U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジでは、アイリスFC住吉、千葉県トレセン、バルサアカデミージャパン選抜と同じグループに入り、3引き分けで終えた川崎フロンターレU-12。下位トーナメントでは、フィジカルに優れる大連人職業サッカー倶楽部(中国)を無失点に抑えた後、惜しくもPK戦で敗退しました。試合後、U-12を率いる大和田直哉監督(以下、大和田)にどんな狙いをもってこの大会に参加したのかと、フロンターレの育成について話を伺いました。(取材・文:鈴木智之、写真:高瀬波音也)川崎フロンターレU-12対大連人職業サッカー倶楽部(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■フロンターレらしいサッカーができなかった――大会を通じた感想を聞かせてください。(5戦5引き分け)大和田11人制に向けて準備をして、いい形で攻撃ができるなという印象で入ったのですが、予選リーグは、どこのチームもうちに照準を合わせてくる中で、守りに来られて点が取れませんでした。相手を崩し切れず、試合時間も短い中で選手たちが焦り、フロンターレらしいサッカーができなかったという印象です。■「同学年でもこんなに違う......」プレーを見て感じたバルサと自分たちとの差バルセロナのプレーを見て自分たちとどんな部分が違うと感じたかを語ってくれた大和田監督(C)高瀬波音也――大会に参加するにあたって、どのような狙いを持って臨んだのでしょうか?大和田一番はバルセロナという世界的なチームと試合をすることで、たくさんのことを感じられると思っていたので、その経験の場にしたいと思っていました。普段なかなかできない経験を日本で積むことができるのが、この大会の意義ですからね。そこに導けなかったのは、僕の力不足です。――バルセロナとの試合は叶いませんでしたが、彼らのプレーを見た印象は?大和田頭が大人並みに整理されていて、同じ学年でもこれだけ違うのかと感じました。ボールにとらわれない技術を持っていて、ボールがないようなサッカーをしている印象を受けました。うちの場合は、ボールコントロールがずれてしまい、そこしかプレーが選べないというところもあったのですが、バルセロナの選手たちはそれがほとんどなかったです。■伸びていく選手のタイプ――フロンターレのユースは高円宮杯プレミアリーグEASTで優勝争いをしていて、ジュニアユースはクラブユース選手権でベスト4でした。A代表を始め、世代別代表にも多くの選手を送り込んでいて、育成の成果が出ていると感じます。大和田僕は今年からU-12を担当しているのですが、その前はアカデミーのスカウトやスクールのコーチをしていました。そのときに宮城天や宮代大聖、久保建英も4年生のときに見ているので、彼らが基準になっています。ジュニアで上手いと言われている選手であっても、彼らのようにトップに上がった選手たちの小学生時代と比べると、まだまだ足りないなと思うこともあります。――求める基準が高いところにあるわけですね。大和田トップに上がった選手たちの基準で見ています。ジュニアのときの宮代大聖は速くて強くて、上手かったですし、宮城天も絶対的な技術を持っていました。上手くてプラスアルファがあるというか「上手い」が主語になるような選手を育てたいと思っています。僕がいま見ている子たちは、相対的に見るとトップレベルにいる子もいますが、うちでプロになることを考えると、もっと基準を上げていかなければいけないと思っています。――経験上、どのようなタイプの選手が伸びていきますか?大和田「自分はまだまだ足りない」というメンタルがある子は伸びていきます。「できてるじゃん」と思う気持ちと、どう折り合いをつけていくかですよね。「コーチ、俺できてるでしょ」ってなってしまうと、伸びて行きにくいのかなと思います。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■アカデミー出身の三笘薫が与える影響――アカデミー出身の三笘薫選手がブレイクしていますが、先輩たちの活躍は、子どもたちにどんな影響がありますか?大和田とてつもなくいい影響を与えてくれています。今年、(新しい練習施設の)生田(Anker フロンタウン生田)ができて、オフの期間にほとんどの選手が来てくれました。三笘選手もサインを残してくれたり、選手に声かけてくれたりして、すごく影響を受けました。彼らに少しでも近づくために、選手はそれぞれ想いを持って取り組んでいます。モチベーションになるので、ありがたい限りです。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月14日先日行われたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。予選リーグを1位で通過し、決勝トーナメントに進んだアイリスFC住吉。ラウンド16でエコノメソッド選抜に僅差で敗れましたが、攻撃的なスタイルが印象的でした。ラウンド16の試合後、久保秀太郎監督(以下、久保)と選手たちに育成の話や試合の話を伺いました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一、高瀬波音也)グループリーグでは川崎フロンターレと対戦したアイリスFC住吉(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■チャンスに決めきる力があれば......――試合の感想をお願いします。(ラウンド16で勝てばバルサとの対戦だった)久保もう少し、チャンスに決めきる力があったら、結果も変わったのかなと思います。うちのストロングポイントである9番、10番のところをうまく抑えられたなという印象です。それ以外のところは、どちらに転んでもおかしくないゲームだったと思います。■別のスタイルのサッカーに触れたときに何もできない選手にならないようにするジュニア年代でどんなことを意識しているか語ってくれた久保監督(C)高瀬波音也――上にジュニアユースのカテゴリーもある中で、ジュニアではどのようなことを意識して指導をしているのでしょうか?久保あまり偏らないようにというか、アイリスのカラーを出しすぎず、高校、大学で活躍できる選手の育成を考えています。別のチームに行って、スタイルの違うサッカーに触れたときに、何もできない選手にならないようにすることが大切です。基本的なところを押さえて、次の世代にバトンを渡すイメージです。■ジュニア年代では詰め込みすぎない――アイリスFC住吉出身の選手は、高校年代の強豪チームにたくさんいますよね?久保そうですね。高校でキャプテンをしていたり、チームの中心としてやっている子も多いです。先々で活躍できる選手になってもらいたいと思っています。なので、ジュニアではあまり詰め込みすぎず、基本的な個人とグループのところを指導して、ジュニアユースになってプラスアルファしてという形でやっています。――OBで有名な選手というと誰になりますか?久保よくメディアに出ているのは、コンサドーレ札幌から名古屋グランパスに行った中島大嘉です。彼のジュニア時代には、関わらせてもらいました。あとは松本山雅でキャプテンをしている菊井悠介です。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■バルサなど海外選手のプレーを直接見て世界を知れる機会でもある――世界に挑戦する「ワールドチャレンジ」を、今後の選手たちの成長に、どのように生かしてもらいたいと思いますか?久保大会に来るにあたって「世界を知ろう」というテーマを持って臨みました。海外のクラブと試合はできなかったのですが、彼らのプレーを見て、自分のいまと比べて、追いつき、追い越すためにどうしようかという話は、子どもたちにしています。試合ができたら、もっと感じることができたんですけどね。あと一歩のところだったので残念です。関西はいいチームが多いので、予選を勝ち上がるのは難しいのですが、また出られるように頑張ります。■選手たちはどう感じたのか試合後、選手たちに話を聞きました。インタビューを受けてくれたのは望月優貴くん(7番)、芝野椿也くん(9番)、音出夏輝くん(14番)。試合の感想を語ってくれた選手たち(C)高瀬波音也■チームで声を出して協力して戦えたところが良かった――大会を通しての感想、自分のプレーで通用したところ、自信になったところはありますか?音出チームで声を出して、みんなで協力して戦えたところは良かったです。自分のプレーでは、ドリブルの守備の対応がよくなったと思います。芝野ボールを収めるところはできたのと、ドリブルとシュートは通用しました。今大会は3点取りました。望月自分のプレーで通用したのは、パスカットや1対1の対応です。■守備はみんなで連携しないとボールが奪えない――チームの特徴と大会で学んだことを教えてください。音出みんな個性があってとても良いチームです。これからも仲間たちと一緒に上を目指していきたいです。大会に出て、まだまだ上のチームがいるとわかったので、そこに立ち向かえるようなチームになりたいです。芝野このチームは、明るくて元気があるチームです。大会で学んだことはシュートを決めきる力です。望月誰が試合に出ても強いチームです。今大会で、守備はみんなで連携していかないとボールを取れないことを学びました。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月13日先日行われたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで決勝トーナメントに進出した、湘南ベルマーレアカデミー選抜。ラウンド16でSOLTILO SELECTに敗れましたが、アグレッシブなプレーで大会を彩りました。試合後、チームを率いる太田隆一監督(以下、太田)と選手たちに話を伺いました。この年代の育成における重要な事などをお伝えします。(取材・文:鈴木智之、写真:高瀬波音也)ラウンド16でSOLTILO SELECTした湘南ベルマーレアカデミー選抜(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■前向きにチャレンジすることができた選手たちを褒めたい――試合の感想をお願いします。太田勝負の分かれ目として、前半の決定機を外してしまったところが大きかったのかなと思います。ただ、その後は慌てず、自分たちの良さを発揮して、逆転を目指してくれました。そこはポジティブにとらえていますし、良い部分の方が多く出た試合だったと思います。予選の3試合目は、勇気を持てなかったり、準備が悪かったりと、ネガティブな部分がたくさん出た試合でした。それを経て、ラウンド16では前向きにチャレンジすることができたので、褒めてあげたいなと思います。■今後サッカーを楽しんでいく上で、小学生年代で重要な事アカデミーではサッカーのスキルだけでなく人間性も大事にしていると語ってくれた太田監督(C)高瀬波音也――チームにはスローガン「たのしめてるか。」がありますが、今後、サッカーを楽しんでいく上で、この年代ではどのようなことが重要だと思いますか?太田プロを目指す上では、楽しいことばかりではありません。苦しいことや辛いこともある中で、それを克服することすらも楽しみに変えていくこと、ポジティブにとらえてチャレンジできるかどうかだと思います。■ピッチに入ったら選手が主体的に考えて行動を起こすことが大切――そのあたりで、今大会の収穫や成長は感じられましたか?太田サッカーは、ピッチに入れば選手がやるもので、選手が主体的に考えて、行動を起こすことが大切です。その面では、選手の中から「もっとこうしよう」といった会話が生まれてきたことは前進かなと感じました。この子たちは選抜なので、チームとして戦う機会はほとんどありません。戦いながら成長する意味では、1試合1試合、チームとして成立していったと思います。ゲームによってはシステムを変更したり、シチュエーションを変えながらやりましたが、柔軟に対応できていたのは収穫だったと思います。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■遠藤航選手の影響、プロになるためにはサッカースキルだけでなく人間性も大切というアカデミーの教え――アカデミー出身の遠藤航選手がリバプールに移籍しましたが、後輩たちにはどんな影響がありますか?太田すごく良い影響があると思います。彼は世界のトップでやっているわけですからね。他にも、残念ながら大きな怪我をしてしまった齊藤未月も、彼らのお手本になる選手です。ベルマーレのアカデミーから、世代別代表に何名も入っていますが、プレーだけでなく、人間性の部分でも評価を受けています。それが、各年代でキャプテンマークを巻いていることにつながっているのだと思います。プロとして生きていくためには、サッカーが上手なだけではなく、人間性も大切です。ベルマーレのアカデミーでは、そこにも意識を向けています。■選手たちはどう感じたのか試合後、選手たちに話を聞きました。インタビューを受けてくれたのは山田将宗くん(7番)、上野昴くん(2番)、北條蓮くん(10番)。試合の感想を語ってくれた選手たち(C)高瀬波音也■シュートを外した時、仲間が「切り替えろ」と声をかけてくれた――試合の感想を聞かせてください。山田相手に押し込まれた部分があって、マイボールを簡単に蹴ってしまい、そこからカウンターを受けたりと、相手ボールのことが多かったです。自分のプレーとしては、左サイドから仕掛けて、シュートまで行くことはできました。上野相手は体が強くて、足も速いので、サイドから押し込まれてしまいました。ただ、当たり負けはそこまでしませんでした。暑さもあって、ちょっときつかったですが、自分のプレーもできたので良かったです。北條相手はフィジカルが強くて、そこで負けていた部分がありました。もっと勝てるようにしていきたいです。シュートを外してしまったけど、仲間が「切り替えろ」と声をかけてくれて、切り替えられたのは良かったです。■自分より大きい選手、速い選手らと戦ってどれだけできるか試せた――この大会で印象に残っていること、成長できたところがあれば教えてください。山田対戦相手に大きい選手、速い選手などがいる中で、自分がどれだけできるかが試せて良かったです。上野走り負けないことです。勝った試合もあったので、嬉しかったです。北條みんなとサッカーができたことです。自分より大きくて速い相手と戦うことで、少しは成長できたかなと思います。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月12日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで、大会の目玉となったのが、街クラブ選抜です。今大会は大和ハウスFUTURES、大和ハウスDREAMSの2チームがエントリーしており、構成メンバーは全国で開催されたセレクションで選ばれた選手たちです。毎年、元プロ選手やプロ監督がチームを率いることで知られており、今大会の大和ハウスFUTURESは、ガンバ大阪などで活躍された、元日本代表の橋本英郎さん。大和ハウスDREAMSは、柏レイソルやジェフユナイテッド市原・千葉で活躍された、元日本代表の近藤直也さんが監督を務めました。大和ハウスFUTURESは初戦でFC大泉学園と対戦し、3-0で勝利しました。試合後、監督としてチームを率いた、橋本英郎監督(以下、橋本)に話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)セレクションで選ばれた大和ハウスFUTURESの選手たち(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■この大会で経験したことが底上げにつながればいい――今回、大和ハウスFUTURESの監督を受けようと思った理由を教えてください。橋本いろいろな選手が全国から集まっているので、彼らの将来に触れることができる機会はあまりないと思ったのと、彼らが自分のチームに戻ったときに、ここで経験したことが周りに派生していって、底上げになればいいなという思いがありました。そこに関われるのであればやってみたいということで、監督を引き受けました。大和ハウスFUTURESの監督を務めた元日本代表の橋本英郎さん(C)新井賢一――今年1月に現役引退を発表されましたが、普段は指導に関して、どのような関わり方をしているのでしょうか?橋本今は高校と大学で指導しています。あと、ジュニアユースのチームを(兵庫県の)明石で持っていて、スクールもしています。将来的にはトップの方に入っていくつもりですが、まずはいろいろ勉強しながら、その先に進むことができたらいいなと思っています。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■指示を出されることに慣れている子が多い――大和ハウスFUTURESの選手たちに、どのようなことを伝えたいですか?橋本ある程度、力のある子が集まってきているので、当然いい部分もあるのですが、チームでちやほやされている子が多いと感じました。それもあって、人間教育的な部分に力を入れたいです。彼らはチームに戻れば、中心選手としてプレーしていたり、キャプテンをしている選手も多いので、人間的な部分でどっしりとできるようになれば、チームに戻ったときの振る舞いも変わるのではないかなと思っています。――メンタリティが変わることによって、プレーも変わっていくことは、実感としてありますか?橋本そうですね。まずそこを試合の間に整えたいなと思っています。明日はユベントスとの試合もありますからね(結果0-0)。また、彼らと関わる中での印象として、指示を出されることに慣れている子が多いと感じました。(初戦では)僕はあまり指示を出さなかったので、混乱しながらも頑張ってくれていました。それを踏まえてポイントを伝えていくと、徐々に立ち位置も直ってきました。■競争を勝ち抜く為に必要な事――大和ハウスFUTURESの選手たちは、セレクションを勝ち抜いて選ばれました。橋本さんもいろんな競争を勝ち抜いてプロになり、日本代表に上り詰めたわけですが、競争を勝ち抜くために、どのようなことが必要だと思いますか?橋本チームを勝たせられる選手になることであったり、自分が与えられた役割を理解して、プレーできるかどうかは大事なことだと思います。まだこの年代なので、役割とかはわからないかもしれませんが「チームのために、自分は何ができるか」を、自分なりに解釈して頑張ることができたらいいと思います。選手たちには、そういう話もしていきたいです。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月08日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで、ベスト4に進んだ、横浜F・マリノスプライマリー。ラウンド16ではしのぎを削るライバル、柏レイソルU-12に勝利。準々決勝ではエクセレントフィートFCに逆転勝ちを収めました。準決勝では、念願だったFCバルセロナと対戦。強豪相手に真っ向勝負を挑むなど、貴重な経験をしました。ラウンド16の試合後と準決勝の後、土井孝徳監督(以下、土井)と選手たちに話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一、高瀬波音也)準決勝ではバルセロナと対戦(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■横浜F・マリノスプライマリーの育成コンセプトとはた――ラウンド16で柏レイソルU-12に勝ちました。試合の感想をお願いします。土井次のステージに進めたので良かったです。最近は守備をテーマにしていたので、相手の陣地でミスを誘ったり、ボールを奪ってチャンスに繋げる部分は良かったと思います。攻撃においてはもう少し、主導権を持ってやりたかったです。――横浜F・マリノスプライマリーの育成コンセプトはどのようなものでしょうか?土井攻撃的かつ主体的に、トップチームが掲げている「アタッキングフットボール」に繋げられるような選手を育てていければと思っています。個人では技術的にいろんなことができて、自分で考えて判断ができる選手。そして特徴を持っている。このあたりがしっかりと備わって、次のステップに進んでいくことが大事だと思っています。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■ワールドチャレンジは普段できない経験ができて、成長するきっかけになる――U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジは、世界にチャレンジする場です。どのようなモチベーションで臨んでいますか?土井この大会は11人制なので、6年生から中学生に近づいていく中で、8人制とは違う経験をすることができます。海外のチームも参加しているので、普段できないような経験ができて、選手にとって成長するきっかけにもなると思っています。海外チームとの対戦など普段できない体験ができるのは成長のきっかけになると語ってくれた土井監督(C)高瀬波音也■映像で見るだけでなく、バルサと直接対戦したからこそ分かったこと土井監督には、準決勝終了後も話をうかがいました。――FCバルセロナとの準決勝は大差(1-8)がつきました。試合の感想を聞かせてください。土井相手はバルセロナでしたが、腰が引けるのではなく、ぶつかってみようということで挑みました。それがこの大会に出た意義でもあるかなと。その結果、選手たちはまだまだだなと痛感したと思います。そのような経験ができたことは良かったと思います。――映像で見るバルセロナと、実際に試合をしたバルセロナでは、印象に違いはありましたか?土井一人ひとりの上手さがありましたね。試合をしてみて、なかなかボールが取れませんでした。個の部分で落ち着いているし、余裕がある。我々は相手からボールを奪うことにパワーを使って、攻撃でパワー不足になってしまったところもあったと思います。――改めて、ワールドチャレンジの意義について聞かせてください。土井バルサも準決勝の大きな舞台で一生懸命やってくれましたし、そういう中で選手は様々な経験ができました。それも大会に出場する狙いの一つだったので、すごく感謝しています。■選手たちはどう感じたのかラウンド16の柏レイソル戦(3‐1)後、選手たちに話を聞きました。インタビューを受けてくれたのは板東仁くん(10番)、山田湊斗くん(11番)、小川陽くん(4番)。試合の感想を語ってくれた選手たち(C)高瀬波音也■最後まであきらめない気持ちが大事――試合の感想をお願いします。板東別の大会のリーグ戦で大差で負けた相手で、チームメイトが熱を出して出られなかったこともあって、その分も頑張りました。先制点を取れたのが良かったです。山田僕は2点決めることができたのですが、クロスのときに走り込むとか、こぼれ球に対して、最後まで諦めない気持ちが大事だと思いました。小川試合前にみんなで気持ちを高めて、全員で円陣をしたり、昨日の夜もホテルでミーティングをして準備は万全だったので、勝ててよかったです。■大会を通じてチームとして成長したと感じるところ――チームの特徴、ストロングポイントはどんなところだと思いますか?板東みんなが声出すところや、1対1で体を張ってプレーするところです。山田同点になっても先に失点せず、得点に繋げられるチームワークです。小川プロもやっているアタッキングフットボールです。攻撃をして、ボールを奪われてもすぐ取り返して、また攻撃するところです。――今大会、成長していると感じるところは?板東暑い中でも走ってゴール前に顔を出したり、ピンチのときはみんなでカバーしてディフェンスをすることです。山田点を取ることです。先制した後に追いつかれちゃったけど、その後、逆転できたのは成長できたところだと思います。小川これまでは失点するとネガティブな感じになることもあったのですが、この大会では先制点を取って、追いつかれても冷静に、みんなで助け合って、話し合ったから逆転できたと思います。そこが成長できたところかなと思います。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月04日8月下旬に行われた、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。優勝を果たしたのが、スペインの名門FCバルセロナです。過去に何度も出場しているバルセロナですが、今大会はMVPを獲得したジャン・リソス・トレス選手(7番)を筆頭に、ゴールを量産したディバイン・ジョン選手(9番)、エクトル・オヤナ選手(11番)、ケイタ・ママドゥー選手(17番)など多くのタレントを擁し、歴代最強クラスのチームでした。準決勝では横浜F・マリノスプライマリーから8ゴール、決勝戦ではSORISSO SELECTから3ゴールを奪取。大会7試合で28ゴールをあげる、圧倒的な強さを見せつけました。選手個々の技術、身体能力、そしてチームとして攻守に連動したスタイルを、どのように実現させているのでしょうか?決勝戦終了後、ジョルディ監督に話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)※カッコ内の数字は今大会での背番号大会7試合で28ゴールをあげ、圧倒的な強さで優勝したFCバルセロナ(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■ソレッソセレクトのプレーに飲み込まれた部分もあった――優勝おめでとうございます。決勝戦(3-1で勝利)を終えて、試合の感想をお願いします。ジョルディ立ち上がりにコーナーキックから失点してしまい、最初は緊張もあって落ちつかないように見えましたが、徐々にプレーの仕方を取り戻してきました。相手チームの戦いは素晴らしかったですが、最終的に良い結果を出すことができてうれしいです。――対戦したSORISSO SELECTの印象について聞かせてください。ジョルディとてもフィジカルが強いチームでした。マンツーマン気味にハイプレッシャーをかけてくる勇気に驚きました。それもあって、我々は簡単にプレーすることができませんでした。また、相手のダイレクトプレーに巻き込まれる時間もあり、とくに立ち上がりは、相手のプレーに飲まれた部分もあったと思います。すごく良いチームでした。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■ボールをコントロールする意味を教えることが大事――バルセロナの選手の基礎技術の高さは、大会を通じて群を抜いていましたが、トレーニングで、どのようなことを意識していますか?ジョルディ当然、ボールをコントロールする技術は必要なのですが、コントロールをすることイコール、次のアクションの準備です。なにより「チームとしてどのようにプレーしたいか」が大切で、コントロールの理由、意味を子どもたちに教えることが重要だと考えています。ボールコントロールに意味を持たせること、コントロールの次のプレーを考えることを重視しています。■大事なのはボールを保持することではなく、前進させゴールを狙うことU-12年代の指導で大事にしていることを教えてくれたジョルディ監督(C)新井賢一――大会を通じて、バルサの選手はチャンスと見るや120%の力でプレーし、ゴールを奪っていました。その強度、迫力は素晴らしいものがありました。普段、どのようなアプローチで意識させているのでしょうか?ジョルディバルサのプレーの仕方として「常にボールを保持していたい」という考えがあります。なのでボールを失った瞬間は「取り戻すために、必ず120%の力で行かなければいけない」と伝えています。攻撃では相手の状況を見て、自分たちのプレーを変えていくことが重要です。例えば、ただパスを繋いでボールを保持するのではなく、相手がどこにいるのか、どこにスペースがあるのかを見ながらプレーしています。大事なのはボールを保持することではなく、前進させること、そしてゴールを狙うことです。■バルサの選手たちも大会を通じて11人制に慣れていった――日本で7試合を戦いましたが、チームとして成長した部分はどのようなところでしょうか?ジョルディバルサにとって『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』は、シーズン開幕前、新チーム立ち上げの時期の大会です。選手たちはそれまで7人制サッカーをしていました。この大会は11人制で行われるので、11人制ならではのスペースの使い方やポジショニングに慣れていきました。我々は大会に来る前、練習3回と練習試合を1度しただけでした。その頃から見ても、大会を通じて成長してくれたと思います。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年08月29日28日、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジの準決勝、3位決定戦、決勝戦がフクダ電子アリーナで行われました。最後まで目が離せない試合が続いた、最終日の様子をレポートします。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)FCバルセロナがその強さを見せつけ優勝(C)新井賢一<<関連記事:昨年準優勝のヴィッセル神戸は終了間際の劇的ゴールで準決勝進出ワールドチャレンジ3日目結果■ヴィッセル神戸対ソレッソセレクトはセットプレーが明暗を分けた準決勝1試合目はSORRISSO SELECT対ヴィッセル神戸U-12。SORRISSO SELECTは熊本、鹿児島、宮崎、そして長崎で活動するソレッソグループの選抜チーム。U-15は先日行われた、クラブユース選手権で準優勝するなど、全国の舞台で存在感を高めています。身体能力に優れた選手を揃え、攻守に強度の高いプレーが特徴のSORRISSO SELECTと、ボールを保持し、グループの連携で相手を崩すヴィッセル神戸U-12の一戦は、セットプレーが明暗を分けました。前半20分、SORRISSO SELECTが得たコーナーキックを、上野琥生選手が打点の高いヘディングで突き刺します。これが決勝点となり、SORRISSO SELECTが決勝戦へ駒を進めました。ソレッソセレクト対ヴィッセル神戸(C)新井賢一■横浜F・マリノスプライマリー対FCバルセロナは、開始からバルサが猛攻準決勝2試合目は、横浜F・マリノスプライマリー対FCバルセロナ。歴代でも屈指の強さを誇るFCバルセロナが、開始から猛攻を仕掛けます。前半7分、類まれなスピードを持つエクトル・オヤナ選手が突破し、左足で鮮やかなシュートを決めて先制点を奪うと、12分にもオヤナ選手の突破からディバイン・ジョン選手が頭で押し込んで2点目。その後、怒涛の連続ゴールで8得点を奪います。横浜F・マリノスプライマリーは終了間際、GKのキックミスを拾った木村斗空選手が右足で蹴り込みゴール。一矢報いましたが、試合は8対1で終了しました。横浜・Fマリノスプライマリー対FCバルセロナ(C)新井賢一試合後、横浜F・マリノスプライマリーの土井孝徳監督は「バルサは一人ひとりが上手くて、なかなかボールが取れない。個の質の高さを感じました」と話しながらも、「正面からぶつかっていった結果がこれなので。(バルサと試合をして)まだまだだと痛感できたことは良かった」と、貴重な経験ができたことを前向きにとらえていました。決勝戦の前に行われた3位決定戦は1対1の末、PK戦に突入。ヴィッセル神戸U-12が横浜F・マリノスプライマリーを下し、3位に輝きました。横浜・Fマリノスプライマリー対ヴィッセル神戸PKで決着(C)新井賢一サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■決勝はSORRISSO SELECTが先制点を奪うもバルサが前半で追いつき......そして迎えた決勝戦。FCバルセロナとSORRISSO SELECTの一戦は、いきなりのゴールで幕を開けます。前半2分、SORRISSO SELECTのコーナーキックから、野口壱斗選手が蹴ったボールが相手のオウンゴールを誘い、SORRISSO SELECTが先制点を奪います。1点ビハインドのFCバルセロナは前半10分、今大会、再三ゴールに絡んでいるエクトル・オヤナ選手が左サイドを抜け出し、コントロールシュートをゴールに突き刺します。1対1の同点で後半に突入すると、勝ち越しゴールを奪ったのはFCバルセロナでした。後半7分、マルビン・ドゥルドゥル選手が中央をスピードで破ると、GKを外して無人のゴールに蹴り込みます。後半23分には、エクトル・オヤナ選手が鮮やかなドリブルで相手をかわしてクロスをあげると、ファーサイドに走り込んだジャン・リソス・トレス選手がシュート。DFに当たってコースが変わったボールがゴールに吸い込まれ、FCバルセロナが3対1で勝利しました。決勝はFCバルセロナ対ソレッソセレクト(C)新井賢一■バルサ監督「ソレッソセレクトがプレッシャーをかけてきたから自由にプレーできなかった」試合後、FCバルセロナのジョルディ監督は「立ち上がりは少し緊張していたのと、相手に勢いがあって失点してしまったが、徐々にボールを支配するようになってリズムが出てきた。相手はフィジカルが強く、勇気を持ってプレッシャーをかけてきた。そのため、なかなか自由にプレーができなかった」と、SORRISSO SELECTの健闘を称えていました。決勝戦を3対1で制したFCバルセロナが優勝。準優勝はSORRISSO SELECT。3位がヴィッセル神戸U-12となり、今大会は幕を閉じました。連日、熱戦が繰り広げられたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。試合に出た選手、客席から観戦した子どもたち、大会に関わるみなさんにとって、大きな刺激と新たな発見を得ることのできた4日間だったのではないでしょうか。【大会結果】優勝:FCバルセロナ準優勝:SORRISSO SELECT3位:ヴィッセル神戸U-124位:横浜F・マリノスプライマリーワールドチャレンジ2023最終日結果はこちら>>準決勝~決勝までの試合動画はこちらでご覧いただけます>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年08月28日大会3日目を迎えた、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。最終日にフクダ電子アリーナで行われる準決勝・3位決定戦・決勝に進む4チームが決定しました。ラウンド16、準々決勝の様子をお届けします。(取材・文:鈴木智之、写真:高瀬波音也)優勝候補FCバルセロナ(C)高瀬波音也<<関連記事:バルサが決めればジェフが追いつく一進一退の好ゲームもワールドチャレンジ2日目結果■「当たり前のことをしっかりやる」ソレッソセレクトがSOLTILO SELECTを下し準決勝進出3日目、注目の一戦は前回優勝のmalva future select対SORRISSO SELECT(ソレッソ熊本、宮崎、鹿児島の合同チーム)。両チームとも個の力強さが特徴のチームです。試合はmalva future selectが押し込む展開ながら、SORRISSO SELECTが対人の強さを見せ、ゴールを許さず。スコアレスドローで突入したPK戦の末、SORRISSO SELECTが準々決勝に進みました。SORRISSO SELECTは、続く準々決勝でSOLTILO SELECTと対戦。広川靖二監督が「立ち上がりが大事。出足や寄せ、切り替えなど、当たり前のことをしっかりやろう」と選手を送り出すと、その激に呼応するかのように、早い時間帯にゴールを奪取。個の力に特徴のあるSOLTILO SELECTから3ゴールを奪い、準決勝進出を決めました。広川監督は「4チームしかできないフクダ電子アリーナで、あと2試合(準決勝、3位決定戦or決勝)できるので、子どもたちの成長のために、みんなを使いながらやりたい」と、笑顔で話してくれました。■優勝候補バルサは2試合とも相手を完封グループリーグ3連勝のFCバルセロナは、セレッソ大阪U-12と対戦。後半8分に左サイドの快速ウイング、ケイタ・ママドゥー選手のクロスに、こちらもスピードとテクニックが武器のリソス・トレス選手が合わせて先制すると、その後も立て続けに2ゴールを奪取。セレッソ大阪U-12に攻撃の隙を与えず、3対0で完勝しました。FCバルセロナは準々決勝で、スペイン・バルセロナで誕生した『エコノメソッド選抜』に4対0で圧勝。昨年に続き、準決勝進出を決めました。バルサはこの日2勝で準決勝進出を決めた(C)高瀬波音也サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■昨年準優勝のヴィッセル神戸は終了間際の劇的ゴールで準決勝進出昨年度準優勝のヴィッセル神戸U-12は、ラウンド16で近藤直也監督率いる、大和DREAMSと対戦。試合はゲームコントロールに秀でるヴィッセル神戸U-12が主導権を握り、3対1で勝利。続く準々決勝では、千葉県トレセンU-12に対し、ボールを支配しながらもゴールを割ることができず。PK戦突入かと思われた終了間際、キャプテンの石丸悠羽選手が狙ったフリーキックをGKが弾くと、平田一翔選手が押し込みゴール。終了間際の劇的ゴールで、ヴィッセル神戸U-12が2年連続で準決勝に駒を進めました。試合終了間際劇的ゴールで2年連続準決勝進出を決めたヴィッセル神戸(C)高瀬波音也試合後、坪内秀介監督は「最後の詰めの部分や切り替えの所がまだまだ。映像で振り返って、いい準備をしたい」と気を引き締めていました。■横浜F・マリノスは先制を許すも逆転劇で勝利横浜F・マリノスプライマリーは、ラウンド16で柏レイソルU-12に3対1で勝利すると、準々決勝ではエクセレントフィートFCに先制を許す展開ながら、後半11分にこぼれ球を髙橋龍之介選手が押し込み、同点に追いつきます。その後も一進一退の攻防が続く中、18分に中島颯汰選手が左足でシュートを流し込み、逆転に成功。鮮やかな逆転劇で準決勝の切符を手に入れました。先制を許すも逆転で準決勝進出を決めた横浜・Fマリノスプライマリー(C)高瀬波音也■最終日はフクダ電子アリーナで開催動画配信もあるのでチェックついに、準決勝に進む4チームが出揃いました。フクダ電子アリーナで行われる準決勝1試合目(9:30 K.O)はSORRISSO SELECT対ヴィッセル神戸U-12。2試合目は横浜F・マリノスプライマリー対FCバルセロナ(11:00 K.O)です。試合は観覧無料。You Tubeで準決勝、3位決定戦、決勝戦の生配信があるので、ぜひ御覧ください。日本のU-12年代の最高峰のチームは、どんな戦いを見せるのでしょうか?昨年に続き、FCバルセロナを倒すチームは現れるのでしょうか?同年代のトップレベルのプレーを観戦することで、成長のヒントが得られること間違いなしです。ワールドチャレンジ準決勝、3位決定戦、決勝の配信はこちら>>ワールドチャレンジ20232日目の全チーム対戦結果はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年08月25日8月下旬に行われた、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。大会2日目に、イタリアの名門ユベントスと対戦したのが、神奈川県川崎市で活動する少年団・中野島FCです。彼らは「アイリスオーヤマプレミアリーグU-11チャンピオンシップ」で優勝し、ワールドチャレンジへの出場権を獲得しました。中野島FCは、体格に優れるユベントスを相手に先制点を奪うなど高いテクニックとインテリジェンスが光るプレーを見せてくれました。試合後、中野島FCの岡本一輝監督(以下、岡本)に指導についての話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)対角に勝るユベントス相手に判断力を武器に善戦した中野島FC(C)新井賢一<<関連記事:バルサのPKを3連続ストップで勝ち上がったヴィッセル神戸を制し、malvaスクール選抜が優勝■ユベントスと対戦して球際の強さ、ボールへの執着などサッカーの本質を感じられた――ユベントス戦は1対2での敗戦でした。試合の感想を聞かせてください。岡本前半はボールを持つことのできる時間があったので、良いペースで進んだのですが、後半になると、相手にセカンドボールやルーズボールを拾われることが多くなりました。選手たちは、普段であれば通るようなパスが通らなかったり、外国人選手のリーチの長さ、球際の強さ、ボールをどちらが奪うかなど、サッカーの本質的なところを感じたと思います。今後はそこにこだわれる選手になってほしいです。■頭の中を変えると、選手たちの動きも変わる――体格に勝るユベントスに対し、良い判断をベースにプレーする姿が印象的でした。トレーニングで大切にしていることはなんでしょうか?岡本選手たちには「サッカーに必要なことは3つある」と言っています。それが見る、判断する、実行するです。この3つが備わっていないと、たとえばドリブルが上手くても、周りを見て判断するところが欠けていたら良いプレーはできないし、判断力が優れていても、正確に実行する技術がないと試合では活躍できません。なので、この3つは同じぐらい力を入れて練習しています。――選手たちのプレーから考えてプレーしている様子が伝わってきました。どのような指導で「考える力」を伸ばしているのでしょうか?岡本考える力は特に身につけてほしいので、頭の中を鍛えることは意識的にやってます。午前中に試合があったら、午後は振り返る時間に当てたりと、試合をして終わりにしないようにしています。コロナで長期間活動ができなかったときは、毎日Zoomでサッカーの勉強をしていました。「アタッキングサード」や「5レーン」などのサッカー用語を覚えたり、「どのエリアからゴールが生まれやすい?」などのお題を出して、子どもたちに答えてもらう活動を、3、4か月しました。――子どもたちの頭の中は変わってきましたか?岡本はい。試合の映像を切り取って思ったことを発言してもらったのですが、最初は「ドリブルがうまくてシュートすごかったです」などの感想だったのが、何回か続けていくと「逆サイドの選手が裏抜けをしたから相手のマーカーが食いついて、ドリブルがしやすくなった」など、ボールの周辺以外にも目を向けるようになってきました。それを3、4か月続けていざ活動を再開したときに、周囲を見ることのできる子が増えてきました。それまではボールしか見ていなかった子が、「このときはこうすればいいんだ」と、考えて動けるようになったんです。頭の中を変えると、選手たちの動きも変わるんだと感じました。サカイク公式LINEアカウントでイベントや最新情報などをお届け!■返事はタメ口でもいい、わかってないのに「はい」と言うのはやめようと伝えている――選手の考えを引き出すために、工夫していることはありますか?岡本ミーティングのときに、僕だけが話すのではなく選手たちに質問をして、発言を促すようにしています。僕が一方的に話をして「わかった?」「はい!」というのだと、本当に理解しているかどうかがわかりません。試合中も僕の指示でわからないことがあったら、とりあえずうなずくのではなく、タメ口でもいいので「なんて言った?」「なに?」みたいに聞き返そうと伝えています。「わかっていないのに、はいと返事するのは絶対にやめよう」と言っています。■ワーチャレの4日間を通じて「見て判断する」部分が伸びている子が増えた普段から選手たちにアイデアを与えて、考えさせるように指導していると語ってくれた岡本監督(C)新井賢一――ワールドチャレンジを振り返って、選手たちの成長を感じられたのはどのようなところでしょうか?岡本技術的な部分はもちろんですが、見て判断するところが伸びている子が増えたように感じます。試合を見ていても、ワンテンポ、ツーテンポ速くボールを回せるようになってきました。トレーニングでもそこは意識していて、体が大きい子、足が速い子の場合、判断がおろそかになっていても、身体能力でプレーできてしまいます。そういう子には厳し目に「こっちのスペース見えていた?」「その選択肢じゃなくて、こっちもあったよ」など、いろんなアイデアを与えて、状況に適したプレーを選べるように心がけています。――中野島FCは少年団で、近隣には川崎フロンターレや東京ヴェルディなどのJクラブがあります。そのような地域に位置するクラブとして、どのような考えで育成をしているのでしょうか?岡本中野島は父が代表をしていて、僕もOBです。僕自身、ジュニアユース、ユースは川崎フロンターレでプレーしました。ちなみに中野島の1学年下に、三好康児がいます。小学生で上手な選手は、Jリーグの育成組織に流れる傾向がありますが、そこに負けないぐらい「中野島も良い育成しているよね」と言われるチームを目指しています。中野島FC出身の三好康児選手が語るサッカーが上手くなるサッカーノートの書き方>>ワールドチャレンジ2022決勝戦の動画はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年09月08日関西有数の育成クラブとして知られ、堂安律選手を始めとするプロ選手を輩出する西宮サッカースクール。U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022では、決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)でPK戦の末に敗退しましたが、随所に高い技術が光る好チームでした。U-12の監督を務める上野洋輔さん(以下、上野)と選手たちに、試合の感想と選手育成について話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)随所に高い技術力を見せつけた西宮サッカースクールだったが、惜しくもPK戦で敗れた(C)新井賢一<<関連記事:バルサのPKを3連続ストップで勝ち上がったヴィッセル神戸を制し、malvaスクール選抜が優勝■ワーチャレは中学生年代に繋げる良い大会――ラウンド16はPKで敗退となりました。試合の感想をお願いします。上野前半はリードして折り返したのですが、もう1点取るチャンスがあった中で決めきれなかったのが残念です。ただ、初戦は負けから入って、引き分け、勝ちといい流れを作ることはできたかなと思います。子どもたちも初めての11人制でしたが、一戦一戦自信を持ってやってくれました。中学生年代に繋げる意味でも、いい大会だったと思います。■ピッチを大きく使うとゴールまでの距離が遠くなるので、「逆の発想」で戦った――ボールを保持して攻める場面も多かったですが、チームとしての狙いはどのようなことだったのでしょうか?上野11人制のフルコートとなると、ピッチがかなり広いです。最初はピッチを大きく使ってプレーしようとしていたのですが、この年代のフィジカル、走力は大人とは違うので、ピッチを広く使うとゴールまでの距離が遠くなってしまいます。そこは試合をするごとに修正しながら、「逆に距離を狭くしてやろう」と言いました。選手同士の距離を近くして、狭いスペースの中でプレーすることで、日頃トレーニングしている足元の技術や、自分たちの良さが活きてくるのではないかと考えました。距離を近くすることで点も入るようになりましたし、選手の特徴も発揮しやすくなったのではないかと思います。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■年代に応じた指導、低学年のうちはパスを使わない試合もする狙い――西宮SSは技術を重視する指導で有名ですが、どのような考えで育成しているのでしょうか?上野外国人と試合するとなると、日本人はフィジカルで勝つことはできません。どこで勝負するかというと、狭いスペースであったり、局面の技術だと思っています。そのために、低学年のうちはドリブルやリフティングの練習ばかりしますし、パスを使わないで試合をすることもあります。高学年になるとパスも使うようになり、相手がパスを警戒するとドリブルが活きてきます。まずはドリブルができないと、パスも活きてこないと思っているので、パスを活かすためにもドリブルは必要です。――年代に応じて、すべきことを分けて指導しているわけですね。上野はい。低学年と高学年では、少しずつサッカーが変わってきます。それは、年代に応じてやるべきことが違うからです。低学年のときは足元の技術、ドリブルを中心に、試合の結果にはこだわらないスタンスで指導しています。私はジュニアを11年見ていますが、1年生から6年生まで続けて指導して、その後1年生に戻るという形なんですね。なので、いまは2周り目です。それも踏まえて「この年代ではこうしていきます」という方針のもとでやっています。■中学年代に繋げる上で、12歳時点で重要なこと年代に応じてやるべきことが違うので、それぞれの年齢に合わせた指導を行っていると語ってくれた上野監督(C)新井賢一――中学生年代につなげる上で、小学6年生の時点で重要なことはなんでしょうか?上野ジュニアユースになっても、技術が必要なことに変わりはありません。中学年代を見ていると、ジュニア年代で技術をやっている子と、蹴るサッカーやフィジカルに頼ったプレーをしていた子では、差が出るように思います。足元の技術があることで、狭いところでもプレーできますし、ジュニアユースで求められる、いろんなサッカーに対応できるのかなと思います。■年代に応じた指導、低学年のうちはパスを使わない試合もする狙い――OBとして、堂安律選手が有名ですね。上野うちに来てくれる子たちは、足元の技術が上手くなりたい、ドリブルで抜けるようになりたいという子が多いです。うちでサッカーをするとは、そういうことなので、中学生になったときに伸びる選手が多いのかなと思います。小学生年代でBチームだったとしても、中学、高校で活躍している選手もたくさんいます。長い目で見て指導していますし、Bチームの子にも「しっかりと伸びるサッカーを教えてます」と、自信を持っています。――ジュニアユースからJクラブのアカデミーに進む選手も多いですが、どのようなところが評価されていると思いますか?上野Jに行く子は武器があります。西宮の選手はベースとして足元の技術はありますが、それに加えてスピードがある、強い、視野が広いなどの武器がある選手が、Jクラブの育成組織に行っている印象です。Jクラブに限らず、全国の強豪校でプレーしている選手もいるので彼らの活躍は嬉しいです。■中学にあがる前に11人制を経験できるのは良い体験――あらためて、ワールドチャレンジという大会を振り返って、感想をお願いします。上野この大会に出られるのは、すごく光栄なことだと思います。予選から勝ち上がり、強豪チームと試合をすることができて、いい経験になりました。海外のクラブと試合ができなかったのは残念でしたが、ワーチャレの良さは、中学校に上がる前に、11人制を経験できることです。そこも含めて、良い経験ができた大会だったと思います。■選手たちが4日間の大会を通じて得たもの選手にも話をうかがいました。大会を通じて「戦う気持ち」を得られたと語った鹿島正成くん(C)新井賢一背番号20番・MF鹿島正成(かしままさしげ)――ラウンド16の試合を振り返って、感想をお願いします。鹿島前半からペースをつかんでいましたが、そこで決めきれなかったのが敗因だと思います。――大会を通じて得たものはありますか?鹿島メンタルというか、戦う気持ちが得られました。――西宮SSのサッカーの特徴は?鹿島高い技術とパスワークで、相手ゴールに襲いかかるところです。――憧れの選手はいますか?鹿島遠藤航選手です。守備の要で、ボールを奪って攻撃につなげていくところが好きです。ワーチャレを通じて選手間の会話が増え、一人ひとりが意思表示できるようになったと語った上原颯介くん(C)新井賢一背番号23番・MF上原颯介(うえはらそうすけ)――試合を振り返って、感想をお願いします。上原全体的にラインを上げて、自分たちの流れが来ていましたが、決めきることができませんでした。カウンターの場面で、最後はボールを奪うことができたけど、はっきりするところと、中途半端になるところがあったので、もっと明確にやればよかったです。――大会を通じて得たものは?上原チームワークです。Bチームの子たちと話す機会が増えたことで、一人ひとりが意思表示できるようになったのは良かったです。――憧れの選手は?上原特にいなくて、自分らしくプレーできたらいいなと思います。「自分たちで勝利を失った感じ」と試合を振り返った林祐未くん(C)新井賢一背番号10番・DF林祐未(はやしゆうみ)――試合を振り返って、感想をお願いします。林先制点を決めて流れをつかめたけど、相手に決められた後、流れがちょっと悪くなって、シュートを打てるタイミングで打たずにPKに持ち込んでしまいました。自分たちで勝利を失った感じです。――西宮SSで身についていることは?林ボールタッチや技術、パスワークなどが身についていると思います。岡部遥希くんは「決めるところで決めきれなかった」ことを悔やんだ(C)新井賢一背番号7番・FW岡部遥希(おかべはるき)――試合を振り返って、感想をお願いします。岡部全体的に押し込めたけど、決めるところで決めきれませんでした。自分のプレーとしては1対1で負けてしまい、ゴールに結びつけられなかったのが悔しいです。――憧れの選手は?岡部グリーリッシュ選手です。ドリブルで切り込んで、シュートを決めるところが好きです。先制点を決めた野山悠行くんは、将来「わかっていても止められない」選手になりたいと語った(C)新井賢一背番号21番・MF野山悠行(のやまゆあん)――試合を振り返って、感想をお願いします。野山自分が先制点を決めることができて嬉しいですが、負けてしまったので悔しいです。――大会を通じて得たものは?野山自分の得意な、スピードを活かすドリブルはできたかなと思います。この大会は強い相手が多かったので、メンタルを強く持ってプレーすることができました。――憧れの選手は?野山エムバペ選手です。足が速くて、わかっていても止められない。僕もそういう選手になりたいです。西宮サッカースクールのトレーニングを紹介>>ワールドチャレンジ2022決勝戦の動画はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年09月02日8月25日に閉幕した、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022。大会の目玉、FCバルセロナは、ヴィッセル神戸との準決勝で姿を消しました。2番のギウ・マルティネス選手、11番のルスナン・エルナンド選手を中心に、サイドから迫力ある攻撃を仕掛けるもヴィッセルの固い守備を崩すことはできず。50分の対戦では0-0のドロー。勝ち上がりを決めるPK戦で3人連続して失敗し、涙をのみました。3年前も監督としてチームを率いたアルベルト・アルカイデ監督(以下、アルベルト)に、準決勝の感想とこの年代の指導で重視していることを聞きました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)有償を本命視されていたバルセロナだったが、準決勝でヴィッセル神戸にPKで敗退(C)新井賢一<<関連記事:バルサのPKを3連続ストップで勝ち上がったヴィッセル神戸を制し、malvaスクール選抜が優勝■ヴィッセル神戸が中央のスペースをしっかり埋めたのでボールが回せなかった――ヴィッセル神戸との準決勝はPK戦で敗退しました。試合に関して、どのような感想を持っていますか?アルベルト相手がしっかりとブロックを作って守備をしてきたことで、中央にスペースがなく、うまくボールを回すことができませんでした。そのため、相手の背後のスペースにロングボールを出すことや、サイド攻撃を仕掛けたのですがなかなかうまくいかず......。この大会に来る前に練習や練習試合ができていれば、もう少し良いプレーができたと思います。――ヴィッセルの守備陣が中央を固める中で、打開するための指示はしたのでしょうか?アルベルト特に指示はせず、この状況でどのようなプレーをすればいいかを選手たちに考えさせました。7人制のときは相手が引いて守ることが多く、我々が常に攻めています。相手のチャンスはわずかしかありません。ですが11人制になるとそうもいかず、スペースがあるので、見るべきことがたくさんあります。選手たちは11人制に慣れていないので、判断を間違えることがありました。試合の中で何度も間違える中で「中央をドリブルで崩すことはできないから、もっとボールを動かそう」といったように、選手たちが考えてプレーすることをうながしていました。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■ワールドチャレンジはバルサにとっても有意義な大会――ヨーロッパは9月から新シーズンが始まるので、このチームは立ち上がったばかりということでしょうか?アルベルトはい。このメンバーはU-12で7人制をしていた2つのチームから集まってきた選手たちです。プレシーズンが始まったのが日本に来る1週間前で、まったく一緒にプレーできていない選手もいました。7人制から11人制に慣れる時間もなく、大きなスタジアム、観客の前でプレーするのも初めてだったので、選手たちにはいろんなプレッシャーがあったと思います。――毎年プレシーズンにワールドチャレンジに参加していますが、この大会はバルサにとって、どのような意味を持ちますか?アルベルトバルサとしては新シーズンが始まる前に、短期間でたくさん試合ができる、有意義な大会だと思っています。多くの試合をすることで、プレーの仕方を早く学ぶことができます。初めて顔を合わせるメンバーもいるので、遠征という形で遠い国に来て多くの時間をともに過ごすことで、よりよいコミュニケーションをとることができる場になっています。■バルサもユベントスも日本チームに負けた。3年前より日本のレベルも上がっている日本のレベルが高くなったこと、バルサの選手がピッチ内外で大事にしなければならない心得などを語ってくれたアルベルト監督(C)新井賢一――アルベルト監督は、3年前のワールドチャレンジにも監督として出場しています。3年前と今大会を比べて、日本サッカーの印象で何か違うものを感じたことがあれば教えてください。アルベルト3年前の大会は、日本チームのレベルが拮抗していました。あまり差がなかったので良い競争ができていました。3年前は海外のチームが多く彼らが準決勝、決勝と勝ち進んでいきました。(※ワールドチャレンジ2019大会:バルサはラウンド16でタイ代表U-12に敗退)。今年はバルサとユベントスだけでしたが、我々は引き分けが2試合あって、ユベントスも負けました。そのことから、日本のチームのレベルも上がっていると思います。■審判に抗議した選手たちには注意した。選手は個人でなくクラブのイメージを考えて行動しなければならない審判への抗議については選手たちに注意したそう(C)新井賢一――今大会はヴィッセル神戸を始め、プレーモデルがあり、守備の組織を作ってバルサに挑んでくる日本のチームが多い印象があります。それについてはどう感じていますか?アルベルト正しい事だと思います。小さい頃から同じメソッドで育成をすると、ファーストチームまで行くチャンスが多くなります。もしそのチームでプロになれなかったとしても、その下部組織にいたという、クラブへの愛着も強くなりますから。――ピッチ外で、バルサが大切にしていることを教えてください。アルベルト我々の選手たちが準決勝で審判に抗議をしていましたが、あれはやってはいけないことです。選手たちにも「それはいけないことだ」と言いましたし、これからも言い続けるつもりです。アカデミーの選手が審判に対して異議を唱えることは、個人のことではなくバルサというクラブに影響をもたらします。選手個人ではなくクラブのイメージを考えて行動する必要があるのです。■バルサが考える「12歳のプレーにおける大事なこと」――12歳という年代において、育成する中で何を一番重視していますか?アルベルトこの年齢で大事なのが、7人制から11人制の変更に慣れることです。バルサのU-13は、普段U-14チームと試合をしています。この時期の1歳差は、フィジカル面で大きな違いがあります。その相手に対してもしっかりとプレーすること、相手のプレーの仕方に慣れる事を大事にしています。――最後に、日本の選手とバルサの選手とのコミュニケーションで印象に残っていることがあれば教えてください。アルベルト日本の子たちが「Hola(オラ)!」とあいさつをしてくれて、バルサの子たちが「ありがとう」と日本語で返したり、バッジやボールペンをあげたりしながらコミュニケーションをとっていたことが印象に残っています。【独占取材】バルサ監督がU-12年代の選手に求める「FCバルセロナの一員」としてのふるまい>>ワールドチャレンジ2022決勝戦の動画はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年08月31日千葉県のフクダ電子スクエア/フィールドで開催中の、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022。大会3日目は、ラウンド16と準々決勝が行われました。準々決勝終了後、大和ハウスDREAMSを率いる播戸竜二監督にお話をうかがいました。元気で明るく、勝負にこだわるチームを作り、選抜チームをワーチャレ史上初となるベスト8に導いた播戸監督は、子どもたちと過ごした4日間で何を感じたのでしょうか?(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)播戸竜二さんが監督を務めた大和ハウスDREAMSは選抜チーム史上初のベスト8進出(C)新井賢一<<関連記事:前回大会は強豪街クラブ・センアーノ神戸が初優勝!■4日間チームとして戦ってくれたみんなに「ありがとう」――前回に続き、二度目の監督でした。大会を振り返って、感想をお願いします。前回は「楽しみながら、みんなで戦う」をテーマにしていました。それを経て、今回は勝負に徹するというか、結果にこだわってやろうという話をしました。なるべく全員を試合に出そうとする中で、状況によっては出られない選手もいます。僕自身、現役時代は常にスタメンで出て、順風満帆にプレーしたタイプではなかったので、試合に出られない選手の気持ちもわかります。その中で、試合に出ている選手は、出ていない選手の気持ちを背負って戦うことや、チーム全体で戦うことを意識して、このチームを作りました。4日間という短い時間でしたが、選手はみんな戦う気持ちを押し出して、プレーしてくれたと思います。試合が終わった後、みんなに「ありがとう」と言いました。■大会史上初、選抜チームがベスト8進出――選抜チームの過去最高位はベスト16でしたが、播戸さんのチームはベスト8進出。歴史を塗り替えました。選抜チームでベスト8に行けたことは、選手にとって大きな自信になったと思います。僕自身も結果にこだわってきた中で、この成績を残すことができたので良かったです。チームづくりの大変さや難しさを学ぶことができて、最高の経験になりました。4日間しか一緒にいない選抜チームとは思えないほど選手同士意見を出し合い、チームとして連携を高めていた(C)新井賢一――子どもたちには、どのようなことが伝わったと思いますか?これはオシムさんが言っていたことなのですが、サッカーは人生そのものです。仲間と一緒に勝って喜び、負けて悔しがり、しんどい思いをするのも、人生と似ていますよね。僕自身この短い時間で、子どもたちにどう活躍してもらうか、どうすれば相手に勝てるのかをたくさん考えました。人生において貴重な経験でしたし、そんな経験ができるサッカーというスポーツは、本当に素晴らしいものだと思います。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■海外勢と試合ができるワールドチャレンジの意義――初戦でユベントスと試合をしました。海外勢と試合ができる、ワールドチャレンジの意義はどのように感じていますか。この大会はバルセロナやユベントスなど、誰でも知っているチームと試合をするチャンスがあります。同じ年代の子たちがどういうふうなサッカーをしているのか、どういうふうなメンタリティをしているのかを、外から見るのはなく、直に戦う中で感じることができたのは、彼らの人生において大きな財産になったと思います。■指導者も保護者も、サッカーに関わるみんなが成長することが大切――試合後、選手の保護者に向けてメッセージを送っていましたが、サッカーをする子どもを持つ親御さんにとって、どのようなスタンスが大切だと思いますか?自分の子どもはかわいくて仕方ないでしょうし、いろいろ言いたいこともあると思います。それは指導者に対しても同じで、言いたいことがあったとしても、子どもや指導者を信じてぐっと我慢して、サポートする体制、温かく見守るスタンスが大事だと思います。日本のサッカーがもっと上に行くためには、選手だけでなく、指導者も保護者も、みんなが成長していくことが大切です。サッカーに関わる人みんながどうすればいいのかを、建設的に考えながら、コミュニケーションとってやっていくことを大事にしていきたいです。■親やコーチ、チームメイトがいるからサッカーができる。感謝の心を忘れずに――最後に、子どもたちにメッセージをお願いします。1日1日、全力を出して、上手くなることを目指してやってほしいです。その中で親御さんやコーチ、チームメイトがいるからサッカーができているんだという感謝の心も忘れずにいてほしいなと思います。あとは、大会中にも伝えましたが「戦うこと」です。サッカーだけでなく、社会に出ても戦わなくてはいけない場面はあります。全力を出し切って、戦いに挑んでほしいです。当然、負けることもありますが、また次、起き上がって戦えばいいわけです。僕自身、戦うことや負けても立ち上がることの大切さを、子どもたちに教えてもらいました。自分もそのような姿を見せることで、お互いに頑張ることができたらいいなと思っています。――ご自身の今後の活動について、どのようなイメージを持っていますか?僕自身、監督をするというよりも、クラブのマネジメントや経営を始め、JリーグやWEリーグ、サッカー協会の仕事などを通じて、サッカー界を良くするためにどうすればいいのかを、勉強しながらやっていきたいと思っています。――ワールドチャレンジ、3回目の監督オファーが来たらどうしますか?この大会を通じて、サッカーや指導以外にも、人として様々なことを勉強することができました。素晴らしい機会を与えていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。もし次回、オファーをいただいて、タイミングが合えばぜひやりたいですね。■初めて会う人とチームになって戦う楽しさを感じられた監督だけでなく、選手たちにもインタビューを行ったので、その声をお送りします。選手たちも大会を通じて自分の成長を感じていた(C)新井賢一――大会を通じて成長したところは?また、播戸監督に言われて印象に残っていることを教えてください背番号1番・GK阪井海斗(さかいかいと)初めて会う人とチームになって、強豪チームと試合をして勝つことの楽しさを感じることができた大会でした。大きな舞台で緊張はしましたが、格上の選手の強いシュートを止めることができたので、大会を通じて、少しは成長したと思います。播戸監督が「試合に出ていない人も含めて、みんなで戦って得た勝利や」と言っていたのが印象に残っています。みんなと戦ったことを忘れずに、準決勝、決勝を見て学んで、自分のプレーに活かしていきたいです。背番号3番・DF寺山晟也(てらやませいや)バルサやユベントスの選手は楽しそうにプレーしていたけど、僕は100%でやることや、結果に集中しすぎて、目標が勝つことになっていました。今後はバルサやユベントスの選手のように、楽しんでプレーすることを心がけて、成長するために、どんどんチャレンジしていきたいです。播戸監督からは「負けたことを次に活かすことが大事」と言われました。負けた試合からも学んで、成長につなげていきたいです。背番号4番・DF金淳優(きむすうん)播戸監督から「大会が終わっても、みんなが仲間ということには変わりはない」と言われたのが印象に残っています。サッカーは個人競技ではなく、チームスポーツなので、みんなでしっかりコミュニケーションを取りながらプレーできたことが良かったです。これから、ワールドチャレンジの勝った試合、負けた試合を振り返って、良かったところや改善点を確認して、自分のチームに戻ったときに、チームのみんなに伝えられたらいいなと思います。ワールドチャレンジ20223日目の結果と最終日の対戦カードはこちら>>サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2022年08月24日FCバルセロナやユベントスなどの海外勢が参加する、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。3日目が終わり、準決勝に進む4チームが決まりました。それが湘南ベルマーレアカデミー選抜、malva future select、ヴィッセル神戸U-12、FCバルセロナです。最終日となる25日は、フクダ電子アリーナにて準決勝、3位決定戦、決勝戦が行われます。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)播戸竜二さんが監督を務めた大和ハウスDREAMSはPKの結果、選抜チーム史上初のベスト8進出(C)新井賢一<<関連記事:前回大会は強豪街クラブ・センアーノ神戸が初優勝!■播戸竜二さんが監督を務めた選抜チームがベスト8進出大会3日目はノックアウトステージということもあり、緊張感の中で熱い試合が繰り広げられました。播戸竜二監督率いる大和ハウスDREAMSは、鹿島アントラーズノルテジュニアをPK戦の末に下し、選抜チーム史上初となる、ベスト8進出を決めました。湘南ベルマーレアカデミー選抜は3-1でセレッソ大阪に勝利(C)新井賢一湘南ベルマーレアカデミー選抜は、前線、中盤、最終ラインに能力の高い選手を揃え、セレッソ大阪U-12を3対1で撃破。強烈な個を擁し、大会屈指の攻撃力を誇るmalva future selectは、組織力に定評のあるジェフユナイテッド市原・千葉U-12に3対0で完勝します。西宮サッカースクール対YF NARATESOLO(前回大会3位)という関西対決は、PK戦でYF NARATESOLOが勝利。埼玉の強豪・江南南サッカー少年団は、本田圭佑選手がプロデュースするSOLTILO SELECTに2対0で勝利を収めました。ヴィッセル神戸U-12は千葉県トレセンU-12に1対0、バディサッカークラブ対柏レイソルU-12はスコアレスドローからのPK戦で、柏に軍配が上がりました。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■GKの好セーブでバルサとスコアレスドローも、PK戦で涙GKの好セーブなどで大会本命のバルサをあと一歩のところまで追いつめたバディーサッカークラブ(C)新井賢一そしてたくさんの観衆を集めた、FCバルセロナ対バディーサッカークラブの試合は、バディーGK・1番の松本大駕選手の好セーブもあり、0対0でPK戦に突入。FCバルセロナをあと一歩のところまで追い詰めたバディーでしたが、PK戦で涙を飲みました。準々決勝第1試合、大和ハウスDREAMS対湘南ベルマーレアカデミー選抜は、湘南の10番末廣大翔選手の鮮やかなミドルシュートを含む、3ゴールで快勝。同時刻に開催されたmalva future selectは、YF NARATESOLO相手に攻撃力が爆発し、4対0で勝利。江南南サッカー少年団対ヴィッセル神戸U-12は、神戸の雄が1対0と僅差の試合をものにします。■バルサがゴールラッシュで準決勝に弾みをつけるそしてFCバルセロナは柏レイソルU-12から大量5ゴールを奪い、ゴールラッシュで大会3日目を締めくくりました。準決勝に進んだ、湘南ベルマーレアカデミー選抜、malva future select、ヴィッセル神戸U-12、FCバルセロナは、いずれも攻撃力に特徴のあるチームです。準決勝以降も、個人の打開力、スピード、突破のアイデアなど、見ごたえあるプレーが飛び出すはず。夏休み期間ということもあり、3日目もたくさんの観戦者が会場でサッカーを楽しんでいました。試合は入場無料なので、ぜひ間近で見て、日本の、そして世界トップレベルの選手達のプレーから、たくさんの刺激を得てはいかがでしょうか?ワールドチャレンジ20223日目の結果と最終日の対戦カードはこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年08月24日3年ぶりにFCバルセロナやユベントスFCなど海外勢が参加する、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジの2日目が終了。ベスト16が出揃いました。グループリーグが終わり、明日は各グループの1、2位が決勝トーナメントへ、3、4位は下位トーナメントに進みます。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)中野島FCはユベントスと対戦、開始早々先制するも逆転を許してしまった(C)新井賢一<<関連記事:前回大会は強豪街クラブ・センアーノ神戸が初優勝!■開始早々に先制も、ユーベが逆転勝利1試合目に登場したのは、今大会初参加となるユベントスFC。対するは、U-11アイリスオーヤマプレミアリーグ・チャンピオンシップで優勝し、ワールドチャレンジへの出場権を獲得した中野島FC(神奈川県川崎市)です。中野島FCを率いる岡本一輝監督は「ユベントスとやれる機会なんて、普通はありません。萎縮して自分のプレーを出せないのはもったいないので、いままで培ってきたものを最大限出そうという話をしました」と、選手たちの背中を押す声掛けで送り出しました。試合は中野島FCが開始1分に先制しますが、フィジカルに優れた選手を揃え、選手層の厚いユベントスが徐々に主導権を握ると、前半6分に11番のガブリエレ選手のシュートで同点に。後半8分には、16番のエドアルド選手がミドルシュートを沈め、ユベントスが逆転勝利を収めました。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■認知・判断を高める指導でおなじみの「エコノメソッド選抜」はバルサと引き分けエコノメソッドスクール選抜はバルセロナと引き分けた(C)新井賢一第2試合では、初戦で2連勝を収めたFCバルセロナが、スペインのバルセロナで誕生した「エコノメソッド」のスクール選抜チームと対戦しました。両チームとも個人戦術、グループ戦術を駆使した戦いを繰り広げ、15分ハーフの試合では決着がつかず。0対0のスコアレスドローに終わりました。試合後、エコノメソッド選抜のガルシア監督は「バルサという、ヨーロッパでもトップレベルのチームに引き分けたことは、選手たちのご褒美になったと思う」と笑顔で試合を振り返りました。■2度目の監督となる播戸竜二さんのチームもラウンド16進出播戸竜二監督率いる、大和ハウスDREAMSは、本田圭佑選手がプロデュースする、SOLTILOファミリアサッカークスールの選抜チーム「SOLTILO SELECT」に1対0で勝利。3試合を終えて2勝1分けで、ラウンド16進出を決めました。大会2日目が終わりベスト16が決定。明日は、準決勝進出をかけた対戦が行われます。選抜チームとして初めてベスト16に進出した大和ハウスDERAMS対鹿島アントラーズノルテジュニア、FCバルセロナ対バディーサッカークラブ、ユベントスFC対バルサアカデミージャパン選抜など注目のカードが並びます。同年代の上手なプレーを見てわくわくしたり、刺激を受けることもサッカー上達につながるものです。入場無料ですので、ぜひ会場に足を運び、世界トップレベルの選手のプレーを間近で見てみてください。ワールドチャレンジ20222日目の結果と3日目の対戦カードはこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年08月23日先日開催されたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。優勝したセンアーノ神戸ジュニアは「止める・蹴る」の技術レベルの高さが注目されました。大木宏之監督の育成は、低学年から自分たちで決めさせるなど、主体性を育てる点に特徴があります。最近では練習試合を減らし、紅白戦を増やしているというやや意外な話も。今大会だけではなく、中学以降も大事になるサッカーのベース、必要なスキルなど育成年代で大事なことなどを伺いました。(取材・文:貞永晃二、写真:浅尾心佑、吉田孝光)優勝したセンアーノ神戸ジュニア(写真:吉田孝光)■11人制は1人当たりのスペースが大きい今大会は、グループリーグからR16まで無失点で4連勝、準々決勝では0-0と苦しみましたがPK戦で勝ち上がりました。最終日第一試合となった準決勝で今大会初失点を喫し一旦は0-2とリードされたが粘り強く戦い同点として再びPK勝ちで決勝進出。決勝では持ち前の攻撃力を爆発させる大勝で見事優勝を果たしました。R16勝利後インタビュー――今大会にはどういう思いで臨まれましたか?大木宏之監督(以下、大木)ジュニアユース年代の11人制は、ジュニアの8人制とは大きく違う点がいっぱいあります。特に1人当たりのスペースが大きいため、しっかり技術を発揮したサッカーを目指してやってきました。対戦する相手もいいチーム、いい選手ばかりなので、練習の成果をしっかり発揮できるように意識しました。――試合前に選手に向けて選手たちに3つのことをお話しされていましたが?大木自分たちのサッカーは、中盤に落ちて、受けて、出し入れしながら前進するサッカー。前を向くということを意識しよう、と言いました。僅差になるのが分かっていたので、シュートチャンスを逃さずにやろう。ゲームの流れの中で最後はお互いのいい声、仲間を信じてポジティブに声を掛けてサッカーしよう。という3つのことを話してゲームに臨みました。――クラブの育成として主体性を大事にされていると聞きますが、できていましたか?大木そうですね。今大会の試合途中も、フリーキックを誰が蹴るか、ゴールキックを誰が蹴るかとか、常に選手が自分たちで決めていました。今日選手を一人入れ替えたんですが、それも選手と相談して決めました。■「笑顔でいい声かけをして、仲間のいいプレーを盛り上げよう」と言ったセンアーノ神戸の大木監督は、試合前選手たちに「仲間のいいプレーを盛り上げよう」と声をかけたそう(写真:吉田孝光)優勝後インタビュー――優勝おめでとうございます。準決勝、決勝の感想をお願いします。大木ありがとうございます。準決勝の相手YF NARATESOROさんとはよく練習試合をしていて、個人個人は知っているんですが、11人制では見ていないので前半バタついちゃった所がありました。何とかPKで勝ち上がれたのは幸運でしたね。決勝のトリプレッタさんは準決勝を見たところ、早いし大きいし力強いなと。ウチの前線の選手は大きくないので相手と同じことをやっても難しいと思い、決勝は自分たちの良さをしっかりと出したサッカーを徹底しようと言いました。――準決勝では後半の序盤で0-2とリードされましたが?大木この子たちにとって勝負のかかった大きな大会でのゲームはこれが最後だと思っていたので、「今日一日みんな笑顔でいい声かけをして、仲間のいいプレーをどんどん盛り上げていこう、勝っても負けてもそういう試合をしよう」と言い続けていました。それを準決勝も決勝も子どもたちに意識させて。勝ち負けは後からついてくる、と。続けていたら結果勝てるかもしれないよと。戦術的には、ウチは狭い距離感でずっとトレーニングを積んでいるので、そういうボールの動かし方を徹底して、相手のFWが一枚だったから、ウチは2枚にしてボールを保持してやるようにということは言いましたね。■止める、蹴るは中学以降でも大事な要素――センアーノの選手たちは「止める・蹴る」が実にしっかりしていますね。大木ありがとうございます。「止める・蹴る」は大事にしたいと思っています。中学、高校でもサッカーを続ける中で、絶対に大事になってくる要素なので。私たちは、自分たちでボールを持って主導権をもってやる方が絶対に上手くなると思って続けてきたので、それを徹底して今日もやりました。――ゴールがなかなか取れない試合が続きましたが、決勝では大量得点でした。その理由は?大木ふっ切れたのかも知れないですね。昨日は1点しかとってないですから。あと、今日戦術を変えたんです。後ろのところを1枚多くしてちゃんとボール保持して方向を変えてからやろうと。昨日は数的同数の状態でやっていたんですが、そうするとプレッシャーを掛けられちゃってどうしても逃げたり、後手になったので、そこを思い切って変えたのが功を奏したのかなと思います。――距離感も連係もよかったですね。大木試合前のウォーミングアップでも狭いコートでのゲームを最近ずっとやっているので、そういったことを11人制になってもしっかりできるようにということで、いい距離感でボールを動かして、最後前を向けたら突破のパス、ドリブルをやろうと。■練習でやってきたことをブレずにできたのは成長――選手たちが大人になる頃、未来のサッカーがどんなものか分かりませんが、「止める・蹴る」は絶対必要でしょうね。大木そうですね。今川崎フロンターレさんがすごく個々の選手も伸びているし、評価されて代表にも行っています。このさきどんなスタイルが流行るかはわかりませんが、フロンターレさんの方向性がベースになるのかなと。日本人はどうしてもフィジカルで海外の選手に勝てるわけがないので。そういった技術や判断の部分は大事にしていきたいなと思います。小学生年代で体の大きな子であっても、中学・高校へ行って彼らがどうなるかの方が大事なので。――今大会を通じて選手の成長を感じた点は?大木11人制で勝負がかかる緊迫感のあるゲームをするにつれて、自分らがこれまでの練習でやってきたことが通用するんだというのを実感できたんじゃないでしょうか。特に準決勝の後半から自信をもってやれるようになって、決勝も途中ちょっとバタついたところもありましたが、それ以外はブレずにやれたので、そこは成長かなと思っています。――昨年の大会の経験者がいたのは強みでしたか?大木昨年大会の経験者が5人いまして、それも大きかったかもしれません。でも、いいチームがいっぱい出ていたので、まさか優勝できるとは思っていませんでしたね、目指してはいましたが。PKでの勝ち上がりが2つあるのでね(笑)。■「自分たちの試合」を見てサッカーの理解を深めるようにしている――センアーノでは幼少期から自分たちで戦い方を決めたりしていると聞きます。選手を見ていてサッカーの理解の部分が優れていると感じるんですが、映像等の情報の伝え方などは?大木海外の映像とかはYouTubeなどの動画を見ている子も多いので、あえて見せたりはしないですが、"サッカー脳"的に言うと、自分たちの試合映像を見て良かった点、改善したらよくなるなと思う点をサッカーノートに書かせるようにしています。自分たちの映像を見ることで、試合の振り返りができるので、それに僕がコメントを加えたりはしています。あと、小さい頃からできる限り自分たちでポジションを決めたりもさせています。最近はトレーニングマッチをできるだけ減らして、紅白戦を極力入れるようにしています。トレマだとフリーズできないですが、紅白戦だとフリーズして見れるので、自分で考えることができるんです。あまり止めると子どもらは嫌がるので、そこのさじ加減は指導者の腕の見せ所になるんですが(笑)。ゲームをやって改善点を考えるわけですが、試合展開が進むと指導者も流してしまう。今日ここは教えたいな、伝えたいなというところは絞って、小3くらいからは紅白戦でフリーズさせて、子どもらにどうだと問いかけて、考えさせて、それを他の子も聞いていますからね。そういう取り組みは最近2年くらいやっています。試合中の一場面をメモしても、試合後には子どもらはもう忘れてしまってますから。フリーズで難しいのは、プレーを止めすぎると子どもらは面白くないところです。「なんで止めるの?」と言われますからね。止めるタイミングもチャンスの場面だと、「えっ?」ってなりますし。できるだけ流れを止めないようにしながらやるので難しい。指導者も力をつけないといけませんので、常に学び続けています。■低学年から自分たちでポジションや戦い方を決める――低学年から自分たちでポジションとか戦い方を決める方法が、チームの強さにつながっているのかなと感じますが、その方法の良さは?大木試合中声で指図しても届かないので、自分らで判断してプレーできるのがいいですし、中学・高校になればサッカー脳が高くないと、やっぱり通用しないと思うのでね。指導者が変われば考え方も違いますが、サッカーの原理・原則は変わらないので、そこはキッチリ押さえさせて、その中で何を選ぶかを子どもたちに考える習慣をつけさせています。――低学年だと難しいんじゃないか、教えた方がいいんじゃないかという意見には?大木いきなり何もない状態から「やってごらん」というやり方はしません。戦い方はこういうのもあるよ、違うのもあるよと伝えていきながら、じゃあ今日はみんなでやってみようかと。そんな風に前提を提示してから子どもたちに決めさせ、そのやり取りを「今、何を話してるんだろう」と僕らがのぞき見している感じです。特に低学年だと子どもたちは勝ちたいので、上手い子が真ん中やったり、前線やったりして、GKは誰もやりたがらない。そういうこともあるんですが、そうなったら、「それでいいの?みんなが出てみんなプレーして勝った方が楽しいんじゃないかな?」と声をかけたりします。――MVPに選ばれた片山君の良さは?大木彼は幼稚園からウチでやっている選手です。憧れの選手にマラドーナを挙げていましたが、小柄なのを自覚しているので、俊敏性を活かしてドリブラーになりたいんだと思います。そこは彼の良さだと思っていますが、彼にはアタッキングサードで前を向いたら色んなことを自分でやっていいからと言っています。ゴール前でキレのあるドリブルのできる選手になってほしいなと思います。シュートをもっと決めてくれると、更にいい選手になるのは間違いないです。MVPを獲得した背番号10・主将の片山祥汰くんにも話を聞きました。■間で出し入れして、相手が食いついたところで裏に入れるのを意識していた小柄ながらも当たり負けせずドリブルでボールを運ぶ技術が高く、決勝では2点を決めた片山祥汰くん(写真:吉田孝光)――優勝おめでとうございます。大会通じて何点取りましたか?片山ありがとうございます。今日は2点、全部で7点か8点くらいだと思います。いちおうチーム得点王です。――朝の準決勝と午後の決勝で違いました?片山会場の雰囲気とか相手の気持ちとかが全然違いました。――準決勝の相手YF NARATESOROとは同点でしたね(PK決着でセンアーノが勝ち上がり)片山0-2になったときも自分たちのサッカーができれば逆転できるという思いで、みんながチーム一丸となってやれて同点に追いつけたと思うし、だから勝てたと思うので良かったです。――対戦相手と比べても小柄な選手が多いと思うんですが?片山自分たちはみんな身体が小さいので、つないでやろうと言っています。空中戦では負けてしまうのでフィジカルコンタクトにならないように、ワンタッチ、ツータッチでプレーしてたくさん点がとれました。――どういうふうに戦おうという狙いでしたか?片山間で受けたり、そこで出し入れして相手が食いついたところで裏に入れるとか、そういう意図をもってやっていました。――どのくらいできましたか?片山90点くらいです。――去年の大会にも出場していましたが、去年と今年の違いは?片山11人制をいろんな相手とやらせてもらったりして、その中での戦術とかを頭に取り入れていくのを結構早くからやっていたから勝てたと思います。他の選手たちにも3日目の試合終了後にインタビューしたのでお送りします。■選手たちのあこがれの選手、クラブOB香川選手の名前は......選手たち左から片山祥汰くん、津田颯太くん、濱吉一太朗くん、國吉晴向くん、久保祐貴くん(写真:浅尾心佑)――試合(対戦相手:バディサッカークラブ)の感想と、憧れの選手を教えてください背番号10片山祥汰(進路:セレッソ大阪西U-15)最初はちょっと押したり押されたりの厳しい展開だったけど、後半うまくボールを中盤で奪ってカウンターでいい感じでタテに運んで点を取ったので、よかったです。1点取ってから結構ラクになりました。憧れの選手はディエゴ・マラドーナ(元ナポリ等、元アルゼンチン代表)です。身長が小さくても負けずにドリブルで相手を翻弄するところがかっこいいから、自分も身長が大きくないのでプレーの参考になります。背番号3津田颯太(進路:セレッソ大阪西U-15)みんなよりいっぱい声を出して、みんなで楽しく試合ができるようにこれからも頑張りたいです。憧れの選手はセンターバックのファンダイク(リヴァプール)です。背番号11濱吉一太朗(進路:ヴィッセル神戸U-15)始めの方は相手に押されることが多かったけど、後半自分らが1点を決めてそのあと最後まで集中して守り切れて勝てたのは良かったです。憧れの選手はアレクサンダー・アーノルド(リヴァプール)です。背番号8國吉晴向(進路:セレッソ大阪西U-15)試合前に自分たちのサッカーで翻弄しようということで、入りは押されることが多かったけど、途中から自分たちのサッカーができて勝ててよかったです。憧れの選手はグティ(元レアルマドリード)です。YouTubeなどの動画で存在を知りました。背番号7久保祐貴(進路:ベガルタ仙台ジュニアユース)立ち上がりから球際で相手に激しく行って、点を取ってからも緩むことなくできたので良かったです。憧れの選手はモハメド・サラー(リヴァプール)です。U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジは、11人制での試合になります。8人制から11人制への移行期で、幅やスペースの使い方などを課題に挙げるチームがたくさんあります。この大会のために準備してきたとはおっしゃっていましたが、センアーノ神戸ジュニアが見せたボールスキルや戦い方は、大いに参考になるものだと思います。準決勝から決勝までの試合が動画で20見れますので、ぜひご覧になってみてください。ワールドチャレンジ2021結果はこちら>試合動画のアーカイブ(フルマッチ)はこちら>>
2022年02月01日先日開催されたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。準優勝のFCトリプレッタ渋谷ジュニア海老根監督と3位YFNARATESOROの杉野監督に、大会に参加した意義や11人制サッカーについて伺いました。U-12といえば普段は8人制でプレーしていますが、ワールドチャレンジは11人制の大会。杉野監督は8人制と11人制についての問題提起をしてくれました。(取材・文:貞永晃二、写真:吉田孝光)準決勝ディアブロッサ高田FC U-12対FCトリプレッタ渋谷ジュニア(写真:吉田孝光)■普段対戦する機会のないチームとの試合で選手たちも成長FCトリプレッタ渋谷ジュニアは、東京都渋谷区を拠点に活動するチームで、今大会は、グループリーグから決勝トーナメントのR16、準々決勝と5戦連続無失点勝利。準決勝で初失点を喫するが快勝し決勝進出。決勝では敗れ準優勝となりました。――大会に参加された狙いは?海老根宏監督全少出場を目指してやっていたんですが、東京都の大会で敗退してしまいました。今年は日程が変わったり、予選の状況が変わったりでしたが、タイミングよくこの大会の予選が最後残っていたので、世界一を目指そうという狙いの中で出させてもらいました。海外のチームが来れないのは残念でしたが、普段対戦する機会のない関西のチームや全国でやったことのないチームと対戦できて、選手も毎試合すごく成長してくれているなと感じられましたし、参加してよかったなと思います。■ピッチが大きくなりスペースと時間ができる中での守備を練習してきた――R16まで無失点ですが、守備力に自信ありですか?海老根点がそんなに取れないのでしっかり守備をしているということでもあるのですが(笑)。この年代だと普段は8人制かつハーフコートでやっているので、ワーチャレではピッチが大きくなってスペースと時間ができる中でボールの奪い方、奪う場所、タイミング、そこから攻撃を、という部分を出場が決まってからずっと合言葉のようにやってきました。試合をやるにつれて徐々に連係も良くなってきて、粘り強い守備から攻撃ができているのかなと思っています。――11人制への準備は?海老根1か月弱です。トレーニングとウチのジュニアユースとのトレーニングマッチをやらせてもらいました。なかなか東京ではグラウンドがないとか、出場する近辺のチームとかとはできなかったので。こういう大会がない年は、基本的に8人制のまま終了してしまい、11人制は中学に行ってからとなります。ウチのジュニアユースへ進む子が多いですが、このチームから2人がFC東京、大宮アルディージャへ進みます。(青木智史くん、中嶋翼空くん)。クラブとしては当然みんなジュニアユースへ上がってほしいんですが、チャレンジしたいという子にはさせています。ウチからFC東京U-15へ行った梶浦勇輝くんがU-18からトップ昇格するのは嬉しく思っています。■見ていて楽しめる、応援してもらえるチームを目指している――チームのコンセプトは?海老根個々のスキルアップはもちろん、チームとして見ていて楽しめる、応援してもらえるチームになろうというのがベースにあります。幼稚園の頃からずっとやってる子が多くてスタメンの内8人が7~8年一緒にボールを蹴っている仲間です。この大会が小学生年代最後の大会になっちゃいますが、みんな一致団結して頑張れてる要因なのかなと。――トリプレッタの選手の特徴はどんなところでしょう?海老根技術的に優れている部分と、球際の早さと強さがよく評価されています。止める・蹴るは当たり前ですが、球際、切り替え、運動量をベースに、球際へ行けるスピード感、こぼれ球へ行ける早さとかを徹底しています。小学生でも大人でも必要とされることだから今から身に付けて行こうと。中学・高校へ行っても評価してもらえるところです。――カテゴリーにユースがあるのはいいですね。海老根高3まではウチでやれるのは魅力の一つだと思います。「ここでやりたい」とJクラブの誘いを断る子もいます。中高一貫で大学まで行ける学校へ進んで、サッカーはウチでやるという子もいます。いろんなニーズに応えられるように門を広げていないと難しい時代ですね。大会3位のYFNARATESOROは準決勝で、センアーノ神戸ジュニアと対戦。11人制にも難なく対応できるスキルとサッカーの理解の高さなど、ハイレベルな試合を見せてくれましたが、PK決着で3位決定戦に回りました。「止める」「蹴る」といった基礎を大事にし、選手個人が主体性をもってプレーすることにこだわるYFNARATESORO杉野航監督に、今大会を振り返ってもらいました。■試合を重ねるごとに11人制にスムーズに移行していけた3位決定戦YF NARATESORO対ディアブロッサ高田FC U-12(吉田孝光)――準決勝は2-0からの逆転負けでしたが、内容は良かったと感じました。杉野航監督そうですね。試合の入りも悪くなかったし、2点目追加点をとれたところも悪くなかった。ちょっとだけ気持ちが下がったというか、守りに入っちゃったところ、重心が下がったところから相手にズルズルと行かれたので......。サッカーの難しさを経験できましたね。――ここまでの試合を振り返ってください。杉野初戦試合を負けたところから、試合をやるごとに11人制にスムーズに移行していけています。勝ち上がれた結果、他のチームより試合数を多くさせてもらえて、この子らのジュニアユースにつながると思うので、1試合でも多くできるのはありがたいです。この舞台(パナスタ)で真剣勝負をやらせてもらえるのは何よりだと思っています。■8人制サッカーをやりすぎている――11人制への準備期間はありましたか?杉野全少と日程的にかぶっていたから、基本的にはできていないです(笑)。試合も紅白戦と中学生と練習試合をした程度で、この大会に向けてという形ではできていないです。――大会の意義をどう感じていますか?杉野もちろん海外のチームが来て、世界レベルを体感するというのが、本来の目的だとは思いますが、今回みたいに来日していなくても選手の成長につながるようないい体験はできました。サッカーは11人でやるものなのですが、ウチも含めて「8人制をやりすぎている」のかな、という印象があるので、指導者として8人制がゴールではないし、目的ではないということを忘れずに取り組まないといけないと感じられるだけでも意義があるのかなと思います。――8人制をやりすぎているとは?杉野ボールを蹴る、つなぐは上手いチームは多かったですが、ただそれがゴールに向かっていない。ボール中心にポジショニングは取れるけど、ボール以外のところが取り切れていないとか。サッカーの本質的なところが、やっぱり11人になった時に少しボケるのかなと。ボケるというか、たぶん8人ででき切れていない。少し悪い言い方かもしれませんが、器が小さい、スケールが小さくなりがちなので、そこは8人制をやりすぎないようにしないといけないなという反省はあります。■8人制だから損する子、11人制だから輝ける子もいる――11人制につながるように8人制をやれていない?杉野やれていないところも多かったり、どうしても違う部分があったり。8人制で必要とされるものと11人制で必要とされるものが、少し離れている部分もあるので、どうしても個人的には11人制に移行する時期がいつなのかも含めて、早めるべきかもしれないと思っています。小6は11人でいいんじゃないかな、(8人制の集大成である)全少がゴールじゃなくてもいいのかなと......。もう少しスケールを大きくしてあげられるんじゃないかなという気がします。11人制だからこそ輝ける子もいるし、8人制では損をする子もいたりするので。できるだけそうならないようにしているけれど、そういう子もいるという現状があるかなと思うので。■8人制では小さい子は使いにくい!?――8人制では小さい子は使いにくいと言われる監督さんもおられました。杉野そうですね。上手く使っているチームももちろんありますけど、全少ベスト4とかを見ていると、なかなかね。11人制ではゴールまでが遠いし、人数も多いので、8人制だと1人かわされたらゴール前までいってしまっておそらく得点機会になってしまう。11人だともう少し人数もいますし、普段よりもドリブルで抜いているエリアから残り半分あるので、そこでドリブルの使い方を覚えないといけなかったり。でも11人でやる方が個人的には楽しいです。楽と言ったらおかしいですが、メリハリがとれればポジションによっては楽ができる。8人制だと基本的にはみんな動いていないといけないですから。そこで特徴が出しにくい。それこそ小さい子、ちょっと足の遅い子、運動量はないけど別のことができる子は8人制だとなかなか難しい。ジュニア年代を8人制でやっていく中で、ジュニアユースへの進路のこととかあって、8人制ではなかなか活躍の場が少なかったけど、こいつは11人制ならもっと重宝されるんじゃないかという選手もいますから、そういうのも伝えたりします。逆もいますしね。――今大会で選手の成長を感じた部分はありますか?杉野弱さが見える選手もいれば、成長が見える選手もいて、11人制への適応とかを含めると進んでいるので、ゲームをこなして良くなりますし、そのゲームがトレーニングマッチじゃなくてこういう真剣勝負の場で、お客さんに見てもらえる。こういう中でプレーして発揮できたものは自信につながるので、これから先にもつながるのかなというのが感想です。ボール奪取の上手さが光ったYFNARATESORO背番号76大田ありすさんにも話を聞きました。■全力でやったつもりだけど、後悔が残った状況を読むスキルに長けていて、ボール奪取が抜群に上手だった大田ありすさん。夢はプロ選手になること(写真:吉田孝光)――3位で終わりましたが、大会の感想は?大田みんなで優勝しようと言っていて、3位になっちゃったけど、準決勝でもっとできることがあったなと思いました。全力で走る部分で終わったあと後悔があったから。自分では全力でやったつもりだけど、今思うともっとできたと思ったから、そこは悔いが残っています。――ポジションはずっと今のところ?中盤は楽しい?大田始めた頃はトップとか前の方をやっていたけど、小4くらいから真ん中になりました。中盤はめっちゃ楽しいです。――憧れの選手と今後の目標、進路を教えてください。大田憧れの選手はイニエスタ選手です(笑)。今は守備が中心ですけど、攻撃もできるようになることが目標です。進路はINAC神戸(テゾーロ)です。――ロングヘアと進路から、澤穂希さんにあこがれているのかと思いました。大田もちろんあこがれの選手です。将来はプロ選手になりたいです。――大会前と後で自分が成長したなと思う点はありますか?大田今日はなかなかシュートが打てなかったけど、昨日は点がとれました。それでちょっと自信がついたと思うので、そこが成長したところかなと思います。U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジは、11人制での試合になります。8人制から11人制への移行期で、幅やスペースの使い方などを課題に挙げるチームがたくさんあります。中学以降、11人制のサッカーでも輝ける選手になるためにどんなことが必要なのか、杉野監督の言葉をヒントにしていただければと思います。ワールドチャレンジ2021結果はこちら>試合動画のアーカイブ(フルマッチ)はこちら>>
2022年01月31日先日開催されたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。この大会は、本国バルセロナの選手たちが来日して出場していましたが、新型コロナウイルスの影響で昨年に引き続き日本で活動するバルサアカデミージャパン選抜が出場しました。今大会は、グループリーグを1勝2敗で敗退し、下位トーナメントで1勝1敗という結果でしたが、FCバルセロナ公認のアカデミーの日本選抜チームとしてどんな心構えで挑んだのか、どんな課題や成長が見えたのかなどを伺いました。(取材・文:貞永晃二、写真:浅尾心祐)3日目バルサアカデミージャパン選抜対福山ローザス・セレソン(写真:浅尾心祐)■失点原因は「知識」がついてくれば改善できる――大会の感想をお願いします。青木亮輔監督(以下、青木)選手たちは試合を通してプレーの判断の部分はすごくよくできていて、成長していたのですが、実際は勝負のところで点を決められなかったり、いやな形で失点してしまったりとか、そこで対応できなかったところが正直悔しいところです。失点したセットプレーでの守り方の部分とかは単純にどう守ればいいのかわかっていないので、今後もっとこういう経験をする中で学んでくる部分かなと。そういう知識の部分も身についてくれば、改善できる部分だと思います。子どもたちは毎試合毎試合いい経験ができているなとすごく感じています。ただまあこの負けを経験として次につなげて欲しいなとすごく感じますし、バルサアカデミー選抜としてもそこは、もっともっと次に勝てるような準備が必要だなと実感しているところです。■バルサのトップチームの試合を観てプレーのイメージを膨らませていた――グループリーグ敗退で何人かの選手は号泣していましたが、切り替えられましたか?青木子どもたちにとってグループリーグ敗退というのは、悔しくてなかなか切り替えは難しいと思いますけど、みんなでご飯を食べに行ったりしましたし、今朝も試合まで時間があったので、ミーティングとバルサのトップチームの試合を見て、こういうことをやろうねとイメージを持たせて、また持たせられるような準備をしてきたので、プレーの部分はすごく良かったと思っています。もっと一緒に試合をしたいなという気持ちです。■「バルサ」だからと相手が真剣になってくれるのはありがたい――バルサという名前を背負っていることで、対戦相手からの負けないぞという気持ちを感じた部分は?青木たぶん試合を見てもらえば分かるとは思うんですが、多少なりともありました。どのチームもスカウティングした時よりもちょっと気合が入っているとか、ハードワークしてくるとか、一生懸命に戦ってくれるので、そういうところで対応できるようにならないといけないなと。それでやりにくい部分もありますが、僕らコーチにとっても刺激になるし、子どもたちにも前向きな経験ができたと思っています。ただ勝たせてあげたかったなとは感じています。勝ちに来たので、こういう結果になったのは本当に悔しいです。■初めての11人制でもグラウンドを大きく使う意識ができていた――大会で得たものは?青木初めての11人制の中で、グラウンドを大きく使う点では1・2試合目ではなんとなくプレーしていたのが、意図をもってグラウンドを大きく使うことを意識しながらできていた点は選手それぞれの成長だったかなと思います。(敗れた)徳島ヴォルティス戦もチャンスはこっちの方が明らかに多かったですが決めきれずに、malva fc U-12と対戦した3試合目も決めきれず最後に失点するという、2試合とも同じ形になってしまったので、正直そこに関しては監督というかこちら側の裁量の部分もあったなと。そこも含めて指導者としてもっともっとレベルアップしていきたいなと思っています。あとは子どもたちもタイトなグループというか、グループ自体のレベルも高くてすべての試合で緊張感があったので、一試合でも早く点が入って落ち着いてサッカーができればもっともっと成長できたなと感じていて、それが今、点がとれなかったために慌てた試合になってしまったという感じです。U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジは、普段参加する地域(市、都道府県)の大会では対戦する機会のないチームと試合をして刺激を受けるのも一つの魅力。FCバルセロナのアカデミーという事で、対戦相手が本気で戦ってくれるのが選手たちにもいい刺激になると話した青木監督。楽しくも真剣な試合経験することで、できたことや今後の課題も見つけながら選手たちは成長していくことでしょう。ワールドチャレンジ2021日程と結果はこちら>試合動画のアーカイブ(フルマッチ)はこちら>>
2022年01月20日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジの昨年大会で4位に入ったエコノメソッドスクール選抜。今回は予選リーグでセンアーノ神戸ジュニア、湘南ベルマーレアカデミー選抜に敗れ、パルアリーレ福島に勝利したもののグループ3位で、上位リーグへの進出は叶いませんでしたが、随所に「らしさ」を見せていました。普段は別々のスクール(関東4校、関西4校)でプレーをしている選抜チームならではの難しさもあったようですが、大会を通じてどんな戦いを心がけて来たのか、など監督と選手に伺いました。(取材・文:貞永晃二、写真:浅尾心祐)3日目エコノメソッドスクール選抜対札幌ジュニアFC(写真:浅尾心祐)■選抜チームならではの難しさ――この大会をどう位置付けされていますか?佐藤泰成監督(以下、佐藤)エコノメソッドという同じフットボールのスタイルを自分たちで体現していきたいという選手たちが一応選抜という形で集まっています。それぞれ異なるチームで学んでいることもあるし、自分たちがやりたいサッカーをピッチの中でやれるかどうかというのを高いレベルで試すという、すごくいい機会、大会だと思っています。――今大会に向けて選手たちに伝えたことは?佐藤今も選手たちに言ったことですが、それぞれの武器があると思っているので、その武器をピッチ上で表現するということ。挑戦をぜひやってほしいと一番最初に話しました。挑戦するには勇気を持つ必要があるので、挑戦しやすいように他のチームメイトも常にサポートしてあげる姿勢をチームとして持っていこうねと話しました。――ここまでの試合を終えて手ごたえはどうでしょうか?佐藤尻上がりによくなってきたかなと。選抜チームなので最初はお互いのいいところを見つけるのが難しい中で、試合を重ねるにつれていいところも分かってきたし、自分の新しい武器に気づいてきたこともあるし、11人制に徐々に慣れてきた中で少しずつ良くなってきて、今日得点も前半後半でとれたので、すごくいい形で最後の一戦に望めるのかなと思います。――昨年参加された結果を受けて今大会に向けた取り組みはされましたか?佐藤去年はベスト4と聞いていますが、選手も違うし相手も違うので、去年以上を狙いたいという気持ちはあったし、選手は頑張ったとは思います。ただ、結果は結果だし、自分たちがやれることをやれたのかやれなかったのかにフォーカスしてやろうねと常に話していたので、みんな悔しい気持ちはあると思いますが、それでも自分たちが正しいと思うことをやっていこうと頑張ってきました。■判断と実行と認知というのを基に高いレベルまでやっていきたい――今大会の選手は全体的に大きい選手が多いと感じますが、フィジカルの差は感じられますか?佐藤それはあると思います。エコノメソッドで日本人が世界で戦うためにどうやったらいいのかを考えて、スペインとかに近いフィジカルの部分はあるし、その中で自分たちは判断と実行と認知というのを基に高いレベルまでやっていきたいということで集まっているメンバーなので、フィジカル的に優れたメンバーが集まっているかというとそうではないかもしれませんが、それでも自分たちの武器を出して精一杯戦う姿勢はできたと思います。――エコノメソッドでは認知、判断の部分にすごくフォーカスした指導が特徴ですが、それは出せたと?佐藤出せたと思います。近い距離でボールを受ける時でも、背後の認知だとかスクールやキャンプでやっている部分がしっかり出せたと思います。エコノメソッドの詳細はこちら>>■大会の4日間を通じてピッチ内外で成長――この期間ですぐには形になっていないかもしれませんが、選手として成長を感じた部分は?佐藤ピッチ内、外で感じます。もちろんピッチ内で徐々に見えるものは増えてきているし、普段は8人制でピッチも半分なので、単純に言うと"倍"のスペースを見なければいけないので、それも徐々に見えてくるようになっているし、ピッチ外では初対面の時には分からなかったそれぞれのパーソナリティも少しずつ見えてきているし、かかわり方や馴染み方も少しずつ良くなっているなと思います。――最終戦に向けて佐藤常に気持ちは変わらないので、勝利にはもちろんこだわるけれど、自分たちのサッカーを貫こうというのは変えずに最後はみんなでいいサッカーをして得点をたくさん獲れればいいし、結果は結果だが自分たちのやれることにフィーカスしたいと思います。■エコノメソッドスクールを選んだ理由選手たちにも話を聞きました。――みなさんがエコノメソッドに選んだ理由と好きな選手を教えてください。背番号13・上原桜太(うえはらおうた)スペイン人コーチ、通訳からサッカーを学べると思って入りました。好きな選手はチャビ・エルナンデス(FCバルセロナ監督)です。背番号5・前田樹流生(まえだじるあ)スペインサッカーを好きだったし、キャンプの時に総合MVPになったので入ろうかと思ったし、スペイン人コーチも優しかったからです。好きな選手はイニエスタ(ヴィッセル神戸)です。背番号9・長谷川昂星(はせがわこうせい)スペインサッカーが好きだったし、ジュニアユースで強いチームに行けるようになりたくて来ました。進路はグランデ・アメージング・アカデミーに決まりました。背番号20・渡部大心(わたべだいな)憧れている先輩(中3)がエコノメソッドに通っていたから、上手くなりたいと思って通い始めました。好きな選手はデブライネかクリスティアーノ ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)です。背番号18・大森功誠(おおもりこうせい)近場のチームでやっていましたが、もっとレベルの高いところへ行った方がいいと思ってネットで調べて体験練習に参加したら、ここなら上手くなれると感じて決めました。好きな選手はネイマール(パリ・サンジェルマン)です。■選手たちが「自分の成長を感じた」ところ――今大会で自分が成長したなと思うところを教えてください上原僕は体が小さいのでこの大会の選手はほとんど大きいので、自分は球際の部分が強くなったかなと思うし、スライディングや体を捨てたプレーができるようになったり、体負けもしなくなったりして、そこは成長したなと感じました。前田認知の部分と3人目のもらい方、使い方のところが成長できたと思います。メンタル面、1対1の強さが成長できたと思います。長谷川大会に来る前とでは対人の強さがよくなったと思います。渡部いつもはFWだけど、ここでインサイドハーフをしてその動き方が分かったのが成長した点だと思います。大森ワールドチャレンジの参加を通じて11人制の大事な試合に出られたので、今後に生かせそうだと思いました。チームで協力して勝ちたいという気持ちが強く持てるようになったと思います。ワールドチャレンジ2021日程と結果はこちら>>エコノメソッドの詳細はこちら>>
2022年01月07日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2021の2日目に首位で予選突破を決めたあざみ野FC。あざみ野FCは横浜市青葉区に1980年創設のクラブ。子どもたちだけでなく家族一緒にサッカーを楽しめるクラブとして活動しています。現在はU-6からU-12の7つのカテゴリーに約160人が毎週末サッカーを楽しんでいます。OBにJリーガーとなった選手が多数いるクラブとしても知られています。(取材・文:貞永晃二、写真:浅尾心祐)2日目あざみ野FC(青)対エスフェローザ八千代(写真:浅尾心祐)■週末と祝日しか活動していない――この大会への過去の出場は?林和泉監督(以下、林)初めてです。街クラブの関東予選を勝ってきました。選手たちがよく頑張りました。――OBにJリーガーが多いことが知られていますね。林そうですね。今一番頑張っているのは山根視来ですね。それから高木3兄弟、水沼宏太、金井貢史、高丘陽平ですかね。――彼らが育った理由をどう思われていますか?林われわれは週末と祝日しか活動していないんですが、サッカーを好きにさせること、あとは親子で週末を楽しむというのがクラブの理念です。指導はわれわれ勤め人だから週末の活動になるんです。いわゆる街クラブで、「負けず嫌いな街クラブ」という感じです。■プロにならないと入れないスタジアムで試合がしたい――今大会にはどんな思いで参加されていますか?勝ちにはこだわらない?林いやこの大会は最後の思い出として勝ちたいです。(ベスト4進出で)パナソニック吹田スタジアムでやりたいです。プロにならないと入れないスペースですからね。――選手起用は全員出すお考えでしょうか?林初戦は全員出しました。第2戦は全員だそうとしたけれど、プレーが切れなくて2人出せなかったです。状況的にそれは仕方ないと、みんな納得してくれました。■出場チームみんな個人個人が上手いキャプテンの小田浩資くんにもお話を伺いました。――大会に参加した印象は?小田浩資(以下、小田)全国から強豪が勝ち上がってきていて、自分たちは関東代表という立場で出ていますが、みんな予想通り個人個人が上手いなという印象です。――ポジションと身長は?小田センターバックで、158か159cmです。林チームで3、4番目ですかね。――身長や体格で難しい時期ですね。林体のバランスが崩れますからね。ただ11人制なので、体のちっちゃい子も、テクニックはあるけどスピードがない子も8人制だと使いづらいんですが、11人制だと生かせる道があるので。8人、11人どちらも良さがあるんですけどね。日頃はもちろん8人制ですが、この大会の出場にあたり付け焼刃ですが近隣の(年上の)ジュニアユースと11人制でやらせてもらったりしてきました。■8人制とはスペースと広さ、走る量も違う――小田君、11人制は全然違いますか?小田スペースと広さが大きくて、ゴールの大きさも違って、走る量も違うので結構最初は戸惑いました。林それでもよく2試合無失点でね。――ロングシュートを打てという指示は?小田はい、出ています。林でもなかなか入らないね(笑)――大会の目標と将来について教えてください小田優勝しか狙っていません。将来はもちろんプロサッカー選手になって、プレミアリーグでセンターバックとして活躍したいと思っています。プレミアはDAZNでいつも見ています(笑)。林彼は川崎フロンターレのジュニアユースに進みます。川崎は近いんです。横浜といっても北の方なので、横浜よりも渋谷が近い地域ですから。小田主将は話し方もしっかりしていて一言一言を考えながら話せる選手でした。3試合目を小田君に注意しながら観戦しましたが、カバーリングとラインコントロールに長けていて、リーダーとして周りの選手への指示の声掛けがしっかりできていた印象です。勝ち上がってパナスタでのプレーを経験できれば最高の経験になるでしょう。ワールドチャレンジ2021日程と結果はこちら>>
2022年01月05日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2021の2日目。午前中から晴天に恵まれましたが、雲が広がり午後途中から小雨、本降りとなり同時に気温も下がり肌寒い中で試合は進みました。しかし、選手たちは元気に勝利を目指しファイト溢れるプレーを見せてくれました。グループリーグも終わり、各グループの1、2位は決勝トーナメントへ、3、4位は下位トーナメントに進むことになります。(取材・文:貞永晃二、写真:浅尾心祐)湘南ベルマーレアカデミー選抜対センアーノ神戸(写真:浅尾心祐)■劇的な勝利、久保監督は無敗で決勝トーナメントへ。播戸監督も嬉しい初勝利2日目はまずE~Hグループは2、3試合目を戦い、その後A~Dグループが残りの3試合目を戦うというタイムスケジュールでした。Eグループでは、センアーノ神戸ジュニアが3連勝。首位で決勝トーナメント進出となりました。湘南ベルマーレアカデミー選抜は2戦目でエコノメソッド スクール選抜と対戦し前半終了近くと後半早々に決めて2点リードを奪いましたが、エコノメソッド スクール選抜が意地を見せて瞬く間に同点に追いつきます。しかし試合終了間際の劇的な内田龍吾選手の決勝ゴールで勝利し決勝トーナメント行きを決め、結局2位で突破を決めました。Fグループでは、FCトリプレッタ渋谷ジュニアが見事な3連勝で首位通過。2位はガンバ大阪ジュニアが SOLTILO SELECTと同勝点4で並びながら得失点差で2位通過となりました。Gグループでは、バディサッカークラブが首位、DREAM FC が2位となりましたが、その差は勝点1のみ。この2チームが地力を見せて抜け出しました。Hグループでは、あざみ野FCが3戦目を前に首位で決勝トーナメント進出を決めていましたが、3戦目を前に奈良クラブジュニアが勝点2、FC琉球 U-12とエスフェローザ八千代の両チームが勝点1という激しい2位争いのグループでした。3戦目で奈良クラブがあざみ野FCに勝利し2位に滑り込みました。Aグループは2位以上を決めていた東京ヴェルディジュニアとプリモ大阪が対戦し、快勝した東京ヴェルディジュニアが首位、2位がプリモ大阪となりました。ここでは連敗スタートだった大和ハウスDREAMSがGullid Asakura を降し、播戸竜二監督に初勝利をプレゼントしました。Bグループでは、連勝で2日目を迎えた久保竜彦監督率いる大和ハウスFUTURESは同じく連勝のディアブロッサ高田FC U-12と引き分けて2勝1分けでグループリーグを終え、得失点差で首位がディアブロッサ高田FC U-12、大和ハウスFUTURESは2位となりました。Cグループは、2試合を終えて4チームすべてが勝点3という大混戦グループでしたが、3戦目を勝ったYF NARA TESOROが首位、2位がmalva fc U-12という結果になりました。malva fc U-12は バルサアカデミージャパン選抜との対戦でしたが、終了間際まで0-0が続き、そのまま引き分け終了なら勝点4で並び、バルサアカデミージャパン選抜が得失点差で上回るところでしたが、試合終了寸前で播磨隼佑選手の起死回生のドラマティックゴールで2位通過を勝ちとりました。あまりにも悔しい敗戦にバルサアカデミージャパン選抜には立ち上がれないほど号泣する選手がいました。それだけ必死に頑張った選手を称えたいと思います。最後にDグループでは、首位はフォルテFC。福山ローザス・セレソン を降した FCオーパスワンが2位で決勝トーナメントの切符を手にしました。第3日は1月5日、いよいよ決勝トーナメントに突入します。Round of 16の8試合、さらに準々決勝4試合が行われます。また、グループリーグで3,4位となったチームは下位トーナメントを行います。会場は同じOFA万博フットボールセンターです。以下、第2日の試合結果●Aグループ東京ヴェルディジュニア 6-1 プリモ大阪Gullid Asakura FC 0-3 大和ハウスDREAMS●Bグループアルビレックス新潟U-12 0-3 シルクロードサッカークラブディアブロッサ高田FC U-12 0-0 大和ハウスFUTURES●Cグループ徳島ヴォルティスジュニア 0-3 YF NARATESOROmalva fc U-12 1-0 バルサアカデミージャパン選抜●Dグループ松本山雅FC U-12 0-0 フォルテFC福山ローザス・セレソン 0-3 FCオーパスワン●Eグループ湘南ベルマーレアカデミー選抜 3-2 エコノメソッド スクール選抜パルアリーレ福島 0-5 センアーノ神戸ジュニア湘南ベルマーレアカデミー選抜 0-2 センアーノ神戸ジュニアパルアリーレ福島 0-4 エコノメソッド スクール選抜●Fグループガンバ大阪ジュニア 1-1 SOLTILO SELECT札幌ジュニアFC 0-2 FCトリプレッタ渋谷ジュニアガンバ大阪ジュニア0-1 FCトリプレッタ渋谷ジュニア札幌ジュニアFC 0-2 SOLTILO SELECT●Gグループレノファ山口FC U-12 1-1 バディサッカークラブDREAMFC 2-0 MFC.VOICEレノファ山口FC U-12 3-0 MFC.VOICEDREAMFC 0-2 バディサッカークラブ●HグループFC琉球 U-12 0-0 奈良クラブジュニアあざみ野FC 2-0 エスフェローザ八千代FC琉球 U-12 0-4 エスフェローザ八千代あざみ野FC 0-1 奈良クラブジュニアワールドチャレンジ2021日程と結果はこちら>
2022年01月05日1月3日(月)に開幕したU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2021。毎年海外クラブを招いて同年代の世界レベルと本気で対戦できる大会です。新型コロナウイルスの影響で2年連続の国内チーム同士の対戦となりましたが、子ども達は各地域予選を勝ち抜いてきた精鋭同士の戦いを楽しんでいます。「大和ハウスDREAMS」の監督を務める播戸竜二さんが子どもたちに伝えたコンセプトを伺いました。(取材・文:貞永晃二、写真:浅尾心祐)「大和ハウスDREAMS」の監督を務める播戸竜二さん(写真:浅尾心祐)■やってみて監督の大変さを理解した――選手との合流は?播戸昨日(1/2)昼頃合流して、15時と17時に2試合練習試合をして負けて、勝ってという感じでした。――今回監督をされた経緯は?播戸話をいただいたので、こういう大会があるのは知っていましたが、自分は監督をするというイメージは今まで持っていなかったので、チャレンジという感じで。将来的に自分が監督になりたいという思いがそこまでない中で、今回の話をもらって監督を実際やってみたらどういう気持ちになるのかを確かめてみたかったのはありました。監督というのはチームにずっといないとなかなかできないことですから。急に集まって試合をした子どもたちも大変だと思いますし、それをどう上手くまとめてどういうふうに持っていくかというのも(やってみて)つくづく監督って大変だなと思いました(笑)。コーチとも初対面でしたが、選手たちともいい関係性を1日で作れていると思いますし、1試合目は負けてしまいましたが(インタビューは初戦直後)、あと2試合勝って決勝トーナメントへ行こうと話しています。なによりこういう場所で試合ができて、いつもと違う選手たちと、いつもと違う監督と試合をするのは子どもたちにはすごくいい経験になると思いますので、いい大会だなと思うし、自分にもいい経験になっています。■子どもたちに伝えた、戦うための3つのこと――どういう戦い方をしたいと?播戸チームとして3つあって、1つはチームとして全体で戦うこと、1人で勝手なことをしないで全体として戦うこと。2つ目にチャレンジすること。シュートであったりパスであったり、いろんなことにチャレンジして前向きにプレーして欲しいということ。3つ目は戦うということ。目の前の相手、敵に負けない1つの試合に負けないという戦う気持ちを見せて欲しい。この3つのコンセプトの元で昨日からやってきています。――前・後半で選手を総入れ替えされましたが? 今後も同じやり方ですか?播戸どうしようかなと思って。セレクトのチームだし、みんな試合に出たいと思っているし。昨日言ったのは、1試合目はこういう感じで、2試合目からはちょっと考えるねと。ただこの形でいいかなとは感じています。■今回の監督経験は人生においてもいい経験――監督を経験して得たものは?播戸こういう雰囲気でやったり、監督の経験はなかったので、自分としては人生においてもサッカーに携わる中でもいい経験になったかなと。監督というのがどんなものか分からなかったんですが、こういうふうなものなんだな、大変なことなんだな、簡単じゃないなと思いました(笑)。いろいろなことがある中でチームを作る大変さが分かったので、今後自分が監督を志すのか、違う方へ行くのか分からないですが、間違いなくいい経験になります。――ちなみに指導者ライセンスは?播戸B級までは持っています。今のところ、A級を取りに行く気はないです。本当に(指導者になるという)情熱があって真剣に目指している人がやるべき仕事だと思いますし、そこまでの気持ちがないというわけじゃないですが、どちらかといえば、マネージメント、経営という方へチャレンジしたい思いがあるので、いろいろ勉強したいという感じです。(今回の監督経験は)見るだけでなく、実際中へ入ってやれるというのはすごくいい体験だと思います。ワールドチャレンジ2021日程と結果はこちら>>
2022年01月04日1月3日(月)に開幕したU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2021。毎年海外クラブを招いて同年代の世界レベルと本気で対戦できる大会です。新型コロナウイルスの影響で2年連続の国内チーム同士の対戦となりましたが、子ども達は各地域予選を勝ち抜いてきた精鋭同士の戦いを楽しんでいます。昨年に続き「大和ハウスFUTURES」の監督を務める久保竜彦さんに、監督として子どもたちの良さを引き出すためにどんなことを意識したのか伺いました。(取材・文:貞永晃二、写真:浅尾心祐)昨年に続き「大和ハウスFUTURES」の監督を務める久保竜彦さん(写真:浅尾心祐)■気持ちよくプレーできるよう考えている――昨年の大会に続き監督を受けられた理由は?久保楽しかったし、自分が選んだ選手じゃないけど、サッカー好きな子どもがいっぱいいたから楽しかったですね。短期でいっぱい試合をするから、疲れの部分を考えるようにしているけど、なかなか難しいです(笑)。初戦でケガ人も出たけど、試合前に2人辞退が出てるので、ケガしないようにギリギリのところを見ています。――どういう試合をしてもらいたいか?久保攻撃的に、ゴールがでかい(大人用)し、シュートを意識してゴールを獲るんやというプレーをやっていこうと言っています。選手は勝ちたいと思ってやっているし、なるべく自分の(持っている)動きをできるようにポジションや組み合わせを、自分の知っている範囲で選手が少しでも気持ちよくプレーできるように考えてやっています。――初戦は勝利でした久保逆転だったしいい感じでした。日頃は8人制でやっているらしいですが、(大人用のピッチとゴールで)いろいろ経験するのはいいことだと思います。――久保監督の子どもの頃は?久保当時は8人制はなくて11人でしたし、土のグラウンドでボコボコで、こんなきれいなところでやったことはなかったです。俺たちの時代のサッカーとは違いますね。うらやましいというか、みんな上手いですね。■試合中声を出さない理由――残りの試合に向けては?久保1試合目が(緊張で)選手がカチカチだったので、次はどうなるか見ながら勝ち残れるようにやっていきたい。――選手からどう見られていると思いますか?久保誰?このオッサンって感じじゃないですか(笑)。(選手の頃)まだ生まれてないしね。こわいオッサンって感じじゃないですかね。――試合中はどっしり座って見ているように見えましたが声も出さない感じでですか?久保声は出さない。邪魔になるし、自分が言われるのは嫌いだったし(笑)。言っても聞いてないしね(笑)。ハーフタイムに気づいたことを言うくらいです。ポジションの取り方とボールばっかりになっていたから、もうちょっとリラックスしてやろうと。――2試合を終えて久保選手の特徴が分かってきたから、自分たちのイメージでやってくれたと思います。明日、2試合目に出なかった選手を見て、たぶんもっといい組み合わせがあると思うので引き出せるように接していきたいなと。ワールドチャレンジ2021日程と結果はこちら>>
2022年01月04日新年1月3日(月)、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2021が開幕しました。初開催の2013年大会から世界のトップクラスのチームを招き、対戦することで日本サッカーのレベル底上げを目的としてきたこの大会ですが、残念なことに新型コロナウイルス感染拡大のために、2年連続で国内チームのみの参加で開催されることになりました。大会第1日は陽射しが心地よい好天に恵まれ、会場のOFA(大阪府サッカー協会)フットボールセンターには保護者の皆さんはもちろん、多くのファンが訪れ声援はできませんが大きな拍手で応援していただきました。(取材・文:貞永晃二、写真:浅尾心祐)バルサアカデミージャパン選抜対YF NARATESORO(写真:浅尾心祐)■久保竜彦さん、播戸竜二さん両監督の結果は明と暗に他の大会にない特色となっているのが街クラブ選抜です。約600名のセレクション希望者の中から選ばれた面々が、大和ハウスDREAMSと大和ハウスFUTURESの2チームに分かれて参戦しました。その監督を任されたのが播戸竜二、久保竜彦のお二人。久保監督が前回大会でも指揮を執ったのに対し、播戸監督は監督初体験です。開幕戦に登場した播戸監督率いる大和ハウスDREAMSは接戦に持ち込むもののプリモ大阪に惜敗しました。続く第2試合で、久保監督大和ハウスFUTURESはシルクロードサッカークラブに先制されながらも鮮やかな逆転勝利を挙げました。さらに午後行われた第2戦では大和ハウスDREAMSが東京ヴェルディに大敗したのに対し、大和ハウスFUTURESはアルビレックス新潟U-12に快勝。連勝と連敗という明暗クッキリの結果となりました。■各グループの初日A~Dグループは2試合ずつ、E~Hグループは1試合だけというタイムスケジュールで初日を終えましたが、連勝スタートは大和ハウスFURURESを含む5チームでした。Aグループで2試合11得点とゴールラッシュを見せつけた東京ヴェルディと、同じAグループで無失点の手堅い試合運びのプリモ大阪が決勝トーナメント進出を決めました。FUTURESと同じBグループで7得点と攻撃力を発揮したディアブロッサ高田U-12も同じく決勝トーナメントへ。そしてDグループのフォルテFCも連勝でしたが、混戦グループのため決定にまでは至りませんでした。Cグループは徳島ヴォルティスジュニア、malva fc U-12、YF NARATESORO、バルサアカデミージャパン選抜の4チームが1勝1敗、勝点3で並ぶ混戦です。Dグループは勝点3の松本山雅FC U-12とFCオーパスワンが勝点6のフォルテFCを追います。第2日は1月4日、E~Hグループの残り2試合とA~Dグループの残り1試合が同じOFAフットボールセンターで行われます。以下、第1日の試合結果●Aグループ東京ヴェルディジュニア5-0Gullid Asakura FCプリモ大阪1-0大和ハウスDREAMS東京ヴェルディジュニア6-0大和ハウスDREAMSGullid Asakura FC0-3プリモ大阪●Bグループアルビレックス新潟U-121-3ディアブロッサ高田FC U-12シルクロードサッカークラブ1-2大和ハウスFUTURESアルビレックス新潟U-120-3大和ハウスFUTURESディアブロッサ高田FC U-124-1シルクロードサッカークラブ●Cグループ徳島ヴォルティスジュニア1-2malva fc U-12YF NARATESORO0-1バルサアカデミージャパン選抜徳島ヴォルティスジュニア1-0バルサアカデミージャパン選抜malva fc U-121-3YF NARATESORO●Dグループ松本山雅FC U-123-0福山ローザス・セレソンフォルテFC2-1FCオーパスワン松本山雅FC U-120-1FCオーパスワン福山ローザス・セレソン1-4フォルテFC●Eグループ湘南ベルマーレアカデミー選抜3-0パルアリーレ福島センアーノ神戸ジュニア4-0エコノメソッド スクール選抜●Fグループガンバ大阪ジュニア3-0札幌ジュニアFCFCトリプレッタ渋谷ジュニア2-0SOLTILO SELECT●Gグループレノファ山口FC U-120-4DREAMFCMFC.VOICE0-4バディサッカークラブ●HグループFC琉球 U-120-3あざみ野FCエスフェローザ八千代0-0奈良クラブジュニアワールドチャレンジ2021日程と結果はこちら>>
2022年01月04日2020年末に福島県のJヴィレッジで開催された『ジュニアサッカーワールドチャレンジ』。日本全国から32チームが集まり、多種多様なプレーを披露していました。その中でサカイク編集部が気になったのが、兵庫県で活動するセンアーノ神戸です。彼らの特徴は「子どもたちが主体となってメンバーや戦術を決め、実行すること」。センアーノ神戸では、どのような取り組みを通じて、子どもたちの自主性を育んでいるのでしょうか? 大木宏之監督に話をうかがいました。(取材・文鈴木智之)小1から自分たちでメンバーを決め、高学年になると試合の戦術も選手たちが考え、相手分析まで行うそう■「こう動け」指示するだけでは子どもたちがロボットになってしまうジュニアサッカーワールドチャレンジの決勝トーナメント初戦、対西宮SS戦。センアーノ神戸の大木監督は、ハーフタイムに子どもたちをベンチに座らせ「どんなプレーをすれば、もっとうまくプレーできると思う?」「どうすれば点を取れると思う?」と質問をしていました。監督が答えを教えるのではなく、子どもたちに考えさせるアプローチが印象的でした。そのことを大木監督に伝えると「普段から、子ども達には自分の意見を出してほしいと思っていて、出来る限りはそうするようにしています」と教えてくれました。「ピッチサイドから『こう動け』と指示をするのは簡単なんですけど、それをすると選手がロボットになってしまいます。終わったプレーに対して『今のはどうだった?』『もうちょっとこういうプレーがあったんじゃない?』というのは、できるだけ言うようにしています。それは、子どもたちに気づかせるための声かけです。何かを言うのは、終わったプレーに対してだけで、先のことを言ってしまうと、子どもたちはそれしかしないロボットになってしまいます。それは避けたいと思っています」■普段から自分たちで戦術を考えている選手たちにもエコノメソッドのプレースタイルは浸透しているようで、準々決勝で2点目を決めた岡崎葵選手は「戦術を学びたくて、エコノメソッドのスクールに入りました。コーチは、この場面ではこういう動きをしたほうがいいとか、この場面ではこうやってボールを動かした方がいい、ドリブルしたほうがいいとか、細かく教えてくれます。前まではドリブルで引っかかることがあったけど、慌てずにボールをつなぐことができるようになりました」と成果を語ります。同じく、準々決勝でゴールを決めた大和海音選手は「小学2年生でサッカーを始めたときから、エコノメソッドのスクールに通っています」と話し、何を学んでいるかを教えてくれました。「コーチからは1対1の仕掛ける場面やボールの受け方などを教えてもらいました。エコノメソッドの特徴はボールを保持して、自分たちのリズムに持っていくこと。ボールを受ける前に周りをよく見て、ボールを呼び込む動きをしないと取られることがわかったので、それを意識しています」■フィジカルに優れた相手と戦う際に大事なことセンアーノ神戸の選手たちは、小学1年生のときから、自分たちで試合に出るメンバーを決め、高学年になると戦術も考えるそうです。ジュニアサッカーワールドチャレンジの決勝トーナメントでも、その姿勢を貫いていました。「ある程度のメンバーと戦い方は子どもたちに決めさせました。試合前日に子どもたちだけでミーティングをして、メンバーも戦い方も決まっていたので、『わかった。それで行こう』と。ただしハーフタイムには、僕が少し修正しました。子どもたちは、相手の裏のスペースにボールを入れることを決めていましたが、前半はそればかりになってしまい、結果的にスピードで負けて、相手ボールになることが多かったので」基本的に選手たちに任せているが、うまくいっていない時はハーフタイムに大人が少し修正を提案することもチームの中心、キャプテンの丸尾康太選手は、戦い方についてこう話してくれました。「普段から、自分たちで戦術を考えています。前半は足の速い子を左サイドに置いて、裏のスペースにボールを蹴っていく戦術だったのですが、それがうまくいかなかったので、後半はボールをつないで、フォワードの選手が中盤に降りたりして、みんなでボールを動かすことにしました」戦術変更が奏功し、後半は少しボールが動くようになりましたが、惜しくも1対2で敗戦。この試合でゴールを決めた國吉晴向選手は「他のチームの試合を見て分析して、自分たちがどんなプレーをするかを考えています」と、普段の取り組みを話してくれました。■子どもたちに任せるようになったのは日本一になる前年からセンアーノ神戸は2016年に全日本U-12サッカー選手権大会で優勝し、日本一に輝いています。ちょうどその前年から、いまのような「子どもたちに任せて、考えさせる」というスタイルに方針を転換したそうです。「子どもたちに決めさせるようになったのは、2015年の頃からです。私自身、長いこと育成年代の指導をしてきましたが、大会などの結果や卒業した子達のその後を追跡していく中で、子どもたちの成長にはこれが絶対に必要だと思い、いろんなことを変えていきました」そうすると「たまたまなのか、必然なのかはわからないですけど、全国大会優勝という結果が出た」と言います。「優勝した代の子達は、指導スタイルを変えることで、子どもら自身も考えるようになって、自分たちでやるようになりました。『きみたちに任せるよ』という責任感を与えて、オフザピッチの部分も含めて、ある程度任せていくと、子どもらも『自分たちに任せてもらっているんだ』という責任感が出るので、ちゃんとやらなければいけないという気持ちになるんです」■子どもたちに任せる理由とはいえ任せっきりではなく、ある程度、大人がガイドすることも忘れてはいません。それぞれの選手に役職を与え、チームに積極的に関わるような仕組みを作っています。「あいさつ、荷物を整える、時間を管理する、戦術、分析など、それぞれに役割があります。それをキャプテンが統括する。社長みたいなものですね(笑)。小学1年生から、練習試合は子どもたちでメンバーを決めさせています。低学年の時は、特に勝ちたい気持ちが強いので、上手くない子を試合に出さない傾向にあるんです。そういうときは『同じ子がずっとゴールキーパーをしているけど、それでいいの?』と話をして、調整していきます」大木監督が子どもたちに任せる理由。それは「自分の意見を持ち、サッカーに対する理解を深めてほしい」という想いからです。「ジュニアを卒業して、中学、高校と進んで行く中で、どんな監督さんのもとでも、どんな戦術でも適応できる選手になってほしいと思っています。そのためには、自分で考える力が大切で、監督から言われたことだけをやっていても、その力はつかないですよね」■子どもたちに任せるようになったのは日本一になる前年からセンアーノ神戸のOBは卒業後、Jリーグのアカデミーに進み、年代別代表に選ばれるなど、ステップアップしている選手が多数います。それもジュニア時代から、サッカーは当然のこと、サッカー以外の面でも、自分たちで考えて行動することを積み重ねているからかもしれません。大木監督は言います。「自立させるため、考える力をつけさせるために大人ができるのは、見守ることです。彼らの考えを聞いてあげることが大切で、『転ばぬ先の杖をつかない』などはよく言われていますが、すごく大切なことだと思います。その上で、ちょっとした冒険はさせてあげたいです」センアーノ神戸の子どもたちに話を聞くと「サッカーについて考えることを学んだ」「私生活のマナーについても考えるようになった」と教えてくれました。サッカー人生の土台となるジュニア年代において、どのようなスタンスで取り組むのが良いのか。彼らの言葉から、必要なことが見えてきた気がします。
2021年01月14日2020年末に福島県のJヴィレッジで開催された『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2020』。この大会に「エコノメソッド選抜」が参加し、見事ベスト4に進出しました。大会のハイライトだったのが、兵庫県の強豪チーム、西宮SSとの準々決勝。エコノメソッド選抜は、個の力に秀でた相手にチームとして対抗すると、一瞬の隙を突いて2ゴールを決めて勝利。大会ベストゲームのひとつに数えられる試合でした。日本サッカー協会とパートナー契約を結び、Jリーグのクラブも取り入れる選手に考えることを求める指導法で選手を育てているエコノメソッドのスクール生たちが見せた、フィジカルに劣る試合での戦い方とは。(取材・文鈴木智之)自分たちより大きい相手にも頭を使ったプレーで戦えることを見せたエコノメソッド選抜■何を見て、どうマークを外し、ボールを受けるのかを普段から指導エコノメソッド選抜とは、これまで約20年にわたり、世界のトップ選手のレベル向上に寄与、パリ・サンジェルマンFCなどと協働しているプロの指導者団体が日本で展開するサッカースクールの選手選抜チームです。選手個々の判断に加えて、チームとして戦う部分に優れていたエコノメソッド選抜。チームを率いたウリオール・ソラーナス監督は、指導のコンセプトを次のように話します。「エコノメソッドが重視しているのは『頭を使ってプレーすること』です。たとえば、ボールを受ける前にどうするのか。何を見て、どんな動きをしてマークを外し、ボールを受けるのか。どこにスペースがあるのか、味方はどこにいるのかなどを認知して、プレーを実行していきます。スクールでそれらを学んだことで良いプレーができましたし、勝利につながったと思います」エコノメソッド選抜は、東京、埼玉、大阪、兵庫の4県にあるスクールから選ばれた選手たちです。多くの選手が、普段は異なる場所でトレーニングしています。しかし、同じメソッドのもとでトレーニングをしているので、いざ集まって試合をすることになっても、共通理解のもとにプレーできていました。ウリオール・ソラーナス監督は言います。「サッカーは連携が重要なスポーツです。そのため、お互いの特徴を知ることが大切です。選抜チームなので難しいところがありましたが、試合を重ねるにつれて『この選手はドリブラーだ』『ボールを持ったときに遠くを見ている選手だな』と、選手同士がわかるようになってきて、うまくプレーできるようになってきました」と、子どもたちの成長を感じたようです。■エコノメソッドのスクールでは場面ごとのプレーの判断を学べる選手たちにもエコノメソッドのプレースタイルは浸透しているようで、準々決勝で2点目を決めた岡崎葵選手は「戦術を学びたくて、エコノメソッドのスクールに入りました。コーチは、この場面ではこういう動きをしたほうがいいとか、この場面ではこうやってボールを動かした方がいい、ドリブルしたほうがいいとか、細かく教えてくれます。前まではドリブルで引っかかることがあったけど、慌てずにボールをつなぐことができるようになりました」と成果を語ります。同じく、準々決勝でゴールを決めた大和海音選手は「小学2年生でサッカーを始めたときから、エコノメソッドのスクールに通っています」と話し、何を学んでいるかを教えてくれました。「コーチからは1対1の仕掛ける場面やボールの受け方などを教えてもらいました。エコノメソッドの特徴はボールを保持して、自分たちのリズムに持っていくこと。ボールを受ける前に周りをよく見て、ボールを呼び込む動きをしないと取られることがわかったので、それを意識しています」■フィジカルに優れた相手と戦う際に大事なことU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2020で、エコノメソッド選抜の子どもたちは、フィジカルや個の力に優れた相手と競い合う場面が数多く見られました。そのような相手に対して、ウリオール・ソラーナス監督は、こうアドバイスをしているそうです。エコノメソッド選抜を率いたウリオール・ソラーナス監督「選手たちには『フィジカルに優れた相手には、それを出させないことが重要』と言っています。スピードに乗らせないことも同じで、一発で奪いに行くのではなく、相手のプレーを遅らせたり、速くパスをつないで接触を回避することで、プレーがしやすくなります。サッカーは賢くプレーすることが重要で、パスを受ける前に相手の逆を突くことなど、相手を攻略するためにどうすればいいのかを教えています」賢くプレーすることは、エコノメソッドがもっとも大切にしていることです。それは、日本のすべての年代のサッカー選手において、向上の余地がある部分です。「エコノメソッドが大切にしてるのは、サッカーを理解すること、ゲームを理解することです。フィジカルが強い、弱い、身体が大きい、小さいあると思いますが、それは関係ありません。メッシやイニエスタは大きい選手ではありませんが、ゲームを理解できているので、うまくプレーできています。年代が上がり、身体のサイズが変わったとしても、大切なのはゲームを理解すること。年代が上がればさらに理解しやすくなるので、そこを重視しています」■日本の子どもの勤勉さは他国より上賢さを身につけるのは、一朝一夕でできることではありません。時間が必要で、指導者がすべきは「選手たちを長い目で見ること」だと言います。「子どもたちは一つずつ学び、段階を経て、長い時間をかけて身につけていきます。トライアンドエラーをして積み上げていくものなので、仮にいまできなくても、最終的にできるようになります。そのためにも、指導者は我慢強く見守ることが大切なのです」日本で活動して10年になるエコノメソッド。世界各国で指導をしている彼らですが、日本の子どもたちの学ぶ姿勢は「とても素晴らしい」と感じているようです。「日本の子どもたちの学ぶ姿勢は、10点満点中10点です。学ぶ姿勢、勤勉性、真面目さなど、サッカーがうまくなるために大切な要素を、日本の子どもたちは持っています。我々は世界中で指導していますが、他の国の子どもと比べても、勤勉性はとくに高いものがあります」世界最先端のサッカーを知るエコノメソッドで多くのことを学び、成長していく子どもたち。将来、どんなサッカー選手になるのか、とても楽しみです。
2021年01月08日夏の風物詩だった『ジュニアサッカーワールドチャレンジ』。今年は新型コロナウイルスの影響で、年末開催となりました。海外クラブの参加は叶わず、日本の選手だけが参加する形となりましたが、子どもたちは久しぶりの大規模な大会に、緊張しながらもハツラツとしたプレーを見せていました。(取材・文鈴木智之)元フォワードとしてどのコースを狙うか、力の加え方などシュートのコツを指導したそうです■街クラブ選抜の監督は元日本代表フォワード久保竜彦さん大会初日の第1試合。早速、注目チームが登場しました。「大和ハウスFUTURES」です。東京、大阪、愛知などでセレクションを開催し、その中から選ばれた選手で構成されているチームで「中学から、J下部に行く子も多いです」(浜田満・大会実行委員長)との言葉どおり、タレントが揃っていました。チームを率いるのは久保竜彦さん。現役時代は「ドラゴン久保」の愛称で親しまれた、元日本代表FWです。「普段はちょこちょこ呼ばれて(指導に)行く程度」(久保監督)と謙遜しながらも、子どもたちに的確なアドバイスをし、勇気づけて試合に送り出す姿は"監督"そのものでした。大和ハウスFUTUERS、初戦の相手はコラソン千葉FC。立ち上りから、高い技術で試合の主導権を握った大和ハウスFUTUERSは、前半4分に海老原空選手(13番)がゴールを決めると、後半5分にはキャプテンの手嶋蒼介選手(8番)がドリブルで持ち上がり、強烈なミドルシュートを決め、2対0で勝利しました。試合後、攻守に存在感を発揮した手嶋選手は「守備では相手を止めて、攻撃ではミドルシュートで1点決めることができたのでよかったです」と笑顔で振り返りました。その存在感は抜きん出ていて、久保監督も「2点目のロングシュート、パスカットから(足を)振り抜けるのは、小学生ではなかなかないと思う」と称賛していました。右サイドを鮮やかなドリブルで駆け上がり、チャンスを作った小林葵選手(9番)は「初戦が大事なので、しっかり勝ててよかったです。久保監督から『失敗してもいいから、全力でやってこい』と言われて勇気が出ました。最初はちょっとだけ怖いのかなと思ったけど、話してみたら全然そんなことなかったです」と、はにかみながら話してくれました。■違うチームの子と試合に出る経験を通して、チーム作りや大人とのかかわり方を学んでほしい勢いに乗る大和ハウスFUTUERSは、2試合目のモンテディオ山形ジュニア戦も2対0で勝利。圧巻だったのが、徳山晃成選手(17番)の先制ゴールです。巧みな足技でボールをコントロールすると、左足で強烈なシュートを突き刺しました。実は徳山選手、事前に久保監督のプレー集を見ていたそうです。「監督が久保竜彦さんなので、スーパープレーの動画を見たりして、ミドルシュートを意識しました。昨日、監督からシュートについてアドバイスを受けて、しっかり軸足を固定してから『神コース(サイドネット)』を狙えとか、シュート態勢が横でも、前に体重をかけてボールに力を伝えようと言われました。得点の場面では、それが出せました。監督はサッカーも上手かったし、いろんなアドバイスをくれる。すごい人だと思います」(徳山選手)久保監督は「みんな『シュートがあんま入らん』と言っていたから、そこを朝ちょっとやって。シュートを打つ場所や自分の得意な場所に持っていくことだったり、気づいたことを言いました」と、指導の内容を教えてくれました。子どもたちについては「こんなに元気が良くて、レベルの高い選手とは思わなかった」と驚いたそうで、「自分のチームは(選抜なので)寄せ集め。寄せ集めで大会に出る経験は、代表でもない限りないと思うので、チームの作り方や大人との関わり方などを、子どもたちなりに感じてもらえれば、のちのサッカー人生にもプラスになると思う」とエールを送っていました。■子どもの「こういうプレーがしたい」を邪魔しないこと失敗してもいいから、全力でやってこい、という久保竜彦監督の言葉に勇気をもらった選手たちが躍動さらに、サカイク読者に向けて「親の関わり方で大事なこと」を尋ねると、こう答えてくれました。「一緒にやれるのであれば、一緒にやって。難しさだったり、悩みだったりは共感できると思うから。親御さんが一緒にやるのが、子どもにとって支えになると思うけど、それができないんだったら、何も言わずに見守ってあげるのがいいと思う。やってみて、どんだけきついのか、大変なことをやっているのかがわかるだけでも、見方が違ってくると思うので。自分は娘と一緒にテニスをやっていますけど、全然だめだから何も言うことはないです(笑)」子どものサッカーを見守る姿勢については、次のようなアドバイスをくれました。「小学生のうちは自分のやりたいプレーというか、思い描いているかっこいいプレー、こういうプレーがしたいというのを繰り返し、自分で勝手にやるものなので、それを邪魔しないように、できるだけ多くの時間を作ってあげること。自分が子どものときは外灯の下でボールを蹴ることができましたけど、いまはそういう時代じゃないので。できるだけ見てあげたり、車のライトをつけてあげて、その灯りで練習したりとか、いろいろアイデアはあると思う。子どもはボールを蹴るのが好きだから『もうちょっとやりたい』と言うもの。そこで親の都合で帰ったりしないように、子どもの気が済むまでやらせてあげる。なかなかできないとは思いますけど、それが大事だと思います」指導者として、様々な経験をもとに子どもを導く久保監督。大和ハウスFUTUERSの選手たちが見せる、今後のプレーが楽しみです。【全試合結果・詳細】U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2020公式ホームページ>>
2020年12月27日