これまでチームには所属せず、一人で足技練習をしてきた子。この春チームに入団が決定。足元の技術はまるでフリースタイルの方のように上手だけど、チームプレーは初めて。そういった子に、最初は何から教えたらいい?とのご相談をいただきました今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、チームプレーが初めての子に指導する際に大事なことをお伝えします。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見られるCOACH UNITED ACADEMY>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<大会の格や規模について苦情を言ってくる親たちに、練習試合でも成長できることを伝える方法を教えて<お父さんコーチからの質問>保護者コーチとしてU-11の指導に携わっています。ボール扱いがめちゃめちゃ上手い子が、3月から加入予定です。近所の子なのですが、毎日朝練してて親もそれを動画にとってSNSに上げる熱の入れようです。相談したいのは、ボールコントロールはフリースタイラーのように抜群に上手いけど、サッカーをしたことがない子に、どうやってサッカーを教えればいいのかという事です。なまじ足元の技術があるため(※おそらくボール扱いだけなら同学年で一番うまい)プライドが高そうで、どんなアプローチでサッカーを学ばせたら良いかな、ひそかに悩んでいます。親御さんも、サッカーの才能があっていきなりエース級になれると思っているようですし......。ずっと一人(動画撮ってる親と二人、が正確ですが)でやってきたので、チームとしての動き方やポジショニング、周りとのコンビネーション、チームメイトのタイミングに合わせるところがカギかなと考えています。最初が肝心かなと思っているのですが、池上さんならどんなアプローチをされますか?<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。11歳以下のチームなので小学5年生。お書きになった「サッカーをしたことがない」というのがどの程度やったことがないのかは測りかねますが、サッカーのミニゲームくらいは経験はあるけれどチームに所属したことがないという程度かもしれません。だとしても、ここでは集団でプレーするのは初めてという前提で考えてみましょう。■最初は「マインドセット」からまずは、マインドセットを整えます。コーチの方からそのお子さんに、口頭でサッカーの成り立ちを教えてあげてください。「サッカーはチームプレーであること」「チーム全員で攻めて守るということをベースに、みんなが楽しめるようにそれぞれが動く」コーチの考えを伝え、このチームとしてそこを目指すというビジョンを伝えます。とはいえ、チームプレーをしたことがなく、しかもドリブルなど足元の技術があるのであれば、ひとりでガンガン行ってしまう、という現象は起きるかもしれません。そんなときはこう問いかけてください。「君が持っているその技術は、どんなときに使う?」チームプレーをするために、どう技術を使うのか。そこを要求しましょう。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■世界に賞賛されたバルサのサッカーは「チームで」サッカーをしている先日、あるところに呼ばれた講演会で、中学生の選手とその保護者に向けて話をしました。中学生になったら親と話さなくなるそうです。そんなとき親はどうサポートをすればいいの?子どもたちのモチベーションを上げるためにどうしたらいい?そんなお話でした。まず子どもたちにはバルセロナの10年以上前の映像をYouTubeで見せました。メッシ、シャビ、イニエスタがダイレクトでぽんぽんとパスを回して、相手を翻弄していました。私が「どう?楽しいサッカーだよね?」と言うと、中学生たちは全員うなずきます。「みんなとボールをつなげてサッカーをやると、楽しいね。そんなことができるためにどうしたらいいかな?」そこからこんな話をしました。「勝ち負けにこだわると、うまくない仲間を責めたりするね。自分だけでいっちゃおうとするよね。でも、バルサみたいなサッカーには、そんな部分はないよね。バルサみたいなサッカーがしたいと思うなら、チームでサッカーをすることを意識してほしいです」■チームメイトとの連動がどうして大事なのか、戦術面から理解させる次に、チームプレーを戦術面から理解してもらいます。中学生に「バルサのサッカーはどうしてつながるか、わかる?」と問いかけます。それは、サッカーのアタックの基本を全員が理解しているからです。「選手がサッカーをわかってるから、パスがつながるよね。彼らはどうしてる?」すると、「周りを見てる」「いつも動いている」といった声が上がりました。確かにその通りです。パスを出すほうも、受けるほうも、視野を確保しながら出しやすいところへ、受けやすいところへと動いてタイミングを合わせる必要があります。出すほうは、相手がボールを奪い取りに来たときがひとつのチャンスです。例えば「相手を食いつかせる」という言い方をします。相手が自分のふところ近くに飛び込んできたらチャンス。そこですれ違うことができれば、数的優位が生まれるからです。「それが数的優位を使うセオリーだよ」そこから中学生たちに、技術が高ければ相手を飛び込ませることができること、相手が飛び込んできたらそこでまたドリブルで抜いて行くのではなく、その瞬間に味方を使う。パスをして、またリターンしてもらうワンツーを使えば、さらにフリーになれる。チャンスがより広がることを知ってもらいます。上述したことを、その子に話したら、親御さんも納得するかと思います。伝わっていないようだったら親御さんにもチームの方針や指導のやり方を解説してもよいでしょう。■ひとりで練習してきた子だから、「ボールのもらい方」を丁寧に教えよう(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)最後は練習についてです。ボールのもらい方を丁寧に教えましょう。3対1や4対1の鳥かごでよく練習をしていますが、自分の最初の立ち位置にずっといる姿が目立ちます。コーチが「動きながらやって」と声をかけてポジション修正をしながらやっているチームが少ないようです。私は最近は、3対1はやらず、3対2を重点的にやります。3対1は動かなくてもできますが、3対2はそれぞれが動かなければチャンスが生まれません。ひとりで練習している子は、そこが理解できないかもしれません。冒頭で説明しましたが、サッカーはチームスポーツなので、ひとりずば抜けた選手がいても、チームで噛み合わなければチームの力にはなりません。オシムさんは、メッシがもっと若かった時代の試合を見て「メッシもまだまだだなあ」とおっしゃっていました。メッシのような天才も、点を取れなかった時期がありました。ひとりでドリブルをするだけでは相手を崩せないのです。その後、周囲を使えるようになって、再びゴールを量産するようになりました。それとともに、バルサも常勝軍団の地位を確固たるものにしたと記憶しています。ご相談者様のチームのみならず、日本の少年サッカーでは周りより少し上手い子がひとりでいってしまうケースがよくあります。その子たちにはぜひメッシの話をしてください。チームプレーを理解させましょう。フリーで抜くのは誰でもできます。上手い子たちには、2人もしくは3人から囲まれたとき、そこを抜け出したり、相手を出し抜く技術(味方を使うこと)12を要求しましょう。池上正さんの指導を動画で見られるCOACH UNITED ACADEMY>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年02月19日なぜバルサの子どもたちは、動きながらボールを受けてそのままパスを出せるのか。止まる・蹴るの動きが全然違う。流れるようなプレー、その判断スピードなどレベルが高い。そのようなスキルや判断を身に付けるには、いつからどんな練習をすればいい?という、この夏バルサの子たちを見たお父さんコーチからの相談。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、海外の育成や、いつからどんな練習をすればいいかをアドバイスします。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<ドイツと日本の育成年代で大きく違うところは?指導経験が浅くてもマネできる練習メニューを教えて<お父さんコーチからの質問>こんにちは。私は街クラブでU-12年代の指導者をしています。大会で上位に入るような強豪ではないのですが、長期的な視点でサッカーの本質を理解させるような育成を心がけています。先日この記事を見ました。(「止めて蹴る」ではなく「止めながら運ぶ」へ止める蹴る運ぶのクオリティを高めるためにセレッソ大阪が取り組むこと)近所なので大会を見に行きましたがまさにその通りで、日本の子たちは止めて蹴る(それでも相当上手いと思います)に対して、バルセロナの選手たちは流れるようにボールを受けてドリブルしたりパスを出すので、プレースピードが違いました。相手にボールを奪われないようにプレーするには必要なスキルですが、これを小学生年代で身に付けるためには、いつごろからどんな練習をすればいいのでしょうか。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。バルセロナの子どもたちが流れるようにボールを受けたり、パスが出せて、プレースピードが速いのはなぜか。まず、そこを考えましょう。■バルサの子たちが流れるようにボールを受けたりパスが出せる理由私は彼らが小さいときから試合に必要な技術を学んでいるからだと思います。それは止める・蹴るといった足元の技術ではありません。パスの受け手はいいポジションに動く。出し手はそこにパスしようとします。スピードに乗ってボールコントロールし、相手を出し抜く。そういったことをジュニアの時期に学習しています。動きながらコントロールする。つまりスピードに乗ってコントロールしたほうがチャンスになることを理解するので、正確にコントロールすることの価値を実感できます。小学1年生から動きながらパスをするトレーニングをします。うまくいかなくてもいいし、ミスが起きてもいい。その都度「どう動くか」を理解させ、動けるよう育成しているのです。練習では、止まったままプレーさせません。ひとりでやる練習は非常に少なく、ほとんどのメニューが2人以上で行うものです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■育成の順番が大事、認知力を小学生年代で会得させるための順番とは一方の日本の小学生は、周りを見たり、スペースを探してタイミングよくパスを受けたりできません。その大きな原因は育成の順番が違うからです。この連載でも何度か説明したように、バルサや欧州の強豪国は「認知→判断→実行」の順番です。サッカーの成り立ちを理解するのです。認知力を小学生のうちに会得します。このため練習メニューは対人のオープンスキルを磨くものが大半を占めます。だから2人以上で行うものが増えるのです。ところが、日本では長年にわたって「小学生はまずクローズドスキルの練習をさせましょう」と始めるケースが少なくありませんでした。これでは認知能力は育ちません。ちゃんと順番通りに育成しておかないと、もっと上でプレーするとき選手は大変になります。■海外移籍した選手たちが「日本とは別のサッカー」と発言する理由過去にも欧州でプレーした日本人選手たちが「日本とは別物のサッカーだった」といった主旨のことを発言していますが、彼らは欧州で「周りを見たり、スペースを探してタイミングよくパスを受けたり」できる認知・判断能力の重要性を実感したのではないでしょうか。それを欧州では小学生時代に育んで、中学や高校といったユース年代で技術のところをしっかりやります。したがって、日本の指導者はまずその場で止まってやるトレーニングはやめたほうがいいと思います。そんな話をすると、みなさん「それでは足元の技術を磨けないのでは?」と不安そうにおっしゃるのですが、そんなことはありません。■多くの子が「自分のやりやすい方法」に変えてしまう例えば私のスクールのトレーニングは最初に鳥かごをやります。それだと動きが少ないので、2人でシザースパスをします。40メートルくらいの距離でしょうか。動きながらパス交換して最後にシュートです。そのなかで、自分の味方が自分の右側にいると、左足を使ったほうがパスしやすいです。動きながらなのでアウトは使いづらいです。そこで、行きに右を使った子は、帰りは左を使うように話します。右利きの子は総じて左は苦手なのですが「絶対に使ってください」と言います。ところが、半分くらいの子どもが、行きも帰りも使いやすい右足を使います。これは下級生だけでなく、6年生になってもそんなことが起きます。「絶対に換えてね」と言ってもやりません。ほかでも「パスはダイレクトでやるよ」と言ったときも、やっぱり2タッチにしてしまいます。ダイレクトでやろうとしてできないのではなく、やりやすい方法に変えてしまうのです。そこにあまり罪悪感がないというか、そこをちゃんとやらなければという意識がありません。■できないことをできるようにするのが練習なぜそうなってしまうかというと、コーチの言う通りに利き足でないほうでパスしたり、ダイレクトで返すとミスになりやすい。そこに抵抗があるのと、「できないことをできるようにするのが練習だ」とあまり思っていない。できないから、利き足で全部蹴ればいいし、無理ににダイレクトで回さなくてもいい。そう思っているのかもしれません。そんなとき、私は「右足で蹴ってもいいんだけど、左足が使えるとどう?」と彼らに問いかけます。子どもたちは「左足も使えたら便利だ」と言います。そこで「そうでしょ?じゃあ左足も使う練習しましょう」と言ってまた始めます。この状況は、大学生なっても一緒です。できないことをできるようになるのが学びだと理解していません。私は本来左利きなのですが、サッカーを高校から始めたので懸命に練習しました。大学時代は、自分で勝手に「今日は右だけで蹴ろう」と決めて練習に臨んだりしていました。そうなるとコントロールミスが必然的に増えるので仲間から文句を言われましたが、続けました。今でも、子どもたちに「池上コーチは右利きだと思っていた」と言われます。■小学生年代で「サッカーをよく知っている子」を育てる(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)育成の順番や、ボールコントロールのとらえ方。こういったことが小学校一年生から積み上げられていたとしたら、日本のサッカーも変わると思います。そのためにはコーチが変わらなくてはいけません。小学生の間に、誰かがこう動いたら僕はこう動くとか、そういった戦術面をしっかり身につけることが大切です。サッカーIQなどとよく言われますが、サッカーをよく知っている子どもを育ててほしいのです。欧州はサッカーをよく知っている子どもが多いです。よって、玄人級のファンが多い。ミーハーの観客はいないと言ったほうがいいでしょうか。目立たない良いプレーにも拍手を贈ります。その人たちが選手を育てます。したがってサッカーの人気が落ちないのだと思います。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2023年10月27日海外と日本の「ボールを奪われない距離感」が違う。日本の選手がボールを奪いに飛び込んでも奪えない、すぐに交わされてしまう。海外の選手は、ボールを呼び込んでも相手が詰めてきているのがわかるとワンタッチでパスを出したり、相手を翻弄する。適切な距離感を身に付けさせるにはどうしたらいい?というご相談。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、「適切な距離」についてアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<どんな時でも短いパスをつなぐ子どもたち、背後のスペースを突くなど臨機応変なプレーを身に付けさせるにはどうしたらいい?<お父さんコーチからの質問>こんにちは。私は街クラブでU-12を担当している者です。自分の指導についての質問ではないのですが、池上さんの見解をいただきたく投稿しました。8月末に、千葉県で「ワールドチャレンジ」というバルサのアカデミーが参加する大会がありました。過去の大会でバルサと対戦したチームの話を聞いたのですが(※私たちは出てないので)、その時感じた日本のチームとの一番の違いは「距離感」だったと聞きました。日本より相手と対峙するときの距離が広いと。日本の選手たちがボールを奪いに飛び込んでも奪えない、すぐに交わされてしまう状況だったそうです。ボールを呼び込んでも、相手が詰めてきているのがわかるとワンタッチでパスを出したり、翻弄されっぱなしだったとのこと。自分たちは守備の時近づきすぎていると感じた。あれだけ距離を取りながらのプレーは技術や判断に自信があるから出来るのだろう、とのことでしたが、適切な距離の取り方はどんな風に身につけさせればいいのでしょうか。池上さんはこれまで、ドイツをはじめ海外のプレーも見ていると思いますが、日本と海外の選手の「相手との距離感」について、何か感じたことはありますか。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。こちらのコーチのかたは、すでに正しいことを見抜いていらっしゃいます。■女子W杯でのスウェーデンと対戦した時の日本の姿と同じ相手からなかなかボールを奪えない。取りに行けばかわされてしまう。少しでも間合いを詰めればワンタッチでさばかれ翻弄される。これは、先の女子W杯でスウェーデンと対戦したときの日本の姿でした。この話を私が外部指導員を務めている高校サッカー部の先生としました。スウェーデンは、日本の選手がプレスにくると自分がつかまる前にサッとパスを出しました。日本の選手を背中に背負ってるときは無理して前を向きません。もしくは一度後ろに下げ、また中に入れたりと、テンポ良くパスをつないでいました。一見すると日本が回させているようにも映るのですが、ボールを失わないのです。「取りどころ」というものがない。それは日本の選手も見つけられなかったのでしょう。7対3くらいでスウェーデンがキープしていました。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■日本の中盤がボールを取られずにプレーできた理由では、日本の攻撃はどうだったでしょうか。日本はスウェーデンがやったように、ビルドアップする段階でそれぞれの選手がもっと早くパスを出さなければいけないと感じました。例えばセンターバックの熊谷選手。攻撃のとき、ボールをもらうと最低でも2タッチしてからパスを出していたように見受けられました。2タッチで出してしまうと、せっかく逆サイドに展開しても相手に時間を与えてしまいます。スウェーデンからすれば守備の陣形を整える余裕をもらえることになるので、もっとボールを素早くさばけたらチャンスは増えたのではないかと感じました。その一方で、中盤の長谷川選手が相手からボールを取られずにプレーできた理由は、いつも相手から離れてパスを受けていたからだと思います。よく言われる「オフ・ザ・ボール」ボールがないところの動きの精度が高いのです。相手が厳しくマークしようと寄ってくれば、裏に抜け出すこともできます。長谷川選手が、相手とフィジカルで競り合うのではなくそういった有効的なポジションがとれるのは、もしかしたら彼女が日本でも他の選手より小柄だからなのかもしれません。体でぶつかっていっても負けてしまうため、相手と離れてプレーする習慣がついた。相手と離れるには、ボールがないときに自分で考えてポジショニングしなくてはなりません。■ボールを取られない「距離感」の正体いかがでしょうか。上述したようなことが、ご相談者様がおっしゃる「距離感」の正体です。例えば小学生の指導者からよく聞こえるのは「体をあてろ」「体を入れろ」「(押されても)負けるな」といった声です。そうなるとアタックというものが子どもたちにとって、体を張って、相手を押さえ込んで行うイメージになりかねません。体を接触させることを良しとするコーチングになってしまいます。もちろん上の年齢になってくれば競り合わなくてはいけない場面も出てきます。が、小中学生ではそういったことを指導する必要はありません。私の知る限り、海外では「体を」という表現はしません。指導者は「足を出せ」と教えます。子どもたちが足を出す距離感を知っているのを踏まえてのことです。見ていると、子どもたちはそこまで近づきません。■体を当てるのではなく、足を出す京都サンガで育成部長などの仕事をしていたころ、15歳以下の香港代表がやってきました。サンガの中学生たちと試合をすると、香港の子どもたちは欧州の子どもと似ていました。相手の足を踏むファウルが多いのです。体を当てるのではなく、うまく間合いを計りながら足を出す。サンガの子たちとは違うボールの取り方をしていました。試合ではサンガが苦戦していました。サンガの中学生は相手に足を踏まれるとファウルをアピールします。しかし「それはボールに行ってるからファウルじゃないよ」と度々審判から説明を受けていました。試合をジャッジしてくれたのはサンガにいた国際審判の方でした。正しく指摘してもらえたのは非常に運が良かったです。ごく普通の審判であれば、足を踏んだらファウルとしてしまったかもしれません。ボールに当たった後、足を踏んでしまうからです。守備をする側(この場合はサンガの中学生)も、相手がボールにきているのだという意図を理解していなくてはいけません。■相手の足が届かないところでプレーすること(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)また後ろからのチャージもありました。危険なプレーでもあり、そのあたりは判断が難しいところではありますが、すべて止めてしまうとサッカーの戦いの部分が消えてしまいます。日本の子どもたちは簡単に「ファウル!」と言わず、プレーを続けなくてはいけません。サッカーはチームゲームなので、そこでパスの選択肢を増やしていけば相手との接触プレーは減らせるのです。そのあたりを子どもたちに伝えつつ、相手との距離感について正しい理解がされるよう指導してください。相手の足が届かないところでプレーすること。まずは、ここをよく考えてください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2023年09月29日先日開催されたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで、昨年の優勝チームとして、大会前から注目を集めていた、malva future select。予選リーグを2位で通過すると、ラウンド16でSORISSO SELECTにPK戦の末、敗れました。昨年同様、攻撃的なスタイルで大会を沸かせたmalva future selectの浅野智久監督(以下、浅野)に、試合中に送ったアドバイスやマルバが目指す育成などについて話を伺いました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)昨年優勝ということで開幕前から注目を集めたmalva future select(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■コーチに何か言われるのを待っているのはマルバの姿勢ではない――大会を通じた感想を聞かせてください。(SORISSO SELECTにPK戦で敗退)浅野チームとして、ちょっとずつ良くなってきていました。マルバらしさって何だろうと、昨日もずっと考えていたんです。結論としては、少し感じを変えたいなと思っていました。ただ頑張るというよりは、自分たちで感じて、狙いを持ってプレーする形にしたいなって。ラウンド16の試合前に練習をしたのですが、そこでは子どもたちがコーチに頼りすぎている空気を感じたんです。コーチからなにかを言われるのを待っていたので「マルバって、そういうのじゃないよね?」と話をしました。「もっと自分たちで感じて、どうやったら点を取れる、どこを狙っていく?どこが危ない?じゃあどうするっていうのが俺らのサッカーだから、それをやろうよ」という話をしました。「勝ち負けの前に、まずはそれを目指さないと駄目だよね」って。「勝ち負けの前に目指さないといけないもの」について語ってくれた浅野監督(C)新井賢一――その成果か、かなり相手を押し込んでいましたね。浅野ポジションを4-2-2-2にして、流動的になるようにしたんです。その方がマルバっぽいから、もっと自由にプレーしようという話して、試合に入ったら、結構良かったんですよね。PKで負けてしまいましたけど、世の中の人にもっとマルバのサッカー、フットボールを見てもらいたかったです。それは僕らが見せたいというよりは、周りの人たちに必要なことだろうと思っているので。その部分はもったいなかったですが、やれるだけのことはやりました。■上田綺世は、監督が要求することに応えつつ点を取ることにこだわったから今の活躍がある――この経験を、選手たちにどう今後に活かしてほしいですか?浅野マルバからプレミアリーグに行く選手であったり、バロンドールを出すことを目標にしているので、そこを目指してほしいです。この前もOBの上田綺世と話をしていて、いまお話したようなことを、あいつにもずっと言ってきたんですね。彼も「自分の特徴や、自分に何ができるかが、プロにつながった」と言っていました。監督が要求することに応えつつ、ストライカーとして点を取ることにこだわってきて、その結果がベルギーリーグで22ゴールですから。「それもマルバと一緒に成長してきたことだね」って話をしたんですけど、今いる選手たちにもそこは求めたいです。そこに到達するイメージは湧いているので、そうなってくれたらいいなと思っています。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■選手たちはどう感じたのか試合後、選手たちに話を聞きました。(予選リーグ2試合目FC PORTA戦後)インタビューを受けてくれたのは郷内煌生くん(10番)、松原龍南くん(5番)試合の感想を語ってくれた選手たち(C)新井賢一■初戦は緊張していつものプレーができなかった――1試合目は横浜F・マリノスプライマリーに0-1で敗れました。試合の感想を聞かせてください。郷内どっちに転んでもおかしくない状況だったんですけど、コーナーキックの1点で勝敗が決まってしまったので悔しいです。みんな緊張していて、自分たちがいつもやっているプレーができなくなって、そのときに失点してしまったので、焦って点を返せずに負けてしまいました。松原1試合目は少ししか出ていないのですが、外から見ていて、攻める人数が少ないなと思いました。後半は相手に攻められていたので、こっちが攻めに行くときの人数が少なくて、点を決められませんでした。――2試合目のFC PORTA戦では、郷内選手がフリーキックから2点決めました。キックは得意なのですか?郷内はい。相手のGKが大きくはなかったので、良いコースに蹴れば入るかなと思って蹴ったら入りました。――2試合目は、どのような感想を持っていますか?松原前半は点を取ることができなかったけど、自分たちのペースだったので、後半に入って点を決めることができたので良かったです。みんなが積極的に仕掛けていたので、ファウルをもらうことができて、(フリーキックからの)点につながったと思います。■チームのために自ら志願してバックラインを修正――2試合目は郷内選手が自分から、監督に「後ろのポジションをやった方がいいと思う」と言ったそうですね。郷内はい。1試合目はみんな緊張していて、バックラインがしっかりできていなかったので、僕が入って修正しようと思いました。自分としては、勝利に貢献することを考えていて、チームの攻撃が足りているようだったら守備に入ったり、守備が十分だったら自分で点を決めにいくことをしたいと思っています。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月15日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジでは、アイリスFC住吉、千葉県トレセン、バルサアカデミージャパン選抜と同じグループに入り、3引き分けで終えた川崎フロンターレU-12。下位トーナメントでは、フィジカルに優れる大連人職業サッカー倶楽部(中国)を無失点に抑えた後、惜しくもPK戦で敗退しました。試合後、U-12を率いる大和田直哉監督(以下、大和田)にどんな狙いをもってこの大会に参加したのかと、フロンターレの育成について話を伺いました。(取材・文:鈴木智之、写真:高瀬波音也)川崎フロンターレU-12対大連人職業サッカー倶楽部(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■フロンターレらしいサッカーができなかった――大会を通じた感想を聞かせてください。(5戦5引き分け)大和田11人制に向けて準備をして、いい形で攻撃ができるなという印象で入ったのですが、予選リーグは、どこのチームもうちに照準を合わせてくる中で、守りに来られて点が取れませんでした。相手を崩し切れず、試合時間も短い中で選手たちが焦り、フロンターレらしいサッカーができなかったという印象です。■「同学年でもこんなに違う......」プレーを見て感じたバルサと自分たちとの差バルセロナのプレーを見て自分たちとどんな部分が違うと感じたかを語ってくれた大和田監督(C)高瀬波音也――大会に参加するにあたって、どのような狙いを持って臨んだのでしょうか?大和田一番はバルセロナという世界的なチームと試合をすることで、たくさんのことを感じられると思っていたので、その経験の場にしたいと思っていました。普段なかなかできない経験を日本で積むことができるのが、この大会の意義ですからね。そこに導けなかったのは、僕の力不足です。――バルセロナとの試合は叶いませんでしたが、彼らのプレーを見た印象は?大和田頭が大人並みに整理されていて、同じ学年でもこれだけ違うのかと感じました。ボールにとらわれない技術を持っていて、ボールがないようなサッカーをしている印象を受けました。うちの場合は、ボールコントロールがずれてしまい、そこしかプレーが選べないというところもあったのですが、バルセロナの選手たちはそれがほとんどなかったです。■伸びていく選手のタイプ――フロンターレのユースは高円宮杯プレミアリーグEASTで優勝争いをしていて、ジュニアユースはクラブユース選手権でベスト4でした。A代表を始め、世代別代表にも多くの選手を送り込んでいて、育成の成果が出ていると感じます。大和田僕は今年からU-12を担当しているのですが、その前はアカデミーのスカウトやスクールのコーチをしていました。そのときに宮城天や宮代大聖、久保建英も4年生のときに見ているので、彼らが基準になっています。ジュニアで上手いと言われている選手であっても、彼らのようにトップに上がった選手たちの小学生時代と比べると、まだまだ足りないなと思うこともあります。――求める基準が高いところにあるわけですね。大和田トップに上がった選手たちの基準で見ています。ジュニアのときの宮代大聖は速くて強くて、上手かったですし、宮城天も絶対的な技術を持っていました。上手くてプラスアルファがあるというか「上手い」が主語になるような選手を育てたいと思っています。僕がいま見ている子たちは、相対的に見るとトップレベルにいる子もいますが、うちでプロになることを考えると、もっと基準を上げていかなければいけないと思っています。――経験上、どのようなタイプの選手が伸びていきますか?大和田「自分はまだまだ足りない」というメンタルがある子は伸びていきます。「できてるじゃん」と思う気持ちと、どう折り合いをつけていくかですよね。「コーチ、俺できてるでしょ」ってなってしまうと、伸びて行きにくいのかなと思います。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■アカデミー出身の三笘薫が与える影響――アカデミー出身の三笘薫選手がブレイクしていますが、先輩たちの活躍は、子どもたちにどんな影響がありますか?大和田とてつもなくいい影響を与えてくれています。今年、(新しい練習施設の)生田(Anker フロンタウン生田)ができて、オフの期間にほとんどの選手が来てくれました。三笘選手もサインを残してくれたり、選手に声かけてくれたりして、すごく影響を受けました。彼らに少しでも近づくために、選手はそれぞれ想いを持って取り組んでいます。モチベーションになるので、ありがたい限りです。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月14日先日行われたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。予選リーグを1位で通過し、決勝トーナメントに進んだアイリスFC住吉。ラウンド16でエコノメソッド選抜に僅差で敗れましたが、攻撃的なスタイルが印象的でした。ラウンド16の試合後、久保秀太郎監督(以下、久保)と選手たちに育成の話や試合の話を伺いました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一、高瀬波音也)グループリーグでは川崎フロンターレと対戦したアイリスFC住吉(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■チャンスに決めきる力があれば......――試合の感想をお願いします。(ラウンド16で勝てばバルサとの対戦だった)久保もう少し、チャンスに決めきる力があったら、結果も変わったのかなと思います。うちのストロングポイントである9番、10番のところをうまく抑えられたなという印象です。それ以外のところは、どちらに転んでもおかしくないゲームだったと思います。■別のスタイルのサッカーに触れたときに何もできない選手にならないようにするジュニア年代でどんなことを意識しているか語ってくれた久保監督(C)高瀬波音也――上にジュニアユースのカテゴリーもある中で、ジュニアではどのようなことを意識して指導をしているのでしょうか?久保あまり偏らないようにというか、アイリスのカラーを出しすぎず、高校、大学で活躍できる選手の育成を考えています。別のチームに行って、スタイルの違うサッカーに触れたときに、何もできない選手にならないようにすることが大切です。基本的なところを押さえて、次の世代にバトンを渡すイメージです。■ジュニア年代では詰め込みすぎない――アイリスFC住吉出身の選手は、高校年代の強豪チームにたくさんいますよね?久保そうですね。高校でキャプテンをしていたり、チームの中心としてやっている子も多いです。先々で活躍できる選手になってもらいたいと思っています。なので、ジュニアではあまり詰め込みすぎず、基本的な個人とグループのところを指導して、ジュニアユースになってプラスアルファしてという形でやっています。――OBで有名な選手というと誰になりますか?久保よくメディアに出ているのは、コンサドーレ札幌から名古屋グランパスに行った中島大嘉です。彼のジュニア時代には、関わらせてもらいました。あとは松本山雅でキャプテンをしている菊井悠介です。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■バルサなど海外選手のプレーを直接見て世界を知れる機会でもある――世界に挑戦する「ワールドチャレンジ」を、今後の選手たちの成長に、どのように生かしてもらいたいと思いますか?久保大会に来るにあたって「世界を知ろう」というテーマを持って臨みました。海外のクラブと試合はできなかったのですが、彼らのプレーを見て、自分のいまと比べて、追いつき、追い越すためにどうしようかという話は、子どもたちにしています。試合ができたら、もっと感じることができたんですけどね。あと一歩のところだったので残念です。関西はいいチームが多いので、予選を勝ち上がるのは難しいのですが、また出られるように頑張ります。■選手たちはどう感じたのか試合後、選手たちに話を聞きました。インタビューを受けてくれたのは望月優貴くん(7番)、芝野椿也くん(9番)、音出夏輝くん(14番)。試合の感想を語ってくれた選手たち(C)高瀬波音也■チームで声を出して協力して戦えたところが良かった――大会を通しての感想、自分のプレーで通用したところ、自信になったところはありますか?音出チームで声を出して、みんなで協力して戦えたところは良かったです。自分のプレーでは、ドリブルの守備の対応がよくなったと思います。芝野ボールを収めるところはできたのと、ドリブルとシュートは通用しました。今大会は3点取りました。望月自分のプレーで通用したのは、パスカットや1対1の対応です。■守備はみんなで連携しないとボールが奪えない――チームの特徴と大会で学んだことを教えてください。音出みんな個性があってとても良いチームです。これからも仲間たちと一緒に上を目指していきたいです。大会に出て、まだまだ上のチームがいるとわかったので、そこに立ち向かえるようなチームになりたいです。芝野このチームは、明るくて元気があるチームです。大会で学んだことはシュートを決めきる力です。望月誰が試合に出ても強いチームです。今大会で、守備はみんなで連携していかないとボールを取れないことを学びました。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月13日先日行われたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで決勝トーナメントに進出した、湘南ベルマーレアカデミー選抜。ラウンド16でSOLTILO SELECTに敗れましたが、アグレッシブなプレーで大会を彩りました。試合後、チームを率いる太田隆一監督(以下、太田)と選手たちに話を伺いました。この年代の育成における重要な事などをお伝えします。(取材・文:鈴木智之、写真:高瀬波音也)ラウンド16でSOLTILO SELECTした湘南ベルマーレアカデミー選抜(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■前向きにチャレンジすることができた選手たちを褒めたい――試合の感想をお願いします。太田勝負の分かれ目として、前半の決定機を外してしまったところが大きかったのかなと思います。ただ、その後は慌てず、自分たちの良さを発揮して、逆転を目指してくれました。そこはポジティブにとらえていますし、良い部分の方が多く出た試合だったと思います。予選の3試合目は、勇気を持てなかったり、準備が悪かったりと、ネガティブな部分がたくさん出た試合でした。それを経て、ラウンド16では前向きにチャレンジすることができたので、褒めてあげたいなと思います。■今後サッカーを楽しんでいく上で、小学生年代で重要な事アカデミーではサッカーのスキルだけでなく人間性も大事にしていると語ってくれた太田監督(C)高瀬波音也――チームにはスローガン「たのしめてるか。」がありますが、今後、サッカーを楽しんでいく上で、この年代ではどのようなことが重要だと思いますか?太田プロを目指す上では、楽しいことばかりではありません。苦しいことや辛いこともある中で、それを克服することすらも楽しみに変えていくこと、ポジティブにとらえてチャレンジできるかどうかだと思います。■ピッチに入ったら選手が主体的に考えて行動を起こすことが大切――そのあたりで、今大会の収穫や成長は感じられましたか?太田サッカーは、ピッチに入れば選手がやるもので、選手が主体的に考えて、行動を起こすことが大切です。その面では、選手の中から「もっとこうしよう」といった会話が生まれてきたことは前進かなと感じました。この子たちは選抜なので、チームとして戦う機会はほとんどありません。戦いながら成長する意味では、1試合1試合、チームとして成立していったと思います。ゲームによってはシステムを変更したり、シチュエーションを変えながらやりましたが、柔軟に対応できていたのは収穫だったと思います。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■遠藤航選手の影響、プロになるためにはサッカースキルだけでなく人間性も大切というアカデミーの教え――アカデミー出身の遠藤航選手がリバプールに移籍しましたが、後輩たちにはどんな影響がありますか?太田すごく良い影響があると思います。彼は世界のトップでやっているわけですからね。他にも、残念ながら大きな怪我をしてしまった齊藤未月も、彼らのお手本になる選手です。ベルマーレのアカデミーから、世代別代表に何名も入っていますが、プレーだけでなく、人間性の部分でも評価を受けています。それが、各年代でキャプテンマークを巻いていることにつながっているのだと思います。プロとして生きていくためには、サッカーが上手なだけではなく、人間性も大切です。ベルマーレのアカデミーでは、そこにも意識を向けています。■選手たちはどう感じたのか試合後、選手たちに話を聞きました。インタビューを受けてくれたのは山田将宗くん(7番)、上野昴くん(2番)、北條蓮くん(10番)。試合の感想を語ってくれた選手たち(C)高瀬波音也■シュートを外した時、仲間が「切り替えろ」と声をかけてくれた――試合の感想を聞かせてください。山田相手に押し込まれた部分があって、マイボールを簡単に蹴ってしまい、そこからカウンターを受けたりと、相手ボールのことが多かったです。自分のプレーとしては、左サイドから仕掛けて、シュートまで行くことはできました。上野相手は体が強くて、足も速いので、サイドから押し込まれてしまいました。ただ、当たり負けはそこまでしませんでした。暑さもあって、ちょっときつかったですが、自分のプレーもできたので良かったです。北條相手はフィジカルが強くて、そこで負けていた部分がありました。もっと勝てるようにしていきたいです。シュートを外してしまったけど、仲間が「切り替えろ」と声をかけてくれて、切り替えられたのは良かったです。■自分より大きい選手、速い選手らと戦ってどれだけできるか試せた――この大会で印象に残っていること、成長できたところがあれば教えてください。山田対戦相手に大きい選手、速い選手などがいる中で、自分がどれだけできるかが試せて良かったです。上野走り負けないことです。勝った試合もあったので、嬉しかったです。北條みんなとサッカーができたことです。自分より大きくて速い相手と戦うことで、少しは成長できたかなと思います。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月12日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで、大会の目玉となったのが、街クラブ選抜です。今大会は大和ハウスFUTURES、大和ハウスDREAMSの2チームがエントリーしており、構成メンバーは全国で開催されたセレクションで選ばれた選手たちです。毎年、元プロ選手やプロ監督がチームを率いることで知られており、今大会の大和ハウスFUTURESは、ガンバ大阪などで活躍された、元日本代表の橋本英郎さん。大和ハウスDREAMSは、柏レイソルやジェフユナイテッド市原・千葉で活躍された、元日本代表の近藤直也さんが監督を務めました。大和ハウスFUTURESは初戦でFC大泉学園と対戦し、3-0で勝利しました。試合後、監督としてチームを率いた、橋本英郎監督(以下、橋本)に話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)セレクションで選ばれた大和ハウスFUTURESの選手たち(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■この大会で経験したことが底上げにつながればいい――今回、大和ハウスFUTURESの監督を受けようと思った理由を教えてください。橋本いろいろな選手が全国から集まっているので、彼らの将来に触れることができる機会はあまりないと思ったのと、彼らが自分のチームに戻ったときに、ここで経験したことが周りに派生していって、底上げになればいいなという思いがありました。そこに関われるのであればやってみたいということで、監督を引き受けました。大和ハウスFUTURESの監督を務めた元日本代表の橋本英郎さん(C)新井賢一――今年1月に現役引退を発表されましたが、普段は指導に関して、どのような関わり方をしているのでしょうか?橋本今は高校と大学で指導しています。あと、ジュニアユースのチームを(兵庫県の)明石で持っていて、スクールもしています。将来的にはトップの方に入っていくつもりですが、まずはいろいろ勉強しながら、その先に進むことができたらいいなと思っています。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■指示を出されることに慣れている子が多い――大和ハウスFUTURESの選手たちに、どのようなことを伝えたいですか?橋本ある程度、力のある子が集まってきているので、当然いい部分もあるのですが、チームでちやほやされている子が多いと感じました。それもあって、人間教育的な部分に力を入れたいです。彼らはチームに戻れば、中心選手としてプレーしていたり、キャプテンをしている選手も多いので、人間的な部分でどっしりとできるようになれば、チームに戻ったときの振る舞いも変わるのではないかなと思っています。――メンタリティが変わることによって、プレーも変わっていくことは、実感としてありますか?橋本そうですね。まずそこを試合の間に整えたいなと思っています。明日はユベントスとの試合もありますからね(結果0-0)。また、彼らと関わる中での印象として、指示を出されることに慣れている子が多いと感じました。(初戦では)僕はあまり指示を出さなかったので、混乱しながらも頑張ってくれていました。それを踏まえてポイントを伝えていくと、徐々に立ち位置も直ってきました。■競争を勝ち抜く為に必要な事――大和ハウスFUTURESの選手たちは、セレクションを勝ち抜いて選ばれました。橋本さんもいろんな競争を勝ち抜いてプロになり、日本代表に上り詰めたわけですが、競争を勝ち抜くために、どのようなことが必要だと思いますか?橋本チームを勝たせられる選手になることであったり、自分が与えられた役割を理解して、プレーできるかどうかは大事なことだと思います。まだこの年代なので、役割とかはわからないかもしれませんが「チームのために、自分は何ができるか」を、自分なりに解釈して頑張ることができたらいいと思います。選手たちには、そういう話もしていきたいです。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月08日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。予選リーグではイタリアの名門ユベントスに1-1で引き分け、2位で決勝トーナメント進出を決めたエコノメソッド選抜。スペイン・バルセロナで生まれた、「サッカーインテリジェンスを高める指導」でおなじみのエコノメソッドですが、今大会のチームは対人守備の強さも含め、攻守にハイレベルのチームでした。ユベントスとの試合後、エコノメソッド選抜のベルナ・シウラーナ監督(以下、ベルナ)に話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)ユベントスと引き分けたエコノメソッドスクール選抜(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■急造チームにとっては大会の入り方が重要――ユベントス相手に1対1の引き分けでした。試合の感想を聞かせてください。ベルナユベントスが難しい相手だということはわかっていました。僕たちはスクールの選抜チームで、普段チームとしてトレーニングしているわけではありません。それもあって、大会の入り方が重要だと思っていました。その意味では、後半追いつかれましたが、全体としてはいい形で試合ができたと思います。守備のコンセプトなどを語ってくれたベルナ・シウラーナ監督(C)新井賢一――フィジカル、スピードに優れたユベントスに対して、エコノメソッド選抜の選手たちは、個とグループで対抗する守備が素晴らしかったです。ベルナエコノメソッドスクールでは、日頃から守備についてもテーマを設け、しっかりとトレーニングしています。その成果が、この大きな舞台で出せたので嬉しいです。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■「相手にとって難しい状況に追い込む」エコノメソッドスクールが取り組む守備のコンセプト――守備のテーマはどういうことを教えているのでしょうか?ベルナ『プレス』についてであれば、相手選手にスペースを与えないように、しっかりと寄せていくことが重要です。そして、相手をどちらに追い込んでいくのか。外に追い込むだけではなく、利き足ではない方に追い込んでいく。相手にとって難しい状況に追い込んでいきます。そのように頭を使いながら、デュエルに関してプレーしていきます。『マーク』に関しても、ボールを持ってない相手に対して、どうやって守るのか。認知をするための体の向きをどうやって作るのかといったポイントを教えてます。――それらのコンセプトは、どのようなスパンで浸透させるのでしょうか?ベルナ一つのテーマ、例えばプレスであれば、1ヶ月半ぐらいかけてトレーニングをしていきます。一つのテーマを1週間しかトレーニングしなければ、何も頭には残りません。プレスであれば1回のトレーニングで「どちらのスペースに相手を追い込んでいくか」といったように細分化して落とし込んでいきます。――ポイントを落とし込む上で、意識していることはなんでしょうか?ベルナコーチが最初から「相手を右に追い込め」などと答えを与えるのではなく、選手自身に考えさせるような質問、問いかけをすることです。例えば「その場面では、相手をどっちに追い込んだ方がいい?」「どっちの方がスペースが少ない?」といった声かけを通じて、選手に理解させて、自分自身で判断できるようにしていきます。■ジュニア年代で攻撃のトレーニングしかしないと将来に悪影響がある――日本の選手に関して、守備の個人戦術がそこまで身に付いていない印象があるのですが、どう思いますか?ベルナサッカーは攻撃だけではなく、守備も含めて、すべてのプレーが重要です。ジュニア年代で攻撃のトレーニングしかしていないのであれば、将来に悪影響があるというか、苦手なところが目立ってしまいます。その考えのもと、我々エコノメソッドは攻撃だけではなく、守備においてもトレーニングしています。――その観点から言うと、ユベントスの試合はどうでしたか?ベルナユベントスが前線からプレスをかけてきて、我々の最終ラインが同数にされたことにより、ボールを持つ時間が短くなってしまいました。相手の攻撃の時間が増えたことで、守備が重要な試合になったと思います。その中でも1対1で勝つことができましたし、難しい場面では時間をかけることによって味方の戻りを待つといったように、個人ではなく、チームで戦うことができていました。その結果、我々は選抜チームですが、ユベントスという強豪相手に競り合うことができたのではないかと思います。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月07日先日開催されたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。グループリーグ最終戦でFCバルセロナと対戦した、ジェフユナイテッド市原・千葉U-12。バルサが先制すれば、ジェフが追いつくという白熱した試合展開でした。試合は3-2でバルサが勝利しましたが、最後まで目が離せない好ゲームを繰り広げた、ジェフユナイテッド市原・千葉U-12の茂垣将太監督(以下、茂垣)に、バルサ戦後、話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)バルセロナ相手に一進一退のゲームを見せたジェフユナイテッド市原・千葉の選手たち(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■バルサに対して狙っていた形で良いゲームに持ち込めた――後半最後のプレーで勝ち越しを許しましたが、白熱した試合でした。試合の感想をお願いします。茂垣自分たちが狙っていた形で、いいゲームに持ち込めた実感はあります。隣のコートの情報が入っていて、同点では(決勝トーナメント進出は)駄目だとわかっていました。そういう駆け引きをしながらの失点だったので、しょうがない部分もあったかなと思います。バルセロナに対して狙っていた形で良いゲームに持ち込めたと語ってくれた茂垣監督(C)新井賢一――他会場の状況が、戦い方に影響を与えていたわけですね。茂垣後半の飲水タイムのときは、引き分けでも決勝トーナメントに行けたんです。でも残り2分ぐらいで別コートに動きがあったので、うちは勝ち越しを狙いに行かざるを得なくなりました。よりリスク背負っていった結果、終了間際のラストプレーで失点していまいました。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■チームとして狙っていた形――チームとして、どのような形を狙っていたのでしょうか?茂垣バルサにある程度ボールを持たれる可能性が高い中で、中盤の3人のところでボールを奪ってショートカウンターを狙っていました。うちは前に速い選手がいるので、そこからボールを収めてという形です。――バルサの印象はいかがでしたか?茂垣一人ひとりの判断スピード、プレースピードが速かったです。余計なボールタッチもしないし、シンプルに正確にプレーしていました。毎年、ウイングにすごく速い選手がいるのもバルサだなという感じで、普段は体感できないスピードでした。――個人的には、ゴールを奪いに行くときの迫力がすごいと感じました。茂垣バルサの選手たちは、勝負の分かれ目を知っていますよね。失点も前半開始直後、後半開始直後、終了間際と、取られてはいけない時間帯でした。子どもたちは一生懸命やってはいるのですが、ゲームの入りで、あんなに早く失点してはいけないですし、最後の失点もラストプレーなので、体を張って止めに行かなくてはいけない。そのあたりのシビアさは感じました。■バルサとの対戦は、それまでの基準を変えさせられるいい経験になっている――改めて、バルサとの試合から学んだことはなんでしょうか?茂垣去年もバルサと対戦させてもらって、自分もそうですし、選手たちも、それまでの基準を変えさせられる経験をしています。「そのプレーの基準だと、他のチームに通用しても、バルサには通用しなかったよね?」と、言えるのはありがたいですし、いい経験をさせてもらったと思います。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月06日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで決勝トーナメントに進出し、ラウンド16でFCバルセロナと対戦した、セレッソ大阪U-12。10番の石渡悠吏選手を中心に、バルサの攻撃を粘り強く跳ね返していましたが、0-3で敗れました。セレッソのみなさんは、バルサと試合をしてみて、どのようなことを感じたのでしょうか?試合後、久川直裕監督(以下、久川)と選手たちに話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:高瀬波音也)試合の感想を語ってくれた選手たち(C)高瀬波音也<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■バルサは次の目的を持ちながらボールを受けている対戦してみて分かった自分たちとの違い――バルセロナ戦の感想を聞かせてください。久川子どもたちも言っていましたが、止める蹴る運ぶという、こだわをりを持ってやっているところが出せませんでした。どれぐらい通用するかを試してもらいたかったのですが、運んだら取られるのではないかと、怖がっている部分もありましたね。バルセロナと対戦してみて止める蹴る運ぶの質の高さを実感したと語った久川監督(C)高瀬波音也――セレッソのアカデミーでは「止める蹴る運ぶ」にこだわっていますが、バルサの質に関してはどう感じましたか?久川バルサの選手は、プレーの次の目的を持ちながらボールを受けていますよね。うちの子達は、とりあえずボールを受けるといった感じで、止めるという一つのことはできるのですが、その先の二つ三つまで、意識するところが少なかったのかなと思います。あそこにボールを出したいからここに止めるとか、目的があって、そのために体の向きやボールを止める場所があるわけで、その部分で質の違いを感じました。これからの課題にしていきたいです。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■止める蹴る、運ぶのクオリティを高めるための今後の課題――止める蹴る運ぶのクオリティを高めるために、普段どのようなアプローチをしていますか?久川止める蹴る運ぶをバラバラに取り組むことも、混合させたトレーニングをすることもあるのですが、もう少し「止めて蹴る」ではなく「止めながら運ぶ」「運びながら蹴る」といったところが出せればなと。そこが今後の課題ですし、僕にとってもいい勉強になりました。――セレッソのアカデミーで目指す姿はどのようなものですか?久川一番は技術の向上です。もちろん年齢が上がればスピード、パワーも必要になってはきますが、まずは技術を向上させて、個人で戦える選手を育成したいと思っています。■ワールドチャレンジは世界を垣間見ることができる大会――去年に続くワールドチャレンジの出場ですが、大会の意義はどう感じていますか?久川ワーチャレは世界を垣間見ることのできる大会です。僕自身、ワーチャレで感じたことを子どもたちに伝えながらやってきました。大事にしていることは去年も今年も同じなので、それをどれだけ突き詰めてできるか。彼らの今後の成長に期待したいです。■選手たちはバルサとの対戦をどう感じたのかバルセロナとの試合後、選手に話をうかがいました。インタビューを受けてくれたのは中杉環くん(11番)、石渡悠吏くん(10番)、大村憲心くん(8番)、藤田大智くん(7番)、梅本淳正くん(6番)、泊樹佑くん(4番)■バルサは止める蹴る、運ぶの一つひとつが上手かった――バルセロナと試合をした感想を聞かせてください。中杉バルセロナは広がってプレーしていて、真ん中で引きつけた後にボールを戻して、次にサイドを使ったりと、常に遠くを見ながらプレーしていました。もっと縦と中を切って守備をすれば良かったです。ポジショニングの微調整が大事だと思いました。石渡バルセロナは真ん中にボールをつけて戻して、サイドに振ってから縦に突破することが多かったです。2人の間を強引に割られて危ない場面があったので、次に生かせるように頑張りたいです。大村バルサは止める蹴る、運ぶ、一つひとつのプレーが上手くて、いろんなところが見えていました。藤田一人ひとりが強くて、何人かでボールを取りに行っても抜かれるし、一つのミスが大きなピンチになってしまうので、これからはミスを少なくしていこうと思います。梅本フィジカル面が自分たちと違って、世界レベルで速かったです。自分たちが守備をしていても、バルサは集中が切れた隙を逃がさず、攻撃してきました。泊個人能力が高くて、3人で囲んでも取れないこともあったので、ひとりでも取れるようにディフェンスを高めていきたいです。■バルサとの対戦を今後どう生かすか――バルサと試合をした経験を、今後どう生かしていきたいですか?中杉ワンタッチの質を上げて、駆け引きして、一歩外れて、持ちすぎずにはたいてもう1回受ける回数を増やしていきたいです。石渡1人でも守れるように強く行って、ボールを取り切り、前に繋げられるようにしたいです。大村バルサみたいに一つひとつのプレーが上手くなれるようにもっと練習して、試合で生かせるように、頑張りたいです。藤田攻撃のときにもっと落ち着いボールを回して、何人かでパスを回して、ゴール前まで行って決めきることができるようになりたいです。梅本体で劣っていても、技術で勝るために磨いていきたいです。泊バルサよりも上というか、どのチームにも通用する技術を身につけたいです。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月05日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで、ベスト4に進んだ、横浜F・マリノスプライマリー。ラウンド16ではしのぎを削るライバル、柏レイソルU-12に勝利。準々決勝ではエクセレントフィートFCに逆転勝ちを収めました。準決勝では、念願だったFCバルセロナと対戦。強豪相手に真っ向勝負を挑むなど、貴重な経験をしました。ラウンド16の試合後と準決勝の後、土井孝徳監督(以下、土井)と選手たちに話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一、高瀬波音也)準決勝ではバルセロナと対戦(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■横浜F・マリノスプライマリーの育成コンセプトとはた――ラウンド16で柏レイソルU-12に勝ちました。試合の感想をお願いします。土井次のステージに進めたので良かったです。最近は守備をテーマにしていたので、相手の陣地でミスを誘ったり、ボールを奪ってチャンスに繋げる部分は良かったと思います。攻撃においてはもう少し、主導権を持ってやりたかったです。――横浜F・マリノスプライマリーの育成コンセプトはどのようなものでしょうか?土井攻撃的かつ主体的に、トップチームが掲げている「アタッキングフットボール」に繋げられるような選手を育てていければと思っています。個人では技術的にいろんなことができて、自分で考えて判断ができる選手。そして特徴を持っている。このあたりがしっかりと備わって、次のステップに進んでいくことが大事だと思っています。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■ワールドチャレンジは普段できない経験ができて、成長するきっかけになる――U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジは、世界にチャレンジする場です。どのようなモチベーションで臨んでいますか?土井この大会は11人制なので、6年生から中学生に近づいていく中で、8人制とは違う経験をすることができます。海外のチームも参加しているので、普段できないような経験ができて、選手にとって成長するきっかけにもなると思っています。海外チームとの対戦など普段できない体験ができるのは成長のきっかけになると語ってくれた土井監督(C)高瀬波音也■映像で見るだけでなく、バルサと直接対戦したからこそ分かったこと土井監督には、準決勝終了後も話をうかがいました。――FCバルセロナとの準決勝は大差(1-8)がつきました。試合の感想を聞かせてください。土井相手はバルセロナでしたが、腰が引けるのではなく、ぶつかってみようということで挑みました。それがこの大会に出た意義でもあるかなと。その結果、選手たちはまだまだだなと痛感したと思います。そのような経験ができたことは良かったと思います。――映像で見るバルセロナと、実際に試合をしたバルセロナでは、印象に違いはありましたか?土井一人ひとりの上手さがありましたね。試合をしてみて、なかなかボールが取れませんでした。個の部分で落ち着いているし、余裕がある。我々は相手からボールを奪うことにパワーを使って、攻撃でパワー不足になってしまったところもあったと思います。――改めて、ワールドチャレンジの意義について聞かせてください。土井バルサも準決勝の大きな舞台で一生懸命やってくれましたし、そういう中で選手は様々な経験ができました。それも大会に出場する狙いの一つだったので、すごく感謝しています。■選手たちはどう感じたのかラウンド16の柏レイソル戦(3‐1)後、選手たちに話を聞きました。インタビューを受けてくれたのは板東仁くん(10番)、山田湊斗くん(11番)、小川陽くん(4番)。試合の感想を語ってくれた選手たち(C)高瀬波音也■最後まであきらめない気持ちが大事――試合の感想をお願いします。板東別の大会のリーグ戦で大差で負けた相手で、チームメイトが熱を出して出られなかったこともあって、その分も頑張りました。先制点を取れたのが良かったです。山田僕は2点決めることができたのですが、クロスのときに走り込むとか、こぼれ球に対して、最後まで諦めない気持ちが大事だと思いました。小川試合前にみんなで気持ちを高めて、全員で円陣をしたり、昨日の夜もホテルでミーティングをして準備は万全だったので、勝ててよかったです。■大会を通じてチームとして成長したと感じるところ――チームの特徴、ストロングポイントはどんなところだと思いますか?板東みんなが声出すところや、1対1で体を張ってプレーするところです。山田同点になっても先に失点せず、得点に繋げられるチームワークです。小川プロもやっているアタッキングフットボールです。攻撃をして、ボールを奪われてもすぐ取り返して、また攻撃するところです。――今大会、成長していると感じるところは?板東暑い中でも走ってゴール前に顔を出したり、ピンチのときはみんなでカバーしてディフェンスをすることです。山田点を取ることです。先制した後に追いつかれちゃったけど、その後、逆転できたのは成長できたところだと思います。小川これまでは失点するとネガティブな感じになることもあったのですが、この大会では先制点を取って、追いつかれても冷静に、みんなで助け合って、話し合ったから逆転できたと思います。そこが成長できたところかなと思います。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月04日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで、2年連続ベスト4に進出したヴィッセル神戸U-12。昨年度は準優勝、今大会は3位と好成績を残しました。意図のあるボール保持から相手の守備を攻略し、ゴールを奪う姿は大会屈指の完成度でした。昨年に続き、チームを率いる坪内秀介監督(以下、坪内)と選手にラウンド16(3-1)と準決勝(0-1)終了後、話を伺いました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一、高瀬波音也)準決勝ではソレッソセレクトと対戦(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■相手のどこの間を壊していくか、その判断が足りなかった――SORISSO SELECTとの準決勝(0-1)では、相手のフィジカルや高さに手を焼いた印象を受けました。試合を振り返って、感想をお願いします。坪内攻撃が縦に早くなってしまいました。もっとボールを保持して、相手を横にずらして、ひとつずつラインを押し上げたかったのですが、相手の重心がかかっている方へスルーパスを出したりと、攻撃面で急ぎすぎてしまいました。判断の部分で、狭いところに行くのではなく、方向転換してとか、立ち位置をとって、相手のどこの間を壊していくか。そのあたりを、前半からできればよかったです。相手の守備が整っていない状況であれば、カウンターを仕掛けてもいいのですが、相手のブロックがしっかりしている状況でパスを差し込んでいたので、センターバックを引き出したりとか、相手の矢印を観てとか、もうちょっと相手を食いつかせてから攻撃したかったです。「バルサと決勝で戦いたい」という想いから、高揚してしまった部分もあったと思います。そんな状況でも冷静に判断できるようにならないといけません。メンタル面も含めて、いい経験になりました。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■普段より幅もスペースもある中でどうプレーすればいいかが課題――SORISSO SELECTの印象はいかがですか?坪内フィジカルで優位性を作られるのはしょうがないと思っていました。シンプルにボールを動かしてサイドの勝負、FWの質の勝負を挑んでくる中で、ある程度ピンチになる場面もあるだろうとは思っていました。その中で選手たちは気持ちを見せて、粘り強くやってくれたと思います。今大会に出場しての収穫や今後の課題を語ってくれた坪内監督(C)新井賢一――昨年(準優勝)に続きベスト4に残り、フクダ電子アリーナに立ちました。大会を振り返って感想をお願いします。坪内有名なチームとたくさん試合ができましたし、来年から11人制に移行する中で、ヴィッセルとしてのやり方も含めた感覚がわかったのは良かったと思います。普段より、幅も深さもスペースもある中で、どうプレーしていけばいいのか。フィニッシュゾーンでの引き出しが少なかったと感じているので、次につなげていきたいです。■いくらサッカーを頑張っても選手自身が身体のケアにおざなりでは上に行けない――選手に話を聞くと、トレーナーさんがついてくれるおかげで、連戦の疲労感が少ないと言っていました。坪内それはすごく大事なところですよね。いくらサッカーを頑張っても、そこがおざなりになると意味がないですし(体のケアも)やっていかないと、上には行けないよと、日頃から言っています。「お菓子やアイスを食べていて、プロになれるの?なれないよね。じゃあ止めないとね」って。12歳という入り口の段階で言わないと「なんであのときに言わなかったんだ」となってしまいますから。気づいたときには戻れないので、小学生だからこそ言わなくてはいけないと思っています。■選手たちが大会を通じてチームとしてうまくいったと感じる部分ラウンド16終了後(大和DREAMSに3-1で勝利)、選手たちにも話をうかがいました。インタビューを受けてくれたのは石丸悠羽くん(10番キャプテン)、岡田隼輝くん(9番)、三崎屋史虎くん(7番)。試合の感想を語ってくれた選手たち(C)高瀬波音也■選手たちが大会を通じてチームとしてうまくいったと感じる部分――大和DREAMSに3-1で勝利しましたが、試合の感想を聞かせてください。石丸チーム全体で守備にも攻撃にも参加して、ゴールに向かうことができていたと思います。岡田いい形で試合に入ることができて、うまく試合を進められたと思います。三崎屋みんなが一丸となって、しっかり戦えたことがよかったです。――今大会、チームとしてうまくいっている部分は?石丸ボールを動かすところや、サイドチェンジをしてから縦パスを入れて、ゴールに向かうところです。チーム全体での攻撃、守備がうまくいっていると思います。岡田サイドで数的優位を作って、クロスを上げて点を決めることができているところです。三崎屋センターバックがしっかりボールを運んで、ウイングも幅をとって、サイドで1対1や2対1を作れているところです。■トップチームの憧れの選手――目標にしている選手、好きな選手はいますか?石丸ヴィッセルでは齊藤未月選手、海外ではバルセロナのペドリ選手です。ドリブルもありながら、パスがうまくできるところが好きです。岡田古橋亨梧選手(現在セルティック所属)です。足元でボールをもらうだけでなく、相手の背後をとって裏抜けもできて、大事なところで点を取れるのがすごいと思います。三崎屋ヴィッセルでは汰木康也選手で、海外では三笘薫選手です。ドリブルで運ぶところや仕掛けのところ、無理だったらすぐ変えるという判断がすごいと思います。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月01日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで、準優勝に輝いたSORISSO SELECT。ソレッソ熊本、鹿児島、宮崎の選抜チームで、ソレッソ熊本U-15は、先頃行われた『日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会』で全国2位に輝くなど、目覚ましい活躍を見せるクラブです。ソレッソ熊本U-12を率いる広川靖二代表(以下広川)に、準決勝、決勝戦終了後に話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)決勝戦では早い段階で先制点を奪ってバルサにプレッシャーを与えたソレッソセレクト(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■普段別の場所で練習している子たちをチームにするために心がけていたこと――準決勝ではヴィッセル神戸U-12に1対0で勝利しました。感想をお願いします。広川ボールを動かされるというか、持たれるのはある程度覚悟の上でしたが、やっぱりヴィッセルさんは上手でしたね。子どもたちだけで中盤を整理するのは難しかったので、ハーフタイムを使って改善しました。前半はふわっと入ってしまったので、前半の飲水タイムまでに何人か交代したのですが、フレッシュな子たちを入れたことで、うまくいったかなと思います。もうちょっと、チャンスのときは堂々とやってほしいと思っていて、後半の最初の方は何回かその形が出ました。とはいえ準決勝という大きな舞台で、緊張がある中で「硬くなるな」というのは酷かなと。今回のチームは各地の選抜ですが、僕は毎週顔を合わせている子たちです。コミュニケーションを取っていく中で、今までの歴史として、熊本の子たちが、先輩たちの存在を意識している部分もあったかもしれません。彼らは堂々とプレーしていました。ソレッソ宮崎や鹿児島は作って間もなく、チームとして大舞台に立った経験が少ないので、僕らがサポートしてあげなければいけないと思っていました。彼らを気持ちよくピッチに送り出すために、声がけや心づかいはしているつもりです。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■今回の挑戦を見て「俺も出たい」という気持ちが生まれてくれればいい――ソレッソ熊本U-15の選手たちが、クラブユース選手権で全国2位になりました。彼らが成し遂げたことは、ジュニアの子たちにどんな影響がありますか?広川影響という意味では、うちの子たちだけに限らず、日本中の街クラブの指導者から、エールや感謝の連絡をもらいました。ワーチャレに出場したチームもセレクトとはいえ、特別な選手がいるかというとそうではありません。そんな中で、みんなで頑張ってくれました。今回はセレクトでワーチャレに出るという初めての挑戦だったので、「俺もこのメンバーに選ばれたい!」という気持ちが、各県の選手の中で生まれるといいなと思います。■先制点でバルサにストレスを与えることに成功したが......広川代表には、決勝戦の後にも話をうかがいました。――FCバルセロナとの決勝戦は1‐3でした。先制点を奪い、あわやの雰囲気も感じましたが、試合を終えた感想をお願いします。広川試合の入り方も含めて、バルセロナにストレスを与えることには成功したと思います。彼らがやりたいボールの動かし方は遮断できたのですが、そうすると長いボールを使いながら攻めて来ました。バルサを慌てさせるには、1点では足りなかったかなと。選手たちはすごく頑張ったと思いますが、普段は攻撃の練習をたくさんしているので、そこをあまり発揮できなかったのが心残りです。また頑張ります。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年08月31日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで、昨年に続き二度目の来日を果たしたユベントス。予選リーグは3引き分けに終わりましたが、下位トーナメントではバルサアカデミージャパン選抜、サンフレッチェ広島ジュニアを相手に、2連勝で大会を終えました。イタリアの名門ユベントスでは、育成年代の指導に対し、どのような考え方を持っているのでしょうか?チームを率いるマッシミリアーノ・マルキオ監督(以下マルキオ)に話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)ワールドチャレンジに2年連続出場のユベントスアカデミー(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■ユベントスのアカデミーにいても全員プロになるわけではない――4日間、大会に参加した感想を聞かせてください。マルキオ選手たちにとって、とても素晴らしい経験になりました。日本まで来ることは、人生で何度も起こることではありません。今回、来日した選手全員がプロになるわけではない中で、人生経験という意味でも素晴らしい経験ができたと思っています。チームは8月16日に集まり、数回のトレーニングしかできませんでした。日本まで長時間の飛行機移動があり、コンディション調整も難しい面がありました。彼らにとって、11人制サッカーをするのは初めてなので、日本のチームに比べて準備面で難しく、厳しい戦いになるというのが、去年、そして今年を通じた感想です。初めての11人制と長時間フライトによるコンディション調整に苦戦したが、随所に強さ・上手さを見せたユベントスアカデミー(C)新井賢一――ヨーロッパの人は日本の夏が苦手だと思いますが、実際に体験してみてどうですか?マルキオ確かに暑いですが、イタリアもだんだん暑くなってきたので、言い訳にはなりません。実際、35度の気温の中で練習をしてきました。この年代の子達はアジアで試合をするのが初めてなのですが、湿気がありますね。当然、それにも順応しなければいけませんが、これだけ長い飛行機移動は経験したことがないので、その影響はあったのかなと思います。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■日本のチームの技術、戦術、個人のクオリティなどすべてレベルが上がってきている――日本で多くのチームと対戦しましたが、どのような印象を受けましたか?マルキオ技術、戦術、個人のクオリティ、全てのところでレベルが上がってきていると感じました。3位決定戦でヴィッセル神戸の試合を見ましたが、素晴らしいサッカーをしており、しっかりとした準備をしてきたチームだと思います。バルセロナに関しては、クオリティが高く、個々の技術に優れており、どの大会に行っても結果を残す、素晴らしいチームだと思います。■ユベントスのアカデミーとしてU-12年代で大事にしていることサッカーを通じた人間形成を大切にしていると教えてくれたマルキオ監督(C)新井賢一――ユベントスのアカデミーとして、この年代で大切にしていることは何ですか?マルキオサッカーを通じた人間形成を大切にしています。その意味でも、このような海外の大会に参加できることは素晴らしく、積極的に参加したいと思っています。選手にとっては、ピッチ内での振る舞いはもちろん、このような経験を通じて、人として成長していってほしいと願っています。――この年代からトップまで上がることのできる選手の割合はどのぐらいなのでしょうか?マルキオ当然、アカデミーからトップチームへの道のりは長く、険しいのですが、ユベントスにはU-23チームがあり、現在は2003年、2004年生まれのアカデミー出身者たちがそこでプレーしています。その面から考えると、徐々に育成が実ってきていると感じています。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年08月30日8月下旬に行われた、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。優勝を果たしたのが、スペインの名門FCバルセロナです。過去に何度も出場しているバルセロナですが、今大会はMVPを獲得したジャン・リソス・トレス選手(7番)を筆頭に、ゴールを量産したディバイン・ジョン選手(9番)、エクトル・オヤナ選手(11番)、ケイタ・ママドゥー選手(17番)など多くのタレントを擁し、歴代最強クラスのチームでした。準決勝では横浜F・マリノスプライマリーから8ゴール、決勝戦ではSORISSO SELECTから3ゴールを奪取。大会7試合で28ゴールをあげる、圧倒的な強さを見せつけました。選手個々の技術、身体能力、そしてチームとして攻守に連動したスタイルを、どのように実現させているのでしょうか?決勝戦終了後、ジョルディ監督に話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)※カッコ内の数字は今大会での背番号大会7試合で28ゴールをあげ、圧倒的な強さで優勝したFCバルセロナ(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■ソレッソセレクトのプレーに飲み込まれた部分もあった――優勝おめでとうございます。決勝戦(3-1で勝利)を終えて、試合の感想をお願いします。ジョルディ立ち上がりにコーナーキックから失点してしまい、最初は緊張もあって落ちつかないように見えましたが、徐々にプレーの仕方を取り戻してきました。相手チームの戦いは素晴らしかったですが、最終的に良い結果を出すことができてうれしいです。――対戦したSORISSO SELECTの印象について聞かせてください。ジョルディとてもフィジカルが強いチームでした。マンツーマン気味にハイプレッシャーをかけてくる勇気に驚きました。それもあって、我々は簡単にプレーすることができませんでした。また、相手のダイレクトプレーに巻き込まれる時間もあり、とくに立ち上がりは、相手のプレーに飲まれた部分もあったと思います。すごく良いチームでした。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■ボールをコントロールする意味を教えることが大事――バルセロナの選手の基礎技術の高さは、大会を通じて群を抜いていましたが、トレーニングで、どのようなことを意識していますか?ジョルディ当然、ボールをコントロールする技術は必要なのですが、コントロールをすることイコール、次のアクションの準備です。なにより「チームとしてどのようにプレーしたいか」が大切で、コントロールの理由、意味を子どもたちに教えることが重要だと考えています。ボールコントロールに意味を持たせること、コントロールの次のプレーを考えることを重視しています。■大事なのはボールを保持することではなく、前進させゴールを狙うことU-12年代の指導で大事にしていることを教えてくれたジョルディ監督(C)新井賢一――大会を通じて、バルサの選手はチャンスと見るや120%の力でプレーし、ゴールを奪っていました。その強度、迫力は素晴らしいものがありました。普段、どのようなアプローチで意識させているのでしょうか?ジョルディバルサのプレーの仕方として「常にボールを保持していたい」という考えがあります。なのでボールを失った瞬間は「取り戻すために、必ず120%の力で行かなければいけない」と伝えています。攻撃では相手の状況を見て、自分たちのプレーを変えていくことが重要です。例えば、ただパスを繋いでボールを保持するのではなく、相手がどこにいるのか、どこにスペースがあるのかを見ながらプレーしています。大事なのはボールを保持することではなく、前進させること、そしてゴールを狙うことです。■バルサの選手たちも大会を通じて11人制に慣れていった――日本で7試合を戦いましたが、チームとして成長した部分はどのようなところでしょうか?ジョルディバルサにとって『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』は、シーズン開幕前、新チーム立ち上げの時期の大会です。選手たちはそれまで7人制サッカーをしていました。この大会は11人制で行われるので、11人制ならではのスペースの使い方やポジショニングに慣れていきました。我々は大会に来る前、練習3回と練習試合を1度しただけでした。その頃から見ても、大会を通じて成長してくれたと思います。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年08月29日28日、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジの準決勝、3位決定戦、決勝戦がフクダ電子アリーナで行われました。最後まで目が離せない試合が続いた、最終日の様子をレポートします。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)FCバルセロナがその強さを見せつけ優勝(C)新井賢一<<関連記事:昨年準優勝のヴィッセル神戸は終了間際の劇的ゴールで準決勝進出ワールドチャレンジ3日目結果■ヴィッセル神戸対ソレッソセレクトはセットプレーが明暗を分けた準決勝1試合目はSORRISSO SELECT対ヴィッセル神戸U-12。SORRISSO SELECTは熊本、鹿児島、宮崎、そして長崎で活動するソレッソグループの選抜チーム。U-15は先日行われた、クラブユース選手権で準優勝するなど、全国の舞台で存在感を高めています。身体能力に優れた選手を揃え、攻守に強度の高いプレーが特徴のSORRISSO SELECTと、ボールを保持し、グループの連携で相手を崩すヴィッセル神戸U-12の一戦は、セットプレーが明暗を分けました。前半20分、SORRISSO SELECTが得たコーナーキックを、上野琥生選手が打点の高いヘディングで突き刺します。これが決勝点となり、SORRISSO SELECTが決勝戦へ駒を進めました。ソレッソセレクト対ヴィッセル神戸(C)新井賢一■横浜F・マリノスプライマリー対FCバルセロナは、開始からバルサが猛攻準決勝2試合目は、横浜F・マリノスプライマリー対FCバルセロナ。歴代でも屈指の強さを誇るFCバルセロナが、開始から猛攻を仕掛けます。前半7分、類まれなスピードを持つエクトル・オヤナ選手が突破し、左足で鮮やかなシュートを決めて先制点を奪うと、12分にもオヤナ選手の突破からディバイン・ジョン選手が頭で押し込んで2点目。その後、怒涛の連続ゴールで8得点を奪います。横浜F・マリノスプライマリーは終了間際、GKのキックミスを拾った木村斗空選手が右足で蹴り込みゴール。一矢報いましたが、試合は8対1で終了しました。横浜・Fマリノスプライマリー対FCバルセロナ(C)新井賢一試合後、横浜F・マリノスプライマリーの土井孝徳監督は「バルサは一人ひとりが上手くて、なかなかボールが取れない。個の質の高さを感じました」と話しながらも、「正面からぶつかっていった結果がこれなので。(バルサと試合をして)まだまだだと痛感できたことは良かった」と、貴重な経験ができたことを前向きにとらえていました。決勝戦の前に行われた3位決定戦は1対1の末、PK戦に突入。ヴィッセル神戸U-12が横浜F・マリノスプライマリーを下し、3位に輝きました。横浜・Fマリノスプライマリー対ヴィッセル神戸PKで決着(C)新井賢一サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■決勝はSORRISSO SELECTが先制点を奪うもバルサが前半で追いつき......そして迎えた決勝戦。FCバルセロナとSORRISSO SELECTの一戦は、いきなりのゴールで幕を開けます。前半2分、SORRISSO SELECTのコーナーキックから、野口壱斗選手が蹴ったボールが相手のオウンゴールを誘い、SORRISSO SELECTが先制点を奪います。1点ビハインドのFCバルセロナは前半10分、今大会、再三ゴールに絡んでいるエクトル・オヤナ選手が左サイドを抜け出し、コントロールシュートをゴールに突き刺します。1対1の同点で後半に突入すると、勝ち越しゴールを奪ったのはFCバルセロナでした。後半7分、マルビン・ドゥルドゥル選手が中央をスピードで破ると、GKを外して無人のゴールに蹴り込みます。後半23分には、エクトル・オヤナ選手が鮮やかなドリブルで相手をかわしてクロスをあげると、ファーサイドに走り込んだジャン・リソス・トレス選手がシュート。DFに当たってコースが変わったボールがゴールに吸い込まれ、FCバルセロナが3対1で勝利しました。決勝はFCバルセロナ対ソレッソセレクト(C)新井賢一■バルサ監督「ソレッソセレクトがプレッシャーをかけてきたから自由にプレーできなかった」試合後、FCバルセロナのジョルディ監督は「立ち上がりは少し緊張していたのと、相手に勢いがあって失点してしまったが、徐々にボールを支配するようになってリズムが出てきた。相手はフィジカルが強く、勇気を持ってプレッシャーをかけてきた。そのため、なかなか自由にプレーができなかった」と、SORRISSO SELECTの健闘を称えていました。決勝戦を3対1で制したFCバルセロナが優勝。準優勝はSORRISSO SELECT。3位がヴィッセル神戸U-12となり、今大会は幕を閉じました。連日、熱戦が繰り広げられたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。試合に出た選手、客席から観戦した子どもたち、大会に関わるみなさんにとって、大きな刺激と新たな発見を得ることのできた4日間だったのではないでしょうか。【大会結果】優勝:FCバルセロナ準優勝:SORRISSO SELECT3位:ヴィッセル神戸U-124位:横浜F・マリノスプライマリーワールドチャレンジ2023最終日結果はこちら>>準決勝~決勝までの試合動画はこちらでご覧いただけます>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年08月28日大会3日目を迎えた、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。最終日にフクダ電子アリーナで行われる準決勝・3位決定戦・決勝に進む4チームが決定しました。ラウンド16、準々決勝の様子をお届けします。(取材・文:鈴木智之、写真:高瀬波音也)優勝候補FCバルセロナ(C)高瀬波音也<<関連記事:バルサが決めればジェフが追いつく一進一退の好ゲームもワールドチャレンジ2日目結果■「当たり前のことをしっかりやる」ソレッソセレクトがSOLTILO SELECTを下し準決勝進出3日目、注目の一戦は前回優勝のmalva future select対SORRISSO SELECT(ソレッソ熊本、宮崎、鹿児島の合同チーム)。両チームとも個の力強さが特徴のチームです。試合はmalva future selectが押し込む展開ながら、SORRISSO SELECTが対人の強さを見せ、ゴールを許さず。スコアレスドローで突入したPK戦の末、SORRISSO SELECTが準々決勝に進みました。SORRISSO SELECTは、続く準々決勝でSOLTILO SELECTと対戦。広川靖二監督が「立ち上がりが大事。出足や寄せ、切り替えなど、当たり前のことをしっかりやろう」と選手を送り出すと、その激に呼応するかのように、早い時間帯にゴールを奪取。個の力に特徴のあるSOLTILO SELECTから3ゴールを奪い、準決勝進出を決めました。広川監督は「4チームしかできないフクダ電子アリーナで、あと2試合(準決勝、3位決定戦or決勝)できるので、子どもたちの成長のために、みんなを使いながらやりたい」と、笑顔で話してくれました。■優勝候補バルサは2試合とも相手を完封グループリーグ3連勝のFCバルセロナは、セレッソ大阪U-12と対戦。後半8分に左サイドの快速ウイング、ケイタ・ママドゥー選手のクロスに、こちらもスピードとテクニックが武器のリソス・トレス選手が合わせて先制すると、その後も立て続けに2ゴールを奪取。セレッソ大阪U-12に攻撃の隙を与えず、3対0で完勝しました。FCバルセロナは準々決勝で、スペイン・バルセロナで誕生した『エコノメソッド選抜』に4対0で圧勝。昨年に続き、準決勝進出を決めました。バルサはこの日2勝で準決勝進出を決めた(C)高瀬波音也サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■昨年準優勝のヴィッセル神戸は終了間際の劇的ゴールで準決勝進出昨年度準優勝のヴィッセル神戸U-12は、ラウンド16で近藤直也監督率いる、大和DREAMSと対戦。試合はゲームコントロールに秀でるヴィッセル神戸U-12が主導権を握り、3対1で勝利。続く準々決勝では、千葉県トレセンU-12に対し、ボールを支配しながらもゴールを割ることができず。PK戦突入かと思われた終了間際、キャプテンの石丸悠羽選手が狙ったフリーキックをGKが弾くと、平田一翔選手が押し込みゴール。終了間際の劇的ゴールで、ヴィッセル神戸U-12が2年連続で準決勝に駒を進めました。試合終了間際劇的ゴールで2年連続準決勝進出を決めたヴィッセル神戸(C)高瀬波音也試合後、坪内秀介監督は「最後の詰めの部分や切り替えの所がまだまだ。映像で振り返って、いい準備をしたい」と気を引き締めていました。■横浜F・マリノスは先制を許すも逆転劇で勝利横浜F・マリノスプライマリーは、ラウンド16で柏レイソルU-12に3対1で勝利すると、準々決勝ではエクセレントフィートFCに先制を許す展開ながら、後半11分にこぼれ球を髙橋龍之介選手が押し込み、同点に追いつきます。その後も一進一退の攻防が続く中、18分に中島颯汰選手が左足でシュートを流し込み、逆転に成功。鮮やかな逆転劇で準決勝の切符を手に入れました。先制を許すも逆転で準決勝進出を決めた横浜・Fマリノスプライマリー(C)高瀬波音也■最終日はフクダ電子アリーナで開催動画配信もあるのでチェックついに、準決勝に進む4チームが出揃いました。フクダ電子アリーナで行われる準決勝1試合目(9:30 K.O)はSORRISSO SELECT対ヴィッセル神戸U-12。2試合目は横浜F・マリノスプライマリー対FCバルセロナ(11:00 K.O)です。試合は観覧無料。You Tubeで準決勝、3位決定戦、決勝戦の生配信があるので、ぜひ御覧ください。日本のU-12年代の最高峰のチームは、どんな戦いを見せるのでしょうか?昨年に続き、FCバルセロナを倒すチームは現れるのでしょうか?同年代のトップレベルのプレーを観戦することで、成長のヒントが得られること間違いなしです。ワールドチャレンジ準決勝、3位決定戦、決勝の配信はこちら>>ワールドチャレンジ20232日目の全チーム対戦結果はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年08月25日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジも2日目が終了。決勝トーナメント進出チームが出揃いました。注目のFCバルセロナは3連勝で1位通過。昨年優勝のmalva future select、準優勝のヴィッセル神戸U-12なども順当に勝利し、26日に行われるラウンド16に駒を進めました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)クラブユース選手権準優勝のソレッソ熊本の弟分「SORRISSO SELECT」は初日の硬さが取れ躍動(C)新井賢一<<昨年優勝チームは初戦黒星スタート初日の結果はこちら■クラブユース選手権準優勝チームの「弟分」が躍動2日目の第1試合では、先日行われた『第38回 日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会』で準優勝を果たしたソレッソ熊本の弟分『SORRISSO SELECT(ソレッソ熊本、宮崎、鹿児島の合同チーム)』が躍動。SORRISSO SELECTは大量5得点で快勝(C)新井賢一大連体育集団倶楽部(中国)を相手に、開始1分に藤岡鉄大選手が左サイドを突破し、鮮やかなゴールで先制すると、3分には須賀友咲選手が追加点。その後もボールを支配すると、前半13分には中島凰裕選手が強烈なシュートを突き刺して3点目。終わってみれば、大量5ゴールを奪っての勝利となりました。初日の指揮を執った三角将行コーチは「1日経って、硬さがとれたかな。選抜チームなので、個の力を持った子たちはいる。彼らの特徴をどう活かすかがテーマ」と、狙いを話してくれました。その中で「(この日からベンチに入った)広川代表は、普段から熊本と鹿児島、宮崎を行き来していて、選手の特徴もわかっている。選手を束ねるのがすごく上手なんです」と、一段上のマネジメントができたことを、快勝の要因に上げていました。SORRISSO SELECTは、26日のラウンド16で、昨年優勝のmalva future selectと戦います。強豪同士の一戦とあり、好ゲームが期待できそうです。■バルサがゴールすればジェフが追いつく一進一退の好ゲームを制したのは......2試合目では、地元のジェフユナイテッド市原・千葉U-12とFCバルセロナが対戦。バルサが早い時間に先制し、ジェフが追いつく、一進一退の好ゲームが繰り広げられました。バルサがゴールすればジェフが追いつく一進一退の好ゲームだった(C)新井賢一後半開始早々、バルセロナがセットプレーから勝ち越しますが、後半15分にコーナーキックから永沼瑠晟選手が頭で突き刺し、ジェフが再び同点に追いつきます。このまま終了かと思われた直後、勝たなければ決勝トーナメント進出の道が絶たれてしまうジェフが前がかりになったところを突き、バルサが高速カウンターを発動。ディバイン・ジョン選手の折り返しをエクトル・オヤナ選手が決めて、追いすがるジェフを突き放しました。試合後、ジェフの茂垣将太監督は「バルサにボールを持たれる可能性が高い中で、中盤3人のところで奪ってショートカウンターを狙っていて、その形はある程度できた」と話しながらも、「開始直後、終了間際の大事な時間帯にやられた。彼らは勝負の別れ目をわかっている」と、勝負どころを見極める力に差があったと感じた様子でした。この結果により、FCバルセロナが堂々の1位通過。ラウンド16でセレッソ大阪U-12と試合をすることが決まりました。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■街クラブ選抜2チームとも決勝トーナメント進出その他、街クラブ選抜の『大和DREAMS』『大和FUTURES』も決勝トーナメントに駒を進めるなど、大会3日目も注目の試合が繰り広げられます。街クラブ選抜2チームとも決勝トーナメント進出写真は大和ハウスFUTURES(C)新井賢一3日目もフクダ電子スクエアで試合が行われます。午前中にラウンド16、夕方に準々決勝と一日にたくさんの試合を見ることができるので、お時間のある方はぜひ会場に足を運んでみてください。ノックアウトステージに入り、負ければ終わりの緊張感の中で、子どもたちはどんなプレーを見せてくれるのでしょうか。同年代のプレーを見て学ぶのも成長につながります。ワールドチャレンジ20232日目の全チーム対戦結果はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年08月25日今年も熱戦の季節がやってきました。8月22日、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジが開幕し、3年ぶりとなるFCバルセロナや初出場のユベントスが登場。夏休み期間という事もあり、会場である千葉県のフクダ電子スクエア/フクダ電子フィールドにはたくさんの観客が詰めかけました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)FCバルセロナは初日2連勝と好発進(C)新井賢一<<関連記事:前回大会は守備の練習をしたこともなく11人制も初めてのマルバスクール選抜■昨年優勝のマルバスクール選抜が初日第一試合に登場第一試合に登場したのが、昨年の優勝チームmalva future select。横浜F・マリノスプライマリーとの一戦は、前半10分に失点を喫すると、焦りからかゴールを割ることができず、0対1の敗戦。前回優勝チームが黒星スタートとなりました。続く2試合目。昨年も同大会に出場し、大活躍を見せた郷内煌生選手が、浅野智久監督に「守備を安定させたいから、自分が後ろでプレーする」と直訴。それが奏功し、FC PORTAの攻撃を封じ込めると、攻撃では郷内選手が2得点の活躍を見せ、malva future selectが3対0で勝利しました。前回大会優勝のマルバスクール選抜(C)新井賢一■ヴィッセル神戸対セレッソ大阪の関西勢対決を制したのは......前回準優勝のヴィッセル神戸U-12は、初戦で同じく関西勢のセレッソ大阪U-12と対戦。「2週間前に試合をしたばかり」(ヴィッセル神戸U-12 坪内秀介監督)という、互いに特徴を知り尽くすチーム同士の試合は、前半6分に稲田夏希選手が左足のミドルシュートを沈め、ヴィッセル神戸U-12が先制。その後、セレッソ大阪U-12のストライカー、石渡悠吏選手の鋭い突破にもゴールを許さず、1対0で逃げ切りました。ヴィッセル神戸U-12は2試合目の江南南サッカー少年団との試合を2対1で勝利し、2連勝で決勝トーナメント進出を決めました。ヴィッセル神戸対セレッソ大阪の関西チーム対決の結果は......(C)新井賢一サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■バルサはミャンマーU-12と対戦注目のFCバルセロナは、Myanmar U-12と激突。前半5分、13分と、セットプレーからキム・カルセル・イ・ヴィダル選手が2ゴールをマークすると、スピードとテクニックに優れた突破が特徴のケイタ・ママドゥー選手が左足で3点目を奪取。ジャン・ジラル・ロドリゲス選手もゴールを決め、4対0で完勝しました。2試合目は、近藤直也監督率いる大和ハウスDREAMSに3対1で勝利。詰めかけた観客の前で2連勝を達成したFCバルセロナが、決勝トーナメントに大きく前進しました。■2年連続出場のユベントスはエコノメソッド選抜と対戦優れたスピード、テクニックを見せたもうひとつの注目チーム、ユベントスとの一戦に挑んだのはエコノメソッド選抜。スペインのバルセロナで誕生し、日本各地でスクールを展開する中で、選ばれた選手たちで臨むチームです。球際の強度、守備の個人戦術、グループ戦術に優れたエコノメソッドが先制すると、後半終了間際に追いつかれましたが、スピードとパワー、テクニックに優れたユベントスの攻撃に立ち向かい、勇敢なプレーを見せました。エコノメソッド選抜のベルナ・シウラーナ監督は「ユベントスは難しい相手だと思っていました。最終的に失点して引き分けてしまいましたが、全体的にはいい形でプレーできたと思います」と、強豪相手に一歩も引かずにプレーした選手たちを称えていました。2年連続出場のユベントスはエコノメソッド選抜と対戦(C)新井賢一■街クラブ選抜がグループ唯一の2連勝で決勝トーナメント進出決定そのエコノメソッド選抜を1対2で下したのが、橋本英郎監督率いる大和ハウスFUTURES。ユベントスに引き分け、自信をつけた相手に2対1で勝利。初戦でFC大泉学園に3対0で勝利していたため、グループ唯一の2連勝で決勝トーナメント進出を決めました。大和ハウスFUTURESは初日2連勝で決勝トーナメント進出を決めた(C)新井賢一今年も、様々なスタイルのチームが一同に介した、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。海外勢、Jクラブ、街クラブ、選抜チームなど、多様なチームを一度に観ることができるのも魅力のひとつです。会場のフクダ電子スクエア/フィールド/アリーナでは、25日から27日にかけて、試合が目白押しです。観覧無料なので、ぜひ親子で観戦に出かけてみてはいかがでしょうか。日本の、そして世界のジュニアのレベルを知ることで、たくさんの刺激を得られることでしょう。ワールドチャレンジ2023初日の全チーム対戦結果はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年08月24日