。

昨夏との対比も興味深い。
高川学園は昨夏、この3回戦まで勝ち進んだ。天理は昨夏の初戦で敗れている。同じステージで、片方は昨年の到達点を超えられるかを、もう片方は勢いをどこまで伸ばせるかを問われる。

勝った側は8月17日の休養日を挟んで、18日の準々決勝に進む。準々決勝の組み合わせは3回戦の全試合終了後、勝利校の主将による抽選で決まる。

なお「バーチャル高校野球」では、開会式と開幕試合から決勝までの全48試合を無料ライブ配信する。

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