こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。ボジョレー・ヌーボーも解禁となりワインを楽しむ機会の多い季節ですね。【シネマの時間】第47回は、フランス・ブルゴーニュのワイナリーを舞台に、10年ぶりに再開した3兄弟の人生を描いた珠玉のヒューマンドラマ。映画『おかえり、ブルゴーニュへ』をお送りします!『スパニッシュ・アパートメント』(01)、『ロシアン・ドールズ』(05)、『ニューヨークの巴里夫』(13)からなる〝青春三部作″の完結から4年。現代フランスを代表する人気監督セドリック・クラピッシュによる話題の最新作。四季折々の美しい自然を背景に、ブドウの栽培や収穫、破砕や発酵〜熟成といった一連のワイン醸造過程も見どころで、3兄弟のワインへの情熱も感動的です。仏原題『Ce qui nous lie』の意味は、「私たちを結ぶもの」。映画を観終わった後には、芳醇な余韻に浸りながらフランス・ブルゴーニュへ思いを馳せ、自分のルーツや子どもの頃のことを語り合ったり、ワインをとにかく呑みたくなる映画です。是非、映画館でお楽しみください!11月17日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー!■映画『おかえり、ブルゴーニュへ』あらすじー故郷フランス・ブルゴーニュのワイナリーを継ぐため、10年ぶりに再会した3兄弟のヒューマンドラマ。ワインの世界的名産地フランス・ブルゴーニュにあるドメーヌの長男ジャン(ピオ・マルマイ)は、10年前、世界を旅するために故郷を飛び出し、家族のもとを去りました。その間、家族とは音信不通でしたが、父親が末期の状態であることを知り、10年ぶりに故郷ブルゴーニュへと戻ってきます。家業を受け継ぐ妹のジュリエット(アナ・ジラルド)と、別のドメーヌの婿養子となった弟のジェレミー(フランソワ・シビル)との久々の再会。しかし、回復することなく父親は亡くなってしまいます。残されたブドウ畑や自宅の相続をめぐってさまざまな課題が出てくるなか、父親が亡くなってから初めてのブドウの収穫時期を迎えます。3人は自分たちなりのワインを作り出そうと協力し合いますが、一方で、それぞれが互いには打ち明けられない悩みや問題を抱えていました……。10年ぶりに故郷へ戻った長男ジャンは、妻との離婚問題を抱えており、家業を次ぐ長女ジュリエットはワイン作りの才能を持ちながらも働き方に悩んでいました。また、末っ子のジェレミーは別のドメーヌの婿養子となり舅問題にぶつかっています。見渡すかぎりの葡萄畑、遮りもののないどこまでも広がる大空、風にそよぐ木々。ブドウ栽培〜ブドウの収穫〜破砕や発酵〜熟成までのワイン醸造過程と、ブルゴーニュの美しい四季を丸1年かけてじっくりと映し出した本作。あふれる自然とめぐるめく季節の中で10年ぶりに再会した3兄弟のワイン造りの情熱と、それぞれが迎える人生の岐路を、共感と郷愁を持って情感たっぷりに丁寧に重ね合わせて描いています。■ブルゴーニュワインについての豆知識ブルゴーニュは、フランス南西部のボルドーと並び賞される、フランス東部の内陸に広がる世界で最も有名なワイン産地です。比較的冷涼な大陸性気候で、乾燥しがちであること、そして1日の寒暖差があることから、ピノ・ノワールやシャルドネなどのブドウ品種の栽培に適し、2015年にはユネスコの世界文化遺産に登録されました。世界的に有名な高級ワインとして知られるロマネ・コンティなどの魅力的な赤ワインを生産するほか、白ワインの女王・シャルドネの故郷であり、シャブリで有名な地域です。ワインの醸造における違いは、ボルドーが数種類のブドウ品種をブレンドするのに対して、ブルゴーニュでは単一品種で醸造する点です。赤ワインなら主に黒く紫身を帯びた果皮が特徴的なピノ・ノワール、白ワインなら果皮が緑色の白ワイン用ブドウ品種の代表格シャルドネが用いられます。最高級ワインだけでなく手頃な価格のものもあり、日本でも人気のボジョレー・ヌーボーもまた、ブルゴーニュ地方のワインです。■ドメーヌとは?映画では、ドメーヌであるワイナリーを継ぐため、10年ぶりに再会した3兄弟の物語が描かれています。ドメーヌとは、ブルゴーニュ地方のワイン生産者を表す用語。自分のブドウ畑を所有し、栽培からワインの醸造までをすべて行うワイン生産者のことです。そのため、一般的に家族経営の小中規模のワイナリーが中心です。自らの畑のテロワール(土壌)を知り尽くしているため、丁寧にブドウを栽培し、それぞれの土地の影響を受けた味わいの個性的なワインを造ります。ただし、その年のブドウの良し悪しによってはワインの品質が変わりますし、醸造技術も反映されるため、ワインの出来にはドメーヌ間で優劣の差があります。有名なドメーヌとして挙げられるのは、ロマネ・コンティ社です。なお、ブルゴーニュワインの出自は、主にブドウの仕入れ方法の違いにより「ドメーヌ」と「ネゴシアン」のふたつに分かれます。ネゴシアンとは、ワイン業者という意味で、ブドウ農家から買い入れたブドウやワインを使用して、ワインの醸造・熟成・販売を手がける酒商のことです。映画『おかえり、ブルゴーニュへ』作品紹介映画『おかえり、ブルゴーニュへ』は、11月17日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、 YE BISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー!公式サイト:原題:Ce qui nous lie監督:セドリック・クラピッシュ脚本:セドリック・クラピッシュ、サンティアゴ・アミゴレーナ撮影:アレクシ・カビルシーヌ美術:マリー・シェミナル衣装:アン・ショット編集:アン=ソフィー・ビオン音楽:ロイク・デュリー、クリストフ・ディスコ・ミンク日本語字幕:加藤リツ子製作年:2017年製作国:フランス上映時間:113分/カラー映倫区分:PG12後援:ユニフランス配給:キノフィルムズ/木下グループ©2016 - CE QUI ME MEUT - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINEMA映画『おかえり、ブルゴーニュへ』キャストピオ・マルマイ=ジャンアナ・ジラルド=ジュリエットフランソワ・シビル=ジェレミージャン・マルク・ルロ=マルセルマリア・バルベリデ=アリシア【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年11月14日1997年11月14日より映画情報メールマガジンとして始まり、本日創刊21周年を迎えた「シネマカフェ」。この度、「シネマカフェ」と同じ21歳を迎えた女優の桜井日奈子さんと山本舞香さんからお祝いコメントが到着しました!●桜井日奈子1997年4月2日生まれ、“岡山の奇跡”と称され話題になった桜井さん。舞台「それいゆ」で女優デビューし、「そして、誰もいなくなった」で連ドラ初出演。ほかにも「THE LAST COP/ラストコップ」やTVCM、今年に入っては大人気少女漫画の実写化『ママレード・ボーイ』で吉沢亮とW主演したことも話題に。そんないま大注目の桜井さんが、今回シネマカフェにお祝いのコメントを寄せてくれた。21周年おめでとうございます!デビュー当時から、何かあるたびに取材してくださって、とても感謝しています。読むたびに嬉しい気持ちになって、そして同時にもっと頑張ろうと、気持ちが引き締まりまるような、そんな素敵な記事を毎回書いてくださってありがとうございます。30周年も40周年もお祝いできるように、私も頑張ります!これからもよろしくお願いします!桜井日奈子またつい先日は、「King & Prince」平野紫耀と共演した、こちらも少女漫画を原作とした『ういらぶ。』が公開を迎えたばかり。幼なじみの恋愛模様を描いた今作で桜井さんは、平野さん演じるツンデレ主人公に、実は両想いなのに振り回される“超ネガティブ”ヒロイン・優羽を好演している。なおシネマカフェでは、桜井さんが『ういらぶ。』に出演し、漫画の中のキャラクターを演じることへの苦悩など語っているインタビューを公開中。●山本舞香そしてもう一人、1997年10月13日生まれの山本さんからは、動画でメッセージが到着!素敵な笑顔でお祝いコメントを寄せてくれました。女優でモデルの山本さんは、2011年「三井リハウス」14代目リハウスガールでデビューし、『暗殺教室』『Zアイランド』『桜ノ雨』『恋は雨上がりのように』「南くんの恋人~my little lover~」「チア☆ダン」と話題作に続々出演。そして今後の注目作といえば、やはり昨年公開された『東京喰種 トーキョーグール』の続編!わずかな情報しか明らかにされていない中、山本さんはヒロインの“トーカ”こと霧嶋董香役で出演が決定している。ビジュアルや登場シーンなど、今後の続報が待ち遠しい。●21歳の俳優はほかにも――桜井さんと山本さんのほかにも「シネマカフェ」と同じ21歳の俳優は、『湯を沸かすほどの熱い愛』で日本アカデミー賞 最優秀助演女優賞と新人俳優賞をW受賞した杉咲花、主演作『ニセコイ』『雪の華』が公開を控える中条あやみ。さらに、北村匠海、芳根京子、小芝風花、玉城ティナ、黒島結菜「King & Prince」平野紫耀、神宮寺勇太などなど。これまでも数々の注目・話題作に出演し、いま勢いに乗っている彼ら。今後、さらなる躍進に期待したい。(cinemacafe.net)
2018年11月14日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。【シネマの時間】第46回は、趣里X菅田将暉で贈る今を懸命に生きる、不器用な男女のエモーショナルなラブストーリー!映画『生きてるだけで、愛。』をお送りします。原作は小説家、劇作家、演出家などマルチな活動で活躍する芥川賞作家・本谷有希子が発表した同名小説。鬱が招く過眠症のせいで引きこもり状態の寧子と、出版社でゴシップ記事の執筆に明け暮れながら寧子との同棲を続けている津奈木。そこへ津奈木の元カノが現れたことから、寧子は外の世界と関わらざるを得なくなり、ふたりの関係にも変化が訪れるのですが……。リアルとバーチャルが交差する社会の中で、自分という存在を誰かにわかってほしい、他者とのつながりを求める現代の若者たちの心情をリアルに綴る、エモーショナルなラブストーリーです。メンタルに問題を抱え、鬱状態で過眠症の主人公・寧子役は、『ブラックペアン』などの印象的な演技で活躍目覚ましい趣里が演じ、危うくも美しい圧倒的な存在感で魅力的です。また、寧子に寄り添う出版社に勤める恋人・津奈木役には、今年第41回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞に輝いた菅田将暉が等身大の男の佇まいを優しさと色気を滲ませ演じています。このふたりのタッグというだけでもワクワクするのですが、津奈木の元・恋人で津奈木を取り戻そうとする安堂に『ホリデイラブ』での“サレ妻”キャラなどでも話題になった仲里依紗。寧子が働くカフェバーの店長夫妻に演技派俳優の田中哲司と西田尚美、津奈木の上司に『孤独のグルメ』の松重豊、同僚には『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』の石橋静河らが脇を固め見応え十分。監督には、数々のCMやAKB48、Mr.ChildrenなどのMVなどを手がけ、カンヌ国際広告祭でグランプリなどを受賞、最近ではドキュメンタリー映画『太陽の塔』も手掛けた関根光才の長編劇映画初監督作品です!”ほんの一瞬だけでも、分かり合えたら”彼らの心の叫びはあなたの心の声かもしれません。11月9日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー!■映画『生きてるだけで、愛。』あらすじー他者とのつながりを求める若者たちの心情をリアルに綴る、 エモーショナルなラブストーリーある飲み会で知り合い、同棲して三年になる寧子(趣里)と津奈木(菅田将暉)。もともとメンタルに問題を抱えていた寧子は鬱状態で、バイトも満足に続きません。おまけに鬱による過眠症のため、家にいても家事ひとつできず、敷きっぱなしの布団の上で寝てばかり。姉との電話やメールでのやり取りだけが世間との唯一のつながりでした。一方の津奈木も、文学に夢を抱いて出版社に入ったものの、週刊誌の編集部でゴシップ記事の執筆に明け暮れる日々。仕事にやり甲斐を感じることもできず、職場での人間関係もままなりません。それでも毎日会社に通い、家から出ることがほとんどない寧子のためにお弁当を買って帰ります。津奈木は寧子がどんなに理不尽な感情をぶつけても、静かにやり過ごして喧嘩にすらなりません。それは優しさであるかに見えて、何事にも正面から向き合うことを避けているような態度で、むしろ寧子を苛立たせますが、お互いに自分の思いを言葉にして相手に伝える術は持ってないのでした。ある日、いつものように寧子がひとりで寝ていると、部屋に安堂(仲里依紗)が突然訪ねてきます。かつて津奈木とつき合っていた安堂は彼に未練を残しており、寧子と別れさせて彼を取り戻したいと言います。まるで納得のいかない話ですが、寧子が津奈木から離れても生きていけるように、なぜか安堂は寧子の社会復帰と自立を手助けすることに。こうして寧子は安堂の紹介で半ば強制的にカフェバーのバイトを始めることになります。カフェバーではマスターの村田(田中哲司)とその妻である真紀(西田尚美)をはじめ、引きこもりの過去を持つ莉奈(織田梨沙)も働いており、寧子を全面的にサポートするというのです。最初は戸惑いつつも、思いがけないチャンスを得て、寧子は今の自分と生活から抜け出そうと次第に前向きになっていきます。そんな寧子の変化と挑戦に耳を貸す余裕もなく、相変わらず否定も肯定もせず受け流す津奈木。会社では気の進まない仕事を大量に押しつけられ、「ゴシップ誌は皆さんの下半身でメシを食っている」と割り切っている編集長の磯山(松重豊)とは話が通じません。ただひとり、同じ葛藤を抱えている後輩の美里(石橋静河)だけはさりげなく彼を気遣っていましたが、記事の無断差し替えが発覚したことをきっかけに、疲労とストレスの限界に達した津奈木はついに爆発してしまいます。同じ頃、寧子は遅刻や無断欠勤を繰り返しながらも、見守ってくれる村田たちのおかげで、みんなの仲間入りができるかのように思えていました。しかしそれも長くは続きません。些細な会話の行き違いから、彼らとのどうしようもない断絶を痛感した寧子は、店を飛び出してしまうのですが……。■映画『生きてるだけで、愛。』作品紹介映画『生きてるだけで、愛。』は、11月9日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー!公式サイト:監督・脚本:関根光才原作:本谷有希子『生きてるだけで、愛。』(新潮文庫刊)製作・プロデューサー:甲斐真樹製作:松井智、藤本款、板東浩二、新井重人、森原俊朗、前信介、 上田豊、水戸部晃アソシエイトプロデューサー:佐藤公美、金井隆治協力プロデューサー:高口聖世巨、白川直人撮影:重森豊太郎照明:中須岳士音楽:世武裕子美術:井上心平録音:山本タカアキ編集:田巻源太衣裳:立花文乃ヘアメイク:田中マリ子助監督:久保朝洋制作担当:中村哲也スチール:久保田智製作年:2018年製作国:日本上映時間:109分映倫区分:G製作幹事 :ハピネット、スタイルジャム企画・制作プロダクション:スタイルジャム配給:クロックワークス©︎2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会■映画『生きてるだけで、愛。』キャスト趣里=寧子菅田将暉=津奈木田中哲司=村田西田尚美=真紀松重豊=磯山石橋静河=美里織田梨沙=莉奈仲里依紗=安堂【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年11月06日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。紅葉の美しい季節になりました。読書の秋、お気に入りの本屋さんを巡ったり、本を読む楽しみは、一瞬にして異次元を旅できるとても贅沢な時間ですね。J.D.サリンジャーの不朽の名作『ライ麦畑でつかまえて』をお好きな方も多いと思います。【シネマの時間 】第45回は、その一冊の本に心奪われた青年の成長を描く珠玉の青春映画『ライ麦畑で出会ったら』をお送りします!本作は、ジェームズ・サドウィズ監督の自伝的な内容を基に描かれているだけに、青春時代ならではの甘酸っぱさとほろ苦さがとてもリアル。誰にとっても忘れることのできない青春時代。普遍的ともいえる感情は幅広い層からの共感を呼び、長編監督デビュー作にして世界各地の映画祭でも数々の賞を受賞し、絶賛されています。不器用ながらも純粋でまっすぐな主人公ジェイミーに抜擢されたのは、大ヒット作『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』でも注目された若手俳優のアレックス・ウルフ。謎に包まれた伝説の作家サリンジャー役には、『アダプテーション』の名優クリス・クーパーが演じ上げ、見事な存在感を放っています。あなたには人生を左右した出会いはありますか?人生における唯一無二の瞬間を描き、1冊の本、1本の映画、人など、出会いの大切さ、好きを大切にする幸せをしみじみ感じさせてくれる映画です。ぜひ映画館でお楽しみください。10月27日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー!■映画『ライ麦畑で出会ったら』あらすじー『ライ麦畑につかまえて』舞台化に向け、サリンジャー探しの旅に出た監督の自伝的青春物語!1969年、アメリカ・ペンシルベニア州。全寮制の男子校である名門クランプトン高校に入学した16歳のジェイミーは、周囲ともなかなか馴染めず孤独な生活を送っていました。そんなある日、若者のバイブル『ライ麦畑でつかまえて』に感銘を受け、演劇として脚色することを思いつきます。しかし、舞台化するには作者であるJ.D.サリンジャーの許可が必要不可欠。なんとか連絡を取ろうと試みるものの、隠遁生活をする作家の居所はつかめません。その最中、学校である事件が発生し、ジェイミーは寮を飛び出してしまいます。そしてついに、演劇サークルで出会った少女ディーディーとともに、サリンジャー探しの旅に出ることに。ディーディーの愛読書も『ライ麦畑でつかまえて』で舞台化に賛同してくれている唯一の友達でした。旅の途中、ジェイミーはドラッグに手を出して疎遠になったかつての親友の話を打ち明けるなど、ディーディーに少しずつ心を開いて行きます。孤独を感じる学校生活や初めての恋、そして憧れのサリンジャーとの対面など、人生で初めての冒険を経験するなか、新たな一歩を踏み出したジェイミーの未来へと続くほろ苦くも甘酸っぱい青春の1ページ。“この旅には、人生を永遠に変える、宝物が詰まっている”■映画『ライ麦畑で出会ったら』作品紹介映画『ライ麦畑で出会ったら』は、10月27日(土)、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国順次公開!公式サイト:原題:Coming Through the Rye監督:ジェームズ・サドウィズ製作:スタン・アードライク、テディ・グレナン、ジェームズ・サドウィズ製作総指揮:ジェフ・スティーン、アレクサンドル・ウッドワード脚本:ジェームズ・サドウィズ撮影:エリック・ハート美術:ジャック・ライアン編集:トッド・ホームズ製作年:2015年製作国:アメリカ上映時間:97分映倫区分:PG12配給:東北新社、STAR CHANNEL MOVIES©2015 COMING THROUGH THE RYE, LLC ALL RIGHTS RESERVED■映画『ライ麦畑で出会ったら』キャストアレックス・ウルフ=ジェイミー・シュワルツステファニア・オーウェン=ディーディークリス・クーパー=J・D・サリンジャージェイコブ・ラインバック=ハンク・マーカスエリック・ネルセン=テッド・タイラージェイコブ・ローズ=フレディ・ゴレシゼファー・ベンソン=ジェリー・シュワルツルシア・スカラーノ=母エイドリアン・パスダー=ティアニー先生【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年10月27日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。恋や仕事、人生に迷い悩むことは、誰にだってあるものですが、そんなとき、あなたならどうしますか?一緒に悩んで、背中を押してくれる存在がいてくれると心強いですが、ちょっと気分を変えて映画でも観てみませんか。【シネマの時間】第44回は、世界中の女性を幸せに導いた映画『マイ・インターン』『ホリデイ』などの名プロデューサー・スザンヌ・ファーウェルが、NYを舞台に全女性に贈る感動作!映画『マイ・プレシャス・リスト』をご紹介します!IQ185の天才だけどコミュニケーション能力に欠ける屈折女子キャリーが、 セラピストから渡された“幸せになるためのリスト”を実行していくことで心の成長を遂げていく、ユーモアと優しさに満ちた心温まる物語です。主人公のキャリーを演じるのは、イギリスの新星ベル・パウリー!主演作『ミニー・ゲッツの秘密』がサンダンス映画祭やベルリン国際映画祭などで栄誉ある賞を受賞、自身もゴッサム賞に輝くなど、今最も有望な若手として注目されている女優が、本作でも共感を呼ぶ等身大のリアルな姿を演じ、愛らしい魅力を発揮しています。キャリーの心の扉を開ける手助けとなるセラピストペトロフ医師は、舞台俳優としても有名なネイサン・レイン。父親役には、『イン・トリートメント』でゴールデン・グローブ賞主演男優賞を受賞したガブリエル・バーン。キャリーの隣に住む演奏家の男性サイを『ナルニア国物語』シリーズのウィリアム・モーリスが演じるなど、実力派俳優陣が脇を固めています。人と関わるのが苦手で人生に迷いっぱなしのキャリーが、壁にぶつかり傷つきながらもリストにチャレンジしていく姿は、観るものに爽やかな感動と“一歩踏み出す勇気”を与えてくれるはず。ぜひ、映画館でお楽しみください!■映画『マイ・プレシャス・リスト』あらすじーIQ185の天才ながら“コミュ力0”ヒロインの成長物語!ニューヨークのマンハッタンで暮らすキャリー(ベル・パウリ―)は、IQ185、ハーバード大学を飛び級で卒業した天才ですが、友達も仕事も持たず、読書ばかりしている“コミュ力”ゼロの屈折女子です。話し相手は、定期的に通っているセラピストのペトロフ(ネイサン・レイン)だけ。見かねた彼はキャリーにリストを渡し、そこに書かれた6つの課題を大晦日までにクリアするように提案します。「ペットを飼う」「子どもの頃好きだったことをする」「デートに出かける」「友達を作る」「一番お気に入りの本を読む」「誰かと大晦日を過ごす」なんてことないリストのようですが、キャリーにとっては難しい課題ばかり。「このリストをやり遂げれば幸せになれる」と言うペトロフ。「何のために?」「それで本当に問題はすべて解決するの?」と半信半疑ながらも、まずは金魚を2匹飼い始めてみます。ひとり暮らしの家で金魚がキャリーの話し相手になりました。一方、家にこもってばかりいる娘を心配したロンドンで暮らす父親から法律事務所の文書校正の仕事を勧められ、気は進まなかったものの始めることに。そこで同僚のタラとダグラスに出会い、キャリーの日常は少しずつ変化していきます。リストを達成するために、昔好きだったチェリーソーダーを飲み、新聞の出会い広告でデート相手を探し……とひとつずつ大真面目に実行していきます。人と関わり、ときに傷つき、打ち解けていく中で、徐々に自分自身の変化に気づいていくキャリー。果たして彼女はリストをすべてクリアして、幸せを手にすることができるのでしょうか……!?■映画『マイ・プレシャス・リスト』作品紹介映画『マイ・プレシャス・リスト』は、10月20日(土)より全国ロードショー!公式サイト:原題:Carrie Pilby監督:スーザン・ジョンソン製作:スザンヌ・ファーウェル、スーザン・ジョンソンスーザン・カートソニス、ブレント・エメリー、リサ・ウォロフスキー製作総指揮:テリ・シンプソン、エレイン・ハリス、エディス・マイヤーズ、ニック・クエステッド原作:カレン・リスナー脚本:カーラ・ホールデン撮影:ゴンサーロ・アマト美術:カート・ビーチ衣装:レスリー・ヤルモ編集:フィリップ・J・バーテル音楽:マイケル・ペン製作年:2016年製作国:アメリカ上映時間:98分映倫区分:PG12配給:松竹©︎2016 CARRIE PILBY PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.■映画『マイ・プレシャス・リスト』キャストベル・パウリー=キャリー・ピルビーガブリエル・バーン=キャリーの父親ネイサン・レイン=ペトロフ医師ヴァネッサ・ベイヤー=タラコリン・オドナヒュー=ハリソン教授ジェイソン・リッター=マットウィリアム・モーズリー=サイ【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年10月21日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。映画の魅力に美しい映像美がありますが、【シネマの時間】第43回は、詩的で幻想的な映像美に包まれた恋愛ファンタジー映画『エンジェル、見えない恋人』をお送りします。姿の見えない少年”エンジェル”と盲目の少女”マドレーヌ”。世界の片隅で出会ったふたりの、とびきりピュアで切ない小さな恋の物語。やがて美しく成長したマドレーヌは、目の手術することを決心し視力を回復するのですが……。製作を務めるのは、『神様メール』『トト・ザ・ヒーロー』などで知られるベルギーの名匠ジャコ・ヴァン・ドルマル監督。彼が長年の友人でもあるハリー・クレファン監督とタッグを組み、『ぼくのエリ200歳の少女』や『シザーハンズ』に続く切なくも愛おしいラブロマンスを創り上げました。木漏れ日の柔らかな自然光、エンジェルとマドレーヌが交じり合うメロウで官能的な描写など、極力CGに頼らず、クラシックな実写の特殊効果を駆使し、夢物語のような世界観をもたらしています。”ふたりにだけ、見える愛がある――”「大切なものは目に見えない」(『星の王子さま』)という名言がありますが、ちょっとそんな物語も思い出しました。日々いろいろな情報が溢れていますが、本当に大切なものは見失わないようにしたいですね。そのためにも素晴らしいもの美しいものに触れる大切さを感じています。ぜひ、秋のひとときに映画館でお楽しみください!10月13日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかロードショー。■映画『エンジェル、見えない恋人』あらすじー目に見えない存在として生まれた少年と盲目の少女の愛の物語。「エンジェル、お前が生まれる前の話よ。パパはマジシャンだった。得意技は姿を消すイリュージョン。パパとママは愛し合っていたの」マジシャンの恋人が謎の失踪をして、心を病んでしまったルイーズ。施設に入居した彼女が生んだ息子のエンジェルは、不思議な特異体質を持っていました。誰の目にも、彼の姿が見えないのです。世間との接触を一切絶ち、懸命に息子を育てるルイーズ。ルイーズの深い愛情に包まれて、エンジェルは優しい男の子に育っていきました。そんなある日。エンジェルはふと施設の窓から近所の屋敷を覗き見ます。初めて見る外の世界の人の姿。彼はそこにいた女の子のことが気になります。まもなく勝手に施設を抜け出し、近所の屋敷に向かうエンジェル。木漏れ日の中、盲目の少女マドレーヌは庭でブランコに乗っていました。「こんにちは、はじめまして」「……ぼくのことが見えるの?」「見えないけど、声と匂いがするから」エンジェルの秘密に気がつかないマドレーヌ。次第にふたりは心惹かれ合っていきます。姿が見えない男の子と、目が見えない女の子の幸せな日々。声や匂い、気配や息遣い、体が触れ合った感触、そして相手への想いが凝縮されたシンプルな言葉や魂で、互いの存在を求め合うのでした。やがて美しく成長したマドレーヌは、目の手術をしようと決心し、視力を回復するのですが……。■映画『エンジェル、見えない恋人』作品紹介映画『エンジェル、見えない恋人』は、10月13日(土)より全国ロードショー!公式サイト:原題:Mon ange監督:ハリー・クレフェン製作:ジャコ・バン・ドルマル、オリビエ・ローサン、ダニエル・マルケ脚本:ハリー・クレフェン、トマ・グンジグ撮影:ジュリエット・バン・ドルマル衣装:ブリット・アンジェ編集:マティアス・ベレス音楽:ジョージ・アレクサンダー・バン・ダム製作年:2016年製作国:ベルギー上映時間:79分映倫区分:PG12配給:アルバトロス・フィルム©2016 Mon Ange, All Rights Reserved.■映画『エンジェル、見えない恋人』キャストフルール・ジフリエ=マドレーヌエリナ・レーベンソン=ルイーズマヤ・ドリー=マドレーヌ(10代)ハンナ・ブードロー=マドレーヌ(幼少期)フランソワ・バンサンテッリ=エンジェルの父ゴーティエ・バトゥー=エンジェルの声(成人)レオ・ロルレアック=エンジェルの声(10代)ジュール・マイニー=エンジェルの声(幼少期)【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年10月17日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。秋も深まって参りましたね。人恋しい季節、心洗われる感動のラブストーリーを観てみませんか?【シネマの時間】第42回は、インテリアコーディネーターの女性と、彼女の初恋の相手で事故により車椅子生活を送りながらも建築士として前向きに生きる先輩との純愛を描いた人気コミックの映画化『パーフェクトワールド 君といる奇跡』をピックアップ !主人公、鮎川樹役を演じるのはEXILE/三代目 J Soul Brothersのパフォーマーであり、俳優としての活躍も目覚ましい岩田剛典。樹を全力で支えるヒロイン、川奈つぐみ役には、若手演技派女優として注目される杉咲花。企画・プロデュースは、『植物図鑑運命の恋、拾いました』の井上竜太プロデューサーが務め、『植物図鑑』のスタッフが再結集。監督には、『流れ星が消えないうちに』の柴山健次が、ラブストーリーだけではない誰にでも起こり得るシビアなテーマを優しい目線でリアリティーを持って魅力的に演出しています。今回、舞台挨拶のほか全国286館の映画館にも生中継で放送された「一夜限りのパーフェクトナイト」先行上映会などのイベントも開催され、熱い盛り上がりを見せる本作。岩田剛典、杉咲花の人気だけでなく、試練を乗り越えて生きていくふたりの強さが、男女問わず全世代から共感を呼び、週末動員ランキング実写邦画第1位を獲得しています!”この秋、かけがえのない愛の物語に涙する……!”10月5日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国公開中です。■映画『パーフェクトワールド君といる奇跡』“一夜限りのパーフェクトナイト” 開催!9月26日、映画『パーフェクトワールド君といる奇跡』公開直前イベント「一夜限りのパーフェクトナイト」が行われ、W主演の岩田剛典と杉咲花、主題歌『Perfect World』を歌うE-girlsのフルメンバーが登壇!E-girlsによる主題歌「Perfect World」の生パフォーマンスの初披露に始まり、完成披露試写会来場者の感涙続出にちなみ、「人生で一番感動の涙が流れた瞬間」を登壇者でトークセッション。映画の物語と音楽のコラボレーションを一度に触れ、映画をパーフェクトに楽しむことができるスペシャルナイトに会場は熱く盛り上がりました!観客のあたたかい声援に迎えられ、主人公の樹(いつき)を演じた岩田剛典は「本日は、お集まりいただきありがとうございます。今日は楽しみにしてきました。この映画は、この秋最高に切なく感動できる映画になっていると思います。作品を見終わった後、きっとあたたかい気持ちになって、自分の身近な方や大切な方をより大事にしたいと思うでしょう。ラブストーリーということだけではなく、今を一生懸命生きることの大切さ、人生の中で大切なことを教えてくれるような映画に仕上がってると思います。どうぞ楽しんでいってください」と挨拶。舞台上では、E-girlsによる主題歌「Perfect World」の生パフォーマンスも華やかに初披露。司会者より感想を聞かれた岩田は、「この映画のために書き下ろしていただいた映画の世界観やメッセージを詰め込んだ 楽曲で、映画と音楽がマッチしたエンターテイメントになっていると思います。パフォーマンスも本当にキレキレで感動しました」と大絶賛。杉咲は「最近 E-girls のライブも行って、初めて生のパフォーマンスを見せていただき、感動して虜になったところだったんですが、今日はなんと舞台袖というなかなか見れない場所から見ることができて鳥肌が立ちました」と喜びを語りました。E-girlsによる主題歌「Perfect World」のスペシャルパフォーマンスを初披露そして本作の、切なく胸を打つラブストーリーにちなみ、「今までの人生で泣きそうになるくらい感動したエピソード」を質問。そのエピソードにまつわる「パーフェクトワード」を披露するというトークコーナーも展開。E-girls を代表して佐藤晴美が「涙のオツカレ」とパーフェクトワードを発表し「11人になって初めてのツアーファイナルを迎えた際、最終日にスタッフさんが“オツカレ” という4文字で大きなボードを飾ってくださっていて、現場の皆さんの温かさと愛を感じ、メンバー全員号泣でした」と感動のエピソードを披露。次に杉咲が「クランクアップ」とパーフェクトワードを発表。「この映画では、今までにないくらい一つひとつのシーンで監督や、キャスト、スタッフの皆さんと話し合いを繰り返しながら映画の撮影をしました。このシーン上手くいくかなと不安なこともあったんですが、現場がとにかく楽しくて、この映画のように温かく優しい空気の流れる現場で幸せでした。現場のことが大好きになっていて、終わったときは泣いてしまいました」とクランクアップの際に涙したことを告白。岩田は「三代目JSBオーディション合格」とパーフェクトワードを発表し「デビューが決まったときですね。肉体的、精神的にも追い込まれていたとき、事務所の社長であるHIROさんからオーディション合格の発表があって、今まで張り詰めていた緊張が解けて涙が溢れました。いまだに鮮明に覚えている涙の思い出です」と感動的なエピソードを語りました。「一夜限りのパーフェクトナイト」フォトセッション最後に映画の魅力を改めて聞かれたふたり。岩田は「本日はありがとうございました。本当に劇場で観ていただきたい映画ができたと思っています。今回、障がいと向き合う役を初めて演じさせていただいたんですが、障がいを抱える青年やその恋人、家族、同僚、友達など登場人物の誰かひとりの心情には感情移入できる作品だと思います。ご覧いただいた皆さん一人ひとりが感じたことを多くの方に広めていってくださったら嬉しいです。自分自身、このような作品に関わらせていただけて嬉しく思っています。何より花ちゃん史上一番可愛い役なんではないでしょうか。是非とも劇場でご覧ください」と映画にかける熱い思いを伝えました。杉咲は「王道のラブストーリーとして、キュンキュンドキドキしたりするのはもちろん味わえるのですが、それだけでなく明日が来るという喜びだったり、大切な人がいるという尊さを感じられる、大切な人をより大事にしたいと思える作品になっていると思います。そしてラストシーンにぴったりのE-girlsの楽曲がとにかく素敵なので、映画も主題歌もどちらも楽しんでいただけたら嬉しいです。今日は、ありがとうございました」と本作の魅力を笑顔でアピール。その後もフォトセッション、映画上映と素敵な「パーフェクトナイト」となり、大盛り上がりでした。■映画『パーフェクトワールド君といる奇跡』あらすじーー再開した初恋の人は、車椅子に乗っていた。インテリアコーディネーターとして働く川奈つぐみ(杉咲花)は、初恋の人で高校時代の憧れの先輩・鮎川樹(岩田剛典)と取引先の飲み会で偶然再会します。樹は小学生の頃からの夢だった一級建築士となり、建築設計事務所に勤めていました。あの頃と変わらぬ笑顔にときめいたつぐみでしたが、樹が車イスに乗っていることを知り、驚きと戸惑いを隠せません。打ち合わせのためにつぐみが樹の職場を訪れた夜、樹の行きつけの店でふたりは夕食を共にします。そこで樹は、大学3年のとき、事故に遭って脊髄を損傷したこと、歩けなくなったこと、それでも建築士の夢を諦めなかったことなど仕事に対する熱い思いまで語ります。最初は戸惑うつぐみでしたが、建築士として前向きに生きる樹と接しているうちに、彼への想いを再び募らせていきます。「私は、今でも先輩が好き」そんなつぐみの、ひたむきでまっすぐな想いに、「一生、ひとりで生きていくって決めたんだ」と頑なだった樹も心を少しずつ開いていきます。やがてふたりは、付き合うことに。楽しいデートを重ね、一緒にいる幸せを感じるふたり。つぐみは、仕事をしながら樹を支えたいとがんばります。しかし、ある日ふたりの間に悲劇的な事件が勃発。それをきっかけに周囲を巻き込んで、ふたりの日々にも変化が訪れることになるのでした。お互いを大切に思い、愛するがゆえに生まれる葛藤。「好き」だけでは超えられない試練を前にすれ違うふたり。いくつもの壁を乗り越えようとひたむきに前に進む彼らが、やがて見つけ出す未来とは……!?■映画『パーフェクトワールド君といる奇跡』作品紹介映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』は、10月5日(金)より全国ロードショー!公式サイト:監督:柴山健次原作:有賀リエ脚本:鹿目けい子製作総指揮:大角正エグゼクティブプロデューサー:吉田繁暁、森広貴、津嶋敬介プロデューサー:古久保宏子、西麻美企画:井上竜太、石田麻衣プロデュース:井上竜太、石田麻衣撮影:板倉陽子照明:木村匡博録音:田中靖志美術:畦原唱平装飾:西村徹衣装:宮本茉莉、田口慧ヘアメイク:黒田はるな編集:森下博昭音楽:羽毛田丈史主題歌:E-girls「Perfect World」(rhythm zone)音楽プロデューサー:高石真美VFXスーパーバイザー:小坂一順選曲:長澤佑樹スクリプター:松本月助監督:土岐洋介制作担当:森崎太陽ラインプロデューサー:田中敏雄製作年:2018年製作国:日本上映時間:102分映倫区分:G配給:松竹LDH PICTURES制作プロダクション:ホリプロ©2018「パーフェクトワールド」製作委員会■映画『パーフェクトワールド君といる奇跡』キャスト岩田剛典=鮎川樹杉咲花=川奈つぐみ須賀健太=是枝洋貴芦名星=長沢葵マギー=渡辺剛大政絢=雪村美姫伊藤かずえ=川奈咲子小市慢太郎=川奈元久財前直見=鮎川文乃【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年10月13日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。1970年、芸術家の故・岡本太郎氏がデザインした日本万国博覧会(大阪万博)のシンボル ”太陽の塔" が耐震改修工事を終え鮮やかに再生し、今年3月から内部の一般公開も始まってますが、読者の皆さんは ”太陽の塔” をご覧になったことはありますか?”太陽の塔”は、金色に輝き”未来”を象徴する頂部の「黄金の顔」、”現在”を象徴する正面の「太陽の顔」、”過去”を象徴する背面の「黒い太陽」そして、人間の”精神世界”を象徴する「地底の太陽」という4つの顔を持っています。内部にある展示空間「生命の樹(き)」には、生物の進化の歴史を表現したオブジェが飾られ、それらの多くが現代の技術で復元され、躍動感に満ちた空間を体験できます。また、外から見ることができる3つの顔の他に、当時地下に展示されていたものの、万博閉幕後に行方がわからなくなっていた「地底の太陽」を再現、「第4の顔」「幻の顔」とも呼ばれる貴重な展示も見ることができるようになりました。しかし、作者である岡本太郎は、何のためにこの巨像を創ったのでしょうか?【シネマの時間】第41回は、その”太陽の塔”の謎と魅力に迫った長編ドキュメンタリー映画『太陽の塔』をお送りします。監督は、安室奈美恵やAKB48、Mr.ChildrenなどのMVや数々のCMを手がけ、カンヌ広告祭ではヤングディレクターズアワードなど3部門を受賞、公募によって選ばれた映像ディレクターの関根光才氏!当時、岡本太郎の周辺で太陽の塔の事業に関わっていた人々の証言、さまざまな分野の専門家やアーティスト、クリエイターのインタビューなどによって、芸術論だけでなく、社会学・考古学・民俗学・哲学の側面から岡本太郎が語られ、”太陽の塔”に込められたメッセージを解き明かしています。9月29日(土)より渋谷シネクイントほか全国公開中!是非この機会にお楽しみくださいませ!■映画『太陽の塔』あらすじーー岡本太郎は何のために創ったのか?いま明かされる太陽の塔の謎!1970年、日本万国博覧会(大阪万博)は、大阪府吹田市の千里丘陵にて、アジア、日本初の国際博覧会として「人類の進歩と調和」をテーマに開催され、77カ国が参加し約6400万人を動員しました。会場施設の設計を統括する基幹施設プロデューサーに丹下健三。テーマ展示の制作を担うテーマプロデューサーを岡本太郎が務め ”太陽の塔” を制作。「芸術は爆発だ!」という言葉で今でも記憶に新しい芸術家・岡本太郎は、一体何のためにこの塔を創ったのか?ドキュメンタリー映画『太陽の塔』では、当時の記録フィルムのほかに岡本太郎記念館館長の平野暁臣、人類学者の中沢新一、美術批評家の椹木野衣、コピーライターの糸井重里、アーティスト集団のChim↑Pom、探検家の関野吉晴など太郎と「太陽の塔」について語っています。そのほかチベット言語学者、密教学者、チベット仏教僧侶、考古学者、学芸員といった人々にもインタビューを敢行。その内容は曼荼羅のように彩られ、 ”太陽の塔” や岡本太郎を知らない人たちへも魅力的に構成演出されています。「岡本太郎のヒストリー」などを語る、川崎市岡本太郎美術館学芸員の大杉浩司と佐藤玲子ダンサーの菅原小春は、岡本太郎のエネルギーや哲学を身体から溢れるようなダンスで表現縄文の少女(織田梨沙)のフィクション/ドラマシーンも見どころ”太陽の塔” の頂部の「黄金の顔」は、未来。腹部の「太陽の顔」は、現在。背部の「黒い太陽」は、過去を表しています。「新聖感をあらゆる意味で失ってしまった現代に、再び世界全体に対応した、新しい祭りを甦らすことができたら。『祭り』であるためには新聖な中核が必要だ。太陽の塔はそのシンボルである。根源に呼びかけ、生命の神秘を吹き上げる。神像のようなつもり。それを会場の中心に、どっしりと根を張ってすえつける。おおらかな凄みで、すべての人の存在感をうちひらき、人間の誇りを爆発させる司祭として」ー岡本太郎の言葉より大阪万博の記録フィルムから。「太陽の塔」背部の黒い太陽は過去を表している。”太陽の塔” 内部にそびえ立つ「生命の樹」。アメーバには虫類、恐竜から人類に至るまで292体の生物模型が取り付けられています。赤い色が印象的な「生命の樹」は生物の進化の道筋を示すとされていますが、体内のいろいろな器官を表すと考えることもできます。太郎はあらゆる境界を越えていく人でした。精神と物質、人間と動物、縄文と現代。劇中では、「縁起の理法」や「無碍(むげ)」という言葉が語られますが、「縁起」はいろいろなものが関係し合っているという考え方、「無碍」とは妨げがない、壁がないという意味です。パリで太郎と交流があった文化人類学者のマルセル・モースや作家のジョルジュ・バタイユ、粘菌の研究で知られる南方熊楠、禅学者の鈴木大拙らの思想とどう共鳴しているのかなど、森羅万象に深く探求されています。”太陽の塔” 内部にそびえ立つ「生命の樹」渋谷駅連絡通路に設置されている岡本太郎による巨大壁画「明日の神話」は、”太陽の塔”と対をなす、太郎の最高傑作でパブリックアートの代表とも言われます。第五福竜丸が被爆した際の水爆の炸裂の瞬間がモチーフとなっており、悲惨な体験を乗り越え、再生する人々のたくましさを表現。メキシコで”太陽の塔”と同時期に製作された本作は長年行方不明となっていましたが、2003年に発見され修復を経て、2008年10月から東京都の渋谷駅連絡通路に恒久設置されています。巨大壁画「明日の神話」■展覧会『太陽の塔』あべのハルカス美術館にて同時開催!大阪・あべのハルカス美術館にて「太陽の塔」展覧会も同時開催中です!ぜひこの機会に、映画と併せて岡本太郎の芸術・感性・魂を体感してみてはいかがでしょうか。【展覧会概要】大阪吹田の千里丘陵にそびえ立つシンボル「太陽の塔」。1970(昭和45)年に日本万国博覧会のテーマ館の一部として岡本太郎(1911-1996)が作り上げた「太陽の塔」が、今年3月ついに息を吹き返しました。本展では、失われた展示空間を3次元で再現。太郎がテーマ館全体の根源を表現した地下展示を追体験します。万博という人類の祭りに太郎が問いかけたものの根源とは?太陽の塔が内包するものとは?その構想段階から完成、さらには再生事業までを網羅。太陽の塔の関連作品や精巧な模型に加え、映像や音響など多彩なメディアを駆使し、岡本太郎の感性を大きなスケールで体感する展覧会です。会場:あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16F)開催期間:2018年9月15日(土)~ 11月4日(日) 開館時間火~金 / 10:00~20:00、月土日祝 / 10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)休館日:9月18日(火)出典:■映画『太陽の塔』作品紹介映画『太陽の塔』は、9月29日(土)より渋谷・シネクイント、新宿シネマカリテ、シネ・リーブル梅田ほか全国ロードショー!公式サイト:監督:関根光才製作:井上肇、大桑仁、清水井敏夫、掛川治男エクゼクティブプロデューサー:平野暁臣プロデューサー:曽根祥子、菅原直太、鈴木南美、倉森京子、桝本孝浩、後藤哲也ラインプロデューサー:佐野大プロダクションマネージャー:西野静香撮影:上野千蔵照明:西田まさちお録音:清水天務仁編集:本田吉孝本編集:木村仁カラリスト:Toshiki KameiCGチーフディレクター:尹 剛志アニメーションディレクター:牧野惇音響効果:笠松広司音楽:JEMAPUR製作:映画『太陽の塔』製作委員会(パルコ、スプーン、岡本太郎記念現代芸術振興財団、NHKエデュケーショナル)助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会企画:パルコ制作:スプーン配給:パルコ製作年:2018製作国:日本/日本語・英語・チベット語上映時間:112分/シネスコ/5.1ch©2018映画『太陽の塔』製作委員会映画『太陽の塔』登場人物岡本太郎(芸術家)赤坂憲雄(民俗学者、学習院大学教授)安藤礼二(文藝批評家、多摩美術大学教授)糸井重里(コピーライター)植田昌吾(太陽の塔設計担当者)大杉浩司(川崎市岡本太郎美術館学芸員)奥山直司(密教学者チベット仏教学者)嵩英雄(太陽の塔ショットクリート技術担当者)唐澤太輔(龍谷大学世界仏教文化研究センター博士研究員)小林達雄(考古学者、國學院大学名誉教授)コンチョク・ギャムツォ(チベット仏教僧侶)佐藤玲子(川崎市岡本太郎美術館学芸員)椹木野衣(美術批評家、多摩美術大学教授)シャーラプ・オーセル(ポン教僧侶)ジャスティン・ジャスティ(ワシントン大学教授、日本美術研究家)菅原小春(ダンサー)春原史寛(美術史研究者、群馬大学准教授)関野吉晴(探検家)舘鼻則孝(アーティスト、ファッションデザイナー)千葉一彦(テーマ館サブプロデューサー)Chim↑Pom(アーティスト集団)土屋敏男(テレビプロデューサー、映画監督)中沢新一(思想家、人類学者)長野泰彦(チベット言語学者)並河進(ソーシャルデザイナー)奈良利男(太陽の塔設計担当者)西谷修(フランス思想哲学者)平野暁臣(空間メディアプロデューサー、岡本太郎記念館館長)マユンキキ(マレウレウ)織田梨沙=縄文の少女【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年10月05日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。【シネマの時間】第40回は、世界16の国と地域でサプライズ大ヒットを記録し、そのうち、中国・香港・台湾・ベトナム・マレーシア・ブルネイ・マカオ・フィリピンではタイ映画史上歴代興収第1位の座につきアジアを席捲した話題の映画『バッド・ジーニアス危険な天才たち』をお送りします。タイ・アカデミー賞とよばれる第27回スパンナホン賞で監督賞、主演女優賞、主演男優賞をはじめとした史上最多12部門を受賞した本作は、米批評家サイトRotten Tomatoesでも堂々の92%FRESHを記録。ひとりの天才少女をリーダーに、高校生の犯罪チームが頭脳と度胸だけを武器に世界を股にかけたカンニング・プロジェクトを仕掛ける第一級のクライム・エンタテインメントです。物語の背景になっているのは、近年発展目覚ましいアジア各国で深刻な社会問題となっている熾烈な受験戦争と格差社会。中国で実際に起きた集団不正入試事件をモチーフに、カンニングをスタイリッシュ、かつスリリングに描き、“まるで高校生版『オーシャンズ11』だ!”(米ヴァラエティ紙)などと世界各国のメディアで絶賛されています。ヒロインの女子高生リンを演じるのは、モデル出身で今回が映画初出演となるチュティモン・ジョンジャルーンスックジン。クールビューティーの9頭身のルックスで、映画公開後人気が爆発し、インスタグラムのフォロワーは約40万人、さらに2017年のアジアン・フィルム・アワードで最優秀新人賞を獲得し、今アジアで最も注目されている女優のひとりとなりました。リンを筆頭にした高校生たちが、あの手、この手のカンニング・テクニックを披露するのも見どころのひとつ。クライマックスに用意された28分に及ぶ史上最大のカンニング・シーンに、観る者は釘付けになるでしょう。監督・脚本は、長編デビュー作『Countdown』が第86回米アカデミー賞外国語映画賞タイ代表に選ばれ、2作目となる本作がメガヒット、一躍時の人となった37歳の俊英ナタウット・プーンピリヤ。今回、光栄なことにそのナタウット・プーンピリヤ監督にお会いして、映画撮影の裏話やタイの社会事情、監督イチオシの見どころなどを直接伺って参りました。映画を観る前にどうぞご覧くださいね!■映画『バッド・ジーニアス危険な天才たち』ナタウット・プーンピリヤ監督インタビューーー映画『バッド・ジーニアス危険な天才たち』タイのアカデミー賞(第27回スパンナホン賞)で監督賞、主演女優賞、主演男優賞など史上最多12部門を受賞、おめでとうございます。鑑賞させていただきましたが、カンニングというテーマを興味深くスタイリッシュでスリリングに展開しとても面白かったです!この映画は、どのような経緯で生まれたのですか?ありがとうございます。まずプロデューサーから「時差を使ったカンニングをテーマに映画を撮らないか?」と言われたときにすごく面白いと思いました。子どもの頃からアクション映画やスパイ映画を見るのが好きだったので、カンニングをテーマにアクション・スパイ映画風に製作しようと挑戦したのです。ーーなるほど。アクション・スパイ映画が参考になってるんですね。カンニングを仕掛ける天才的な高校生を主人公にスリル満点で最初から最後までハラハラドキドキし通しでした。一方で、アジア各国で深刻な社会問題となっている熾烈な受験戦争や格差社会がリアルに描き出され、近年日本でも問題になっており、考えさせられました。監督自身は、そのような社会の現状をどのようにお考えですか?格差社会は確かに大きな問題があると思いますが、双方が理解し合うという落としどころはあるでしょうね。学歴社会については、本来は皆が等しくチャンスがあるはずなのに、やはり教育においても格差があって、本当は受けるべき教育を受けれない子どもがいるという事実があります。確かに受験戦争のような経験も受験のチャンスがある人にはあって、ない人がいるという現実は問題ですね。ーーカンニングについては、実際に中国で起こったカンニング事件がモチーフだそうですが、本当にこんなことがあるなんてすごいですね。そのニュースを聞いたときに、すごくびっくりしたのですが、時差を使ってカンニングをしたという事実しか知らなかったので、監督として詳細を詰めたりテーマを決めたりして製作しました。ーーピアノの手の動きでのカンニングは、監督のアイデアですか?あれは、脚本チームの誰かが考えたのですが、ビジュアル的に(観客に)興味を持ってもらえるようなやり方、リンのキャラクターを際立たせるやり方にしました。ーー映画でもあのシーンは見どころですね。今回、数々の賞を受賞、世界各国で大ヒットされて、いよいよ日本で公開となりますが、今のお気持ちをお聞かせください。こんなに世界各国で絶賛されるとは思ってなかったです。スタッフやキャストにただただ感謝しています。ーー監督自身も監督賞を受賞したり、一躍脚光を浴び、どこが特に評価されているのだと思いますか?やはり、映画は自分ひとりで撮るのではなくチームワークが大切だと思うので、皆に感謝したいです。例えば、脚本も僕以外のふたりもできる人たちだし、プロデューサーも常にアドバイスをくれました。監督としては、多分一番疲れが少ないんじゃないかと思っています(笑)。あと役者さんが、伝えたいことを魅力的に伝えてくれているので、本当にいろいろな褒め言葉をもらったら、皆に伝えたいと思っています。ーー皆さん演技がとても素晴らしくて、ヒロインの女子高校生リンを演じたチュティモン・ジョンジャルーンスックジンなどは映画初出演だそうですが、クールビューティーに見事に演じ上げていてぴったりの配役ですね。キャスティングはどのように決められたのですか?この4人を学生を選ぶために2〜3カ月かけて100人以上のオーディションをしました。一番は、キャラクターが合っている人物ということで選んだのですが、撮影の2〜3カ月前から、ワークショップを開催してワークティングコーチに演技指導をしてもらい、誰がどんな弱点があるのかなど鍛えてもらいました。ーーしっかりとした準備期間を経て、素晴らしいチームワークになりましたね。やっぱり2時間、映画を引っ張っていけるような魅力のある人が必要だったからです。ーー本作は、クライム・エンターテイメントとしても、友情やほんのり恋心も描いて青春ドラマの側面もあり、社会問題にも切り込んで、そこは脚本を描く段階で最初から考えて製作されたのですか?はい。そこは、最初から意図していたことなんですが、やっぱりバランスをとるのがすごく難しくて、脚本を何度も何度も推敲して1年半かかりました。ーー監督自身のプロフィールを見ると、タイのシーナカリンウィロート大学の芸術学部演劇・舞台演出専攻にて修士号を取得、短編映画を撮りながら、ワコール、ブラザーといった有名企業のテレビCM監督として活動。その後、ニューヨーク・ブルックリンにあるプラットインスティテュートで、グラフィック・デザインを学ばれるなど、学生の頃から優秀で映画監督の道を順調に歩まれていますが、子どもの頃はどんなお子さんだったのですか?映画が好きな、いたって普通の子どもでした。毎回、映画を撮り終わったときに思うのですが、自分は映画監督の道を選んで本当に良かったと、続けてきて良かったと思います。確かに映画を撮ると疲れるのですが、このようにたくさんの人に観てもらえることで、その疲れが報われるような気がしますし、とても幸せな気持ちになります。ーー子どもの頃から映画が好きだったのは、家庭環境によるところですか?そうです。実は、親戚の家がレンタルビデオ屋をやっていて、それで子どもの頃から映画をいろいろと観てたんですよね。最初は、楽しみだけで観てたんですけれども、映画を観ることで普段日常では経験できない2時間を過ごせるのは素晴らしいと思って、本当に映画を観ることが好きでした。ーー素敵ですね。この映画で監督が特にオススメする見どころを教えてください。タイの若者文化と日本の若者文化は違いますが、映画を観ることで新しい世界を知ることができると思うんです。映画を観て、なぜこの人たちはカンニングをしなきゃいけなかったのか考えるきっかけとなり、カンニングをしたことのない日本人にもその理由を少なからずわかってもらえるかもしれない。とにかく楽しく観られる映画になっているので、ぜひ一度ご覧いただければと思います。ーー日本でもカンニングはやはり問題になっています。日本ではこれからまさに受験シーズンで、ちょうどタイムリーな話題になる映画だと思います。リンの台詞で「私たちは生まれついての負犬。人より努力しないとダメなの。明日から世界は私たちの思いのまま」という映画を象徴するシーンがあって印象的だったのですが、最後に映画の中で監督自身が特に好きなシーンはどこですか?ありがとうございます。高校生の4人の若者はミッションを果たそうとがんばっているのですが、僕が特に好きなのはリンと父親のシーンで、父親というのは、この映画の心臓になる部分なんです。父親にタネートさんという演技の上手い役者さんに演じてもらえたのは本当に良かった。父と娘の場面を見せることで映画に重みが増しました。ーーそうですね。良いお父さんで私も好きな場面です。どんなときでも見守っていてくれて、心温まるシーンですよね。本日は貴重なお時間をありがとうございました。映画のご盛況、監督の今後のご活躍を心よりお祈りしております!■ナタウット・プーンピリヤ監督のプロフィールナタウット・プーンピリヤ( Nattawut Poonpiriya )1981年3月24日、バンコク生まれ。タイのシーナカリンウィロート大学の芸術学部演劇・舞台演出専攻にて修士号を取得後、短編映画を撮りながら、ワコール、ブラザーといった有名企業のテレビCM監督として3年ほどタイ国内で活動。その後、ニューヨーク・ブルックリンにあるプラットインスティテュートにグラフィック・デザインを学びに渡米。2011年にタイに戻り、再びテレビCMそしてMVの監督としても、数々の作品を手がけるようになり注目を浴びます。2012年、長編監督1作目の『Countdown』(12・未)が公開され、タイ・アカデミー賞と呼ばれるスパンナホン賞で最優秀脚本賞、編集賞、主演男優賞を受賞、さらに第86回米アカデミー賞外国語映画賞のタイ代表に選出。その後も精力的に映画作りを続け『The Library』『Present Perfect』という短編作品を相次いで公開。そんな折に、本作のプロデューサーであるジラ・マリクンとワンリディー・ポンシティサックから、カンニング事件をモチーフにして映画を作らないかと話を持ちかけられます。この提案を面白がったプーンピリヤ監督は、1年以上をかけて脚本を執筆し本作を制作。2017年5月に本国で公開、タイ国内映画として2017年年間興行収入第1位を記録。さらに、第27回スパンナホン賞では最優秀監督賞をはじめ、史上最多12部門で受賞、またカナダのファンタジア映画祭で監督賞を受賞するなど国内外の映画賞を多数受賞。これから世界的な活躍が、ますます期待される注目の監督です。■映画『バッド・ジーニアス危険な天才たち』あらすじーー高校生の”犯罪チーム”が仕掛けた史上最大の頭脳ゲーム!タイ・バンコク。小学生の頃からずっと成績はオールA、さらに中学時代は首席と天才的な頭脳を持つ女子高生リン。教師である父親との父子家庭で、決して裕福とは言えない生活を送っているリンでしたが、その明晰な頭脳を見込まれ、晴れて国内有数の進学校に特待奨学生として転入を果たします。転入初日にリンは、勉強はできないけれど天真爛漫な明るい性格で、女優を目指しているグレースと友達になり、勉強を教えることに。しかし中間テストの本番、グレースは教えたはずの問題も解けない始末。見かねたリンは、試験の最中にある方法でグレースを助けます。リンのおかげで見事に成績が上がったグレースは大喜び。リンを彼氏の御曹司バットの家での祝賀会に誘います。グレースから紙面の話を聞き、自らも良い成績を簡単に手に入れたいと考えていたバットは、リンにあるビジネスを持ちかけます。それは、より高度な方法でカンニングを行い、答えと引き換えに代金を支払うというもの。“リン先生”の元には、瞬く間に学生たちが殺到しました。リンが編み出したのは、“ピアノレッスン”方式。指の動きを暗号化して多くの生徒を高得点に導いたリンは、クラスメートから賞賛され、報酬も貯まっていきます。しかし、学校が誇るもうひとりの天才・生真面目なバンクとの出会いが、波乱の種に。そのビジネスの集大成として、アメリカの大学に留学するため世界各国で行われる大学統一入試「STIC」を舞台に、最後の、最大のトリックを仕掛けようとするリンたちは、バンクを仲間に引き入れようとするのですが……。■映画『バッド・ジーニアス危険な天才たち』作品紹介映画『バッド・ジーニアス危険な天才たち』は、2018年9月22日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー!公式HP:原題:Chalard Games Goeng監督:ナタウット・プーンピリヤ脚本:ナタウット・プーンピリヤ、タニーダ・ハンタウィーワッタナー、ワスドーン・ピヤロンナエグゼクティブプロデューサー:ジーナ・オーソットシン、ブッサバー・ダーオルアン、バイブーン・ダムロンチャイタムプロデューサー:ジラ・マリクン、ワンリディー・ポンシティサック、スウィモン・デーチャスピナンチェンチョニー・スントーンサラトゥン、ウィーラチャイ・ヤイクァヲン撮影:パクラオ・ジランクーンクム編集:チョンラシット・ウバ二キッド音楽:フアランポン・リディム、ウィチャヤー・ワタナサッププロダクションデザイン:ベッチャラー・ルートガイ衣装デザイン:ペアレット・ウォンガラム美術:ターンタップ・ルアンターラー製作年:2017年製作国:タイ上映時間:130分字幕翻訳:小田代和子監修:高杉美和提供:マクザム配給:ザジフィルムズ/マクザム後援:タイ王国大使館、タイ国政府観光庁©GDH 559 CO., LTD. All rights reserved.■映画『バッド・ジーニアス危険な天才たち』キャストチュティモン・ジョンジャルーンスックジン=リンチャーノン・サンティナトーンクン=バンクティーラドン・スパパンピンヨー=パットイッサヤー・ホースワン=グレースタネート・ワラークンヌクロ=リンの父【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年09月20日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。今も世界中で熱狂的なファンを持つSF人気シリーズ『スター・トレック』好きな読者の方々も多いと思いますが、個性豊かなキャラクターや壮大な世界観が魅力的ですよね。【シネマの時間】第39回は、そんな『スター・トレック』の脚本コンテストのために一人旅をする、自閉症のウェンディの心温まる物語。映画『500ページの夢の束』をお贈りします!脚本を手掛けたマイケル・ゴラムコ自身、熱狂的な『スター・トレック』ファンで、会話の隅々にも『スター・トレック』愛がいっぱい。主人公ウェンディ役には、『I am Samアイ・アム・サム』や『宇宙戦争』で天才子役として名を馳せたダコタ・ファニング。人生初の大きな目標のために、さまざまなトラブルを一つずつクリアして、つまずきながらも目的地に近づいていく愛すべき21歳の自閉症の少女を魅力的に演じています。ウェンディを明るく見守るソーシャルワーカーのスコッティには、『シックス・センス』でアカデミー賞に、『リトル・ミス・サンシャイン』でゴールデン・グローブ賞にノミネートされたハリウッドを代表する演技派女優のトニ・コレット。姉のオードリーに『スター・トレック イントゥ・ダークネス』のアリス・イヴ、ウェンディを捜索するフランク巡査役は『レミーのおいしいレストラン』で主人公レミーの声を担当したパットン・オズワルトなどがしっかりと脇を固めています。監督は、『セッションズ』で近年数々の賞に輝いたベン・リューインがメガホンをとり、どこか欠損やトラブルを抱えながらも、今より幸せな明日を手にするために懸命に生きる者たちを、フラットな目線で愛とユーモアを込めて描いた感動の物語!私自身、ひたむきな主人公のウェンディーの姿に心打たれました。ぜひ、映画館でお楽しみいただければ幸いです。■映画『500ページの夢の束』あらすじーー大好きな『スター・トレック』の脚本コンテストのためにハリウッドを目指す自閉症のウェンディの物語。主人公のウェンディは、人気SFシリーズ『スター・トレック』が大好きな21歳の女の子。自閉症を抱える彼女は、唯一の肉親である姉・オードリーと離れて、アメリカのベイ・エリアの自立支援ホームで暮らしていますが、自分なりの『スター・トレック』の脚本を書くことが趣味でした。最近ではソーシャルワーカーのスコッティの協力を得て、シナボンというシナモンロール屋でアルバイトをはじめ、社会とのつながりを持とうとしています。ある日、『スター・トレック』脚本コンテストが開かれることを知った彼女は、夢中になって500ページの大作を書き上げます。そんななか、とあるすれ違いから、姉のオードリーと口げんかをしてしまったウェンディ。ショックを受けた彼女はそのまま寝込んでしまい、気付いた時には郵送でコンテストの締め切りに間に合わない自体に陥ってしまいます。涙をこぼして悔やみますが、なんとか自分で気持ちを落ち着かせ、せっかく書いた原稿をロサンゼルスのパラマウント・ピクチャーズ(『スター・トレック』の映画会社 )まで直接届けようと決心します。500ページの脚本をお気に入りのスター・トレックの青のリュックに詰め込み、朝早く自立支援ホームを抜け出し、愛犬ビートとともにハリウッドを目指し、初めての旅にチャレンジするのでした。家とアルバイト先の店を往復する以外、ほとんどどこへも行ったことのないウェンディが、一度も渡ったことのない通りに勇気を出して踏み出し、ロサンゼルス行きのバスに乗り込みます。ベイ・エリアからロサンゼルスまで3日間の初めての一人旅。その頃、自立支援ホームでは、出勤してきたスコッティが、彼女がいないのに気づいて大慌てで探し始めます。バスでロサンゼルスまで行くはずのウェンディでしたが、なんとビートが車中でオシッコをしてしまい、途中の道でひとりと1匹は降ろされる羽目に。目的地のパラマウント・ピクチャーまで370キロ!彼女は、くじけずに歩き出しますが、その後もさまざまな困難に遭遇します。一方、ウェンディが脚本を直接届けに行ったことに気づいたスコッティーもまた、反抗期の息子のサムを車に乗せてハリウッドへ向かいます。さらに、報せを聞いた姉のオードリーもウェンディーを追いかけるのですが、それぞれの旅の行方は……?果たしてウェンディーは、脚本コンテストの締め切りまでにパラマウントに辿り着くことができるのでしょうか……!?大好きなものがあるって最強!大好きなものは勇気をくれる。ウェンディには、楽しいときも辛いときもいつでも『スター・トレック』がありました。”チャレンジする心を忘れないすべての人を応援する感動のハートフルストーリー”■自閉症とは?映画『500ページの夢の束』の主役の女の子ウェンディは、自閉症を抱えるひとりです。彼女は、自立支援ホームで暮らし、ソーシャルワーカーの協力を得て、シナモンロール屋でアルバイトを始めるなど、社会とのつながりを持とうとしています。そんなウェンディは、人気SFシリーズ『スター・トレック』の知識では誰にも負けません。劇中、同じショッピングモールに働く『スター・トレック』ファンが彼女にクイズ合戦を挑んできますが、驚異的な知識量で圧倒するのです。『スター・トレック』の何がそれほどまでにウェンディを惹きつけるのでしょうか。同作に登場する人気キャラクターのスポックは地球人とバルカン星人とのハーフで、感情をうまく表現できない人物として描かれており、ウェンディはそこに自分自身を重ね合わせているのでした。脚本コンテストのために彼女が執筆した『スター・トレック』の物語には、彼女の伝えたい思いが詰め込まれています。そんなウェンディが書いた物語と、現実が二重構造でシンクロしていくさまは、本作の一番の見どころでしょう。『スター・トレック』は彼女が社会と向き合う接点でもあるのです。自閉症とは「東京都自閉症協会」によると、先天的な原因から対人関係の特異性、コミュニケーションの質的障害、イマジネーションの質的障害という3つに特徴があらわれることから診断される障害です。「自閉」という言葉からイメージされる「自ら心を閉ざしている病気」ではなく、育て方によって、後天的になるものでもありません。原因は、まだ不明ですが、さまざまな所見や遺伝的研究から、先天的な脳機能の違いが原因となる障害だと、考えられています。自閉症は、重度の知的障害を合併している人から、知的な障害がほとんどない人、IQ(知能指数)が通常より高い人まで幅広く、その個性も多様です。どこからどこまでが「知的障害」、どこからどこまでが「自閉症」と区切れるものではなく、まるで虹の光のように連続していることから、自閉症スペクトラム(Autistic Spectrum Disorder:ASD)と言われます。従来、知的障害のある(IQ70~75以下)人が7割から8割といわれていましたが、ここ数年、知的障害をともなわないタイプの自閉症が広くしられるようになり、早期発見が進んだことから、知的障害をともなわないアスペルガー症候群などの高機能ASDの割合が増えていると、医療機関や教育機関では実感されています。また、てんかんを発症する自閉症児・者の例は多く(20%以上)、重度知的障害のある人の方がその割合が高いというデータがでています。そのほか、さまざまな感覚や、運動機能に特異性をもつ人もたくさんいます。このことからも、自閉症が精神の障害でなく脳の機能・器質障害であると想像されます。( NPO法人東京都自閉症協会より参照 )出典:■映画『500ページの夢の束』作品紹介映画『500ページの夢の束』は、2018年9月7日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー!公式HP:原題:Please Stand By監督:ベン・リューイ製作:ダニエル・ダビッキ、ララ ・アラメディン、トッド ・ワグナー、ベン ・コスグローヴ脚本:マイケル・ゴラムコ撮影:ジェフリー・シンプソ編集:リサ・ブロムウェル , ACE美術:ジョン・コリズ自閉症演技指導:エレーヌ・ホール製作年:2017年製作国:アメリカ上映時間:93分映倫区分:G日本語字幕:桜井裕子配給:キノフィルムズ/木下グループ©2016 PSB Film. LLC■映画『500ページの夢の束』キャストウェンディ=ダコタ・ファニグスコッティ=トニ・コレットオードリ=アス・イヴサム=リヴァー・アレクサンダージャック=マイケル・スタール・デヴィドジュリー=ジェシカ・ローテローズ:マーラ・ギブス男性看護師:ジェイコブ・ワイソッキフランク巡査:パットン・オズワルドドイル巡査:ロビン・ワガート【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年09月10日映画『ニュー・シネマ・パラダイス』のイタリア公開30周年を記念したシネマ・コンサートが、2018年9月15日(土)・16日(日)に東京・有楽町の東京国際フォーラムで、17日(月・祝)に大阪・オリックス劇場で開催される。映画のセリフや効果音はそのままに、オーケストラが音楽パートを本編上映に合わせて生演奏するシネマ・コンサート。今回はジュゼッペ・トルナトーレ監督が1988年にイタリアで公開した『ニュー・シネマ・パラダイス』を題材に、映画本編の上映とオーケストラ生演奏の贅沢なコラボレーションが楽しめる。シチリアの小さな映画館“新パラダイス座”を舞台に、トト少年と老映写技師・アルフレードの交流を描く物語を彩るのは、映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネによる、美しく感動的な音楽。そんなモリコーネの名曲の数々を、国内屈指の名門オーケストラである東京フィルハーモニー交響楽団が演奏する。【開催概要】『ニュー・シネマ・パラダイス』シネマ・コンサート開催日:■東京公演開催日時:2018年9月15日(土) 開場16:00/開演17:009月16日(日) 開場12:00/開演13:00会場:東京国際フォーラム ホールA■大阪公演開催日時:9月17日(月/祝) 開場16:00/開演17:00会場:オリックス劇場チケット価格(全席指定):S席 9,800円(税込) / A席 7,800円(税込) ※3歳未満入場不可指揮:ティアゴ・ティべリオ演奏:東京フィルハーモニー交響楽団©1989 CristaldiFilm
2018年09月07日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。ベストセラー小説を原作にした映画は多いですが、映画を観たあと原作小説を読むのも楽しいですね。【シネマの時間】第38回は、”ティーンエイジノワールとして、マーク・トウェインやJ.D.サリンジャーと並ぶ傑作” と絶賛されたアメリカの新進作家サム・マイソンによるベストセラーノベル『November Criminals』を映画化した話題の『クリミナル・タウン』をピックアップ!メガホンを取ったのは、『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』『ヒッチコック』で高い評価を受けた実力派のサーシャ・ガバシ監督が演出を手がけ、どこまでもクールな視点で、アメリカの首都=犯罪の首都と化したワシントンD.C.の光と陰の実態を10代の甘酸っぱい青春と共に巧みに描き出しています。主人公アディソン役は、ハリウッド『ベイビー・ドライバー』で大ブレイクを果たしたアンセル・エルゴートがナイーブで傷つきやすく真っ直ぐな主人公を、ヒロインのフィービー役は、『(500)日のサマー』『ヒューゴの不思議な発明』などで、若手トップ女優の地位を確立したクロエ・グレース・モレッツが魅力的に演じています。さらに、アメリカワシントンD.C.の学園生活の様子やそれぞれの親子関係も繊細に丁寧に描かれ、愛する我が子がさまざまな問題に遭遇したときの親としてのあり方なども大変興味深く、老若男女どの世代の方々が観ても楽しめる映画です。ハリウッドの最旬キャストで贈る衝撃のクライム・サスペンス・青春映画。ぜひ、映画館でお楽しみください!■映画『クリミナル・タウン』あらすじーーワシントンを舞台に事件の真相解明に挑む高校生の姿を描くクライムサスペンス!政治の街ワシントンD.C.は、上流中産階級の人々が暮らすアメリカのシンボルタウンであると同時に、殺人件数・襲撃、強盗件数がトップとされる犯罪の街。そのワシントンD.C.にある公立高校の卒業を控えたアディソン・シャクト(アンセル・エルゴート)は、趣味は読書とデヴィッド・ボウイを聞くこと、VHSでビデオ日記をつけるといった父とふたり暮らしの高校生。その日、幼馴染のフィービー(クロエ・グレース)から、「大学に進学する前に心許せる相手に処女を捨てたいの」と爆弾発言され、初めてふたりで親密な時間を過ごすのですが、その直後に親友である優等生のケビンが、バイト先のコーヒーショップで銃殺されたという知らせを聞きます。警察とメディアは「チンピラの黒人少年が麻薬を巡るギャング同士の抗争に巻き込まれたのだろう」と、早々に調査を終結しようとします。しかし、アディソンはあの文学好きの優等生のケビンが、チンピラと言われ麻薬に関わって殺されたなんて信じられない……と納得がいきません。優等生のケビンが、なぜ殺されなければならなかったのか?親友の名誉を取り戻すためアディソンは、校内や各所に「事件の目撃情報求む」と、張り紙をしたりとフィービーと共に犯人捜しに乗り出します。しかし、証言を取り合おうとしない警察や、大学への推薦状を餌に操作を牽制する学校、「深入りするな」と脅しをかけてくる同級生など、なぜか街中が目を背ける雰囲気に。ひるまずに捜査を続けるふたりは、ケビンのバイト仲間、担当したカウンセラー、両親などに会いますが、肝心の両親が「息子は、この街に殺された……」と口をつぐむのでした。まるで街全体がこの事件をなかったかのように処理するさまに違和感を拭えないふたり。食い違う人物像、不可解な行動。危険を感じたフィービーが、調査を止めようと訴えるのをよそに、アディソンは事件の核心へと近づいていきます。しかしそれは、ワシントンD.C.の巨大な闇を突く、最も危険な捜査だったのです。やがて明かされる残酷な真実とは……!?ワシントンD.C.に根強く存在する格差と人種差別、高校生たちの間に広がるドラッグなど、今日のアメリカの10代の青春と絡めて鮮やかに社会問題を浮き彫りにしています。映画『クリミナル・タウン』作品紹介映画『クリミナル・タウン』は、2018年8月25日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー!公式HP:監督:サーシャ・ガバシ原作:サム・マンソン「クリミナル・タウン」(ハヤカワ文庫2018年7月5日発売)原題:November Criminals脚本:スティーブン・ナイト、サーシャ・ガバシ製作総指揮:アンガス・サザーランド、タンニャ・タワージョ、マリンディ・フィックル製作:ベス・オニール、エリカ・オールド、アラ・ケシシアン、ビル・ジョンソン、ジム・セイベル、マーク・ビエンストック撮影:ミハイ・マライメア・Jr.美術:カート・ビーチ衣装:ジュリー・ワイス編集:マーティン・ペンサ音楽:デビッド・ノーランド音楽監修:ローラ・カッツ字幕翻訳:牧野琴子製作国:アメリカ製作年:2017年映倫区分:G上映時間:86分配給:ギャガ・プラス© 2016 NOVEMBER CRIMINALS HOLDINGS, LLC映画『クリミナル・タウン』キャストアンセル・エルゴート=アディソンクロエ・グレース・モレッツ=フィービーデヴィッド・ストラザーン=テオ・シャクトキャサリン・キーナー=フィオナ【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年08月28日こんにちは、アートディレクターの諸戸佑美です。読者の皆さまは、名優トム・クルーズが、伝説的スパイ/イーサン・ハントを演じる大人気スパイアクション映画『ミッション:インポッシブル』シリーズの最新作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』をもうご覧になられましたか?プロのスタントマン顔負けの身体能力で数々のアクションをこなし、世界中のファンを魅了してきたトム・クルーズ。【シネマの時間】第37回は、そんなトムが、“ひとつの到達点であり、集大成”と豪語する、大小100を超えるスタントに挑んだ『ミッション:インポッシブル』シリーズ最新作!映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』4DX(フォー・ディー・エックス)版をご紹介します!私は、「ユナイテッド・シネマ アクアシティーお台場」の体感型シアター4DXにて本作を鑑賞したのですが、お台場にはお台場海浜公園もあり、海辺で遊んだり、夕暮れ(サンセット)や夜景はとても美しいですね。また近隣の日本科学未来館では、子どもたちのデザインマインドを育むNHK Eテレの人気番組『デザインあ』のコンセプトを体感することができる展覧会「デザインあ展 in TOKYO」( )が開催中です。10月18日(木)まで。トム・クルーズが、豪華キャストやスタッフ陣とともにパリ・ロンドンなど世界中を股に掛け、シリーズ史上最も不可能なミッションに挑んだ映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』4DX版。親子や仲間だけでなく恋人とのデートムービーとしても定評のあるオススメ映画なので、劇場周辺の観光スポットとあわせて素敵な夏の思い出にお楽しみいただければ幸いです!■ 『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』4DXシアターのご案内4DXとは、いま映画業界で最も注目を集めている、最新の”五感を刺激する体感型プレミアムシアター”です。映画のシーンに完全にマッチした形で、モーションシートが前後・上下・左右に動き、頭上からは雨が降り、水や風が吹きつけ、閃光が瞬く、など全20種類の特殊効果が稼働し、まるで映画の主人公になったかのような感覚で映画を鑑賞できます。さらに、演出を盛り上げる香りや、臨場感を演出する煙など、さまざまな特殊効果で映画を”観る”から”体感する”楽しみを満喫することができ、特にヨーロッパや北米で20~30代を中心とした若年層の間でトレンドとなっています。映画『ミッション:インポッシブル』シリーズの見どころといえば、トム・クルーズが体当たりで挑む迫力満点のアクションシーンですが、なんと本作では前後・左右・上下に動く4DXモーションチェアの動作レベル1~9の中で最も高いレベル9に設定!ライディングアクションに特化した「4DXエクストリーム」版で公開され、トム・クルーズとともに”陸上選手さながらのビルジャンプ”、”ヘリコプターにしがみつき、落下までするアクション”、”2000時間の飛行訓練を経たヘリコプター操縦”、”成層圏寸前高度7620mからのヘイロージャンプ”、”スピード感溢れるバイクシーンやカーチェイス”などといったスリルいっぱいのアクションシーンを最大限に体感できるとあって話題です。史上最大のミッションにふさわしい4DX演出を体験できる『ミッションインポッシブル:フォールアウト』4DXエクストリーム版をぜひお楽しみくださいませ!『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』4DX上映劇場は、こちらです▼【ユナイテッド・シネマ】(18劇場)【シネマサンシャイン】(6劇場)【USシネマ】(5劇場)【フォーラム那須塩原】【109シネマズ】 (8劇場)【コロナシネマワールド】 (9劇場)【イオンシネマ】 (7劇場)【アースシネマズ姫路】 CJ 4DPLEX日本公式ホームページ:(注意)1)劇場により対応している効果が異なります。 2)上映劇場は変更となる場合があります。3)チケットご購入の際には、安全ガイドラインを必ずご確認の上、お買い求めください。■映画『 ミッション:インポッシブル/フォールアウト』あらすじースパイ組織IMFと最強のスパイ イーサン・ハントが、不可能なミッションに挑む大人気アクション映画!トム・クルーズ主演の人気スパイアクション『ミッション:インポッシブル』シリーズ待望の第6作目。盗まれた3つのプルトニウムを回収するミッションについていたイーサン・ハント(トム・クルーズ)と仲間たちでしたが、回収目前で何者かによりプルトニウムを奪われてしまいます。イーサンとIMFチームは、プルトニウムを再び奪い返し、複数の都市の同時核爆発を未然に防ぐ新たなミッションを受けます。この事件の裏側には、シンジケートの生き残り勢力が結成したアポストル(神の使徒)が関連していて、手がかりはジョン・ラークという正体不明の男の名前と彼が接触するホワイト・ウィドウと呼ばれる謎めいた女性の存在のみでした。今回のミッションに対し、イーサンの動きを不服とするCIAは、敏腕エージェントのウォーカーを監視役に同行させることを条件とします。イーサンはホワイト・ウィドウの信頼を得るため、やむなく収監中の敵ソロモン・レーンの脱走に手を貸しますが、その影響で味方の女スパイ“イルサ”と対立してしまいます。一方、同行するウォーカーはイーサンへの疑惑を深め、ふたりはやがて対決のときを迎えます。タイムリミットが刻一刻と迫る絶体絶命のピンチの中で、チームの仲間や愛する妻の命まで危険にさらされるなど、いくつもの試練がイーサン・ハントに降りかかるのですが……!■映画『 ミッション:インポッシブル/フォールアウト』作品紹介映画『 ミッション:インポッシブル/フォールアウト』4DX版は、2018年8月3日(土)よりユナイテッド・シネマほか全国ロードショー!公式ホームページ: 原題:Mission: Impossible - Fallout監督/脚本/製作:クリストファー・マッカリー製作:ジェイク・マイヤーズ、J・J・エイブラムス製作総指揮:デビッド・エリソン、デイナ・ゴールドバーグ、ドン・グレンジャー原作:ブルース・ゲラー撮影監督:ロブ・ハーディプロダクション・デザイナー:ピーター・ウェンハム衣装デザイン:ジェフリー・カーランド編集:エディ・ハミルトン音楽:ローン・バルフェテーマ曲:ラロ・シフリンスタントコーディネーター/撮影第2班監督:ウェイド・イーストウッド特殊効果スーパーバイザー:ニール・コーボールドVFXスーパーバイザー:ジョディ・ジョンソン製作年:2018年製作国:アメリカ上映時間:147分映倫区分:G配給:東和ピクチャーズ©︎2018 Paramount Pictures. All rights reserved.■映画『 ミッション:インポッシブル/フォールアウト』キャストトム・クルーズ=イーサン・ハントヘンリー・カビル=オーガスト・ウォーカービング・レイムス=ルーサー・スティッケルサイモン・ペッグ=ベンジー・ダンレベッカ・ファーガソン=イルサ・ファウストショーン・ハリスソロ=モン・レーンアンジェラ・バセット=エリカ・スローンバネッサ・カービー=ホワイト・ウィドウウェス・ベントリー=パトリックフレデリック・シュミット=ゾラミシェル・モナハン=ジュリア・リードアレック・ボールド=ウィンアラン・ハンリー【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年08月17日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。60歳を過ぎて、あなたは誰とどんな人生を過ごしていたいと思いますか?「シネマの時間」第36回は、『ニューヨーク、眺めのいい部屋売ります』で知られる72歳の名匠リチャード・ロンクレイン監督が贈るもっと豊かに生きるためのヒントが詰まった涙と笑いの人生賛歌、映画『輝ける人生』をご紹介させていただきます!本作は、イギリスで大ヒットした話題作で、ロンドン・ローマを舞台に35年間専業主婦だったサンドラが、夫の浮気をきっかけに人生を見つめ直すヒューマンドラマ。劇中、60代の主人公たちが楽しく繰り広げるダンスシーンや50年代から2018年までのダンスナンバーが、素敵な見どころになっています。ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツの「ロック・アラウンド・ザ・ロック」やビック・ポッパーの「シャンテリー・レース」をはじめ、主人公のサンドラとチャーリーが良い雰囲気になるJamie Josephの「Lucky 13’s」など新旧の人気ナンバーが目白押し。ローマのシーンでは、ザ・ピーナツや森山加代子が「月影のナポリ」としてカバーしたミーナの「Tintarella di luna」が異国情緒感たっぷりに盛り上げます。” 泣いて、笑って、恋をして。踊りましょう、幸せのステップで ”結婚していても、結婚しない人生でも、幸せの価値は人それぞれ、誰にでも新しいチャンスがあることを感じさせてくれる映画です。村上春樹さんの著書『ダンス・ダンス・ダンス』(講談社刊)をちょっと思い出しました。ぜひ、映画館でお楽しみください!■映画『輝ける人生』あらすじー60歳を過ぎて気づいた自分らしい生き方とは?中流階級の豪邸が多いイギリスのサリー州。専業主婦のサンドラは、35年も連れ添った夫のマイクが、州に警察部長を勤め上げた功績を認められてナイトの称号を授与され、幸せの絶頂でした。ひとり娘のニコラは、元気な男の子を育児中、サンドラはそんな家族や仲間に囲まれ順風満帆の人生のはずだったのです。ところが夫の定年還暦パーティーで、なんと夫と親友の浮気現場を目撃してしまいます。まさかの事態に傷心のサンドラは、10年も疎遠だったロンドンに住む姉のビフの団地に転がり込むことに。お金や名誉とは無縁のビフは、なんでも話せる親友のチャーリーやダンス教室の仲間に囲まれて、独身生活を心から謳歌していました。妹の窮地を心配する姉は、サンドラをダンス教室へ無理やり連れて行きます。ビフは結婚前の妹が、ダンサーの卵でダンスに夢中だったことを覚えていたのでした。ダンス教室には、最愛の妻を亡くしたばかりのテッドや5回の離婚歴を持つ美人弁護士ジャッキー、中古家具の修理職人のチャーリなどさまざまな事情を抱える人たちが参加していました。サンドラは、階級や過去の栄光に関係なく、生き生きとダンスをする彼らに衝撃を受けました。誰もが残りの人生を心から謳歌しているようなのです。はじめは戸惑うサンドラでしたが、チャーリに誘われ踊った後にダンスの楽しさを思い出し、身も心も癒され解放されるのを感じたのでした。寒い冬が近づいた頃、ジャッキーの提案で恵まれない人たちのために暖房費の寄付を募るゲリラライブを行うこととなりました。そんなある日、夫のマイクからサンドラの元へ離婚申請書が送られてきます。そのうち夫が浮気を謝って迎えにきてくれる、元の鞘に収まるはずだとタカをくくっていたサンドラは、泣く泣く離婚を受け入れるしかありませんでした。ピカデリーサーカスでのゲリラライブの日がやってきました。ダンスを披露する集団の中には、吹っ切れたように生き生きと仲間と踊るサンドラの姿もあり、ゲリラライブは大成功を収めます。その様子は動画サイトでニュースとなり、ローマ・ビエンナーレからなんとダンス教室へ出演の依頼も舞い込みます。最近、腰痛と喘息に悩み病院で検査を受けるビフでしたが一同は、一路ローマへ。姉妹の絆やダンスへの情熱を取り戻したサンドラは、恋の都ローマで新しい未来の予感を感じるのですが……!■映画『輝ける人生』作品紹介映画『輝ける人生』は、2018年8月25日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国ロードショー!公式HP:原題:FINDING YOUR FEET監督:リチャード・ロンクレイン脚本:メグ・レオナルド、ニック・モークラフトプロデューサー:アンドリュー・バーグ、ジョン・サッシュ、メグ・レオナルド、ニック・モアクロフト、ジェームズ・スプリング製作総指揮:ギデオン・ライオンズ、グレアム・ベッグ、レスリー・ワライアン・バーグ、リン・バーグ、アンドリュー・ボスウェル、サニー・ボラ、ポール・デウィンター、ボブ・ベントン、ジェイ・ファイアストーン、チャールズ・ロージョン・ステーブンス、アダム・トラッセル、リチャード・ウィーラン共同製作:リチャード・ホエラン編集:サラダ・マクデルモット撮影:ジョニー・デュークス美術:ジョン・バーデュー衣装:マイケル・J・マケヴォイ音楽:アシュレイ・ワレン、マーティン・バーグ音楽監修:マーティン・バーグ製作年/国:2017年/イギリス時間:111分/PG12配給:アルバトロス・フィルム字幕翻訳:松浦美奈©️Finding Your Feet Limited 2017■映画『輝ける人生』キャストイメルダ・スタウントン=サンドラティモシー・スポール=チャーリーセリア・イムリー=ビフデビッド・ヘイマン=テッドジョン・セッションズ=マイクジョアンナ・ラムレー=ジャッキー【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年08月10日「角川シネマ新宿」が、2018年7月28日(土)にリニューアルプレオープンを迎える。「角川シネマ新宿」がアニメ専門映画館に邦画・洋画、実写・アニメーしょんとジャンルを問わずに作品を上映してきた「角川シネマ新宿」が、アニメーション専門の映画館としてリニューアル。5階フロア、56席のシネマ2は「アニメギャラリー」として改装し、ギャラリーの展示やカフェのコラボメニューと上映作品を連動させることで、より深く作品の世界観を楽しめる作りとなる。リニューアル記念で細田守監督作品を上映リニューアルを記念した企画の第1弾として「細田守フィルムフェスティバル」を、7月28日(土)から8月24日(金)までの期間で開催。期間中は細田守が過去に監督した『劇場版デジモンアドベンチャーぼくらのウォーゲーム!』『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』の5作品を上映する。作品の複製原画や資料の展示もまた、作品上映と連動した展示企画「細田守監督作品フィルムワークスギャラリー」も同時開催。作品公開当時の雑誌「Newtype」特集記事や作品の複製原画、細田守監督やコミカライズ作家のサイン色紙など、『時をかける少女』から『バケモノの子』まで、細田守監督作品の過去から未来への足跡を辿る展示品の数々が用意されている。詳細「角川シネマ新宿」リニューアルプレオープン日:2018年7月28日(土)住所:東京都新宿区新宿3-13-3 新宿文化ビル4・5階TEL:03-5361-7878アクセス:東京メトロ丸の内線・副都心線・都営新宿線「新宿3丁目」駅B2出口より徒歩2分JR新宿駅東口より徒歩10分 伊勢丹本館向かい・明治通り側■細田守フィルムフェスティバル開催期間:7月28日(土)~8月24日(金)入場料金:『時をかける少女』/『サマーウォーズ』/『おおかみこどもの雨と雪』/『バケモノの子』各1,000円『劇場版デジモンアドベンチャーぼくらのウォーゲーム!』800円(c)本郷あきよし・東映アニメーション(c)東映・東映アニメーション・集英社・フジテレビ・バンダイ(c)「時をかける少女」製作委員会2006(c)2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS(c)2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会(c)2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS(c)2018 スタジオ地図
2018年07月30日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。暑い日が続いていますが、元気でお過ごしですか?読者の皆さんはカレー好きな方も多いと思いますが、最近、私はカレー好きが高じてお店を食べ歩くだけでなく、家でも身体に良いスパイスがたっぷり入ったインドのスパイスカレーをよく作ります。カレー好きは、師匠の”安西水丸”譲りですが、夏こそカレーでパワーアップですね!クミン・ターメリック・レッドペッパー・コリアンダーと基本の4スパイスを覚えれば、比較的簡単に作れるのでオススメですよ。さて、「シネマの時間」第35回は、そんなカレー発祥の地、インドの激動の歴史を描いたヒューマンドラマ 映画『英国総督最後の家』をご紹介します!イギリスによって1858年から統治され、1947年まで続いたイギリス領インド帝国。第二次世界大戦によって国力が疲弊したイギリスは、約200年に渡る植民地支配を終えることにしましたが、当時インドでは少数派のムスリムと多数派のヒンドゥー教徒の間で宗教対立による暴動が多発していました。イギリス返還のために最後のイギリス総督に就任したマウントバッテン卿とその家族は、デリーの壮麗なる総督官邸にやってきますが、独立後に統一インドを望む国民会議派と分離してパキスタンを建国したいムスリム連盟派、どちらの案を採用するか混迷を極めます。果たしてインドにとって最善の道はどのように導かれたのでしょうか?1947年、英国領インド最後の6カ月、真実の物語!祖父母が分離独立の大きな影響を受けたという、ケニア出身のグリンダ・チャーダ監督がメガホンをとり、激動の時代に翻ろうされた人々を鮮やかに描き出し心に迫ります。知ってるようで知らなかった、インド。歴史や背景を知ることで、スパイスカレーの味もより深みが増すというものでしょう。ぜひ、映画館でお楽しみいただければ幸いです!■映画『英国総督最後の家』あらすじー1947年英国による植民地支配から独立までの激動のインドを描いた感動のヒューマンドラマ!1947年、第二次世界大戦で国力が疲弊したイギリスは、植民地インドを去ると決定。主権譲渡のため任命された新総督マウントバッテン卿(ヒュー・ボネヴィル)は、妻エドウィナ(ジリアン・アンダーソン)と娘とともにデリーの総督の屋敷にやってきます。マウントバッテン卿は、最後の総督として解放後のインドのために真摯に任務を遂行しますが、妻エドウィナもまた夫以上にインドの人々の平安を願っていました。非識字率が92%であること、子どもの半数が5歳前に死ぬこと……インドの現状に心を痛め、力を尽くします。500人ものヒンズー教徒、イスラム、シーク教徒の使用人を抱える大邸宅の2階では連日連夜、政治家たちがインド独立の議論を行い、世界に多大な影響を与える歴史的な決断がなされようとしていました。インド全土では暴動が起きていました。ヒンドゥー教徒とシク教徒は、イギリスからの独立後は統一インドを望み、一方ムスリム連盟は分離とパキスタン建国を望んで対立しています。統一インドか分離か、総督は最善の道を探るため、ヒンドゥー教徒多数からなる国民会議派のネルーやガンディー、イスラム教徒を代表するムスリム連盟のジンナーと話し合います。一方、新総督のもとで働くインド人青年ジート(マニッシュ・ダヤル)と令嬢の秘書アーリア(フマー・クレシー)は互いに惹かれ合っていましたが、宗派が違う上に、アーリアには幼いときに決められた婚約者がいました。ついにマウントバッテン卿は分離を決意、イギリス政府の賛同を得ます。インドを分断し、パキスタンに新しい国を作り出すという、人類史上最も大きな移民政策を打ち出したのでした。人々は、自分の国をどちらにするか選ばねばなりません。アーリアは、父とともに婚約者のアースフィスの実家があるラホールへ行くことに。彼女はジートを愛していましたが、失明している父の幸せを一番に道を選んだのでした。国境線を引く作業は困難を極め、ラドクルフは参謀長のイズメイに相談します。イズメイは2年前、チャーチルが首相時代に書いた機密文書を渡すのですが……!■奇跡的なキャスティングによる俳優陣が結集!映画『英国総督最後の家』では、見事な脚本と演出をさらに輝かせるために名優たちが結集!最後の総督であるマウントバッテン卿を演じるのは、『ノッティングヒルの恋人』や『パディントン』などで知られる人気俳優ヒュー・ボネヴィル。その妻、インドへの深い愛情を示すエドウィナ役は、世界中で大ヒットしたアメリカのテレビドラマ『Xーファイル』『ハンニバル』のジリアン・アンダーソンが演じています。総督の従者になるジート役は、『マダム・マロニーと魔法のスパイス』で高い評価を得たマニーシュ・ダヤール。ジートが恋に落ちるアーリアには、『魔女伝説』などインドで人気上昇中の女優フマー・クレイシーが、オーディションにより抜擢され、とても魅力的な演技を見せます。監督・脚本は、世界中で大ヒットした『ベッカムに恋して』のグリンダ・チャーダ。自身の祖父母も分離独立の際に大移動してきたことを知り、監督自身のファミリー・ヒストリーが重なる、感動の人間ドラマ・歴史物語として見事に創り上げ、心が揺さぶられます。■映画『英国総督最後の家』作品紹介2018年8月11日(土・祝)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー公式サイト:eikokusotoku.jp原題:Viceroy’s House監督・脚本:グリンダ・チャ―ダ(『ベッカムに恋して』)脚本:ポール・マエダ・バージェス、モイラ・パフィーニ製作:ディパック・ナヤール音楽:A・R・ラフマーン撮影:ベン・スミサードB.S.C美術:ローレンス・ドーマン衣装:キース・マッテン編集:ヴァレリオ・ボネッリ、ヴィクトリア・ボイネルヘアメイク:ジャクリーン・ファウラー制作年:2017年制作国:イギリス上映時間:106分/5.1ch/カラー(一部モノクロ)日本語字幕:チオキ真理配給:キノフィルムズ/木下グループ© PATHE PRODUCTIONS LIMITED, RELIANCE BIG ENTERTAINMENT(US) INC., BRITISH BROADCASTING CORPORATION, THE BRITISH FILM INSTITUTE AND BEND IT FILMS LIMITED, 2016■映画『英国総督最後の家』キャストヒュー・ボネビル=マウントバッテン卿ジリアン・アンダーソン=エドウィナ・マウントバッテンマニシュ・ダヤル=ジート・クマールフマー・クレイシー=アーリアマイケル・ガンボン=ヘイスティングス・イズメイダンビール・ガニー=ジャワーハルラール・ネルーオム・プリ=アーリアの父ニーラジ・カビ=マハートマ・ガンディーサイモン・キャロウ=シリル・ラドクリフデビッド・ヘイマン=エワートデンジル・スミス=ムハンマド・アリー・ジンナーリリー・トラバース=パメラ・マウントバッテンジャズ・ディオール=トゥリープ【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年07月30日最近、映画及びクラシック音楽ファンの間で話題になっているのが『シネマ・コンサート』。今夏から秋にかけては『スター・ウォーズ in コンサート』、『ニュー・シネマ・パラダイスシネマ・コンサート』の上演が控える。その魅力を、本企画の仕掛人のふたりに直撃。『ラ・ラ・ランド』など数多くのシネマ・コンサートを企画・制作してきた株式会社プロマックスの飯島則充プロデューサーと、数々のシネマコンサートのオーケストラを担当している東京フィルハーモニー交響楽団事業部企画制作課の岩崎井織氏に聞いた。【チケット情報はこちら】ともすると、映画の名場面のダイジェストをバックに、映画音楽を演奏するものと混同されがちだが、実は『シネマ・コンサート』の内容はかなり違う。『シネマ・コンサート』は、映画のセリフや効果音はそのままに、劇中に流れる音楽をフルオーケストラが生演奏するエンターテインメント。つまり大スクリーンでフルで映画を上映をしながら、音楽はフルオーケストラの生演奏という、贅沢な映画上映かつコンサート公演になる。まず、ふたりは『シネマ・コンサート』の魅力をこう語る。「はじめてみたシネマ・コンサートはシカゴでの『ゴッドファーザー』の公演。普通に映画館で映画を観る感覚とはまったく違う感動がありました。例えば、感動的な場面だったら、生演奏ならではの臨場感とスタジオ録音ではない生の音楽が心にダイレクトに伝わってくるようで感動がより深まる。もちろんスクリーンも映画館と遜色ない大スクリーンで映画の醍醐味も味わえる。それですぐに“これを日本でもやりたい”と思ったんです」(飯島)「通常のオーケストラの公演とは違うスタイル。ただ、飯島さんからお話をいただいたとき、私自身はオーケストラの演奏をもっと身近に感じてもらえる、すばらしい機会になるのではないかと思いました。実際、従来のクラシック音楽と映画の双方のファンからご好評をいただいている。また、昔は映画の中から劇伴の音楽だけを抜くのは難しかった。それが映像技術の進歩でたやすくなり、可能になったのが「シネマ・コンサート」。そういう意味で、新しいエンターテインメントといっていい。新しい映画体験、新しい音楽体験をご提供できている手ごたえを感じています」(岩崎)今夏は「スター・ウォーズ」の公演がスタート。こちらはシネマ・コンサート史上、最大規模のジャパン・ツアーで7都市14公演を巡る。「20世紀FOXファンファーレも生演奏。その時点から胸が高鳴ると思います(笑)」(飯島)「ジョン・ウィリアムズの生み出した歴史的音楽を生の演奏でとことん体感しながら、映画を味わう。すばらしいい機会になると思います」(岩崎)「スター・ウォーズ」の公演に続き、世界に先駆けてジュゼッペ・トルナトーレ監督の名作『ニュー・シネマ・パラダイス』の上演。映画ファンもクラシック音楽ファンもきっと新たな感動体験がまっている。未体験の方はぜひ会場へ!
2018年07月23日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。読者の皆さんの中には、「仕事、家事、育児で自分の時間がなかなかない」という方も多いと思いますが、【シネマの時間】第34回では、そんな人にこそ観てほしい ”人生のリフレッシュムービー” 映画『ターリーと私の秘密の時間』をお贈りします。本作は、「私、人に頼れないの」と自分で何事も完璧にこなそうとする3人の子どもの母親マーロと、彼女の元に現れた夜だけのベビーシッター・タリーの不思議な絆を描くミステリアスなヒューマンドラマ。プロデューサーで脚本家のディアプロ・コディが、実際に3人目の子どもを出産した頃の体験から生まれたアイデアだそうで、『 JUNO/ジュノ』『マイレージ・マイライフ』の名匠ジェイソン・ライトマンに監督を依頼。子育て真っ最中の家族の日常が痛いほどリアルに描かれ、かつタリーの謎も絡めてドラマティックに展開し、観る者の心に深い余韻を残します。タリーとの絆を深めていくうちに輝きを取り戻していくマーロ役には、『モンスター』でアカデミー賞、ゴールデングローブ賞を受賞し、『アトミック・ブロンド』や『マッドマックス怒りのデス・ロード』など、数々の出演作を大ヒットに導いてきたシャーリーズ・セロン。今回、美貌を封印し体重を18キロ増やして役作りに挑み、がんばりすぎて疲れている女性たちに魂の声を届け、その心に優しく寄り添い魅力的です。マーロの救世主となるベビーシッター・タリー役には、『ブラック・ビューティー』『ブレードランナー2049』のマッケンジー・デイヴィス。タリーは、年上のマーロにタメグチでファッションやメイクもイマドキ女子ですが、仕事ぶりはパーフェクト、「あなたの人生をケアしたいの」とマーロの悩みも聞き、見事に解決してくれるのです。自由奔放なタリーと不思議な絆を深めていくうちに、マーロも本来の輝きを取り戻していくのですが、タリーは何があっても夜開け前に姿を消し、自分の身の上は決して語りません。はたして彼女は、昼間は何をしているのか?マーロの前に現れた本当の目的とは……?最近では、家事や育児に協力的な男性も増え頼もしく感じてますが、男性にもぜひ観ていただきたい映画です。8月17日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー!つかの間のリフレッシュにどうぞお楽しみください。■映画『タリーと私の秘密の時間』あらすじーー"人に頼れない"3人の子どもの母親マーロと、彼女の元に現れた夜だけのベビーシッター・タリーの不思議な絆もうすぐ3人目の子どもが生まれるマーロ(シャーリーズ・セロン)は、大忙しの毎日を送っています。娘のサラ(リア・フランクランド)は手がかかりませんが、息子のジョナ(アッシャー・マイルズ・フォーリカ)は情緒が不安定。今日も姉弟が通う小学校の校長に呼び出され、ジョナをサポートする専属教師を自分で雇ってほしいとまで言われてしまいます。夫のドリュー(ロン・リヴィングストン)は優しいのですが、家事も育児も妻に任せっきりで、マーロもそれが当たり前だと思っていました。ある日、事業で成功して贅沢な暮らしを送るマーロの兄のクレイグ(マーク・デュプラス)が、出産祝いに夜専門のベビーシッターを手配してくれると提案します。見知らぬ人に赤ん坊を預けることに抵抗と罪悪感のあるマーロは断りますが、クレイグは妹に強引にシッターの電話番号を渡すのでした。無事に女の子を出産したマーロでしたが、家事は膨大に増えるばかり。さらに、再び校長に呼び出され、ジョナには違う学校へ行ってもらうと言われ、遂に感情が爆発し、校長を怒鳴りつけてしまいます。帰宅したマーロは、もはや限界と夜間のベビーシッターを頼みます。22時半に現れたタリー(マッケンジー・デイヴィス)と名乗る若い女性を見て、唖然とするマーロ。おへその見えるTシャツにジーンズのファッション、いきなりタメグチのイマドキの女の子だったのです。しかし、戸惑うマーロにタリーは、「私を頼って」と自信たっぷりに宣言し、2階でゆっくり眠るようにと促すのでした。翌朝目覚めると、タリーの姿はすでになく、代わりに8年間まったく掃除していなかった1階のリビングとキッチンが、ピカピカになっていました。マーロは夫に、「彼女は何もかも完璧。なんだか、世界が明るくなった」と、久しぶりに晴れ晴れとした顔で微笑むのでした。それからというもの、タリーは“完璧”に家事や育児を手伝ってくれます。さらに、「人生の全部をケアしなきゃ」と、昔話や愚痴を聞いてくれ、悩みごとの相談にまで乗ってくれ、いつしかふたりは信頼関係を結んでいくのです。けれども、タリーは何があっても夜明け前に姿を消し、昼間は何をしているかなど自分のことは一切語らないのでした……。■映画『タリーと私の秘密の時間』作品紹介映画『タリーと私の秘密の時間』は、8月17日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー!公式HP:Tully.JP監督/製作:ジェイソン・ライトマン原作:Tully/レイティング製作:メイソン・ノビック、ディアブロ・コーディ、シャーリーズ・セロン、ベス・コノ、A・J・ディックス、ヘレン・エスタブルック、ジェイソン・ライトマン製作総指揮:ジェイソン・クロス、アンディ・ポラック、ポール・テニソン、デイル・ウェルズ、スタン・トーマス、ロン・マクレオド、ジェイソン・ブルーメンフェルド脚本/脚本:ディアブロ・コディ撮影:エリック・スティールバーグ編集:ステファン・グルーブ美術:アナスタシア・マサロ衣装デザイナー:アイーシャ・リー音楽:ロブ・シモンセン音楽監修:トリシア・ハローラン日本語字幕:中沢志乃製作国:アメリカ配給:キノフィルムズ上映時間:95分映倫区分:G© 2017 TULLY PRODUCTIONS.LLC.ALL RIGHTS RESERVED.■映画『タリーと私の秘密の時間』キャストシャーリーズ・セロン=マーロマッケンジー・デイヴィス=タリーマーク・デュプラス=クレイグロン・リビングストン=ドリューアッシャー・マイルズ・フォーリカ=ジョナリア・フランクランド=サラ【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年07月19日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。あっという間に7月に入り、本格的な夏が始まりましたね!【シネマの時間】第33回は、『メイズ・ランナー』シリーズのディラン・オブライエンと『スパイダーマンホームカミング』のマイケル・キートンの豪華共演で贈る壮大なスパイアクション・ バディムービー!映画『アメリカン・アサシン』をご紹介します。本作は、ヴィンス・フリンの全米ベストセラー小説『ミッチ・ラップ』シリーズ初の実写映画化で、監督には、TVシリーズ『HOMELAND』の演出を手がけたマイケル・クエスタ。旅行中に遭遇した無差別テロで、恋人を失った青年ミッチ・ラップ(オブライエン)が主人公です。テロリストへの復讐に人生を捧げることを決意し、その滞在能力を高く評価した世界最大の諜報機関CIAの対テロ極秘チームにスカウトされ、冷徹な鬼教官ハーリー(キートン)とともに、凶悪な核兵器テロに挑む姿を描くサスペンスアクション大作。命がけの緊迫感とハードなアクションたっぷりに、銃撃、格闘、カーチェイスが数多く登場し、アクション好きにはたまらないでしょう。また、拷問・尋問シーンも、バイオレンスと共にリアルに描写され、私などは思わず目を覆うばかりでしたが、一方で、最愛の女性との幸福な未来を打ち砕かれたごく普通の青年が、核テロ最前線の非情なスパイの世界に身を投じていく姿が、躍動感たっぷりに魅力的に描かれ、惹きつけられます。さらにイスタンブールやローマなどのヨーロッパ各国の大都市を舞台に、複雑な国際情勢や諜報活動の内幕をリアルに見せる映像世界や壮大なスケールのストーリー展開は、圧倒的なスリルを呼び起こし迫力満点!ぜひ、映画館でご堪能ください!■映画『アメリカン・アサシン』あらすじー復讐に燃えCIAにスカウトされた男。世界の命運は、危険な若者に託された!スペインのイビサ島でバカンス旅行中に無差別テロ事件に遭い、永遠の愛を誓ったばかりの恋人を目前で殺されたアメリカ人青年ミッチ・ラップ(ディラン・オブライエン)。深い哀しみと怒りに駆られた彼は、テロリストへの復讐に人生を捧げることを決意します。テロ対策担当の女性幹部ケネディ(サナ・レイサン)は、CIAの情報網でも捕捉できなかったマンスールの居場所を突き止めたミッチに類い希なスパイの資質を見出し、彼を極秘ミッション遂行チーム“オライオン”にスカウトします。テロリストへの復讐のためにオファーを受け入れたミッチは、バージニア州の人里離れた山奥の施設へ。そこでは元ネイビー・シールズの鬼教官スタン・ハーリー(マイケル・キートン)の指導のもと、CIA工作員の養成プログラムが行われていました。過酷なトレーニング・キャンプに身を投じたミッチは、さまざまなシチュエーションを想定した特訓を積み、優れた潜在力を開花させテロの最前線で活躍するまでに成長していきます。折しも、ロシアの核施設から大量のプルトニウムが盗まれる大事件が発生。核兵器製造を目論むテロリストの陰謀を阻むためケネディは、ハーリーのチームに出動を要請します。ミッチを同行させるよう命じられたハーリーは、彼のスパイとしての力量を認めつつも、経験が浅い上に不安定な精神面を問題視し、「何があろうと個人的な感情は捨てろ」と厳しく言い聞かせます。ハリーは、経験豊富なチームリーダーで、私情こそが任務の妨げになるという鉄のようなポリシーの持ち主。何もかも対照的なふたりのキャラクターが、生きるか死ぬかの命がけのミッションの中で助け合い、いつしか師弟の絆で結ばれていくのです。トルコのイスタンブールで現地協力員の若い女性アニカ(シヴァ・ネガー)と合流したチームは、プルトニウムを入手した謎の白人テロリスト“ゴースト”(テイラー・キッチュ)と、核の起爆装置を売りさばこうとする武器商人の取引を阻止しようとするものの、それを鋭く察知したゴーストを取り逃がしてします。続いてローマに飛んだチームはゴーストに雇われた物理学者を尾行しますが、見破られてしまい、ミッチは危ういところをハーリーに救われます。実は神出鬼没のゴーストの正体はハーリーの元教え子で、かつて自分を見捨てたハーリーとアメリカ政府に対して尋常ならざる怨念を抱いていたのでした。やがてハーリーがゴーストに拉致される非常事態が勃発。ケネディから帰国するよう言い渡されていたミッチでしたが、その命令を無視して猛然とハーリーの救出に向かいます。しかしその頃、ついに核兵器を完成させたゴーストは、恐るべきテロ計画を実行しようとしていました。核テロのタイムリミットが迫ります!世界の命運は、一体どうなってしまうのか……!?■映画『アメリカン・アサシン』作品紹介映画『アメリカン・アサシン』2018年6月29日(金)より TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー!公式HP:監督:マイケル・クエスタ原作:ヴィンス・フリン「American Assassin」脚本:スティーブン・シフ、マイケル・フィンチ、エドワード・ズウィック、マーシャル・ハースコビッツ製作総指揮:ダニエル・M・スティルマン製作:ロレンツォ・ディ・ボナベンチュラ撮影:エンリケ・シャディアック美術:アンドリュー・ロウズ衣装:アンナ・B・シェパード編集:コンラッド・バフ音楽:スティーブン・プライス⽇本語字幕:松崎広幸製作年:2017年製作国:アメリカ上映時間:112分/カラー映倫区分:R15+配給:キノフィルムズ/木下グループ© 2018 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.■映画『アメリカン・アサシン』キャストディラン・オブライエン=ミッチ・ラップマイケル・キートン=スタン・ハーリーテイラー・キッチュ=ゴーストサナ・レイサン=アイリーン・ケネディデビッド・スーシェ=スタンスフィールドシーバ・ネガーナビド・ネガーバンスコット・アドキンス【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年07月09日往年の名作『ニュー・シネマ・パラダイス』のイタリア公開30周年を記念して、この度、9月に東京と大阪でシネマ・コンサートが開催されることが決定。『ニュー・シネマ・パラダイス』のシネマ・コンサートは、全世界に先がけて日本で初上演となる。シネマ・コンサートとは、映画のセリフや効果音はそのままに、音楽パートをオーケストラが本編上映に合わせて生演奏するもので、映画をライブ感覚で楽しめるエンターテインメントだ。イタリアの名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督が、若干29歳のときにメガホンを取った感動作『ニュー・シネマ・パラダイス』は、1988年にイタリアで公開、日本では翌1989年12月に東京・シネスイッチ銀座で単館ロードショーがスタート。シチリアの小さな映画館“新パラダイス座”を舞台に、トト少年(サルヴァトーレ・カシオ)と老映写技師・アルフレード(フィリップ・ノワレ)の温かい交流に感動の声が続出し、同館で40週に及ぶ異例のロングラン上映となる大ヒットを記録。また、日本国内における単一映画館での興行成績では、未だ破られていない最大動員数を誇っている。そんな本作が絶大な支持を集める理由として、ひとつに数々の映画音楽を手がけた巨匠エンニオ・モリコーネの作った美しい劇中音楽が挙げられる。今回、日本で世界初演されるこのシネマ・コンサートでは、昨年末に日本で開催された「ラブ・アクチュアリー in コンサート」でもタクトを振ったティアゴ・ティべリオが指揮を、演奏は国内屈指の名門オーケストラ「東京フィルハーモニー交響楽団」が担当。さらなる感動がコンサートで甦る。本公演のチケットは、7月21日(土)の一般発売に先駆け、すでに先着受付が開始されている。『ニュー・シネマ・パラダイス』シネマ・コンサート東京公演は9月15日(土)、16日(日)東京国際フォーラム ホールAにて、大阪公演は17日(月・祝)オリックス劇場にて上演。(cinemacafe.net)■関連作品:ニュー・シネマ・パラダイス© 1989 CristaldiFilm
2018年07月01日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。やっぱり猫が好き?猫も犬も家族同様にかけがえのない存在だと思いますが、【シネマの時間】第32回は、日常が色鮮やかに輝きはじめる猫映画の決定版、映画『猫は抱くもの』をお送りします。原作は、人気推理小説「猫弁」シリーズで知られる作家・大山淳子の同名小説(キノブックス刊)。猫と人間が織りなす温かくせつない絆、愛情に満ちたユニークな世界観を『メゾン・ド・ヒミコ』や『ジョゼと虎と魚たち』など繊細な恋愛ドラマから、歴史エンターテイメント『のぼうの城』まで幅広いジャンルを手がけてきた犬童一心監督と『そこのみにて光り輝く』『オーバー・フェンス』などの注目作で知られる脚本家・高田亮の名コンビで映画化!監督・犬童一心と脚本家・高田亮のコンビは、WOWOWドラマ『グーグーだって猫である』(原作・大島弓子)シリーズに続いて3回目です。主演に『ヘルタースケルター』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞した沢尻エリカを迎え、擬人化でロシアンブルーの猫・良男役に今最も勢いのある若手俳優の吉沢亮を抜擢。また、主人公に影響を与える画家・ゴッホ役にロックバンド「銀杏BOYZ」のボーカル&ギター 峯田和伸、不思議な力を持った老猫を監督でもあり俳優の岩松了、迷い猫のキイロ役には「水曜日のカンパネラ」のコムアイが演じ劇中歌も手がけるなど、個性豊かなキャスティングも注目です!主人公にとって猫は、寄り添いありのままの自分を愛してくれる存在ですが、猫に限らず自分にとって大切な”何か”と良い関係で日々を過ごすことの幸福感は誰もが共感するところでしょう。良男ならずともハラハラしてツッコミどころ満載な沙織ですが、彼女は自分らしく生きるすべを見つけることができるのでしょうか。映画の中で繰り広げられる舞台・音楽・アニメーションを駆使した遊び心いっぱいの演出も見どころです。ぜひ、映画館でお楽しみくださいませ!■映画『猫は抱くもの』あらすじー自分を人間だと思い込むロシアンブルーの猫・良男が元アイドルに恋をした!田舎町のスーパーで働く沙織(沢尻エリカ)は、かつて売れないアイドルグループのメンバーだったアラサーの女性。歌手としての夢を諦め、何もかもが嫌になって東京を逃げ出し、とある田舎町へ。自分を好きになれず、周囲にも溶け込めない彼女が心を開けるのは、裏の倉庫でこっそり飼っているロシアンブルーの猫・良男(吉沢亮)だけ。空き時間にそっと訪ねては、今日あった出来事や、哀しかったこと、腹が立ったこと、頭に描いた妄想など、さまざまな心の内を話して聞かせています。そんな沙織の心に寄り添ううちに、良男はいつしか自分も人間で、彼女を守れるたったひとりの恋人なのだと思い込んでしまいます。ある日、スーパーで万引きをした女子高校生が捕まりました。保護者代わりにやってきたのは、叔父の後藤保(峯田和伸)という“ゴッホ”と呼ばれる画家。沙織はゴッホについても、あれこれと勝手な想像を良男に語ります。そんなとき、沙織は、心を許しかけていた年下の上司から手痛い裏切りにあってしまいます。良男を抱きしめ涙を流す沙織。その夜、沙織のそばにいてあげたいという思いに駆られた良男は、満月に誘われるように外の世界に飛び出して沙織のアパートへ走りますが、夜道で足を滑らせ暗い川へ落ちてしまいます。たどり着いたのは野良猫たちが集まる「ねこすて橋」のたもと。良男はそこで、ゴッホの飼い猫だったキイロ(コムアイ)や、不思議な力を持つ長老猫(岩松了)と出会うのでした。一方、必死になって良男を探す沙織のもとに、東京のテレビ局から、かつて沙織が所属し解散してしまったアイドルグループ「サニーズ」を、一夜限りで再結成したいと連絡が入ります。離れ離れになってしまったひとりと1匹は、自分らしく生きるすべを見つけることができるのでしょうか……!■映画『猫は抱くもの』作品紹介映画『猫は抱くもの』は2018年6月23日(土)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー!公式HP:監督:犬童一心原作:大山淳子「猫は抱くもの」(キノブックス刊)脚本:高田亮製作総指揮:木下直哉エグゼグティブプロデューサー:武部由実子プロデューサー:菅野和佳奈、江川智ラインプロデューサー:佐藤幹也撮影:清久素述照明:疋田ヨシタケ録音:志満順一編集:上野聡一舞台監督:西廣奏美術装飾:山田好男舞台美術:伊藤雅子制作担当:末光洪太音楽;水曜日のカンパネラ衣装:藤山晃子ヘアメイク:千葉友子特殊メイク:森田誠アニマルトレーナー:坂本峰照キャラクターデザイン:加藤伸吉アニメーション:ひらのりょう制作年:2018年制作国:日本上映時間: 109分/カラー制作プロダクション:ADKアーツ企画製作・配給:キノフィルムズ/木下グループ©2018 『猫は抱くもの』製作委員会■映画『猫は抱くもの』キャスト沢尻エリカ=大石沙織吉沢亮=良男(猫)峯田和伸=後藤保コムアイ=キイロ(猫)岩松了=老猫藤村忠寿=サビ/スナック客内田健司=サバトラ/サニーズのファン/カラオケ店員久場雄太=黒猫/高橋の友人今井久美子=茶ブチ/スーパー店員/スナックのママ小林涼子キ=ジトラ/バラエティ番組MC林田岬優黒白=ブチ/サニーズのトッキー木下愛華=ヒョウ柄/スーパー店員蒔田彩珠縞=三毛/中山帆乃伊藤ゆみ=サニーズのナッツン佐藤乃莉=サニーズのみるみる末永百合恵=サニーズのりんりん柿澤勇人=高橋良男/ササキ益子寺かおり=ベッド・イン(本人役)中尊寺まい=ベッド・イン(本人役)澤山璃奈=LOVEACE(本人役)西原有紀=LOVEACE(本人役)樽見麻緒=LOVEACE(本人役)長谷川佳奈=LOVEACE(本人役)高嶋莉子=LOVEACE(本人役)【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年06月28日こんにちは、アートディレクターの諸戸佑美です。読者の皆さんは、音楽や芸術好きの方々も多いと思うのですが、最近どんな音楽を良く聴かれていますか?【シネマの時間】第31回は、世界を魅了する魂のピアニスト フジコ・ヘミングのドキュメンタリー映画『フジコ・ヘミングの時間』をご紹介させていただきます。苦難を乗り越え、60代に一夜にして世界に見出された遅咲きのシンデレラ、フジコ・ヘミング!80代になった今でも日本、ヨーロッパ、北米南米など世界中で年間約60本の演奏活動を続け、チケットは即完売、新たなオファーも絶えない奇跡のピアニストです。本作は、映画はもとより数多くの音楽映像やドキュメント作品、コンサートの総合演出なども手掛ける小松荘一良監督が、企画から立ち上げ、パリ・NY・LA・ブエノスアイレス・ベルリン・東京・京都といった世界を巡るフジコを2年間に渡って撮影したドキュメンタリー映画。情感溢れるダイナミックな演奏シーンとともに、お気に入りのアンティークに囲まれたパリや東京などのご自宅で、愛する動物たちとともに暮らす姿、知られざる家族・恋についてなど、本作でしか見られないフジコ・ヘミングの素顔が解き明かされています。多くの人々を魅了してやまないフジコの音楽は、どんな人生・ライフスタイルから生まれてくるのでしょうか?今回、小松荘一良監督に制作秘話など貴重なお話をたっぷりと伺っています。どうぞお楽しみいただければ幸いです!■映画『フジコ・ヘミングの時間』小松荘一良監督特別インタビュー!ーー本日はどうぞよろしくお願いいたします。私もフジコ・ヘミングさんのことが好きなのですが鑑賞させていただき素晴らしい作品だと思いました。まずはフジコさんと小松監督の出会いからお聞かせください。ありがとうございます。出会いは、2013年の春にあるTVのドキュメンタリーの企画がありまして、その時初めて出会いました。僕は、ロックやポップスやダンスが多くクラシックはあまり知らなかったのですが、1999年のフジコさんの一番最初のドキュメンタリーを見てたんですね。すごく良い作品だったし、いろいろ調べるうちにこの人でやってみようと思いました。一番最初にはじめましてとコンサート会場に会いに行ったときに、向こうから演奏が終わってスタッフに囲まれて廊下を歩いて来られて、僕が挨拶をしたら、ふっと目をそらしてはにかんだんですよ(笑)。ーー初対面ですしね。恥ずかしかったのかもしれませんね。はい。初対面ですし、モジモジとされて少女みたいでした。本当に可愛らしい人だなと思って。初めましてということでケーキを持って行ったんですけどそのお礼もちゃんとしてくれたりして。それからは基本的にずっと1対1のやりとりをさせていただいています。ーー最初に企画を立ててアポイントを取って、はじめましてという感じですか?はい、もちろん。イベンターやコンサート主催者に電話をかけて、こういう状況でとお話しをして。じゃあ後はご本人とお会いして直接決めてくださいと言われて、はじめましてと、そこからなんですよ。ーーすごいですね。ちょっとウマが合ったのかもしれないし、色々な話を伺って面白いと思ったんですが、そのドキュメンタリーがどうしても地上波だから、結局今までのフジコさんのドキュメンタリーと同じような艱難辛苦話の焼き直しを求められたんですね。僕が取材をしていたときは、もっと違うところがあってチャーミングさもあったりして。注目を浴びた頃の姿ではなく、もっと今の姿を描きたかったんです。でもお陰で良い関係性ができたのでいつかまたできたらいいな、ちゃんとしたものが作れたらいいなと、年に何回か一緒にお茶を飲んでお話を聞いたりしていたときに、南米にもツアーに行くということを聞いたんです。僕は、フジコさんの国内ツアーしか見たことがないので、海外ではどういう生活をしてるんだろうか、どういう人たちと関わってるんだろうか、何を食べているんだろうかとかすごく興味が湧いて、そこを改めて撮りたいなと思った。まずは、知り合いのTV局に企画を持って行ったりして、だんだんとやっていくうちにやっぱり映画でということになったんです。ーーTVは様々な制約がありそうです。はい。もっと自由にしたいというところがあった。その当時のフジコさんに密着して、その時代を伝えたいという思いもありました。現在こうなんですよと。1999年のあの貧しい時から一夜にしてシンデレラになったというところは、みんなファンの方はすでにものすごく詳しいじゃないですか。でもそれから20年近く経ってるんですよ。フジコさんは、現在アーティストとしてすごく活動的になっているのでそのあたりを見せたいし、カッコイイし、少女の部分もある、すごく毒舌なところもあるし、気位が高いし、ずっこけたりとその辺がね、面白いの。それにとてもTVも見てるので世情に詳しいんですよ。ーーなるほど。そんな思いがあって映画で作ることになったわけですね。今回、映画には、世界中で演奏するフジコさんの姿やパリや東京やロサンゼルスやベルリンなどの素敵なご自宅やライフスタイルが観れたことが感激でした。フジコさんは、日々の暮らしやライフスタイルをとても大切にされていて、しかもピアニストとしてとてもストイックですね。そうですよね。あのストイックさは、おそらくお母さんの影響で。すごく厳しかったらしいので、そうしないとピアノを上手くなれないよ、みたいなことを少女時代に躾けられて、それを未だにずっと守ってるように僕は思えています。家に関してももちろん皆さん、家が綺麗で憧れると思うのですが、あれはフジコさんが自分で作った世界観のような気がしています。東京のご自宅も友人たちが来て「海外にいるようだわ」と言われるのをすごく嬉しそうにしてらっしゃって。少女時代から構築してきた夢があって、パリの家はこうしよう、どこどこではこうしようと常にイメージしているのかと想像します。家族の写真などすべて共通するものも置いてたりして、お洒落を超えたものがあって、アンティークやノスタルジックなものがすごく好きで、それは、自分の家族に対してヒストリーに対して愛情を持ってるんだろうなと思います。ーー出ていってしまったお父様に対しても愛情深く大切に思っていて、表現者でデザイナーのお父様にリスペクトしている関係性を小松監督がとても優しい目線で捉えていて、フジコさんも素敵なんですが小松監督がじっくりと人間関係を構築してすごくあたたかい映像になっているのにとてもグッときました。ありがとうございます。フジコさんはとても人見知りがある方だし、僕が撮る以上は優しくしようと思うんですけど、愛おしいですよね。最初はお父さんとのこともわからなかったんですがだんだんわかってくるわけですよ。壁に貼られた写真も最初は飾りかなと思っていたんですが1個1個にストーリーがあって、聞いていくうちになるほどなと思って。何十年も前のことをすごく覚えていたりとかするんです。文句を言いながらも置いてたりとかして。その身体の中の時を超えたヒストリーみたいなのを感じるなと思ったのでそこをシーンにしているんです。ーー14歳の頃に描かれた絵日記も素晴らしいですね。よく残してらっしゃったなと思って。すごく上手で、今回『暮しの手帖』にも掲載されたりと。ね、絵日記もすごいですよね。あれもあの『暮しの手帖』の出版社(朝ドラ『とと姉ちゃん』のモデルになった出版社)で、絵日記をまとめたものを作りたくて、がんばって動いてようやく実現しました。あれはきちんとした形で出したかったんです。絵日記を見つけた時にこの映画のテーマが変わりました。オーソドックスなものでなくて時を超えれるなと思って。フジコさんの歴史をただ言葉で聞くんじゃなくて、14歳の絵日記の中に全てのフジコさんが入っている。1946年の過去と2018年の現在が繋がったというか、僕は今、80代のフジコさんと話しているけど、14歳のフジコさんに見えるときもあるわけなんです。ーーご自分でも今でも16歳の気分だと仰る場面があって。あの繋がりが見えた瞬間に、わあ、すごくロマンチックだなぁと、そしてそれを感じさせる力が音楽だったりするじゃないですか。僕は、フジコさんの「月の光」という曲が特に好きなんですが、あの曲が時代を超えて行く感じがしました。ドビュッシーの「月の光」という曲は、フランスの詩人・ヴェルレーヌの幻想的な詩から作られたそうなのですが、フジコさんてそんな幻想的な感じがするなと思ってて。ーーそうですね。魔法が使えるような気がします。そうそうそう。だから特にフランスのパリで演奏するシーンはちょっとそういう感じに作ってみたんです。あんまりドキュメンタリーではやらない手法なんでしょうけど。僕はそういうのが好きであえて入れてみました。ーー幻想的でファンタジックで。パリもそうだしベルリンもそうだし、京都のお宅も宮大工の方が造った素敵な家で、あの空間自体がすごくドラマティックで絵になっているように感じました。おとぎ話のような世界を自分で構築してる気がして。フジコさんは、パリも似合うんですが京都も似合うんです。ーー本当にお似合いですよね。また、東京のご自宅もより一層良く見えて、フジコさんの側にいる動物たちも犬も猫もみんな穏やかな顔をしていて幸せそうです。本当に童話の中の主人公みたいです。おとぎ話の人のドキュメンタリーと思ったらいいのかな。フジコさんは、可愛らしくてチャーミングでそれでいて豪快で、ストイックだし孤高、人を嫌いと言いながらも人がすごく好きで、それ以上に動物たちが好きなんだろうなと思います。それとすごいのは、いくつになっても明日を夢見てる、来年を夢見てるのはパワフルですよね。ーーそうですね。映画の中のフジコさんの話す言葉一つひとつにも名言がいっぱいあって、観ながらメモをとったりしました。80代で年間60公演、世界中を演奏して回って、本当に素晴らしいと思います。そうなんですよ。素晴らしいバイタリティーです。特に日本では、年を重ねていくとこうでなければならないという風潮があるじゃないですか、それに囚われてないからそれが魅力なんだと思います。僕たちもそういうところを見てちょっと刺激を受けたりしたいなと思います。ーーそうですね。監督は、どういった部分で一番影響を受けましたか?やっぱり、やりたいことは、やりたい時にやっていくことなんだろうなと思うし、日本人てどうしても横並びで人に合わせていくんだけど、フジコさんはそういう風潮に背を向けて生きている。子どもの頃は、時代背景もあるんですけれど外国人だからとイジメにもあったりした。でも今ではそういうことを乗り越えて、自分を大切に自分の好きなように生きていきたいということを通してるじゃないですか。そうするともちろんいろんな辛いこともあるんでしょうけれど、年齢に関係なく自分の人生を自分らしく生き生きとして生きていけると思います。特に高齢化社会になってる中で、私はもう60、70代だから地味な服を着て年齢を考えてこうしようではなくてね。ーー服装もお洒落を楽しんでらっしゃって素敵ですよね。フジコさん自体が絵になっているように感じます。そうそう。だから皆さんもそうなるといいなと思う。お洒落は若者だけの特権じゃないことを、フジコさんから学びたいですよね。ーー恋に関しても子どものことに関しても映画の中でお話をされていて素敵だなと思いました。「今、恋してるの」「2年ぐらいいい感じであればいいんじゃない」と仰って。はい。素敵ですよね。いくつになっても素敵だなと思った人に恋するのは自然なことなんだと。あと、僕は映画では言わなかったんですけど、フジコさんが好きになる人というのは、お父さんの面影がある方たちのように思いました。ーーそうなんですか。お父さま、カッコイイですよね。2枚目でね。そうなんですよ(笑)。ーーお母さんも美人で。そうそう。なんか、そういった何かを追い求めてるんだろうなと勝手に空想したりするんです。ーー小さい時に別れてしまっているので面影を追うところがあるのかもしれませんね。そうですね。そこらへんが興味深いと思うのと、やっぱり恋はしていきたいですよね。ーーはい。あんな言葉がサラッと言えちゃうのが大人だなと思いました。あれくらい軽やかに人生を楽しんで、フジコさんの言葉だと思うと深みがあります。最近、恋愛するのが難しいという人たちもいるので。恋をしたいというのは、いろんな人たちが言ってると思うんだけど、年齢を重ねると、いろんな雑音が入ってくるじゃないですか。そこにパッと切れるくらいの言葉で「2年ぐらい楽しければいいじゃない、片思いでもワクワクすればいいじゃない」と言うのは僕はすごく素敵なことだと思いました。子どもの話はね、あそこまで話してくれるとは思ってなかったので驚きました。ーー女の人がそこまで心の内を話すのは、信頼関係があるから話せたんですね。とても切なかったですね。全ての夢を叶えているようでいて基本的な家族を作らなかったし、悲しくなったり寂しく思ったりすることもあるけれど、クヨクヨしないんだなと思って。様々な哀しみを乗り越えてる強さや優しさがある。あの場面は多くの人に救いのある場面だと思いました。1930年代から生きてる人って、世の中が変わってるときでもあり、かなり波乱万丈じゃないですか。特にハーフの人にとっては、外国人排斥からアメリカ寄りの外国人が優遇される時代になっていくし、貧乏な日本だったのがだんだん豊かになってきて、いろんなことをいろんな風に経験してるから、人間的な大きさを感じます。ーーそうなんですよね。ちょっともう想像できないようなことを明るく。劇中フジコさんが「楽しいことばっかりあって悲しいことがないのはちょっとどうかと思うの。センチメンタルなのもいいじゃない」という場面が好きです。ね、そういったことが演奏の音色になっているのかなと思ったりするんですよ。ーー本当ですね。生き様ですか。それがラ・カンパネラでも「生き様が、演奏に現れるのよ。誰にも負けないわ」みたいな場面もあって。はい。それは自分も体感したことがあって1999年フジコさんが60代に一番売れたCDがあるのですが、最近のCDと聴き比べてみると前の方がテンポも早いしタッチも強い感じなんですけど今の方が味わい深く心に染みる感じがあります。ーー是非、多くの人に聴いてもらいたいですね。映画では、昨年の12月のオペラシティでの演奏も納まってるんですよね。はい。入ってる音は、基本的には近年の音で1999年の最初の頃の演奏とは違う、今のフジコさんが入っています。ーーそれが見どころ聴きどころでもありますよね。小松監督だからこその選曲で。そうですね。フジコさんが仰っているんですが「モーツァルトやドビュッシーを知らない人達が聴いても良い音楽だと思ってもらえるように私は弾きたいの」と、僕もそう思っていて「月の光」だったり「ラ・カンパネラ」だったり感動した曲を集めました。クラシックが苦手な人もちょっと聴いてこの曲いいじゃんって思ってもらえるように。ーーそうですね。全然知らない方にも聴いてほしいと思うし、この映画を観てほしいと思います。この空気の中に漂っていてくれるといいなと思います。静かで大きな事件は起こらない映画なんですけど。ーーいえいえ、充分、ドラマチックなフジコさんの人生を知ることのできる映画だと。引きで見るとドラマチックなんですが、近くで寄って見ると別に話しているだけで大きな事件が起こるわけじゃないですか。通常だと事件を起こすんですよ。ドキュメンタリーの1つの手管として演出側としても用意したりするんです。誰かと誰かを合わせたりしたりしていくことが、よくある商業ドキュメンタリーのやり方なんですけども、今回はあえてそれを絶対しなかった。だから友達に会いに行ったり友達が来たりするシーンは、あれは全て自然なんですよ。ーーあれ、自然なんですか。はい。呼んでません。ーーたまたまなんですか、画家のお友達も……。すごいですね。リアルに本当のことだったし、ベルリンに行くって言うのも本人が決めたんです。ーーそうだったんですか。ライフスタイルの素敵さだとか、パリや日本などにあるどの家もこだわりがあってとても素敵で憧れます。それは、きっと家もフジコさんの作品なんだろうなと思います。自分が呼吸し、生きて、座る場所というのは、ホテルだと味気ないからと海外でも演奏のために家を買ってるんです。家は、インテリアの一つひとつをとっても自分の美的センスのあったもの、自分が居心地良くなるものを置いている。あの空気感の中で佇んでるのがやっぱり空想できるし、ご本人がとても好きなんでしょうね。ーーさすがプロフェッショナルな芸術家ですね。何を誰と食べるかからインテリア、調度品、ファッション、歩いてる姿、側にいる猫も犬も可愛いし、全てが絵になります。本当にすごいなと思うのが耳が聞こえなくなった時点で落ち込んでダメになったとしてもおかしくないのに、変わらずきちんと毎日ピアノの練習をして、毎年演奏会をやって、コツコツと、そうすることでどこかでちゃんと見てくれてる人がいた。それで60代でフジコブームになった。精神力の強さに驚かされます。そうですね。絶対的な自信なんでしょうね。たとえこの世で見出されなくても、毎日4時間の練習をして努力をしていれば、天国では必ず出番があると信じていた。ーーすごいですよね。撮影は2年間どのようにされたんですか?365日一緒にいたわけじゃないんですが、基本的に何かあるときはずっと一緒にいました。ーースタッフについてお聞かせください。フジコさんが好きだとか、フジコさんのファンだとか、自分の親がフジコさんのコンサートを聴きに行っていてチラシが毎年来てるとか。いつも仕事をしている人たちに声をかけてみたらたまたま色んな縁があって不思議でした。日活の中でも担当プロデューサーもフジコさんについて詳しい人だったり、宣伝部もフジコファンが多いんです。お産のときに聴いていたなんて人もいて(笑)。日活チームみんなちょっと詳しいんですよ。ーーとても強力であたたかいチームですね。そうなんです。フジコさんの魅力を改めて語らなくても良かったのが一番楽でした。ーーそうですね。最初からツーカーでわかってもらえる。はい。最初のスタートは本当に小さなものだったんですけども、やっぱりフジコさんの魅力だったり、何かしら縁があってたくさんの人たちが集まってきて、結果的に今のような映画になったんです。ーー小松監督の力もありますね。いえいえ(笑)。それが多分映画の醍醐味だと思うんですよ。どの時代のどの作品も何か作りたいという衝動のようなものがあって、その被写体、モチーフが正しければ人たちは集まってくるし、映画は大変なことばかりで基本的には辛いことが多いんですが、それを超えた後に、こうやってこういうものができたりすると(パンフレットを手に取って見せて)、嬉しいと思ったりするし。ちょっと不思議な縁の連鎖に恵まれました。宣伝のところで協力していただけた黒柳徹子さんやミュージシャンの方たち、テレビ番組で取り上げていただいたディレクターさんが、実は小学校の時にフジコさんのコンサートに連れていってもらったことがあると嬉しそうに話してくれたりとか。フジコさんのことが好きだったりする人たちが集まってくれて、静かな映画なんですけどちょっと大きなスポットを当てていただいてるなと思っています。ーーすごく嬉しいですね。それでは最後の質問なんですが、改めて小松監督から見たたくさんの人たちを惹きつけるフジコさんの魅力とは?フジコさんの魅力は、世界を股にかけるピアニストでありながら、永遠の少女の感性を持っているところだと思います。老いていく部分に対してものすごく喧嘩を売っているところもカッコイイですね。ーー気持ちは16歳だと仰ってましたね。はい。いくつになっても純粋な心を持って世間を見ているというか、綺麗な心を持って目の前のことを見ている感じが、なかなかできることではないんだろうなと思うんです。ーー本当に素晴らしいですね。映画のご成功をお祈りしております。本日は貴重なお話をありがとうございました。■フジコ・ヘミング&小松荘一良監督の経歴フジコ・ヘミング(本名/ゲオルギー・ヘミング・イングリット・フジコ)プロフィール東京音楽学校(現・東京芸術大学)出身のピアニスト、大月投網子とロシア系スェーデン人画家/建築家ジョスタ・ゲオルギー・ヘミングを両親としてベルリンに生まれる。(年齢非公表)。5歳の時、帰国。以来母の手ひとつで東京に育ち、5歳から母、投網子の手ほどきでピアノを始める。また10歳から、ロシア生まれドイツ系ピアニスト、レオニード・クロイツアー氏にも師事。クロイツアー氏は、「フジコはいまに世界中の人々を感激させるピアニストになるだろう」と絶賛した。青山学院高等部在学中、17歳でデビュー・コンサートを果たす。また、東京芸大在学中には、NHK毎日コンクール入賞、文化放送音楽賞など多数受賞。その後28歳でドイツへ留学。ベルリン音楽学校を優秀な成績で卒業。その後長年にわたりヨーロッパに在住し、演奏家としてのキャリアを積む。その間、ウィーンでは後見人でもあったパウル・バドゥーラ=スコダに師事。今世紀最大の作曲家・指揮者の一人と言われる、ブルーノ・マデルナにウィーンで才能を認められ、彼のソリストとして契約するなどレナード・バーンスタインほか世界的音楽家からの支持を獲る。しかし「一流の証」となるはずのリサイタル直前に風邪をこじらせ、聴力を失うというアクシデントに見舞われる。失意の中、ストックホルムに移住。耳の治療の傍ら、音楽学校の教師の資格を取得し、以後はピアノ教師をしながら、欧州各地でコンサート活動を続ける。1999年リサイタルとNHKのドキュメント番組 ETV特集『フジコ~あるピアニストの軌跡~』が大反響を呼び、デビューCD「奇蹟のカンパネラ」をリリース。クラシック界異例の大ヒットを記録した。日本ゴールドディスク大賞のクラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤーを4回受賞。モスクワ・フィル、ロイヤル・フィルなど世界各地の著名オーケストラと共演。彼女と共演した際、世界的チェリスト ミッシャ・マイスキーは「あなたの芸術を賞賛します」と形容している。その他共演した多くのアーティストたちから絶賛されている。現在、ヨーロッパをはじめ、北米、南米、ロシアなど世界中からリサイタルのオファーが絶えない。年間約60本近くの公演活動で多忙を極める中、猫や犬をはじめ動物愛護への関心も深く、長年チャリティー活動も続けている。小松莊一良(こまつそういちろう) プロフィール映画監督・演出家。1964年、米LA生まれ。広島県呉市で育つ。高校時代より自主映画製作を始め、第4回ふくおか映画祭 作品賞・脚本賞受賞。大阪芸術大学映像学科入学後、さらに自主映画製作で注目され、第一回集英社ヤングジャンプ・ビデオフェスティバルなど国内外のコンテストでグランプリを受賞。27歳の時、異色の音楽ダンス映画『ハートブレイカー 弾丸より愛を込めて』で商業映画デビュー。ドラマの他にも、ミュージックビデオやライブ作品などの音楽映像も数多く、吉川晃司、藤あや子、VAMPS、湘南乃風、東京スカパラダイスオーケストラ、ケイティー・ペリー、コンパイ・セグンド(ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ)、WOWOW『氣志團万博』などを手がける。ドキュメンタリー作品でも一貫して音楽やダンスをモチーフにこだわり、ストリートダンサーの生態をリアルに描いた長編ドキュメント『∞~MUGEN』(05)などがある。2018年初夏、企画から立ち上げた劇場映画『フジコ・ヘミングの時間』が公開。■映画『フジコ・ヘミングの時間』作品紹介6月16日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー公式ホームページ:fuzjko-movie.com監督・企画・構成・撮影・編集:小松荘一良出演:フジコ・ヘミング、大月ウルフ音楽:フジコ・ヘミングナレーション:三浦透子エグゼクティブ・プロデューサー;新井重人企画プロデュース:千葉広二プロデューサー:小室直子撮影監督:青木正サウンドトラック・プロデューサー:西尾勇哉ミキシング・エンジニア:坂元達也ライン・プロデューサー;佐藤裕武、小松上花宣伝プロデューサー:宮嵜永子製作プロダクション:祭製作:日活、ユニバーサルミュージック、祭り、スピントーキョー、読売新聞社助成:文化庁文化芸術振興費補助金制作年:2018年制作国:日本上映時間: 115分/カラー配給・宣伝:日活©2018「フジコ・ヘミングの時間」フィルムパートナーズ【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年06月19日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。16歳の頃、あなたはどんな毎日を過ごしていましたか?【シネマの時間】第30回は、イタリアの地方都市ウーディネを舞台に16歳の高校生3人の恋と友情をビタースイートに描き、本国イタリアでスマッシュヒット!ヨーロッパ各国の映画祭で多数の観客賞を受賞した話題作!映画『最初で最後のキス』をご紹介致します。SNSでのイジメ、LGBT、親子関係、デートレイプ、少年犯罪など現代の若者が抱える問題に鋭く切り込み、友情、恋、絆、青春の煌めきや残酷さなど日本の若者たちにも共通する多くの出来事を、レディ・ガガなどのポップな音楽にリズミカルに乗せて、イタリアらしいカラフルでファンタジックな映像で描いています。イタリア本土では、監督と俳優たちが全国各地の高校を訪ねてティーチイン上映会を行い、実に3万人の学生が本作を鑑賞し、「リアルな自分たちが描かれている」「両親に観て自分たちの考えを知ってほしい」といった感想や意見交換が持たれたそう。観るものは、主人公の3人の高校生のみならず取り巻く大人たちそれぞれの立場によって共感し、痛みを共有し、心からエールを送らずにいられないでしょう。もし無知ゆえの残酷さというものがあるのなら、この映画を鑑賞することで、あって欲しくない現実を未然に防ぎ、幸せな未来への手助けになるのではないか、そんなことを思わせてくれる映画です。監督は『ミラノ、愛に生きる』『あしたのパスタはアルデンテ』の脚本を務めたイヴァン・コトロネーオ。アメリカで実際に起きたラリー・キング殺人事件に衝撃を受け、自ら小説『UN BACIO』を執筆し、共同で脚本を手がけ監督も務めました。ぜひこの機会に映画館でご覧ください!映画『最初で最後のキス』あらすじー不器用な僕らが誰よりも輝いていた日々。16歳のスターを夢見る同性愛の孤児ロレンツォは、愛情深い里親に引き取られ、トリノの施設から北イタリアの地方都市ウーデネにやってきます。翌朝、義母と一緒に新しい高校に行ったロレンツオは、義母が帰るやいなや上着を脱ぎ捨て、お気に入りのカラフルなファッションとパフォーマンスで堂々と学校に入っていくものの、瞬く間に浮いた存在に。隣の席になった少女ブルーは、心ない噂から“尻軽女”とレッテルを張られていますが、そんなロレンツオと意気投合。帰り道、ロレンツォは、「ゲイなんだ」と伝えますが、ブルーは、「ゲイの知り合いは初めてよ」と自然に受け入れ友達になります。一方で、ロレンツオは、兄を亡くして心に闇を抱え、クラスで誰とも口をきかないアントニオという男子が気になり始めます。バスケ部のアントニオは、バスケットボールは得意ですが、みんなから「とろい」とバカにされていました。アントニオは、密かにブルーに恋心を抱いていますが話しかけることもできません。息子ひとりを亡くしたアントニオの両親は、そんな彼を必要以上に気にかけ、過保護に守ろうとしていました。ある日、ロレンツォはブルーと相談し、アントニオを食事に誘います。お洒落をしてレストランに出かけ楽しく語らい、ウィンドウショッピングに羽目を外し、仲良くなります。若者らしくふざけて他愛のないお喋りに花を咲かせ、友情を育んでいく幸せな3人の時間。しかし、なおもひどいサイトを立ち上げ、彼らをしつこく疎外しようとする生徒たちの存在がいて……。■映画『最初で最後のキス』作品紹介6月2日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー公式ホームページ:onekiss-movie.jp原題:Un Bacio監督・原案・脚本:イヴァン・コトロネーオ原案・脚本:モニカ・ラメッタ撮影監督:ルカ・ピガッツィ製作:ニコラ・ジュリアーノ、フランチェスカ・チーマ、カルロッタ・カローリ編集:イラリア・フライオーリー美術監督:イヴァナ・ガルジューロ衣装:ロッサノ・マルキ音楽:ジャンルカ・コスタマーニャ振付:ルカ・トマシーニ字幕:山田香苗制作年:2016年制作国:イタリア/イタリア語上映時間: 106分/カラー/シネマスコープ配給:ミモザフィルムズ/日本イタリア映画社提供:日本イタリア映画社後援:イタリア大使館/イタリア文化会館©︎2016 Indigo Film – Titanus映画『最初で最後のキス』キャストリマウ・グリッロ・リッツベルガー=ロレンツォバレンティーナ・ロマーニ=ブルーレオナルド・パッザッリ=アントニオトマ・トラバッチ=レナトスージー・ラウテ=ステファニアデニス・ファゾーロ=サントロ先生アレッサンドロ・スペルドゥーティ=マッシモジョルジョ・マルケージ=ダビデシモネッタ・ソルダー=ニナアートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年05月31日©︎ YUMIMOROTOこんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。今回ご紹介する映画は、名匠ウッディ・アレン監督がケイト・ウィンスレットを主役に迎え、1950年代NY・コニーアイランドを舞台に、愛と裏切り、人生の切なさを描いた物語、映画『女と男の観覧車』をお送りします!映画の舞台となるコニーアイランドは、ニューヨークのブルックリンの南端に位置する半島で、ビーチと遊園地で知られ、多くの観光客で集まる美しいリゾート地ですが、ウッディ・アレン自身が子どもの頃に何度も訪れたという思い出の場所。アレン監督は、1950年代のコニーアイランドを詩情豊かな夢のような映像美で描くために『ブルージャスミン』をはじめ30本のアレン作品を支えてきた美術のサント・ロカストや『地獄の目次録』などで3度アカデミー賞を受賞した撮影監督のヴィットリオ・ストラーロと共に制作。人生の喜び、怒り、哀しみ、楽しさを乗せてまわり続ける観覧車は、この映画そのものを象徴しているかのようにエモーショナルに描かれ不思議な余韻を残します。安定を願いながら刺激を求め、真実の愛に憧れながら刹那の恋に溺れ、あくなき理想を追い求める情熱的な主人公のジニーを演じたのは、『タイタニック』『愛を読むひと』のケイト・ウィンスレット!オスカー女優ケイト・ウィンスレットの新境地をぜひ映画館でお楽しみください。■映画『女と男の観覧車』あらすじー1950年代、NYコニーアイランドを舞台にまわる、まわる、秘密の恋。舞台は1950年代、かつての賑わいは薄れたとはいえ、アメリカ最大の遊園地やビーチがあり、多くの人が行き交うニューヨークの人気リゾート地コニーアイランド。コニーアイランドの遊園地内にあるレストランで働いている元女優のジニーは、再婚同士で結ばれた回転木馬操縦係の夫・ハンプティと、ジニーの連れ子である息子のリッチーと3人で、観覧車の見える部屋で暮らしています。ある日突然、遊園地のレストランでウェイトレスとして働くジニーの前に思いがけない客が現れます。20歳でイタリア人のギャングと駆け落ちして、5年も音信不通だった夫の娘のキャロライナでした。初対面のキャロライナを戸惑いながらも自宅へ連れて帰るジニー。遊園地の回転木馬の操縦士として勤めるハンプティは、絶縁したはずの娘を見て唖然とします。キャロライナは、イタリア人ギャングの夫と離婚し、FBIに証言を強要され、命を狙われる身となっていました。キャロライナは、父との不仲を知る元夫がここには来ることはない、命を狙われてるからかくまってくれと言うのですが、ジニーは我が息子リッチーのこともあり不安でたまりません。リッチーは前夫との間の息子ですが、火遊びを繰り返しては、まわりを困らせていました。学校をサボっては映画館に入り浸ってるのも心配です。そんななか、ジニーには、秘密がありました。ニューヨーク大学の学生で、脚本家志望で夏の間にビーチで監視員のバイトをしているミッキーと恋愛関係になっていたのです。かつて駆け出しの女優だったジニーは、ドラマーの夫がありながら共演者と深い関係となり、それを知った夫は自殺。ジニーはショックから女優を辞めてしまいました。そして妻と娘を失ったハンプティと出会い再婚したのでしたが、絶望や寂しさを埋めるために一緒になったハンプティにジニーは感謝はありましたが、愛を感じることができなくなっていたのです。元女優だったというジニーの苦悩に、脚本家志望のミッキーは魅了され、ジニーもまた今の暮らしのまま一生を終えるのではなく女優としての復活を期待し始めます。一方、キャロライナは、やはり娘が可愛い父親のハンプティの支援のもと、ジニーと一緒にウエイトレスとして働き、夜学にも通い始めます。そんなある日、キャロライナとミッキーが偶然出会うことで、予想もしなかった展開に……!■映画『女と男の観覧車』作品紹介6月23日(土)より丸の内ピカデリーほか全国ロードショー公式ホームページ:www.longride.jp/kanransya-movie原題:Wonder Wheel脚本・監督:ウディ・アレン製作:レッティ・アロンソン、エリカ・アロンソン、エドワード・ワルソン製作総指揮:アダム・B・スターン、マーク・アタナシオ、ロナルド・L・シェ共同製作:ヘレン・ロビン撮影:ビットリオ・ストラーロ美術:サント・ロカスト衣装:スージー・ベンジンガー編集:アリサ・レプセルター制作年:2017年制作国:アメリカ/英語上映時間: 101分配給:ロングライド提供:バップ、ロングライド©︎ 2017 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.■映画『女と男の観覧車』キャストケイト・ウィンスレット=ジニージャスティン・ティンバーレイク=ミッキージム・ベルーシ=ハンプティジュノー・テンプル=キャロライナジャック・ゴア=リッチーデビッド・クラムホルツ=ジェイクマックス・カセラ=ライアンアートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美
2018年05月22日野外映画上映イベント「ねぶくろシネマ」が、2018年5月25日(金)に新木場公園の多目的広場にて開催される。「ねぶくろシネマ」とは、小さなこどもを連れてでも気兼ねなく映画を観られるようにと開催される、一夜限りの野外映画館。各々持参してきた椅子や敷物で座席を作り、会場では声を出してもいい、立ち上がってもいいという自由でアットホームな雰囲気のイベントだ。今回上映されるのは映画『ラ・ラ・ランド』。アメリカ・ロサンゼルスを舞台に、女優の卵とピアニストの恋模様を描いたミュージカル作品だ。湾岸の夜景をバックに、心弾む音楽とロマンティックなストーリーを楽しむことができる。また、購入したチケットによってはドリンクやバーベキューが提供される。【詳細】ねぶくろシネマ開催日:2018年5月25日(金)開場:17:00映画上映時間:18:50~21:00※日没の時間次第で上映開始時間が多少変動する。※雨天・強風時は5月29日(火)に日程が変更となり、購入チケットは自動的に変更される。※イベントの開催可否については、ウェブサイトを参照。会場:新木場公園 多目的広場住所:東京都江東区新木場2丁目上映作品:『ラ・ラ・ランド』(128分/日本語字幕版)チケット(定員250人):ウェブサイトにて販売中。・BBQ付き入場券 1人1500円(BBQ1人分+1ドリンク+入場券) 100枚※スタッフが調理したBBQの提供となる。※食事の提供時間は17:00~19:00。※5月18日(金)17:00で販売終了。・ドリンク付き入場券 1人500円(1ドリンク+入場券) 100枚・こども(小・中学生)入場券(入場券のみ) 1人200円 50枚※食べ物・飲み物の持ち込み不可※テントは使用禁止
2018年05月18日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。今回ご紹介する映画は、2005年の香港を舞台に、30歳を目前にした対照的な2人の女性を主人公に描き、あらゆる世代の女性たちの共感を呼び、本国で20万以上を動員する大ヒットを記録した香港映画『29歳問題』をお送りします。香港を代表する舞台女優であり舞台演出家、クロスメディア・クリエーター、作家、脚本家としても活躍するキーレン・パンが、自身が13年間演じ続けたひとり芝居の舞台劇『29+1』を映画化し見事、香港電影金像奨(香港アカデミー賞)最優秀新人監督賞受賞など数々の賞も受賞した本作。ヒロインふたりの心のひだを繊細に描き出し、ウォン・カーウアイ監督の直筆サイン入り『花様年華』ポスターやレスリー・チャンが出演した映画『日没のパリ』や『由零開始(0から始めよう)』の音楽がエンディング曲で流れるなど香港明星たちへのオマージュがたっぷりと散りばめられた演出は、香港エンタメファンにはたまらないでしょう。才気溢れるキーレン・パン監督のインタビューもあわせてお楽しみください!©︎YUMIMOROTO■映画『29歳問題』あらすじーキャリアなクリスティーと夢見がちなティンロ。香港を舞台に交差するふたりの生き方2005年、香港。化粧品会社に勤めるクリスティは、あと1カ月で30歳を迎えようとしています。容姿端麗で尊敬する敏腕社長のもと仕事にもやりがいを感じ、長年付き合っている恋人や友人たちもいて、公私ともに順風万風のつもりでした。しかし実のところ、晴れて部長に昇進したもののプレッシャーでストレスが多く、彼氏のチーホウともすれ違いばかりで口論となってしまいます。実家の父親に認知症の症状が出始めたのも気がかりでした。しかも、住み慣れたアパートの部屋が家主によって売却され、退去を言い渡されてしまいます。困り果てたクリスティは、とりあえず1カ月間、大家に紹介されたティンロという女性の部屋に間借りすることに。ティンロがパリ旅行に行っている間だけ彼女の部屋に住むことになったのです。ビデオメッセージで迎えてくれたティンロの姿は、底抜けに明るく笑顔で天真爛漫。大ファンであるレスリー・チャンが出演した映画『日没のパリ』の影響から、エッフェル塔をかたどった壁一面のポラロイド写真や、女の子らしい小物でいっぱいのティンロの部屋で、クリスティは彼女の自叙伝風の日記を見つけます。自分の人生とはまったく違う道を歩んできた、同じ年のティンロの日常を垣間見るクリスティ。辛いことがあっても笑顔で乗り越え、大好きな映画や音楽、ペット、たくさんではないけれど本当に信頼の置ける温かな人たちに囲まれて自由に暮らすティンロの姿は、クリスティーの目には新鮮に映るのでした。そんな最中、ついに父親が亡くなってしまいます。元気だった頃の父を思い出しながら、忙しさのために父の最期の日々に優しく接することができなかったことを悔やむクリスティ。今のままで自分は幸せなのだろうか?仕事、恋愛、結婚…etc.30歳を目前に彼女は自分の人生を見つめ直すことに。ティンロもまた同様で、悩みを抱えながら生きるひとりの女性に変わりないのでした。なぜ、ティンロはフランスに渡ったのか……。彼女たちは自分の進むべき道を見つけることができるのでしょうか?■映画『29歳問題』キーレン・パン監督インタビュー【キーレン・パン監督プロフィール】1975年2月11日香港生まれ。香港で最も有名な舞台女優で舞台演出家、クロスメディア・クリエーター、作家、脚本家、映画監督。本作はもともとキーレン・パン監督が演じていた一人舞台。主人公をキーレン・パン監督自身が一人二役で演じていたが、映画版では2人の役者が演じた。初脚本はパン・ホーチョン監督『イサベラ』。2018年第37回香港電影金像奨で最優秀新人監督賞を受賞したほか、ニース国際映画祭2017で外国語映画最優秀監督賞、2017年第12回大阪アジアン映画祭では観客賞受賞。ーーまずは映画『29+1』が香港のアカデミー賞(香港電影金像奨)にて最優秀新人監督賞を受賞、おめでとうございます!香港で20万人以上を動員する大ヒットを記録!本当に素晴らしいですね。5月19日(土)からはいよいよ日本で全国順次公開となりますが、現在のお気持ちをお聞かせください。ありがとうございます。とてもリラックスしています。昨日、日本に来たばかりなのですが、ちょうど(香港での)舞台『29+1』の再演も無事終えることができ、香港電影金像奨も受賞して日本での旅を楽しみたいと思っています。実は昨年、すでに大阪アジアン映画祭で日本の観客の皆さんとも知り合って、多くの皆さんにこの映画が好きだと言っていただきました。日本の方々との距離も縮まったように感じているんです。ーー原作は、2005年から13年間繰り返し再演されているキーレイ・パン監督が制作・脚本・主演を兼ねたひとり芝居の舞台劇『29+1』の満を持しての映画化ですが、そもそも『29+1』を思いついたきっかけは?私は、香港演芸学院を卒業した人間です。最初、舞台劇の俳優になったのです。基本的に役者は、監督に選ばれて脚本を渡されて演じる立場です。あるとき、ふと自分を変えてみたいと思いました。自分で書いたものを自分で演じてみたらどうなるんだろうかということをちょっとやってみたかった。それもあって思い切って劇団の仕事を辞めてしまいました。自分ひとりでやるということは非常に大変なことなんですが。まず資金がない。だから、自分ひとりでやるんだったら小さな舞台でやろうと思いました。大変ですがメリットもあります。好きなことを書いて自分のやりたいことをやれるんです。そのとき私も30歳を迎えようとしてたんですが、30歳を迎えることは恐れてはいませんでした。ところがまわりの人たちは、みんな恐れているような気がしたんです。それでこのテーマで書けるかもしれないと思いました。私のまわりに30歳前後の人たちがいっぱいいて、参考になると思ったんです。それでこのような形で物語が生まれたわけです。ーー舞台表現の良さ、映画の良さそれぞれあると思うのですが映画化にあたり監督としての思いや工夫された点、見どころをお聞かせください。出演者たちの台詞も絶妙で、舞台的かつファンタジックな演出が素敵だと思いました。舞台も映画もそれぞれに工夫を凝らしてますが、特に役者の演技の指導の部分に力を入れました。観た方の多くは、観るたびに新たな発見があり、何度も何度も観たくなる映画だと言ってくださいます。映画の中にいろいろな演出やディテールがあるのが見どころです。ーー舞台ではひとり芝居ですが、映画化にあたりW主演のキャリアなクリスティー役のクリッシー・チャウと夢見がちなティンロ役のジョイス・チェンの配役もぴったりでどちらにも共感でき魅力的でした。彼女たちを起用した理由を教えてください。まずクリッシー・チャウとは、長年の知り合いで彼女がデビューして映画界で色んな人に知られるようになる前からお付き合いががありました。すごくがんばり屋でキャラクター的にもこの役のクリスティと共通してる部分があるんです。前向きで一生懸命に仕事をする人で、向上心がある。一方のジョイスは、ティンロ役はこの人しかできないと思いました。ジョイス自身も楽天的で明るくて、私は彼女の笑顔が大好きなんですが、本当に魅力的で人を惹きつける力があるんですね。ただティンロというキャラクターは、我々が普段思うようなメジャーな人物ではない。どちらかというと少数派です。大多数は、クリスティのような人たちが多い。いつまでも若くてきれいでありたい、毎日いろいろと忙しく締め切りがいっぱいあって、それでもがんばらなきゃいけないと思っている人たち。ところがティンロという人は、ある意味それとは違っていて独自の世界がある。彼女のまわりの人たちは、何でこうなの、と思ったりしている。実際のジョイスも自我をとても大切にしていて、ティンロと似ているところがあります。彼女のバックグランドは、父母がとても有名な俳優ですし、体型がちょっとポッチャリとしてまわりの人にあなたはもっとダイエットをしたらと恐らく言われているのでしょう。でも、彼女はあまり気にしてないようで、いつも自分自身の世界を楽しんでいるところが私はとても好きなんです。ーー映画『29歳問題』は、全編に散りばめられた80年代~90年代の香港映画やエンタメのオマージュがとても楽しく、ファンにはたまらないと思うのですが、逆にレスリー・チャンのことや『日没のパリ』のこと、ウォン・カーウアイ監督の映画『花様年華』、BEYOND、レオン・ライなどのことを全然知らない人が観たとしてもとても魅力的な映画だと思いました。日本では、この映画をきっかけに香港映画のことに興味を持ち、これから好きになる方も多いと思います。これらの演出について教えてください。この映画のテーマは、”人物の成長や思い出”という部分が描かれているわけです。実際この映画の中で人物の成長に伴って登場する香港の映画や音楽は、私自身が香港で生まれ育ったときの状況と似ているんですよね。皆さんがよく知っている香港の流行文化の中で代表的なのは、レスリー・チャンやBEYOND、ミルクティーや古いスタイルのレコード店など香港人にとってとても懐かしいものたち。現在、香港はどんどん新しく変わっていっています。私は、この映画を語るときに当時の流行を取り入れてこういうものが昔はあったのね、というところを描きたかった。あと、もうひとつ共感について考えました。映画を観る人たちがみんな知っているような音楽などを取り入れることで、瞬時に共感を得ることができる効果があるんです。でもただ懐かしいからこの映画を観にくるのではなく、映画で一番大切なのは物語とテーマだと思っています。ーー映画の中でティンロは、レスリー・チャンの『日没のパリ』の影響でパリのエッフェル塔へ行きますが、映画『29歳問題』を観る人たちへ香港のおすすめスポットがあれば教えてください。現在、香港はどんどん変わっていってます。発展して今まであったものが消えて新しく生まれ変わっている。例えば建物など香港人としても、ああ、なくなってしまい残念だな、もったいないなと思う場所があります。古いスタイルの飲茶のレストランの建物もどんどん壊されて、高層ビルになってしまっている。映画の中で彼女たちが住んでるような家は、唐の時代の楼閣の中国式の建物ですが、今の香港ではどんどん消えてしまっています。我々映画を撮る人間にとって困ることは、昔の香港を再現するためにこういった撮影はどこでやるのかということですね。ティンロがホンミンと語らう海辺や思い出の店はシャーティン(Sha Tin/沙田)からタイポー(Tai Po/大埔)エリアで撮影しました。昔の香港は、道端でよく露天商などの屋台がいっぱいあって、いろんなものを売っていた。ところが今は、不衛生だとかで管理下に置かれ、小さくてもお店を出すように言われます。まあ、デパートなどは日本にもありますから、日本の皆さんが香港へ行くとしたら古いエリアへ行ってみるのはどうでしょうか。離島などは昔の香港の良さもまだ残っています。また映画の中で登場する香港式のカフェなども人気のようです。ぜひ行ってみてください。ーーキーレン・パン監督自身、29歳の頃思い描いていた理想と現在の自分を比べていかがですか?女優でありながら脚本や演出までこなす舞台演劇界の第一人者であり、今回映画監督としてもアカデミー賞(香港電影金像奨)最優秀新人監督賞を受賞され素晴らしいご活躍です。あの頃、思い描いていた理想通りの自分ですか?今後の展望などありましたらお聞かせください。実は、29歳のときも、現在もこれからの自分がどうなりたいか考えたことがないんですよ。私の人生については、消去法ということで物事を考えています。つまり自分自身は、こういう風になりたいだとか考えたことはないんですが、これはなりたくない、これはやりたくない、ということは良くわかる。例えばいつか私は映画をやるんだということも考えたことはなかった。ましてや監督なんて。また、自分でコンサートをやるなんてことも思ったこともなかった。でも不思議なことに私の目の前にそういうチャンスが時々訪れてくるんです。それでそのとき、じゃあやりましょう、と決めたら一生懸命にやるタイプですね。こういうタイプの人間ですから当然29歳のときも、これから自分はどうなるのかということも考えたことがなかった。とにかくあの頃は、あれこれ違うことを試してみたかった。試みたかった。で、私の結論は、ある意味私自身にはすごく良い計画があったとか良い企画があったとかそういうことが実はなかったんですが、ひとつ言えることは、非常にラッキーなことにやったことはすべて実ったということなんでしょう。結局そういった段階を経て今日の自分がいるわけです。ーーありがとうございました。今後のご活躍も楽しみにしています!■映画『29歳問題』作品紹介5月19日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー公式ホームページ:原題:29+1監督脚本:キーレン・パン撮影:ジェイソン・クワン美術:チェット・チャン衣装:セシリア・チック音響:フィリス・チェン音楽:アラン・ウォン、ジャネット・ユン挿入歌:レスリー・チャン、レオン・ライ、ビヨンドほか編集:リー・ヒンミン字幕翻訳:鈴木真理子制作年:2017年制作国:香港/広東語上映時間: 111分配給:ザジフィルムズ/ポリゴンマジック©2017 China 3D Digital Entertainment Limited■映画『29歳問題』キャストクリッシー・チャウ=クリスティーラム・ヨックワンジョイス・チェン=ウォン・ティンロベビージョン・チョイ=チョンホンミンベン・ヨン=ヨン・チーホウジャン・ラム=家主エレイン=エレイン・ジンエリック・コット=タクシー運転手アートディレクション・編集・絵・文・インタビュー=諸戸佑美
2018年05月13日©︎YUMIMOROTOこんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。今回ご紹介するのは、アカデミー賞外国語映画賞、カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した『ブリキの太鼓』などで知られる78歳のドイツの名匠フォルカー・シュレンドルフ監督が「どうしても撮りたかった」と手がけた大人のラブストーリー映画『男と女、モントーク岬で』をピックアップ。アンディー・ウォーホールの邸宅があったことでも知られる海岸線の美しいロングアイランドのモントーク岬やあの"モントーク岬灯台"も美しく映し出され、印象的です。( "モントーク岬灯台" は、ニューヨーク州最古の灯台で、灯台好きとしてはこれを見られただけで嬉しかった)主人公のマックスには、『アベンジャーズ』などの映画でハリウッドでも幅広く活躍するスウェーデンの名優ステラン・スカルスガルドが演じ、『東ベルリンから来た女』のニーナ・ホスら実力派俳優たちが共演している話題作。5月26日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー公開です!■映画『男と女、モントーク岬で』あらすじーニューヨークを舞台に大人の愛の物語ベストセラー作家のマックスは、新作のプロモーションのためにベルリンからニューヨークを訪れます。17年前、マックスはこの街でレベッカという女性と出会い、激しい恋に落ちたことがありました。けれども、小説のネタを求めて旅するうちにいつしか音信も途絶えてしまったふたり。人生の折り返し地点になり過去を振り返った彼は、現在事実婚の妻がいながらもレベッカこそが夢の女性だったと彼女との日々を小説に綴ってついに出版。そんなある日、彼はその小説を携えレベッカと再会を果たすのです。再び会ったレベッカは、変わらず美しく弁護士として立派に自立していました。しかし、別れてから何があったのか、今も独りなのか、レベッカは、ニューヨークで弁護士として成功したこと以外は何ひとつ語ろうとしません。失意のマックスが、ニューヨークを発つ3日前、レベッカからようやく「ロングアイランドのモントーク岬へ出かけよう」と誘いが舞い込みます。そこは、ふたりが恋人同士だった頃、訪れた思い出の場所でした。はたして彼女の真意は?そして語られない過去の秘密とは?物語は、マックスの情熱から幕を開け、ときめきが交差する思い出の地へのショートトリップへと展開するのですが……。あなたには、忘れられない恋がありますか?あの手を離さなければ、どんな人生だった?もう一度、やり直せるとしたら?78歳の名匠フォルカー・シュレンドルフ監督がどうしても描きたかった、大人の愛の行方をぜひお楽しみください。■映画『男と女、モントーク岬で』作品紹介5/26(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー!公式ホームページ:原題:Return to Montauk監督:フォルカー・シュレンドルフ脚本:トルム・コビーン、フォルカー・シュレンドルフプロデューサー:レジナ・ツイーグラー、フォルカー・シュレンドルフ、フランシス・ボーフルー、ステファン・パルテノイ、シドニー・デュマ、コーナー・バリー共同プロデューサー:ティル・シュヴァイガー製作総指揮:ハートムート・コーラー撮影:ジェローム・アルメーラ編集:エルベ・シュネイ美術:セバスティアン・ソウクブ音楽:トーマス・バトレット日本語字幕:吉川美奈子制作年:2017年制作国:ドイツ・フランス・アイルランド合作上映時間: 106分映倫区分:G配給:アルバトロス・フィルム©2017 Ziegler Film GmbH & Co. KG, Volksfilm GmbH, Pyramide Productions,Savage Productions Ltd, Gaumont S.A., ARTE France Cinema, WDR, BR, ARTE,Barefoot Films GmbH, Senator Film Produktion■映画『男と女、モントーク岬で』キャストステラン・スカルスガルド=マックス・ゾーンニーナ・ホス=レベッカスザンネ・ウォルフ=クラライシ・ラボルト=リンジーブロナー・ギャラガー=レイチェルニエル・アレストリュプ=ウォルターアートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美
2018年04月30日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。新緑の季節、話題のアートスポットや美術館へのお出かけも気になるところですね。今回ご紹介する映画は、美術館を舞台に人間の本質に迫る傑作社会派エンターテインメント!『フレンチアルプスで起きたこと』の鬼才リューベン・オストルンド監督の最新作『ザ・スクエア 思いやりの聖域』をお贈りいたします。有名美術館のキュレーターが発表した展示作品「ザ・スクエア」が、世間に思わぬ反響を生み、とんでもない大騒動へと発展していく皮肉な運命の悲喜劇です。本作のアイディアは、2015年、スウェーデンのベーナムにあるデザイン美術館Vandalorumで催されたリューベン・オストルンド監督とカッレ・ボーマンのART PROJECT「THE SQUARE」からきています。それは、スウェーデン全都市の中心部に人道的な聖域(枠内ではすべての人に平等な権利と義務が与えられる)を設置するというアイデアでした。美術館の展覧会やイベントの仕事、PRプロモーションの裏側も多少の誇張はあるにせよ垣間見ることができ、メディアのあり方など問題点も提起し大変興味深く今日的です。第70回カンヌ映画祭にて最高賞パルムドール受賞を果たし、ヨーロッパ映画賞で最多6部門を制覇、そして第90回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるなど注目の問題作。ぜひこの機会にお楽しみくださいませ!©️YUMIMOROTO■映画『ザ・スクエア思いやりの聖域』あらすじー美術館を舞台に人間の本質に迫る、観るものすべての心が試されるヒューマンドラマ。主人公のクリスティンは、権威ある現代美術館の敏腕キュレーター。地位と名誉と容姿に恵まれ、洗練されたファッションに身を包み、バツイチですがふたりの可愛い娘を持ち、そのキャリアは順風万風そのもののように見えます。彼は、次の展覧会で「ザ・スクエア」という地面に正方形を描いた作品を展示すると発表します。「ザ・スクエア」とは、4メートル四方に四角く地面を区切っただけのもので、脇には「ザ・スクエアは、信頼と思いやりの聖域です。この中では誰もが平等の権利と義務を持っています」と記されています。ザ・スクエアは、「すべての人が平等の権利を持ち、公平に扱われる」という「思いやりの聖域」をテーマにした参加型アートプロジェクトで、現代社会に蔓延するエゴイズムや貧富の格差に一石を投じ、世の中を良くする狙いがありました。そんなある日、クリスティアンは、広場で人助けをした隙に携帯と財布を盗まれてしまいます。犯人探しのために彼のとった軽率な行動は、思いがけず同僚や友人、自らの子どもたちをも裏切ることに。一方、PR会社は、お披露目間近の「ザ・スクエア」を大々的に宣伝しようと画期的なプロモーションを持ちかけます。それは作品のコンセプトと真逆のメッセージを流し、わざと炎上させて、情報を拡散させるというやり方でした。その目論見は、見事成功したかに思えましたが、世間の怒りはクリスティアンの予想をはるかに超えて、大騒動になってしまいます。クリスティアンは予期しないさまざまな困難に直面。いったい、どうなるのでしょうか……!■理想と現実、あなたの心が試される主演の敏腕キュレーターであるクリスティアンには、本作でブレイクを果たし、ヒット作『ドラゴン・タトゥーの女』の続編に出演決定したクレス・バング。共演にHuluのドラマシリーズ『ハンドメイズ・テイル侍女の物語』でエミー賞受賞、ゴールデン・グローブ賞受賞などに次々と輝き、脚光を浴びるエリザベス・モス。また『シカゴ』などの演技派ドミニク・ウェスト、謎のパフォーマー役に『猿の惑星』のモーションキャプチャーを務めたテリー・ノタリーらがしっかりと脇を固めています。アート界を舞台に、現代社会を生きる人々が抱える格差や差別といった不条理を抉り出し、本当の正義や生きていくことの本質を痛烈な笑いとともにユーモアたっぷりに描き出した本作。“人を信用する”のか“人を信用しない”のか。美術館の訪問客は、ふたつのドアのどちらかを選択しなければいけません。主人公が窮地に追い込まれ、人間としての決断を迫られるたびに私たち観客は「自分だったら、どうするだろう……?」と考えずにはいられないでしょう。■映画『ザ・スクエア思いやりの聖域』作品紹介4月28日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ、立川シネマシティほか全国順次ロードショー公式ホームページ:原題:THE SQUARE監督・脚本:リューベン・オストルンド製作総指揮:トマス・エスキルソン、アグネタ・ベルマン、ダン・フリードキン、ブラッドリー・トーマス製作:エリック・ヘルメンドルフ、フィリップ・ボベール撮影:フレドリック・ウェンツェル美術:ジョセフィン・アスベルグ衣装:ソフィー・クルネガルドヘア・メイク:エリカスペツィク音響デザイン:アンデシュ・フランクミックス:アンドレアス・フランク、ベント・ホルム編集:リューベン・オストルンド、ジェイコブ・シュルシンガー制作年:2017年制作国:スウェーデン、ドイツ、フランス、デンマーク合作 / 英語、スウェーデン語上映時間: 151分 / DCP / カラー / ビスタ / 5.1ch日本語字幕:石田泰子配給:トランスフォーマー後援:スウェーデン大使館、デンマーク大使館、在日フランス大使館 / アンスティチュ・フランセ日本©️2017 Plattform Produktion AB / Société Parisienne de Production / Essential Filmproduktion GmbH / Coproduction Office ApS■映画『ザ・スクエア思いやりの聖域』キャストクレス・バンク=クリスティアンエリザベス・モス=アンドミニク・ウェスト=ジュリアンテリー・ノタリー=オレグクストファー・レス=ミカエル
2018年04月14日©YUMIMOROTOこんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。先日、韓国で開催された障害者スポーツの祭典、第12回冬季パラリンピック平昌(ピョンチャン)大会は、アルペンスキーやスノボーなど10日間に渡る熱戦が繰り広げられ、素晴らしかったですね。2020年に東京で開催される夏季パラリンピックにも期待が高まります。【シネマの時間】第25回は、そんな興奮覚めやらぬ韓国を舞台にした話題の感動作、映画『タクシー運転手約束は海を越えて』をお送りします。1980年5月、韓国現代史上最大の悲劇となった光州事件。あの日、戒厳令下の厳しい言論統制をくぐり抜け唯一、広州を取材し、全世界に5.18の実情を伝えた実在の人物、ドイツ人記者ユルゲン・ヒンツペーターと彼を乗せた勇敢なタクシー運転手キム・サボクが目にした心揺さぶられる真実の物語。この映画を鑑賞後、私も伝えるという仕事を生業としている者として、多くの人にこの映画の素晴らしさを伝えたいとバトンを渡されたように感じました。第90回米アカデミー賞外国語映画賞 韓国代表出品の快挙!また第54回大鐘賞、第38回青龍映画賞、第26回釜山映画賞など、韓国主要映画賞を総なめにした話題作がついに日本公開です!■ソン・ガンホ X トーマス・クレッチマンの名優達が豪華共演!映画『タクシー運転手』は、光州事件の実情を伝え、韓国の民主化に寄与した功労者として2003年、第2回ソン・ゴノ言論賞を受賞したドイツ人記者ユルゲン・ヒルツペーターが演説した一言から始まりました。「自分の目で真実を見て伝えたいだけだった。勇敢な韓国人タクシー運転手キム・サボク氏と献身的な広州の若者たちがいなければ、このドキュメンタリー『岐路に立った大韓民国』を撮ることはできなかった」本作は、ドキュメンタリー『岐路に立つ大韓民国』から戒厳令による厳重な言論統制を突き抜けて唯一光州を取材して全世界に5.18の惨状を知らせたユルゲン・ヒンツペーターと、彼を乗せたソウルの平凡な市民でありタクシー運転手であるキム・サボクというふたりの実在の人物をモチーフに制作。11歳になる娘を男手一つで育てるタクシー運転手に『シュリ』『王の運命』『義兄弟』などで知られる韓国映画界きっての名優ソン・ガンホ。ドイツ人記者に『戦場のピアニスト』『キング・コング』などに出演、ドイツのベテラン俳優トーマス・クレッチマン。他、演技派ユ・ヘジン、若手実力派リュ・ジュンヨルと豪華キャストが集結。『義兄弟』『高地戦』のチャン・フン監督がメガホンをとり、平凡なタクシー運転手と外国人記者、そして光州で出会う人々が危険な状況に負けず、最後まで自分の信念を貫き通した“あの日”をドラマチックな感動で描き出しました。■映画『タクシー運転手約束は海を越えて』 あらすじーー韓国現代史に語り継がれる”あの日”に隠されたもうひとつの真実の物語。1980年5月、ソウルのシングルファーザーのタクシー運転手マンソプ(ソン・ガンホ)は「通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払う」という言葉につられて、そこで何が起こっているのかも知らないままドイツ人記者ピーターを乗せて一路、光州を目指します。当時ピーターは、日本特派員として仕事をしていましたが、韓国の状況を聞いて躊躇することなく「ニュースがあるところならどこにでも行く」とカメラ片手に取材に韓国に降り立ったのでした。何としても生活のためにもタクシー代を受け取りたいマンソプは、機転を利かせて検問を切り抜け、時間ぎりぎりで光州に入ります。しかしピーターとマンソプの目の前には予期していなかった恐ろしい光景が。“危険だからソウルに戻ろう”とマンソプはピーターに忠告しますが、ピーターは耳を貸さず大学生のジェシクとファン運転手の助けを借り、取材撮影を始めるのでした。しかし状況は、緊迫し徐々に悪化。マンソプはひとりで留守番させている11歳の娘が気になってたまらないのですが……。■映画『タクシー運転手約束は海を越えて』作品紹介2018年4月21日(土)より、シネマート新宿ほか全国ロードショー!公式サイト:原題:택시운전사監督:チャン・フン脚本:オム・ユナ撮影:コ・ナクソン編集:サラ・グリーンウッド音楽:チョン・ヨンウク衣装デザイン:チョ・サンギョン、チェ・ヨンサン美術:チョ・ファソン、チョン・イジンエグゼグティブ・プロデューサー:ユ・ジョンフンプロデューサー:パク・ウンギョン共同プロデューサー:チェ・キソプ協力プロデューサー:ソン・ガンホ制作年:2017年制作国:韓国上映時間:137分/カラーシネスコ/5.1ch/レイティング配給:クロックワークス提供:クロックワークス・博報堂DYミュージック&ピクチャーズ© 2017 SHOWBOX AND THE LAMP. ALL RIGHTS RESERVED.■映画『タクシー運転手約束は海を越えて』キャストソン・ガンホ=キム・マンソプトーマス・クレッチマン=ユルゲン・ピンツペーター(ピーター)ユ・へジン=ファン・テスルリュ・ジョンヨル=ク・ジェシクアートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美
2018年03月26日「角川映画 シネマ・コンサート」が、2018年4月13日(金)、4月14日(土)に東京国際フォーラム ホール Aで開催される。「角川映画 シネマ・コンサート」では、角川映画作品の、特別編集されたハイライト映像とともに総勢約50名のスペシャル・ジャズ・オーケストラ&バンドが演奏を行う。上演される作品は、1976年公開の『犬神家の一族』、1977年公開の『人間の証明』、1978年公開の『野性の証明』。迫力のある生演奏とともに映画作品の世界観を楽しむことができる。音楽を手掛けるのは、作曲家・大野雄二。また、トークゲストとして石坂浩二が出演し、松崎しげるやダイアモンド☆ユカイもゲストボーカルとしてステージに上る。松崎しげるは『野性の証明』のテーマ曲である「戦士の休息」、ダイアモンド☆ユカイは「人間の証明のテーマ」をそれぞれ歌唱する。「シネマ・コンサート」公開当日は、映画公開当時のポスター、角川映画や市川崑監督にまつわる貴重な資料が展示される他、『犬神家の一族』の登場人物である「スケキヨ像」のリアルなフォトスポットも設置される。【詳細】角川映画 シネマ・コンサート日時:2018年4月13日(金) 開場 18:00、開演 19:004月14日(土) 開場 13:00、開演 14:00会場:東京国際フォーラム ホール A住所:東京都千代田区丸の内3-5-1出演:大野雄二、石坂浩二(トークゲスト)、松崎しげる(ゲストボーカル)、ダイアモンド☆ユカイ(ゲストボーカル)■関連イベント「角川映画ギャラリー」場所:東京国際フォーラム ホール A 会場内ロビー※ダイアモンド☆ユカイの名前表記は星ではなく、六芒星が正式。【問い合わせ先】ディスクガレージTEL:050-5533-0888(平日 12:00~19:00)
2018年03月09日