同じ白身魚で、ぺたんとしたフォルム、ヒラメとカレイはよく似ていますよね。どっちがどっちかと聞かれたら「う~ん」となってしまう方も多いのではないでしょうか。ここではそんなよく似たヒラメとカレイの違いやそれぞれの特徴などを見ていきたいと思います。■ヒラメとカレイの見分け方ヒラメとカレイ、見分けるためにはどこを見ればよいのでしょうか。パーツごとにみていきましょう。・ヒレ・目の位置ヒレヒラメやカレイのヒレといえば「えんがわ」が思いうかびますよね。えんがわはヒレを動かす筋肉です。コリコリしていて、脂ものっておいしいので、お寿司のネタでも人気があります。見分け方として、エサをとるためによく動くヒラメは、筋肉が発達しているのでコリコリが勝っています。あまり動かないカレイは脂ののりが勝っています。回転寿司でまわっている「えんがわ」はカレイのことが多いですよ。目の位置「左ヒラメの右カレイ」ということばを聞いたことがありますか。ヒラメとカレイの見分け方のことを言っています。目を上にしたとき、左を向くのがヒラメ、右を向くのがカレイということなんです。ただ、これは日本産のヒラメとカレイに限るので、海外のものは、例外も多いので注意してください。・口の形口がいちばん、違いがわかりやすいかもしれません。ヒラメは口が大きく歯が鋭いです。イメージするなら牙があるオオカミのようです。いっぽうカレイは、口が小さく歯が発達していません。おちょぼ口がカレイです。・大きさ実は江戸時代までは似た形の魚なのでただ、大きさで区別していました。つまり大きければ「ヒラメ」小さければ「カレイ」と呼んでいたのです。実際に成体で比較すると、多くの種類でヒラメのほうがカレイより大きいです。しかし例外もあります。北海道の水族館にしかいないですが「オヒョウ」という魚を聞いたことはありませんか?大きいものだと全長3m体重300kgにもなる魚です。この巨大な魚はカレイなんですよ。・なぜ似ている?そもそもなぜヒラメとカレイは似ているのでしょうか。ひとことで言うなら先祖が一緒だからです。ヒラメはカレイ目ヒラメ科、カレイはカレイ目カレイ科に属していますが、もともとはボウズガレイ類から、現在のカレイやヒラメに分岐・進化を遂げてきました。ボウズカレイは、目が左右のどちらになるかは定まっていません。左右半々ぐらいで出現します。実はヒラメもカレイも、幼魚の頃は眼が左右にあります。それが成魚になるにしたがって、左に寄るのがヒラメ、右に寄るのがカレイというわけです。あとは捕食方法が似ているからでしょうか。ヒラメとカレイは捕食する際、獲物との距離を素早くはかり、とっています。これができるのは、両目が寄っていて広い視野を持っているからです。目が横についていると、周りを見渡すときに動かなければなりませんが、目が寄っていることで動かずに見渡せるので、隠れて周りを確認できます。この似た捕食方法から見た目も似ているのだといえそうですね。■ヒラメとカレイの違いとは・生態ヒラメ通常深さ100mから200mの海底に生息し、春から夏にかけて沿岸の荒磯や岩礁域で産卵します。3~5年で50cmくらいに成長し産卵は3年魚からです。大きいものでは1m以上になり、15~20分ほどで体表を保護色に変えることができます。海底でじっと動かずに自分の上を見ながら獲物を待っていて、あじなどの獲物が来るとジャンプして飛びつきます。特徴的な目ですが、ヒラメはふ化後20日後くらいから左に移動を始めます。50日くらいでヒラメらしい姿になり、目は飛び出ていません。色も同化しやすい茶色っぽい色に変わってきます。カレイ水深30~40mから2~3mの砂泥質の海底に生息し、雑食性で定着性があります。ヒラメとは反対側に寄っている目は、ふ化後50日くらいから右に移動を始めます。80日くらいでカレイらしい姿になります。そしてカレイの目は少し飛び出したようについていてこの目でキョロキョロと周囲を見渡して獲物を探します。・性格ヒラメ攻撃的でワイルドです。カレイおっとりと上品です。・主食ヒラメエビやカニの肉食で成長するにしたがい、魚食性が強くなります。あじやいわしを好見ます。カレイゴカイやイソメ、小エビなどを主食にしています。・漁獲量・値段ヒラメ生息地が限られていることもあり、漁獲量は約6,000tで、値段は1kg6~7,000円くらいです。カレイ漁獲量は約46,000tで、種類も多いカレイの漁獲量はヒラメの8倍近くも多いです。値段は種類によりますが、一般的なホシカレイだと1kg1,000円くらいです。漁獲量の差が価格に影響しているのがわかりますね。もうひとつヒラメの方が高い理由は、和食のマナーにありました。ご存じのように和食で魚を提供するときは頭が左にくるようにしなければなりません。そうすると右に目があるカレイは出せなくなってしまいます。料亭などで出せるヒラメが高級魚になり、需要が減ったカレイは大衆魚と呼ばれ、価格差が生まれました。現在ではカレイに限っては右向きで提供してもよいとされているようです。そんなカレイですが例外もあります。『城下カレイ』と呼ばれたりする各地でブランド魚となっているマコガレイです。旬の時期のマコガレイは1匹10,000円くらいで取引されています。・旬の時期ヒラメ晩秋から初春が旬の時期です。とくに冬のヒラメは「寒鮃」と呼ばれよりおいしいといわれています。カレイ種類によっても異なるので、1年中とることができます。場所によって味も変わりますが、数量的に多くとれるのは冬から春です。・栄養素ヒラメカロリーはヒラメの方が多く、ビタミンも全体的にはヒラメの方が栄養価は高いです。カレイカルシウムを含むミネラルはカレイがヒラメを上回ります。女性にうれしいコラーゲンは、どちらにもある「えんがわ」に多く含まれているんですよ。・味・食感ヒラメ俊敏な動きをするので、身の筋肉が引き締まっています。さっぱりした味とぷりぷりした歯ごたえが特徴です。そのため、刺身やしゃぶしゃぶに向きます。バター焼き、ムニエル、グラタンなど西洋料理に使用されることも多いです。カレイコクがあり、やわらかい食感が特徴的です。そのため、煮物や揚げ物にして食べることが多いです。■ヒラメとカレイのおすすめの調理法ヒラメもカレイも、刺身、ムニエル、唐揚げなど数々のおいしい定番料理がありますね。ここでは定番だけど、おもてなしにも最適な一品をご紹介します。・ヒラメのカルパッチョ材料(4人分)ヒラメ(刺身用)2~3人分バジル(生)8枚EVオリーブ油適量レモン汁小さじ2ミルびき岩塩少々コショウ少々下準備バジルは手でちぎっておく。作り方手順1:器にヒラメとバジルを盛り、EVオリーブ油、レモン汁をかけ、ミルびき岩塩、コショウを振る・干しカレイのだし茶漬け新鮮なカレイは、薄味でさっと短時間で仕上げましょう。おいしさを損なわない何よりの食べ方です。骨ばなれもよく食べやすいですよ。材料(2人分)ご飯茶碗2杯分カレイ(干物)1枚小梅4個・塩小さじ1/2・しょうゆ小さじ1/2・だし汁400ml白ゴマ適量下準備カレイは、魚焼きグリルで火が通るまで8~10分焼き、骨を取る。小梅は種を取り、刻んでおく。作り方手順1:鍋に<調味料>の材料を入れ、沸騰直前まで沸かす手順2:茶碗にご飯をよそい、ほぐしたカレイと小梅を混ぜて小高く盛る。(1)を注ぎ、白ゴマを振る・「えんがわ」はどっち?「えんがわ」とは、ヒラメやカレイの背びれと尻びれの付け根部分のことです。この「えんがわ」もヒラメはひきしまった筋肉が多いからだ、カレイは脂肪が多く脂っこいからだですので同様の身の質となります。お寿司のネタでも人気の「えんがわ」は、ヒラメだと1匹から4貫分ほどしかとれませんが、カレイだと20~60貫分もとれます。高級なお寿司屋さんの「えんがわ」はヒラメ、回転寿司などはカラスカレイの「えんがわ」が多いですね。■似ているけど似ていないヒラメとカレイ、お気に入りのおいしさ見つけてください!調理法に向き不向きがあるとはいえ、料理の好みは人それぞれ。塩焼きにしてもさっぱりしたヒラメの方が好きな人、コクのあるカレイが好きな人と、分かれますよね。あまり見かけないカレイのおさしみもヒラメと違ったおいしさがあります。煮るとふっくらするカレイは刺身では少し固いので、もしカレイの刺身を店頭で見つけたら、きっとそれは薄造りになっていると思いますよ。刺身も揚げ物もいろいろと食べ比べてみて、お気に入りのおいしさを見つけてくださいね。
2021年03月08日