サッカーの審判にどんな印象を持っていますか?なんだか怖いという印象を持っている方もいるかもしれません。「気持ちは分るけど、ファウルはアカン」「ごめん、今のはアドバンテージとるべきだった」これらは、実際にピッチでかわされた会話です。プロの試合中、監督や選手とレフェリーがどんなコミュニケーションをとっているのか。「審判」から「レフェリー」への進化についてお届けします。(構成・文:石井紘人)サッカーの試合にレフェリーは欠かせません■同じラフプレーに対しても判定の差が大きいことに不満この春発売されたDVD『レフェリー』は、サッカーに関わる全ての人にアップデートが必要なことを物語っていると感じています。Jリーグ開幕直後の審判員について、FIFAワールドカップやEUROを担当したレスリー・モットラム氏は、ジーコ氏との対談で下記のように語っていました。モットラム氏:日本人レフェリーは、例えばビスマルクの前では、萎縮していた...(中略)ジーコ:私が更に最近感じていることは、代表選手と、外国人又は他の日本人選手が犯した同じラフプレーに対しての判定の差が大きいことです。外国人は罰せられ、代表選手はお咎めなし...。モットラム:そう...、もしかしたらね。更にその問題も存在します。それを変えようとしており、日本人レフェリーに基準を持たせるように試みています。どんな選手がファールを犯したかには関係なく、普通、警告又は退場に値するプレーなのかの判断基準です。世界中でレフェリーが批判を浴びているのは一貫性の無さに対してであり、中には個人基準を持っている者も存在します。インタビュー全文はこちら※ジーコオフィシャルサイト■昔の審判は高圧的でコミュニケーションをとれなかったモットラム氏は1996年からJリーグ担当レフェリーとなり、1998年から4年連続で優秀主審賞を受賞し、引退後は2002年から2005年までJFAチーフ審判インストラクターを務めていました。そして、上記の対談で出た課題である『強さ』と『判定力』を日本の審判員に求めていたようです。その試みに対して、賛否両論あるようですが、ジーコ氏は対談で「レフェリーは進化を遂げた」と語っていました。私もそう思います。ですが、「レフェリー」というよりは、順番もあるのでしょうが、まずは「審判・主審」という方向に進んでいたように思います。「昔は審判側にも問題があったと思います。審判は教育大系の方が多かったからか、どうしても先生から生徒への上から目線で『こうだ!』と仕切るようなレフェリングばかりでした。悪くいうと高圧的で、コミュニケーションをとれない印象を持っていました」と原博実氏は過去を振り返っています。出典:Jリーグ公式サイト内ニュース■レフェリーは裁判官ではない。サッカーを知らなければいけないでは、「審判・主審」から「レフェリー」になるにはどうすれば良いのでしょうか?そのヒントが『サカイク』内の記事にありましたので、抜粋します。「私は、レフェリーは裁判官ではないと思っています。選手に高圧的な物言いをするべきではありません。どちらかというと、ディレクター、演出家の要素があるのではないでしょうか。子どもたちがエキサイトしてしまった時に、ガス抜きをするような、ゆとりがあればよいと思います。そのためには、サッカーも知らなければいけません」記事全文:お父さんレフェリーは裁判官じゃない!高圧的ではなく"毅然"と笛を吹こうこちらは大阪体育大学名誉監督であり、現在は関西国際大学で総監督を務める坂本康博氏の言葉です。DVD『レフェリー』では、裁判官ではなく、ディレクター的なJリーグ担当レフェリーたちが登場し、坂本氏が指摘した点の解説を行っています。そういった意味で、DVD『レフェリー』は「審判・主審」から「レフェリー」に変わる一つのきっかけになるはずです。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは■ピッチ上では見られない、人間味ある表情も前作の『審判』はデジタルカメラ一台でフィットネステストや研修会、試合の舞台裏を追いました。今回は試合に特化し、パートを二つに分けております。Chapter.1は2020~2021シーズン中の試合をいくつかピックアップし、プロフェッショナルレフェリー(JFAと契約するプロレフェリー)に「この試合で何があったのか?」を解説して貰いました。Chapter.2では2021JリーグYBCルヴァンカップ決勝にカメラを潜入させ、試合中の監督や選手とのコミュニケーションをボケイロ(レフェリーチームが付けているコミュニケーションシステム)音声とテロップフォローで追い、さらにレフェリーを務めた家本政明氏に映像を止めて解説をして貰っています。試合全体の映像とレフェリーを追った初の二画面映像で、レフェリーの動きの難解さを紐解きます。「レフェリーと選手が試合中にどのようなコミュニケーションをとっているのか?」を前作以上に追求しました。また試合中だけではなく、スタジアムの到着からピッチインスペクション、さらにはウォーミングアップ、表彰式まで、余すことなくレフェリーチームを追っています。エンディングは、前作で好評だった「レフェリーの人となり」を御覧頂けるように、2021ルヴァンカップの舞台裏にもカメラを潜入させました。ピッチ上では見ることのない、レフェリーの緊張した人間味ある柔和な表情を御覧頂ければと思います。試合展開とレフェリーを追った初の二画面映像と音声を公開。すべてのサッカーファンにとって永久保存版となる本作品、ぜひお求めください。【商品概要】販売サイト:【作品内容】CHAPTER.1 2020年-2021年 Jリーグ審判員シーズンレビュー解説:今村義朗、飯田淳平、西橋勲サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2022年07月21日子どもが試合に出られないのに、チームに協力したくない。新しいメンバーが入ってきて、前からいる子では息子だけ出れなくなった。周りのママたちは慰めてくれるけど、出られる子の親に私の気持ちなんてわからない。サッカー辞めさせると言っても子どもは嫌だと言うし、何もかもが嫌になった。というお悩みをいただきました。みなさんもこんな苦しい思いをしたとき、どうしますか?今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの知見をもとに、悩めるお母さんに寄り添いアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<強豪クラブで試合に出られなくなった息子にどう接すればいいのか問題<サッカーママからのご相談>はじめまして。以前配信された記事を見て、自分と全く同じ問題だと感じました。タイトル:試合に出られないのに自主練提案しても手応えなし...。競争心の無い息子にイラつく自己嫌悪ママの問題似たような相談になってしまうかもしれませんが、アドバイスいただけませんでしょうか。配信された記事では「試合を見なければいい」とありましたが、やっぱり気になってしまいます。子どもはサッカーが楽しいと言っていますが、試合に出られないのに何も協力したくなくて......。うちの子は10歳です。今までは人数ギリギリだったため、出られないと悩む事はなかったのですが、最近一気に3人も入ってきて、前から居たメンバーでうちだけ出られなくなりました。出してもらえないイライラもそうですが、がっかりで居たたまれない気持ちになりました。チームのママたちは慰めてくれて、「ランチいこう」と誘ってくれたり気を遣ってくれたのですが、それすら「どうせ出られる子のママに、私の気持ちなんてわからない」と、何もかもが嫌になってしまって、サッカー以外でも子どもや夫にあたる日々です。正直どうしたら良いのかわかりません。サッカーやめさせると言っても、嫌だと言って子どもは1人で練習に行くようになりました。上達しないのに、時間の無駄だと思ってしまいます。こんな自分が本当に嫌です。どうしたらよいのでしょうか。<島沢さんからの回答>ご相談ありがとうございます。匿名だからできることかもしれませんが、とても正直な気持ちがお母さんのメールから伝わってきます。きっと実直で素直な方なのだろうと勝手に予想しました。加えて、お母さんのメールにとても感心してしまいました。なぜなら、お母さんは「自分と全く同じ問題だと感じた」と、5年近くも前に配信された過去記事を読んだうえでご相談されているからです。前の記事を読んでからメールしてくださるともっと深い話ができるのになあと少々残念な気持ちになることのほうが多いので、今回はとても助かります。■自覚している分、問題の半分は解決している愛するわが子を試合に出してもらえないイライラ。がっかりしてしまう気持ち。家族に当たってしまう自分。試合に出られないからでしょうか。「サッカーをやめさせる」とまでお子さんに迫っています。しかしながら、「上達しないのに、時間の無駄だと思ってしまう」ご自分を強く嫌悪しています。そうです。お母さんはもう気づいています。「今の自分のままではダメだ」と。お母さん、大丈夫です。この問題の半分はすでに解決しています。何も不安に思うことはありません。一緒に、イライラやモヤモヤを鎮めましょう。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■期待の両隣には「悦び」と「嫌悪感」が存在するまず最初に、私の経験も伝えつつ、お母さんの気持ちを整理したいと思います。私が仲間と毎月開催している「スポハグカフェ」で、6月19日にスポーツをテーマにした講座を開きました。サッカースペイン1部リーグのビジャレアルのスタッフを務める佐伯夕利子さんがゲストのひとりでした。彼女が心理学の専門家らと指導改革をされた話をまとめた『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(小学館新書)を作った縁で、お付き合いが続いています。佐伯さんによると、「期待する」という感情の両隣りには、「悦び」と「嫌悪感」が存在するそうです。■期待通りにならないとき、期待は嫌悪感に代わる私たち親という人間は、自分の子どもが自分たちの期待通りに物事を成し遂げてくれたり、期待した通り、もしくはそれ以上の成果をあげてくれたら喜びます。漢字はさまざまありますが悦びの感情に包まれます。私もサッカー親でしたから、息子や娘が試合に出たり、活躍すれば嬉しかったです。ところが、期待した通りにならなかったり、大きく期待を裏切る結果を見せられた途端、期待した感情は「嫌悪感」に変化すると言います。子どもに対し「ダメな結果しか出せないヤツだ」と嫌悪する、というのです。これを聞いたとき、私は深く納得しました。ああ、あの時に感じた「がっかりした」とか「情けない」といった負の感情は、そういうことだったのかと。怒りとか憎しみとは違う、強いイライラ感。そして、子どもに対しイライラする自分を認識したときに必ず押し寄せる自己嫌悪。恥ずかしい気持ち。私自身「あのとき子どもを嫌悪していたのだ」と改めて気づかされました。当時はこうやって言葉にして自己分析できませんでしたが、私は悦びと嫌悪感を行ったり来たりしていたわけです。いいときは一緒に悦ぶ一方で、そうでないときは子どもにひどい態度を見せていたかもしれません。■悪い結果を呪い、イライラする自分を呪っていたしかし、私にそれはおかしいことだと気づかせてくれたのは夫でした。夫は息子をなじったり目の前で嫌な態度を見せたりしませんでしたが、私の前では息子をダメなやつだと否定しました。すると、それを聞いた私は怒り出します。「試合に出られなくて一番つらいのはあの子じゃないのか」「本人は一生懸命やっているのかもしれないのに、そんな言い方はひどい」と夫を責めました。すると、夫は「はあ?」と怒って反撃に出ます。「よく言うよ。ママなんかさっきまであいつを怒ってたじゃないか。やる気が感じられないとか、一生懸命やってないとか」そうなのです。自分も夫と同じことをしていたことに気づかない。嫌悪感という感情の渦の中でぐるぐる回っているので、冷静でいられなかったのでしょう。しかし、同様に感情的になって息子への嫌悪感を丸出しにする夫の姿を見て、気付くわけです。それは恐らく夫も同じことだったと思います。その後、さまざまな学びを得て、少しずつ自省できるようになりました。子どもたちが度々運んでくる悪い結果を呪う一方で、「そんなことでイライラしたり落ち込む自分は親失格だ」と自分を呪う。まさに異なる呪いパンチの撃ち合いです。■良い結果でなかったとき、一番つらいのは本人(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)そんな葛藤を繰り返していたある日。九州から上京した祖父母と食事に行こうとしたら、息子がゲームを途中で辞めたくないから行かないと言い出し夫と揉めました。せっかく遠方から来た祖父母に対する気持ちを夫は問いましたが、なかなか折れない息子を叩いてしまいました。その夜、夫がとても真剣な顔で「俺たちは結局子どもに試されているんだよ」と言ったのです。もともと多くを語る人ではないのでその一言だけでしたが、私は「子どもと一緒に成長しなきゃいけないんだ」ととらえました。以来、呪いパンチ合戦は減ってきました。良い結果でなかったときは「一番辛いのは本人」と受け止め、前向きでなくても「大人だって、やさぐれたりふてくされたりする。いつか自分で気づくまで待とう」と思えるようになりました。「期待のお隣りさんは、悦びと嫌悪感」この道理を知って、自分の子育てを振り返ってください。振り返りができた時点で、息子さんにやさしくなれる自分を発見するはずです。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2022年07月20日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は初心者に多い「身体を思い通りに動かせない」「ボールを自在に扱えない」という悩みを解決する、狭い場所でもできるトレーニングをご紹介します。試合中、思い通りに身体を動かすこと、思った通りにボールを自在に動かすことは大事なことです。常にいい位置でボールを持てる訳ではないので、ボールに合わせて身体を調整しなければなりません。しかし、運動経験が少ない子や幼い頃から一つの競技だけをやっていて様々な動き方を身につけていないと、動きがぎこちなかったりしてイメージした通りに自分の身体を動かせません。今回は、広いスペースがなくても親子で遊びながら、思うように体を動かしてボールを扱えるようになる方法を紹介。親は難しい動きはありません。【やり方】1.親子で対面して立ち、親が投げたボールを子どもがキャッチ。投げるのが難しければ、ワンバウンドさせてもOK2.キャッチに慣れたら「頭を触ってからキャッチ」などボールを受ける前に動作を1つ入れる。動きに慣れたら、親がボールを投げてから頭を触る動きにレベルアップ3.「頭」→「肩」の順に触ってからキャッチ。2か所触るのに慣れたら、くるっと回ってからキャッチ4.両手を地面について、立ち上がってキャッチ5.手でやった動作を足で行う。頭→肩を触ってから親が蹴ったボールをダイレクトで返す6.足でもできるようになったら、くるっと回ってから返す7.両手を地面についてから、立ち上がって足でボールを返す親子で「駆け引き」を入れながらやってみるなどアレンジしても良い【トレーニングのポイント】・動作を入れる前にボールをしっかり見る・身体を思い通りに素早く動かす意識を持つ・ボールの動きに合わせて身体の動きを調整する・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年07月19日まだ集中力がない未就学児。サッカーは好きみたいだけど、練習中にふらっと砂場に行っちゃう子をどうすればいい?というご相談をいただきました。未就学児の指導は、話を聞けるようになる年代より自由な子が多く大変なことも多いもの。同じような経験を持つコーチもいるのでは?今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、6歳以下の指導で大事なことをアドバイスします。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<手詰まりになるとサイドにパスする子どもたち。サイド=スペースがあって安全、ではなく「安全な場所」は状況によって違うと教える方法は?<お父さんコーチからのご質問>池上さんに相談していいことなのか悩んだのですが、投稿します。現在U-6以下のクラスに関わっているのですが、どうしても、練習中に砂遊びをしてしまう子がいるのです。サッカーが嫌いというわけではないようで、毎回楽しそうにクラスに通っていますし、周りのお友達とも仲良くやっているのですが、練習中にフッと砂場の方に向かってしまいます。まだまだ集中力のない年代なのは理解しているのですが、他の子たちはちゃんと練習に取り組んでいます。どうすればその子も一緒に楽しくサッカーできるでしょうか。池上さんはこんな時どうしていましたか?また、この年代の指導で大事にしていることは何か教えていただけませんでしょうか。<池上さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。6歳以下という年代は、指導者が「サッカーを教えなくては」と力む必要はまったくありません。すべてにわたって「どうしたら楽しくなるか?」を大人が考えてほしいと考えます。■砂遊びでなく、バッタなどに興味を持つ子どもたちも拙書『叱らず、問いかける』に書かせていただいた話をしましょう。幼児にサッカーを教えているコーチの方が、ほとほと困った様子でこんなことを相談してきました。「幼稚園の子は夏になると、バッタばかり追いかけているんですよ。わざと、ピッチの外側の草むらにボールを蹴り込むんです」草むらにボールがころころと転がると、バッタがいっせいに跳びはねます。それを見て、4~5歳の子どもたちはみんなで笑い転げる。そして、それが楽しくてたまらないので、みんな草むらにボールを蹴りに行ってしまうそうです。困り果てるコーチには申し訳ないのですが、子どもは確かにボールを蹴っていることに気づいてほしいと思いました。場所がサッカーコートではなく草むらなだけです。私が「私ならわざと草むらにボールを蹴り込みますよ」と話すと、コーチの方は驚いたような顔でした。ボールが転がってバッタが跳ねれば、子どもは楽しくて何度も何度も蹴ります。楽しくて練習になっているのです。バッタを捕まえ、ボールを蹴って、子どもたちはすごく楽しい。何の問題もありません。■砂遊びしたくなるのは当然の年代サッカーボールを使わない遊びで、身体を動かす楽しさを伝えるのも良い砂遊びがしたくなるのは当然の年代です。子どもたちがそちらに心を奪われているのならば、「よし、今日は砂遊びにするか!」とみんなでやってもいいでしょう。なぜなら、サッカーだけでなく様々な形で体を動かしたほうがいいし、いろんな経験を積んだほうがいい年代なのです。サッカー遊びだけでなく、砂遊びをしたり、バッタを捕まえたり。バルシューレと呼ばれるボールを使った遊びでもいいでしょう。サッカーボールを使わない遊びはたくさんあります。それらを通して、体を動かしている楽しさを伝えてください。その際に、すべて競争がある、勝ち負けを楽しめるゲーム形式にするとよいでしょう。幼児や低学年を教えるコーチの皆さんにはそういうことも勉強してほしいです。■「今日は何をしたい?」と子どもたちに選ばせようもうひとつ、私が大事にしていることは、子どもたちに問いかけることです。「じゃあ、みんな今日は何をしたい?」と尋ねてみましょう。コーチから一方的に「今日はこれをやるよ」ではなく、彼らに選ばせるのです。例えば、砂遊びを少しだけやったら、「今度はボールを使って何かやってみようか。何がいいかな?」と聞いてあげます。先日、親子サッカーキャンプをしました。子どもはサッカーを織り込んで、親御さんたちには私から座学で子どもが楽しく学ぶための環境とはどういうものかを伝えます。サッカーの練習は最初にシュートゲームというメニューを行いました。最初は地面に置いたボールを蹴るのですが、次の段階で「試合中は止まった状態では蹴らないよね?」と子どもたちに問いかけます。ドリブルしながらシュートなど、動きながら蹴ることを「みんなで考えてください」と言って考えてもらいます。最新ニュースをLINEで配信中!■一例を見せるとそれしかやらない、思考しない子どもたちところが、日本の子どもたちは「ドリブルしながらシュートとか」と一例を見せると、今度はそれしかやりません。パスを出してもらってシュートするといったほかのことをなかなか考えようとしない傾向があります。したがって、手を変え品を変え質問していきます。例えば、フットサルコートに置かれているゴールの前に、同じサイズのゴールを置き、間にはサッカーボールが入るくらいの隙間をつけて2台を前後に並べます。その状態で「さあ、後ろのゴールに入れてごらん」と言って始めます。そうすると、2台のゴールの前から、ボールをふわりと浮かして入れようとする子、斜めから隙間を通して狙う子などいろいろ出てきます。カーブをかける子もいます。そのように、考えたり、選べたりできる環境を整えてあげると、子どもたちは楽しそうにチャレンジします。なかには「こんなの簡単!できたよ」と意気揚々と報告してくる子がいます。「おお、どんなふうに入れた?」と言えば、やって見せてくれます。そこで、また注文を出します。「じゃあ、次は違うやりかたでやってみてくれる?」すると、子どもはまた考え始めるのです。このように、大人は次々と問いかけ続けることが大切です。■サッカーも遊びの一つ。6歳以下の子どもたちは「遊ぶ意欲」を削がないことが重要遊びのメニューも、サッカーの練習メニューも、ネットで調べたり本を読めば、そこらじゅうに転がっています。そして、説明通りにやる必要はありません。広さや距離、ボールやゴールの数など、コーチの皆さんが自分で考えて、その都度変えていくことです。正解はないので、変えることを怖がらずトライしてみましょう。一回やって、子どもたちが乗ってこなければ、やめればいいのです。大事なのは、練習を楽しくするためにはどうするか?を大人が考え続けること。子どもにそれを問いかけ続けること。この二つの視点を、この年代では大切にしてください。なぜならば、6歳以下の子どもたちの育成は、「子どもの遊ぶ意欲」を削がないことが重要だからです。サッカーも遊びです。「真面目に練習しろ」とか「きちんとやれ」といった規律のようなものはこの年代ではそこまで重要視することではありません。■選手主体は大事だが、世界はすでに「選手とコーチ両方が学びあう」のフェーズに入っている(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)これはダメ、あれはするなとやめさせるのではなく、大人は工夫し子どもの遊びをより広げてあげましょう。常日頃からおおらかに構え、コーチが工夫する姿を見せていれば、子どもも「こんなふうに考えたらいいのかな」と自分で気づく力をつけていくことでしょう。これまで、スポーツ指導は「プレーヤーズセンタード」といって、選手が主体ですよということが提唱されていました。しかしながら、専門家の方がおっしゃるには、世界はすでに「プレーヤー&コーチセンタード」になっているそうです。つまり、選手とコーチが中心。両方が学び合わなくてはいけないのです。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年07月17日先日、エコノメソッドの創始者であるダビッド・エルナンデス氏が来日し、奈良県内でサッカークリニックを開きました。ダビッド氏はパリ・サンジェルマンの育成部門でダイレクターを務めた経験を持ち、日本代表の久保建英選手を直接指導するなど、世界で活躍するトップ選手のプレー改善やコンサルティング、指導でサポートを行ってきた人物です。クリニック後に日本の選手の優れているところや、世界と比べて足りないと感じるものは何かを聞いたので、参考にしてみてください。(取材・文貞永晃二)ダビッドさんの指示に真剣に耳を傾ける選手たち<<前編:スペイン人指導者が語る、日本サッカーの良さと海外に比べて足りない力■日本人に足りないのは、「判断」と「サッカーをしっかり考える」部分――エコノメソッドでは、欧州トップレベルの選手が13歳までに身につけている個人戦術(プレー判断)を徹底指導するという考えを唱っておられますが、日本の選手にはこの個人戦術が不足しているとお考えですか?ダビッドまず、日本の選手の優れているところとしては、フィジカルと運動能力つまりコーディネーションの部分、そして技術面だと思いますし、さらに練習に対する姿勢も素晴らしいと思います。ただやはりサッカーをしっかり考えるという点、その判断の部分や考えるという部分でいうと、まだ少し欠けているのかなと思います。自分たちがこのメソッドで大切にしているものを伝えながら、また新しいことも引き続き伝えていければと思っています。■考えさせるためには、ただ問いかけをすれば良いわけではない――エコノメソッドでは選手にいろいろ考えさせる、問いかけるという方法をとりますが、それに対する選手の反応は日本とスペインで違いがありますか?ダビッドただ問いかけをすれば良いわけではなくて、問いかけ、質問するのと同時にコーチは、(プレー面で)"問題を起こさせるように"しないといけないのです。例えば練習のルールに手をつけた上で、自分たちでどうやってそのルールを守った上で良いプレーをしないといけないかという解決策を持たないといけません。ただ問いかけるのではなく、例えば練習のルールを計画的に立てた上で、選手がその問題に直面するようにもっていったのちに、コーチが問いかけをする必要があるのです。世界中で例えばいろんな10歳の子どもたちとトレーニングしてきましたが、プレーの面では本当にどの国もあまり違わないと思います。本当に積極的にトレーニングする年代だと思いますし、将来が楽しみな年代だと思います。例えば、日本だと選手たちがすごく教育を重んじられているからか、しっかりこちらの話を聞いて答えることができます。エコノメソッドでトレーニングをしている中で、今どういった状況が起きているか、どういった状況でプレーしているかというのを理解する。それぞれのシチュエーションでどういう解決策が一番いいかを知る、考える。この考える能力というのが大事なわけです。最新ニュースをLINEで配信中!■サッカーに対する情熱を持っていることは大事――サッカーを理解するという点で、日本の子どもたちとスペインの子どもたちを比べると、トップレベルの試合を見ている"量"に大きな差があるんじゃないかと感じるのですが?ダビッドサッカーの文化というところがそうさせているのだと思うのですが、子どもたちもサッカーのことを自然に考えていると思います。今回の来日で大阪のスクール、山梨のアメージングアカデミーに行ったり、今回は奈良でいろんな子どもたちを見ましたが、日本の子どもたちもサッカーに対するパッションはすごく持っていると思います。そういう情熱を持っていることは日本サッカーにはとても大事だと思います。毎回毎回日本に来ると、日本の選手たちは本当にサッカーが好きだなと感じますからね。ダビッドさんが感じる、日本人に足りない力「プレー中の判断力」を高めるエコノメソッドキャンプがこの夏開催されます。ゲーム中心の実戦形式のメニューで、オフザボール、ディフェンスなどテーマごとに正しいプレー判断を徹底指導、トレーニングを撮影し、参加選手のプレーを解説する分析型座学"スマートフィールダー"を実施するなど、サッカーへの理解が深まるキャンプですので、ご興味のある方は詳細をご覧ください。エコノメソッドキャンプの詳細・お申込みはこちら>>サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」
2022年07月14日セレクションを受けて入った強豪チーム。幼稚園からサッカーをしていて技術はあるけど高学年になって体格やスピードなど、周りに圧倒され自信がないプレーが目立つ。前はスタメンだったけど今はベンチスタートかどうかの瀬戸際。もともと負けず嫌いだから這い上がってほしいけど、親としてどう接すればいい?というご相談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの知見をもとに、サッカーをするわが子をどうサポートすればいいのかアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<週2回の練習じゃトップ選手になれない?高みを目指すにはスクールにも通わせるべきか問題<サッカーママからのご相談>はじめまして。5年生になったばかりの息子は3人兄弟の真ん中です。幼稚園からサッカーをやり始め、2年生の時にセレクションを受けて3年生からチーム活動をしています。街クラブの中でも強豪なので、練習試合などでも強い相手と試合したり、公式戦などでも優勝を争うようなチームです。幼い頃からサッカーが好きでボールを触っていたので技術はあると思いますが、高学年になり体格、スピードなど周りに圧倒されているのか、自信がないプレーが目立つようになりました。加えてメンタルも弱くなり親としてどう見守るべきか悩んでいます。スタメンとして起用していただく事ばかりでしたが今ではベンチスタートかどうかの瀬戸際で、それでも本人はここのチームでやっていきたいとの事でした。負けず嫌いだった子なのでここから這い上がってほしいと思うばかりですが、親の在り方として私自身がどう接すればいいか自信がないので助言してほしいです。よろしくお願いします。<島沢さんからの回答>ご相談ありがとうございます。とても強いクラブで先発でプレーしてきた息子さんを誇らしく思う気持ちが、お母さんのメールから伝わってきます。それなのに高学年になって、試合に出られなくなった。この変化に、親子ともども戸惑っているようです。助言してほしいとのことなので、私から2つアドバイスさせてください。■わが子が「這い上がる」ために親ができることはないひとつめ。何もしなくていい。何も考えなくていいのです。この段階で、お母さんのおっしゃるように「這い上がる」ためにやってあげられることは特にありません。ひとつあるとすれば、いつも通り淡々と接することです。万が一、いつも淡々と接することなく、世話を焼いたり、子どもに「うるさいな」と嫌がられるような言動があるのだとしたら、即刻やめたほうがいいでしょう。最新ニュースをLINEで配信中!■親の心配が子どもにとっては重荷になることも小学5年生は「前思春期」と呼ばれ、第二次性徴を迎える思春期の前段階です。自我が芽生え、自分が周りや親からどう思われているのか、どう評価されているのかに注目するようになります。そんな時期に、自分を心配しているお母さんの存在は、息子さんにとって重荷になりかねません。「自信のないプレーが目立つよ」「メンタルも弱くなってるよ」「ママは這い上がって欲しいんだよ」そういった言葉を出さずとも、お母さんのパッションを子どもはそばで痛いほど感じるものです。■試合に出られない、周りに抜かれるという焦燥感を覆せるのは「サッカーへの愛情」小さい時は他の子どもより秀でていたのが、高学年になり周囲が体格やスピードで追いついてきた。サッカーの理解度や視野や判断スピードなど、もうひとつ上のフェーズになってきたということでしょう。そのことを、時間をかけて理解していくのは息子さん自身です。いってしまえば、お子さんのピンチを救うのは親ではありません。彼を救うのは、いま目の前にいるお母さんではなく、これまでの子育てのありようです。試合に出られない、みんなに抜かれていく――そんな焦燥感や劣等感を彼が覆せるとしたら、それはサッカーへの愛情です。小さい時からやってきたサッカーがいかに好きかどうか。サッカーを好きな気持ちがあれば「今は試合に出られないけれど頑張ろう」とか「練習だけでも楽しいし、ま、いっか」と思えるはずです。そう思える子は、親御さんが「楽しくできればいいよ」という少年スポーツで最も大切な価値観を伝えています。■出られない→移籍を繰り返す親子もいるところが、そう思えない子どももいます。試合に出られなくなると、他の強豪チームへ移籍します。そこでも出られないと、また違うチームへ移ります。そのようなジプシー生活をするお子さんはどの地域にもいるようです。その場合、親御さんが試合に出ることでしか評価していなかったり、やらせたいと思うポジションで出場させてくれるクラブを求めて移籍し続けます。レギュラーじゃないとダメ。できれば背番号10。1試合1ゴール等々。さまざまな約束事が、親子の間にあったりします。大会で優勝すること、地域トレセンに選ばれることに軸足を置いている場合もあります。■今こそ、少年スポーツの原点に立ち戻ろうわが子がレギュラーから降ろされた、試合に出られなくなったという相談は多いです。その場合、皆さんがおっしゃるのは「何をすればいいか」「どうすれば子どもが乗り越えられるか?」ということを聞いてこられます。さあ何をやってあげようか?と意欲満々な親御さんたちを「まずは見守りましょう」と説得する第一段階こそが非常に骨が折れます。多くの方が、小さい時からお子さんの自主練習に付き合ったり、一緒にサッカーの試合を見るなどしてきたことで子どもさんが上手くなったと感じておられます。つまり成功体験があるので、今回も救ってあげたい、リードしてあげたいと躍起になるわけです。しかしながら、そんなふうにお母さんは考えていないようです。「親としてどう見守るべきか」と書かれているように、すでに見守りモードになっています。悩みの半分は解決しているではありませんか。今こそ、少年スポーツの原点に立ち戻りましょう。息子さんに「楽しくできればいいよ」と笑顔で言ってあげてください。試合や練習から戻ってきたら「楽しかった?」と聞けばいいのです。試合に出ない姿を見てストレスがたまるくらいなら行かなければいいのです。■子どもの人生を楽しく実りあるものにするために、親はどうするか(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)2つめ。子育てに悩んだときは、大局から物事を考えることです。例えば、「息子が試合に出られないことは、彼の人生においてそこまで重要なことか?」と考えてみてください。たった10歳とか11歳で、彼の道はサッカーしかないのでしょうか?スポーツ、音楽、アート、科学や文学など、さまざまな分野に触れていく。成年となる18歳までが子どもとするなら、彼の「子ども人生」はまだ半分ちょっとです。豊かで楽しく実りあるものにするために、親はどうするか?を考えてください。子どもが、何かを選びとる力を信じ、ひたすら見守ること。お母さんの子育ても次のフェーズに入ったのです。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2022年07月13日夏の暑い盛りにサッカーをすることが、子どもたちの成長に有効なのだろうか? という疑問を持ち、夏休み期間中に3週間ほどの「サマーブレイク」を導入している大東JFC(島根県雲南市大東町)。前回の記事では、コーチのみなさんにサマーブレイクについての考えをうかがいました。今回は保護者や子どもの反応をまとめました。夏休み期間中のサマーブレイク導入について、どんな声があがっているのでしょうか?(取材・構成鈴木智之)写真提供:大東JFC<<前編:夏場に休むことで子どもが伸びる!あるサッカークラブが「夏休みは練習しない」ことを決めた理由■サッカー以外の経験をさせることができるし、コーチたちも家族と過ごす時間が増える◆山崎真吾さん(保護者会長/6年生の保護者)サマーブレイクをとることで、子どもたちの熱中症のリスクが軽減されますし、家族で過ごす時間が増えると思います。サッカー以外にも、いろんな経験をさせることができると思います。一方で6年生の親としては、このチームで子どものサッカーが見られるのも、卒業まであと数ヶ月と考えると、少しでも多く見たい気持ちがあります。休みは3週間程度かもしれませんが、寂しい気持ちも出てきたりします。ただ、コーチのみなさんにも家庭があって、お子さんがいらっしゃるので、サマーブレイクがあることで、家族の時間が増えるのはいいことだと思います。今年のサマーブレイク中には、友達家族とキャンプに行く予定です。娘は小学校の友達とは違うクラブに入っていて、普段は遊ぶ時間がなかなか合いません。サマーブレイク中に、友達と遊ぶ時間が増えることを期待しています。最新ニュースをLINEで配信中!■海に行ったり、旅行やレジャーの時間に◆藤原睦美さん(U-11、12コーチ/5年生の保護者)サマーブレイクがあることで、普段できないことや、夏だからこそできることに時間があてられるのはいいことだと思います。子どもたちは夏休みなので、海に行って遊んだりしてほしいです。もしサッカーがしたくなったら、家の庭や近所の広場ですることができます。みなさんも、せっかくのサマーブレイクなので、旅行やレジャーなどの時間にあててもらえたらなと思っています。私は消防署に務めているのですが、消防士は6月頃から、体を暑さに慣らすトレーニングをします。熱中症にならないように、暑くなる前に防火服を着て走って、体を慣らせていきます。サマーブレイク期間中、家でゲームをして過ごしたりと、あまり外に出ない子もいると思うので、休みが明けて出てきたときに、熱中症に気をつけながらトレーニングをしたいです。■休みを取ることで他のチームとの差が出ても、成長のきっかけになる◆新田由香里さん(保護者役員/6年生の保護者)大東JFCには、長男のときから13年間、お世話になっています。長男が在籍していた頃は、暑さを避けるために夕方に練習をしていたこともありました。当時は、子どもが買い物に出かけていて「練習に間に合わせないと」と急いで帰ってきたこともありました。サマーブレイクのように休みがしっかりあると、家族で時間を気にせずに出かけたり、買い物ができる時間がとれるので、すごくいいと思います。休みをとることで、他のチームとの差が出るのではないかという意見もありますが、私は差が出てもいいと思っています。勝ち負けにこだわるのではなく、子どもたちが楽しく練習して、楽しく試合ができればいい。試合で負けたら悔しいけど、その悔しさもいい経験です。負けないために、どうすればいいかを子どもたちも考えるだろうし。とにかく、楽しくサッカーができればOK。そうしていると、内面も成長する気がするんです。彼らも気がつくはずです。「サッカーはみんなでやるから楽しいんだ!」って。◆キャプテン6年生山崎里桜さんサマーブレイクの間、サッカーの仲間と会えなくなるのは寂しいけど、休む時間があるのはいいことだと思います。その期間に自主練をする予定なので、サッカーの技術も落ちなくていいかなと思います。■好意的に受け止める保護者が多数◆横山武志代表僕は練習中、保護者さんとよく話をします。保護者さんが不安を抱えていたとしたら、それはコーチと話をすることで、ある程度、解決するんですよね。それが信頼関係にもつながります。チームで新たな取り組みを思いついたときには、コーチよりも先に、保護者さんに『こんなことを考えているんだけど、どう思いますか?』と意見を求めることもあります。そうすると、考えを理解し合えるので、コーチ、保護者ともにやりやすくなるんです。サマーブレイク導入も、好意的に受け止めてくれる人が多かったです。◆保護者の声「我が家は夫婦ともに働いていて、毎日が追われる日々。夏は、家族参加の地域の行事もあり、その部分も大切にしたいと思っています。団体活動をしなくても、サッカーがしたければ、子どもはボールを持って、ロケットのように出ていきます!」(3年生保護者)「JFCの予定日に地域の活動があるとします。人数が少ないので欠席だと悪い。でもJFCも、コーチがわざわざ家庭を置いて出て来てくださるので、一人でも多く出たほうがいいだろうと、どちらを選択するか悩みます。それもあって、サマーブレイクには感謝してます」(3年生保護者)「子どもは日曜日の練習が無くて残念がっていますが、その分、水曜日の夜練習に参加させて頂けるので喜んでいます」(2年生保護者)「サマーブレイク、とてもいいと思いました。子どもたちには長い休みになりますが、大人は普通に仕事ですし、最近の子どもは忙しいですよね。宿題や自由研究、イベントや夏の教室などあるので、少し余裕ができて子どもも休息できます」(4年生保護者)「うちの子は、毎週サッカーの練習を楽しみにしています。夏休みは毎日家の中で過ごし、テレビなどの時間が増えてしまって、体が鈍りそうです。練習する事で運動不足解消にもなりますね。息子に夏休みに練習がほとんどないことを伝えると、残念がっていました。週一でもいいのでやって貰えるとありがたいです」(3年生保護者)「うちの子はサッカーがしたくてウズウズしておりますが、これまで通りサマーブレイクを取り入れて頂きたいと思います。お互いに時間がとれるのでいいんじゃないでしょうか。普段は日曜日しか子どもと過ごせる日がないですが、日曜日などは半日サッカーでなくなります。たまにはゆっくりできる時間も必要な気がします。ただ、インドア派の息子には運動不足が心配ですが......笑」(4年生保護者)サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」■「遊び」としてサッカーを楽しむことも大切、サマーブレイクはサッカーを楽しむ余白づくりにもなる保護者のみなさんからは、サマーブレイク導入に対して賛成の声が多く挙がりましたが、なかには「もっとサッカーがしたい!」という意見もありました。そのため、水曜日の夜に自由参加の練習を設けたりと、クラブ側も工夫しているようです。また「サッカーがしたければ、子どもたちは集まって勝手にする」という意見も多くありました。習い事ではなく、遊びとしてサッカーをするのも大切なこと。サマーブレイクは、サッカーを楽しむ余白づくりと捉えることもできます。成長期の子どもにとって、体作りの面からも休息は不可欠です。熱中症のリスクがあり、暑さゆえ集中力が切れやすく、トレーニング効果が高まらないのであれば、夏の間を休む期間にあててもいいのではないでしょうか。大東JFCの取り組みは、暑い夏を乗り切る上で大きなヒントになりそうです。サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」
2022年07月13日高学年になると「トレセン」という言葉を聞く機会がありますよね。サカイクの読者であるジュニア年代のお父さん、お母さんがどうしても気になるのがトレセン活動。選ばれたことを子どもたちがサッカーを頑張ってきた成果の証だと喜ぶ親御さんがいる一方、選ばれなかった事を悲しむ親御さんもいるでしょう。中には「うちは早生まれで小さいから」など最初から無理だと諦めてしまうケースや、「トレセンに選ばれなかったから、うちの子にはサッカーが向いていない」と判断してしまう親御さんがいると耳にします。今回はそうしたトレセンに関する正しい情報を聞くため、東京都サッカー協会で技術委員長を務める中田康人さんに話を聞きました。(取材・文:森田将義)写真は少年サッカーのイメージ■12歳までの選手を見るときに重要な要素とは東京都の場合は7つの地域に分かれた地区トレセンから選ばれた選手が、東京都トレセンの選考会へと進みます。そこで選ばれた選手が、都のトレセンメンバーとして月1回活動するのが仕組みです。U-12年代では7地域の前に、16ブロックに分かれた活動を実施し、可能性がある選手の見落としがないよう励んでいます。以前は選考基準を地域ごとに共有するものの、トレセンコーチ全員に選考の考えの徹底がしきれていませんでしたが、今年に入ってからはトレセンに関わる全スタッフが集まり、トレセンの考え方、選手選考の基準を提示。同じ目線で全員が選手選考できるよう今後は、文章としても提示していきます。「100人のトレセンコーチがいて、100通りの基準があれば、誰が良い選手か分からなくなるので、目(=基準)を合わせたい。大人のサッカー=子どものサッカーではなく、年代によって基準や獲得すべき要素が違います。12歳まではテクニック(※定義を後述)が凄く重要で、それ以降はテクニックがなかなか身に付きにくい年代に入ってくる。逆にフィジカルが強いからと言って、14歳や15歳になっても通用するかは分からない。フィジカルにウエイトを置いてしまうと、選手のためにならない選考になってしまう」(中田さん)。最新ニュースをLINEで配信中!■身体能力だけを基準にすると、トレセン本来の目的とズレてしまう成長が早い小学生だと12歳で170cm近くある選手がいれば、140cmぐらいの選手もいます。2人が一斉に走り出せば、大きい子の方が速くゴールする確率が高く、サッカーでもジュニア年代ではそうした選手が活躍しがちです。テクニックがなくても、やっていける年代でもあると言えるでしょう。身体能力だけを基準に選考すると、トレセンの目的である将来、日本代表で活躍できる選手の発掘、育成が出来なくなるため、ジュニア年代の選考はテクニックの割合が高くなります。身体能力に頼ったプレーをしている選手に対して、将来活躍できるテクニックを身に付けるよう声を掛けるのも、大事な役目です。■「テクニック」とは単純な止める・蹴るを指すのではない選考の基準となるテクニックも、現在は人によって定義が変わるため、中田さんが東京都の技術委員長に就任してからは、定義の明確化を進めています。「リフティングや対面パスなど止まった状態での上手さではなく、相手がいる中で様々な認知をして判断と実行が出来てこそテクニックと言います。キーワードは『前』です。前を向けるのか、前にパスを出せるのかが大事。相手が守備をしてくる中で前にコントールしたり、パスを出せる技術こそがテクニック。横にドリブルする選手は相手にとって怖くないけど、相手を抜きにかかる仕掛けは怖い。前に前進できるテクニックを持っているかが大事です」。サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」■ポジションに応じて必要な「テクニック」がある8人制から11人制へと変わる中学生年代では、より大人のサッカーに近づくため、ポジションに応じたテクニックも身につけなければいけません。「CBの吉田麻也選手が自陣ゴール前でに堂安律選手のようなドリブルプレーをしたらチームメイトは困ります。テクニックと言っても吉田選手や板倉滉選手に求めるテクニックは、中盤の選手とは違うのです。反対に堂安選手も自陣でプレーするなら、エリアに応じたテクニックを発揮しないといけません。一概にテクニックと言っても、ゾーンや状況に応じて発揮できるかが大事です」と中田さんは話します。■今は身体が小さくても、日々の積み重ねしだいで急成長するタイミングがある身体が小さく、ジュニア年代ではフィジカルの差で活躍するのが難しくても、テクニックを日々の練習で磨き続ければ、必ずどこかで急成長するタイミングが訪れます。中田さんが、代表例として挙げるのは、JFAアカデミー福島のチーフコーチ監督時代に携わったU-21日本代表のMF三戸舜介選手です。小学6年生でセレクションを受けた際は、163cmの今より小柄で「ずば抜けた選手ではなかった。現在の活躍は想像しづらい選手でした」中田さんは振り返ります。JFAアカデミー福島に入ってからも、身体が大きい選手に競り合いで負けるなどテクニックを生かしきれない時期もありましたが、中学3年生になったタイミングで急成長を遂げ、年代別代表でも欠かせない選手となっていきました。「舜介には身長を気にする必要がないぐらいテクニックがあった。15歳になってからは、そこにプラスして瞬間的なスピードが出せるようになった。それ程ハードワークをする選手ではなかったけど、代表から帰ってくる度に献身的なプレーが出来るようになっていった。こういう子がこうやって変わるんだと指導者ながら学ばせてもらった選手でした。大きく成長する瞬間を引き寄せるためにも日々の積み上げが大事。積み上げのベースとなったのは間違いなくテクニックでした」。■相手がいる中での認知と判断は、中高で成長するために欠かせない要素トレセンに選ばれるために上述した「テクニック」=相手がいる中での状況に応じた認知と判断の向上は重要です。もし、小学生年代で選ばれなかったとしても中学年代以降で大きく成長するために欠かせない要素です。三戸選手の急成長を間近で見てきた中田さんは東京都のトレセンコーチに、こんな言葉を伝えているそうです。「選手としての総合ランキングは、中学と高校の6年間で変わる。でも、テクニックが高い子がテクニックだけを見ると誰かに抜かれる事はなかった。もちろんテクニックを活かすためのスピードやハードワークも必要ですが、それぐらい幼少期から積み上げるテクニックが大事」。東京都トレセンの考えは、選手の育成に携わる人たちにとっての大事な指針と言えそうです。サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」
2022年07月12日2022年6月、各地で気温が40度を越え、平均気温が過去最高を記録するなど、危険な暑さが続きました。これから訪れる夏本番も厳しい暑さが予想され、炎天下のサッカーは熱中症のリスクが高まるなど、普段以上の健康管理が求められます。はたして、暑い夏の盛りにサッカーをすることは、サッカーの上達、選手の成長面で有効なのでしょうか?島根県雲南市大東町で活動する大東JFCは、3年前から小学校の夏休み期間中に「サマーブレイク」を設けています。2022年は7月下旬からお盆明けまでのおよそ3週間、自由参加の練習を除き、全体練習はしないそうです。なぜサマーブレイクをとることにしたのか。大東JFCの横山武志代表を始め、コーチ、保護者のみなさんに話をうかがいました。(取材・文鈴木智之)写真提供:大東JFC■夏の練習を休むきっかけになった出来事大東JFCがサマーブレイクを取り入れたのが、2020年のこと。ある出来事がきっかけでした。「ある年の8月に参加予定の大会があったのですが、暑さで子どもたちがダウンしてしまいました。体調のこともあるので『参加を見合わせた方がいいのではないか』と、クラブで話し合いを行いまして、それならばいっそのこと夏休みの期間中、まとまった形で休みにしてはどうだろうという結論になりました」とくに近年の暑さは異常で、「昔とは体感が変わってきた」という声をよく耳にします。横山代表は「大人でもこれだけ堪えるのだから、子どもはもっと大変なんだろうなと。それを考えたときに、休むのも一つの方法だと思いました」と、健康面のリスクからサマーブレイクの導入に踏み切ったそうです。最新ニュースをLINEで配信中!■監督、コーチたちも賛同した理由U-12の監督を務める伊藤清行さんは、サマーブレイクについて「暑い中でトレーニングをすると集中が切れやすくなりますし、安心安全な環境を提供することが難しいと感じています」と話し、こう続けます。「私が子どもの頃とは、暑さの質が変わってきていますよね。熱中症のリスクも高くなるので、ヨーロッパで指導している日本人の方の話なども聞いて、夏に長期の休みをとるという考えはありなのではないかと思うようになりました」昨年に続き、2022年の夏も7月下旬からおよそ3週間をオフ期間としています。とはいえ、完全に休みにするわけではなく、水曜日の夜にグラウンドを確保し、全学年、自由参加の場を設けています。U-12の田島隆志コーチは「水曜日に自由参加の場がありますが、クラブが場を作らなくても、サッカーがしたい子は、友達と集まって公園でボールを蹴ったりしています。指導者がいない環境でサッカーをするのも、大事なことだと思います」と、遊びの延長でボールを蹴ることの重要性を語ります。■夏休み後、選手のパフォーマンスが上がった例も一方で、長期のオフを設けることに、不安がないわけではありません。田島コーチは言います。「他のクラブのコーチ仲間とも話をするのですが、休むことに対して、指導者として不安に思うこともあります。自分のクラブが休んでいる間に、他のチームは練習をしているので、その期間に差が出てしまうかもしれません。8月末に地区の大会があると休めませんし、9月には全日本U-12選手権に絡むリーグ戦が始まりますからね」ただし、と田島コーチは言います。「関東のとあるクラブでは、夏休みをとった後、選手たちのパフォーマンスがすごく良くなっていったそうです」と、休むことがプラスに働く事例を教えてくれました。U-9、U-8を担当する渡部平コーチは「毎日の練習も大切ですが、サッカーから離れることで、心の中、体の中からリフレッシュして、新たな気分でサッカーができるのは、とてもいいことだと思います」と前向きに捉えています。サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」■オフ明けに子どもたちの身長が伸びていた大東JFCは、昨夏もサマーブレイクを設定していました。オフ明けに集まって来た子どもたちの様子を見て、横山代表はあることを感じたと言います。「子どもたちの身長が伸びていました。コロナ禍で活動できなかったときにも感じたのですが、サッカーをしていないときの身長の伸びがすごかったんです。激しい運動を控えると、身長が伸びやすいと聞いたことがあったので、休むことも大事なんだなと思いました」■休みを設けることで「またサッカーがしたい」というエネルギーが出るサッカーに限らず、スポーツにおいて「夏の頑張りが、秋以降の成長につながる」という考えがあります。横山代表は「僕も学生時代は、その考えでやっていましたが、それが合っているかどうかはわかりません」と話し、言葉を続けます。「僕たちは小学生と接していますが、その子たちが大人になったときにどうなるのかは、誰にもわかりません。サッカーをしすぎることで嫌いになったり、成長が止まってしまう可能性もあるかもしれません。選手を預かる責任ある立場として、先のことまで考えたときに、休ませるのも大切なことなのではないかと思ったのです」伊藤監督も「サマーブレイクを設けることで、休み明けに『またサッカーがしたい』『みんなに会いたい』というエネルギーを出してくれると思います。そのためにも、リフレッシュする時間は必要なのかなと思います」と、休みがポジティブに働くことを期待しています。今回のインタビューに参加できなかったコーチからも「これは極論ですが、地域のみならず県、さらには全国で足並み揃えられるといいですね」といった意見も寄せられました。大東JFCのみなさんが、「暑い夏にサッカーをすることが、子どもの心身の成長にプラスなのだろうか?」と考え、出した結論がサマーブレイクの導入でした。それに対し、保護者や選手はどう感じているのでしょうか?次回の記事では、サマーブレイクに対する、保護者と選手の声を紹介します。サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」
2022年07月12日体温を超える気温を記録する日本の夏。毎年のことながら、この時季は子どもの熱中症が特に心配になりますね。近年、熱中症予防方法については、啓蒙が進んでいることもあり、水分補給の知識などある程度は知ってはいるものの、実際に熱中症になったときにはどうしたらいいのかはわからないことばかり、という親御さんも多いようです。そこで、「熱中症予防声かけプロジェクト」実行委員長の帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長・三宅康史先生に、暑さでぐったりとして帰ってきた子どもがするべき自宅での対処方法を教えてもらいました。前編では、子どもが熱中症かどうかをはじめ、暑さによるダメージを受けている状態かどうかや、家庭でのケアで様子をみて大丈夫かどうかを見極めるコツを、後編では食事をはじめとした家庭での対処法や親御さんの見守り方をご紹介します。(取材・文:小林博子)写真は少年サッカーのイメージ■「熱中症かも?」と思ったら、迷わず早めの対処を夏の暑い日に帰宅した子どもがいつもよりぐったりとした様子だと、まっさきに熱中症を疑い、とても心配になるはず。熱中症が重症化すると怖いというのは周知の事実ですし、子どもが最も成長すると言われる夏に、熱中症で練習を休ませてしまう日が続いてしまうのは避けたいという気持ちもあるかもしれません。少しでも効果的なケアをしてあげたいと、まずは「熱中症かどうか」を見分けたいと思うかもしれませんが、三宅先生によると「こんな症状を訴えたら熱中症です」という明確な線引きは難しいと言います。また、「風邪気味」などのように「熱中症になりかけている」という状態であるかどうかも、はっきりとはわからないことがほとんどだそう。「夏にぐったりとしていたら、すべて『熱中症の可能性あり』と思って正解。熱中症も他の病気と同じく、『早期発見・早期治療』が最も有効なので、早めに対処できることが大切です」(三宅先生)つまり、子どもの様子が熱中症を疑うような状態だったら早めに対処してあげることが重要ということです。最新ニュースをLINEで配信中!■こんな状態だったら「熱中症の可能性あり」具体的には、ぐったりとしている子どもが以下にあげるような様子を見せているときは、熱中症を疑う状態と考えられます。・発熱している・体がほてっている・頭痛や下痢などの体調不良がある・食欲がなく、食べられない・ふらふらとしている・目つきがうつろ・顔色が悪い・元気がない・眠れずに寝不足状態になっているなど基本的には「いつもと違う」と、毎日接している親御さんが感じるならすでに「可能性あり」だと思っても良いかもしれません。日々見守ってあげている親御さんの目がとても頼りになります。猛暑や酷暑と言われる夏に、炎天下でサッカーをして帰ってくることを思うと、熱中症の時季は特に、しっかりと様子を観察してあげることがまずは大切だと言えます。■医療機関に連れて行く必要があるケースもなお、子どもが何も食べられず水すら飲めない、高熱を出している、だんだん意識が朦朧としてきたなどあまりにもぐったりとしていたら、迷わず受診しましょう、と三宅先生は言います。熱中症以外にも、食べられないことによって低血糖を引き起こしている可能性もあり、医療機関で専門家に早めに診てもらうべき状態とのこと。かかりつけの小児科や、時間が遅ければ夜間救急などへ早めに連れて行ってあげてください。小見出し)体が「暑さダメージ」を受けていると心得て三宅先生によると、「熱中症の可能性」を疑うときは、少なくとも「暑さダメージを受けている状態」であることは確かとのことです。そうであれば、暑さ対策をしっかりしてあげることが大切です。子どもがどんなに「大丈夫」と言っていても、水分をはじめとする栄養の摂取や部屋を涼しくするなどの基本的な対処はまっさきに行ってあげてください。サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」■定期的な体重測定で体調管理を!短期間で減少したら注意子どもの体調チェックをしてあげる親御さんの「目」が、熱中症の『早期発見』につながることがわかりますね。親の直感はもちろん頼れる目安ではありますが、毎日子どもの様子を見守ることのほかにできることはあるでしょうか。三宅先生に伺いました。その答えは「体重測定」。人間の体の大半は水分なので、熱中症の時季に体重が減ってきているときは「体の水分が減っている=熱中症の疑いがある」という目安にもなるそうです。どんなに成長期でも数日で急激に身長が伸びて体重も増えるということはないので、短期間での体重が増減している場合は「体内の水分量」の影響が大きいからです。なお、体重測定は、毎日決まった時間に同じ状態で行うべきとのこと。例えば、朝起きてトイレに行った後すぐなど、体重計に乗る時間を決めてルーティンにしてあげてはいかがでしょうか。体重測定の習慣を続けた場合、そのデータが来年の夏にも役立つと三宅先生は言います。「去年はこれくらい減ったときに熱中症とみられる症状が出た」などの貴重な資料になるからだそうです。前編である今回は、熱中症かどうかの判断の目安についてご紹介しました。夏場のぐったり感は「熱中症の可能性あり」だと思ってお子さんの様子を見てあげてください。後編では、具体的にどんなことをするべきなのかを詳しくご紹介します。三宅康史(みやけやすふみ)帝京大学医学部救急医学講座教授/帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長、熱中症予防声かけプロジェクト実行委員長東京医科歯科大学卒業後、公立昭和病院脳神経外科・救急科(ICU)・外科医長、さいたま赤十字病院救命救急センター長・集中治療部長、昭和大学医学部救命救急センター長など歴任し、2016年帝京大学医学部救急医学教授・同附属病院救命救急センター長に着任。2017年からは同高度救命救急センター長を務める。熱中症予防声かけプロジェクトサッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」
2022年07月08日先日、エコノメソッドの創始者であるダビッド・エルナンデス氏が来日し、奈良県内でサッカークリニックを開きました。ダビッド氏はパリ・サンジェルマンの育成部門でダイレクターを務めた経験を持ち、日本代表の久保建英選手を直接指導するなど、世界で活躍するトップ選手のプレー改善やコンサルティング、指導でサポートを行ってきた人物です。クリニック後に日本の選手育成、さらにスペイン、フランスとの比較などを聞いたのでご覧ください。(取材・文貞永晃二)ダビッドさんの指示に真剣に耳を傾ける選手たち■日本でのプロジェクトを視察――今回の来日の目的は?ダビッド・エルナンデス(以下、ダビッド)日本でのプロジェクトを視察に来ました。エコノメソッドのスクールは現在関西、関東で活動していて、その他スクール以外の活動としては、アメージングアカデミー山梨があり、ジュニアユースの活動ですがこのメソッドが全面的に導入されているクラブチームです。そして奈良クラブですね。指導者として奈良クラブはトップチームのフリアン監督、メソッド部門ダイレクター兼ユース監督にダリオコーチ、それから山梨のアメージングアカデミーにはマルクコーチがいます。これらのメソッドが導入しているプロジェクトがうまく進行しているか視察しました。エコノメソッドが夏休みや冬休み期間にサッカーキャンプを行っているので、そのプロモーションも兼ねて今回のクリニックでも指導したわけです。■サッカーにおける「認知」のポイントは、遠い場所にいる味方の状況を見ること――今日のクリニックのテーマを教えてくださいダビッドトレーニングのテーマは「認知」です。認知で大事なポイントは、自分から見て遠い場所にいる味方の状況を見ること。これが大事なポイントです。試合形式のトレーニングでは、「サポート」がテーマでした。その中で大事なポイントとしては相手から離れること。寄っていかないということです。最新ニュースをLINEで配信中!■指導者のライセンス制度のおかげで、コーチたちのレベルアップに繋がっている――スペインの育成もいろいろ変化していると思いますが、最新の事情をお教えくださいダビッドまず、スペインの育成年代は変わらず機能しているというところと、指導者の質がさらに高くなってきていると思います。やはり今は地域の街クラブの監督や、サッカースクールのコーチもライセンスが必要とされていて、そういう形になったことがコーチたちのレベルアップに繋がっていると思います。最近は男子だけでなく女子のフットボールも盛んに取り上げられるようになりました。こういうふうに選手たちの母数を増やすことで、さらに指導者の質も上がる。この質と量、これがうまく重なり合った結果、最近は育成が良くなっているのだと思います。――今日のクリニックも女子が2人ぐらいいましたが、スペイン国内では男女一緒にプレーするのですか?ダビッドまず、13歳までは選手が選べます。例えば男子のチームと混ざる場合と、女子だけのチームというのももちろんあるのでそこでプレーする場合があって、13歳までは選手がいずれか選ぶという形ですね。リーグ戦も男女一緒のことも小さい年代ではあります。今はチーム数も女子選手の数も多くなってきているので、女子だけのリーグというのもありますね。■フランスでは個人戦術から集団戦術、スペインは幼少期から集団戦術を学ぶ――パリ・サンジェルマンでも仕事をされたということで、フランスとスペインの育成の事情はどういう違いがありますか?ダビッドおっしゃる通り違いはすごくありますね。2つの国は隣接する近い国ですが、やはりサッカーは全然違います。フランスのサッカー文化というところでは、より自由が与えられているかなと思います。サッカーの個人技術、個人戦術、それから集団での戦術というところが混ざった上での自由さがフランスの選手たちの成長を手助けしているのかなと思います。フランスでは、例えば13歳でそのクラブでプレーをし始めると、13、14、15、16歳と一定の期間、同じクラブで育つという文化です。一方、スペインだと例えば12歳以下とかの本当に小さい子が幼い頃から集団での戦術というのを学んでいくので、やはりそのスペインの子どもたちにはチームとしてどういうふうにプレーしたらいいかが身についています。このようにかなり違いがあるのですが、それでもスペインとフランスの両方の国はかなりのポテンシャルを持っているかなと思っています。今回のクリニックのテーマでもある「認知」を高めるエコノメソッドキャンプがこの夏開催されます。ゲーム中心の実戦形式のメニューで、オフザボール、ディフェンスなどテーマごとに正しいプレー判断を徹底指導、トレーニングを撮影し、参加選手のプレーを解説する分析型座学"スマートフィールダー"を実施するなど、サッカーへの理解が深まるキャンプですので、ご興味のある方は詳細をご覧ください。エコノメソッドキャンプの詳細・お申込みはこちら>>サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」
2022年07月06日ユースワールドチャレンジ・プレ大会実行委員会は、2022年8月13日(土)~8月15日(月)の3日間、J-GREEN堺(大阪府堺市)にてユースワールドチャレンジ・プレ大会2022を開催いたします。2013年より開催してきたU-12 ジュニアサッカーワールドチャレンジが今年節目の10年目を迎える中で、これまでプレーしてきた選手の中から、欧州やJリーグでプレーする選手が少しずつでてきました。また、高校生年代の選手に対する、欧州クラブからの注目が非常にあがってきている状況です。ただ、個人に対しての注目度はあがっているものの、欧州のユース年代のトップ選手と日本のユース年代のトップ選手とが日本においてチーム単位で戦う機会というのはほとんどなく、今後の日本サッカーの発展を考えた場合、個人だけでなく、チームとしても欧州クラブと定期的に真剣勝負できる形を作っていき、全体のレベルをあげることが、結果的に個々の選手のベースを引き上げることができ、日本サッカーのさらなる発展につながると考えています。 そこで、2023年に欧州クラブを招いてのユースワールドチャレンジを開催するための前哨戦として、高体連最高峰のチームを招待し、ユースワールドチャレンジ・プレ大会2022を開催することを決定いたしました。<ユースワールドチャレンジ・プレ大会2022開催概要>■大会名称:ユースワールドチャレンジ・プレ大会2022■主催 :ユースワールドチャレンジ・プレ大会2022実行委員会■主管:ユースワールドチャレンジ・プレ大会2022実行委員会■協力:株式会社Amazing Sports Lab Japan、Sports concierge office Blue Wave■協賛:株式会社山方屋、株式会社ミカサ、ミズノ株式会社■日程:2022年8月13日(土):J-GREEN堺 天然芝メインフィールド(S1)11:00 静岡学園 vs 神村学園13:00 興國 vs 昌平2022年8月14日(日): J-GREEN堺 天然芝メインフィールド(S1)11:00 静岡学園 vs 昌平13:00 興國 vs 神村学園2022年8月15日(月) :J-GREEN堺 天然芝メインフィールド(S1)11:00 神村学園 vs 昌平13:00 静岡学園 vs 興國■参加チーム神村学園高等学校興國高等学校静岡学園高等学校昌平高等学校*各高校Bチーム戦をJ-GREEN堺 天然芝フィールド(S2)で開催神村学園高等学校B興國高等学校B静岡学園高等学校B昌平高等学校B奈良クラブユース(ゲスト参加)大会公式ページ>>
2022年07月01日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は初心者に多い「ドリブルが遅い、スピードに乗ってドリブルできない」という悩みを解決する、狭い場所でもできるトレーニングをご紹介します。試合中、ドリブルをする場面がたくさんあります。緩急が大事なので、ゆっくり運ぶときもあればスピードに乗って素早くドリブルしなければならない場面もあります。しかし、サッカーを始めたばかりの初心者は、素早くドリブルするのが苦手なもの。今回は、広いスペースがなくても親子で遊びながら、スピードに乗ったドリブルができるようになる方法を紹介。親は難しい動きはありません。【やり方】1.最初は子どもの前に目印を2つ離して置き、子どもはドリブルしながら前へ進み、目印をターンして戻ってくる2.スピードを意識させるために、親子で競争。親はボールを持って走っても良い※ボール無しで走ってもOK3.目印を4つ用意して四角を作り、ドリブルしながら目印を90度ターンして戻ってく4.慣れたら鬼ごっこや、対角でスタートして子どもが親に追いついたら勝ちなどアレンジしてやってみる【トレーニングのポイント】・勝ち負けより、今の自分がより速くなることを意識・前に進む時は思い切って強くボールタッチすることでスピードを出す・ターンをするときは細かくタッチ・親子で競争することで、よりスピードを意識する・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年06月30日近年、新型コロナウイルスの影響で、保護者が子どものサッカーを観戦する機会が減っています。子どもの様子が知りたくて、「サッカー、どうだった?」と聞くと「別に」「普通」などのそっけない答えしか返ってこず、やきもきした経験は誰しもあるのではないでしょうか?そこで今回は、スポーツジャーナリストとして、多くの著名人、アスリートの取材をしてきた二宮清純さんに「子どもの答えを引き出す、質問の仕方」や「コーチに質問するときのポイント」についてうかがいました。(取材・文鈴木智之)写真は少年サッカーのイメージ<<前編:インタビューのプロ二宮清純さんに聞いた「今日の試合どうだった?」「別に......」で終わらせない会話術■負け試合でも手ごたえがある場合も。「勝った?負けた?」より「今日なんかいいことあった?」と聞こう二宮さんは前回の記事で、「言葉に頼らない」「距離感が大事」など、質問をするときのポイントを教えてくれました。子どもとサッカーの話をするときにしてしまいがちなのが、「勝った?」「負けた?」「何点取った?」など、結果にフォーカスする質問です。二宮さんは「もちろん試合に勝つことや点を取ること、 勝利に貢献することは大事ですが、試合に負けたとしても、自分の中で手応えがあったプレーがあるはず」と言います。「試合の勝ち負けや点取った? ではなく、今日はなんかいいことあった? などの間口の広い質問の方がいいのではないかと思います。僕は子どもの頃、少年野球をしていたのですが、ある試合で内野からピッチャーに牽制のサインを出して、アウトにしたことがありました。試合には負けたけど、自分としてはすごく嬉しかったんです」その試合を偶然見ていた学校の先生から「あのプレーは頭脳的だったね」と褒められたそうで、50年経ったいまも、そのことを覚えていると言います。「試合には負けたけど、褒められて嬉しかった記憶がいまもあります。スポーツには結果以外に、手応えを感じたプレーもあるので、そこを引き出すような『何かいいことあった?』など、相手に委ねるような聞き方がいいと思います」■負けたとき、結果が出ない時ほど自分を信じる力が必要子どもが試合に負けて落ち込んでいたり、いいプレーができなくて悩んでいるときは、保護者の出番です。二宮さんは「負けたときほど、自分を信じることが大事」と言葉に力を込めます。「僕が思う名選手の条件は『負けたとき、結果が出ないときに、自分を信じてることができた人』です。よく『負けたときは自分を信じろ。勝ったときは自分を疑え』という話をするのですが、負けたときやうまくいかないときは、周りから『何でだめだったの?』『何で負けたの?』など色々言われます。そのときこそ、自分を信じる力が必要なんです」うまくいっていないときは、周りから白い目で見られたり、心無い言葉を浴びせられたりすることがあります。「そんなときこそ、誰よりも自分が自分の味方になってあげること。オレはこんなもんじゃない。今日はたまたまうまくいかなかっただけだ。『次はやってやるぞ』ぐらいの気持ちでいいと思います。そこで味方になってあげられるのが保護者です。子どもの様子を観察した上で、サポートできることは何だろう? と探してあげるといいと思います」一方で、試合に勝ったとき、うまくいっているときは「これは自分ひとりの力じゃない。周りが手助けをしてくれたからうまくいったんだと、周囲に気持ちを向けることが大事」と言います。「僕は取材者として、たくさんのスポーツ選手を見てきましたが、ティーンエイジャーの頃は、うまくいっていると自分の手柄だと思って、有頂天になる場合があるんですよ。そういうときこそ、『本当にこれでいいのかな』『たまたまかもしれない』『周りの助けがあったからだ』と、自分を疑う視点があった方がいいんです」■言葉には体温がある、指導者に聞きたいことがあれば直接話してみよう子どもとのコミュニケーションに加えて、指導者とのやりとりに悩んでいる保護者も少なくありません。練習内容や選手起用に関して、指導者に聞いてみたいけど、どう言っていいかがわからない......。そんな思いをしたことのある人もいるのではないでしょうか。インタビューのプロである二宮さんは、「昔は指導に口出しするなとか、子どもを預けたら文句を言うなといった風潮があったと思いますが、いまの時代はそうはいきませんよね。指導者と保護者のコミュニケーションは、より大事になってきていると思います」と話します。「疑問があるときは、会って話をした方がいいと思います。いまはLINEをはじめ、文字でやり取りすることの多い時代です。ですが、それだと言葉のニュアンスやイントネーションが伝わりきれないところがあります」二宮さんは「私に任せてください」という言葉を例に説明します。「文字で単純に『私に任せてください』と書くのと、実際に会って、笑顔で『私に任せてください』と言って相手の肩をポンと叩くのとでは、受け取る側の印象はまったく違いますよね。文字で『私に任せてください』だと、突き放していると感じるかもしれません。でも会って、顔を見て『私に任せてください』と言われると、安心できますよね。それは、表情や言葉からニュアンスが伝わるからです」練習前後の5分、10分でも、コーチに会って話すことができれば、モヤモヤや疑問の解消にもつながりそうです。「大事な話は、会ってした方がいいです。言葉には体温がありますから。文字だけだと、体温を感じることはできませんよね。字面だけで判断することは危険なので、大事な話をするのであれば、基本的に会った方がいいと思います。どう対応するかはそれからですね」サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」■相手から受け取る情報量のうち、「言葉」はわずか7%コミュニケーションの基本は、顔と顔を突き合わせることにほかなりません。『メラビアンの法則』によると、人間が相手から受け取る情報量のうち、言葉から受け取るのはわずか7%で、それ以外の93%は非言語(表情や仕草など)によるものだそうです。それほど、言葉以外の情報は大切なのです。コロナ禍では会って話をしずらく、マスク越しの表情を読み取るのは難しいかもしれませんが、注意深く観察することを心がけるだけで、得られる情報量が変わってきそうです。お子さんやコーチ、周囲の方とより良いコミュニケーションをとるためにも、ぜひ参考にしてみてください。二宮清純(にのみやせいじゅん)スポーツジャーナリスト。株式会社スポーツコミュニケーションズ代表取締役。1960年、愛媛県生まれ。スポーツ紙や流通紙の記者を経てフリーのスポーツジャーナリストとして独立。五輪・パラリンピック、サッカーW杯、ラグビーW杯、メジャーリーグなど国内外で幅広い取材活動を展開。明治大学大学院博士前期課程修了。広島大学特別招聘教授。大正大学地域構想研究所客員教授。経済産業省「地域×スポーツクラブ産業研究会」委員。認定NPO法人健康都市活動支機構理事。著書に「勝者の思考法」「人を見つけ人を伸ばす」「人を動かす勝者の言葉」など多数。サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」
2022年06月28日攻撃の際、手詰まりになるとサイドにパスを出しがちな子どもたち。サイド=スペースがあって安全と思っているようだが、ボールと人の位置によって安全な預け先は変わることを教えたい。でも、サイド=安全という認識が強いのか、なかなか改善できない。どんな風に教えたら理解させられる?とお悩みのコーチからご相談をいただきました。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、子どもたちに理解させるためのアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<ドリブル、パス、数的優位の作り方同じスキルでも低学年、中学年、高学年とそれぞれの年代で押さえるべきポイントを教えて<お父さんコーチからのご質問>少年団で指導をしている者です。チームに所属しているのは3年生~6年生なのですが、今回は高学年の指導について相談です。ボールを動かす時の判断について、安全なスペースに出すように教えているのですが、子どもたちのなかで「スペースがある=サイド」と認識されているようで、手詰まりになるとサイドにパスを出しがちです。ボールと人の位置によって、安全なパスの預け先は変わることを上手く伝えたいのですが、感覚的に理解させる方法をアドバイスいただけませんでしょうか。何度か言葉で説明したのですが、安全なスペース=サイドと本能的に感じているのかどうしても修正できず......。よろしくお願いいたします。<池上さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。サイドにスペースが生まれるのは、攻撃においては基本的なことです。子どもたちには、サイドが空いて、誰かが埋めて、そこにボールが入ったら「次に何が起きるか」について伝えてください。■まずは「何のためにサイドを使うのか」を理解させることサイドから崩そうとすれば、当然真ん中が空いてきます。サイドにボールが入って、すぐさまサイドから中央にボールを運ばれると、相手は揺さぶられます。ディフェンスからすれば、ボールを追いながら、攻撃してくる相手の動きを把握するのが非常に難しくなります。つまり、隙ができるわけです。そのあたりを詳しく話し、何のためにサイドを使うのかをまずは理解させましょう。そのような理解を促すために私が行うのが3対2の練習です。外側(サイド)のひとりにボールが出ると、ディフェンスはボール保持者をマークしに行きますね。カバーするためにもう一人の守備者が寄って来ます。そうすると逆のサイドが空きます。素早く逆サイドに展開すると、守備の二人の間の距離が空きます。つまり、真ん中の選手が空くわけです。その真ん中に折り返してシュート。もしくはドリブルして引き付けて、逆サイドのノーマークの選手を使うなど、さまざまな選択肢が生まれます。■サイドが相手DFから逃げる安全地帯ではなく、ゴールを狙うためのチャンスになるという認識に変えるそのようなサイドを使う練習メニューは、私の著書や監修した本に出ています。例えば『「蹴る・運ぶ・繋がる」を体系的に学ぶ ジュニアサッカートレーニング』(カンゼン)にも載っています。本の第2章「蹴る・運ぶ・繋がる」を総合的に伸ばす、の項目で、3つのステップに分けて2対1から4対4までの練習を解説しています。良かったらチェックしてみてください。例えば、ラインゴール方式で、ドリブルでラインを通過すれば1点というルールで練習する方法などを書いています。勝ち負けを決める練習のほうが選手は集中するし、楽しくできます。ゴールを狙うので、縦にいく意識が強くなります。そのなかで、サイドが、相手ディフェンスから逃げる安全地帯ではなく、チャンスになるのだという認識に変えていきます。そのような練習をすることで、ゴールを決めるためにはシュートを打たなくてはならない、そのために何をするのかが重要であることを学んでもらうのです。何も考えずサイドに安易にボールを出すのではなく、ゴールにつなげるために最良の選択をする。まずはそういった感覚を身に付けることが大事です。■サイドを使うことで真ん中ががら空きになる、といった事に気づかせる安全に、相手に取られないようにパスを回すだけでは、シュートまでもっていけません。そこで、次のステップでは「どんなふうにしたらゴールまでいけるかな?」と選手たちに考えてもらいます。例えば、外側(サイド)はマークされていないので、そこに出すとします。いいことです。そこでサイドの子がドリブルで仕掛けると、ディフェンスはそこに集中します。そこで、そのサイドの選手を、外側から追い越していくと、相手守備はなおいっそうサイドに集まります。そうすると、真ん中ががら空きになりますね。そこに気づいてほしいのです。そうやって相手を揺さぶること。さらに言えば、サイドにボールを出すときに、選手たちが「その次の次のプレー」が予測できるようになるといいですね。各々の予測が合わないときもあれば、合うときもあります。そうやって連携することが大事です。それを繰り返すことで、選手が「サッカーをどう理解するか」につながるのです。【7月9-10日開催】池上正コーチによる親子サッカーキャンプ開催>>■欧州では1年生ぐらいから外に開く、中にパス、シュートの意味を理解している(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)そのような「サッカーで攻撃するということは、こういうことなんだ」と理解を深めていく。それがサッカーインテリジェンスと言われるものです。こういった理解を、日本の育成ではもっと早い段階で学んでほしいと私は考えます。「もっと攻撃してごらん」「どこに動いたら、相手は困るかな?」「君がどこに動いたら、相手を崩せるかな?」そんなふうに問いかけながら、子どもたちの理解を促しましょう。欧州では、1年生くらいの年齢から、外に開いて、中に入れて、シュートをすることの意味を理解しています。練習で指導者は説明していいと思いますが、試合では自由にさせてください。試合は練習でやってきたことを試す場所です。試すときは子どもたちに任せましょう。「自分たちでできるためにはどうしますか?」と尋ねてください。理解を促すとき、動画があるとわかりやすいでしょう。DAZNのYouTubeチャンネルで内田篤人さんのやっている動画なども参考になります。外部サイトですが、よろしければご覧ください。【内田篤人の実演指導】みんなでやろう「ウッシー」|Players Lab 2nd Season #1|内田篤人のフットボールタイム|2022池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年06月24日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は初心者に多い「ドリブルで相手を惑わす動き、相手との駆け引きがうまくできない」という悩みを解決する、狭い場所でもできるトレーニングをご紹介します。試合中、攻撃のターンでは、ドリブルで相手を交わす際など相手と駆け引きをする場面がたくさんあります。しかし、サッカーを始めたばかりの初心者は、相手を惑わす動きができず動きを読まれやすいためボールを奪われやすいもの。今回は、広いスペースがなくても親子で遊びながら、相手との駆け引きが上手になる方法を紹介。親は難しい動きはありません。【やり方】1.四方に目印を置き、親子で対角線に立つ2.最初は手で行う。親がDF役になって動き、子どもは親の動きに合わせて駆け引きをしながら空いている目印に移動する3.手でやっていたことを、足でドリブルしながら行う4.慣れたら駆け引きをしながら対角のゴールを目指すなど試合の状況に近づける自分がどう動くと、相手はどんな動きをするのかを覚えて、相手の逆をつく感覚を身につけることが大事です。【トレーニングのポイント】・最初は駆け引きの動きを覚えるために、手で行う・親の動きに合わせて、空いている目印(ゴール)を目指す・親の動きをよく見て逆をつくことを意識・常に相手の動きと自分の動きを意識・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年06月23日週2のチーム練習じゃ足りない?プロになりたいならチーム練習以外にJクラブのスクールにも通わすべき?今のところトレセンにも選ばれているけど、周りの子たちは県をまたいでJクラブのスクールに通い、息子と差がついてきている。本人もスクールに興味を持っているようだし、通わせた方が良い?というご相談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの知見をもとに、サッカーの練習が週2で良いと考える理由をはじめ「今」だけでなく「将来」を見据えたアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<サッカー辞めたいと泣いて訴えてきたが、辞める理由が逃げ癖につながるようで不安です問題<サッカーママからのご相談>こんにちは。相談内容は、チームとスクール掛け持ちについてです。5年生の息子はクラブチームに所属しています。練習は週2回で土日のどちらかは試合か練習試合というスケジュールです。本人は将来プロになりたいと言っていて、今のところは県トレセンなども毎回選んでもらっていますが、チームメイトの半分ぐらいは週2のチーム練習のほかに、県をまたいでJクラブのスクール(エリートプログラムのようなレベルの高いコース)にも通っており、どんどん上手くなって息子とは差がついてきているのを感じています。以前は、身体が大きくて小学生時代に活躍できても中学で体格差がなくなると、かつて小さかった子も追いつけるといった論調があったと思いますが、最近では大きい子も早くからちゃんとした指導を受けて技術もサッカー脳も育てているので、そのまま伸びていっている印象です。体格差がなくなったところで追いつけないと感じます。受けたところで合格するのかという問題はありますが、本人のプロになりたいという願いをかなえるためには、チームメイトのようにJクラブのスクールにも通わせた方がいいのか......。息子自身、周りに差をつけられ始めていることを分かっていて、スクールのセレクションにも興味を持っているようです。島沢さんの連載のほかに池上さんの記事も拝見しているので、子どもにとっての良い環境であるとか、練習時間や回数などについても理解しているつもりですが、かけもちして週6日ぐらいサッカーの練習をしている他の子たちを見ると、本人の希望を叶えるためには週2の練習では足りないのかなと思ってしまいます。親としてはプロになる、ならないはどうでもいいとのですが、本人の意欲が高いので掛け持ちさせても良いのかなと思ったりして......。小学生年代でそれはやりすぎでしょうか?ご意見をいただけると幸いです。<島沢さんからの回答>ご相談ありがとうございます。以下、お返事書かせていただきますが、メールの内容だけの印象なので細かい部分で理解の乖離があるかもしれません。そのあたりは、ご理解ください。お母さんがおっしゃるように、週に練習2回で土日のどちらかに活動するくらいの量でちょうどいいと私は考えています。ただし、「正解」はありません。小学生時代にどのくらいの練習量でやったら、プロになったか、世界レベルの選手になっているか、といったデータも見当たりません。まずは、小学生時代の練習頻度が多ければ多いほどプロに近づくわけではない。そこをご理解いただきたいと思います。■親の判断で過度に干渉しないことさて、練習回数をどうするかという話の前に、お母さんにお伝えしたいアドバイスが3つあります。ひとつめ。過度に干渉しないよう気をつけましょう。「親としてはプロになる、ならないはどうでもいい」と書いているのに、「他の子はどんどん上手くなって息子とは差がついてきている」と不安感を抱かれているところが、私は気になります。「本人のプロになりたいという願いをかなえるためには」「本人の希望を叶えるためには」「本人の意欲が高いので」本人の、と何度も書かれていますが、実はお母さんの欲望のほうが強いのではないでしょうか。期待することは構いません。が、子どもへの親の期待の両側には、成功すれば「慶(よろこ)び」があり、失敗すると「嫌悪」の感情が渦巻くのが常です。それを考えると、プロになる夢は息子さんのものだととらえるほうが、断然健康的です。お母さんの夢ではない。夢の途中にいる今、お母さんの判断や憶測で干渉しないほうがよいと考えましょう。■親が先回りしてやらせることで、子どもの成長機会をつぶしてしまうふたつめ。煽らないこと。「息子に○○させる」「○○させたほうがいい」といった「させる発言」が目立ちます。この言い方は、お母さんが「主語」です。息子さんが夢に向かって動いているのですから、まずは「主体」である彼が自分から動き出すことが重要です。彼自身が「今よりもっと上手くなりたいから、一日だけサッカースクールに通ってもいいかな?」と言い出すのを待ってみてはいかがでしょうか。それを、「週2の練習では足りないと思うから、他のところでやってはどうか?」と親が先回りしてやらせては、子どもの成長機会をつぶしてしまうことになりませんか。そもそも、週2の練習で足りないと考える時点で、息子さんからすれば自分を否定されていると感じるかもしれません。■親主導はNG!子どもが本当に望んでいるなら、スクールについて話しあえばいい三つめ。自信を削るリスクのあることは、親主導で進めないようにしましょう。県トレセンなども毎回選んでもらっているようで、優秀なお子さんのようです。であれば、合否のあるJクラブのスクールに入るテストのようなものを親のほうが強く勧めないほうがいいと思います。お母さんは「スクールのセレクションにも興味を持っている」とありますが、もしかしたら、お母さんが不安を抱いていることに気づいた息子さんが「お母さんも心配そうだし、スクール受けたほうがいいかな?」と不安になっているのかもしれません。よって、こんな場合は「焦ることないよ。一日、一日の練習に集中すればいいんじゃないの?」とか、「休みの日はサッカーで遊んで来れば?」という感じで、親御さんがどんと構えているご家庭のほうが子どもは「あと伸び」します。もし、ほかのスクールに行きたそうな様子であれば、「君がスクールに行きたいならサポートするよ」と言えばいいし、「君は週3日では足らないなと思うなら、一日どこかでサッカーする日を増やしてみる?君はどう思う?」などと話し合ってもいいと思います。そんなふうに聞いてみてはどうでしょうか?■運動のし過ぎは足の痛みなど健康を損なうリスクが高い加えて、私が上記程度の活動量でいいと考える理由は、2つあります。ひとつは、体への負担です。例えば、以前取材した小学生も週に6日サッカーをしていました。小学2年生からずっと、土日は試合や遠征、平日2日は放課後に近隣のクラブで練習。他の2日間は、親御さんが車で往復2時間以上かけてサッカースクールに送迎していました。その子はいつも、足の甲やかかと、膝の痛みに悩まされていました。さらに、就寝時刻は、近隣クラブの日で10時半、スクールの日は11時半を回っていました。6年生になるころ、サッカーをせずに祖父母が主に面倒を見ていた2つ下の弟に身長で抜かれました。運動のやり過ぎは健康を損なうリスクが高いのです。■家族と出かける時間や友達と遊ぶ時間も人間形成に必要(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)理由の二つめは、サッカー以外にも、子どもには豊かで楽しい時間が必要だからです。土日のどちらか家族と出掛け、平日はサッカー以外に友達と遊んだり、勉強や読書するなどほかのことに時間を使う。そうやってリラックスして、さまざまな経験をすることは人間形成には必要です。したがって、上述したくらいの頻度、強度であれば、体に負担をかけずスポーツ障害などと無縁で次のキャリアに進めると思います。お母さんはサッカー選手を育てているのではありません。子育てをしています。子育てした結果、夢を叶えてサッカー選手になったのなら、彼の力だと慶びましょう。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2022年06月22日近年、新型コロナウイルスの影響で、保護者が子どものサッカーを観戦する機会が減っています。そんな中、子どもにサッカーのことを聞くと「別に」「普通」など、そっけない反応が返ってくることも多いのではないでしょうか。そこで今回は、スポーツジャーナリストとして多くの著名人、アスリートの取材をしてきた二宮清純さんに「子どもの答えを引き出す、質問の仕方」についてうかがいました。「質問のプロ」でもある二宮さんは、相手とコミュニケーションをとるときに、どんなことに気をつけているのでしょうか?(取材・文鈴木智之)写真は少年サッカーのイメージ■子どもに質問する時にどんなことを心がければいいのかスポーツジャーナリストとして数々の著名人、スポーツ選手にインタビューをしてきた二宮さんに、「親が子どもに質問をするときに、どんなことを心がければいいのでしょうか?」と尋ねると、次のような言葉が返ってきました。「言葉だけに頼らないことですね。人間の本音は表情やしぐさに出ます。お子さんが『大丈夫』と言っても『本当に大丈夫なのか?』と、言葉どおりに受け取らず、観察することが大切だと思います」二宮さんは自身のジャーナリスト生活を振り返り「インタビューをするとき、言葉だけに頼ると失敗します。仕草や態度、表情、目や指の動きなど、いろいろなところにその人の考えや心配していること、訴えたいことは出ますから」とアドバイスをくれました。■「別に」「普通」で終わらせないためには、言葉だけに頼らないことお子さんが何か問題を抱えていたとして、言葉では「何もないよ、大丈夫だよ」と言うことがあります。それは親を安心させるためかもしれないし、喋りたくないこともあるでしょう。「それは親子間だけでなく、夫婦間でもそうですよね。奥さんの機嫌が悪そうなときに『どうしたの?』と聞いても『何でもない』『大丈夫』と言うかもしれせん。でも、そのときの言い方や表情、しぐさに情報が含まれていますから、それを見逃さないことですね」子どもがサッカーを終えて「今日どうだった?」と聞くと「普通」「別に」などの返事があったとします。そのときに、言葉の裏側にある感情に目を向けると、一歩進んだコミュニケーションがとれそうです。「子どもが『別に』と言ったとしても、怒ったような『別に』なのか、本当に何もない『別に』なのかで、イントネーションが違いますよね。そのニュアンスにヒントが隠されているので、よく観察することですね。その中で、イライラしている素振りがある、足をバタバタさせている、目に落ち着きがないなどの変化を感じたら、ひょっとして何かあるのかな? と考えを巡らせてあげてほしいと思います」■何かあったと感じても無理に聞き出そうとするのは逆効果二宮さんは、「子どもの変化を感じた場合、その場で『何があったの?』と問い詰めない方がいいですね」と、優しく語りかけます。「問い詰めることで、相手が態度を硬化させることがあります。インタビューをするときに、無理やり首根っこを捕まえて『喋れ』と言っても喋りませんよね。取材対象者に、『この人になら話をしてもいいかな』と思ってもらえるように、手を変え品を変え、コミュニケーションをとりながら話をしてもらうのが、僕らの仕事です。相手が自分の子どもであっても、そのような配慮はするべきだと思います」子どもはひとりの独立した人間です。小学生の頃は親の庇護下にありますが、いち個人として尊重することから、良好なコミュニケーションは始まります。「大人も子どももそうですが、喋りたくないことってあるじゃないですか。それを無理に聞き出そうとすると逆効果になるので、相手が話したくなるまでは、見守る方がいいと思います。ただし忘れてはならないのが、子どもの異変に鈍感でないこと。気がつきつつ、見守るというスタンスがいいと思います」サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」■親子でも距離感が大事。近ければいいわけではないそんな中で、様子がおかしいと感じることが続くようであれば、話をするようにうながすのが良さそうです。「異変が何日も続くのであれば、『話してごらん』と、優しく諭すように言ってあげるといいのかなと思います。親が子どものことを一番よく知っているわけで、観察していたら、いつもと違うなと察知できるはず。それが大事なことだと思います」キーワードは観察すること。そして、大切なのはお互いの距離感。二宮さんは「スポーツは距離感を教えてくれる」と言います。「選手とコーチ、親御さんと子どももそうですが、スポーツは距離感のトレーニングになります。距離感はすごく大切で、ただ詰めればいいというわけではないんですね。相手の近くに寄り過ぎると見えづらく、離れすぎても見えません。カメラと一緒で、顕微鏡が必要なときもあれば、双眼鏡が適しているときもあります。今日は顕微鏡で見てみようか。少し引いて双眼鏡で見てみようかと、どちらの視点も持ちながら、子どもの置かれた状況に応じて使い分けることが大切なのかなと思います」■子ども自身が自分と向き合う時間や逃げ場を用意してあげよう二宮さんは取材時に、「いまは離れて見たほうがいい」「ここは近づくべきだ」など、対象者との距離感を意識しているそうです。「木を見て森を見ずという言葉がありますが、僕は木も森も両方見るべきだと思うんです。それが、相手とのいい距離感を保つ方法だと思います。そして、ときには立ち入らないこと。子ども自身が自分と向き合う時間を大切にしてあげてほしいし、逃げ場を用意することも必要です。それを考えることが、親と子の適度な距離感を推し量る上でのヒントになるのではないかと思います」会話を交わす中で、お子さんの様子を観察し、状況に応じて距離感を変えて接してみる。それが良いコミュニケーションにつながると、二宮さんは教えてくれました。後編では、具体的な質問の仕方や、コーチとのコミュニケーションについて紹介します。二宮清純(にのみやせいじゅん)スポーツジャーナリスト。株式会社スポーツコミュニケーションズ代表取締役。1960年、愛媛県生まれ。スポーツ紙や流通紙の記者を経てフリーのスポーツジャーナリストとして独立。五輪・パラリンピック、サッカーW杯、ラグビーW杯、メジャーリーグなど国内外で幅広い取材活動を展開。明治大学大学院博士前期課程修了。広島大学特別招聘教授。大正大学地域構想研究所客員教授。経済産業省「地域×スポーツクラブ産業研究会」委員。認定NPO法人健康都市活動支機構理事。著書に「勝者の思考法」「人を見つけ人を伸ばす」「人を動かす勝者の言葉」など多数。サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」
2022年06月21日ドリブルやパス、攻撃や守備の原則、数的優位の作り方など、どの年代でも必要な要素はあるが、年代ごとにレベルが違うもの。同じスキルでも低学年、中学年、高学年とそれぞれの年代で押さえておくべきポイントは何になるのか、どんなトレーニングをすることで理解が進むのか......。と悩む新米お父さんコーチからの相談。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、年代ごとの指導のポイントを教えます。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<数的優位を作る指導のコツ、どこを見て、何が見えていればいいのか理解させる教え方はある?<お父さんコーチからのご質問>はじめまして。少年団コーチです(指導年齢:U-8~12)。子どものチーム入団とともにコーチをすることになりました。サッカーは高校までやっていましたが、指導の勉強はしたことがないのでご相談させてください。ドリブルやパス、攻撃や守備の原則、数的優位の作り方などサッカーにおける基本的な技術はどの年代でも必要なわけですが、各年代で求められるレベルが違うと思います。同じスキルでも低学年、中学年、高学年とそれぞれの年代で押さえておくべきポイントは何になるのか、どんなトレーニングをすることで理解が進むのか、要点を教えていただけませんか。関わるのが全学年なので、どうぞよろしくお願いいたします。<池上さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。ご自身も高校までサッカーをしていたのですね。サッカー経験者の場合、ご自分のなかで経験したことでしかサッカーを考えられない傾向があります。例えば、練習メニューも自分がやっていたことがまず思い出されたりします。サッカーのとらえ方もそうなりがちです。古いデータを捨てて、パソコンのソフトをバージョンアップさせるように、新しいことを学んでください。■まずはドイツサッカー協会が掲げている年代別の育成論を確認してみようご質問が、低学年、中学年、高学年とそれぞれの年代で押さえておくべきポイントと、どんなトレーニングをすることで理解が進むのか、という二点です。どちらも、大きな話になってしまうので的を射た話にならないかもしれませんが、ご了承ください。もしこれからさまざま勉強していくのであれば、まずはドイツサッカー協会が掲げている年代別の育成論を読んでみてください。ネットにいくつもが情報あります。ここでは一例を紹介します。・あらためて、ドイツ「育成年代の改革」を構造で理解する/ドイツメソッド・ミニマム講座|COACH UNITED(コーチ・ユナイテッド)これを読むと、皆さんがこれまで受けてきた指導とまったく違うことがわかるかと思います。加えて、ドイツの年代別トレーニングは、現地で長年指導している中野吉之伴さんの本に詳しく載っています。・世界王者ドイツの育成メソッドに学ぶ サッカー年代別トレーニングの教科書|中野吉之伴また、私も練習メニューやコーチングの著書があります。・「蹴る・運ぶ・繋がる」を体系的に学ぶ ジュニアサッカートレーニング|池上正・池上正の子どもが伸びるサッカーの練習|池上正、清水英斗そういったネットの情報や、書籍でまずは勉強をしてほしいと思います。■低学年は、キックやドリブルよりゲームを中心にそこで、私がカテゴリーごとで大切にしてほしいポイントをお伝えします。皆さんは、最初にドリブルやパスといった足元のスキルを教えられてきたと思います。しかし、実はサッカーは、ゲームのなかでいろんなことを理解していくことが重要です。特に、入り口になる低学年はゲームを中心にやってください。足元の技術を取り上げて練習する時間よりも、ミニゲームを長くやります。そうすると、子どもが低学年だと団子になりやすいですね。そこで、どうしたら広がれるかを問いかけながら、理解させましょう。その際、コーチはキックやドリブルにあまり注意を払わず、上手く広がってパスをもらえたら、その選手をほめてあげてください。また、そういう選手を見つけてパスできた側の選手も、大いにほめます。「広いほう、よく見てたね」「広いほうにドリブルできたね」やったプレー、起きた事象をなぞるだけでいいのです。そうやって「広いほうをよく見る」といったことに目が向けばいいわけです。そうすると、だんだんサッカーの試合になっていきます。そうするよう、ぜひ導いてください。■中学年は仲間と連携して相手守備を崩す理解を、高学年はプレーの選択肢を増やす次に、3~4年生の中学年です。広がったら、プレーがやりやすくなることがもうわかり始めています。そこで、どうしたらもっと効率よく、点が取れるか。そこを選手に考えてもらいます。そのために、例えばワンツーパスやシザースにトライしてもらいます。仲間とグループで相手の守備を崩すことを理解してもらうのです。そして、5~6年生の高学年です。実際の試合で、それまでやってきたことをどんどん試してもらいます。「ワンツーはこんなふうに使えばいいんじゃない?」などと、プレーの幅が広がるよう、選択肢を増やすことに重心を置いてやっていきます。そのような練習でやったことを、必ず試合で試す。うまくいかなかったら、それをどうやったらうまくいくのかを練習してもらうのです。その点で、技術のことは高学年からやっていっても、まったく問題ないと私は考えます。サッカーを理解すると、スキルを伸ばすモチベーションは当然上がります。例えば、スペースに入ったのを味方が見つけてくれてパスが来たのに、自分がトラップミスをしたとしましょう。「止めておけば、1点だったのに」そう感じる悔しさが、子どもたちを向上させます。もっと正確にしないとうまくいかない。もっと早くプレーしないと、相手にとられる。そういうことが感じられるようになって、コーチのほうも初めて技術を追求すればいいかと思います。速いボールを止める、蹴る。動きながら、止める、蹴る。といった感じで、レベルアップできます。【7月9-10日開催】池上正コーチによる親子サッカーキャンプ開催>>■ドリブルやボールを正確に蹴ることより「見ることが大事」と認知させよう(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)実は多くの指導者が、ドリブルができなかったり、ボールを正確に止められなければ「試合にならない」と考えています。しかし、そこに注目すると、今までの日本のやり方と変わらなくなります。「あそこにパスしようよ。そうすると、あの子はシュートできるよ」と1年生に伝えると、1年生はその子を見て蹴ります。むやみやたらに蹴ったりはしません。止まって、見て、顔を上げて蹴るようになります。そうやって「見ることが大事だ」ということを認知させます。ミニゲームのなかで何回も蹴っている間に、たまに届いたりします。それが届かないとか、蹴りづらさを本人が感じているようなら、じゃあいったん蹴り方を教えようかとなります。それは個人でもできます。個人的な話になりますが、私はサッカーを始めたのは高校に入学してからです。それでも上達しました。したがって、技術を身に付けるのは15歳のこの時期からだと考えます。先ほども言いましたが、サッカーがどんな競技なのか理解することによって「このボールを正確にできたら!」と思えるのです。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年06月20日じめじめした梅雨シーズンのお悩みのひとつは、雨に濡れたサッカー用具や洗濯物をいかに早く乾かすか、ではないですか。「翌朝になってもスパイクが乾かず、濡れたスパイクで試合に出場しなくてはならなかった」という経験がある方も多いのでは。そこで、川崎フロンターレで長年ホペイロ(用具係)を努める伊藤 浩之さんに、梅雨どきの洗濯方法と用具メンテナンス方法を伺いました。子どもが気持ちよくサッカーをするために心得たいノウハウが満載です。(取材・文:小林博子)選手たちの商売道具であるユニフォームやスパイクは、ホペイロさんの手によって管理されている©KAWASAKI FRONTALE<<前編:川崎フロンターレも実践!ユニフォームの"においと汚れ"をすっきり落とす「洗濯」のコツ■洗濯の基本をおさらい前編では、天候にかかわらずユニフォームやソックスなどの衣類をすっきり洗う洗濯方法を、川崎フロンターレのやり方にそって伺いました。おさらいをすると、・洗濯洗剤や柔軟剤は市販のものでOK!規定量を守る・一度に洗う衣類の量は洗濯槽の8割まで・40度のお湯で洗うとベター・パワフルコースなど、汚れ落ちに特化したコースを活用する・脱水後はすぐ干す。衣類は5cm以上の間隔をあけるなどが大切なポイントです。■川崎フロンターレでは常に「部屋干し」また、前回の記事でわかるように、フロンターレには「乾燥室」があり、ユニフォームをはじめスパイクなどもすべて部屋干し。施設の都合上そうである事情はありつつも、必ずしも外に干すのがベストとはいいきれないようです。紫外線の殺菌や消臭効果はもちろん期待したいところですが、紫外線は同時に衣類を傷める要因のひとつでもあります。それよりも衣類の乾燥に大切なのは「風」。フロンターレの乾燥室は風が循環する仕組みを施し、しっかり乾かしていると伊藤さんは言います。なお、スパイクなどもこの乾燥室で乾かしているそう。雨の日でもしっかり乾くこの部屋があれば無敵ですが、家庭には当然ありません。プロクラブのような施設がない家庭でできる梅雨の乾燥対策を伺ったのでご紹介します。■子どもにもできる、スパイクの基本の手入れ法長年選手をサポートしてきた伊藤さんは、用具を大事にすることはプレーにもつながるといいます。©KAWASAKI FRONTALEスパイクは濡れているかどうかにかかわらず、脱いだ後はその日のうちに汚れや芝、泥などを毎回落としておくのがベターです。人工芝やゴムチップなども丁寧に取り除きましょう。これは子どもでも自分でできることなので、習慣化できるといいですね。サッカー場などに芝やチップを飛ばす「エアクリーナー」が設置されている場合は、それも活用すると良いでしょう。最近では、空気で埃や繊維を飛ばす「エアダスター」と呼ばれる商品も市販されているのでそういったものを活用するのも手です。「用具を大切にすることはプレーにも良い結果につながります」と、伊藤さん。クラブ創設当時からホペイロを20年以上勤め、その間多くの選手を見てきました。そんな伊藤さんのお言葉に重みを感じます。サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」■雨で濡れたスパイクを早く乾かす方法スパイクが雨などで濡れてしまい、翌日も試合で履く予定というケースは梅雨どきに頭を悩ませる困りごとのひとつです。少しでも早くすっきりと乾かす方法はあるのでしょうか。伊藤さんに伺うと、そのコツは「アイテム使い」にあるようです。スパイクを早く乾かす便利アイテムをご紹介します。その1)靴乾燥機(シュードライヤー)家電量販店などで、靴専用の乾燥機が販売されているのをご存じでしょうか。さまざまなメーカーのものがあり、靴2足をさしてスイッチを入れるというもの。「ヘアドライヤーでいいのでは」と思いがちかもしれませんが、靴乾燥機は出る温風の温度が低めで靴を傷めないところがおすすめの理由だそうです。また、靴をさしてスイッチを入れるだけでいいので、手間がかかりません。消臭タイプのものや、パパの革靴にも使えるモードがあるものなど、機能はいろいろで、販売価格は3,000円前後となっています。その2)靴用の乾燥剤スポーツメーカーなどから販売され、吸湿剤が入っているバッグ状のものがあります。靴の中にいれておくことで、靴の乾燥を早めるのだそう。昔ながらの「新聞紙を詰めておく」という方法に近い手法ですが、吸湿剤がパワフルに湿気を吸い取ってくれるので新聞紙より時短になります。吸湿剤の他に消臭剤が入っているものも。販売価格は500円~1500円程度が目安で、繰り返し使えます。複数個使って靴の中に詰めることで素早く乾くのだそう。子どもでも簡単にできるので、スパイク管理を自分で体験することで、物を大事にすることを身につけさせるのにもお勧めです。その3)コインランドリー最近ではコインランドリーに靴専用の乾燥機が置いてあるところもあります。業務用でスピーディーに乾きますので、近くにある場合は利用するのも手です。■さらに早く乾かすためのひと手間とは?靴乾燥機やシューズドライヤーを使うとき、さらにひと手間加えることで乾くスピードをアップさせることができます。すぐにできる2つのコツを教えてもらいました。その1)水分を吸い取ってから乾燥させる濡れたスパイクやシューズは、雑巾やキッチンペーパーなどで水分をある程度吸い取ってから乾燥させるといいそうです。衣類のように脱水機にかけられないシューズ類にはこの方法がてきめんに効果を発揮してくれるそうですよ。その2)中敷は外して乾かす中敷を外すのも早く乾かすためにできることの一つなのだとか。外したら軽く洗ってから干すことで汚れやニオイ対策にもなるそうです。■子どもが思いっきりサッカーを楽しむサポートをサカイクで提唱している「サカイク10箇条」では、「子どもがサッカーを楽しむことを最優先に考えよう」を1項目目に掲げています。私たち親にできることは、それをサポートすること。「洗濯」もその一つといえます。もちろん、スパイクの日々の手入れや洗濯の手伝いなどは積極的に自分でやってもらうことも大切ですが、特に雨が続く時期の洗濯は難易度が高めなので、大人がノウハウを駆使してサポートしてあげるのがよさそう。最近では洗浄力の高い洗剤もたくさんありますし、濡れた靴を乾かす便利なアイテムも販売されているので、そういったものも使って親御さんも負担になりすぎないようにしてほしいものです。そして、子どもにはすっきり清潔な用具を身につけて、気持ちよくサッカーを楽しんでもらいたいですね。サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」
2022年06月17日サカイクでは、夏休みに宿泊ありのサッカーキャンプを実施しています。サッカーの指導に加えて「ライフスキル」を高めるカリキュラムもあり、参加者からは「初対面でも、すぐに友達になれた」「何事にも、前向きにチャレンジできるようになった」などの感想が寄せられています。サッカースキルに加えて、人として成長する部分のサポートもしているサカイクキャンプ。2022年の5月に「宿泊ありのキャンプは不安」という保護者やお子さんの声にお応えし、サカイクキャンプが体験できる「1dayサカイクキャンプ」を実施しました。「1dayサカイクキャンプ」に参加したお子さんの保護者は、どんな理由でお子さんをサカイクキャンプに参加させたのでしょうか?3名のリアルな声をお届けします。(構成・文:鈴木智之)サカイクキャンプのトレーニングを体験<<【キャンプ参加者の声】たった3日間で自信のついた息子に変わった!■1dayキャンプ参加の理由は「初対面の子との関係性構築」を体験させるため1人目は小学3年生のハルマくんです。ハルマくんは身体が小さく、プレー中に他の子に負けてしまうことがあり、サッカーに対するモチベーションが下がっていました。そんなとき、チームメイトの保護者にサカイクを教えてもらい、1dayサカイクキャンプに参加しました。お母さんは「クラス替えなどの学校行事で、新しい子たちと一緒になる機会も多いので、初対面の子と関係性が構築できるようになってほしかった」と、参加した理由を教えてくれました。サカイクキャンプで実施しているライフスキルにも興味があり、お子さんの「聞く力」や「理解力」を高めることが、思考力の向上にもつながると考えているそうです。「ハルマの宿泊経験は、仲の良い友達とのお泊り会やキャンプ程度ですが、親元を離れることに不安はありません。いずれ親の庇護を離れ、自立しなければならないので、(夏に行われる)2泊のキャンプをきっかけ作りにしたいです。自分の人生を自分で決められる子になってほしいです」■人見知りなわが子が初対面の子たちと楽しくできそうか知りたくて1dayを体験2人目は小学3年生のマコさん。1dayサカイクキャンプに参加した理由は「人見知りでコミュニケーションが苦手だから」とのこと。所属クラブの中には女子が一人なので、周りの男の子たちと上手く話せないこともあり、「初めて会う子たちと、コミュニケーションをとれるようになってほしい」という、保護者の想いがあったそうです。宿泊キャンプにも興味があるそうですが、その前に「人見知りなわが子が初めての子たちとサッカーが楽しめるか」を知るために1dayキャンプの体験を決められたようです。ライフスキルの面では「思考力」に期待してるそうで、「すべてにおいて自分で決められない子で、食事も服も『どうでもいい、ママが決めて』と親任せのことが多いので、自分で決められるようになってほしい」と願いを口にします。■宿泊キャンプの前に指導の雰囲気を感じたかった最後は小学3年生のカナタくん。1 dayキャンプに参加した理由は「サカイクキャンプで行っている『褒める指導』が、子どもに合っていると思ったから」と話してくれました。数か月前までは、子どもより自分の方がサッカーに力を入れていて、荷物も全部保護者が用意して、練習に「行くよ」と連れて行っていたそうです。ある時、お子さんが「サッカーを辞めたい」と泣いて訴えてきたことから、意識改革が始まります。ハッと気が付き、お子さんへのかかわり方を変えたそうです。「時間がかかっても自分で準備をさせ、自分でサッカーに行くことを見守るようになりました。子どもが泣いて訴えられる子でよかったです。泣かれるまで、サッカーが嫌いになっていたことに気がつきませんでしたから」チームの指導者は、どうしても言わなければならないことはビシッと言いますが、基本は冷静で怒らないそうで「サカイク/シンキングサッカースクールのように、楽しくプレーさせる指導は、我が子に合っている」と感じているようです。2022年夏サカイクキャンプ参加者募集中!■たった1日でもキャンプの雰囲気を知れたので宿泊キャンプの不安がなくなったお昼ご飯の後はライフスキル講習も行われました今回、話を聞かせてくれた3組の保護者、お子さんに共通するのが「学校で経験する新しい出会いの前に、サッカーを通して、初対面の人と話をする経験をさせたい」という思いです。サッカーを通じて、初対面の人とコミュニケーションをとることや、ライフスキルに触れることで、お子さんのマインドに変化が現れることに期待する声が聞かれました。ほかにも、1dayサカイクキャンプを通じて、「トレーニングの様子やコーチの子どもたちへの接し方など、雰囲気を知ることができたので、不安がなくなりました。子どもが希望すれば、夏のキャンプに行かせたいです」というポジティブな意見も多かったです。■自分で考えて決断すること、チャレンジする気持ちを後押ししてくれるキャンプ今年のサカイク夏キャンプは2泊の日程で行われます。サッカーを通じたコミュニケーション、5つのライフスキルの講習を体験することで、人間的な成長も期待できます。コーチ陣による「ポジティブな指導」を通じて、自分で考えて決断することや、前向きにチャレンジする気持ちを後押ししてくれます。過去の参加者からは「3日間で、見違えるようにたくましくなった」という声も聞かれ、お子さんが変わるきっかけになるキャンプとして好評を博しています。興味のある方は、こちらで詳しい内容に触れてみてください。ひと夏の経験として、忘れられない体験ができるとともに、サッカーをもっと好きになってくれることでしょう。2022年夏サカイクキャンプ参加者募集中!」
2022年06月16日前回、前々回のコラムで、サッカー大国ドイツ・ブンデスリーガクラブのマインツでは育成アカデミーでの取り組みとして、プレー面だけではなく、子どもたちの学校生活、そして彼らの人間性の成長とどのように向き合い、サポートすべきかが丁寧に考えられているというお話をしました。ではこうした人間性へのアプローチはどんな子どもに対してもうまくいくものなのでしょうか。マインツ育成アカデミーで教育担当スタッフチーフを務めるヨナス・シュースターさんに伺いました(取材・文・写真:中野吉之伴)マインツのクラブハウスにて、お話を聞かせてくれたヨナス・シュースターさん<<:至れり尽くせりじゃないからこそ子どもが成長、ブンデスリーガ・マインツが取り組む保護者に歓迎される取り組みとは■家庭環境が選手の成長に大きな影響を及ぼすシュースター「私がマインツでこの仕事を始めて5年、その前の育成指導者時代を含めると11年このクラブにいることになります。いろんな子どもたちを見てきましたが、本当に家庭環境というのが彼らの歩みに非常に大きな影響を及ぼしていると思います。この年齢までにそれぞれがご家庭で親のもとでどのような教育を受けてきて、どのような習慣が当たり前になっているのかがとても重要になります。ただ私たちが重要視する価値観とは全く違う環境で育ってきた子どもたちがいます。これはあくまでも一例ですが、ベルリンからとある外国籍選手の獲得を考えていた際、全くうまくいかなかったんです。彼がどのような影響下で育ったかというと、『女性は男性よりも価値が低い』という教えのもとだったんですね。大人の男性から何かを言われたらリスペクトを持って聞こうとしますが、大人の女性から言われたら何も聞こうとはしない。学校でもです。女性の先生からは何を言われても何もしない。でも同じ事を男性の先生に言われたらするんです。彼はそのようにしつけられてきた。でもそれを私たちは受け入れることはできない。何度も何度も彼と話をしました。『男性と女性とを比較してはいけない。男性でも女性でも同じようにリスペクトの心を持たなければならない』1、2週間は効果がありました。でもすぐにまた元に戻ってしまったんです。しみついている習慣を根本から変えるのはあまりにも大きな労力が必要になります。それこそそのための専門家の助けが必要なほどに。最終的に私たちはその選手の受け入れをあきらめ、ベルリンへと送り返すことにしました」■選手を知るとき、両親もチェック家庭でどのような価値観を大切として育ってきたのか。それが選手それぞれの基盤として備わっている以上、クラブとしてもそれが自分達の価値観とあうかどうかをとても注意深くチェックするといいます。シュースター「興味深い選手がいるとその子と個人的に知り合う機会をまず持つわけですが、その時には両親も一緒に来てもらいます。学校やスタジアム、練習場や寮施設などを紹介しながら周りますが、その際に両親についての詳細を知るためにたくさんの話をするようにしています。例えば学校に行くと学校にはマインツとコンタクトを取ってくれる先生がいます。学校生活における話をして、それも含めた生活が彼に合っているのかどうかを話したりします。それからクラブでは普段の生活についての話をします。スポーツ面でもそうですね。スカウトや監督、コーチとも話をしてもらいます。選手の長所と改善点を話したうえで、マインツのクラブ哲学とコンセプトを理解してもらわなければなりませんから。『どの話の時にどんな反応をするのか』『どんな質問をしてくるのか』私たちは子どもや両親が示す反応をつぶさに観察しておきます」■技術レベルが高くても内面が未熟な選手は獲得しない新選手獲得に関しては誰かの決断に依存しないようにするのが大切だとシュースターさんは強調していました。学校関連の担当者、教育担当チーフであるシュースターさん、そしてスポーツ面を精査する育成ダイレクターと3者がそろって「この選手はマインツに合う」と認めて初めて、獲得が決断されるといいます。それぞれの専門分野から選手を観察し、チェックし、それをもとに協議して決める。そうすることで獲得してから「こんなはずじゃなかった」と互いに嘆くことは相当少なくなったそうです。シュースター「それこそピッチ上でのプレーだけを見るとものすごいスピードがあって、技術レベルも相当に高い14、15歳の選手だったとしても、スタッフとのやり取りでこちらの目を見ない、何を聞いても『はい、はい』としか答えない。頭の中は10~11歳くらい。とても自分のことを自分でやれるように成熟しているとは言えない。そうなると獲得には動きません。プレーレベルが高いから即獲得とはできないんです。選手が私たちのクラブで居心地よく感じてくれて、自分のパフォーマンスを発揮できる空気感があってというのがかみ合わないと、どちらにとってもプラスにはならないではないですか。仲間との生活、学校での生活、クラブでの生活。それらが機能しないことには始まらないんです」このように選手としての才能だけではダメだという背景には、人間性の成長とプレーヤーとしての成長とには確かな相互関係があるからだとシュースターさんは主張します。どんな人間でも気分というのがあります。機嫌に左右されることがあります。サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」■サッカーと日常生活はすべてつながっている。謙虚さ、周りへのリスペクトを忘れずにサッカーがうまくいっているときは学校でもうまくいくし、人間関係的にも問題がないというのはよくある話。そうした時でも謙虚さを失わずに、周りへのリスペクトを忘れずに、日々の生活を大切にしているかは長期的に見たらとても重要なポイントになります。あるいはケガがあったり、調子を落としたり、あるいは監督やコーチとの関係がうまくいかなくなってしまい、スタメンで起用される頻度が少なくなったり、思い通りのプレーがなかなかできなくなってしまいます。そうなると学校でのやる気が減少して成績も下がったり、誰かと話をしていてもちょっとしたことでイライラしてしまったりすることもあるでしょう。そんな時でも落ち着いて自分を見つめ直して、何をするべきかを整理して、周りのアドバイスに耳を傾けて取り組んでいく姿勢を持っているかでその後は大きく変わってくるはず。サッカーと日常、全てはつながっているのです。マインツで重要視されている「リスペクト、寛容さ、謙虚さ」について、皆さんもご家庭でお子さんとお話してみませ。サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」
2022年06月15日練習着などの洗濯は、サッカーを楽しむ子どものために親ができるサポートのひとつです。たくさん汗をかいてしっかり汚してきた洗濯物は、次に着る時に気持ちよく身につけてもらいたいですね。そこで、Jリーグ川崎フロンターレでホペイロとして活躍する伊藤浩之さんに、ユニフォームやスパイクの洗濯や手入れのコツを伺いました。前半では一般的な洗濯術について、後半ではこれからの季節に気になる梅雨時の洗濯についてご紹介します。(取材・文:小林博子)選手たちのユニフォームやスパイクはホペイロの伊藤さんが準備している©KAWASAKI FRONTALE■サッカー選手を支える「ホペイロ」とはどんな仕事?今回お話を伺った伊藤 浩之さんの職種は「ホペイロ」。ホペイロはポルトガル語で、日本語に訳すと「用具係」です。仕事内容は主にユニフォームやスパイクなど試合時に身につける用具の管理や準備、メンテナンスなどを行うことで、選手がサッカーをスムーズにするために重要な役割を担うポジションです。ちなみに、今回お話をうかがった伊藤さんは1997年のクラブ発足時からホペイロを努める最古参スタッフの一人だそう。近年の川崎フロンターレの躍進を支えています。今回洗濯術を教えてくれたフロンターレのホペイロ、伊藤浩之さん©KAWASAKI FRONTALE■プロクラブの洗濯方法は家庭でも再現可能なことばかり!川崎フロンターレで実践している洗濯方法は、聞いてみると家庭でもできることばかりでした。まずは基本の洗濯方法をおさえましょう。その1)仕分けと部分洗い数多くの選手の衣類を洗濯するため、まずは色柄物と白物、そしてアイテム別に分けます。その際に1つずつ検品し、目立つ汚れがあった場合は事前に部分的につまみ洗いをしておきます。その2)使う洗剤は3種類洗濯機に衣類を投入後、洗剤を入れます。3種類の内訳は・液体洗濯洗剤・液体酸素系漂白剤・柔軟剤(消臭タイプ)です。3種類は業務用の特別なものではなく、ドラッグストアで販売しているごく一般的な商品だそうです。酸素系漂白剤は黄ばみ予防やニオイ対策のために使うと教えてくれました。なお、柔軟剤は衣類の「着心地・履き心地」を良くするために必要なもの。とくにソックスは柔軟剤を使うと使わないとでは大きく差が出てしまうとのことです。ユニフォームもソックスも汗をたっぷり吸収するため、消臭タイプであることもポイントのひとつ。汗による雑菌の繁殖を抑える効果も期待できます。その3)「汚れ強め」コースで洗濯川崎フロンターレで使用する洗濯機は業務用のもの。さまざまなコースがある中で普段使っているのは「汚れ落ちコース」です。家庭用洗濯機にも多彩なコース設定がありますが、同様のコースに該当する「汚れが強めな衣類を洗濯するコース(例:パワフルコース)」を選ぶとよいでしょう。その4)「乾燥室」に干す川崎フロンターレでは、クラブハウスをリニューアル後に「乾燥室」が設けられました。それまでは家庭と同じように外干しをしていたそうです。乾燥室では常に空気が循環する空調が設置され、衣類に風が当たるようになっています。これを家庭で再現するなら、浴室乾燥または部屋干しで扇風機やサーキュレーターの風を当てるという方法だそうです。■しっかり洗い、すっきり乾くためのコツご紹介した4つのフローは、ごく一般的な洗濯方法となんら変わりがないことがわかりますね。そのフローの中にちりばめられたちょっとしたコツがあるそうです。その1)洗剤類は表示通りの量を厳守汚れやニオイがひどいときに、洗剤類をたくさん入れてしまうことはありませんか?それはNG!洗剤を使いすぎると衣類に成分が残って衣類を傷めてしまったり、かえってニオイの原因になってしまったりと、いいことはありません。「適正量」を守りましょう。その2)40度以上のお湯で洗うフロンターレの洗濯機はお湯で洗うことができ、設定温度は40度。その理由は、雑菌は40度以上で死滅するからだそうです。家庭用の洗濯機の中には温水が使用可能な物もありますが、まだまだ少数派かもしれません。温水洗浄ができない場合は、予洗い時にお湯でつけおき洗いをすることでも応用できます。その3)洗濯槽に入れる衣類は「8割まで」洗濯槽にぎゅうぎゅうに入れて洗濯機をまわしてしまうと、汚れ落ちが悪くなってしまいます。入れる衣類の量は洗濯槽の半分〜8割までを目安にします。その4)すぐ干す!脱水までできたら、なるべく早く干すのが重要。濡れたまま洗濯機の中に放置する時間が長くなると、雑菌が繁殖してニオイやカビの原因になってしまうからです。その5)5cm以上あけて干す乾きを少しでも早くするためのコツは、衣類同士の干す間隔を開けること。フロンターレの乾燥室では「5cm以上」にしているそうです。サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」■家庭の"ホペイロ業"も楽しんで!今回はプロが行う洗濯方法をご紹介しました。もしかしたら「目からウロコ」という特別なノウハウはなかったかもしれません。言い換えると、みなさんが普段行っている洗濯が、プロサッカーチームで行われているホペイロさんたちのお仕事の一部とほぼ同じということですね。子どもたちがサッカーを楽しむために、家庭での洗濯や用具のメンテナンスはとても大切なこと。それを担う親御さんは、子どもの専属ホペイロです。選手の活躍を支える大切な役割です。後編では、雨の日の洗濯&用具メンテナンスのノウハウを伊藤さんに伺いました。梅雨シーズン真っ只中の今こそ必読です。サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」
2022年06月13日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は主に都市部などで聞かれる「広い場所で練習できない」という悩みを解決する、狭い場所でもできるトレーニングをご紹介します。サッカーの動きを習得するようなトレーニングは、広い場所が必要だと思っていませんか?「練習場所がない」「公園でもボール禁止だし......」といった親子におすすめの、狭い場所でも親子で遊びながらできるトレーニングもあるのです。今回は、初心者が苦手な動きながらのボールコントロールが身につくトレーニングを紹介します。難しいバックステップも習得できるメニューです。親は難しい動きはありません。【やり方】1.子どもの近くに目印を縦に2つ並べる2.子どもは目印を8の字に回って前に進み、親は足元にボールを転がす3.足元でボールをコントロールし親に返したら、元の位置にバックステップで戻る4.慣れてきたら浮き球を投げたり、「インサイド」「足の裏」などコントロールする場所を指定して難易度を上げる【トレーニングのポイント】・身体を動かしながらよくボールを見てコントロールする・しっかりボールを見る・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年06月09日強豪で練習もハードなクラブチーム。覚悟して入ったが少し前からオスグッド(膝の痛み)になり筋トレしかできず休むことが多くなったある日、サッカーを辞めたいと泣いて訴えてきた息子。膝の痛みとレベルの高い練習に気持ちと体力がついていかないという。本人の意思に任せたいが、辞める理由が逃げ癖につながらないか不安。というご相談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの知見をもとに、お子さんのためにどうしたらいいかアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<試合に出られないから移籍検討もチームが変わるとトレセンなくなる問題<サッカーママからのご相談>子どもは中学1年生なのですが、相談させてください。息子は4年生からサッカーを始めてクラブチームに入りました。6年生までそのクラブチームで楽しくサッカーをしていたのですが、家庭の事情で引っ越す事になり、中学生から新しいクラブチームに入りました。新しいクラブチームは強豪で、練習もハードでチームメイトも少しピリピリしている感じで常に緊張感を持って取り組んでるようです。その事を理解して、頑張りたいと入会したのですが、少し前からオスグッド(膝の痛み)になり、練習も試合も筋トレくらいしかできず、原因不明の発熱が続き休む事が多くなりました。オスグッドとはどんな症状?オスグッドになる原因>>そして、先日息子からもうサッカーを辞めたいと泣きながら話してきました。理由は、膝の故障とハイレベルな練習と試合に参加するのに、気持ちと体力的にも追いつけず、メンバーにもなかなか馴染む事ができないから、とのことでした。親としてはこれまで息子がしたい事を応援し、一緒に頑張ってきたので、体調と膝が少し落ち着いてから何回か練習に参加して決めてもいいのでは?と話しましたが、本人は行きたくないし、コーチや監督とも話す気になれないと言っています。この理由で辞めてしまっていいのか、辞めて体調を治して、また違う場所でサッカーをしたり他にやりたい事をしたりした方が良いのか悩んでいます。息子の気持ちを尊重したいとは思いますが、逃げになっていたら今後また同じような事になるのでは、と不安に思います。どうかアドバイスをよろしくお願いします。<島沢さんからの回答>ご相談ありがとうございます。強豪チームでやってみようと入部したくらいですから、息子さんはサッカーが上手なのでしょう。お母さんも、試合の日に朝早く起きてお弁当を作ったりと彼の活動を支えてこられたのでしょう。それなのに息子さんからサッカーをやめたいと言われ、ショックを受けたこととご察しします。そのなかで、やめたいという息子さんの気持ちを尊重するのか、逃げ癖がついてはいけないから頑張らせたほうがいいのか。二つの選択で揺れているということですね。結論から申し上げると、まずはこの強豪サッカークラブをやめることを許可してあげてください。そうしたほうがいいと私が考える理由は三つあります。■やめることを許可した方がいい3つの理由ひとつは、彼のこころとからだが悲鳴をあげているからです。原因不明の発熱が続いたということは、こころとからだがこのクラブでの活動を拒否しています。このサインを重く見たほうがいいように思います。二つめは、息子さんのほうから自分の辛い気持ちをお母さんに伝えていることです。思春期に入る中学生です。この年代は、自分の弱みを親になかなか見せたがりません。隠そうとする傾向があります。それなのに息子さんはお母さんに泣きながらやめたいと訴えています。原因不明の発熱同様、余程のことです。しかも、何がつらいかを具体的に伝えています。理由も言わず泣きじゃくる、といった状況ではありません。このことも軽く考えないでほしいのです。三つめは、親の都合でクラブを替えたことが、そもそも問題の発端であるということを親御さんは考慮してください。6年生まで前のクラブチームで楽しくサッカーをしていた。それなのに引っ越すことになってクラブを替えざる得なかったわけです。ご相談文には書かれていませんが、もしかしたら中学校入学と同時にそれまでの学区ではないところ、つまり以前からの友達がいない新しい環境に彼は置かれているのではないでしょうか。もしそうであれば、彼の孤独は一層深まりますし、心理的な負担も大きいはずです。■子どもには心理的安定が必要まだ12歳、あるいは13歳。18歳未満まで小児科診療を受けられますし、公の機関では「子ども」の領域です。子どもには「恒常性」が重要と言われます。恒常性は「常日頃と同じ」性質です。いつもの家族、いつもの学校、いつもの仲間というように、同じ環境で過ごすことで子どもは心理的に安定します。もちろん家庭の事情ですが致し方ないことと思います。仕方のないことではあるけれど、ご自分たちがその環境変化を強いていることをもう少し自覚して接してあげてください。だからといって、息子さんに引っ越したことを謝れと言っているわけではありません。その変化を「大変だったね」「今までよく頑張ったね」とねぎらってください。■気づきを得て自分の考えを変えることができた保護者のケース実は少し前に、似たようなケースの相談を受けました。高校生のお父さんからですが、部活動の顧問から暴言を受け、故障もあって大会にも出してもらえず、息子さんが活動に集中できていないとのことでした。顧問の暴言はパワーハラスメントだとして監督の交代を学校に訴えますが、息子さんの証言がたった一度の暴言しか明かさないためか取り合ってもらえない。この息子さんも大きな可能性があったアスリートなので、その点をお父さんはもったいないことだと悔やんでいました。私は、学校や顧問といった「相手」を変えるには、今のところの材料では難しいかもしれないことを伝え、まずは自分たちが変わること、ほかに競技環境を整えることを息子さんと一緒に考えてほしいと話しました。加えて、息子さんとの対話が乏しいように見えたので、あらためて向き合うことを勧めました。最終的に、私が「今の状態が、息子さんにとって健康的で、安全で、幸せですか?」と尋ねたら、お父さんは環境を変えたほうがいいと納得したようでした。■日本人はやり抜くことに美徳を感じるが、それにはマイナス面も......お母さん、いかがでしょうか。このクラブに居続けることが、息子さんにとってヘルシーで、セフティーで、ハッピーでしょうか?お母さんは相談のメールにこう書いています。「逃げになっていたら今後また同じような事になるのではと、不安」自分がどんな状態になろうが、逃げてはダメでしょうか?私は、練習やチームの雰囲気が合わないことに息子さんが早く気付いて良かったと思います。学校でも、会社でも、サッカーチームでも、ミスマッチは起こります。合っていないのに、なぜそこにとどまらないといけないのでしょうか。日本人は、一度始めたらやり抜くことに美徳を感じる国民性です。しかしながら、それは融通が利かないマイナス面でもあると私は考えます。■「また同じような事になる」という不安は子どもを信用しきれていないから(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)そして、何よりも「また同じような事になる」と不安を抱くのは、お母さん自身が息子さんを信じられていないからです。親に信用してもらえず、いつも不安に思われ、心配されてばかりいると、子どもは自己肯定感が下がります。この連載で何度か伝えましたが「一番身近な人に信じてもらえないダメな僕」というように、潜在的なところで自信を失うのです。なぜサッカーをやるのか。何をサッカーに求めるのか。それを決めるのは息子さんです。まずはクラブをやめ、一度サッカーから離れる。すべて彼の好きにさせましょう。「また好きなことが見つかるといいね。サッカーに戻ってもいい。あなたを信じているよ」と声をかけてあげてください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2022年06月08日ブンデスリーガの育成アカデミーではプレー面を担当する監督・コーチのほか「教育担当」スタッフがいます。前回のコラムではブンデスリーガクラブのマインツで教育担当スタッフチーフとして子どもたちと密接に関わっているヨナス・シュースターさんに、育成アカデミーでプレーする子どもたちに対して学校で学ぶことの大切さをまず大事にすることを伝えているというお話を伺いました。今回は人間性へのアプローチについてお聞きしたいと思います。(取材・文・写真:中野吉之伴)マインツのクラブハウスにて<<前編:ブンデスリーガの育成組織がサッカー指導スタッフだけでなく「教育担当」雇用が義務付けられている理由■「リスペクト、寛容さ、謙虚さ」を身につけなければならないシュースター「子供たちが学校やサッカーだけにならないようにするというのはとても大事なポイントです。人間性の成熟、発展はもちろん欠かせません。その中で正しい価値観を持てるようになるというのはとても大事なポイントになります。そのためには私だけではなくマインツの育成アカデミーに関わる全スタッフが、子どもたちと密でフレンドリーなコミュニケーションを取れる環境を作ることが必要になります。『リスペクト、寛容さ、謙虚さ』これらは世間一般においてももちろんそうですが、マインツというクラブの一員として身につけなければならない大切な基盤です。うぬぼれることなく常に地に足をつけて、自分を見つめて歩いていく。これはクラブ哲学の根幹をなすものです」■「当たり前」ができない子たちがいるブンデスリーガの育成アカデミーというとどこも非常に優れた最先端の施設を抱え、サポート体制もプロ選手並みみたいなイメージを私たちは持ちます。実際にドイツにもヨーロッパにも世界を見ても、モダンなクラブハウスや寮を備えていたり、ジャグジーがあったり、プールがあったり、豪華なサロンバスがあったり、ユニフォームや私物の選択や部屋の掃除もすべてしてくれるところもたくさんあると聞きます。ただそうした「至れり尽くせり」の環境は子どもたちの成長にはふさわしくないとシュースターさんは警鐘を鳴らします。シュースター「私たちはまさにその逆を進みたいと思っています。プロクラブだからと言って子どもたちにそこまで贅沢な思いはさせないという点は大事にしています。クラブとして選手に必要なものはこちらで準備します。ただし身の程をわきまえてという線引きはしっかりと引きます。不必要に手助けはしない。バスで迎えに行ったり、家まで届けたりはしません。マインツを中心とした地域で使える公共交通機関の定期は支給してあるので、選手は自分で学校が終わるのは何時で、練習に間に合うためには何時のバスに乗ってというのをしてもらっています。子どもたちに手伝いをしてもらうこともよくあります。食器洗いとか、台所掃除とか、ゴミ出しとか。これらは当たり前のことなんですけど、この当たり前ができない子どもたちがいるんです」■自主性の欠如した子が増えている例えば15-17歳の選手が「俺はもう半分プロのような選手だ」とうぬぼれて、机をふいたり、片付けたりしないとなったら、クラブとしては受け入れられません。クラブにとって大切なのは「いつでも地に足をつけた人間」だからです。ただ自主性の欠如というか、自分でやるべきことを理解して、見つけて、考えて、取り組めない子が増えてきています。時代的なこともあり、これは世界的な大きな問題になって来ています。例えプロ選手になったとしてもセカンドキャリアは必ずきます。そうした時に自分で何をどのようにするのかを知らないと困るのは選手自身になってしまいます。シュースター「その通りなんです。例えばマインツでもスカウティングに上がってきた外国籍選手をチェックしていると、そんなことを考えてしまうことがあります。13歳、あるいはもっと小さいころから何から何まで全てを他の人にやってもらう生活が始まっている選手がいるんです。自分で何もする必要がない、そうした中で育ってくると暦の上では20歳だとしても全く大人になっていない。小さな子どものままです。信じられないかもしれませんが、『どこどこへ行きたいからタクシーを呼んでくれませんか?』とか、『おなかがすいたからピザを注文してくれませんか?』みたいなことを誰かに頼もうとするんです。自分でそうしたことさえしたこともない。そんな大人になってほしくない。なのでマインツでは自分のことは自分でするという人間として当たり前のことをとても大切にとらえています」サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」■子どもたちの人間的な成長への取り組みが保護者に評価されているこうしたコンセプトは多くの保護者の方から歓迎されているとシュースターさんは話していました。クラブとしての規模がマインツよりも大きいクラブからオファーをもらっている選手でも、マインツを選ぶ例もたくさんいるそうです。子どもたちの人間的な成長への実直な取り組みが確かに評価されています。シュースター「クラブのコンセプトとして、学校の優先順位を高くしすぎないというのもあります。『学校が一番大事でサッカーはその次』という話をしましたが、それは学校で常に最高レベルの成績を残せ!ということではありません。あくまでも選手がまじめに無理のない範囲で、過不足のない取り組みをしてくれれば大丈夫というニュアンスで考えてもらえれば。リスペクト、寛容さ、謙虚さを大事に育ってほしいですね。ここのスタジアムの前にも駐車場があったと思いますけど、プロ選手になるとお金も入ってきますよね。中にはそれこそフェラーリだとか、ランボルギーニという車を購入する選手だっているわけです。そうした車の間でフォルクスワーゲンやオペルの一般車を購入する育成アカデミー出身の選手を見たら、私はうれしくなりますね。地に足をつけて謙虚に自分に合ったものを購入する。そうした私たちの育成アカデミーで学んだことをちゃんと自分の価値観として身につけて、育って、それを体現してくれると彼らの人間性は確かに成長したんだなと感じることができます」サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」
2022年06月07日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者が苦手とする「インサイドを使って相手を交わすことができない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合の中で、相手選手がボールを奪いにきたときに足の内側=インサイドを使って方向を変えて相手を交わすことができると、ボールを前に運ぶことができます。しかし、サッカーを始めたばかりの初心者にはしっかり「インサイド」を使ってボールをキープしながら相手を交わすことが難しいもの。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、相手にボールを取られないタイミングや距離感が身につき、試合中相手がボールを取りに来てもインサイドを使って交わせるようになります。【やり方】1.親子が同じ方向を向き、子どもの足の間からボールを転がす2.子どもは足の裏を使ってボールを後ろに引きターンして親に返す3.親はボールを転がしたら相手選手役になって子どもについていく、子どもはターンして親を交わし前を向く【トレーニングのポイント】・足裏で後ろにボールを引きながら身体を前に向ける・腕を使って相手の位置や強さを感じながらターンする・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年06月03日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者が苦手とする「インサイドを使って相手を交わすことができない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合の中で、相手選手がボールを奪いにきたときに足の内側=インサイドを使って方向を変えて相手を交わすことができると、ボールを前に運ぶことができます。しかし、サッカーを始めたばかりの初心者にはしっかり「インサイド」を使ってボールをキープしながら相手を交わすことが難しいもの。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、相手にボールを取られないタイミングや距離感が身につき、試合中相手がボールを取りに来てもインサイドを使って交わせるようになります。【やり方】1.四方にゴールに見立てた目印を置き、枠の外に立つ2.親が目印の枠内に山なりのボールを投げ、子どもはバウンドしたボールを押さえ、いずれかの目印に向かってドリブル3.慣れたらスピードアップ。ボールを足元で素早く押さえたら、すぐにドリブルでいずれかの目印にボールを運ぶ4.子どもがボールを押さえる間に親がどこかの目印に移動し、子どもは親がいないゴールを確認し素早く運ぶなど難易度アップ【トレーニングのポイント】・ボールをよく見て落下地点を予測し、バウンドしたボールに合わせて身体を移動させる・相手にとられないよう、ボールを素早く押さえて自分のものにする・ひざのクッションを使ってボールの威力を吸収する・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年05月31日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者が苦手とする「アウトサイドを使って相手を交わすことができない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合の中で、相手選手がボールを奪いにきたときに足の外側=アウトサイドを使って方向を変えて相手を交わすことができると、相手にボールを奪われず前に運ぶことができます。しかし、サッカーを始めたばかりの初心者にはしっかり「アウトサイド」を使ってボールをキープしながら相手を交わすことが難しいもの。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、相手にボールを取られないタイミングや距離感が身につき、試合中相手がボールを取りに来てもアウトサイドを使って交わせるようになります。【やり方】1.親、子それぞれの足元に2つのゴールに見立てた目印を置く。また、数メートル先にドリブルで回るときの目印を一つ置く2.アウトサイド(足の外側)でボールを触りながら足元の目印を1周し、2つのゴールのどちらかを目指す3.親はDF役になってボールを奪いに行く4.子どもは親が足を延ばしても届かないタイミングでアウトサイドを使って方向転換する【トレーニングのポイント】・相手と近すぎるとぶつかってしまうので、しっかり距離感を意識・相手との距離感を図りながら、相手がとりに来たところで方向を変える・相手が足を出してきても届かないタイミングで方向転換・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年05月30日海外では7歳から2対1の「数的優位」を学ぶという。相手のマークをはがして、引き付けてボールを出す動きを身につけさせるにはその年代から、と書いてあったが、日本の子ども達にどんな風に指導すればいい?2対1の状況でどんな動きをするのか、どこを見て、どんなことが見えていればいいのか、意識させる指導の方法を教えて、というご相談です。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、数的優位の作り方を理解させる7つのコツを教えます。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<守備時のフィジカルコンタクトを怖がったり、ポジショニングを理解してない小6年代に守備の目的と原則を教える方法は?<お父さんコーチからのご質問>池上さんこんにちは。私は教員で、学校の少年団の指導も担当しています。指導年齢は、連載のカテゴリでいうとU-8になります。自分自身サッカー経験はあるものの、自分の時代とは色々変わっていると思うので、池上さんの発信や書籍、Webなどで情報収集しつつ、現代の指導を学んでいます。今回質問したいのは、2対1についてです。海外(私が読んだ情報はスペインで指導された方の記事)では、数的優位について学ばせるために7歳から2対1をやっているとありました。相手のマークをはがして、引き付けてボールを出す動きを7歳ぐらいからやらないと。とのことでした。日本では低学年だと個人技の習得がメインのチームもあると思いますが、海外の指導を読んで個人的にはかなり共感できました。そこで、各エリアで数的優位を作り、相手を引き付けてパスを出す動きを身につけるための指導のコツ、2対1の状況でどんな動きをするのか、どこを見て、どんなことが見えていればいいのか、この年代に意識させるにはどんなことをすればいいのかアドバイスいただけませんでしょうか。<池上さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。それでは、指導する際のコツを7つお伝えします。■まずは攻撃の成り立ちを理解しやすくする低学年で2対1の練習をするとき、最初の段階ではディフェンス(人)の代わりにコーンを置きます。コーンは動かないので、攻撃の成り立ちが理解しやすくなります。コーンが自分と、ボール保持者の間にある場合「そこにいたら、パスがもらえるかな?」と尋ねましょう。子どもたちは「ここに行けばいい」とか「いや、こっちだ」言い出します。そこで、「でも、ゴールに向かって行きたいよね?どこがいいかな?」と良いポジションを探ってもらいます。その段階が終わったら、実際にディフェンス(人)をつけて2対1をやってもらいます。その際「ディフェンスは相手のボールをとらなくていいから。そのまま立っていて」と伝えます。コーンが人に替わるだけで、子どもがもつイメージは違ってきます。一度やったら、次は「ディフェンスは足だけ出していいことにします」と話します。ディフェンスに近いボールは足が出されて止められます。そこまできたら、その次はディフェンスは動いてOKにします。ここで初めて通常の2対1に。そのような段階を踏ませてあげてください。どのトレーニングも同じですが、子どもに技術を身に付けてほしいと思ったら、それを身に付けるためにトレーニングをどう分解するか。これが1つめのコツです。それをコーチが自分なりに見つける必要があります。■ボールをもらうためにどんな動きをして、何が見えているかを整理2つめ。目の前で起きていることを鮮明にし、整理することです。最終形の2対1に入ったら、子どもがボールをもらうためにどんな動きをして、何が見えているのかを、指導者自身のなかで鮮明にする必要があります。そうすると、(自分の味方を見てないな)(ディフェンダーばかり見ているな)などと、さまざま発見、気づきが生まれたら、そこを伝えてください。時には来た道を戻ってもいい。例えば「足だけ出して動かないディフェンス」の2対1を再びやってみます。■どこを見て、どんなことが見えて、どんな動きをすればいいのか。正解を見つける時間をあげる3つめは、自分なりの正解を「見つける時間」をあげること。2対1の状況でどんな動きをするのか、どこを見て、どんなことが見えていればいいのかを認識させたら、その次に見るのは、ディフェンスがどのくらいの距離にいるかを認識させます。次にどこでどのタイミングでパスするのか?もしくは、自分でドリブルで進んでいくのか?プレーの選択です。そういった順番で丁寧に伝えてください。味方はどこにいるほうがいい?どんなときにパスは成功する?パスを出すタイミングはいつでしょう?ここを一緒に考えてあげるのです。どんなときに成功したか。それを順番に分解し、みつける時間をあげましょう。■プレー中にどこでどんなことを考えるか、を伝える4つめは、「どう考えるか」を伝えること。先日、私がアドバイザーを務めている小学5年生の試合を観に行きました。終わった後、話をする場を与えられたので「試合中は、何を考えていましたか?」と尋ねました。すると、子どもたちは「う~ん」と首をひねるばかりで何も出てきませんでした。指導者の皆さんは、子どもたちに「考えろ」と伝えています。が、プレー中にどこで、どんなことを考えるのか?何を見て、どう考えるか?を伝えているでしょうか。例えばコーチは「状況を見ろ」と言うけれど、その状況をどんなふうに理解するか?そのときに数的優位になっているのかどうかなど気づけるよう育てる必要があります。具体的なものの見方、考え方を整理せずに、ただ「考えろ」と言ってはいませんか。そのようなことを子どもたちが理解しやすくするために、ドイツは3対3のフニーニョを推奨しています。相手も見方も3人ずつなので、見るものが少なくてすみます。そのなかでどう考えるか。それを積み重ねていけば、理解が深まります。ところが、日本は小学1年生から8人制をやっています。10年ちょっと前までは11人制でした。都道府県協会の方のなかには「でも、サッカーは11人制だろ」とおっしゃって、いくら説明してもなかなか移行が進まない。そんな時期もありました。ドイツが推奨するフニーニョとは......■練習はうまくできなくてもいい、ととらえること5つ目は「練習はうまくできなくてもいい。簡単なほうに戻ってもいい」ととらえること。育成を担当する皆さんは、練習が上手くできないといけないと思い過ぎるのではないでしょうか。子どもたちは、頭の中で想像して、体で表現します。その順番を分解してあげて経験させていかなければ「頭ではわかっているけれど体が動かない」という状況になってしまいます。そして、そんな状況が続くならば、上述したように「簡単なほうに戻る」ことをやってください。3歩進んで2歩下がるようなことになりますが、それでも一歩前進しています。そのくらいの気持ちでゆったりとみてあげましょう。急がず慌てず丁寧に指導することを心がけてください。■練習でやったことを試合の中で使う、ということを意識させる6つ目は、試合で使うことを意識させること。練習でできても、試合のなかで使えないと意味がないことを子どもたちと共有してください。例えば、ミニゲームをして2対1の状況を作るため「ワンツーを使おう」と働きかけます。例えば、「ワンツーをどこかで使わないと、シュートが決まっても得点にしない」といったルールにします。ワンツーからシュートでもいいし、その前の段階でどこでやってもいいことにします。相手のプレッシャーから逃げるためのワンツー。ゴール前でフリーになるためのワンツー。何でもいいです。池上正さんの指導を動画で見る>>■どうして成功したか、どんな時に成功したか、を認知させる(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)7つ目は「どうして成功したか」を認知させること。どんなときに成功するか。そういう状況やタイミングがあります。それを子どもたちに伝えましょう。なんだか知らないあいだに成功している。それが子どもです。そこで、「どうして成功したんだと思う?」と問いかけながら認知させることが重要です。オシムさんのインタビューの映像を見返すと、こんなことを言っています。「私は、サッカー小学校の教師のつもりでやっている。小学生の判断がいつも正しいわけではない。だから伝えてあげなくてはいけない」オシムさんも選手(子ども)たちの成功を、ちゃんと解説してあげていました。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年05月27日