2022年6月10日 11:00
卵を産む哺乳類カモノハシとハリモグラの苦味感覚を解明
次に、カモノハシとハリモグラの苦味受容体がどんな物質に反応するのかを培養細胞を用いて解析しました(図3)。その結果、カモノハシは、使用した苦味物質24種類のうち18種類の物質を検知できました。また、驚くべきことに、使用した苦味物質の半数を一手に検知できる万能な苦味受容体を持っていることも判明しました。このことは、カモノハシが苦味受容体数から想定される以上に多様な苦味物質を検知できることを示しています。カモノハシは、微弱な電気や機械刺激を検知して濁った水の中で効率的に食べ物を探せますが、食べるか否かの判断には苦味感覚も利用していると考えられます。
一方、ハリモグラは、カモノハシが持つ万能型の苦味受容体を失っており、他の受容体もカモノハシよりも検知できる苦味物質の数が少ない傾向にありました。これは、ハリモグラがアリやシロアリに特化した食性を持っており、接触する苦味物質の種類が限られることが一因と考えられます。アリやシロアリといった限られたものしか食べないハリモグラにとって、多様な物質を検知できる苦味感覚はそれほど重要ではなく、限られた検知能力だけを残しているのかもしれません。
有胎盤類のTAS2R16と近縁な単孔類の苦味受容体の一部は、βグルコシドを受容することも分かりました。