気づかぬうちに、大人の真似をしている子どもの観察力に驚くことはありませんか。教えたつもりはないのに、子どもたちは大人の行動を良く見ています。特に毎日一緒に過ごすことが多い食事の時間。大人の食事マナーがそのまま伝わっていると言っても過言ではありません。子どもに正しい食事のマナーを教えるためには、きちんと見本を見せてあげることが大切。特に注意したい基本的なポイントを紹介するので、普段の食事を思い出しながらチェックしてみてください。■お椀とお箸、先に取るのはどっち?まずは、基本中の基本、箸の正しい持ち方から。下の箸を薬指の先と、人差し指・親指の股で固定します。そして、上の箸は親指・人差し指・中指の先を使ってはさみます。箸を動かすときは、下の箸を固定したまま、上の箸だけを動かすのがポイントです。この箸の持ち方まではマスターしている人が多いと思いますが、その使い方や扱い方はいがでしょうか?たとえば、置いてある箸を持ち上げるとき。右利きの人なら、まずは箸の真ん中あたりを右手で取り、左手を下から添えて、それから食べるときの形になるよう右手に持ちかえます。この順番を心がけると、箸を持つ動作がとても美しく見えます。食事中に話をしたり、お茶を飲んだりするときは、一旦箸を置くのが正しいマナー。その習慣を身につけるためにも、箸置きを使うことをおすすめします。お味噌汁のお椀を持つときも、箸より先にお椀を取るのが正しい所作とされていますので、それを実践しようと思うと、箸を一旦おかなくてはなりません。食器の上に箸を渡して置きたくなりますが、これは「渡し箸」と言って正式にはマナー違反です。箸置きがあれば、そこに箸を置くことができます。この習慣は、正しい箸づかいへの近道です。■「袖越し」には気をつけて食事中に飲みものを取ったり、醤油を使ったりするときには、自分より右にあるものは右手で、左にあるものは左手で取るように心がけましょう。これは、膳の上を手で覆う「袖越し」というマナー違反を避けるためです。手や腕が食器にあたって倒すのを防ぐことにもつながりますので、ぜひ家庭の食卓で実践したいマナーです。■いずれは三角食べができるように特定のものだけを集中的に食べるのも、マナー違反とされています。ご飯、お味噌汁、それにおかずが数品といった場合は、バランスよく配分しながら、少しずつ食べるようにしましょう。ご飯と汁物は、できるだけ一口ずつ交互に食べるようにします。子どもは嫌いなものを最後に残してしまいがちなので、まんべんなく食事を進めていく三角食べを見せてあげられると良いですね。もちろん、食事は楽しいのが一番。子どもが上手に食べられなかったり、マナー違反をしたりするのは当然のことですし、マナーに固執しすぎる必要はありません。ただ、成長するにしたがって、子どもにも食事マナーが問われるようになってきます。小さなころから正しいマナーで食事をする両親の姿を見せておけば、大きくなってから「お行儀よく食べなさい!」と怒らなくて済むはず。子どものためにも、そして自分のためにも、普段の食事マナーを見直してみてはいかがでしょう。森川ほしの(OFFICE-SANGA)
2016年05月01日■子どもとの会話に、自然に旬の食材や行事食の話題を取り入れよう突然ですが「二十四節気(にじゅうしせっき)」を知っていますか? 日本には四季があり、それを24等分して、約15日に1回訪れる節目の日に季節を表す名称をつけたもの、それが二十四節気です。正確な時計やカレンダーがなかった時代には、農作業の目安にしていたとも言われています。現代は毎日が慌ただしく、あっという間に過ぎてしまうからこそ、四季の移り変わりを楽しむために、また子どもの食育に、二十四節気を日々の話題に挙げてみるとよいでしょう。そして、節目の日には「旬食材を使って何か1品作ってみる」「子どもと行事について会話してみる」と決めてしまうのもよいかもしれません。子どもにとっても、春夏秋冬それぞれの食材を味わったり、日本の行事の話を一緒にしたりすることで、自然と食の知識と理解を深めることにもつながります。そこで今回は「立夏」について紹介しましょう。■今年の立夏は2016年5月5日5月に入ると、二十四節気では「立夏」の季節。2016年の立夏は「こどもの日」と重なっています。桜が終わり、一気に葉が育って新緑に。夏の気配が感じられ、ツツジ、菖蒲、藤が咲き始める頃でもあります。初夏と混同しがちですが、初夏は6月に入ってからを指す言葉です。立夏は、すがすがしい風がちょうど心地良く感じる季節。田植えや種まきが始まり、秋の豊作を祈って「お田植え神事」「御田植祭」が行われたりします。 ■立夏の日には、何を食べる?春の名残の食材と、夏の走りの食材、新緑をイメージした緑の食材を使うと、立夏らしい献立になります。春の名残の食材だと、筍や菜の花、山菜など。春キャベツや芯玉葱が出回り、グリーンピースやそら豆、スナップエンドウなどお豆類がおいしい季節でもあります。海産物では、ホタルイカやワカメ、ヒジキなどの海藻類も旬を迎えます。こどもの日と合わせて、柏餅や粽(ちまき)を取り入れてもよいですね。なお、こどもの日に柏餅を食べるのは、柏の葉が、次の新芽が出るまで落ちないことから、家督が絶えないことの象徴とされ、縁起の良いものとされているからです。■そのほかの「立夏」前後の行事は?立夏の時期は、ゴールデンウイークの名称が浸透しすぎて、元々が何の日だったのかが薄れている気もしますが、日本の古き良き行事が満載です。 2016年5月1日:「夏も近づく八十八夜~」の歌でおなじみの八十八夜。立春を起算日として88日目、茶摘みなどの農作業がピークの時期です。5月3日:憲法記念日。日本国憲法の施行を記念する日です。5月4日:みどりの日。元々は昭和天皇の誕生日。2006年までは4月29日が「みどりの日」でしたが、現在は昭和の日となっています。5月5日:こどもの日。端午の節句(菖蒲の節句ともいいます)五節句の一つです。日本では端午の節句に男の子の健やかな成長祈願の行事を行う風習があります。 二十四節気をさらに細かく分けた、七十二候というものもあります。気象や動植物の変化を知らせる短文になっていて、立夏の期間ならば以下の通りです。・初候:蛙始鳴(かえる はじめて なく) : 2016年5月5日。蛙が鳴き始めるころ。田んぼに水が引かれると、蛙の泣き声も聞こえるようになります。・次候:蚯蚓出(きゅういん いずる) : 2016年5月10日。蚯蚓(ミミズ)が地上に出てくる頃。畑を耕すとミミズも出てきますね。・末候:竹笋生(ちくかん しょうず) : 2016年5月15日。筍が生えるころ。筍というよりは若竹がズンズン生えてくる頃です。 今回は「立夏」について取り上げましたが、日本の四季を楽しむ節目、お子様との会話や料理の中にちょっとだけ取り入れてみてはいかがでしょうか?
2016年05月01日今年の桜は、かなり長い期間楽しむことができましたね。東京の桜はそろそろ葉桜モードですが、お花や葉っぱが色づくこの季節は、やっぱり心はウキウキして、色々なことが「始まる」ことを実感します。子どもたちも新年度になり、進学・進級を迎えて、クラスが変わったり、担任の先生が変わったりで、まだペースがつかめない毎日を送っているご家庭も多いことでしょう。わが家も早起き、そして私はお弁当作りの毎日に、学期の最初はなかなかペースがつかめず、なんとなく寝不足気味…。そしてこの4月、子どもたちを取り巻く環境で、今年大きく変わったことがあります。それは、これまで義務教育として位置づけられていた小学校、中学校の他に、今年度から義務教育学校というものが、法律で正式に位置づけられ、新たな学校としてスタートすることになったのです。今年度スタートした「義務教育学校」って?この義務教育学校というのは、義務教育期間である小中学校9年間を一つのまとまりとして学校を設置し、教育内容も9年という期間で編成するというもの。これまでも行われてきた小中一貫教育が、一つの学校になったとイメージするとわかりやすかもしれません。これまでの小中一貫教育は、「特例校」として、毎年度、文部科学大臣の指定を受けなければなりませんでしたが、その必要はなくなり、小中学校の設置者である市区町村の裁量で設置することができるようになったのです。それでは、小学校と中学校が分かれているのと、一貫教育として行うのとは何が違うかといと、小中一貫教育導入にはさまざまな子どもを取り巻く問題がその背景にあります。 思春期にやってくる問題も緩和する?一つは「中一ギャップ」という問題です。小学校と中学校とでは、勉強の仕方も学校生活も大きく変わります。うまく適応できない子どもが多くなり、不登校の子どもの数も中学一年生が一番多く、またいじめという問題も多発します。また、子どもの成長の早期化も近年著しく、思春期も30年前と比べると、だいたい2~3年早まる傾向にあります。30年以上前に中学校生活を送っていた自分自身を振り返ってみても、一般に反抗期といえば、中学2年生ころから始まったように思うのですが、今は早いと小学校4年生ころから、だいたいの子は小学校卒業する前には反抗期に突入するのが実態。体の成長も、1年間で一番身長が伸びるのは、30年前なら男の子は中学2~3年生、女の子は中学1~2年生だったのが、今では、男の子は6年生、女の子は5年生と、これも2~3年早まる傾向にあります。つまり、心も体も大きな変化のさなかで中学受験や進学を迎え、それらに影響される心身のアンバランスが、中学校生活に影となって表れてくるという問題は、もう10年以上も前から指摘されてきました。そこで、小学校から中学校への接続をできるだけ滑らかにすること、これが小中一貫教育の最大の目的であるのです。学習面でこの制度がもたらす効果は?また外国語教育、情報教育など、学校で教える内容も増え、カリキュラムの見直しなども大きな課題でした。小中一貫教育では、義務教育9年間をひとまとまりとして考えますから、その中で、カリキュラムの前倒しや、中学校の理科などの専科の先生が小学校で教えることができるなど、授業の充実にも大きく寄与することになります。すでに平成18年度には、東京都品川区で、公立では初めてとなる小中一貫校「日野学園」(この4月からは義務教育学校・日野学園)を開校し、大きな成果が得られてきました。特に生活面で言うと、思春期や反抗期の中学生が小さな小学生と日々触れることは、大人には想像もできないような効果が生まれるようです。例えば不登校がなくなったり、反抗期の時期にある子どもでも、自分たちが小さかったころを思い出すことで、生活態度そのものが変わってくるといいます。そもそも、義務教育が小中と分かれているのは、戦後、それまで日本では、義務教育は小学校だけだったものに、GHQ(連合国最高司令官総司令部)の政策によって3年間の中学校が足されただけであり、合理的な意味はありませんでした。私立のみならず、最近では、公立の中高一貫教育も増えています。本来なら、そもそも義務教育とは、何を目的に、何を学ばせるのかなど、戦後70年経った今、改めて根本からの改革を行わなくてはならないのですが、ひとまずは、子どもたちの現実の姿に合わせ、国の制度としての義務教育学校が位置づけられたことは、とても大きな一歩であったと思います。私は品川区の教育委員として、この小中一貫教育の制度化に携わってきましたが、国が「義務教育学校」として学校教育法の中に正式に位置づけるまでには、日野学園の開校からちょうど10年、品川で小中一貫教育の制度化を含む教育改革を始めてから実に17年の歳月を要しました。すでに、この間に、義務教育を終えてしまった子どもたちがたくさんいるとうこと。子供の成長はあっという間ですから、今の子どもたちに、「間に合わなかった」ということがないように、制度を作る大人たちには、スピード感こそが求められていることを自覚して欲しいと思っています。
2016年04月19日2002年にドイツのチュービンゲン大学ではじまった「子ども大学」は、子どもたちが大学に登校し、日ごろから疑問に思っているテーマについて、大学教授による授業を受けるというもの。現在、ドイツを中心に、欧州各国で開校されています。そして近年、日本でも「子ども大学」に取りくむ大学や企業、地方自治体が増えてきました。子どもたちの新たな学びの場ともいえる「子ども大学」について紹介します。■「子ども大学」ってどんなもの?「子ども大学」の大きな特徴は、子どもたちの「なぜ?」に対して、その分野の専門家がわかりやすく答えてくれるという点。講義を受けられるのはもちろん、子どもたちが体験をしたり、自分で考えたりしながら学べる学校もあります。日本ではNPO法人「子ども大学かわごえ」が2009年にはじめて「子ども大学」として授業を行いました。現在は、日本各地に「子ども大学」の取りくみが広がっています。大学が設けている「子ども大学」から、企業・地方自治体が大学と連携して開催しているもの、NPO法人が運営するものなど、その形態はさまざま。内容にもそれぞれ異なる特徴があります。日本でもどんどん広がっている「子ども大学」の取りくみには、どのようなものがあるのでしょうか? 実際に開催されている「子ども大学」を紹介します。■「子ども大学かわごえ」(NPO法人 子ども大学かわごえ)地元大学の教員と連携し、子どもたちの素朴な疑問について、大学レベルの授業体験を提供。純粋科学的な疑問を追求する「はてな学」、キャリア教育の「生き方学」、郷土を知って地域に貢献する「ふるさと学」という3つの教育プログラムが柱となっています。対象学年は小学4、5、6年生です。■「子ども大学水戸」(特定非営利活動法人 子ども大学水戸)身のまわりで起こる「自然現象」や「社会現象」についての素朴な疑問を題材に、大学教授や地域のプロフェッショナルなど、その道の専門家による講義やワークショップを体験できます。対象学年は小学3年生から中学2年生まで。キャンパスとなるのは地元の高校や大学、専門施設で、年5~6回の授業が行われます。■「こども芸術大学」(京都造形芸術大学)3歳から小学校入学前までの子どもと親を対象とした、新しいタイプの通学型教育機関(許可を受けた幼稚園とは異なる)として、京都造形芸術大学が運営。「自然と芸術」を通じて「感じる力」「工夫する力」「伝える力」を育むための教育を行っています。このように、さまざまな教育方針、カリキュラムを持つ「子ども大学」が、ほかにも多数開催されています。子どもたちの興味の幅は広く、「なぜ?」のなかには私たち大人が答えに詰まってしまうものも。そんな疑問に専門家がわかりやすく答えてくれる「子ども大学」は、子どもたちはもちろん、親にとっても貴重な「学びの場」となりそうです。
2016年04月19日■あなたのふるさとの味は何ですか?私のふるさと、福井県では、春のこれからの時期、「ほうば飯(めし)」が食べられます。熱々のごはんに、甘く味付けたきな粉をまぶし、朴葉(ほうば。ホオノキの葉っぱ)で包んで、重しをしたもの。きなこおはぎに近い味わいですが、もち米ではなく、あくまで普通のごはんを使います。 隣の岐阜県などでは、押し寿司のように、しめ鯖や錦糸卵などを彩りよくのせて朴葉で包んだ「朴葉寿司」が食べられるそうですが、福井のそれはいたってシンプルに、ごはんときな粉だけ。ですが、きな粉の香ばしさに朴葉の香りもほんのり移って、なんとも素朴でやさしい味わいなのです。古くは、田植えが終わった後のお祝いに食べたものだそう。甘いきな粉はごちそうでもあり、また、黄金色に実る稲穂を思わせることから、豊作への願いも込められていたと言われます。朴葉には殺菌作用もあるとされ、昔の人の知恵がつまった郷土料理のひとつです。私も子どもの頃、「ほうば飯」を食べるのがとっても楽しみでした。2枚の葉っぱを十文字に重ねて、真ん中にきな粉とごはんを置いて包む…。作るのをお手伝いするのも楽しかったし、大きな葉っぱを広げて甘いきな粉ごはんをほおばるのも、なんともワクワクする瞬間でした。我が家では毎年、お隣のおじいちゃんが山に入って採ってきてくれる朴葉で、ほうば飯を作っていました。が、今は山に入る人もなく…、もう何年も、ほうば飯を食べていません。同じように、わらびやぜんまい、ふきのとうなど、様々な山菜が、春のこの時期は食卓に並んだものです。どれも、私の祖父や親戚やご近所のおじいちゃんなど、誰かが山に入って摘んできてくれたものでした。■自然の恵みを食卓に取り入れることの大切さ昔はそんなふうに、身近にある自然の恵みを食卓にとりいれることが、どの家でもごく普通のことだったのではないでしょうか。 いまは山に入るにも制限があり、難しいのかもしれませんが、でもそうした、自然と共にある暮らしや、そこから受け継がれた知恵や手仕事、郷土の味など、いろいろと知って、体験しておきたいなと考えます。おじいちゃん世代ができていた、昔ながらの家仕事。孫世代の私はほとんど身につけられていないのですが、あらためて、子どもたちと一緒に学び、感じる機会を作っていきたいと思っています。ということで、この春は、家族みんなで「山菜採りツアー」に参加してみるのはいかがでしょう?専門のガイドさんと一緒に、見て聞いて感じながら山の恵みを味わうのは、子どもたちにも貴重な体験になるはずです。山に入って山菜採りを楽しみ、その後、山菜料理が食べられるツアーもありますよ!春の食材には、苦みやアクのあるものが多いのですが、この苦みには、冬仕様だった体を目覚めさせてくれる働きがあるそうです。また、芽吹いたばかりの山菜は、生命力にあふれ栄養もたっぷり! 旬の恵みは、私たちの体にもうまく働いているんですね。各地の山菜採りツアーは、4月下旬から6月中旬ころに開催されるものが多いようです。生き生きと輝く新緑の中、自然の楽しさ、おいしさを再発見しに、お出かけしたいですね!(参考リンク)・ 山菜採りハイキング|長野県、黒姫、妙高で山菜採りハイキング|サンデープラニング ・ 全国 山菜採り 子供の遊び場・お出かけスポット | いこーよ
2016年04月19日子どもは学校へ行って当たり前と思っていませんか? でも、もし突然子どもが「学校へ行きたくない」と言い出したら、あなたはどうしますか? 不登校は誰もが直面し得るもの。そのとき、親はどうすればいいのでしょうか?実際にわが家で起こった体験をもとに、前兆から不登校、そして再び学校へ行くようになるまでを振り返り、その時々の子どもとの接し方や、親としての気の持ち方についてお伝えします。■前兆は「お腹が痛い」わが家は共働きです。息子が0歳の頃から保育園に預け、私はフルタイムで働いていました。今思えば、前兆は保育園の頃からありました。息子はもともと集団に馴染めない性格で、1人でいるのが好き。とは言え、誰とでも別け隔てなく遊ぶこともできました。しかし、その反面、神経質なところもあり、何かあるとお腹が痛くなったり、微熱が出たり。そのため、たびたび会社にお迎え要請の電話がかかってきました。私はその都度、息子を病院に連れていっていましたが、そのうちに、「これは本当に体調が悪いのではなく、かまってほしいのだな」と気づき、それからは、そういうことのあった日は半日休むようにしました。働くお母さんがたぶん、みんなそうであるように、子どもと一緒にいる時間が少ない分、密度の濃いコミュニケーションを心がけるようにしていたのです。「お腹が痛い」は小学生になってからも、時々ありました。小学校1年生の後半からたびたび起こる息子の朝の腹痛。痛みに歪んだ顔で私を見上げ「お母さん、お腹いたい…」。病院も何ヶ所も行きました。いろんな検査もして、レントゲンも取りました。しかし、どれも「異常なし」。イベントや行事などのいつもと違うスケジュールには特に弱く、楽しみな気持ちと同時に、不安も大きくなってしまい、ドキドキが体の症状=腹痛として出てしまっていたのです。そのため、遠足や運動会は、いつも途中参加かお休みでした。 ■体の症状はSOSのサイン進級し、小学3年生になってからは、今度は「頭痛がひどい」と言い出し、神経内科にも行きました。起立性障害と診断されたことも…。そして、ついに頻繁に学校を休むようになりました。でも、学校からは「なんとか登校させてください」と言われ、プレッシャーがかかります。私も「学校だけは行かせなければいけない」と思っていたので、なだめすかして、なんとか登校させようとする日々。学校とも連携を取り、息子をあの手この手で説得しようとしました。息子も理屈ではわかってくれますが、やっぱり腹痛が起きてしまいます。むしろ、親がムキになればなるほど、病状は悪化する一方です。そして、子どもは親の期待に応えられない自分を責め始めます。そのうち、頭痛以外に、別の症状も現れ始めました。病院もいくつも変えました。けれど、なかなか良くなりませんでした。息子も登校したい意志はあるのに、朝になるとひどくお腹を壊すという、体と心が分離しているような状態。もう息子本人もコントロールできない、心の底からのSOSのサインでした。 ■やっと待望の心療内科へ小学5年生になったとき、都立総合小児病院に初めて行き、体の異常がないことを入院検査で確認し、3ヶ月予約待ちをして、やっと待望の心療内科にかかることができました。その頃には、息子の口からついに「学校に行かなきゃダメ?」という言葉が出ました。私も「嫌な体験をずっと繰り返すより、一度じっくりまとめて休ませたほうがよいのでは?」と思っていたので、ひとまず1ヶ月間休ませることにしました。その後、心療内科の先生と相談し、学校に関しては無理強いせずに、家でゆっくり治療に専念することになりました。まずは、「家は安全、家は本当の自分を出せる場所」という体験をさせ、そのあと少しずつ外(学校や社会)へ出ていくという手順が必要だったのです。先生から「1年~2年かかることは覚悟して、じっくり治療しましょう」と言われました。私は会社に相談し、勤務時間を減らしてもらい、週に一度は息子と一緒にカウンセリングに通いました。親の私がすることは、無条件で子どもを受け入れること。甘えてきたら「もう大きいんだから」と突き放さず、幼児から育てなおすくらいの気持ちで接すること。それが治療方針でした。同時に、学校を思い出すようなことも一切排除することになりました。心療内科の先生から学校に電話してもらい、直接本人に接しないように徹底してもらいました。経験豊富な専門家がついているおかげで、私も落ち着きを取り戻し、ときには不安を聞いてもらうこともありました。子どもの心が不安定なとき、親が慌てたり不安がったりすると、それが子どもにも伝わってしまいます。自分だけで解決しようとせず、心の専門家に介入してもらい、親自身の心を安定させることも大切です。 ■長い目で見守る、そして信じる自宅療養を始めてから最初の数ヶ月間は外にも出たがらず、ゲームばかりしていた息子でしたが、ゆっくりゆっくり休んだ後、やがて自分から生活のリズムを管理しだし、遅れを取り戻すように本を読んだり勉強をしたりするようになりました。その後は誘うと徐々に外に出るようになり、休日は一緒にランチを食べに行ったり、サイクリングに出かけたりしました。しばらくすると学校の友だちとも休日になら一緒に遊べるようになり、6年生の3学期は放課後に学校へ勉強をしに行けるようにもなりました。そして、卒業前何日かは登校もできるようになったのです。卒業1週間前には毎日、卒業式の練習に参加するまでになり、無事、卒業式に出られたのです。息子を見守ってくれた友だちや、学校の存在は、とてもありがたいものでした。こればかりは親だけではどうすることもできません。現在では何事もなかったかのように、元気に中学校に登校しています。新しい友だちもでき、部活動も楽しんでいます。■子どものことをわかっているつもりで、わかっていなかった息子が学校へ行かなかった1年半、私が主にしたことは、ただご飯を作って一緒に食べること。そして、息子の話をとことん聴くことだけでした。子どもは親にわかって欲しいのです。私は、息子のことをわかっているつもりで、何年もわかっていなかったのでしょう。小学校くらいなら1年~2年の勉強の遅れは、すぐに取り戻せます。けれども、心の問題を取り戻すには、たくさんの時間がかかります。親が悲観的にならずにゆったりと構えると、子どもの情緒も次第に落ち着いてくるようです。 ■子どもが「学校に行きたくない」と言い出したら=私の体験から子どもが学校に行きたくないと言い出したら、原因探しをするよりも、まずは子どもの話をじっくり聴いてあげてください。問い詰めたり責めたりせずに、お母さんが子どもの心の逃げ場所になってあげてください。学校に行けなくなった息子のために私が意識してやったこと、それは「息子の気持ちに添う」ことです。学校に行きたくない原因は人それぞれ。単純なことではありません。逆にしないように注意していたのは、問い詰めたり、攻め立てたりすること。子どもが学校へ行かないと親も焦りますが、そこは我慢。子どもは家庭という絶対安心できる場から、ミリ単位で成長を始めるのです。親にできることは、子どもを信じて見守ること。何があっても親だけは味方だということを、心の底からわかってもらうこと。まずはそれが大切です。そしてもちろん、子どもを支える保護者にも支えが必要です。保護者の支えになるもの、それはプロの指導です。経験豊富なプロは、子どもだけではなく、保護者の心も支えてくれます。学校のスクールカウンセラーでもよいですし、信頼できる心療内科を探してもよいです。親が「この人は本当に信頼できる」というプロを探してください。「家庭の問題だから」と抱え込まず、適切にプロの助けを借りながら、子どもの成長を見守るのがベストだと、私は考えます。
2016年04月13日海外旅行というよりも、その土地で生活をしている感覚で休暇を過ごす人が増えているようです。滞在中は語学学校に通ったり、ローカルのような生活を体験したりできる親子留学で、プチ海外生活を楽しんでみませんか?■旅行とはひと味違う、海外生活を味わえる親子留学とは旅行でリゾートや観光に行くよりも、何かのきっかけづくりや、普通ではできない経験をしてみたい。そんな方にオススメするのが、「親子留学」というスタイルです。たとえば、親は語学学校や各種専門学校といったスクールに通い、子どもは年齢に応じてチャイルドケアや幼稚園、小学校への体験入学をするというように、親子で海外の生活や文化を学ぶ――それが親子留学です。期間は約1週間~。現地での滞在も、ホテルではなくホームステイやサービスト・アパートメント(簡易キッチンや洗濯機などがついている宿泊施設)を利用し、ローカル目線で生活をすることで、普通の旅行では得られない体験や思い出ができます。■親子留学におすすめの国は? 選び方のポイント1週間の親子留学を予定している場合、「時差が少ない」「フライトが短い」の両方、あるいは少なくともどちらかに絞ったほうがよいでしょう。語学留学で人気のある渡航先は、オーストラリア、ニュージランド、ハワイ、カナダなどですが、時差のことを考えると、もう少し候補が限られるかもしれません。また、比較的安く気軽に行けるアジア圏も注目されています。アジア圏ではフィリピン、マレーシアなどがおすすめです。留学先を選ぶ上で注意したいのが治安です。海外では日本よりも安全な国は、なかなかありません。留学エージェントなどを通じて手配する場合でも、自分で現地の情報などを事前に収集しましょう。公共交通機関が整っていない滞在先にでは、自分で車を運転しなければならない場合もあるので、そうしたことも考慮に入れておきましょう。 ■旅行会社の親子留学プログラム、留学エージェントを頼ろう海外在住の経験があったり、何度かその土地に旅行経験があったりする一部の人を除き、ほとんどの場合、親子留学をする際は、旅行会社の親子留学プログラムを利用する、もしくは留学エージェントに手配を依頼することをおすすめします。通常の旅行とは異なることが多いので、どこまで対応してもらえるのか、現地のフォロー体制はどうなっているのかなどを事前にしっかりと確認しておきましょう。なお、主な費用の内訳は、渡航費、現地滞在費、スクール受講料、チャイルドケアや体験入学費用、生活費などです。単純に金額だけを見るのではなく、さきほども言ったように現地でのフォロー体制も確認しておかないと、結局コストがかかってしまう場合もあります。まずはさまざまプランを見て、おおまかな予算や場所、期間を決め、親子で目的をはっきりさせておくことが大切です。1週間というと短く思えますが、学びを目的として海外を訪れることで、思ったよりも多くの経験を得ることができるものです。知的好奇心を刺激し、リフレッシュもできる親子留学をこの夏検討してみてはいかがでしょう。(逗子マリナ<フォークラス>)
2016年04月12日思春期に子どもから激しい反抗をされると、親は戸惑います。どうしたらよいのかと、うろたえます。脳科学から思春期の反抗について考えてみましょう。「なぜこんなに反抗するの?」という疑問が、すっきりと解消すること間違いなしです!■反抗の激しさは脳が求めていた!思春期は、第2反抗期が訪れるものとされています。ただし、反抗の度合いは人それぞれです。上の子は反抗期の訪れがはっきりしていてすぐわかったけど、下の子は「後から振り返ってみたら、あのときが反抗期だったのかな」という感じだったなど、同じ血を分けた兄弟でも反抗の度合いが違っていたということがあるのです。始まる時期についても同様です。ですから、「ほかの子に比べて反抗がひどすぎるのでは」「反抗期がいつになってもやってこない」といった親の心配は無用です。なぜなら、反抗の度合いや時期については、その子の脳が決定していることであり、脳は子どもによってみんな違うからです。親が心配してもどうにもなりません。反抗期が過ぎ去るのを、あるいはやってくるのを待つしかありません。親に「イヤだ」と反抗することをきっかけとして、前頭前野(※)は働き始めます。でも、前頭前野が働くのにどれだけ強い刺激、つまり反抗が必要なのかは、脳によって違います。逆に考えてみれば、反抗が強いということは、それだけ強い刺激を脳が求めているからにほかなりません。脳が求めた刺激が反抗というかたちで出ているなら、脳は正常に発達しているのです。反抗を続けていくうちに、言葉や態度による反抗をしなくても前頭前野が働いて、自分の力で何でもできるようになります。自分がそんな力を得たと脳が判断したとき、反抗期は終わります。なんでもそうですが、習得するには反復練習が必要です。脳が学習するにも、繰り返しが絶対に必要なのです。子どもの反抗は、脳が学習を終えるまで続きます。その終わりの時期も人によって違っていて、大学生でも、まだ反抗期にいると感じられる人もたくさんいます。(※)前頭前野とは、大脳の前頭葉の中に存在する領域で、「記憶」「思考」「創造性」「感情コントロール」などを、つかさどる脳内の最高中枢です。人間と他の動物の脳を比較した場合、大きく違うのが前頭前野で、人間の脳の部位でもっとも発達している部分です。従って、頭の良い人、発想が豊かな人、新しい物を造り出す人などは、前頭前野が発達していると考えられています。■長い反抗期、親が乗り越えるにはわが子への信頼と心の余裕が必要子どもの反抗は、脳が成長のために求めている刺激なのだ、それほど子どもの脳は成長してきているということなのだ、とわかってはいても、反抗期の子どもに毎日接していると本当に大変です。「ご飯できたよ」と声をかければ「食べない」と返される。「出かけるの?」と尋ねれば「ほっといてよ」と言われる…。まったく会話になりません。友だちとの電話中に親が通りかかれば、すっとその場からいなくなってしまう。これでは子どもが考えていることも、今置かれている状況もわかりません。そのような時親は、不安でいてもたってもいられなくなるのです。そんなとき、親はどうすればよいのでしょうか? 答えは、今まで育んできたはずの子どもとの信頼関係を信じて、ひたすら今のわが子を認めることです。何を考えているの、何をしているのと迫りたい気持ちを我慢することです。わが子を信用していればこそ、心の余裕が持てて、今の子どもの姿を受け入れられるのです。果てしなく続くように思われる思春期ですが、わが子を信じていれば、きっと乗り越えられるはずです。
2016年04月09日「怒る」ことと「叱る」ことは、まったく違います。子どもは怒られても、何について怒られているのか、実はわかっていません。どうしたら子どもにわかってもらえるでしょうか? 感情に任せることのない、上手な叱り方について考えていきましょう。■子どもを怒っていますか? 叱っていますか?(A)「うちの子ったら、何度言っても同じことを繰り返すし、言うことをぜんぜん聞いてくれない」。そんなママはもう、イライラは頂点に達して、大声で怒鳴りつけるばかり。スーパーでも、公園でも。そういった光景を昔から見かけることがあります。(B)いつも元気な子がしょんぼりしてうなだれていたり、はしゃいでいた子が急に何かを思い出したように神妙な態度をしてみたり。よくよく事情を聞いてみると、お母さんに叱られた…と。この違いは大きいですよね。(A)のお母さんは怒っています。(B)の子どもは叱られました。では、(A)の子どもはどうでしょうか?小さな子なら泣き叫んでしまいますし、ある程度成長し、怒られることに慣れている子なら、嵐が通り過ぎるのを待つように、黙って下を向いていたり。(B)のお母さんはどうでしょう?恐らく、けっして大声を上げることなく子どもに反省を促し、二度と間違ったことを繰り返さないようにしっかりと言い聞かせたのではないでしょうか。■怒っても子どもの心には響かない子どもは親の感情にとても敏感です。特に接触する時間、一緒に過ごす時間が長い母親に対して、その傾向が強くなります。小さな子ほど母親への依存が強いですし、その顔色をうかがって、感情を推し量る知恵も備わってきます。母親が感情をむき出しにして怒った場合、子どもは「自分が怒られている」ことよりも「母親が怒っている」ことを認識します。そうなると、なぜ怒られているのかがわからなくなってしまうのです。人は、強い怒りの感情を向けられると、パニック状態に陥ってしまいます。耳には届いていても、その言葉をなかなか理解することできません。子どもが怒られて泣くのは、怒られることが不快か、大きな声に驚いたか、怒りの矛先から逃避するかのどれかです。「怒り」を「暴力」に置き換えてみれば明らかです。しつけと称して子どもに手をあげる人がいますが、論外です。子どもは殴られたことで理解するのではありません。理解はしていないけれども、殴られたくないから言うことに従っているだけなのです。■叱っていることを理解させる叱る場合は、子どもに「どこが間違っているのか」をきちんと理解させましょう。そのとき、母も子もお互いに冷静でなければなりません。真っ直ぐに向き合って、きちんと話をするという場を設定しましょう。できれば声を低めにして、なるべくゆっくり話してみてください。そのほうが、いつもと違う状況であることを子どもが察しやすくなります。そして、しっかり話を聞こうとします。そのような状態になってから、何がいけないのか、何が間違っているのかをわかりやすく、かみ砕いた平易な言葉を使い、ゆっくりと説明していきます。ときどき質問を交え、確実に理解をしているかどうかを確認してみてください。しっかり理解してくれたと判断すれば、くどくならないように、そこで打ち切ります。ただし、十分な理解をしていないうちに途中で止めるべきではありません。わかるまで粘り強く話していくしかないのです。世の中に完ぺきな親などいません。その子が最初の子(第一子)であれば、あなたは初めて親になったのです。初心者なのですから、間違うことがあって当たり前です。思い通りにならないことなどいくらでもありますが、これから親子ともども学んでいけばよいのです。けっして子どもを怒ってはいけないのではありません。叱ることと混同しないということです。むしろ感情をぶつけ合うからこそ、親子関係が深く築かれていくものでもあるのです。(DENT.たいろう<フォークラス>)
2016年04月09日前編 では、なぜ思春期が社会の道徳意識を教える時期なのかについて、脳の成長のしくみから解説しました。後編では、社会モラルを教えるための具体的な方法を紹介します。■思春期の子どもにはこうやって社会の道徳意識を教えよう!社会的な道徳意識(社会のモラル)を脳に植え込むのにふさわしい時期は、思春期です。でも、これは決してたやすいことではありません。親だけの力では不足と感じることもあるでしょう。どうやったら思春期の子どもに道徳意識を教えられるのか。それをご説明しましょう。これまでのしつけのように、社会的な道徳意識を試行錯誤で身につけさせる?それはいけません!というのも、たとえば「やってみたら誰かにけがをさせちゃった。ごめんなさい。今度からこれはしちゃいけないな」というのは許されませんよね。試行錯誤している間にたくさんの人が傷つけられたり、不幸になったりしてしまいます。思春期の子どもに道徳意識を教えるには、上手に言葉を使って何度も説明するしかありません。つまり、理性に訴える、理屈でわからせるという方法になります。というよりも、その方法以外にありません。前頭前野にとっては、社会的な道徳意識というのは「理性」として入っていくのです。■子どもとの積極的な話し合いをでも、このやり方は、とりわけ日本人にはとっては困ってしまう方法かもしれません。日本の子育てはつい「親が正しい姿を見せればいい、それを見て子どもが育ってくれれば」となってしまいがちです。「親の背を見て」的なしつけは、日本人は得意な傾向にありますが、面と向かって子どもとうまく話し合うのは苦手な傾向にあるようです(むろん家庭によっていろいろですが)。子どもとしっかり向き合って、話し合いが持てない親たちは、学校で教えてくれないかな、なんて考えてしまうこともあります。でも、親がやるべきしつけを、ほかの人に転化してしまって、果たして効果が出るものなのでしょうか?なんとなく、でやってしまっていては、親の意思が子どもに伝わらず、子どもの脳に社会的な道徳意識を定着することはできません。タイミングを見て何度でも、真面目に、この世の道徳について語りかけてください。そのためには、子どもとの話し合いの場を、日常的に作っていくことが必要でしょう。そしてもうひとつ大切なポイントがあります。思春期の子どもにこういった話を真剣に語るのは、家族において誰が適任か? それを考えておくことです。道徳意識を教えるのは、子どもにとってもっとも身近な社会人が適任です。家庭によってはそれが父親のこともあるでしょうし、母親のほうがふさわしいこともあるでしょう。いずれにせよ、親が逃げずに子どもとしっかり向き合って、話し合う場を作ること、それが重要です。
2016年04月08日思春期の子どもの扱いは難しく、これまでのようなしつけがしづらくなります。ですから、子どもに何をどう教えたらよいかわからなくなって、何となく子どもとの関係が薄くなってしまいがちですね。でも、この時期だからこそ教えるのに適したこともあります。それは、「社会における道徳意識(モラル)」です。どういうことなのか少し詳しく見ていきましょう。■なぜ思春期は社会の道徳意識を教える時期なの?12歳~13歳頃といえば、思春期真っただ中。この時期には、前頭前野がすごいスピードで発達していきます。この頃になると、前頭前野にある細胞が突然大きくなるのです。前頭前野とは、大脳の前頭葉の中に存在する領域で、「記憶」「思考」「創造性」「感情コントロール」などをつかさどる脳内の最高中枢です。人間とほかの動物の脳を比較した場合、大きく違うのが前頭前野で、人間の脳の部位でもっとも発達している部分です。従って、頭の良い人、発想が豊かな人、新しい物を造り出す人などは、前頭前野が発達していると考えられています。前頭前野はこの時期になると、何もしなくても成長するのかというと、それは違います。前頭前野の急成長をもたらすきっかけ、それは「反抗」です。反抗期は「これから前頭前野が活性化するよ、大人になるための訓練が始まるよ」という合図でもあるのです。大人が言うことに対して反発をします。するとその次には、「ではどうしたらよいのか」ということを自分で考えなければならなくなります。このことこそが、前頭前野にとっての大きな刺激となるのです。脳の成長は、反抗なしには始まらないのです。前頭前野が急成長するということは、脳が何かを会得しやすくなっているということです。そんな脳の成長時期であり、子どもから大人へとポジションが移っていく時期だからこそ、社会における道徳意識(社会のモラル)をしっかりと脳に叩き込むべきなのです。そしてこの時期を逃してしまったら、もう脳に道徳意識が定着することはないとも考えられています。■「子どもだから」では済まされない年齢思春期以前は、子どもは何と言っても「子ども」です。仕方ないね、で済まされてきたこともあったかもしれません。しかし、これからは「子どもだからね」とは思ってもらえない年齢になっていきます。仮に中学卒業後、すぐに仕事についたとすれば、もう自分1人の力で、社会において立ち回っていかなければなりません。そのために必ず必要になるのが、社会的な道徳意識です。だから、思春期の子どもには、親が責任を持って道徳意識を定着させてやらなければならないのです。時期からしても、これが最後のしつけになるのではないでしょうか。ぜひきちんと行ってあげましょう。< 後編 に続く>
2016年04月08日前編 では、脳が子どもから大人へと成長していく段階について説明しました。後編では、子どもが思春期の反抗期を迎えるとき、親としてどのような心構えをしておけばよいのかについて解説します。■思春期は親としての責任から解放される兆しあらゆることに反抗し、親も何かと悩む思春期ですが、この思春期にも必ず終わりが来ます。そうなってみると初めてわかることですが、思春期を通り過ぎたわが子は、もう「子ども」ではありません。ですから、思春期の終わりとともに子育てが終わると言ってもよいでしょう。とはいえ、日本では成人するのは20歳ですし、成人した後もしばらくは親元で学生を続けていることが多いでしょう。そうなると、実質は、子どもが自分の力でお金を稼げるようになるまでは、親は責任を持たなければなりません。でも、わが子がどんどん成長・発達していくに伴って、子ども自身が自分の行動に責任を持たなければならなくなってくるはずです。それと比例するように、親としての責任を少しずつ、子ども側へ移行していかなければなりません。言い換えてみれば、子どもの脳が大人になればなるほど、子育ての責任がなくなってくるということです。そう考えてみたら、思春期は親としての責任の終わりが近づいている時期とも言えますね。思春期真っただ中のわが子を見て思い悩むなんて、もうしなくていいのです! むしろ「もうすぐこの責任から解放されるのね!」と喜んでもいいくらいです。昔はよく、初潮を迎えた女の子のために赤飯を作り、みんなでお祝いをしたと言います。脳が最後の転機を迎える思春期は、まさに初潮を祝うように喜びたいものなのです。それほど、脳にとっては大切で、大きな転機だと言えます。思春期の反抗は、それまでの変化とは違って、夫婦ともにつらく感じることが多いでしょう。そんなとき、ぜひ思い出してほしいのです。「思春期が来るということは、もう子育てのゴールが近づいているということなのだ」と。きっと「思春期、反抗期が来てよかったね」という気持ちになれることでしょう。■子どもが思春期を迎える前に、見直すべきは夫婦関係余談ですが、この思春期の時期に夫婦間でトラブルが起こることも多いようです。「これまでお前は何をしてきたんだ!」と夫が妻を責めるわけですね。こうならないようにするためには、子どもが生まれたと同時に、夫を父親へと育てていく妻の努力が必要なのです。思春期にあるこのような夫婦のトラブルは、これまでの夫に対する教育がうまくいかなかったということを表しているのです。思春期には、子育てに関して夫婦がどうやって力を合わせていったかを問われる時期とも言えますね。世の中のお母さんたちにはぜひ、思春期の厳しいときになって夫に心外な言葉を言われないよう、子どもが幼いうちから、父親育てを頑張っていってもらいたいと思います。
2016年04月07日親の仕事はいつでも大変ですが、もっとも試練と感じられるのが思春期の反抗の時期でしょう。今までは素直だったのに、この頃は親のいうことになんでも反抗して、扱いづらい…そんな悩みを誰もが抱えています。ちょっと視点を変えて、脳科学から思春期に訪れる反抗を考えてみませんか? 理屈がわかれば、子どもの反抗に悩むことがなくなり、むしろ喜べるようになるかもしれません。■大人になるまでに脳は3回の転機を迎える子どもの脳は、生まれてからずっと休むことなく、大人の脳へと成長していきます。でも、ただ少しずつ成長していくだけでなく、周りから見ても「おや? 今までと違うぞ」と感じるような転機が訪れるときがあります。脳の転機と言われる時期は、以下の通りです。・反抗期と呼ばれる2歳頃・何となく不安定になる9歳~10歳頃・第2反抗期と呼ばれる思春期これら3回の転機を経て、脳は大人になるのです。つまり、脳の成長は一定速度ではなく、3回の転機には急激で大きな変化が現れるのです。脳の成長は、カニの脱皮に似ていると言われることがあります。カニは大きくなるために脱皮を繰り返しますが、脱皮中や脱皮したばかりのカニの味はあまりおいしくない、ということをご存じですか?カニは甲羅のまま大きく成長するのではなく、成長するときに脱皮して一回り大きくなります。従って、脱皮中や脱皮したばかりのときは、甲羅だけサイズが大きくなっているため、中身はスカスカ状態で、あまりおいしくないのです。子どもの脳の転機はちょうどこの脱皮に似ていて、脳が転機の真っただ中、あるいはその直後であるとき、子どもは大人にとって、ちょっと扱いづらくなるのです。■脳の転機を経て、心と体は大人へと近づいていくとはいっても、この転機は、脳にとっては必要不可欠です。カニの身がおいしくなるために脱皮が必要なように、脳にとっても転機は必要で、それを経て子どもの心と体は大人へと近づいていくのです。2歳の頃に起こる反抗期は、ほかの人と違う「自分」を自覚することができた証です。9~10歳頃に起こる不安定さは、脳が大人の脳へと移行していることを表しています。そして、思春期と同時に起こる反抗期は、心も体も大人になる時期になったことを意味しているのです。親にとってもそうですが、子どもにしてみてもこの3回の転機は、なかなかにハードなものです。それでも子どもは全力でそれにぶつかって、確実に大人に近づいていくのです。反抗期を含めた3回の脳の転機には子どもが扱いづらくなりがちで、親としてはイライラすることもあるでしょう。しかし、脳も体も心も成長しているシグナルであり、成長という視点で見ると喜ばしいことと言えます。< 後編 へ続く>
2016年04月07日■子どもをきちんと叱れない親が増えている最近、子どもをきちんと叱れない親が増えています。たとえば、危ない場所で、危ない遊びをして、ケガをしそうなとき。たとえば、ほかのお友だちをケガさせてしまいそうなとき。あるいは、幼稚園や保育園、小学校の職員室に、誰もいないときに、子どもがこっそり入ったとき…。このようなどう見ても「ダメ」なことを子どもがしているときでも、子どもに「ダメ!」と禁止することができない親が増えているのです。なぜ、このようなことが起きているのでしょうか。それは「子どもとの関係をこじらせたくない」と考える親が増えているからです。「ダメ!」「それをしてはいけません!」と厳しく禁止すると、子どもによっては、「どうして? いいじゃないか!」「だって、したいんだもん」などと反発して、親の言うことを聞きません。すると、親としては、ますます厳しく叱らざるを得なくなります。それに対して子どもは反発する…。こうやって、子どもの扱いがますます難しくなってしまうのをおそれます。そして、「友だち親子」のような仲良し関係でいられるために、子どもの行動を厳しく禁止することのできない親が増えているのです。■禁止すべきは子どもの「行動」また、子どもを厳しく叱ることの弊害を論じるメディアも増えています。たしかに、子どもに対して「おまえは、だめな子だね」「まったく、何度言ってもわからないんだから」「バカなんじゃないの」などと親から否定的な発言をされ続けると、「そうか、ぼくはダメな子なんだ」と、自己否定感を募らせていく子どももいます。そして「どうせぼくは、何をやっても、無駄なんだ…」と、意欲を失ってしまう子どももいます。電車などで、子どもをヒステリックなまでに、大声できびしく叱り飛ばす親の姿を見ることもあります。「ほんと、あんたはどうしてまたそんなことするの!バッカじゃないのぉ!」と、大声で怒鳴るのです。これは叱っているというよりも、「プチ虐待」と言ってもいいと思います。子どもの心に傷がつき、前向きに生きる意欲を失います。その結果、大事なときにも頑張ることのできない子どもになってしまうのです。では、子どもに「ダメ!」と言ってはダメなのでしょうか。私の答えは、ノーです。つまり、子どもが禁止すべき行動をとったときに、親は「ダメ!」と言って、行動を押さえるべきなのです。これをしないと、自分をコントロールできない子どもになってしまいます。重要なのは、「行動の禁止」と「人格の禁止」を区別することです。「人格の禁止」は×です。「あなたは、まったくダメな子ね!もう!」などと厳しく叱り続けると、子どもの中に「ぼくはどうせダメな子なんだ」と、自己否定感を募らせ、生きる意欲を奪ってしまいます。一方、「行動の禁止」は〇です。してはいけない行動を抑制するしつけは重要です。このとき、大切なポイントは、「人格を否定された」と子どもが感じないように、穏やかに、説明的に「なぜ、〇〇をしてはだめなのか」を理性的に子どもに、それがダメな理由が理解できるように、説明しながら、語りかけることです。「だめでしょ、それは! あんたはまったくもう!」などと、大声で怒鳴りながら叱っていると、親の側は「行動の禁止」をしているつもりでも、子どもの側からすると「人格を否定された」と感じて、生きる意欲を奪うことになってしまうのです。■いい子育て=手間ひまかけた子育てここまで、読まれて「なんだか。たいへんだな」「説明するって大変なんだよな。面倒くさい」と思った方もいることと思います。そうです。いい子育てには「手間ひまかける」ことがいちばん大切なのです。子どもと「友だち親子」になって、ダメなことも「ダメ」と言わない子育ては省エネ子育て。逆に、いつも「あんたはダメな子ね!」と感情的に怒鳴り続けるのも、省エネ子育て。一見、真逆でも、どちらも「手抜きの子育て」なのです。子どもに、なぜそれがダメなのかをわかるように、ていねいに説明するのは、かなり骨の折れる作業です。時間もエネルギーもかかります。しかも、「人格の否定」と伝わらないように、穏やかに、かつ、真剣に、話してわかってもらう必要があります。もう一度言います。よい子育ては「手間ひまかけた子育て」です。
2016年04月06日小学3年生~4年生というと、年齢にすれば9歳~10歳になりますね。実はこの頃の子どもたちの脳は、あるポイント地点に到達しています。この時期を境として、その前と後とでは、脳が少し違ってくるのです。いったいどう違ってくるというのでしょうか。それを知ると、わが子への働きかけをどうしていったらよいのかが、よくわかるのです。■9歳~10歳で大人の脳へと切り替わる!生まれてから3歳くらいまでは、脳の発達の度合いはとても急激です。そして3歳過ぎになるとややゆっくりとした速度で脳は発達していきます。そのまま行くのかというとそうではなく、子どもの脳は9~10歳ころにもう一度変化をみせるのです。学校での実例から見ても、9~10歳ころ、つまり小学3~4年生の頃というのは、子どもの学習という視点から見ても変化の兆しが表れる時期です。また、発達心理学の立場からは、このころを「9歳半の節」と名付けています。つまり、この頃の子どもたちはそれまでとはどこか違った様子を見せるようになるというのです。この時期の子どもたちの脳は、大人の脳に移行していく時期を迎えているのです。■子どもの脳と大人の脳の違いでは、大人の脳と子どもの脳というのは、どう違うのでしょうか。そもそも脳にとってのエネルギーは、血液から来ています。脳を使うと血液循環のスピードが速まり、それに伴ってエネルギーもたくさん脳に取り込めるのです。エネルギーを脳に取り込むには、酸素が必要です。大人の場合、血液循環のスピードが上がったとき、それに準じて酸素もたくさん取り入れられるようになるかというと、実はそうではないのです。ですから、エネルギーが脳に取り入れられる量が一定に決まっているということになります。なぜこんな仕組みになっているのかは定かではありませんが、突然血液量が増えてしまうことによって血管に圧力がかかり、詰まりを生じたり切れたりしないようになっているとも考えられています。しかし、この仕組みは、子どもの脳には当てはまりません。子どもの場合は、血液循環のスピードが上がるに従って、取り入れられる酸素の量も増えていきます。ということはつまり、脳を使えば使うほど、脳に必要なエネルギーをどれだけでも得ることができるということになります。子どもの脳はこのような素晴らしい仕組みになっています。ですから、子どもの脳である時は、どんどんと脳を鍛える学習(漢字の書き取り、音読、計算問題など)をするのにもっともふさわしい時期と言えるのです。では、いつまでが子どもの脳と言えるのか。それがズバリ、9歳~10歳ころ、学年で言えば小学校3~4年生の頃なのです。移行の時期には男女差があり、女子は男子より6ヶ月ほど遅れてやってきます。■9歳~10歳くらいの子どもの変化に対して心の余裕を持つ方法小学校3年生~4年生のころになると、脳はもう子どもではありません。大人の脳へと移行していくのです。まだまだ子どもに思える小学校3年生~4年生ですが、脳は確実に大人へと切り替わっていくのですね。さて、この時期の子どもたちを見ていると、それまでとはちょっと違うように見えることがあります。「何だか最近、生意気な口を利くようになってきた」「どうも落ち着きがないのよね」などと、どことなく漂う不安定感に気づかれる方もいるでしょう。それはもしかしたら、大人の脳へと移行していくことから来るのかもしれません。反抗期を迎えた子どもも、今までとはちょっと違った様子を見せますが、それとこの時期の変化とは、少し異なっています。いつも一番近くで子どものことをよく見ている親であれば、きっとその違いがわかることでしょう。さあ、ここまで読んでいただければ、あなたの子どもが小学校3年生~4年生になり、今までとはちょっと違った雰囲気を見せ始めた時、「大人の脳へと変化しているのだ、確実に成長しているんだな」と、少し余裕を持って受け止めてあげられるでしょう。大人の脳へと順調に移行していけば、脳の働きはより潤滑なものとなり、ついに思春期へと向かっていくのです。
2016年04月05日■目下の悩みは子どもの「食べムラ」と「ながら食べ」子どもとの食事の時間、どのように過ごしていますか?私の娘は、先日2歳になりました。おしゃべりも上手になり、ごはんも自分で食べてくれて、赤ちゃんからすっかり「子ども」という感じになってきましたが、食事の悩みは尽きないものですね。私の目下の悩みは、「食べムラ」と、「食べながらテレビを見たがってしまう」こと。娘は、主食のごはんだけ食べて、おかずを食べないことが多々あります。しかし、日によってはごはんもおかずもしっかり食べてくれることもあり、食べる量や内容にムラがあるのが悩みです。毎食、試行錯誤しながら食事を作っています。そして、その食べムラともつながってくるのが、「ながら食べ」です。食事が始まってすぐは、調子良くパクパクしているのですが、ごはんを食べて終えてしまうと、「テレビ見たい~」と、グズることもしばしば。「テレビは食べ終わってからね~」と言い聞かせてもダメなときは、根負けしてテレビを見ながら食べさせてしまうこともありますます。おそらく、同じような悩みを抱えているママさんは決して少なくないでしょう。そこで今回は、私自身の反省+「少しずつでも良い食習慣を子どもに身につけさせていきたい」という目標の意味を込めて、「心と体のためになる食べ方」についてお伝えします。■「何を食べるか」と同じくらい「どのように食べるか」は重要食事では「何を食べるか」という栄養面と同じくらい、「どのように食べるか」という、食事の仕方も大切です。これは、子どもだけでなく、大人にとっても言えること。「人は脳で食べている」とも言われます。 食べ物を体に取り入れるの、食事の第1段階。そこから、咀嚼して、胃や腸といった消化器官を働かせ、体にとって本当の栄養になるように、しっかり消化吸収していかなくてはなりません。このときに大切なのが、「きちんと意識して食べる」こと。そして、「楽しく、おいしく、豊かな気持ちで食べる」ことです。食べることに意識を集中させると、唾液が分泌されて消化も良くなります。テレビを見たり、スマートフォンをいじったり、考え事をしたりしながら食べると、十分に唾液が分泌されません。また、こうした「ながら食べ」は、噛む回数も少なくなりがちです。しっかり食事に集中して、よく噛んで食べることで、唾液も分泌され、脳も消化モードに入って、食べ物をきちんと栄養にすることができます。■嫌いな食べ物を無理に食べても身にならないさらに、「おいしいなぁ」とか「ごはんの時間が楽しいなぁ」といった、リラックスした豊かな気持ちで食事をすることもポイントです。楽しい気持ちでおいしく食べると、体の消化機能もしっかり働かせることができますし、食事による満足感も得られます。たとえば、いくら「健康に良い」と言われる食べ物でも、食べる本人が好きでなければ、あまり唾液が分泌されず、消化不良を起こしてしまうそうです。無理に食べても、脳と体がしっかり反応して消化し、栄養にするということができないのですね。もちろん、極端な偏食はよくありません。しかし、まだまだ味覚や食経験が発達中の子どものうちは、嫌いなものを無理強いし過ぎたり、食べないことを叱ったりするよりも、食べられたときに褒めてあげたり、パパやママがおいししそうに食べる姿を見せたりして、苦手な食材にも興味を持たせてあげることのほうが大切です。「いろいろな食べ物があっておいしそうだな」とか、「食べてみたいな」という気持ちをなくさないよう、「食事は楽しく味わう!」という習慣をつけてあげられたらいいですね。楽しくおいしく、しっかり味わい、食べ物に感謝する。シンプルで当たり前のことですが、それが何よりも、心と体を強くする食事になります。私も、「せっかく作ったのに食べてくれなかったなぁ…」などと、あまり気に病み過ぎず、娘と一緒にモグモグおいしくごはんを食べよう!と、リラックスして食事の時間を楽しんでみようと思います。
2016年04月05日東京では桜の開花が進み、すっかり春。そして新年度ですね! 気がつけば、始まったばかりと思っていた平成28年も、もう4分の1が終わってしまい、子育てにアタフタとしている間に、どんどん時は過ぎていきます。子供も進級の時期を迎え、新しい学年、新しいクラス、大丈夫かしら…と、母親としてもちょっとドキドキのこの季節。でも、無事に新年度が迎えられた人はとても幸せなのかもしれませんね。産休・育休から仕事復帰を希望しても、保育園への入園がかなわず、復帰が遠のいたり、退社せざるを得ない人も少なからずいるということを考えると、つくづく子育てをしながら、自分のキャリアを築いていくことは本当に大変なのだと気づかされます。安倍政権でも、3年前の発足当初から「女性の活躍推進」を大きな政治目標にし、女性の採用率や管理職への登用率などに企業が数値目標を立てるよう進めてきたけれど、女性の立場からすれば、社会にでる以前の問題があり過ぎて「まずそこを何とかしてよ!」と思ってしまいます。そこで、国は「一億総活躍推進」を掲げました。「50年後も人口1億人を維持し、一人ひとりが自ら、家庭で、職場で地域で生きがいを持って、充実した生活を送ることができる社会」と“定義”される「一億総活躍社会」は、女性という枠にとらわれず、もう一歩進めようというものです。そのために、「新三本の矢」を放つというのが、安倍政権の方針。それに沿って、この4月からの平成28年度予算にも、重要な柱の一つとして「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」関連予算が組まれています。その額、合わせると約2兆円! 教育や防衛費が約5兆円であるのと考えると、結構な額。それだけ国も力を入れているということですね。確かに、「一億総活躍社会」は理想的。でも現実とはあまりにかい離していて、少々反発も起きているのは、皆さんもご存じの通りでしょう。とはいえ、それだけ国が力を入れる「一億総活躍社会の実現」のために、具体的にはどのような対策を進めているのか、私たちも知識としてインプットしておきましょう。「アベノミクス新三本の矢」で、直接私たちに関係してくるのは、主に「第二の矢・夢をつむぐ子育て支援」と「第三の矢・安心につながる社会保障」です。目標は「希望出生率1.8の実現」と「介護離職ゼロ」。具体的には下記などの政策があります。・待機児童対策(平成29年度末までに受け皿50万人増)・保育士の確保(待遇の改善等)・教育費の負担軽減(大学生等向け無利子奨学金の充実)・三世代同居の推進(住宅改修等の費用の補助)・介護人材の確保や施設・在宅介護サービスの充実残念ながら、私自身は、これらが“効果バッチリ”の策だとは、実は思っていないのです。その理由を、いくつかの例で挙げてみましょう。実は待機児童問題よりも深刻な高齢者問題まずは、待機児童対策。今、全国で4万人ほどいると言われているけれど、一番多いのが、東京都の8000人弱。一方、待機児童ゼロというのも、11県あるのです。保育園の不足は、大都市部の問題でもあるわけです。同じように、介護施設も特に都市部を中心に不足していますが、高齢化問題は実は待機児童の問題より深刻なんです。というのも、いま、65歳以上の高齢者は3500万人いると言われていますが、そのうち半数は高齢者のみの世帯。さらに、550万人は要介護者で、1割は認知症です。これが、2020年には、85歳以上の高齢者の約半数は認知症になると予測されています。 国が掲げた三世代同居の補助にも疑問点が国は、介護政策の方針として在宅介護の充実を進めていて、保育士同様、介護士の確保のための待遇改善も急がなくてはなりませんが、これだけの高齢者、ことに認知症が増えていく中で、ヘルパーさんを中心に在宅介護で進めるのはかなり難しいこと。かといって、このままの予算や方針では、特に都市部での施設の増加は期待できません。子育ても介護も、東京や都市部への人口集中がもたらした問題の一つでもあるのです。そこで肝入りで打ち出されたのが、「三世代同居」の推進。ところがこれ、三世代同居を要件とはしておらず、玄関、キッチン、トイレ、お風呂のうち2つが2か所以上ある家を木造で新築した場合、補助がでるというものなんです。つまり、比較的広めの家を建てる場合には、誰でもこの補助が使えるので、子育てや介護を家族で支え合うということとは違うものが、あたかも一億総活躍社会実現に効果があるかのように予算計上されることは問題と言わざるを得ません。これらを見てみると、必要とされるところに、きちんと予算が組まれることはとても大事だし、そのために、何を必要としているのかのニーズの吸い上げが、まだまだ足りないのも事実でしょう。そして何より、「一人ひとりが生きがいを持って充実した生活を送ることができる」という一億総活躍社会のためには、国に頼るだけでなく、社会のあらゆる発想の転換が重要です。要介護者にならない努力や働き方や生き方そのものを考え直す、都市部への様々な機能の集中を地方へ分散するなど、今までの発想の延長では解決できないということを、国全体でもう少し理解する必要がありそうです。
2016年03月30日はじめまして、この度ウーマンエキサイトで政治のコラムを担当させていただくことになりました、政治ジャーナリストの細川珠生です。私生活では一児の母として、子育てに悩み、苦しみ、笑いながら毎日を過ごしています。突然ですが「政治」と聞くと、ちょっと戸惑ってしまいますよね。政治のニュースは小耳にははさむけれど、なんだかよくわからない…、なんてついつい縁遠くなってしまっているのではないでしょうか。お金の問題、女性問題、失言でもめてばかりいるし…と、政治の印象って、あんまりよくないですよね。そうはいっても、確か、「国会は国権の最高機関」なんて学生時代に勉強したことを断片的に思い出しては、政治のことがわからないままでいいのかしらとか、突然不安になったりもするでしょう。しかし、子どもを前に「政治のことはよく分からない!」と声を大にしては言うのもちょっと恥ずかしいと感じる人も多いのでは。子どもを育てる環境がどう変化しているのか、政治を通して知っていくことはとても大切です。そういえば、「主権在民」なんていう言葉も習った記憶がありますね。つまり、国会は国権の最高機関ではあるけれど、そこには国民から選ばれた代表者が、国民に代わって議論をし、さまざまなルールや制度をつくっているということ。だから私たち国民がどんな代表者を送り込むのかがとっても大事なんです。特に今年から、選挙権が18歳以上になって、高校では、いわゆる「主権者教育」というものが行われるようになるのに、気がついたら、「ママだけ何にも知らなかった!」なんていうことになったら大変! そうならないためにも少しずつお勉強を重ねていくことをおススメします。この連載では、ママ目線で気になる政治の話題をみなさまにお伝えしていきますね。気が付けば「あなたも政治博士!」となるのを目指して頑張りますので、引き続きこのコラムを読んでいただけたらと思います。育休制度は今後良くなるの?さて、記念すべき第一回目のテーマは、「男性の育休」について。「育休宣言」をした(今となっては“前”となってしまった)国会議員が出てきて、「いよいよ国政も!」風穴が開くことを期待したのも束の間、自身の女性問題で、「男性の育休」「国会議員の育休」ということ自体、すっかり吹っ飛んでしまったかのような感があります。しかし、女性側からは期待大だったのですよね。私は、英国のウイリアム王子が、シャーロット王女の誕生の時に、6週間の育休を取るということで大いに注目をしました。日本で育休というと、何か1年単位の長期間を想定してしまいますが、いえいえ、そんなに長くなくてもいいのです。出産直後に1ヶ月でも良いからお休みをとってくれた方が、出産直後のママには何かとありがたい。初めての子であれば、不安いっぱいの中、長時間眠れないママの大変さをわかってもらえるだろうし、第二子、第三子であれば、上の子たちの育児に大きな助っ人となります。例えば幼稚園や習い事の送迎など、それから買い物にだって行ってもらえます。以前は、実家の母親や、お姑さんがやってくれていたことも、核家族化、出産の高齢化の流れの中では、自分たちで何とかするしかないのに、パパは相変わらず、残業や飲み会三昧では、ママとしては、「いくら仕事だから」と言われてもやり切れない思いがフツフツとつのるものです。ちなみに、現在、日本の男性の育休取得率は2.8%(厚労省調べ、2012年10月~2013年9月までの一年間)。女性の86.6%に比べるとあまりの少なさです。 そこで、政府も「女性の活躍」を掲げる以上、男性の育休取得率向上に本腰を入れています。以前からあった「育児休業・介護休業法」で、ママが専業主婦でも取得できるようになり、男性が産後8週以内に取得しても、再度取得することができるようにするとか(合算して1年以内)、中小零細企業では、代替従業員の確保などで経済的負担が大きかったことから、男性社員が育休を取った場合、最大で120万円の助成を行うなど、4月から雇用保険法施行規則の変更を行う予定です。「育休議員」で注目された国会議員の育児休業については、現在は制度としては男女共にありません。あるのは女性議員の産休制度だけ。産休明けには、委員会や本会議などその都度、欠席届を出さなければなりません。国会議員は、朝の8時ごろからの部会に始まり、夜の会合をはしごするなど、育児との両立はほとんど不可能といってもいい「勤務実態」があります。「女性の活躍」のためには、国会だけでなく、社会全体の長時間労働の是正なども行わない限り、なかなか難しいのではないかと思います。しかし、良い夫婦関係を築くためにも、男性も取得を工夫しながら思い切って「育休」にチャレンジしてほしいですね。
2016年03月17日今やメディアに引っ張りダコの思想家・内田樹さん。『街場の教育論』(ミシマ社)や『14歳の子を持つ親たちへ』(名越康文との共著/新潮新書)など、家族や教育に関する著作も数多く世に送り出しています。一緒に過ごす家族との問題に、日々頭を悩ませている人も多いはず。家族の人間関係は、距離が近いだけになかなか客観的に考えられませんよね。どうすれば良好な家族関係が築けるのでしょう? 内田樹氏の主張をわかりやすく紹介します。何よりもまず、「儀礼」が大事みなさんは家族において最も大事なことは何だと思いますか?「愛情」や「理解」?あるいは「価値観」?内田樹氏は、家族においてもっとも大事なことは「儀礼」だといいます。家族の条件というのは家族の儀礼を守ること、それだけである。それがクリアーできていれば、もうオッケーである。朝起きたら「おはようございます」と言い、誰かが出かけるときは「いってきます」「いってらっしゃい」と言い、誰かが帰ってきたら「ただいま」「おかえりなさい」と言い、ご飯を食べるときは「いただきます」「ごちそうさま」と言い、寝るときは「おやすみなさい」と言いかわす。家族の儀礼のそれが全部である。それができれば愛も理解も要らない。私はそういう意見である。出典: 内田樹の研究室 愛情と思いやりがあふれる家族は都市伝説では、なぜ内田樹は「儀礼」こそが大事なことだと主張するのでしょうか。それは、内田氏の以下の発言に表れています。「愛だの理解だの共感だの思いやりだのとよけいな条件を加算するから家族を維持することが困難になってしまったのである」出典: 内田樹の研究室 家族みんなが全員への愛情に溢れ、その胸中の隅々まで理解しているような家族というのは一種の理想に過ぎなく、それを追い求めるがゆえに不満が生まれるという現状があると、内田氏は言っているのです。家族みんながお互いへの愛情や思いやりにあふれている――そのような家族は理想でしかなく、なかなか存在しうるものではありません。それは、ある種の都市伝説のようなものです。フィクションに近いと言っても過言ではありません。家族というものに「愛情」や「理解」や「価値観の一致」を条件付けるのは、あまりに要求が高すぎると内田樹氏はいうのです。高すぎる理想は、自分の首を絞めることになります。「家族」をもっと気楽に考えよう内田樹の指摘はつまり、「家族については、肩肘張らずにもっと気楽に考えよう」ということだと思います。家族同士の愛情が薄いと感じたり、理解が足らないと感じたりすることがあっても、挨拶などの「儀礼」さえきちんとできていれば、それはとりあえず「よい家族」なのだと思ってよいのではないでしょうか。高い理想を追うがゆえに不満顔で生活する人と、現状にある程度満足し、ニコニコして暮らす人。どちらが家族によい影響を与えているかを考えてみましょう。それが内田樹の言いたいことなのだと思います。(サカマキ貝<フォークラス>)
2016年03月14日子育てにおいて、「ほめることが大切!」とわかっているものの、実際にどんなことで、どうやってほめたらいいのか、どんな言葉を使ってほめたらいいのか、と迷ってしまうことはありませんか? そんなママたちに「ほめる達人=ほめ達」の、ピンチをチャンスに変えるほめ方を紹介します。子育てにはもちろん、夫婦間や職場でも活かせる「ほめるコツ」をこの機会に身につけてみませんか?ほめる達人=価値を発見する達人つい最近の私の経験です。唐揚げをつくったところ、いつもの味付けより薄くなってしまいました。「今日の味付けは失敗しちゃった…」と息子にぼやくと、息子は「それってヘルシーってことだよ!!」と言ってくれたのです。私は失敗した気持ちで落ち込んでいたのですが、息子のこのひとことで一瞬にして嬉しい気持ちになりました。息子は「ほめる達人=ほめ達」だったのです。最近、テレビでよく登場する「一般社団法人 日本ほめる達人協会」。私は、初めてこの協会の名前を聞いたとき、「こんな面白い協会があるんだな~」と驚いたものです。このほめる達人協会は、ただ「ほめる」のではなく、あらゆるものから価値を発見できる「ほめる達人」を輩出することを目的とし、その先に笑顔あふれる社会づくりを目指しているのだそう。私たち人間は、人や物などに接したとき、プラスよりマイナスな面についつい目がいってしまいます。しかし、ほめる達人は、どんなマイナスな面もすべてプラスに変換する達人です。ほめる達人式ほめるコツとはほめる達人協会には、「ほめ達検定」というものがあります。ほめるコツをその検定試験から読み解いてみると…まず、自分が言われて嬉しい言葉を思いつく限り思い浮かべてみてください。このことで、どんなことを言われると嬉しいのかが明確になります。そして、自分が言われて嬉しい言葉を、誰かに言えているかを考えてみます。そして、自分が言われて嬉しい言葉を、誰かに言ってみましょう。 そして一番重要な価値を発見する方法とは…「気が弱い」「落ち着きがない」「短気」などのマイナスな言葉をプラスに言い換えてみます。想像力や想像力を働かせてみましょう。「気が弱い」は、やさしい・思いやりがあるに。「落ち着きがない」は、元気がいい・行動力があるに。「短気」は、情熱的・まっすぐに。 ついつい目につく相手の短所も、その裏側には長所が隠されています。毎日の生活の中で、「ダメ」と注意してしまう子どもの性格や行動も、その裏側には子どもの良さがしっかりとあるのです。そんな良さのほうに目を向け、言葉にしてほめる。そのことで相手の笑顔に出逢えることが多くなり、同時に自分も笑顔になります。ほめた人もほめられた人も元気になったり、嬉しくなったりします。なかなかマイナスな面をプラスに変換できないという場合は、「すごい」「さすが」「すばらしい」という言葉を意識して使ってみましょう。この3つの言葉は、誰でも笑顔にしてくれます。「頑張ってね」より「頑張ってるね」子どもに、「頑張ってね」と伝えていませんか? 私も、よく「頑張ってね」と子どもに声をかけていました。でも、よく考えてみると、子どもたちはいつも頑張っています。それに、子どもは自分の親に一番認めてほしいという気持ちを持っています。そこで、「頑張ってね」ではなく、「頑張ってるね」という言葉に変えて、「あなたが頑張っていること、努力していることを知っているよ」というメッセージにして伝えてあげましょう。「頑張ってね」と応援されるより、「頑張ってるね」と言われることで自分が認められていると実感し、さらなる大きな力へとつながります。言葉ひとつで、相手が受け取る感情も大きく変わります。そしてプラスの言葉を使うことで、はかり知れないパワーが生まれてくるのです。言った自分も、言われた相手も嬉しくなる言葉、マイナスをプラスに変える言葉をみなさんもたくさん使って、子育てにおいても、ママ自身の毎日も、嬉しい時間を増やしてくださいね。(谷本まゆみ<フォークラス>)
2016年03月03日子育てと仕事の両立、夫との関係など、常にストレスフルな状況下にいるママたち。「なぜ自分はこんなに頑張らなきゃいけないの?」と、日々の自分の努力に、むなしさを感じてしまうときもありますよね。そんなときはちょっと立ち止まって、哲学者や思想家たちの名言、考え方に触れてみましょう。きっと毎日の自分の「頑張り」に意味を見出すことができるはずです。今回は、思想家であり人気作家・吉本ばななの父である、吉本隆明の言葉に学びます。思想家の吉本隆明に学ぶ『キッチン』『TUGUMI』などの作品でお馴染みの人気作家・吉本ばななの父親でもある思想家の吉本隆明(1924~2012)は生前、さまざまなことを論じていました。吉本は「子育て」や「家族」にまつわる著作も数多く残しています。今回取り上げるのは、1988年に行われた講演会の中での言葉です。吉本はその講演で、「乳児期の子育てはなぜ重要か」について話しています。昼も夜もなく常に世話をしなければならない乳児期の子ども。嫌になってしまうこともありますが、「乳児期」というものについて、改めて見つめ直すきっかけになるでしょう。「乳児期というのを別の言葉で定義すれば、自分に責任がないにもかかわらず生涯自分にいちばん関係のある時期、それが乳児期なんだという定義もできるくらいの時期です」 出典: 講演録・「こどもの哲学」(ほぼ日刊イトイ新聞より) 「人間と、チンパンジーと、どこが違うかっていうと、人間がはやく出てきちゃうってことが、人間の特徴なんです」出典: 講演録・「家族の問題とはどういうことか」(ほぼ日刊イトイ新聞より) 思想家・吉本隆明は、子育ての中でも特に、乳児期の子供と母親の関係を重視していました。吉本は人間と類人猿のもっとも異なる点として、人間の子どもには乳児期があるという点を挙げています。たしかに乳児期の赤ちゃんは、母親から産まれてきたのはいいものの、自分では動くこともできないし、食事や排泄物の処理も手伝いなしではできません。ひとりではほぼ何もできない状態のまま、1年ほど過ごす時期があるのは、人間特有です。野生環境ではすぐに、ほかの動物の標的にされてしまいます。この、誰かに頼らざるを得ない乳児期という発達段階こそが、子どもにとって大変重要になると吉本は考えています。「早く出てくることによって、どうしても母親と1年間、接触せざるを得ない。そこから栄養を受けたり、世話してもらう以外にない。そうすると、その間に、母親がもっている文化的水準、それから、感覚、心の構造っていうのは、全部、いま言いましたように、乳児に刷り込まれるわけです」出典: 講演録・「家族の問題とはどういうことか」(ほぼ日刊イトイ新聞より) つまり、毎日24時間、母親からケアを受ける状態の乳児期の子どもは、それゆえ母親のすべてを自分の中に取り込んでいる、ということです。母体から産まれ落ちた後すぐに自分で動くことができる、ほかの動物の子どもとは、その点がまったくもって異なるのです。逆に、この時期に母親に対する「絶対的な信頼感」を与えることができれば、登校拒否、学校内暴力や家庭内暴力の恐れなどはほとんどなくなる、というのが吉本の主張です。実は日本だけ!? 母親に負担がかかりすぎる「日本型の子育て」また、日本型の子育ては、女性に大きな責任と負担が課せられてしまっている、と吉本は言っています。吉本によると、西洋型の典型的な子育てでは、乳児期の子どもは生後1ヵ月ほどで母親の手から離れ、看護師やシッターの手に委ねられるとのこと。一方、日本型の子育ては、母親はずっと乳児期につきっきりで世話をしなければならなりません。つまり、母親1人に子育ての責任がのしかかってしまうのです。このような日本の子育てについて、以下のように吉本は語っています。「もし非常にいい母親だったら、もちろん日本型の育て方は、人類の理想的な育て方なんです。だけどたいてい、どんな親でもそうですけど、様々な事情がありましてね。100%いい育て方なんてできないんですよ。手をぬいたり、まずったりってことは、たいていどの母親、父親でもあるわけですよ。だけども、まず、55点以上の育て方をしたと母親が自信をもって正直にいえるのならば、それは立派な育て方といっていいんだと思います」出典: 講演録・「言葉以前のこと–内的コミュニケーション」(ほぼ日刊イトイ新聞より) 現在は、吉本が子育てをしていた時代よりも、夫の協力やベビーシッターの協力を得やすい時代になってきています。それでも育児に疲れてしまったときは、「日本型の子育ては母親に負担がかかりすぎている」という吉本の言葉を思い出し、たまには周りの人や育児サービスに頼ってしまってもよいのではないでしょうか。100点満点でなくてもいい。あなただけができる子育てを目指して、乳児期の育児を乗り切っていきましょう。(サカマキ貝<フォークラス>)
2016年02月07日アメリカの子育て方法は、日本とは違うことがとても多いです。アメリカ式の子育てに関する考え方や方法を知ることで、自分なりにうまく取り入れて、育児を工夫してみましょう。一緒に寝ないは当たり前日本と違うアメリカの子育て方法の代表といえばやはり、「ねんねトレーニング」。アメリカでは産まれたときから自立心を育むために、赤ちゃんでも子ども部屋に1人で寝かせます。部屋にはベビーモニターを置いて、赤ちゃんの様子がほかの部屋でもわかるようにしたり、カメラで見られるようにしています。また、赤ちゃんが夜泣きしてもすぐには駆けつけません。多少のグズリ泣きくらいは放っておいて、自分で泣きやむのを待つことがあります。そうすることで赤ちゃんの夜泣きが減っていくと考えています。日本の狭い住宅事情では、なかなか産まれたときから子ども部屋をつくるというのは難しいことではあります。むしろ、日本では子どもが少し大きくなるまでは親と添い寝をするという文化です。しかし、自立心を育むことに重点を置いているアメリカでは、添い寝は考えられないようです。叱るときはタイムアウトでクールダウンアメリカの親ならだれもが使う、しつけの方法、「タイムアウト」。子どもが親の言うことを聞かない、悪いことをした場合などに、行動を一旦止めてクールダウンさせる方法です。だいたいどこの家庭でも「タイムアウトの場所」があり、そこに座らせて気持ちが落ち着くまで待ちます。途中で脱出したらまた始めからです。時間の目安は子ども年齢分といわれ、3歳なら3分といった感じです。「タイムアウト」の時間が終わると、なにがいけなかったのかを話し、「タイムアウト」になった理由を理解させて終了です。その後は遊びに戻ってOK。この方法は子どもだけではなく、怒りでヒートアップしたママの気持ちを落ち着かせる効果もあります。子どもが数分間クールダウンしている間に、ママもクールダウン。これで、怒鳴ったりする回数もグンと減ります。※タイムアウトについては、こちらの記事も参考に・ 欧米流子育て法「タイムアウト」で叱るストレスが少なくなる!? ベビーシッターを利用してママも息抜きアメリカでは子どもをベビーシッターに任せて、仕事や外出をする人は多くいます。特にアメリカでは産後数ヵ月ですぐに仕事復帰する人がとても多く、そのためベビーシッターを利用する人が多いのが理由です。仕事だけでなく、ママが子育てで疲れてしまわないように、夫婦の時間を取るためにベビーシッターを利用することもよくあります。夫婦で月に一度ディナーに行ったり、映画に行ったり、また夫婦同伴のパーティーに出席したりなど、自分たちの時間のためにもベビーシッターを利用します。日本ではまだまだベビーシッターは浸透していませんが、以前に比べ、特に都市部ではベビーシッターの数も増えてきています。「ベビーシッターに預けてまで」と思いがちですが、時代は変わりつつあります。ストレスをためてイライラしているよりは思いきって休む。ママも休息を取ることが、穏やかな育児のために大事なことなのかもしれません。(フレシュラスともみ<フォークラス>)
2016年01月31日知らず知らずのうちに行っている子どもへの「しつけ」によって、子どもの能力に大きな差が出てしまうことがわかりました。発達心理学が専門の内田伸子先生に、詳しく説明していただきました。しつけスタイルは大きく2種類●共有型しつけ子どもの気持ちを中心に考え、子どもとのふれあいや会話を大切にし、楽しい経験を子どもと共有しようとする、しつけスタイル。●強制型しつけ大人中心で、言いつけ通りに子どもを従わせようとする、しつけスタイル。罰を与えたり、力によるしつけを行ったりすることもある。似たような家庭環境で、しつけスタイルだけが違うとどうなるのか「年収900万円以上の高所得層で、母親が四年制大学あるいは大学院を卒業し、現在は専業主婦をしている家庭の中から、共有型しつけと強制型しつけの極端な例を30組ずつ計60世帯選び、親子のやりとりを観察しました。すると、図形を組み合わせるブロックパズル課題で、こんな場面が見られました。共有型しつけを行っているお母さんは、お子さんをじっと見守っています。一方、強制型しつけを行っているお母さんは、何かと口を出し、指図します。子どもがパズルをやろうとすると、『そっちは難しいわよ。こっちからにしなさい』『左右の色を同じにしたらキレイでしょう』などと言うのです。また『きつねのおきゃくさま』という絵本の読み聞かせにおいても、違いが見られました。『きつねのおきゃくさま』は、優しいきつねがほかの動物たちを守るために死んでしまうお話です。共有型しつけを行っているお母さん方は、子どもがどんな反応をするかと子どもの顔を心配そうに見ています。子どもは『きつねさん、どうして死んじゃったの? あんなに親切なのにかわいそう』などと言います。それを受けてお母さんは『そうね、かわいそうね』と共感的なサポートをします。一方、強制型しつけを行っている母親は『はい。今のお話はどういうお話だった? 言ってごらん』、子どもが答えると『違うでしょ。お話の記憶、テストに出るわよ』などと勝ち負けの言葉を投げ付けます」強制型しつけのもとでは、高所得層であっても語彙得点・リテラシーともに低い「この子どもたちの学力を調査したところ、共有型しつけを受けている子どもは語彙得点、リテラシー(読み書き能力)ともに高く、強制型しつけを受けている子どもは語彙得点もリテラシーも低かったのです」しつけスタイルと語彙力は関連する(内田・浜野,2012より)なぜ、しつけスタイルが学力に影響するのでしょうか。「子どもの学力を高めるためには、お父さんやお母さん、保育者たちが、子どもの主体性を大事にするかかわり方をすることが重要です。共有型しつけをしている親は、こどもに考える余地を与える援助的なサポートが多く、子どもをよく褒め、子どもに合わせて柔軟な対応をしていました。そうした親のもとで、子どもは伸び伸びと活動していました」 叱られながらやる勉強はなぜ身に付かないのか ~「幸せ力」の育て方vol.6~ でご紹介したように、自分から興味を持ち、楽しいと感じているときは脳の働きが活発になります。「強制型しつけは逆に、子どもに考える余地を与えない、指示的・独断的な介入が多い、しかも過度に介入する、情緒的なサポートが少ない、褒め言葉が少ないという特徴がありました。こうした親のもとでは、子どもは主体的に行動することができず、親の顔色を見ながらおどおどと行動していました」これでは脳の働きが低下するうえ、言われたことしかできない「指示待ち族」になる危険性があります。しつけスタイルは母親の思いひとつで変えることができます。子どもが伸びる共有型しつけを心がけていきたいですね。(佐々木月子)今回取材に協力してくださったのは内田 伸子先生十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『 子育てに「もう遅い」はありません 』(冨山房インターナショナル)など多数。
2015年12月31日息子の宿題を見ていると、小学3年生になって急に学校の勉強がレベルアップしたように感じます。今までは難なくこなしていた学校の宿題も時間がかかるように…。掛け算割り算などの難しい計算や桁が大きい数字、難しい漢字。それだけでなく、理科と社会などの新しい教科が加わり、総授業時数が2年生と比べて35時数も増えるとか。この時期の勉強をきちんと理解していないと、一気に勉強嫌いになる可能性がありそうです。学んだことをきちんと理解するためにも、自主学習が必要不可欠。それは分かっているけれど、学校の宿題だけでも手こずっている息子が自ら学習するとは思えません。しかも我が家は共働きなので、学習塾への送迎はもちろん、自宅学習もなかなか見てあげられる時間がないのです。このままではどんどん勉強嫌いスパイラルに陥ってしまう…。自分から進んで勉強するようになるにはどうすればいいのでしょう。こんな悩みを抱いていた時に目についたのが、タブレットを使ったZ会の通信教育 「小学生タブレットコース」 。手持ちのタブレットに専用のアプリをDLすればOK。「タブレットなら、確かに息子の興味を惹くかもしれない!」と、早速体験してみることにしました。初めてのタブレット学習を体験! 子どもの素直な反応は…?目の前に置かれたタブレットに興味津々の息子。早速使い始めてみるとさすがは子ども。すぐに使い方をマスターして算数、国語、英語とどんどん問題を解いていきます。もちろん答えを間違えてやり直すことも度々…。なかなか正解にたどり着けない時、普段はすぐに諦めてしまうのに今回は何度も考えてはやり直し、ついに正解してはなまる画面が出ると思わず「やったー!」とガッツポーズ。なんだかとても夢中になっている様子です。「新しい発見がどんどん出来て楽しい!」と息子。これは期待できるかも。 アニメーションの視覚的効果でぐんぐん理解が進む!アニメーションなどの視覚や音声、効果音などの聴覚を通して分かりやすく楽しく学べるのもタブレット学習の特長です。例えば、算数では紙のテキストではイメージしにくい「計算のしくみ」や「図形の特徴」などを視覚化することで理解を深めてくれます。さらに、間違った問題に対してはしっかりと解説してくれ、正解した時には更に発展的な問題を出題してくれます。理科は実験動画やシミュレーションなどを使って擬似体験をすることで、理解し興味を広げてくれます。英語では、アニメーションに合わせてリズムにのせた発音練習や、自分の発音を自動判定してくれる機能があり、目と耳と口で英語力を身につけることが出来ます。また、国語や英語などはタッチペンを利用することによって、紙のテキストと同様に、書く力もきちんと身に付きます。特に漢字においては紙の教材とタブレット学習を組み合わせて効果的にサポートしてくれるというから、難しい漢字が増えるこの時期も最適です。デジタルだけじゃない! 人の力で手厚くサポートしてくれるから安心しかし、本当に子どもが一人でちゃんと計画的に勉強できるのでしょうか。そんな心配も御無用です。なんとこのアプリは、子どもの予定に合わせたスケジュールを、自動で作成カスタマイズしてくれるのです。見やすい学習カレンダーを見れば「今日やること」が一目瞭然。しかも、保護者専用スマホアプリからは子どもの学習状況や提出課題の結果などを確認できます。親の心配事や求めているものが何かを理解してくれているところは、さすが家庭学習のスペシャリストのZ会。通信教育の調査結果で、教材の質の部門賞を受賞しているだけあります。※1子どもの学習状況が分かるのでそれに応じた声かけや、アプリを通じて子どもとメッセージのやりとりも出来ます。「今日も頑張ったね」の一言で子どももますますやる気になりますね。それだけでなく、担任指導者が子どもの学習状況を見守りながら日々の学習をサポート。毎月1回の定期面談では子どもとのメッセージのやりとりを通じて、やる気をどんどん引き出してくれます。第三者からほめてもらえたり認めてもらえる体験は、子どもの意欲を伸ばすのにとても大切なことですよね。「また勉強したい!」子どもが自ら学びたくなるのがタブレット学習の魅力タブレット学習をしている息子の姿はワクワクしている様子。「新しい発見が次々に出来て楽しかった」「ずっと飽きずに出来た」「もっともっとやってみたい」とかなり惹きつけられていました。やはり、子どもが自ら学習するためには興味をどんどん惹きつけてくれることが大切です。Z会のタブレット学習は、子どものワクワク感を持続させる工夫がとても良くされていて、また学習したいと思わせてくれます。楽しく続けることで毎日学習する習慣も自然と身につくのです。また、共働きでなかなか子どもの勉強を見てあげる時間がなくても、さまざまなサポートで見守ってくれているので、紙の教材と違って親が付きっきりにならなくて良いのも助かります。中学受験を考えている場合は、志望校のレベルに合わせて対応する中学受験コースもあるので、本格的に受験準備をしたい人たちはそちらがおすすめ。入会金もかからないというし、私も早速タブレット学習を取り入れてみようかしら。気軽に始められるのでお子さんの自主学習に悩んでいるママたちにぜひお勧めしたいと思いました。「Z会小学生タブレットコース」・ Web上で体験したい方はこちら ・ 無料でお届け! 資料請求 ・ 体験会も実施中! ※1 イードアワードの通信教育2012年~今まで通信教育小学生の部 教材の質 部門賞
2015年12月22日子どもにたくさんの経験をさせてあげたいという気持ちから、小学校に入学する前からお子さんにさまざまな習い事をさせるのが一般的になっているかもしれません。日本でも英語、ピアノ、水泳など、たくさんの習い事がありますが、世界の子どもたちはどんな習い事をしているのでしょうか?今回は、各国の子どもの習い事事情をご紹介します。韓国の子どもたちは、習い事よりお勉強!教育熱心な親御さんが多い韓国では、バレエ、ピアノといった子どもに教養をつけさせる習い事よりも学問重視という考えから、「ハグォン」と呼ばれる塾がアフタースクールの一番人気の習い事となっています。そのため、小学校に入れば学校が終わるとすぐに塾、という子も多いそう。なお、幼稚園児には、ピアノやテコンドーなども人気があるそうです。塾以外の習い事は、「子どもがやりたいと言えばやらせてみる」という方針のお母さんが多いようですね。タイではKUMONが流行中東南アジアを代表する経済大国・タイでは、子どもたちは学校が終わればのびやかに外で遊ぶイメージがありますが、都心ではやはり、学校が終わると中学、高校受験のために塾に通わせることが定着しつつあるようです。タイでは学校の先生の副業が認められているために、学校の先生をやりながら放課後は自宅で学習塾を開く先生も多いのだとか。そして、その学習塾でも手軽に始められることから人気なのが、日本に発祥の「KUMON(くもん)」です。都心ではあちらこちらに「KUMON」を教える教室があり、2010年にはタイ全国の生徒数が10万人を突破。この勢いはまだまだ続きそうです。リーズナブルに習い事ができるフランスフランスの小学校には、音楽の時間はもとより工作の時間もないため、「スポーツやアートは学校外で習い事として習うもの」という認識が強いようです。ただ、この習い事については市町村からの援助があり、誰もがリーズナブルな料金で習えるのが、フランスの素晴らしいところと言えるでしょう。音楽、絵画、テニス、海の近くであればヨットまで、ありとあらゆる習い事がありますが、意外に人気が高いのが柔道。フランスの柔道人口は日本よりも圧倒的に多く、人気の秘密はスポーツと作法を同時に学べるからだそう。国際大会やオリンピックでフランス人が柔道でメダルを獲得する理由は、ここにあったのかもしれません。そのほか、習い事としては、サッカーよりもラグビーのほうが人気が高いというのもおもしろいところですね。イタリアの一番の習い事は「友達と遊ぶこと!」学校が終わると習い事ではなくて、公園に行って友だちと遊ぶのが大切な習い事、というイタリア。フランスのように公的援助がないので、習い事が普及しないのかもしれません。それでも週末には教室に通うこともあり、女の子にはバレエなどのダンス、男の子にはサッカーがダントツ人気です! 国によって流行している習い事はさまざまなようですが、「親がやらせたいものよりも、子どもがやりたいと言うことをさせるのが一番」と考えるのは、どこの国にも共通した考え方なのかもしれませんね。(徳武加奈子)
2015年12月13日皆さんは、「ホームスクール」という言葉をご存じですか?ホームスクールとは、学校に通わず家を拠点にして学習を行うこと。そう言うと日本では「不登校の生徒が家で学習をする」というイメージが強いですが、海外では広く普及している学習方法です。今回は日本人にあまりなじみのない「ホームスクール」について、簡単にご紹介します。ホームスクーリングが盛んな国は?現在、ホームスクーリングがもっとも盛んな国と言えば、アメリカです。アメリカではすべての州で、法律的にもホームスクーリングが認められています。ちなみに学習カリキュラムは、州によって異なるのだとか。さらに、アメリカ国外に住んでいても、ホームスクーリングのカリキュラムを提供している学校経由で、オンラインでカリキュラムを受講することが可能。そのため、世界中のどこに住んでいても、カリキュラムを終了すればアメリカの学校卒業資格を習得できます。イギリスのホームスクーリングは?古くから「家庭教師が自宅で勉強を教える」という風習があるイギリスでは、ホームスクーリング(ホームエデュケーション)については、アメリカ以上に自由な制度が完備されています。日本やアメリカのように、 ただ学校に通っているだけでは卒業資格がない イギリスでは、ホームスクーリングの国家カリキュラムは特に決められていません。親や家庭教師といった教える立場の人間がそれぞれ授業カリキュラムを作っても良いことになっています。もちろんインターネットなどで、すでにパッケージ化されたプログラムも探すことができます(無料のものも多いです)。ただし、イギリスでは5歳から学習を始めることが義務づけられているので、ホームスクーリングを希望する生徒は「ホームスクールで学習する」という届けを提出する必要があります。なぜ、ホームスクールで学ばせるのか?近年は世界的にもホームスクールの需要が増えてきたと言われています。ホームスクールを行う理由はそれぞれの家庭、親によって異なりますが、学校で行われている授業の質が好ましくない、住居を構える海外の国に自国の学習カリキュラムを行っている学校が近所にないといった理由があるようです。さらに、アメリカでは治安の悪さから子どもを外に出したくない、もしくは、宗教的な理由などからホームスクールにする家庭もあるそうです。アメリカは学習スタイルの先進国!アメリカではホームスクールだけではなく、地域・教員・保護者などが主体となって運営する「チャータースクール制度」という新しい教育スタイルもあります。たとえばハワイでは、地元の子どもたちにハワイならではの文化伝統を学校で教えるチャータースクールがあったりもします。ただし、このチャータースクールもホームスクーリング同様、州によって制度が異なります。私たち日本人にはなじみの浅いホームスクーリングですが、最近ではアメリカの高校資格を日本の自宅でも取得できるカリキュラムもあるようです。ワールドワイドに各国のカリキュラムが受講できる時代になるのは、そう遠くなさそうですね。(徳武加奈子)
2015年12月11日「どならない」のではなく、「どなる頻度」を減らす 叱る=しつけにはならない!? どならない子育ての練習(1)「身支度をグズグズする子」への処方せん どならない子育ての練習(2)「ごはんを集中して食べられない子」への処方せん どならない子育ての練習(3)「出かける前なのに遊び続ける子」への処方せん の続きです「つい子どもにキレて、自己嫌悪になる。そんなの、僕だってよくあります」。と言うのは、『どならない子育て』の著者、伊藤徳馬さん。プライベートでは2児の父だ。伊藤さんが実際にご自分の娘さんに試し、その効果を実感した「どならない子育て練習法」について、5回に渡ってお届けしたこの特集も、今回が最終回。伊藤さんのお話の中から、私が印象に残った部分をまとめてみた。「褒められて育っていない」のに「褒める子育て」をするのは難しい「私も含めて、今の子育て世代は、『(子どもを)褒めましょう』と言われても、自分たちは褒められて育っていないし、あいまいな表現で指示を出されてきたし、重たい罰をもらって育ってきました。だから、なかなか子どもを褒められないし、『褒めて育てるのなんて理想論だ』とも思えてしまいます。今はそれだけ混沌としているのです。」(伊藤さん)なるほど!と、思った。自分がされていないことを、子どもにやれと言われても…。自分たちはそう育てられていないのに、子育ての専門家は口を揃えて「子どもは、褒めましょう」と言う。混乱が起こるのは、ごく当然のことなのかもしれない。そこで役に立つのが、具体的な方法論。「母性が」とか「努力が」という観念論ではなく、今まで紹介してきた「具体的な方法論」があると、目の前の霧がパーッと晴れたような気分になった。みんな、実生活ではどなっている「ここは、とっても大事だし、強調しておいて欲しいのですが」と念押しされたのが、「伊藤さんも、実生活では完全にどならなくなったわけではない」という事実。伊藤さんは市役所の職員なので、講座の受講者が生活圏内に住んでいるということもありえる。だから最初に、「近所のスーパーなどで私を見かけても、子どもをめちゃくちゃ叱っている場面だったりしたら、見て見ぬふりをしてくださいね」と必ず伝えているとか。また、家庭内では妻に「どならない子育て」をレクチャーしないことも心がけている。「そんなことを上から目線で行ったら、『じゃあ、アナタやってよ!』とキレられるだけですから。僕以外の講師陣の男性たちはみんな、そこはとても気をつけている点です。」(伊藤さん)頭でわかっていても、できないことなんて山ほどある。ましてや夫に上から目線で言われたら、そりゃ、キレて当然だ。では、どうするのか? 「実際に自分がやってみせるという積み重ねです」と伊藤さん。なるべく気楽に!伊藤さんにマンツーマンでお話を伺い、原稿を書いた私。けれども、「明日から立派な母になれるか?」というと、まったくもって自信がない。というか、「無理だ!」と、この場で断言できる。では、伊藤さんのお話がムダだったのか?というと、それもまったく違う。今回教えてもらったことは、必ず頭の片隅に残っているからだ。それを少しだけ実践してみるだけでも、きっと何かが違ってくることだろう。なるべく気楽に! ボチボチとがんばってみたいと思う。(楢戸ひかる)「どならない子育てについて、もっと、知りたい!」と思った人は◇つい子どもにキレて自己嫌悪…そんな私にサヨナラ!NHKあさイチ、朝日新聞、読売新聞などで話題! 人気のあの講座が本になりました。◇ どならない子育て (著者:伊藤徳馬/ディスカヴァー・トゥエンティワン) 定価:1,300円(税別)
2015年11月01日「つい子どもにキレて、自己嫌悪になる。そんなの、僕だって、よくあります」。と言うのは、『どならない子育て』の著者、伊藤徳馬さん。プライベートでは2児の父だ。伊藤さんが実際にご自分の娘さんに試し、その効果を実感した「どならない子育て練習法」。今回は、「出かける前なのに遊び続ける子」に対して、使うとどんなアプローチになるのか? 具体的な実例で検証をしてみよう!「どならない子育て練習法」の基本的な考え方は、コチラをどうぞ! 「どならない」のではなく、「どなる頻度」を減らす 叱る=しつけにはならない!? どならない子育ての練習(3)出かける前だというのに、つみ木遊びを切り上げられない三郎くん朝の身支度がやっと終わり、保育園に行くまでには少し時間があります。三郎くんは、お気に入りのつみ木遊びを始めました。ママと三郎くんは「15分後に出かけるから、積木を片付けようね」と約束していました。15分経って、出かける時間になったので、ママは三郎くんに「出かけるから、つみ木を片付けて」と言いました。すると、三郎くんは、「まだ遊ぶ! 片付けるの嫌だ!」と大声で叫んで、持っていた積木を投げました。 不穏な空気が漂いまくり! ここは難しいが、あえてノーヒントで、肯定的な表現を使って、簡潔に何をすべきかを三郎くんに伝えてみよう。「優先順位が一番高い」と親が思うことだけを叱る今回の場合、三郎くんは3つの問題行動を起こしている。1.約束を守らず、片付けをしなかった2.イヤだと大声で叫んだ3.つみ木を投げた 子どもが一度に複数の問題行動をした、もしくは子どもを注意したら反抗して新たに悪さをした、というのはよくあること。「この時どう対応するかというと、1つに絞って話すのです。親としては、どれもつぶしておきたいところですが、ぐっとこらえて、優先順位の一番高いことだけについて叱るのです。」(伊藤さん)3つとも一気に指摘しようとすると、お説教が長くなる。そうなると、親が一生懸命叱った努力は報われず、子どもには話が多すぎて内容がぼやけてしまう。それよりも、ここは気持ちを切り替えて、1つに絞るほうが効果的。なぜなら、その方が伝わりやすいから。「あと、ここでも共感的な表現が欲しいところです。これがあるだけで、話が通りやすくなります。」(伊藤さん)答えとしては、「片付けるのがイヤなのはわかったけど、大声で叫ぶのはよくないよ。ママと同じ声の大きさで、もう一度『イヤだ』っていってみて」または「積木を投げるのはよくないよ。拾って」などだ。口答えにはどう対応するのか?しぶしぶ片づけをはじめた三郎くん。しかし、納得できなかったらしく、片付けを途中でやめてしまった。ママが再度、「片付けて」と言うと、三郎くんは「あとでまた遊ぶから片付けない。テレビだってしまったりしないでしょ」と屁理屈をママに言う。 ここでは、「積木を片付けること」だけに絞って三郎くんに話をしてみる。三郎くんに何をすべきかシンプルに伝えてみよう。答え:「まず片付けよう」三郎くんは、口答えを続けた。「なんでいつも片付けないといけないの! また遊ぶのに! ママのいじわる!」 三郎くんに何をすべきか伝えてください。答え:「三郎くん、片づけよう」三郎くんは口からつばを出して、「ぶーっ」と吹いて抵抗しました。でも、まだ話は通じそうで、かんしゃくは起こしていない。 三郎くんに何と伝えるべきか? 「共感的表現」を入れつつ、三郎くんに何をすべきか伝えてみよう。答え:「はいはい。片付けよう。片付けしたくないのはわかったよ。それに、まだ遊びたかったんだよね。それはわかった。でもね、もう出かける時間だから片付けよう」「子どもがかんしゃくを起こすわけではなく、抵抗はしていても話が通じる状態であれば、このようなやりとりで結構丸くおさまったりしますよ」と、伊藤さん。しかし、それにしても根気強すぎやしないか? 私には無理だ!!心と時間に余裕がある時にトライしてみる「もちろん、いつもこんな対応ができる親なんていません。さきほどのやり取りは、心と時間に余裕のある時だけ、トライしてみてください。もしかしたら、それでうまくいって、成功体験ができたらラッキーくらいの気持ちで。イライラしている時、気持ちに余裕がない時は、このような対応ができなくて当然です。できなくても気にしないでください。」(伊藤さん)ホッ。それなら、良かった。「心と時間に余裕がある時だけで良いのなら、トライできるかも」と、なぜか安堵する。子どもの口答えにつられて、話の焦点がぼけないように気をつける「それと、子どもが口答えをすると黙っていられず、会話上でも1つ残らずつぶそうとする親御さんの姿をよく見かけます(会話が好きな方に多いような気がします)。子どもの口ごたえにつられて、話の焦点がぼやけないように気をつけましょう」それも、私やっていますけど!? 子どもとの接し方の根本を、見直したくなってきた。次回はいよいよ「どならない子育て」の最終回。伊藤さんへの取材で印象に残った発言をまとめました。(楢戸ひかる)「どならない子育てについて、もっと、知りたい!」と思った人は◇つい子どもにキレて自己嫌悪…そんな私にサヨナラ!NHKあさイチ、朝日新聞、読売新聞などで話題! 人気のあの講座が本になりました。◇ どならない子育て (著者:伊藤徳馬/ディスカヴァー・トゥエンティワン) 定価:1,300円(税別)
2015年10月31日「つい子どもにキレて、自己嫌悪になる。そんなの、僕だってよくあります」。と言うのは、『どならない子育て』の著者、伊藤徳馬さん。プライベートでは2児の父だ。伊藤さんが実際にご自分の娘さんに試し、その効果を実感した「どならない子育て練習法」。今回は、「ごはんを集中して食べられない子」に対して使うとどんなアプローチになるのか? 具体的な実例で検証をしてみよう!「どならない子育て練習法」の基本的な考え方は、コチラをどうぞ! 「どならない」のではなく、「どなる頻度」を減らす 叱る=しつけにはならない!? どならない子育ての練習(2) 朝ごはん中に牛乳の入ったコップを揺らしたり、窓の外が気になる次郎くん身支度が終わった後は、朝ごはんです。次郎くんは、目の前の食事にちっとも集中せず、ごはんを食べながら牛乳の入ったコップを揺らして遊んだり、窓の外を見たりしています。「もう、早く食べてよ。保育園に行く時間でしょ!」という言葉が喉から出かかりましたが、ぐっと飲み込んで。さて、まず何をしましょうか? 今回は「 子どもへの伝え方 ポイント4つ 」のうち、「環境を整える」と「肯定的な表現」の2点の練習をしてみよう!環境を整え、シンプルに伝えるまず、環境面を整える。答えは、「子どものそばに行き、目線を合わせる。コップから手を離させる」だ。子どもに声をかけて、子どもがママの目を見る。これでやっと、「伝える環境が整った」と考える。次は、行動を具体的に表現するのをパワーアップさせて「肯定的な表現」を使う。「コップを持つなら牛乳を飲んでね」とか、「遊ぶのはよくないよ。ごはんを食べてね」となる。ちなみに否定的な表現であれば、「コップで遊ばないで」となる。窓の外が気になることについては、「次郎、前を向いて食べてね」とシンプルに伝える。ママが使いがちな疑問形3パターンここで、伊藤さんからのワンポイントアドバイス。「講座の中で、ママ達の答えに疑問形がよく登場します。この疑問形の使い方、ちょっと注意が必要です」<パターン1> 伝いたいことを明確にしてフラットに聞く疑問形ママ「今さぁ、横向いて食べているけど、それはよいこと? 悪いこと?」次郎「悪いこと」ママ「そうだよね、じゃあ前を向いて食べよう。これは子どもに考えさせたり、子どもの理解を確認できていて良い。<パターン2> 優しすぎる疑問形ママ「次郎くん、何をしているのかな?」次郎「ごはん食べているの」ママ「そうかぁ。今、横向いて食べてるけど、それはいいことかな?」次郎「いいことだよ」ママ「うーん、ママは横を向くのはいけないことだと思うけど、どうかな?」講座内でトレーナーは子ども役をするので、伊藤さんは子ども役で何度もこのパターンに出くわしているそう。そして実感を込めて、「これは本当にわかりにくいです」と言う。その場の雰囲気を理解すれば、言われているニュアンスが「横を向くな、前を向け」なのはわかるはずだが、言われている側からすると、ただ質問されているだけで、親の意図がわからなかったりする。<パターン3> 親の怒りやイヤミが込められた疑問形ママ「ねぇ! ママなんて言いたいかわかる?」「これもわかりにくいです。私自身も、妻から唐突に『ねぇ! 何か言うことないの? なんで怒ってるかわかる?』と言われると困ります(汗)。」(伊藤さん)サーッと血の気が引いた気分になった。たしかに、夫に同じことをされたら、気分が悪くなりこそすれ、「〇〇しよう」という前向きな気持ちにはまったくなれない。当然、子どもだって同じだろう。大好きなママにケンカ腰の声かけをされたら、それだけで心臓バクバク。ちょっとだけ想像力を働かせて子どもの立場になってみると、普段、子どもの置かれている状況が、かなり厳しいことが理解できた。伝わらないと親がしんどくなるだけ「あと、『なんで〇〇するの!』」というのもわかりにくいです。『なんで着替えないの!』『なんでお茶をこぼすの!』というやつですね。」(伊藤さん)一応、質問というかたちはとっているが、皮肉や責めることが目的であって、理由を聞く気がない。子どもが理由を答えようと「だって」と言うと、即座に「だってじゃないでしょ!」とカウンターが飛ぶ。嗚呼、ありがちすぎる!!!「パターン2とパターン3は、直接はっきりと言わず、言外の意図を察しなさいというわかりにくい表現です。そんな質問をするのなら、率直に『横は向かずに前を向いて食べてね』とシンプルに言ったほうがよっぽど伝わりやすくて楽です。伝わらないと親がしんどくなるだけです。」(伊藤さん)はぁ……。今まで私は何をやっていたのだろう? という気になってくる。気を取り直して、次回は、「出がけ前なのに遊び続ける子」に対して、「どならない子育て練習法」を使うとどんなアプローチになるのか? 具体的な実例で検証をしていきます。(楢戸ひかる)「どならない子育てについて、もっと、知りたい!」と思った人は◇つい子どもにキレて自己嫌悪…そんな私にサヨナラ!NHKあさイチ、朝日新聞、読売新聞などで話題! 人気のあの講座が本になりました。◇ どならない子育て (著者:伊藤徳馬/ディスカヴァー・トゥエンティワン) 定価:1,300円(税別)
2015年10月31日「つい子どもにキレて、自己嫌悪になる。そんなの、僕だって、よくあります」。と言うのは、『どならない子育て』の著者、伊藤徳馬さん。プライベートでは2児の父だ。そんな伊藤さんが実際にご自分の娘さんに試し、その効果を実感した「どならない子育てプログラム」。今回は、「身支度をグズグズする子」に対して、「どならない子育て練習法」を使うとどんなアプローチになるのか? 具体的な実例で検証をしてみよう!「どならない子育て練習法」の基本的な考え方は、コチラをどうぞ!・ 「どならない」のではなく、「どなる頻度」を減らす ・ 叱る=しつけにはならない!? どならない子育ての練習(1) パジャマ姿でボーっとしている太郎くん太郎くんは、朝、なかなか短時間で着替えることができません。今日も服が入っている引き出しの前で、パジャマ姿でボーっとしています。ママは、台所のカウンター越しにその姿を見つけました。ママと太郎くんの間には5mほどの距離があります。 今回は前回紹介した「 子どもへの伝え方 ポイント4つ 」のうち、「行動を具体的に表現する」と「環境を整える」の2点の練習だ。環境面を整えるまず、環境の面では、ママと子どもの間には5mほどの距離がある。親の気持ちとしては、その場で太郎くんにガツンと言いたいところだが、離れたまま大声で話しても負け戦になるだけ。ママは、話をする前にどうすればよいだろうか?答えは、「まず、子どものそばに行って、しゃがんで目線を合わせる」だ。子どもに声をかけて、子どもがママの目を見る。これでやっと、「伝える環境が整った」と考える。環境が整ったので、ママは行動を具体的に表現して、太郎くんに何をすべきかをシンプルに伝えてあげる。どんな声かけがあるだろう?「いいかげんにしなさい!」「いつまで◯◯しているの?」はNG答えは、いくつもある。「着替えてね」「まずパジャマを脱いで」「早く着替えてね」など。ちなみに、NGな言い回しは、「いいかげんにしなさい! いつまでボーっとしているの?」この原稿を書いている私は、「私、そのまんまのセリフ言っているわ!」と、唖然とした。けれども、この言い回しだと、あいまいな表現なので伝わらないそう。思わず言ってしまうが。子どもは気持ちを切り替えるのに時間がかかるもちろん、1回言っただけでは、子どもは動かないことのほうが多い。子どもは、わかってはいても、気持ちを切り替えるのに時間がかかることがあるからだ。「そういう時は、怒らずに5~10秒くらい間隔を置いて落ち着いたトーンで『着替えてね』とだけ繰り返すとうまくいくことがあります。ガミガミ言わずに、子どもが自発的に動くまで待つのです。」(伊藤さん)うわっ! もう、この時点で相当に難易度が高いんですけど!「そんなもんだ」と思う「1回の指示で従わなくても『そんなもんだ』と思って、何回かチャンスをあげてください。そうすると、意外に子どもはすんなり行動できたりします。もちろん、これも可能性の話なので、何回言ってもできないこともありますが、やってみると、『あっ、3回言っただけでできた』なんて場面に出くわしたりします。」(伊藤さん)これで着替えができたのであれば、褒めてあげる。「親に言われたからであっても、子どもの意志でできたことは良いことですから」と、伊藤さん。しかし伊藤さん、立派すぎやしないか!? いやいや、私がダメなだけなのか…。でも、ひとつわかったことがある。それは、今までの私のやり方では、子どもには伝わりづらかったということだ。目から鱗がポロリと落ちた気がした。次回は、「ごはんを集中して食べられない子」に対して、「どならない子育て練習法』を使うとどんなアプローチになるのか? 具体的な実例で検証をしていきます。(楢戸ひかる)「どならない子育てについて、もっと、知りたい!」と思った人は◇つい子どもにキレて自己嫌悪…そんな私にサヨナラ!NHKあさイチ、朝日新聞、読売新聞などで話題! 人気のあの講座が本になりました。◇ どならない子育て (著者:伊藤徳馬/ディスカヴァー・トゥエンティワン) 定価:1,300円(税別)
2015年10月30日PUKUTY(プクティ)只今育児奮闘中!
両手に男児
めまぐるしいけど愛おしい、空回り母ちゃんの日々