【夏の甲子園】3回戦・拓大紅陵 - 仙台育英 両校のこれまでの勝ち上がりを振り返る
第108回全国高校野球選手権大会は8月15日、阪神甲子園球場で第11日を迎える。
15時30分から3回戦第4試合として拓大紅陵(千葉) - 仙台育英(宮城)が行われる。
両校とも8月12日に1-0で勝ち上がってきた。24年ぶりの出場で34年ぶりの白星をつかんだ拓大紅陵と、2年連続32回目の出場で選手権通算50勝に到達した仙台育英。日程も同じ中2日だが、投手の使い方はまるで違う。拓大紅陵はエース左腕をまだ一度も投げさせておらず、仙台育英は2年生右腕がすでに218球を投げている。
試合を前に、両校の戦いぶりを振り返る。
◆拓大紅陵(千葉)― エース二宮を使わずに完封、34年ぶりの夏1勝
大会成績
2回戦(8月12日・第1試合) 拓大紅陵 1-0 佐賀商
【大会通算】1戦1勝 1得点・0失点
4回1死一、二塁、阪本幹太の左越え二塁打がすべてだった
相手の佐賀商は29年ぶりの出場。
拓大紅陵は1回と3回にも走者を得点圏に進めながら決めきれず、動いたのは4回だった。先頭の4番・片岡拓月(3年)が中前へ運び、1死後に主将の加治征樹(3年)が三塁への内野安打で1死一、二塁。ここで7番・阪本幹太(3年)が左越えへ適時二塁打を放ち、待望の先制点を挙げた。二塁走者に続いて一塁走者も本塁を狙ったが、佐賀商の中継プレーに阻まれて2点目はならず。試合はこの1点だけで動かなくなった。
投げては先発の左腕・宮澤和聖(3年)が7回を91球、被安打3・8奪三振・無四球で無失点。8回からは遊撃手を務める山邊颯(3年)がマウンドに上がり、2回35球を被安打1で締めた。
エース二宮樂は大会未登板、球数を丸ごと残している
最大の論点はここにある。背番号1の左腕・二宮樂(3年)は、千葉大会でエースとして先発を担ってきたが、佐賀商戦ではベンチを出ていない。拓大紅陵は千葉大会7試合をすべて継投で勝ち上がっており、二宮と、昨秋までエースだった宮澤の両左腕に山邊を絡める形が基本になる。
球数の残りにも余裕がある。1人1週間500球の制限に対し、宮澤が91球、山邊が35球、二宮は0球。3回戦の先発が誰であっても、後ろに投手を2枚残して試合に入れる。
なお千葉大会は7試合を戦って全勝。1試合平均5.4得点・1.0失点で、7試合すべて相手を2点以下に抑えた。決勝は0-1で迎えた9回に4番・片岡拓月の逆転3ランが飛び出し、専大松戸を3-1で振り切っている。坂巻展行監督のもと、22犠打を記録した小技と、終盤の一発の両方を持つチームである。
◆仙台育英(宮城)― 2試合連続の1点差、古川諒弥が2試合で218球
大会成績
1回戦(8月5日・第1試合) 仙台育英 3-1 札幌日大
2回戦(8月12日・第2試合) 仙台育英 1-0 花咲徳栄
【大会通算】2戦2勝 4得点・1失点(1試合平均2.0得点・0.5失点)
開幕試合は田山纏の大会第1号で主導権
大会初日の開幕試合。3回2死から1番・小久保颯弥(2年)の二塁打と2番・斎藤駿多(2年)の中前適時打で先制すると、4回には4番・田山纏(3年)が右翼へ今大会第1号となるソロ本塁打を放った。6回に押し出し死球で1点を返されたが、8回に斎藤の四球と丹羽裕聖(1年)の送りバントで進めた走者を、5番・高岡龍一(2年)の左前適時打で還して突き放した。
投手は2年生右腕・古川諒弥が先発して5回2/3を99球、被安打2・7奪三振・1失点。
花咲徳栄戦は119球の完封、6回の1点を守り切る
2回戦の相手は春の選抜大会8強の花咲徳栄。エース・黒川凌大(3年)が8回135球を投げ、仙台育英は8安打を放ちながら1点しか奪えなかった。
均衡が破れたのは6回。先頭の斎藤が二塁への打球を相手の失策で出塁し、丹羽の中前打で無死一、二塁。続く田山が左前へ適時打を運び、これが決勝点になった。
古川は今度は最後まで投げ切った。9回を119球、被安打5・4奪三振・2四球で完封。
エースの梶井は7日間の球数がリセットされる
古川の大会通算は14回1/3・218球。ただし1週間500球制限で見るとき、8月5日の99球は3回戦の時点で7日間の枠から外れる。8月15日に残っているのは花咲徳栄戦の119球ぶんで、なお380球ほどの余裕がある。中2日での再登板に、制度上の制約はほぼない。
背番号1の梶井も同様に、開幕試合の60球は枠外になる。倉田葵生主将(3年)を中心に3年生と下級生が入り交じる布陣で、継投の選択肢は広い。
同じ中2日でも、蓄積した疲労はまるで違う。拓大紅陵は91球を投げた宮澤に加え、35球の山邊と未登板の二宮が控える。仙台育英は古川が2試合で218球を投げており、球数制限には引っかからないものの、身体への負担は拓大紅陵のどの投手よりも重い。逆に言えば、仙台育英には古川という「完封できる形」がすでに見えているのに対し、拓大紅陵は3回戦の先発が読みにくい。
勝ち方の質も対照的だ。仙台育英は開幕試合と2回戦で2試合とも1点差の競り合いを経験し、しかも失点は大会通じて1。拓大紅陵は初戦で東條という好投手を相手に、1点をもぎ取って守り切った。どちらも打線が振れているとは言いがたく、先に1点を取ったほうが有利に進む展開になりやすい。
3回戦の見どころ
拓大紅陵は誰が先発するか。 千葉大会のエース・二宮を初戦で使わなかった意味が、この試合で問われる。左腕2枚を並べる継投か、二宮の先発で長いイニングを任せるか。
仙台育英打線は2試合で13安打を放ちながら4得点と、走者を還す場面で苦しんでいる。継投で的を絞らせない拓大紅陵の形は、この打線に対して有効に働く可能性がある。
古川が連投気味の登板でどこまで持つか。 119球の完封から中2日。球数制限に余裕はあっても、疲労が残る中で立ち上がりをどう乗り切るかは別の問題だ。拓大紅陵は1試合平均5.4得点だった千葉大会と比べ、初戦は7安打1得点。序盤に走者をためて古川に球数を投げさせる展開に持ち込めるかが鍵になる。
DH制の使い方の差も出る。 今大会から導入されたDH制を、仙台育英は初戦から採用し、小久保を1番指名打者に置いている。一方の拓大紅陵はDHを使わず、投手の宮澤を2番、遊撃と投手を兼ねる山邊を8番に据えた。継投を前提とする拓大紅陵にとって、投手交代と打順のやりくりは終盤の采配に直結する。
この試合の勝者は、8月16日の3回戦2日目を経て、8月17日の休養日を挟んだ8月18日の準々決勝に進む。なお「バーチャル高校野球」では、開会式と開幕試合から決勝までの全48試合を無料ライブ配信する。
15時30分から3回戦第4試合として拓大紅陵(千葉) - 仙台育英(宮城)が行われる。
両校とも8月12日に1-0で勝ち上がってきた。24年ぶりの出場で34年ぶりの白星をつかんだ拓大紅陵と、2年連続32回目の出場で選手権通算50勝に到達した仙台育英。日程も同じ中2日だが、投手の使い方はまるで違う。拓大紅陵はエース左腕をまだ一度も投げさせておらず、仙台育英は2年生右腕がすでに218球を投げている。
試合を前に、両校の戦いぶりを振り返る。
◆拓大紅陵(千葉)― エース二宮を使わずに完封、34年ぶりの夏1勝
大会成績
2回戦(8月12日・第1試合) 拓大紅陵 1-0 佐賀商
【大会通算】1戦1勝 1得点・0失点
4回1死一、二塁、阪本幹太の左越え二塁打がすべてだった
相手の佐賀商は29年ぶりの出場。
エース右腕・東條陽大(3年)が9回を133球で投げ切り、被安打7・1失点にまとめた好投手だった。
拓大紅陵は1回と3回にも走者を得点圏に進めながら決めきれず、動いたのは4回だった。先頭の4番・片岡拓月(3年)が中前へ運び、1死後に主将の加治征樹(3年)が三塁への内野安打で1死一、二塁。ここで7番・阪本幹太(3年)が左越えへ適時二塁打を放ち、待望の先制点を挙げた。二塁走者に続いて一塁走者も本塁を狙ったが、佐賀商の中継プレーに阻まれて2点目はならず。試合はこの1点だけで動かなくなった。
投げては先発の左腕・宮澤和聖(3年)が7回を91球、被安打3・8奪三振・無四球で無失点。8回からは遊撃手を務める山邊颯(3年)がマウンドに上がり、2回35球を被安打1で締めた。
佐賀商打線は8三振を喫し、最後まで得点圏に走者を進める形をつくれなかった。夏の阪神甲子園球場での勝利は、準優勝した1992年の第74回大会以来34年ぶりとなる。
エース二宮樂は大会未登板、球数を丸ごと残している
最大の論点はここにある。背番号1の左腕・二宮樂(3年)は、千葉大会でエースとして先発を担ってきたが、佐賀商戦ではベンチを出ていない。拓大紅陵は千葉大会7試合をすべて継投で勝ち上がっており、二宮と、昨秋までエースだった宮澤の両左腕に山邊を絡める形が基本になる。
球数の残りにも余裕がある。1人1週間500球の制限に対し、宮澤が91球、山邊が35球、二宮は0球。3回戦の先発が誰であっても、後ろに投手を2枚残して試合に入れる。
なお千葉大会は7試合を戦って全勝。1試合平均5.4得点・1.0失点で、7試合すべて相手を2点以下に抑えた。決勝は0-1で迎えた9回に4番・片岡拓月の逆転3ランが飛び出し、専大松戸を3-1で振り切っている。坂巻展行監督のもと、22犠打を記録した小技と、終盤の一発の両方を持つチームである。
◆仙台育英(宮城)― 2試合連続の1点差、古川諒弥が2試合で218球
大会成績
1回戦(8月5日・第1試合) 仙台育英 3-1 札幌日大
2回戦(8月12日・第2試合) 仙台育英 1-0 花咲徳栄
【大会通算】2戦2勝 4得点・1失点(1試合平均2.0得点・0.5失点)
開幕試合は田山纏の大会第1号で主導権
大会初日の開幕試合。3回2死から1番・小久保颯弥(2年)の二塁打と2番・斎藤駿多(2年)の中前適時打で先制すると、4回には4番・田山纏(3年)が右翼へ今大会第1号となるソロ本塁打を放った。6回に押し出し死球で1点を返されたが、8回に斎藤の四球と丹羽裕聖(1年)の送りバントで進めた走者を、5番・高岡龍一(2年)の左前適時打で還して突き放した。
投手は2年生右腕・古川諒弥が先発して5回2/3を99球、被安打2・7奪三振・1失点。
福井勇翔(2年)を挟み、背番号1の梶井湊斗(3年)が3回を60球・無失点で締める3人継投だった。
花咲徳栄戦は119球の完封、6回の1点を守り切る
2回戦の相手は春の選抜大会8強の花咲徳栄。エース・黒川凌大(3年)が8回135球を投げ、仙台育英は8安打を放ちながら1点しか奪えなかった。
均衡が破れたのは6回。先頭の斎藤が二塁への打球を相手の失策で出塁し、丹羽の中前打で無死一、二塁。続く田山が左前へ適時打を運び、これが決勝点になった。
古川は今度は最後まで投げ切った。9回を119球、被安打5・4奪三振・2四球で完封。
須江航監督から「最後までいくぞ」と告げられての完投だった。この勝利で仙台育英は選手権通算50勝に到達し、今大会の天理に続く史上5校目となった。
エースの梶井は7日間の球数がリセットされる
古川の大会通算は14回1/3・218球。ただし1週間500球制限で見るとき、8月5日の99球は3回戦の時点で7日間の枠から外れる。8月15日に残っているのは花咲徳栄戦の119球ぶんで、なお380球ほどの余裕がある。中2日での再登板に、制度上の制約はほぼない。
背番号1の梶井も同様に、開幕試合の60球は枠外になる。倉田葵生主将(3年)を中心に3年生と下級生が入り交じる布陣で、継投の選択肢は広い。
同じ中2日でも、蓄積した疲労はまるで違う。拓大紅陵は91球を投げた宮澤に加え、35球の山邊と未登板の二宮が控える。仙台育英は古川が2試合で218球を投げており、球数制限には引っかからないものの、身体への負担は拓大紅陵のどの投手よりも重い。逆に言えば、仙台育英には古川という「完封できる形」がすでに見えているのに対し、拓大紅陵は3回戦の先発が読みにくい。
勝ち方の質も対照的だ。仙台育英は開幕試合と2回戦で2試合とも1点差の競り合いを経験し、しかも失点は大会通じて1。拓大紅陵は初戦で東條という好投手を相手に、1点をもぎ取って守り切った。どちらも打線が振れているとは言いがたく、先に1点を取ったほうが有利に進む展開になりやすい。
3回戦の見どころ
拓大紅陵は誰が先発するか。 千葉大会のエース・二宮を初戦で使わなかった意味が、この試合で問われる。左腕2枚を並べる継投か、二宮の先発で長いイニングを任せるか。
仙台育英打線は2試合で13安打を放ちながら4得点と、走者を還す場面で苦しんでいる。継投で的を絞らせない拓大紅陵の形は、この打線に対して有効に働く可能性がある。
古川が連投気味の登板でどこまで持つか。 119球の完封から中2日。球数制限に余裕はあっても、疲労が残る中で立ち上がりをどう乗り切るかは別の問題だ。拓大紅陵は1試合平均5.4得点だった千葉大会と比べ、初戦は7安打1得点。序盤に走者をためて古川に球数を投げさせる展開に持ち込めるかが鍵になる。
DH制の使い方の差も出る。 今大会から導入されたDH制を、仙台育英は初戦から採用し、小久保を1番指名打者に置いている。一方の拓大紅陵はDHを使わず、投手の宮澤を2番、遊撃と投手を兼ねる山邊を8番に据えた。継投を前提とする拓大紅陵にとって、投手交代と打順のやりくりは終盤の采配に直結する。
この試合の勝者は、8月16日の3回戦2日目を経て、8月17日の休養日を挟んだ8月18日の準々決勝に進む。なお「バーチャル高校野球」では、開会式と開幕試合から決勝までの全48試合を無料ライブ配信する。