打って勝った敦賀気比、守って勝った智辯和歌山 夏の甲子園3回戦 第11日の見どころ
第108回全国高校野球選手権大会は8月15日、阪神甲子園球場で第11日を迎える。午前10時30分から3回戦第2試合として敦賀気比(福井) - 智辯和歌山(和歌山)が行われる。
両校とも2回戦から登場し、8月11日の第7日に初戦を戦った。敦賀気比は横手(秋田)を10-0、智辯和歌山は社(兵庫)を2-1。勝ち方は正反対だが、投手の使い方には共通点がある。どちらも先発を6回前後で切り上げ、70球前後で降ろした。中3日を挟んだこの一戦、両校が次に誰をマウンドへ送るのかが最大の焦点になる。試合を前に、両校の戦いぶりを振り返る。
◆敦賀気比(福井)― 2年生左腕が68球で5回無失点、13安打10得点
大会成績
2回戦(8月11日・第1試合) 敦賀気比 10-0 横手
【大会通算】1戦1勝 10得点・0失点
3回に一挙5点、序盤で試合を決めた
相手の横手は57年ぶり2度目の出場。右腕エース・佐藤宙斗(3年)が秋田大会5試合39回を投げて5失点、うち4試合を完投という圧倒的な数字を引っ提げての初戦だった。
その佐藤を、敦賀気比は初回からつかまえる。四球と辻琉成(2年)の一塁強襲内野安打で2死一、三塁とすると、5番・後藤駿平(3年)が中前へ弾き返して先制。
試合を決めたのは3回だった。1死二、三塁から辻琉が左前へ運んで2点目、続く後藤の内野ゴロの間に3点目。ここに横手の3失策が絡み、この回だけで一挙5点を奪った。4回にも辻琉の中越え適時二塁打、5回には佐藤功亮(3年)の適時二塁打で9-0とし、8回の後藤の適時打で二桁に乗せた。
辻琉成は68球、エースナンバーの鶴田啓人は1イニング強
注目は起用法だ。先発は背番号8の2年生左腕・辻琉。福井大会決勝で136球を投げ切って完投した二刀流が、「4番・投手」でマウンドに立った。140キロ前後の直球にスライダーとスローカーブを交ぜ、5回2安打無失点、5奪三振。球数は68球で、9点リードの5回を投げ終えたところで降板し、そのまま中堅へ回ってフル出場した。
6回からはエースナンバーを背負う左腕・鶴田啓人(3年)が登板したが、7回途中で辻勇紗生(2年)に交代。
◆智辯和歌山(和歌山)― 2点を9イニング守り切り、5年ぶりの初戦突破
大会成績
2回戦(8月11日・第2試合) 智辯和歌山 2-1 社
【大会通算】1戦1勝 2得点・1失点
序盤に奪った2点がそのまま決勝点になった
相手の社は最速151キロの右腕・岩井秀耶(3年)を擁し、兵庫大会7試合で3失点という守備のチームだった。案の定、点は簡単に入らない。
智辯和歌山は2回、先頭の5番・楠本龍生(3年)が右翼フェンス直撃の三塁打で無死三塁とし、主将で6番の松本虎太郎(3年)の二ゴロの間に生還して先制。
守りでは、7回の1死三塁が最大の山だった。無死一塁から4番・小倉臣斗の中越え適時二塁打で1点差に迫られ、なおも同点機。ここで社がヒットエンドランを仕掛けると、智辯和歌山はこれを外して三塁走者を挟殺した。内外野が無失策、走塁のミスを一つも見逃さない守りで、2-1を守り切っている。
和気匠太は6回73球、長井心海が残り3回
先発は背番号1の右腕・和気匠太(3年)。5回まで社の安打をセーフティーバントの内野安打1本に抑え、6回を2安打無失点、6奪三振、1死球。
この継投の順序は、和歌山大会とは逆になっている点が興味深い。地方大会では長井が試合をつくり、久葉亮太(3年)が締めるのが勝ちパターンで、和気は3試合の先発で計14回1/3を6失点。それが初戦では和気が先発して6回を無失点に封じた。中谷仁監督の手元には、和気・長井・久葉の3枚が残っている。
3年連続29回目の出場で、夏の初戦突破は優勝した2021年以来5年ぶりだった。
1週間500球という投球数制限を意識する必要は、この試合の時点では両校ともほぼない。
勝ち方の質は対照的だ。敦賀気比は13安打で二桁得点、相手の3失策も味方につけての完勝。ただし、序盤で大量リードを得たぶん、競った終盤を経験していない。智辯和歌山は逆に、150キロ超の速球に苦しみながら2点を守り切り、7回の同点機を守備で断ち切った。打線が振れている状態と、1点差を締める経験。どちらが効くかは、この試合が何点差のゲームになるかで変わる。
3回戦の見どころ
最大の論点は先発投手だ。敦賀気比は初戦で辻琉が68球しか投げておらず、中3日なら再登板は十分に可能。一方でエース左腕・鶴田啓人は1イニング強しか投げておらず、こちらも万全の状態にある。左腕2枚のどちらを先に出すかで、智辯和歌山の打線の組み方も変わってくる。
智辯和歌山も同様に、和気を再び先発させるのか、和歌山大会の主戦だった長井に戻すのかという選択がある。
両校とも「余力を残して勝った」がゆえに、選択肢が多い。
もう一つはDH制の使い方である。今大会から夏の選手権でもDH制が導入されたが、初戦で両校の対応は分かれた。
智辯和歌山は松本を6番の指名打者に置き、投手を打線から外す形をとった。
対する敦賀気比はDHを使わず、辻琉を「4番・投手」で起用し、降板後は中堅へ回して打席に立たせ続けた。辻琉が先発するならこの形が再現される可能性が高く、二刀流を軸に据えたぶん、継投のタイミングが守備の再編とセットになる。ここは終盤の采配に直結する。
日程面では、勝った側に8月18日の準々決勝が待つ。8月16日の3回戦2日目の翌17日が休養日にあたるため、中2日が確保される。なお準々決勝の組み合わせは、大会公式のトーナメント表でも3回戦の欄までしか埋まっていない。
なお「バーチャル高校野球」では、開会式と開幕試合から決勝までの全48試合を無料ライブ配信する。
両校とも2回戦から登場し、8月11日の第7日に初戦を戦った。敦賀気比は横手(秋田)を10-0、智辯和歌山は社(兵庫)を2-1。勝ち方は正反対だが、投手の使い方には共通点がある。どちらも先発を6回前後で切り上げ、70球前後で降ろした。中3日を挟んだこの一戦、両校が次に誰をマウンドへ送るのかが最大の焦点になる。試合を前に、両校の戦いぶりを振り返る。
◆敦賀気比(福井)― 2年生左腕が68球で5回無失点、13安打10得点
大会成績
2回戦(8月11日・第1試合) 敦賀気比 10-0 横手
【大会通算】1戦1勝 10得点・0失点
3回に一挙5点、序盤で試合を決めた
相手の横手は57年ぶり2度目の出場。右腕エース・佐藤宙斗(3年)が秋田大会5試合39回を投げて5失点、うち4試合を完投という圧倒的な数字を引っ提げての初戦だった。
その佐藤を、敦賀気比は初回からつかまえる。四球と辻琉成(2年)の一塁強襲内野安打で2死一、三塁とすると、5番・後藤駿平(3年)が中前へ弾き返して先制。
試合を決めたのは3回だった。1死二、三塁から辻琉が左前へ運んで2点目、続く後藤の内野ゴロの間に3点目。ここに横手の3失策が絡み、この回だけで一挙5点を奪った。4回にも辻琉の中越え適時二塁打、5回には佐藤功亮(3年)の適時二塁打で9-0とし、8回の後藤の適時打で二桁に乗せた。
チーム13安打。辻琉は4打数3安打2打点と、4番としても中軸の仕事を果たしている。
辻琉成は68球、エースナンバーの鶴田啓人は1イニング強
注目は起用法だ。先発は背番号8の2年生左腕・辻琉。福井大会決勝で136球を投げ切って完投した二刀流が、「4番・投手」でマウンドに立った。140キロ前後の直球にスライダーとスローカーブを交ぜ、5回2安打無失点、5奪三振。球数は68球で、9点リードの5回を投げ終えたところで降板し、そのまま中堅へ回ってフル出場した。
6回からはエースナンバーを背負う左腕・鶴田啓人(3年)が登板したが、7回途中で辻勇紗生(2年)に交代。
9回は佐々木晴正(2年)が締めた。鶴田は福井大会の準決勝までの3試合に先発して計11回2失点という主戦格でありながら、初戦での登板は1イニング強にとどまっている。4投手による完封リレーは、2試合目以降を見据えた温存の色が濃い。監督は東哲平、主将は長谷川陽竜(3年)。夏の初戦突破は2022年以来4年ぶりだった。
◆智辯和歌山(和歌山)― 2点を9イニング守り切り、5年ぶりの初戦突破
大会成績
2回戦(8月11日・第2試合) 智辯和歌山 2-1 社
【大会通算】1戦1勝 2得点・1失点
序盤に奪った2点がそのまま決勝点になった
相手の社は最速151キロの右腕・岩井秀耶(3年)を擁し、兵庫大会7試合で3失点という守備のチームだった。案の定、点は簡単に入らない。
智辯和歌山は2回、先頭の5番・楠本龍生(3年)が右翼フェンス直撃の三塁打で無死三塁とし、主将で6番の松本虎太郎(3年)の二ゴロの間に生還して先制。
3回にも先頭の1番・長友悠成(2年)が右翼線へ二塁打を放ち、1死三塁から3番・井本陽太(2年)の中犠飛で2点目を奪った。取れたのはこの2点だけで、岩井には9回2失点で投げ切られている。
守りでは、7回の1死三塁が最大の山だった。無死一塁から4番・小倉臣斗の中越え適時二塁打で1点差に迫られ、なおも同点機。ここで社がヒットエンドランを仕掛けると、智辯和歌山はこれを外して三塁走者を挟殺した。内外野が無失策、走塁のミスを一つも見逃さない守りで、2-1を守り切っている。
和気匠太は6回73球、長井心海が残り3回
先発は背番号1の右腕・和気匠太(3年)。5回まで社の安打をセーフティーバントの内野安打1本に抑え、6回を2安打無失点、6奪三振、1死球。
球数は73球だった。7回からは背番号18の2年生右腕・長井心海が引き継ぎ、3回1失点でまとめている。
この継投の順序は、和歌山大会とは逆になっている点が興味深い。地方大会では長井が試合をつくり、久葉亮太(3年)が締めるのが勝ちパターンで、和気は3試合の先発で計14回1/3を6失点。それが初戦では和気が先発して6回を無失点に封じた。中谷仁監督の手元には、和気・長井・久葉の3枚が残っている。
3年連続29回目の出場で、夏の初戦突破は優勝した2021年以来5年ぶりだった。
1週間500球という投球数制限を意識する必要は、この試合の時点では両校ともほぼない。
初戦の先発が68球と73球、いずれも100球に届いていないためだ。制約になるのは球数ではなく、どの投手を先に使うかという判断のほうである。
勝ち方の質は対照的だ。敦賀気比は13安打で二桁得点、相手の3失策も味方につけての完勝。ただし、序盤で大量リードを得たぶん、競った終盤を経験していない。智辯和歌山は逆に、150キロ超の速球に苦しみながら2点を守り切り、7回の同点機を守備で断ち切った。打線が振れている状態と、1点差を締める経験。どちらが効くかは、この試合が何点差のゲームになるかで変わる。
3回戦の見どころ
最大の論点は先発投手だ。敦賀気比は初戦で辻琉が68球しか投げておらず、中3日なら再登板は十分に可能。一方でエース左腕・鶴田啓人は1イニング強しか投げておらず、こちらも万全の状態にある。左腕2枚のどちらを先に出すかで、智辯和歌山の打線の組み方も変わってくる。
智辯和歌山も同様に、和気を再び先発させるのか、和歌山大会の主戦だった長井に戻すのかという選択がある。
両校とも「余力を残して勝った」がゆえに、選択肢が多い。
もう一つはDH制の使い方である。今大会から夏の選手権でもDH制が導入されたが、初戦で両校の対応は分かれた。
智辯和歌山は松本を6番の指名打者に置き、投手を打線から外す形をとった。
対する敦賀気比はDHを使わず、辻琉を「4番・投手」で起用し、降板後は中堅へ回して打席に立たせ続けた。辻琉が先発するならこの形が再現される可能性が高く、二刀流を軸に据えたぶん、継投のタイミングが守備の再編とセットになる。ここは終盤の采配に直結する。
日程面では、勝った側に8月18日の準々決勝が待つ。8月16日の3回戦2日目の翌17日が休養日にあたるため、中2日が確保される。なお準々決勝の組み合わせは、大会公式のトーナメント表でも3回戦の欄までしか埋まっていない。
なお「バーチャル高校野球」では、開会式と開幕試合から決勝までの全48試合を無料ライブ配信する。