【夏の甲子園】開幕弾、先頭打者弾、そして満塁弾 ── 第108回全国高校野球選手権大会 準々決勝までの本塁打振り返り
第108回全国高校野球選手権大会は8月18日の第13日で準々決勝の4試合を終え、4強が出そろった。開幕から13日間で阪神甲子園球場のスタンドに届いた打球は6本。決して多くはないその一発一発が、いずれも試合の流れを大きく動かしてきた。準決勝を前に、ここまでの6本を振り返る。
【第1号】仙台育英・田山纏 ── ナイターの開幕戦を切り裂いた
1回戦(8月5日・第1日) 仙台育英 3-1 札幌日大
大会第1号は、開幕試合でいきなり飛び出した。
暑さ対策で2年続けて夕方開始となった開幕試合。1-0で迎えた4回1死、仙台育英(宮城)の4番・田山纏外野手(3年)が第2打席に入った。札幌日大(南北海道)の投手・石川瑛二朗の3球目、甘く入ったスライダーをフルスイングすると、打球は大きな弧を描いて右翼席へ。
「観客がこんなに多い中で打てるとは。打った瞬間、確信できた」。今秋ドラフト候補に挙がる左のスラッガーは、高校通算25本目をこの舞台で放った。仙台育英はナイターを想定した夜間練習を仙台で3度実施しており、準備の成果でもあった。開幕試合での本塁打は2023年の土浦日大・松田陽斗以来、3年ぶりだった。
【第2号】東筑・平山護 ── 先頭打者アーチで球場がどよめく
1回戦(8月6日・第2日) 東筑 1-5 神村学園
翌6日の第1試合、九州対決の初球からスタンドが沸いた。
1回表、東筑(福岡)の1番・主将の平山護捕手(3年)が、神村学園(鹿児島)の先発・松永遥斗(2年)からカウント1-1の変化球を強振。
もっとも試合は3回に神村学園が森友樹(2年)の適時打などで逆転。東筑はこの1点しか奪えず、初戦突破はならなかった。この日の主将の一振りが、東筑にとって今大会唯一の得点となった。
【第3号】神村学園・田中翔大 ── 同じ試合で飛び出した3号
1回戦(8月6日・第2日) 東筑 1-5 神村学園
大会第3号は、その第2号と同じ試合から生まれた。1日に2本のアーチが出たのは、今大会でこの日だけである。
4-1と3点をリードした6回1死、神村学園の2番・田中翔大外野手(3年)が、この回から継投した東筑の2番手・加納迅(2年)の134キロ直球をフルスイング。
投げては5回途中から救援したエース・龍頭汰樹(3年)が東筑打線を封じ、神村学園が2年ぶりの初戦突破。ただし2回戦では佐野日大(栃木)に1-3で敗れ、田中のアーチが同校の今大会最後の輝きとなった。
【第4号】天理・金本相有 ── 0-0を破った先制ソロ
2回戦(8月10日・第6日) 天理 7-2 福山
第6日の第4試合、2回戦から登場した天理(奈良)と、初出場の福山(広島)の一戦。両校のエースが踏ん張り、スコアボードには「0」が並んでいた。
均衡を破ったのは4回、先頭の4番・金本相有内野手(3年)だった。打球は左翼スタンドへ。
【第5号】横浜・江坂佳史 ── 大会唯一の満塁弾
2回戦(8月14日・第10日) 横浜 10-1 日南学園
6本の中で、最も点差を動かした一発。
6-1で迎えた9回、横浜(神奈川)は2つの四球などで2死満塁とした。打席には5番・江坂佳史外野手(3年)。日南学園(宮崎)はここで投手を交代させたが、江坂は初球のスライダーを見送り、続く132キロの直球を捉えた。
この日の江坂は2回と4回にいずれも犠打を決めている。走者を送る役目を果たした5番打者が、最後は自ら4人を還した。横浜はこの勝利で春夏通じた通算70勝に到達している。
【第6号】天理・金本相有 ── 大会唯一の複数本塁打
準々決勝(8月18日・第13日) 天理 7-0 三重
そして準々決勝、隣県対決の第1試合で、今大会ここまでの最後の一発が生まれた。
0-0の2回、先頭で第1打席に立った天理の主将・金本がフルカウントから真ん中付近の直球を捉える。打球は左翼席へ飛び込み、またも先制点をチームにもたらした。
これが今大会2本目。6本のうち複数を放っているのは金本ただ一人である。2024年以降、春夏の大会で1大会に複数本塁打を放ったのは、2025年夏の日大三・田中諒に続いて2人目となった。
打った6人の内訳は3年生が6人。うち主将が平山・金本の2人と、チームを背負う立場の選手のバットから出ているのが今大会の特徴だ。
2024年以降の大会本塁打数は、2024年春が3本、同年夏が7本、2025年春が6本、同年夏が10本と推移している。今大会は準々決勝を終えて6本。残るは準決勝2試合と決勝の計3試合で、昨夏の10本に迫るかどうかは微妙なところだ。
4強に残ったアーチスト
6本を放った5人のうち、まだ阪神甲子園球場に立っているのは2人だけとなった。
田山の仙台育英は準々決勝で智弁和歌山(和歌山)に3-11で敗れ、平山の東筑、田中の神村学園も既に姿を消している。残るのは、天理・金本と横浜・江坂。しかも両校は準決勝の別の山にいる。
8月20日の準決勝は、第1試合が智弁和歌山 - 横浜、第2試合が天理 - 高崎健康福祉大高崎(群馬)。ここを勝ち上がれば、大会第5号と第6号の打ち手が22日の決勝で相まみえることになる。この夏、最後にスタンドへ届く打球は誰のバットから生まれるのか。
【第1号】仙台育英・田山纏 ── ナイターの開幕戦を切り裂いた
1回戦(8月5日・第1日) 仙台育英 3-1 札幌日大
大会第1号は、開幕試合でいきなり飛び出した。
暑さ対策で2年続けて夕方開始となった開幕試合。1-0で迎えた4回1死、仙台育英(宮城)の4番・田山纏外野手(3年)が第2打席に入った。札幌日大(南北海道)の投手・石川瑛二朗の3球目、甘く入ったスライダーをフルスイングすると、打球は大きな弧を描いて右翼席へ。
聖地に、今大会最初のアーチが刻まれた。
「観客がこんなに多い中で打てるとは。打った瞬間、確信できた」。今秋ドラフト候補に挙がる左のスラッガーは、高校通算25本目をこの舞台で放った。仙台育英はナイターを想定した夜間練習を仙台で3度実施しており、準備の成果でもあった。開幕試合での本塁打は2023年の土浦日大・松田陽斗以来、3年ぶりだった。
【第2号】東筑・平山護 ── 先頭打者アーチで球場がどよめく
1回戦(8月6日・第2日) 東筑 1-5 神村学園
翌6日の第1試合、九州対決の初球からスタンドが沸いた。
1回表、東筑(福岡)の1番・主将の平山護捕手(3年)が、神村学園(鹿児島)の先発・松永遥斗(2年)からカウント1-1の変化球を強振。
打球は一直線に左翼フェンスを越える先頭打者本塁打となり、試合開始直後の阪神甲子園球場をどよめかせた。大会第2号にして、いきなりの先制弾である。
もっとも試合は3回に神村学園が森友樹(2年)の適時打などで逆転。東筑はこの1点しか奪えず、初戦突破はならなかった。この日の主将の一振りが、東筑にとって今大会唯一の得点となった。
【第3号】神村学園・田中翔大 ── 同じ試合で飛び出した3号
1回戦(8月6日・第2日) 東筑 1-5 神村学園
大会第3号は、その第2号と同じ試合から生まれた。1日に2本のアーチが出たのは、今大会でこの日だけである。
4-1と3点をリードした6回1死、神村学園の2番・田中翔大外野手(3年)が、この回から継投した東筑の2番手・加納迅(2年)の134キロ直球をフルスイング。
打球はスタンドに吸い込まれ、リードは4点に広がった。「ゴジラ」のテーマ曲がアルプス席から鳴り響く中での一発だった。
投げては5回途中から救援したエース・龍頭汰樹(3年)が東筑打線を封じ、神村学園が2年ぶりの初戦突破。ただし2回戦では佐野日大(栃木)に1-3で敗れ、田中のアーチが同校の今大会最後の輝きとなった。
【第4号】天理・金本相有 ── 0-0を破った先制ソロ
2回戦(8月10日・第6日) 天理 7-2 福山
第6日の第4試合、2回戦から登場した天理(奈良)と、初出場の福山(広島)の一戦。両校のエースが踏ん張り、スコアボードには「0」が並んでいた。
均衡を破ったのは4回、先頭の4番・金本相有内野手(3年)だった。打球は左翼スタンドへ。
大会第4号となる先制ソロで、天理が試合の主導権を握った。6回には打者一巡の猛攻で一挙4点を奪い、7-2で2022年以来4年ぶりとなる夏の初戦突破。2024年就任の藤原忠理監督にとっては、阪神甲子園球場での初勝利となった。先発の長尾亮大は13奪三振で完投している。
【第5号】横浜・江坂佳史 ── 大会唯一の満塁弾
2回戦(8月14日・第10日) 横浜 10-1 日南学園
6本の中で、最も点差を動かした一発。
6-1で迎えた9回、横浜(神奈川)は2つの四球などで2死満塁とした。打席には5番・江坂佳史外野手(3年)。日南学園(宮崎)はここで投手を交代させたが、江坂は初球のスライダーを見送り、続く132キロの直球を捉えた。
打球は左翼席へ着弾。大会第5号は、今大会ここまで唯一の満塁本塁打となり、10-1と一気に突き放した。
この日の江坂は2回と4回にいずれも犠打を決めている。走者を送る役目を果たした5番打者が、最後は自ら4人を還した。横浜はこの勝利で春夏通じた通算70勝に到達している。
【第6号】天理・金本相有 ── 大会唯一の複数本塁打
準々決勝(8月18日・第13日) 天理 7-0 三重
そして準々決勝、隣県対決の第1試合で、今大会ここまでの最後の一発が生まれた。
0-0の2回、先頭で第1打席に立った天理の主将・金本がフルカウントから真ん中付近の直球を捉える。打球は左翼席へ飛び込み、またも先制点をチームにもたらした。
「追い込まれて粘っていたんですけど、あそこは絶対出たいという気持ちがあった」。金本は9回にも中越えの適時三塁打を放ち、7-0の完勝を演出。天理は2017年以来9年ぶりの4強進出を決めた。
これが今大会2本目。6本のうち複数を放っているのは金本ただ一人である。2024年以降、春夏の大会で1大会に複数本塁打を放ったのは、2025年夏の日大三・田中諒に続いて2人目となった。
打った6人の内訳は3年生が6人。うち主将が平山・金本の2人と、チームを背負う立場の選手のバットから出ているのが今大会の特徴だ。
また、6本中4本が試合序盤(1〜4回)に出ており、「一発で流れをつかむ」形が目立った。
2024年以降の大会本塁打数は、2024年春が3本、同年夏が7本、2025年春が6本、同年夏が10本と推移している。今大会は準々決勝を終えて6本。残るは準決勝2試合と決勝の計3試合で、昨夏の10本に迫るかどうかは微妙なところだ。
4強に残ったアーチスト
6本を放った5人のうち、まだ阪神甲子園球場に立っているのは2人だけとなった。
田山の仙台育英は準々決勝で智弁和歌山(和歌山)に3-11で敗れ、平山の東筑、田中の神村学園も既に姿を消している。残るのは、天理・金本と横浜・江坂。しかも両校は準決勝の別の山にいる。
8月20日の準決勝は、第1試合が智弁和歌山 - 横浜、第2試合が天理 - 高崎健康福祉大高崎(群馬)。ここを勝ち上がれば、大会第5号と第6号の打ち手が22日の決勝で相まみえることになる。この夏、最後にスタンドへ届く打球は誰のバットから生まれるのか。