人気の錦絵「百物語」や版本などから鬼に関連する作品を紹介し、葛飾北斎がどのように鬼をとらえ、表現してきたかに迫る特別展『北斎百鬼見参』が、6月21日(火)よりすみだ北斎美術館にて開催される。古来より、日本人は鬼の存在を信じ、現在にも伝わる神話や伝説、また芸能、小説、マンガ、アニメ、ゲームに至るまで、鬼はあらゆる創作物に登場する。江戸時代の浮世絵も然り。それだけ、鬼は日本人の心に深く根ざし、その精神世界の形成に大きな影響を与えているといえるだろう。同展では、北斎や門人が描いた鬼にまつわる浮世絵を前期・後期あわせて約145点を展示。地獄の鬼をはじめ、雷神のような鬼から金太郎や桃太郎などの昔話に登場する鬼、ユーモラスな鬼まで、日本における多様な鬼の姿を紹介するほか、同展のために修復された北斎としては珍しい能を題材にした肉筆画《「道成寺図》が初公開される。江戸時代の人々がどのように鬼をイメージし、どのような存在と考えていたかを浮世絵を通して紐解いていく。葛飾北斎『絵本和漢誉』大江山の鬼賊酒顛童子を退治す 源頼光朝臣すみだ北斎美術館蔵(通期)葛飾北斎『北斎略画手ほどき』すみだ北斎美術館蔵(通期)蹄斎北馬《角大師と蝸牛図》すみだ北斎美術館蔵(前期)卍楼北鵞《為朝と鬼ヶ島図》すみだ北斎美術館蔵(後期)【開催概要】特別展『北斎百鬼見参』会期:2022年6月21日(火)~8月28日(日)会場:すみだ北斎美術館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)休館日:月曜(7月18日は開館)、7月19日(火)料金:一般1,200円、大学生・高校生900円、中学生400円美術館公式サイト:
2022年05月26日すみだ北斎美術館では2022年6月21日(火)から8月28日(日)まで特別展《北斎 百鬼見参》を開催いたします。特別展《北斎 百鬼見参》古来、日本人は鬼の存在を信じ、暮らしにも取り入れ、ともに生きてきました。神話・伝説、芸能、小説、マンガ、アニメ、ゲームに至るまで、鬼が登場する創作物は数多く、それだけ、鬼は日本人の心に深く根ざし、その精神世界の形成に大きな影響を与えています。そして、古典や芸能、また新たに江戸時代に起こった読本などを題材とする浮世絵にも、鬼は多く登場します。本展覧会では、人気の錦絵「百物語」や版本などから鬼に関連する作品を紹介し、鬼才・北斎がどのように鬼を捉え、表現してきたかに迫ります。また、当館初公開の貴重な北斎の肉筆画も展示します。北斎が描くさまざまな鬼が展覧会に集結する迫力ある様をぜひお楽しみください。■本展の見どころ◎北斎や門人が描いた鬼にまつわる浮世絵を前期・後期あわせて約145点展示!作品を通して、鬼才・北斎が鬼をどのように捉え、表現してきたかに迫ります。◎怖い鬼、哀しい鬼、愛すべき鬼…。日本における多様な鬼の姿を描き出す、北斎の発想力と筆力をご覧ください。◎北斎として珍しい能を題材にした肉筆画、葛飾北斎「道成寺図」を当館初公開!「道成寺図」は本展のために修復を行いました。(PDF参照。)■展示構成1章 鬼とは何か/2章 鬼となった人、鬼にあった人/3章 神話・物語のなかの鬼/4章 親しまれる鬼●1章 鬼とは何か日本における「鬼」は、「幽鬼」のように死霊に対して鬼の字を用いることもありますが、鬼といえば思い起こす地獄の鬼をはじめとして、雷神のような鬼の様態を示す派生的な存在まで、幅広く鬼として捉えられています。森羅万象を描いた北斎の作品から、これら日本における広範な鬼の語の使用例や捉え方をうかがうことができます。本章では北斎の作品を通して、江戸時代の人々がどのように鬼をイメージし、どのような存在を鬼と考えていたかを紐解いていきます。<釈迦の伝記に登場する雷神>葛飾北斎『釈迦御一代記図会』六 暴悪を罰して天雷流離王が王宮を焼君臣を撃殺す図 すみだ北斎美術館蔵(通期)読本『釈迦御一代記図会』に登場する釈迦の伝記の一場面です。左に武器を振り上げて天罰の雷撃を落とす雷神、右に爆風渦巻く中に破壊される王宮を対比させるという、画面構成の大胆さが目を惹きつけます。北斎は、古来描き継がれてきた雷神にのっとり、雷神の背後に雷太鼓を描いていますが、乗り物は雲でなく雷獣に、顔は険しく恐ろしい形相とするなど、独自性を出しています。*1 読本(よみほん):江戸時代後期に流行した小説の一種で、挿絵とともに楽しまれました。●2章 鬼となった人、鬼にあった人日本の歴史において、鬼となった人、鬼にあった人の存在が数多く伝えられています。本章では実在した歴史上の人物のうち、鬼となった人、鬼にあったとされる人々の事績やエピソードをもとに制作された北斎の作品を紹介します。壮絶な恨みを抱いて鬼となった人、鬼に助けられた人、強力な呪術で鬼を使役した人など、鬼にまつわる多彩なエピソードを通して、古来日本人が、不幸のうちに亡くなった人々を鬼としておそれ、不思議な出来事を鬼と結びつけて考えてきたことを感じていただけるでしょう。<平家一門>葛飾北為「摂州大物浦平家怨霊顕る図」すみだ北斎美術館蔵(後期)源頼朝から刺客を放たれた源義経は、文治元年(1185)に大物浦(兵庫県尼崎市)から西国に逃亡しようとし遭難してしまいます。その史実が『平家物語』などで語り継がれるうちに、平家の怨霊の祟りによるとされ、能や歌舞伎の演目「船弁慶」などに戯曲化され広く知られるようになりました。北斎門人の葛飾北為(かつしか ほくい)による本図も、この事件を描いています。三枚続きの大画面に、嵐に翻弄される義経の船、長刀(なぎなた)を手に鬼神のごとく襲いかかる平知盛と平家一門の怨霊があらわされています。<角大師(良源)>蹄斎北馬「角大師と蝸牛図」すみだ北斎美術館蔵(前期)角大師とは、平安前期の天台宗の僧、良源が鬼に化身した姿を指します。良源は自らにとりついた疫病神を法力で退散させましたが、疫病に苦しむ民を救うため一心に念じて2本角の痩せた鬼の姿となり、それを弟子に写させ護符としたといいます。本作は北斎門人の蹄斎北馬(ていさい ほくば)が、蝸牛(かたつむり)を眺める角大師を洒脱な筆づかいで描いた肉筆画(*2)です。*2 肉筆画:浮世絵の中でも版画とは異なり、絵師が絵筆で直接紙や絹に描いた作品のこと。●3章 神話・物語のなかの鬼日本の神話・物語には、数多くの鬼が登場します。それらの鬼は、江戸時代において、錦絵や版本など江戸のメディアでも広く知られ、北斎も作品としています。本章では日本神話や伝説、章節・演劇などの物語に登場する恐ろしい鬼、哀しい鬼、強者のイメージとしての鬼などを集め、さまざまな鬼の様相を紹介します。また、本章の目玉となる北斎の肉筆画「道成寺図」は、修復後初公開となります。<酒呑童子>葛飾北斎『絵本和漢誉』大江山の鬼賊酒顛童子を退治す 源頼光朝臣 すみだ北斎美術館蔵(通期)武勇で名高い平安中期の武将・源頼光が、鬼の頭領・酒呑童子を退治する様子を、見開きのページを縦に使い、両者を上下に対峙させて描いています。頼光によって切断された酒呑童子の首が、不敵な笑みを浮かべて中空に舞う様子が黒い闇の背景とともにあらわされ、底知れない不気味さを漂わせています。<鬼夜叉>卍楼北鵞「為朝と鬼ヶ島図」すみだ北斎美術館蔵(後期)北斎の門人ないし孫弟子ともいわれる卍楼北鵞(まんじろう ほくが)の新出の肉筆画です。力強く緻密な筆づかいは、北斎を彷彿とさせ、北鵞の作品の中でも優品に位置づけられます。本作は、江戸時代のベストセラーとも評される、北斎が挿絵を担当した読本『椿説弓張月』の話をもとに、伊豆大島に流された源為朝が、弓矢で岩を打ち砕く場面が描かれています。画面中央から少し右に描かれている赤鬼のような風貌の人物は、七郎三郎(しっちょうさぼり、通称:鬼夜叉)です。七郎三郎は、海の潮風に焼けた赤肌で角のような2つの瘤があり、その風貌から為朝によって鬼夜叉と名づけられました。本作では鬼そのものの姿で描かれています。●4章 親しまれる鬼鬼は恐れられるだけではなく、暮らしのなかで親しまれる存在でもありました。例えば金太郎や桃太郎などの昔話に登場する鬼は、多くの人々が子どもの頃から慣れ親しんだ存在です。鬼瓦は、恐ろしい表情の鬼の顔で瓦を装飾することで魔除けとし、建物を守ります。本章では暮らしの中での身近な鬼とともに、ユーモラスな鬼の姿を集め、北斎の軽妙な筆が捉えた愛すべき鬼たちを紹介します。<鬼の寒念仏>葛飾北斎『北斎略画手ほどき』すみだ北斎美術館蔵(通期)大津絵の「鬼の寒念仏」は、江戸時代、東海道の旅人たちが魔除けや大津宿の土産物として買い求めた人気キャラクターでもありました。『北斎略画手ほどき』は、北斎の文字絵の教本を大正時代に再版したものです。本ページでは、絵描き歌に詠み込んだ文字を組み合わせて、大津絵の「鬼の寒念仏」の描き方が説明されています。単純な運筆で表された鬼の表情は不満げで、親しみやすさも感じさせます。■特別展《北斎 百鬼見参》開催概要展覧会名 : 北斎 百鬼見参会期 : 2022年6月21日(火)~8月28日(日)※前後期で一部展示替えを予定前期 6月21日(火)~7月24日(日)、後期 7月26日(火)~8月28日(日)休館日 : 毎週月曜日 ※開館:7月18日(月・祝)、休館:7月19日(火)開館時間 : 9:30~17:30(入館は17:00まで)主催 : 墨田区・すみだ北斎美術館お問い合わせ: 03-6658-8936(9:30~17:30 ※休館日を除く)公式サイト : ■観覧料通常料金(個人)一般 1,200円、高校生/大学生 900円、65歳以上 900円中学生 400円、障がい者 400円、小学生以下 無料●本展のチケットは、会期中観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)もご覧になれます。●団体でのご来館は、当面の間、受付を行いません。■前売券通常料金(当日券)の20%引きになる前売券を1階エントランス受付で販売しています。販売期間:2022年6月19日(日)まで販売中。販売場所:すみだ北斎美術館 1階エントランス受付(開館日の9:30~17:00)<通常料金の20%引き!>前売料金(個人)一般 960円、高校生/大学生 720円、65歳以上 720円中学生 320円、障がい者 320円、小学生以下 無料●中学生、高校生、大学生(高専、専門学校、専修学校生含む)は生徒手帳または学生証をご提示ください。●65歳以上の方は年齢を証明できるものをご提示ください。●身体障がい者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳、被爆者健康手帳などをお持ちの方及びその付添の方1名まで、障がい者料金でご覧いただけます。入館の際は、身体障がい者手帳などの提示をお願いします。●団体販売はございません。●他の割引サービスは併用できません。●支払い方法は、現金またはPayPayとなります。●当前売券でのご観覧当日に限り、AURORA(常設展示室)もご覧いただけます。●この前売券は、特別に印刷されたものではなく、当館受付で通常の発券システムを使用して発券するものとなりますので、予めご了承ください。■本展公式図録を発売します!すみだ北斎美術館「北斎 百鬼見参」展(2022年6月21日~8月28日)公式図録をすみだ北斎美術館ミュージアムショップをはじめ、全国書店で発売します。本展で当館初公開の肉筆画「道成寺図」のほか、「百物語」シリーズから「笑ひはんにや」「しうねん」「さらやしき」、『椿説弓張月』『北斎漫画』等の版本、摺物の作品など、出品作品の図版と解説を網羅した図録です。タイトル :北斎 百鬼見参著者 :すみだ北斎美術館出版社 :講談社価格 :2,640円(税込)発売日 :2022年6月20日(月)形態/ページ数:単行本192ページISBN :ISBN978-4-06528083-6 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年05月18日サントリー美術館で『大英博物館 北斎―国内の肉筆画の名品とともに―』が4月16日(土)よりスタートした。世界屈指の質とされる大英博物館の北斎コレクションを中心に、葛飾北斎の、特に還暦を迎えた60歳から90歳で亡くなるまでの30年間に焦点を当てる注目の展覧会。6月12日(日)までの開催となる。江戸時代後期を代表する浮世絵師、そして世界でもっとも有名な日本人芸術家、葛飾北斎。「冨嶽三十六景」や『北斎漫画』の強いインパクトは国境を越えてヨーロッパの人々も魅了し、印象派やポスト印象派の画家たちに大きな影響を与えた。イギリスでも北斎の魅力に惹き付けられた多くのコレクターや研究者が誕生。大英博物館には複数のコレクターによる北斎の優品が収蔵されるようになり、時を経て世界有数の北斎コレクションが形成された。この展覧会は、その大英博物館が所蔵する北斎作品を中心に、国内の肉筆画の名品をあわせて北斎の画業の変遷を追っていくもの。特に代表作の多くが描かれている60歳から90歳にかけての北斎の作品を紹介していく。展覧会エントランス展覧会は6章構成。第1章の「画壇への登場から還暦」では60歳までの北斎の画業をコンパクトにまとめている。勝川春章に入門し「春朗」と名乗っていた北斎は役者絵で頭角を表していたものの、師の没後は勝川派から離れ「宗理」の名前で活動を開始。琳派に接近しつつ、日本や中国、さらにはヨーロッパの技法を学び、精力的な活動を行っていた。その後、今日最も知られている「北斎」を筆頭に名前を変えながら独自の芸術を追求していく。《市川鰕蔵の山賤実は文覚上人》は、春朗時代の作品。後の五代目市川團十郎となる市川鰕蔵が演じていた文覚上人を描いている。文覚上人は、現在の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では四代目市川猿之助が演じている。葛飾北斎《市川鰕蔵の山賤実は文覚上人》寛政3年(1791)大英博物館《為朝図》は、版元の平林庄五郎が、北斎と曲亭馬琴とのタッグで制作した読本『椿説弓張月』の完成を祝って注文した肉筆画。画中に馬琴が漢詩を寄せている。葛飾北斎《為朝図》一幅江戸時代文化8年(1811)大英博物館第2章「富士と大波」では、北斎の世界的な代表作「冨嶽三十六景」など、北斎が富士山をモチーフにした作品を取り上げる。当時、輸入されたばかりの藍色の色料「ベロ藍(プルシアンブルー)」を用いた「冨嶽三十六景」や、版本『富嶽百景』など、北斎は富士山の姿をさまざまな構図で描き、日本はもちろんのこと、海の向こうの人々までをも熱狂させている。展示風景よりまた、富士山と同じく北斎は水の造形に興味・関心を持ち、丹念に描いている。《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》の波のうねり、しぶきはその研究のあらわれのひとつだ。葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》江戸時代天保元~4年(1830~33)頃大英博物館蔵第3章「目に見える世界」、続く第4章「想像の世界」は、では、北斎の卓越した描写力と想像力に着目する。北斎はたぐい稀なる画力で、名所絵や花鳥画を描き、やがては現実を凌駕した世界も描き出すようになる。奇抜な橋が多数登場する《諸國名橋奇覧》は北斎が好んで描いた水、そして橋がさまざまな形で登場する。《百物語》は当時江戸の町でブームになっていた怪談をテーマにしたシリーズ。現在展示されている2作品を含め5作品が確認されている。葛飾北斎《諸國名橋奇覧 三河の八つ橋の古圖》天保5年(1834)頃大英博物館蔵葛飾北斎 左:《百物語 こはだ小平二》右:《百物語 笑ひはんにや》天保4年(1833)頃 いずれも大英博物館蔵第5章「北斎の周辺」は、葛飾北斎を取り巻く人々にも焦点を当てる。《女重宝記》は北斎の娘で絵師の葛飾応為が挿絵を描いた、女性に日常的に必要となる知識ををまとめた本。そして《漁師図》は、北斎と応為との共作。画中には北斎と応為のそれぞれが書いた句が書かれている。葛飾応為《女重宝記》 弘化4年(1847) 大英博物館蔵葛飾北斎《漁師図》 文政年間(1818~30)頃 大英博物館蔵最晩年の北斎は肉筆画に制作の中心を移していった。最終章となる第6章「神の領域―肉筆画の名品―」では、肉筆画の名品を取り上げる。80代にしてなお画力の向上を願い、長生きを願った北斎の探究心が作品から垣間見える。葛飾北斎《白拍子図》 文化3年(1820)頃北斎館所蔵※5月16日までの展示葛飾北斎《肉筆画帖》天保5~7年(1834~36)頃 北斎館蔵※5月16日まで展示、5月18日より場面替年齢を重ねれば重ねるほど、画力が研ぎ澄まされていった葛飾北斎。日本でこれだけの良質な作品をまとめて鑑賞できるこの機会を逃さず、しっかりと楽しもう。【開催情報】『大英博物館 北斎―国内の肉筆画の名品とともに―』4月16日(土)~6月12日(日)、サントリー美術館にて開催取材・文:浦島茂世
2022年05月02日東京・六本木のサントリー美術館で『大英博物館北斎』がはじまりました。本展では、大英博物館が所蔵するクオリティの高い北斎作品が集結。さらに、北斎を愛したイギリスのコレクターたち6名にもフォーカス。アートの目利きである彼らが絶賛&狂喜した、日本人が気づいていない“北斎のスゴさ”もご紹介!イギリスでも大人気…スゴい北斎!【女子的アートナビ】vol. 240『大英博物館北斎―国内の肉筆画の名品とともに―』では、大英博物館が所蔵する北斎作品を中心に、国内にある肉筆画も展示。イギリス人コレクターたちの“北斎愛”にも触れながら、彼の画業、特に数多くの代表作が生み出された後半生の作品群を一覧できます。葛飾北斎(1760-1849)は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師。彼の作品は、日本だけでなく世界でも有名で、例えばモネやドガなどフランス印象派の画家たちや、ゴッホにも影響を与えています。フランスで人気があったというイメージが強い北斎ですが、実はイギリスでも大人気。すでに1870年代から北斎コレクターや研究者がいて、特に大英博物館には多くの作品が所蔵されています。本展のプレス説明会では、アルフレッド・ハフト氏(大英博物館アジア部日本セクション学芸員)のビデオメッセージが流れ、100年以上前に大英博物館の学芸員だったローレンス・ビニョン(1869-1943)の言葉が紹介されました。とても印象的でしたので、以下に抜粋します。「1908年、ローレンス・ビニョンは、北斎の風景画を見たときの体験を『美と驚きがひとつになった衝撃』と表現し、『世界は我々の想像を上回る驚きに満ち、我々を狂喜させる力の源であることを北斎は明らかにした。それは、これから我々自身で発見していくことができるものでもあるのだ』と語っています」これほどの衝撃をイギリス人に与えていた北斎、すごいです!「芸術家として北斎こそ正真正銘の日本人」では、展覧会のおもな見どころをご紹介していきます。第1章「画壇の登場から還暦」では、貴重な初期作から還暦近くの年齢で描いた作品が登場。ここでの見どころは、北斎が直接筆をとった「肉筆画」の名品《為朝図》。曲亭馬琴の読本『椿説弓張月(ちんせつ ゆみはりづき)』の主人公・源為朝を描いたもので、絵のなかには作者馬琴の祝詞も書かれています。本作品を購入したのは、イギリスの医師、ウィリアム・アンダーソン(1842-1900)。彼は解剖学と外科の教授として明治期に来日し、東京の海軍軍医学校の校長を務めました。さまざまな美術品も入手し、そのうち約2100点が大英博物館の所蔵品になっています。また、アンダーソンは、日本美術についての本も執筆。著書の中で、「芸術家として北斎こそが正真正銘の日本人」と絶賛しています。代表作が次々と…!第2章「富士と大波」では、《富嶽百景》や《冨嶽三十六景》シリーズの作品群などを紹介。大波が印象的な北斎の代表作《冨嶽三十六景神奈川沖浪裏》や、「赤富士」として親しまれている《冨嶽三十六景凱風快晴》もここで見ることができます。また、第4章「想像の世界」では、偉大な歌人や詩に読まれた景色、さらに目に見えない妖怪を描いた作品などが登場。不気味な見た目でも、どこかユーモラスさが感じられる人気作品《百物語こはだ小平二》も展示されています。「これが一人の画家の作品だとは信じがたい」最後の第6章「神の領域―肉筆画の名品―」では、晩年に描かれた肉筆画が登場。特に、88歳のときの作品《流水に鴨図》は必見です。2羽の鴨と水面に落ちた紅葉が描かれた作品で、鴨の描写が本当に細かいのです!近くで見ると、その精緻な美しさに圧倒されます。あの時代の88歳、大家の北斎先生でも老眼になっていると思いますし、集中力や持続力も若いころに比べれば低下しているはず。でも、線のブレもムラもなく、まさに“神の領域”に達した作品です。本作品を所蔵していたのは、イギリスの小説家アーサー・モリソン(1863-1945)。彼は2000以上の浮世絵版画を入手したほか、日本絵画も約600点購入。また、日本美術の研究書も出版し、その中で北斎について「複数の優れた絵師による作品でなく、すべて北斎一人によるものだということが、実に信じがたい」と語っています。究極の“推し活”展覧会本展では、北斎の名品を堪能できるだけでなく、日本美術好き・北斎大好きイギリス人コレクターたちによる究極の“推し活”も楽しめます。彼らが書いた北斎の推しポイントを読むと、今まで気づかなかった作品の魅力も発見でき、改めて北斎の偉大さを実感しました。100年以上前に北斎担当のファンたちが熱心に集めたコレクションを、現代の日本人が見るなんて、考えてみたらステキなこと。推し活をしていたコレクターたちも、きっと喜んでいると思います。究極の“推し活”展覧会、ぜひ足を運んでみてください!Information会期:~6月12日(日)※会期中展示替を行います。※会期は変更の場合があります。休館日:火曜日(5月3日、6月7日は開館)会場:サントリー美術館開室時間:10時~18時※金・土および4月28日(木)、5月2日(月)~4日(水・祝)は20時まで開館※いずれも入館は閉館の30分前まで観覧料:一般¥1,700、大学・高校生¥1,200、中学生以下無料※最新情報は公式サイトでご確認ください
2022年04月30日葛飾北斎の作品と同時代・次世代に活躍した絵師たちの作品を並べ、北斎とライバルたちがどのような関係にあったのかを紹介する『北斎とライバルたち』が、4月22日(金)より太田記念美術館にて開催される。北斎は70年におよぶ画業のなかで、《冨嶽三十六景》に代表される風景画のほか、さまざまなジャンルの作品を手掛け、高い名声を得ていた。だがもちろん、当時活躍していた絵師は北斎だけではなく、数多くの浮世絵師たちが、時には北斎と覇権を争い、時には影響を受けたり与えたりしていた。同展では、そんな北斎とライバルたちとの交流や北斎が手掛けたさまざまなジャンルの作品を幅広く展観。歌川広重、東洲斎写楽、溪斎英泉、歌川国芳など、同時代に活躍した絵師たちとの交友関係や、晩年の代表作である《冨嶽三十六景》、役者絵や武者絵、風景画や美人画など、北斎の幅広い画業をほかの絵師たちの作品を交えながら紹介するほか、北斎の影響を受けた歌川広景、落合芳幾といった次世代の絵師たちの作品も公開。なぜ北斎は世界的に人気が高いのか?たくさんのライバルたちと対比から北斎の新たな魅力に気付くことができそうだ。歌川広重「不二三十六景 相模七里か浜風波」(後期)歌川広景「江戸名所道戯尽四御茶の水の釣人」(後期)葛飾北斎「冨嶽三十六景 登戸浦」(前期)歌川広重「冨士三十六景 相模江之島入口」(前期)『北斎とライバルたち』会期:2022年4月22日(金)~6月26日(日)会場:太田記念美術館時間:10:30~17:30(入館は17:00まで)休館日:月曜、5月24日(火)~-26日(木)料金:一般1,000円、大高700円※会期中全点展示替え公式サイト:
2022年04月11日株式会社国際貿易(本社:東京都葛飾区、代表取締役:矢田 誉)は、3月26日(土)に、葛飾区四つ木の国際貿易 1階特設会場にて、訳アリ品を中心とした「KB MART 決算ジャンク市」( )を開催いたします。モデルカー、エアプレーンモデル等を楽しむすべての方に、日頃のご愛顧に感謝を込めて「KB MART 決算ジャンク市」を開催します。訳アリ品やアウトレット品を会場限定の特別価格でご提供します。1日限りの機会をお見逃しのないようご利用ください。KB MART 決算ジャンク市を3月26日に開催■ジャンク市とは?主にパッケージにダメージや、パーツ外れや欠品など、気にならない方や修理ができる方にとっては思わぬ掘り出し物が見つかるかもしれない醍醐味があります!もちろん、普通に楽しめる商品も格安で多数ありますのでご満足できると思います。■「KB MART 決算ジャンク市」開催概要開催期間:2022年3月26日(土)開催時間:9:00~13:00開催場所:国際貿易 1階特設会場(住所:東京都葛飾区四つ木5-25-12)開催内容:モデルカー、エアプレーンモデル、雑貨等のジャンク品やアウトレット販売入場料 :無料駐車場 :なし(近隣住民の皆様のご迷惑となりますので路上駐車は行わないでください)備考 :レジ袋のご用意はありませんので、エコバッグをご持参ください。■新型コロナウイルス感染対策へのお願い・ご来場の際は、マスク着用、入口での手指の消毒にご協力をお願い致します。・微熱やせきの症状がある方はご来場をお控えください。・密を避けるため、状況により入場制限を行う場合がございます。新型コロナウイルス感染対策へのお願い■Web Shopではお宝発見!?キャンペーン開催中ただいま、国際貿易通販サイト「KB MART」ではお宝発見!?キャンペーンを開催中。最大45%OFFセールを行っています。こちらでもぜひ、お得な商品を見つけて下さい。 通販サイトではお宝発見!?キャンペーン開催中国際貿易 Since 1918■株式会社国際貿易について私たち国際貿易は、1918年に創業し2018年で100周年を迎えました。日本製の商品を輸出し、海外の商品を日本市場に流通させ、ある時はバービー人形の開発製造及び販売を担い、またある時はウォルト・ディズニーのライセンシー(日本第一号)として、世界に「夢」を与えてきました。そんな時代の変遷を経て、私たちは皆様のご愛顧を頂戴しています。最近は、輸入商社としてだけではなく、メーカーとして日本のみならず世界に向けて「遊・楽・創」を世の中に提案し続けています。「遊・楽・創」をお届けすることで世界の人々の暮らしに笑顔を与えられるような会社でありたいと考えています。■会社概要商号 : 株式会社国際貿易代表者 : 代表取締役 矢田 誉所在地 : 〒124-8503 東京都葛飾区四つ木5丁目25番12号設立 : 1918年6月事業内容: 玩具、模型、雑貨の製造販売及びそれに伴う輸入と輸出資本金 : 1億円URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年03月18日特別展「北斎」が、福岡の九州国立博物館にて2022年4月16日(土)から6月12日(日)まで開催される。葛飾北斎の「日新除魔図」日本初公開特別展「北斎」は、世界でもっとも有名な日本の画家、葛飾北斎の想像力あふれる世界観を紹介する展覧会。2017年に九州国立博物館へ寄贈された、北斎の重要文化財「日新除魔図(宮本家本)」を、日本で初めて一般公開する。「日新除魔図」は、北斎が病や火災、借金苦などの災難を経て、毎朝魔除けのために描き続けた獅子たちを集めた圧巻の連作。九州国立博物館に寄贈される前は個人蔵であったためほぼ非公開状態であったが、寄贈後は九州国立博物館でのみ公開が可能に。80歳を過ぎた北斎による、門外不出の大作に注目だ。「冨嶽三十六景」や晩年の肉筆画「龍図・鳳凰図」もまた、「日新除魔図」と年代の近い浮世絵版画シリーズ「冨嶽三十六景」も登場する。さらに、長野・小布施から、北斎晩年の最重要作品である祭屋台の天井絵「龍図・鳳凰図」を九州初公開。躍動感あふれる肉筆画を、会期中通期で展示する。【詳細】特別展「北斎」会期:2022年4月16日(土)~6月12日(日)前期 4月16日(土)~5月15日(日)/後期 5月17日(火)~6月12日(日)※会期中、展示替えあり。場所:九州国立博物館住所:福岡県太宰府市石坂4-7-2休館日:月曜日(5月2日(月)は開館)開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)観覧料:一般 1,800円(1,600円)、高大生 1,000円(800円)、小中生 600円(400円)※( )内は前売料金※チケットはARTNEチケットオンライン、 ローソンチケット(Lコード:84527)、 チケットぴあ(Pコード:686-008)等で販売。※開催予定・内容に変更が生じる場合は、展覧会ホームページ等にて随時告知。【問い合わせ先】九州国立博物館 ハローダイヤルTEL:050-5542-8600(9:00~20:00/年中無休)
2022年03月13日企画展『北斎花らんまん』が3月15日(火)から5月22日(日)まで、すみだ北斎美術館で開催される。花は古くから人々に愛され、絵画の主題としても数多く取り上げられてきた。本展では、葛飾北斎やその門人たちの作品から、桜をはじめとした様々な花の作品約100点が展示される。花見の対象とされる花、物語に登場する花、意匠として着物や道具に施される花等、生活のあらゆる場面で愛でられてきた花に関する作品を紹介。描かれた花々を通じて、花を愛でる文化に親しみを感じてほしい。<見どころ>描かれた花のユートピア:現実では一度に楽しむことが難しい四季の花々。本展では北斎や門人の筆により、桜をはじめ、梅、朝顔、桔梗、椿など前期・後期あわせて約35種の描かれた花を紹介。展示室に花のユートピアが広がる。北斎や弟子の観察眼:北斎や門人の作品では、花弁や葉の質感の表現や、花脈や葉脈までも緻密に描き込まれています。ディテールの描写や、一瞬を捉える観察眼に注目だ。<展示構成>1章春の到来早春の花々:厳しい冬が過ぎ、植物が芽吹く頃に咲き出す花々は、おめでたいものの象徴として喜ばれた。1章では、辛夷(こぶし)や梅、木蓮など、春の訪れを告げ、人々に喜びをもたらす早春の花々が描かれた作品を紹介する。2章桜花爛漫:古くから人気があった桜は数ある花の中でもとりわけ多く、絵の題材になっている。江戸時代には、様々な花見の名所が新たに作られ、北斎の作品にも桜を楽しむ人々の様子が多く描かれてきた。2章では、浮世絵版画や肉筆画から、花見の名所や物語を紹介する。3章色とりどりの四季の花:3章では、現代の四季感に基づき、春(3月~5月)、夏(6月~8月)、秋(9月~11月)、冬(12月~2月)に区分し、季節の花々が描かれた作品を紹介していく。4章暮らしを彩る花の意匠:古くから花は意匠化され、着物や道具など、生活の中の身近なものの柄や装飾にもよく見られる。4章では、北斎と弟子が様々な花を意匠化して描いた作品を紹介。■展示情報「北斎花らんまん」3月15日(火)~5月22日(日)※前後期で一部展示替えを予定会場:すみだ北斎美術館前期:3月15日(火)~4月17日(日)後期:4月19日(火)~5月22日(日)開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)休館日:毎週月曜日※開館:3月21日(月・祝)、休館:3月22日(火)観覧料:一般1,000円 / 高校生・大学生700円 / 65歳以上700円 / 中学生300円 / 障がい者300円 / 小学生以下無料※本展のチケットは、会期中観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)、常設展プラスも観覧可能。※団体の来館は当面の間、受付を行わない。
2022年03月10日企画展「北斎花らんまん」が、東京・すみだ北斎美術館にて2022年3月15日(火)から5月22日(日)まで開催される。“花”を描いた北斎&門人たちの作品約100点が集結企画展「北斎花らんまん」は、葛飾北斎やその門人たちの作品から、様々な“花”をテーマにした作品約100点を紹介する展覧会。桜をはじめ、梅、朝顔、桔梗、椿など、前期・後期あわせて約35種の花を題材とした作品の数々が一堂に集結する。緻密に表現された花弁や葉の質感や、細かく描き込まれた花脈や葉脈など、北斎をはじめとする浮世絵師たちによるディテールの描写や、一瞬をとらえる観察眼の鋭さに注目だ。“桜”の浮世絵版画や肉筆画数ある花の中でも、古くから人気のある“桜”は、とりわけ多く絵の題材になっている。浮世絵版画や肉筆画にも、花見の名所や、人々が花見をする様子を描いた作品が多く残された。北斎の代表作「冨嶽三十六景」からは、江戸屈指の花見の名所であった「御殿山」を描いた作品が登場。色を転写せずに凸凹のみで表現する“空摺”の技法によって摺られた、枝いっぱいに咲く桜が目を引く作品だ。ござを広げて酒宴に興じる人々や、子供を背負って歩く人々など、様々な花見の楽しみかたも見て取ることができる。早春に咲く“梅”の花咲か爺さんまた、厳しい冬を越え早春に咲き出す梅や辛夷(こぶし)、木蓮などは、春の訪れを告げるおめでたい象徴として喜ばれた花々。存斎光一の「花咲か爺さん」には、桜ではなく梅の花を咲かせる様子とともに、梅の香りや春の訪れへの期待を込めた狂歌が記されている。牡丹や桔梗を描いた花鳥画も加えて、4月から6月にかけて開花する牡丹を北斎が描いた大判花鳥画「牡丹に胡蝶」や、夏から秋にかけて咲く桔梗を3種類織り交ぜて描いた「桔梗にとんぼ」、冬の花・椿を描いた柳々居辰斎の「五色之内 赤絵南京」など、季節ごとの花々の作品も登場する。意匠化された花さらに、絵画作品に加え、モチーフとして日用品の装飾に落とし込まれた“花”についても紹介。北斎がデザインした小紋染の模様を収めた図案集『新形小紋帳』をはじめ、着物や道具などを彩る“意匠化された花”の作品を展示する。【詳細】企画展「北斎花らんまん」会期:2022年3月15日(火)~5月22日(日) ※前後期で一部展示替えを予定前期 3月15日(火)~4月17日(日)/後期 4月19日(火)~5月22日(日)場所:すみだ北斎美術館住所:東京都墨田区亀沢2-7-2休館日:毎週月曜日 ※3月21日(月・祝)は開館、3月22日(火)休館開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)料金:一般 1,000円、高校生・大学生 700円、65歳以上 700円、中学生 300円、障がい者 300円、小学生以下 無料※本展のチケットは、会期中観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)をはじめ全ての展示を観覧可能。※団体での来館は、当面の間、受付なし。※会期・開館時間・観覧料・イベント・講演会の開催など変更、中止の可能性あり。 最新情報は、すみだ北斎美術館公式ホームページにて告知。【問い合わせ先】すみだ北斎美術館TEL:03-6658-8936(9:30~17:30 ※休館日を除く)
2022年02月20日すみだ北斎美術館では2022年3月15日(火)から5月22日(日)まで「北斎花らんまん」展を開催いたします。企画展「北斎花らんまん」花は古くから人々に愛され、絵画の主題としても数多く取り上げられてきました。本展では、北斎やその門人たちの作品から、桜をはじめとした様々な花の作品約100点を展観します。花見の対象とされる花、物語に登場する花、意匠として着物や道具に施される花等、生活のあらゆる場面で愛でられてきた花に関する作品をご紹介します。描かれた花々を通じて、花を愛でる文化に親しみを感じていただけましたら幸いです。■展示構成1章 春の到来 早春の花々/2章 桜 春爛漫/3章 色とりどりの四季の花/4章 暮らしを彩る花の意匠■本展の見どころ◎描かれた花のユートピア現実では一度に楽しむことが難しい四季の花々。本展では北斎や門人の筆により、桜をはじめ、梅、朝顔、桔梗、椿など前期・後期あわせて約35種の描かれた花を紹介。展示室に花のユートピアが広がります。◎北斎や弟子の観察眼北斎や門人の作品では、花弁や葉の質感の表現や、花脈や葉脈までも緻密に描き込まれています。ディテールの描写や、一瞬を捉える観察眼にご注目ください。●1章 春の到来 早春の花々厳しい冬が過ぎ、植物が芽吹く頃に咲き出す花々は、おめでたいものの象徴として喜ばれました。1章では、辛夷(こぶし)や梅、木蓮など、春の訪れを告げ、人々に喜びをもたらす早春の花々が描かれた作品をご紹介します。<梅 開花時期:1月~3月>存斎光一「花咲か爺さん」すみだ北斎美術館蔵(前期)灰を撒く花咲か爺さんの姿が描かれた作品です。花咲か爺さんといえば桜を想像しますが、本図は梅の花が描かれ、灰を撒かれた下側の枝から徐々に開花しています。画面左上には、梅の香りや春の訪れへの期待が詠まれた狂歌が添えられています。●2章 桜 春爛漫古くから人気があった桜は、数ある花の中でもとりわけ多く、絵の題材になっています。江戸時代には、様々な花見の名所が新たに作られ、北斎の作品にも桜を楽しむ人々の様子が多く描かれています。2章では、浮世絵版画や肉筆画から、花見の名所や物語を紹介いたします。<桜 開花時期:3月~5月>葛飾北斎「冨嶽三十六景 東海道品川御殿山ノ不二」すみだ北斎美術館蔵(前期)現在の品川区北品川に位置した御殿山は、享保年間(1716~36)以降、江戸屈指の花見の名所でした。北斎の代表作「冨嶽三十六景」にも、花見シーズンの御殿山が描かれています。枝いっぱいに咲く桜は、薄い紅をぼかして摺った後に、凸凹をつけることのみで表す空摺(からずり)という技法で沢山の丸い点が施されています。蹄斎北馬「朝妻舟」すみだ北斎美術館蔵(前期)本図は浮世絵の中でも版画と異なり、絵師が絵筆で直接紙や絹に描いた肉筆画(にくひつが)です。北斎の弟子の一人・蹄斎北馬(ていさいほくば)によって描かれました。「朝妻舟」と名のつく作品に決まって描かれる柳や白拍子姿の遊女のほかに、満開の山桜が描かれています。花弁が舞い落ちる中、水面に映る遊女の顔は、目のまわりに化粧をしているようです。山桜は日本では古くから自生し、開花とともに葉をつけることで知られ、絵画にも描かれてきました。本図は花弁や葉の一枚一枚、蕾が繊細に描写されています。●3章 色とりどりの四季の花3章では、現代の四季感に基づき、春(3月~5月)、夏(6月~8月)、秋(9月~11月)、冬(12月~2月)に区分し、季節の花々が描かれた作品をご紹介いたします。<牡丹 開花時期:4月~6月>葛飾北斎「牡丹に胡蝶」すみだ北斎美術館蔵(前期)「冨嶽三十六景」や「諸国瀧廻り」と同じ版元である西村屋与八から出版された、北斎の大判花鳥画シリーズの一図です。強い風に揺られる牡丹と蝶の一瞬が見事に描写されています。ピンク色の牡丹は、花弁の付け根から網目状に広がる花脈が精緻に描き込まれています。<桔梗 開花時期:6月~10月>葛飾北斎「桔梗にとんぼ」すみだ北斎美術館蔵(後期)こちらも北斎の大判花鳥画シリーズの一図です。赤みがかった色の一重の桔梗、多重咲きの桔梗、青い斑入りの桔梗の3種類が描かれてます。咲いている花のほか、まだ固く閉じている蕾、ほころぶ蕾も描かれています。桔梗の上を飛ぶトンボは、翅の脈や翅の先の黒い模様の縁紋まで細やかに描写されています。●4章 暮らしを彩る花の意匠古くから花は意匠化され、着物や道具など、生活の中の身近なものの柄や装飾にもよく見られます。4章では、北斎と弟子が様々な花を意匠化して描いた作品をご紹介します。<意匠化された花>葛飾北斎『新形小紋帳』すみだ北斎美術館蔵(通期)『新形小紋帳』は、北斎がデザインした小紋染の模様を収めた図案集です。このページでは、花が鶴の形にデザインされおり、それぞれ名前や説明が記されています。右上から藤の舞鶴、花橘の舞鶴(右中)、舞鶴の桜(右下)、舞鶴菊の折枝(左上)、舞鶴牡丹の折枝(左中)、水仙の舞鶴(左下)です。■開催概要展覧会名 : 北斎花らんまん会期 : 2022年3月15日(火)~5月22日(日)※前後期で一部展示替えを予定前期 : 3月15日(火)~4月17日(日)後期 : 4月19日(火)~5月22日(日)休館日 : 毎週月曜日 ※開館:3月21日(月・祝)、休館:3月22日(火)開館時間 : 9:30~17:30(入館は17:00まで)主催 : 墨田区・すみだ北斎美術館お問い合わせ: 03-6658-8936(9:30~17:30 ※休館日を除く)公式サイト : 観覧料 : 一般 1,000円高校生・大学生 700円65歳以上 700円中学生 300円障がい者 300円小学生以下 無料・本展のチケットは、会期中観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)、常設展プラスもご覧になれます。・団体でのご来館は、当面の間、受付を行いません。・新型コロナウイルス感染予防・拡大防止のため、会期・開館時間・観覧料・イベント・講演会の開催など変更、中止の可能性がございます。・最新の状況は、すみだ北斎美術館公式ホームページにて最新情報をご確認ください。■すみだ北斎美術館 概要開館時間 : 9:30~17:30(入館は17:00まで)休館日 : 毎週月曜日(月曜が祝日または振替休日の場合はその翌平日)、年末年始(12月29日~1月1日)所在地 : 〒130-0014 東京都墨田区亀沢2-7-2お問い合わせ: 03-6658-8936(9:30~17:30 ※休館日を除く)公式サイト : Twitter : Facebook : YouTube : アクセス : 都営地下鉄大江戸線「両国駅」A3出口より徒歩5分JR総武線「両国駅」東口より徒歩9分JR総武線「錦糸町駅」北口より墨田区内循環バスで5分 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年02月16日東武百貨店 池袋本店のバレンタインイベント「ショコラマルシェ」が、2022年1月29日(土)から2月15日(火)まで8階の催事場にて開催される。約80店舗の国内外ブランドが集結する「ショコラマルシェ」東武百貨店のバレンタインイベント「ショコラマルシェ」には、国内外の約80ブランドが参加。『あなたの"推し"がきっと見つかる。』をテーマに、自分のご褒美にぴったりのショコラや、大切な人や友達に贈りたい見た目のかわいらしいチョコレートなどが展開される。国内外のショコラティエによる"ご褒美ショコラ"「ショコラマルシェ」の注目は、デプラ ポール ショコラティエの可愛らしいハート型チョコレート。上質なチョコレートに異なるフレーバーを合わせた4種を、東武限定のアソートメントで販売する。頑張っている自分へのご褒美チョコとしてもおすすめだ。ショコラマルシェ初出店となるヴェストリからは、スプーンですくって食べるユニークなチョコレート"アンティーカ・ジャンドゥイア"が登場。イタリア産のヘーゼルナッツをたっぷり使用した濃厚な味わいのチョコレートは、そのまま食べても、パンに塗っても、温めてディップとしても楽しむことができる。ショコラティエ パレ ド オールから販売される、いちごやピスタチオを合わせたチョコレートは、甘酸っぱい苺と濃厚なピスタチオのハーモニーを感じることができる一品だ。友達や大切な人へ贈りたいショコラ「ショコラティエ川路」は、葛飾北斎の絵画から着想を得たチョコレートを東武限定で販売する。プレゼントにも喜ばれそうな、"日本の魅力"が伝わる和風チョコレートになっている。また、ラムネ菓子に上質なチョコレートをコーティングしたリリオンテの"ショコネ"や、クランベリーやアーモンドなどの6種のフレーバーのブラウニーを詰め合わせたファットウィッチベーカリーの"バレンタイン限定箱"は、パッケージが可愛らしく友チョコにもぴったり。さらに、バレンタインムードを盛り上げる華やかなチョコレートスイーツもラインナップする。花束をモチーフにした100エーカーの森の"ブーケ・パウンド(Bouquet・Pound)"は、ビターチョコレートでコーティングした濃厚チョコパウンドケーキに、花びらやナッツをあしらった。日ごろの感謝を伝えるバレンタインギフトとして贈ってみてはいかがだろうか。会場で楽しめるイートインも会場でしか味わえない限定スイーツも見逃せない。アールグレイ専門店の「アンドアールグレイ」からは、"ショコラ"のソフトクリームが登場。濃厚なチョコレートのソフトクリームに、ベルガモットの香りを加えたバレンタイン限定商品だ。同時に、濃厚な紅茶の風味が魅力の"アールグレイリッチミルク"も販売する。【詳細】「ショコラマルシェ」開催期間:2022年1月29日(土)~2月15日(火)会場:東武百貨店 池袋本店 8階催事場住所:東京都豊島区西池袋1-1-25取り扱いブランド:約80<アイテム例>デプラ ポール ショコラティエ「ハーティー リミテ」(4個入) 1,601円ヴェストリ「選べる!アンティーカ・ジャンドゥイア 1」各1,944円 ※オリジナルスプーン付きショコラティエ パレ ド オール「いちご&ピスターシュ」(4個入) 1,998円ショコラティエ川路「和ショコラ」(9個入) 3,500円リリオンテ「ショコネ」各648円ファットウィッチベーカリー「 バレンタイン限定箱」(6個入) 2,376円100エーカーの森「ブーケ・パウンド/エール・パウンド」(径約12cm) 各2,700円アンドアールグレイ 「アールグレイリッチミルク、ショコラ」各510円【問い合わせ】東武百貨店 池袋本店 代表TEL:0570-086-102(ナビダイヤル)
2022年01月01日葛飾北斎やその弟子などが描いた日本の歴史上の人物や事件を展観する『北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―』展が、12月21日(火)よりすみだ北斎美術館にて開催される。『富嶽百景』の最初のページに描かれた神・コノハナノサクヤビメ、上杉謙信と武田信玄による戦国大名の一騎打ちを描いた『画本武蔵鐙』下、二代葛飾北斎が徳川家康を描いた≪徳川家康束帯座像≫など、当時の歴史観に基づき、神話の時代から安土・桃山時代、そして北斎の生きた江戸時代の歴史的事象を描いた作品、弟子の描いた明治時代の錦絵までを展示。主に高校の日本史の授業で習う人物や事件が描かれた作品を紹介する。また、日本史で習う歴史用語や、北斎や弟子の作品に描かれているポイントを解説。いままでイメージしていた人物像と比べながら、歴史小説や物語などでも有名な歴史的場面を楽しむことができる。葛飾北斎≪浮絵一ノ谷合戦坂落之図≫すみだ北斎美術館蔵(作品を替えて通期で展示)葛飾北斎『画本武蔵鐙』下上杉輝虎入道兼信 武田晴信入道信玄すみだ北斎美術館蔵(通期)葛飾北斎≪畠山重忠≫すみだ北斎美術館蔵(後期)二代葛飾北斎≪徳川家康束帯座像≫すみだ北斎美術館蔵(前期)【開催概要】企画展『北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―』会期:2021年12月21日(火)~2022年2月27日(日)※前後期で一部展示替えあり(前期は1月23日まで、後期は1月25日から)休館日:月曜(1月3日、10日は開館)、12月29日(水)~1月1日(土)、 1月4日(火)、1月11日(火)時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)料金:一般1,000円、大高・65歳以上700円 、中学生300円●公式サイト:
2021年12月06日企画展「北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―」が、東京のすみだ北斎美術館にて2021年12月21日(火)から2022年2月27日(日)まで開催される。葛飾北斎や弟子たちが描く“日本の歴史”「北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―」展は、“日本の歴史”に着目し、葛飾北斎やその弟子が歴史上の人物・事件の様子を描いた作品を集めて展示する展覧会。高校日本史の授業で登場する人物や事件を主軸に、神話の時代から安土・桃山時代、そして北斎の生きた江戸時代に至るまでの歴史的事象を描いた北斎の作品や、弟子が手がけた明治時代の錦絵を紹介する。北斎やその弟子たちの視点を通して見た歴史的な場面を一挙に楽しめる展覧会だ。神話時代の神や“川中島の戦い”例えば、北斎の代表作の1つである版本『富嶽百景』最初のページに描かれた「コノハナノサクヤビメ」は、『日本書紀』や『古事記』に記された神話に登場する神。チリチリとした線で表現された衣服など、北斎の描く美人画の特徴が見てとれる。また、仏教伝来の場面を描いた『三国伝来記』をはじめとする、古墳・飛鳥時代に関する人物や出来事を描いた作品や、平家物語にも登場する「一の谷の戦い」を題材にした「浮絵一ノ谷合戦坂落之図」、川中島の戦いの名場面として伝わる上杉謙信と武田信玄の一騎打ちを描いた『画本武蔵鐙』など、象徴的な日本史のシーンを捉えた作品が揃う。本能寺の変&徳川家康を描く作品もさらに、北斎の弟子たちによる作品も目を引くラインナップ。織田信長が明智光秀に討ち入りされた「本能寺の変」をはじめ、様々な逸話を描いた二代柳川重信の『日本百将伝一夕話』や、同じく北斎の弟子であった二代葛飾北斎が徳川家康を描いた肉筆画「徳川家康束帯座像」も登場。尚、「徳川家康束帯座像」のように浮世絵師が江戸幕府の将軍を描いた作品は珍しい。作品を通して、同時代の幕府に対する人々の見方を窺い知ることができる。【詳細】北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―会期:2021年12月21日(火)~2022年2月27日(日) ※前後期で一部展示替えを予定前期 12月21日(火)~1月23日(日)/後期 1月25日(火)~2月27日(日)会場:すみだ北斎美術館住所:東京都墨田区亀沢2-7-2休館日:毎週月曜日、年末年始(12月29日~1月1日)※開館:1月3日(月)、1月10日(月・祝)/休館:1月4日(火)、1月11日(火)開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)観覧料:一般 1,000円、高校生・大学生 700円、65歳以上 700円、中学生 300円、障がい者 300円、小学生以下無料※当面の間、団体受付不可。※中学生・高校生・大学生(高専、専門学校、専修学校生含む)は生徒手帳または学生証を提示。※65歳以上は年齢を証明できるものを提示。※身体障がい者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳、被爆者健康手帳など持参者および、その付添1名まで障がい者料金で観覧可能。入館の際は、身体障がい者手帳などの提示が必要。※観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)をはじめ全ての展示を観覧可能。※会期・開館時間・観覧料・イベント・講演会の開催などは変更、中止の可能性あり。【問い合わせ先】TEL:03-6658-8936(9:30~17:30 ※休館日を除く)
2021年12月03日すみだ北斎美術館では2021年12月21日(火)から2022年2月27日(日)まで「北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―」展を開催いたします。北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―本展では日本の歴史に焦点をあて、葛飾北斎やその弟子などが歴史上の人物や事件を描いた作品を集めます。主に高等学校の日本史の授業で取り上げられる人物や事件を軸とし、当時の歴史観に基づき神話の時代から安土・桃山時代、そして北斎の生きた江戸時代の歴史的事象が描かれた作品、弟子の描いた明治時代の錦絵までを展示いたします。■本展の見どころ見どころ(1)北斎や弟子が描いた作品とともに、歴史小説や物語等でも有名な歴史的場面を楽しめます。見どころ(2)北斎や弟子が描いたイメージから、作品が描かれた江戸時代当時の歴史の見方をうかがい知ることができます。見どころ(3)高校日本史で習う歴史用語の解説や、北斎や弟子の作品に描かれているポイントも一部解説しています。■展覧会構成<神話の時代>、<古墳・飛鳥時代>、<奈良時代>、<平安時代>、<鎌倉時代>、<室町時代>、<安土・桃山時代>、<江戸時代>、<明治時代>■本展のハイライト【コノハナノサクヤビメ】『富嶽百景』の最初のページに描かれた神葛飾北斎『富嶽百景』初編 木花開耶姫命 すみだ北斎美術館『富嶽百景』は北斎の富士図を約100図収載した版本で、本図はその最初のページに描かれたコノハナノサクヤビメです。衣服をチリチリとした線で表現するなど、北斎の描く美人画の特徴がみられます。コノハナノサクヤビメは『日本書紀』や『古事記』に登場する神で、富士山麓にある浅間神社の御神体としてまつられています。『古事記』や『日本書紀』などに記される神話は、江戸時代には日本の歴史の起源として考えられていました。<神話の時代>では、アマテラス、スサノオノミコトなど、神話に登場する神々などを紹介します。【仏教伝来】北斎が描いた仏教伝来の歴史的場面葛飾北斎『三国伝来記』第一図 すみだ北斎美術館『三国伝来記』は善光寺(長野県)本尊の由来記の挿絵を北斎が描いたものです。本尊は百済(くだら)の聖明王(せいめいおう)から伝えられた仏像としています。本図は御簾の奥の欽明(きんめい)天皇へ、二人の百済の僧が鳳輦(ほうれん)を捧げている場面です。本尊の仏像は描かれていませんが、鳳輦の中にあると考えられます。日本史の教科書で習う「仏教伝来」は、公式には百済の聖明王が欽明天皇に仏像や経典を伝えたといわれていることから、本図はまさに日本に仏教が伝わった歴史的場面といえます。<古墳・飛鳥時代>仏教伝来や、聖徳太子、大化の改新など、古墳・飛鳥時代(3世紀中頃~645年頃)に関する人物や出来事が描かれた作品を展示します。【畠山重忠】一の谷の戦いで、馬を担いで断崖を降りたと伝わる大力・剛勇の鎌倉武士葛飾北斎「畠山重忠」すみだ北斎美術館本図は軍記物語『源平盛衰記』に記された話に基づいて描かれたものと考えられます。畠山重忠(1164~1205)は、平安・鎌倉時代初期の武士です。当初平氏軍でしたが、後に源頼朝に従い、源義仲追討などで活躍しました。北条義時と畠山重忠が登場する版本『星月夜顕晦録』も通期で展示します。<鎌倉時代>では、源平の合戦も含め、執権となる北条氏などの人物、武家の争いによる社会不安の中で生まれた鎌倉仏教の開祖など、鎌倉幕府の時代(12世紀末~1333年)を描いた作品を紹介します。【上杉謙信と武田信玄】北斎が描いた戦国大名の一騎打ち葛飾北斎『画本武蔵鐙』下 上杉輝虎入道兼信 武田晴信入道信玄 すみだ北斎美術館本図には、川中島の戦いの名場面として伝わる、上杉謙信と武田信玄の一騎打ちが描かれています。軍学書『甲陽軍鑑』には、“混戦のなか、白手ぬぐいで頭を包んだ武者が馬に乗って刀を抜き、突進して切りつけてきたので、信玄は立って軍配で受けた”と記されています。本図も、騎乗で切りつける上杉謙信と、刀を軍配で受ける構図など、この記述に近い描き方がされています。<安土・桃山時代>では、戦国大名を描いた作品を中心に集めて紹介します。【徳川家康】浮世絵師が江戸幕府将軍を描いた珍しい作品二代葛飾北斎「徳川家康束帯座像」すみだ北斎美術館北斎の弟子・二代葛飾北斎が徳川家康を描いた肉筆画です。浮世絵師が江戸幕府の将軍を描いた作品は珍しく、「恐惶頓首百拝 北斎拝写」の落款からは、敬意をもって描いたことがわかり、当時の人々の幕府への見方を示しています。<江戸時代>では、現在からみると歴史的事象である朝鮮通信使など、北斎が実際に見たと思われる事柄も登場します。担当学芸員のコメント:「このほか、紫式部や源頼朝、楠木正成など、どこかで名前を聞いたことがある、“あの人”も作品に登場します。今までイメージしていた人物像と比べて、北斎を身近に感じていただけると幸いです。」■開催概要・展覧会名 : 北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―・会期 : 2021年12月21日(火)~2022年2月27日(日)※前後期で一部展示替えあり前期 : 2021年12月21日(火)~2022年1月23日(日)後期 : 2022年1月25日(火)~2月27日(日)・休館日 : 毎週月曜日、年末年始(12月29日~1月1日)※開館:1月2日(日)、1月3日(月)、1月10日(月・祝)、休館:1月4日(火)、1月11日(火)・開館時間 : 9:30~17:30(入館は17:00まで)・主催 : 墨田区・すみだ北斎美術館・お問い合わせ: 03-6658-8936(9:30~17:30 ※休館日を除く)・公式サイト : ・観覧料 : 一般 1,000円高校生・大学生 700円65歳以上 700円中学生 300円障がい者 300円小学生以下 無料●AURORA(常設展示室)、常設展プラス観覧料含む●団体でのご来館は、当面の間、受付を行いません 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年11月26日すみだ北斎美術館は、2021年11月22日に開館5周年を迎えます。2016年11月22日に開館したすみだ北斎美術館(墨田区亀沢)は、浮世絵師・葛飾北斎(1760~1849)が生まれ、生涯のほとんどを過ごしたゆかりの地に位置しています。開館以来、展覧会事業や教育普及事業を通して北斎の生涯や作品を発信してきました。北斎の生涯と代表作を常設の展示において紹介するとともに、北斎及び門人の作品を中心に、その魅力を深掘りするテーマや、現代アーティストと北斎作品のコラボレーションをテーマにした展覧会を開催しました。総入館者数は10月31日時点で850,305人、85万人に到達しました。これからも美術館の活動を通して、すみだと北斎作品の魅力を多角的に発信していきます。開館記念展「北斎の帰還」展(2016年)、「THE北斎」展(2021年)■開館5周年を記念した企画を実施します。【開館5周年記念イベント情報】※詳細は開館5周年記念特設サイトにてお知らせします。<墨田区民感謝デー> 11月21日(日)11月21日(日)を開館5周年を記念した墨田区民感謝デーとし、墨田区在住、在勤、在学の方の観覧料を無料といたします。新型コロナウイルス感染予防・拡大防止のため、混雑の際は入館制限を行います。無料となる企画展:「学者の愛したコレクション ―ピーター・モースと楢崎宗重―」 ※AURORA(常設展示室)含む※免許証、保険証、学生証、社員証、身体障がい者手帳などのご提示をお願いいたします。※一般の方は通常どおりご入館いただけます。<開館5周年記念期間> 11月21日(日)から11月28日(日)まで ※11月22日(月)は休館・「チラシで振り返る すみだ北斎美術館の企画展2016-2021」これまでの企画展を、各展覧会のメインビジュアルで振り返る動画を作りました。オンラインでご覧いただけるほか、館内でも上映します。・すみだ北斎美術館の「冨嶽三十六景」解説動画を館内上映当館所蔵「冨嶽三十六景」について、高精細カメラによる約5分の映像とともに学芸員が解説。オンラインでも公開します。(4K対応、制作:NHKエンタープライズ)・すみだ北斎美術館1/100スケール立体模型が登場建築家・妹島和世氏の設計による、すみだ北斎美術館全景の1/100スケール模型を展示します。・ご来館の方へ、「冨嶽三十六景」のリーフレットを数量限定プレゼント対象:当日観覧券をご購入の方。年間パスポートまたは招待券をお持ちの方。1名につき1冊プレゼントいたします。(配布数に限りがあります。)※11/21の墨田区民感謝デーで無料でご観覧の方も対象すみだ北斎美術館開館5周年特設サイトすみだ北斎美術館 開館5周年記念特設サイト 新型コロナウイルス感染予防・拡大防止のため、会期・開館時間・観覧料・イベント・講演会の開催など変更、中止の可能性がございます。最新の状況は、すみだ北斎美術館公式ホームページにて最新情報をご確認ください。【「開館5周年記念 オリジナル手ぬぐい」を発売】当館所蔵の『北斎漫画』三編より雀踊りと、北斎がデザインした小紋を集めた『新形小紋帳』の、2種類のデザインで制作しています。1階ミュージアムショップにて11月21日(日)発売予定。※画像はイメージです。発売時には色味や絵柄が変更になる場合があります。開館5周年記念 オリジナル手ぬぐい■すみだ北斎美術館について【コレクション】すみだ北斎美術館は、ピーター・モースコレクション、楢崎宗重コレクション、墨田区が収集したコレクションの3つのコレクションを有し、北斎や門人の作品を中心に、約1900点(2021年4月時点)の作品を所蔵しています。【美術館建築】美術館の建物は、建築家・妹島和世氏により「街に開き、地域住民の方々に親しまれる美術館」をコンセプトに設計されました。空模様や周辺の風景が淡く映り込む外壁は、鏡面アルミパネルを使用しており、街に溶け込んでいます。また、どこからでもアクセスできる構造が人々に開かれた美術館を表現しており、隣接する公園と一体となったデザインです。すみだ北斎美術館 施設写真(建築)【AURORA(常設展示室)】AURORA(常設展示室)は、すみだと北斎のつながりにはじまり、北斎の画業を、代表作の実物大高精細レプリカやタッチパネルを活用した展示で紹介しています。常設の展示は、一部の展示を除き写真撮影が可能です。多言語(英語、繁体中国語、簡体中国語、韓国語、日本語)の解説に対応しているタッチパネルのほか、コマ送りの『北斎漫画』や一筆書きに挑戦できるゲーム、「北斎アトリエ」再現模型などがあり、楽しみながら北斎について知ることができます。<AURORA(常設展示室)「1章 すみだと北斎」より「須佐之男命厄神退治之図」(推定復元図)>かつて牛嶋神社(墨田区向島)に奉納され、関東大震災で焼失した北斎肉筆画の大絵馬「須佐之男命厄神退治之図」の推定復元図は、すみだと北斎のかかわりを表わす重要な展示です。すみだ北斎美術館 施設写真 AURORA(常設展示室)【企画展】コレクションは、3階、4階の企画展示室で開催する企画展にて、テーマに合わせて展示しています。これまでにすみだ北斎美術館の代表作品を特集したテーマのほか、「北斎の橋 すみだの橋」、「北斎師弟対決!」など北斎研究に特化した学芸員による、北斎や門人の魅力を深掘りするテーマの企画展も行いました。【次回の企画展】北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―会期2021年12月21日(火)~2022年2月27日(日) 本展では日本の歴史に焦点をあて、葛飾北斎やその弟子などが歴史上の人物や事件を描いた作品を集めます。紫式部や武田信玄など、どこかで名前をきいたことがある、あの人も登場しますので、今までイメージしていた人物像と比べながら、北斎を身近に感じていただけると幸いです。企画展「北斎で日本史」【2022年度企画展予定】「北斎花らんまん」 2022年3月15日~5月22日予定「鬼 北斎その表現に迫る(仮)」 2022年6月21日~8月28日予定「江戸の本に親しむ(仮)」 2022年9月21日~11月27日予定「百人一首の世界(仮)」 2022年12月13日~令和5年2月26日予定新型コロナウイルス感染予防・拡大防止のため、会期・開館時間・観覧料・イベント・講演会の開催など変更、中止の可能性がございます。最新の状況は、すみだ北斎美術館公式ホームページにて最新情報をご確認ください。※「楢崎宗重」の名前について、機種依存文字に該当するため通常の「崎」で代用しておりますが、「立崎」が正式です。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年11月04日すみだ北斎美術館では2021年10月12日(火)から12月5日(日)まで「学者の愛したコレクション ―ピーター・モースと楢崎宗重―」展を開催いたします。※「楢崎宗重」の名前について、機種依存文字に該当するため通常の「崎」で代用しておりますが、「立崎」が正式です。「学者の愛したコレクション ―ピーター・モースと楢崎宗重―」当館では、北斎の研究者であり、世界有数の北斎作品コレクターであったピーター・モース氏と、葛飾派作品以外にも貴重で多種多様な資料を収集した浮世絵研究の第一人者・楢崎宗重氏の二大コレクションを有しています。本展ではピーター・モースコレクションより江戸時代の風俗・流行が窺える作品、楢崎宗重コレクションより江戸から昭和期にかけて特に人気や評価が高かったとされる絵師・画家の作品を厳選し、約140点を展観します。希少な北斎作品や、高名な絵師・画家たちによる貴重な作品の数々を展示し、両氏が生涯をかけて収集、研究した珠玉の名品に対するこだわりと研究業績を紹介します。第1章 ピーター・モースコレクションピーター・モース(1935-93)氏は、北斎の「諸国瀧廻り」シリーズに関する論文を執筆、「百人一首乳母かゑとき」(ひゃくにんいっしゅうばがえとき)シリーズに関する単著『Hokusai:One Hundred Poets』を刊行し、また、北斎のカタログレゾネ(全作品目録)の作成を試みるなど、北斎の研究者であり、北斎作品の収集家でした。北斎作品や研究資料など総数約600点に及ぶピーター・モースコレクションは、欧米における北斎の個人収集としては最高・最大の内容といわれており、研究者の眼で収集された希少価値の高い作品が多く含まれていることが特徴です。本章ではピーター・モースコレクションから95点の作品を展示します。◆ピーター・モース氏が最も愛したシリーズ作品から「新板浮絵三囲牛御前両社之図(しんぱんうきえみめぐりうしごぜりょうしゃのず)」葛飾北斎「新板浮絵三囲牛御前両社之図」すみだ北斎美術館蔵(後期)江戸の名所が描かれた本浮世絵版画シリーズは、赤いすやり霞が印象的な作品で、現在13図が確認されています。ピーター・モースコレクションでは12図が収集され、保存状態が極めて良く、ピーター・モース氏が最も大切にした作品群と伝わります。「新板浮絵三囲牛御前両社之図」は、画面の左側に牛御前(現:牛嶋神社・墨田区向島)、右側に三囲稲荷(現:三囲神社・同)が配され、それぞれ参詣に向かう人々の賑わいが細かな風俗描写とともに表されています。◆鮮明な空摺(からずり)が白眉 ピーター・モースコレクションの「冨嶽三十六景 武州玉川」葛飾北斎「冨嶽三十六景 武州玉川」すみだ北斎美術館蔵(前期)「冨嶽三十六景 武州玉川」は、川面の波に凹凸だけで表す空摺(からずり)が使われた作品です。空摺は後摺(あとずり)では省略されることの多い手の混んだ技法です。現存する同じ構図の作品は、版木の摩耗により空摺がはっきりとしないものや、波形を藍色の線で摺った後摺が多いことから、空摺が鮮明に見える本図は、初摺か初摺に極めて近い稀少性の高い逸品といえます。◆ピーター・モース氏が単著にまとめたシリーズ作品「百人一首乳母かゑとき」より「猿丸太夫」葛飾北斎「百人一首乳母かゑとき 猿丸太夫」すみだ北斎美術館蔵(前期)「百人一首乳母かゑとき」は、北斎の大判錦絵(*1)のシリーズの中で最後に制作されたものにあたり、現在27図が確認されています。それまでの北斎の大判錦絵シリーズと比較すると、色数が多いことや細部にわたって凝らされた表現が特徴です。本図は百人一首のうち猿丸太夫(さるまるだゆう)の「奥山に紅葉ふみわけ啼(な)く鹿の 声きく時ぞ秋はかなしき」の絵解きとして描かれています。画面全体では秋の夕暮れの風景が描かれ、手前を横切る女性が指さす先(左上の丘の上)に、鹿がシルエットで表現されています。ピーター・モース氏はこうした構図の工夫などから、著書『Hokusai:One Hundred Poets』で「この作品は多くの点から見てまったく完璧な絵である。」と評しています。(*1) 大判錦絵約39cm×26~27cmの錦絵(浮世絵の多色刷り木版画)のこと。大判は天明年間(1781-89)以降に標準サイズになった判型で、北斎の錦絵では「冨嶽三十六景」、「諸国瀧廻り」、「諸国名橋奇覧」や「百人一首乳母かゑとき」が大判錦絵で制作されました。第2章 楢崎宗重コレクション楢崎宗重(1904-2001)氏は、昭和から平成にかけて活動した美術史家です。戦前より浮世絵雑誌の発行に携わり、国際浮世絵学会の前身である日本浮世絵協会(第二次・第三次)を設立し、会長などをつとめました。また、戦後間もない時期に『北斎論』を刊行し北斎研究の分野でも活躍し続け、浮世絵を美術史の中で学問的に位置づけることに尽力しました。これらの研究活動の中で収集された楢崎コレクションは、美術史研究上、貴重な美術資料・歴史資料を含んでおり、すみだ北斎美術館では約480点を所蔵しています。本章では、楢崎コレクション作品の中から北斎をはじめ様々な絵師、時代、形態のものを、一部楢崎氏が著した作品解説とともに紹介します。◆北斎の画法を受け継いだ葛飾派の絵師の作品 蹄斎北馬「夕立図」蹄斎北馬「夕立図」すみだ北斎美術館蔵(前期)蹄斎北馬(ていさいほくば)は、北斎の門人の中でも優れた浮世絵師として知られ、北斎の画法を継承しながら独自の画風を確立、文政年間(1818-30)からは肉筆画に注力し、美人画を多くのこした浮世絵師です。楢崎宗重コレクションの本作は、縦54.3cm、横86.0cmの大きな画面に、夕立に見舞われる峠の茶屋の様子が描かれた肉筆画です。茶屋でくつろぐ人や、商いをする人々、雨宿りする人など様々な人物の様子が詳細に描き込まれており、風俗描写に秀でた北馬の特徴をよく表す作品です。◆蘆雪がこだわった犬の毛の質感 長沢蘆雪「洋風母子犬図」長沢蘆雪「洋風母子犬図」すみだ北斎美術館蔵(後期)長沢蘆雪(ながさわろせつ)は、円山応挙に学んだ江戸時代中期の画家です。母犬と乳を飲む子犬が描かれた本作は、毛並みの1本1本がわかるほど描きこまれていることから、熱心な写生や質感の追及がうかがえます。胡粉をはじめ日本の伝統的な画材が使われていますが、顔料を厚く塗るなど西洋の油彩画を強く意識して描かれた作品です。◆楢崎氏と直接交流があった版画家・川瀬巴水の作品川瀬巴水「雪の寺」すみだ北斎美術館蔵(前期)川瀬巴水(かわせはすい)は、大正から昭和時代に活動した版画家です。巴水の生前から交流があった楢崎氏は、巴水に取材を重ねて論考を発表するなど、早くから巴水の版画芸術の評価を試みました。楢崎コレクションの「雪の寺」は、小品(17.8cm×12.9cm)ながらも、「旅情詩人」とも称される巴水の作風をよく表しています。◆開催概要展覧会名 : 学者の愛したコレクション ―ピーター・モースと楢崎宗重―会期 : 2021年10月12日(火)~12月5日(日)※前後期で一部展示替えあり前期|2021年10月12日(火)~11月7日(日)後期|2021年11月9日(火)~12月5日(日)休館日 : 毎週月曜日開館時間 : 9:30~17:30(入館は17:00まで)主催 : 墨田区・すみだ北斎美術館お問い合わせ: 03-6658-8936(9:30~17:30 ※休館日を除く)公式サイト : ●新型コロナウイルス感染予防・拡大防止のため、会期・開館時間・観覧料・イベント・講演会の開催など変更、中止の可能性がございます。●最新の状況は、すみだ北斎美術館公式ホームページにて最新情報をご確認ください。◆企画展観覧料 ※AURORA(常設展示室)観覧料含む<個人>一般 :1,000円高校生、大学生:700円65歳以上 :700円中学生 :300円障がい者 :300円小学生以下 :無料●本展のチケットは、会期中観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)をはじめ全ての展示をご覧になれます。●団体でのご来館は、当面の間、受付を行いません。◆すみだ北斎美術館 美術館概要美術館名 : すみだ北斎美術館(英|The Sumida Hokusai Museum)開館時間 : 9:30~17:30(入館は17:00まで)休館日 : 毎週月曜日(月曜が祝日または振替休日の場合はその翌平日)、年末年始(12月29日~1月1日)所在地 : 〒130-0014 東京都墨田区亀沢2-7-2お問い合わせ: 03-6658-8936(9:30~17:30 ※休館日を除く)公式サイト : Twitter : Facebook : YouTube : アクセス : 都営地下鉄大江戸線「両国駅」A3出口より徒歩5分JR総武線「両国駅」東口より徒歩9分JR総武線「錦糸町駅」北口より墨田区内循環バスで5分 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年09月16日江戸時代より世界にその名を轟かせ、現在も人気の高い絵師・葛飾北斎。彼の生誕260年を記念し、東京ミッドタウン・ホールにて特別展『北斎づくし』が9月17日(金)まで開催されている。代表作である《北斎漫画》や《冨嶽三十六景》、《富嶽百景》は全ページ、全点、全図展示されるという画期的な展覧会だ。江戸後期に活躍した絵師、葛飾北斎(1760〜1849)。平均寿命約40歳の江戸時代で90歳まで生き、名前を約30回変え、約90回以上引っ越したという、すべてが過剰な人生を送ったことでも知られている。本展はそんな北斎の代表作である《北斎漫画》、《冨嶽三十六景》、『富嶽百景』を全ページ、全点、通期で展示するという、画期的なものだ。展示風景より。《北斎漫画》のすべてのページを読むことができる。最初の空間で展示されるのは《北斎漫画》。入って驚くのは、空間の広さと開放感、そしておびただしい展示の量。約500冊をならべ《北斎漫画》初編~15編、全883頁をひとつの空間にまとめて展示しているのだ。通常の展覧会で《北斎漫画》を展示する場合、1冊の《北斎漫画》を見開きで2ページ展示するのが基本なので、ここまで大量の展示は非常にまれなこと。この展示が実現したのは、1500冊以上の《北斎漫画》を所有する浦上蒼穹堂代表・浦上満の全面協力によるもの。また、濃密な北斎の世界に耽溺できるよう設計された、世界的に活躍する建築家・田根剛による斬新な展示空間も見どころのひとつだ。《北斎漫画》に描かれたユーモラスなふりつけ「踊独稽古」《北斎漫画》北斎による風神雷神《北斎漫画》北斎が描く可憐な植物ユーモラスな人物描写から、迫力ある神々、繊細な植物など《北斎漫画》にはありとあらゆるものが描かれ、日本はもちろん世界でも大人気となっていたのだ。濃密な《北斎漫画》の展示室を抜けると、《冨嶽三十六景》の全46点を一気に展示。《冨嶽三十六景》はその名の通り当初は三十六点のシリーズものだった。しかし、当時から非常に人気が高く、追加で10点が追加され46点となっている。明るい《北斎漫画》の世界から、色調、空間ともに落ち着いており空間のメリハリも興味深い。葛飾北斎《冨嶽三十六景》シリーズがずらり展示風景より《冨嶽三十六景》展示風景より《冨嶽三十六景》北斎は浮世絵だけでなく、江戸時代の市民たちに流行したエンターテイメント小説「読本」の挿絵も手掛けていた。読本のセクションでは曲亭馬琴とタッグを組んだ『椿説弓張月』や『新編水滸画伝』を展示。北斎の力強く躍動的な表現は、現代の漫画にも通じるものを感じさせる。展示風景より。読本のセクション《椿説弓張月》より突然の爆発シーン《新編水滸画伝》より水軍頭領の張順の活躍シーン《富嶽百景》は《冨嶽三十六景》の制作直後より刊行された、富士を主題とした版本。こちらも全ページを公開している。《富嶽百景》より《富嶽百景》より奥付奥付の名は「画狂老人卍」。頻繁に名前を変えていた北斎の画号の一つ。本展は全ページを公開しているため、巻末の奥付なども鑑賞することができる。頻繁に変わる北斎の画号や、版元の名前、版元のあった江戸の住所なども読み込むと、よりいっそう楽しめるはずだ。「超没入シアター」そして、北斎作品の高精細アーカイブデータをあますことなく活用した「超没入シアター」では、北斎の世界から飛び出してきた登場人物たちがダイナミックに、ときにはコミカルに動き回る。圧倒的な量で鑑賞者の心を掴む、その名に違わず「北斎づくし」の展覧会。北斎の描き込みをしっかりと見て行くと、あっという間に数時間経ってしまうので、時間に余裕をもって鑑賞しよう。この夏、忘れられない展覧会になるはずだ。取材・文:浦島茂世【開催概要】『生誕260年記念企画 特別展「北斎づくし」』7月22日(木・祝)~9月17日(金)、東京ミッドタウン・ホールにて開催
2021年08月12日劇団EXILEの町田啓太が21日、東京ミッドタウン・ホールにて行われた生誕260年記念企画 特別展「北斎づくし」(7月22日〜9月17日)アンバサダー取材会に登場した。同展は葛飾北斎の生誕260年を記念して開催されるもので、北斎の代表作である『北斎漫画』、「冨嶽三十六景」『富嶽百景』の全ページ・全点・全図が一同に会する。町田はアンバサダーを務め、音声ガイドにも登場した。"北斎ブルー"のスーツで表れた町田は「着飾ってきました」と照れた様子。北斎については「富士山と波だったり、北斎ブルーのイメージがあったんですけど、展示を見ると、そこに一緒に描かれている人物達が魅力的。絵の中では富士山を見ている人々だったりが描かれているんですけど、同じような気持ちになりながら見れる美術展だなと思いながら見させていただきました」と感想を述べた。音声ガイドには初挑戦となったが、自身も美術展などで聞くことは「けっこう好き」と明かし、「いつか挑戦させてもらいたいなと思っていたら、こんな素敵な北斎展で初挑戦。お話聞いたときに心躍って、『ぜひやらせてください』と言いました」と快諾したという。「通常だと感情を入れたりはないんじゃないかなと思うんですけど、要所要所に少しだけ、北斎さんの絵にある遊び心と同じような感覚で、セリフ調のところもある」とポイントを説明した。好きな展示について聞かれると「『富嶽百景』だったかな、波が鳥に変わってる作品があるんです」と紹介したが、実は町田の背後にあったのが、まさにその絵。町田は「これ、狙ってなかったです、本当に!」と驚き、「ぱっと見全くわからなかったんですけど、すごいなあと思って。よく見たら『え、鳥!?』しかも本当に一羽一羽表情がある」と絶賛。北斎について「ずっと向上心を持ってやられていた。僕も生涯できるかと考えると、やりたいけどできるか……!? と考えてしまう。だからこそ多くの人の心に残る作品ばかりなんだなと思いました」と感心していた。
2021年07月21日デジタルアート展「巨大映像で迫る五大絵師 −北斎・広重・宗達・光琳・若冲の世界−」が、東京の大手町三井ホールにて2021年7月16日(金)から9月9日(木)まで開催される。浮世絵や金屏風などをデジタル化、巨大映像に「巨大映像で迫る五大絵師 −北斎・広重・宗達・光琳・若冲の世界−」は、浮世絵・金屏風・金襖絵といった日本美術の傑作を巨大映像で楽しめる新感覚のデジタルアート展。本物の作品を見るのとはまた異なる感覚で、美術鑑賞を楽しめる。和紙の繊維や金箔まで緻密に再現浮世絵を3Dデータとして組み上げ、20億画素で超高精細にデジタルリマスター化することで、葛飾北斎や歌川広重といった絵師たちが表現した微細な凹凸などの技巧はもちろん、和紙の0.05mm程度の繊維の質感までも立体的に復元している。金屏風や金襖絵の金箔、切箔、金砂子、金泥といった素材や表現の緻密な違いも、最新デジタル撮影技術と多分割データ画像処理技術によって再現。圧巻のスケールを誇る3面ワイド45mスクリーンと音楽の演出によって、作品のダイナミックな魅力と繊細なディテールの両方を一度に楽しめる。葛飾北斎、歌川広重、俵屋宗達、尾形光琳、伊藤若冲の作品が登場巨大映像となって登場するのは、葛飾北斎の「冨嶽三十六景」や歌川広重の「東海道五拾三次」をはじめ、俵屋宗達と尾形光琳が描いた2つの「風神雷神図屏風」、伊藤若冲の代表作「仙人掌群鶏図」、俵屋宗達の国宝「源氏物語関屋澪標図屏風」など全42作品。上映作品が日ごとに入れ替わる、ダブルプログラムで上映される。さらに、超高精細デジタル画像によるDigital北斎×広重コーナーでは、「冨嶽三十六景」と「東海道五拾三次」からベストセレクションの58作品を12台の大型モニターで紹介する。【詳細】巨大映像で迫る五大絵師 −北斎・広重・宗達・光琳・若冲の世界−会期:2021年7月16日(金)~9月9日(木)開館時間:10:30~19:30 ※入館は閉館の60分前まで会場:大手町三井ホール住所:東京都千代田区大手町1-2-1 Otemachi One 3F観覧料:一般 2,000円 / 大学生・専門学生 1,500円 / 中学生・高校生 当日1,000円※満70歳以上、小学生以下、障がい者の方(添付者原則1名まで)は入場無料※学生は学生証または生徒手帳、70歳以上及び小学生以下は年齢証明ができるもの、障がい者の方は障がい者手帳を来場時に提示。■チケット〈前売チケット〉・「期間中有効平日フリー入場券」有効期間:2021年7月19日(月)~9月8日(水)の平日・「土日祝及び開幕日(7/16)/最終日(9/9)日付指定券」有効期間:2021年7月17日(土)~9月5日(日)の土曜・日曜・祝日、および7月16日(金)・ 9月9日(木)※会期前・会期中に限らず、各日付は完売次第、販売終了※本展はダブルプログラムのため、購入の際は公式ウェブサイトにて希望日の上映作品の確認を推奨。前売チケット販売場所:ローソンチケット(Lコード:30303、ローソン店頭/ミニストップ店頭の店内Loppi)、チケットぴあ(Pコード:[期間内有効] 993−198、[日付指定券] 646−456、セブン-イレブン店頭、ファミリーマート ※ファミリーマートは店頭支払・引取のみ可能)、イープラス(ファミリーマート店内Famiポートでも直接購入可能)〈当日チケット購入〉当日チケット販売時間:10:30~18:15 ※定員枚数に達した段階で販売終了販売場所:会場窓口※定員に空きがある場合のみ、当日チケットを販売。当日の空き状況は公式サイトにて確認。【問い合わせ先】『巨大映像で迫る五大絵師』事務局TEL:03-5520-1914(平日10:00~17:00)
2021年07月17日機能性と遊び心あふれるデザインを兼ね備えた猫グッズを展開している『フェリシモ猫部』から、葛飾北斎の名画をモチーフにした新グッズが登場しました!新たに発売されたのは、葛飾北斎『富嶽三十六景』の『神奈川沖浪裏』をモチーフにした、猫用つめとぎ。その名も『名画をたしなむ猫のつめとぎ〈葛飾北斎 神奈川沖浪裏〉』は、ダイナミックに描かれた波の絶妙なカーブ部分が、猫のつめとぎになっています!また、波の盛り上がった部分は、猫のあごにフィットするサイズで、つめとぎだけでなく、くつろぎベッドにも使える設計。愛猫がつめとぎにのれば、アーティスティックな写真が撮れること間違いなしです!サイズは、縦約403、横約593。つめとぎ台の部分は、猫がゆったり寝転べる幅をもたせ、背景部分も積層ダンボール製で、しっかり厚みと硬さがあるため、スリスリと体をこすりつけるのにも最適です。和風な猫はもちろん、いろいろな毛色の猫にマッチする『名画をたしなむ猫のつめとぎ〈葛飾北斎 神奈川沖浪裏〉』は、1セット9千円(税別)。フェリシモ猫部のオンラインショップで発売中で、販売価格の一部は飼い主のいない動物の保護と里親探し活動、野良猫の過剰繁殖防止活動、災害時の動物保護活動などに活用されます。愛猫をのせて、あなただけのアートな1枚を撮影してみてはいかがですか。[文・構成/grape編集部]
2021年06月30日グラニフ(graniph)から、葛飾北斎・すみだ北斎美術館とコラボレーションしたTシャツが登場。2021年6月25日(金)より、グラニフ一部国内店舗などで販売される。「冨嶽三十六景」「諸国瀧廻り」を配したコラボTシャツ葛飾北斎は、江戸時代後期に活躍した日本を代表する浮世絵師。浮世絵に風景画のジャンルを確立させたほか、読本挿絵の芸術性を高めるなど、いくつもの功績を残した。グラニフとのコラボレーションTシャツには、すみだ北斎美術館に所蔵されている作品「冨嶽三十六景」と「諸国瀧廻り」シリーズから3作品のグラフィックを採用。「冨嶽三十六景神奈川沖浪裏」は、巨大な浪が水飛沫をあげながら力強く立ち上がる様子を描いた作品。大自然の猛威に翻弄される人間と、超然とたたずむ富士山を、対照的に表現している。世界的にも「Great Wave」の名で親しまれている、葛飾北斎を象徴する浮世絵だ。「冨嶽三十六景凱風快晴」は、「赤富士」と呼ばれる現象を描いたもの。夏から秋にかけての早朝、富士山が朝日を浴びて山肌を赤く染めるわずかな瞬間を巧みに表現している。「諸国瀧廻り」シリーズの中でも珍しい表現手法を取り入れている作品が、「諸国瀧廻り木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧」。上部の丸く描かれた滝口は真上から捉え、滝の流れは正面から捉えたとされている。二か所の描き方の違いに着目して、鑑賞を楽しみたい。なお、上記3作品は、7月20日(火)から開催されるすみだ北斎美術館の展覧会「THE北斎 ―冨嶽三十六景と幻の絵巻―」で展示される。【詳細】グラニフ 葛飾北斎(すみだ北斎美術館)コラボレーションTシャツ発売日:2021年6月25日(金)販売店舗:グラニフ一部国内店舗、グラニフ公式オンラインストア価格:Tシャツ 全3種類 2,750円サイズ:SS/S/M/Lアイテム:・冨嶽三十六景神奈川沖浪裏・冨嶽三十六景凱風快晴・諸国瀧廻り木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧※販売店舗により入荷状況・販売開始時間が異なる。※グラニフ国内店舗では、一度の会計でTシャツを2点以上の購入、またはTシャツと1,078円のアイテムとの買い合せでお得になるセットプライスサービスを実施。(一部商品対象外)※グラニフ公式オンラインストアではセットプライスサービス適用後の価格。
2021年06月28日展覧会「THE 北斎―冨嶽三十六景と幻の絵巻―」が、すみだ北斎美術館にて2021年7月20日(火)から9月26日(日)まで開催される。「冨嶽三十六景」など人気の北斎作品約100点「THE 北斎―冨嶽三十六景と幻の絵巻―」は、葛飾北斎の圧倒的な筆力と発想力を堪能できる展覧会。すみだ北斎美術館が所蔵する二大名品「冨嶽三十六景」シリーズと、すみだ北斎美術館開館記念展で“約100年ぶりの再発見”として話題となった絵巻「隅田川両岸景色図巻」を中心に、人気の高い北斎作品約100点を一挙に紹介する。三大錦絵を網羅、「冨嶽三十六景」バージョン違いの比較展示など会場には、葛飾北斎を代表する三大錦絵シリーズ「冨嶽三十六景」全46図、「諸国瀧廻り」全8図、「諸国名橋奇覧」全11図を前期・後期にわけて全て展示する。各シリーズの全貌を楽しめるとともに、1つの主題を多様に描き分けた葛飾北斎の表現力の幅広さを目の当たりにできる。各地から見える富士山の風景を描く「冨嶽三十六景」は、最高傑作としても名高い作品。中でも人気の高い図柄は、摺りの状態が異なるものや変わり図も制作されている。今回は、初めて「冨嶽三十六景 山下白雨」のバージョン違いを並べて展示。初摺に近い作品や、山裾に松林が加えられた変わり図などを比較しながら鑑賞することができる。加えて、日本各地の滝を描いた「諸国瀧廻り」や「諸国名橋奇覧」も登場。「諸国名橋奇覧」では、場所もわからない橋や北斎がいた当時には失われていた橋なども含まれており、想像上の吊り橋を、人物が絶妙なバランスで通行する様子などが描かれている。浮世絵版画の版木を使った火鉢を初公開また、錦絵「桜に鷹」をはじめとする浮世絵版画の版木4種を使用した火鉢を初公開。版画の輪郭線を彫った版木は材質が良く、絵柄の美しいデザイン性から火鉢に再利用されたと考えられている。北斎の一枚摺りの錦絵の版木自体が珍しく、貴重な資料を間近に見られるチャンスとなっている。全長7メートルの肉筆絵巻さらに、“幻の絵巻”として話題を呼んだ、全長約7メートルに及ぶ北斎肉筆の巻物「隅田川両岸景色図巻」も5年ぶりに展示。両国橋付近から新吉原へ向かう隅田川両岸の風景と、新吉原における遊興の様子を描いた北斎の肉筆画に、画中の名所を読み込んだ注文主・烏亭焉馬による横幅76.1cmの狂文があしらわれている。「隅田川両岸景色図巻」は前期・後期で巻替えを行い、通期で展示。江戸時代から観光スポットとして知られる隅田川周辺の景色を、現在の風景と比べながら鑑賞するのも楽しそうだ。グラニフ コラボTシャツも尚、すみだ北斎美術館とグラニフ(graniph)のコラボレーションTシャツが2021年6月25日(金)より全国グラニフ店舗にて発売。展覧会にも登場する「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」「冨嶽三十六景 凱風快晴」「諸国瀧廻り 木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧」といった作品をモチーフにしたTシャツが揃う。すみだ北斎美術館では販売されないものの、近隣のグラニフ店舗では発売されるので合わせてチェックしてみて。【詳細】THE 北斎―冨嶽三十六景と幻の絵巻―会期:2021年7月20日(火)~9月26日(日) ※前後期で一部展示替えあり・前期 7月20日(火)~8月22日(日)・後期 8月24日(火)~9月26日(日)場所:すみだ北斎美術館住所:東京都墨田区亀沢2-7-2問い合わせ先TEL:03-6658-8936(9:30~17:30 ※休館日を除く)休館日:毎週月曜日※8月9日(月・振替休日)、9月20日(月・祝)は開館。※8月10日(火)、9月21日(火)は休館。開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)観覧料:一般 1,200円、高校生・大学生 900円、65歳以上 900円、中学生 400円、障がい者 400円、小学生以下 無料※団体での来館は、当面の間、受付なし。※本展のチケットは、会期中観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)も観覧可能。※会期・開館時間・観覧料・イベント・講演会の開催など変更、中止の可能性あり。最新情報は、美術館公式ホームページにて確認。■グラニフ コラボレーションTシャツ発売日:2021年6月25日(金)展開店舗:全国グラニフ店舗、オンラインストア※すみだ北斎美術館ミュージアムショップでは取扱なし。※美術館近隣に位置する3店舗(グラニフ アトレ秋葉原、アトレ上野、アルカキット錦糸町)では、発売から約2か月間、レジにて購入した人に「THE 北斎」展のチラシと同展割引券を配付。店舗準備数がなくなり次第終了。※他割引との併用不可。
2021年06月27日すみだ北斎美術館(東京・墨田区)では2021年7月20日(火)〜9月26日(日)まで、特別展「THE北斎 ー冨嶽三十六景と幻の絵巻ー」を開催する・すみだ北斎美術館が所蔵する二大名品「冨嶽三十六景」シリーズと、当館開館記念展で約100年ぶりの再発見として話題となった幻の絵巻「隅田川両岸景色図巻」を中心に、人気の高い北斎作品約100点を一堂に展観。今回はじめて「冨嶽三十六景山下白雨」のバージョン違いを並べて展示、また北斎の錦絵「桜に鷹」等の版木を使用した火鉢を初公開するなど、見どころの多い展覧会となっている。北斎の名作の数々を通して、日本の四季の美しさ、江戸時代より観光スポットとして知られる隅田川周辺の名所を紹介しながら、北斎のたぐい稀な筆力と発想力を堪能してほしい。【開催概要】「THE北斎 ー冨嶽三十六景と幻の絵巻ー」会期:2021年7月20日(火)~9月26日(日)・前期:2021年7月20日(火)~8月22日(日)・後期:2021年8月24日(火)~9月26日(日)※前後期で一部展示替えあり休館日:毎週月曜日※開館:8月9日(月・振替休日)、9月20日(月・祝)、休館:8月10日(火)、9月21日(火)開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)主催:墨田区・すみだ北斎美術館お問い合わせ:03-6658-8936(9:30~17:30 ※休館日を除く)公式サイト:
2021年06月23日世界的な画家、葛飾北斎(1760~1849)と人気漫画家のしりあがり寿さんがコラボした展覧会『しりあがりサン北斎サン -クスッと笑えるSHOW TIME!-』がすみだ北斎美術館で開かれています。コロナ禍でちょっとトゲトゲした心をもみほぐしてくれる、脱力系アート満載の展覧会をご紹介!遊び心がいっぱい!【女子的アートナビ】vol. 208本展では、人気漫画家でアーティストのしりあがり寿さんと葛飾北斎が時代をこえてコラボ。しりあがりさんは、2018年に北斎の「冨嶽三十六景」のパロディ作品「ちょっと可笑しなほぼ三十六景」をすみだ北斎美術館の展覧会で発表。今回はそれらの作品に新作も加え、約160点が紹介されています。北斎の浮世絵をしりあがりさんが楽しく解釈したパロディ作品は、どれも思わずニヤリとしてしまうものばかり。遊び心がいっぱいで、コロナ禍でトゲトゲしくなりがちな気分をもみほぐしてくれます。ちょっと笑える…それでは、展示作品からいくつかピックアップしてご紹介。まずは、北斎のもっとも有名な作品、《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》をご覧ください。うねる大波のなかに小舟が浮き、その奥に富士山が見えます。いっぽう、しりあがりさんのパロディ作品《ちょっと可笑しなほぼ三十六景太陽から見た富士山》では、北斎作品の「大波と富士山」を「太陽フレアと地球」に変換。太陽のフレア越しにある地球をよく見ると、日本列島のなかにちゃんと富士山も描かれています。しりあがりさんの新作、《ポテトチップス六景揚げたて》も要チェック。これはポテトチップスの作り方を浮世絵風に描く特別シリーズで、北斎の「大波」が「揚げ油」に変換され、そのなかに薄切りのポテトが浮かんでいます。ちょっと笑える、ゆるい感じが楽しいです。ちなみに、北斎生誕260年を記念して、2020年には期間限定で「すみだ北斎美術館監修 ポテトチップス うすしお味」がカルビーから発売され、しりあがりさんのパロディ作品もパッケージに採用されました。その全4パッケージも展示されています。絶叫マシーンも登場!?もうひとつ、楽しい作品をご紹介。まず、写真右側にある北斎の錦絵《諸国瀧廻り美濃ノ国養老の滝》(パネル)をご覧ください。岐阜県養老郡養老町にある有名な滝を描いたもので、垂直に流れ落ちる滝や水しぶきなど、さまざまな水の表情が表現されている名作です。しりあがりさんのパロディ作品《諸国瀧廻りアトラクション》では、滝が絶叫マシーンのアトラクションに変換されています。マシーンに乗って楽しそうに手をあげているのは、和服を着た江戸の人たち。見ているだけでほのぼのします。3階ホワイエでは、しりあがりさんのセンスで北斎作品をアレンジしたアパレルコレクションを展示。北斎の「諸国瀧廻り」シリーズをもとに作られた「瀧廻りポンチョ」や「飛沫どころか瀧マスク」など、今の時代や世相をクスッと笑い飛ばせるようなゆる~い作品が並んでいます。コロナ疲れをちょっと癒してくれる展覧会は7月10日まで。Information会期:~7月10日(土)会場: すみだ北斎美術館開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)休館日: 月曜日観覧料: 一般¥1,000、高校・大学生¥700、65歳以上¥700、中学生¥300、小学生以下無料
2021年06月09日モネ、セザンヌ、ルノワールなど多くの画家を生み、ピカソ、ゴッホ、シャガールなど異国の画家達からも深く愛されてきたフランス。今も世界中から多くの人々がルーブル美術館やオルセー美術館などを訪れ、美術を学びにもやってきている。そんなアート大国で子ども達はどのように絵画を学んで育っているのか。今回は小学校での美術教育についてレポートします。第23回芸術大国フランスの「小学校での美術教育」鑑賞などの「受け身」ではなく、有名絵画も、まずはいじらせてしまう「主体的」美術教育有名絵画というと、まずは「鑑賞」。次には「これは誰の絵?」「それはどこの国の画家?」「いつの時代の作品?」そんな風に、どちらかというと知識重視で学んだ記憶が強い私には、フランスの小学校での美術教育は本当に驚きだった。例えば、この「モナ・リザ」についての学習。子ども達は「どんな風にしてもいい。自分の好みやイメージのモナ・リザにアレンジしよう」と絵画写真のコピーを渡され、それに取り組む。「怖い顔だよね。吸血鬼みたい」という子もいれば「体格がいいから、きっとスキーに向いている人だな」「食いしん坊っぽい。ワインも好きそうだよね」という子もいたりする。鑑賞したり覚えたりという「受動的」ではない「能動的」教育。どんな偉大な作品も、自ら手を加えれば「自分のもの」になり距離感はグンと縮まる。もしかしたら記憶にも長く残るかもしれない。エッフェル塔もアレンジフランスの首都パリの象徴的な名所エッフェル塔についても同様。この村にはエッフェル塔がパリにあることは知っているけれど、まだパリに行ったことがない子どもも多い。「どんなところに建っていると思う?」「どんなところに建っていたらいいなと思う?」そんな先生からの問いかけに、まずは周囲へのイメージを想い、そして描く。さらには「これってなにでできているのかな?」という疑問が出て、「何でできていると思う?何でできていたらいいと思う?」鉄製であることは答えず、そう問うと、数人の子ども達はエッフェル塔の写真を貼るのをやめて、自分で好きな色で描き始めたという。「正解は大人になってから知ることができる。それよりも、まずは興味を持つこと。想像や創造の脳機能を動かすこと。それが初等教育の重要ポイント」なのだそう。ストリート&ポップアートもストリート&ポップアートの先駆者キース・ヘリングの絵についても同様。まずは「自分でも描いてみよう!」から取り組み、近づく。ニューヨークの地下鉄やベルリンの壁、パリやアムステルダムの公共空間、最後はイタリアの教会の壁にも描き、エイズ撲滅や恵まれない子どもへの社会貢献活動でも知られているアメリカ人画家だが、そういった知識も後で自分で興味を抱いた時に学べばよいこと。旅行中に見かけたり、社会貢献を学んだりした際に「この人の絵、知ってる!」と思い出せればいい。つまり、あくまでも初等教育での美術は「きっかけ」の根っこづくり。触れた痕跡(記憶)を残し、後の様々なこと(好奇心、知識、経験、学業、事業、社会貢献など)へのきっかけになれば、それで十分と考えられている。葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」の学び方そしてフランス全土の小学校の高学年(9&10歳)への共通課題とされているのが葛飾北斎のこの名作。表題は「La Vague(波)」と訳されている。どんな風にこの絵をフランスっ子達が学んでいるのかを覗いてみよう。1)まず、絵をよく見て、気づいたことを言う。「すごい波!大きい!」「まるで津波みたいだ」「あの山はモンブランと同じくらい有名な日本の高い山だよね。それより波の方が高いんだぁ!」「それは違うよ。山はずっと遠くにあるから波より低く見えるだけなんだよ」「本当にあそこに山があるのかな?波が高いことを表現したいから描いただけなんじゃないのかな?」「船に乗っている人達は、どうしてあんな姿勢でいるの?」「なんで皆、同じ場所に固まっているんだろう?」「日本だからKimono(着物。※Kimonoはフランス語になっている)を着てるよね。濡れても大丈夫なのかな?」「僕は柔道をしてるけれど、Kimonoは洗うとすごく重くなって、干してもなかなか乾かないんだよね」「この船はなにでできているの?」「アヴィロン(ボート競技スイープのフランス語)なのかな?」「だったら、これはサーフィンみたいな日本の競技?」これらが子ども達の発言で、面白かったのは「白い粒々は雪?」と言う子が多かったことだという。山育ちの子どもには、白い粒からは水しぶきよりも雪への連想の方が強いらしい。2)その後「La Vague(波)」という言葉から連想する絵を各自、自由に描く。3)さらに「波」「大波」「津波」「波のうねり」「水しぶき」「潮」「山」「船」「着物」「オール(船を漕ぐための櫂)」といった単語を語彙力を増やすために学び、読み取り&書き取り。つまり最後はフランス語の勉強につなげる。ココがフランス初等教育の特徴。「読み書き&そろばん(母国語&算数)」を最優先。「小学校の間、すべての教科は国語と算数を強化し、より充実させるための枝葉」という理念に基づいている。感嘆詞を絵で表現する学びさらにコレもその国語&美術教育の繋がりの一例。「素晴らしい!」「ゴージャス!」「なんて素敵な景色なんだ!」「それら感嘆詞や感動した時に呟くセリフからイメージする絵を描きましょう」という課題でも絵を描き、感嘆詞を自分の感性と密接にさせる。評価はしない。花丸もつけない。©️Dorothee Ben Artこれらが優れた美術やアート教育なのかどうかは解らない。ただ一切、小学校では点数も成績も、そして「トレビアン(よくできました)」いわゆる花丸をつける判定さえもしないところは、とてもいいなと思う。評価は、下手をすれば苦手意識を芽生えさせ、劣等感を与える「余計な早期教育」になりかねない。美術教育こそ「自由」や「伸び伸び」を尊重して良きものなのかもしれない。それがアートに溢れる国フランスで私が気づかされたことの一つだった。
2021年06月06日歌手のきゃりーぱみゅぱみゅがMCを務める情報バラエティ番組『きゃりーぱみゅぱみゅのポリコレってなんだ!?』が4日(18:00〜)より、「LINE NEWS」の動画コンテンツ「VISION」で配信開始され、行政改革担当大臣の河野太郎氏が初回ゲストとして登場する。同番組は、きゃりーと相棒の「ポリゴレン」が、昨今注目を集める「ポリティカル・コレクトネス」をテーマに、現代社会にあふれる「なぜ、そうなってしまうのか?」と思うことを、各回のテーマに応じた専門家を招き、共に学んでいく新感覚のバラエティ番組である。記念すべき初回ゲストには、現在、行政改革担当大臣やワクチン接種担当大臣を務める衆議院議員の河野氏が登場。「政治のなんだ!?」をテーマに、「どうして政治家さんはあんなに失言するの?」や「国会議員は国会で居眠りをしてもいいの?」などの“禁断の質問”に対して、河野大臣が「なぜそうなった!?」 の背景を、前編・後編の2週にわたり、丁寧に解説していく。さらに、葛飾北斎の浮世絵や自身の似顔絵入りマスクなど、毎回バリエーションが豊富な「今日のマスク」投稿など、普段からユーモアあふれる河野大臣のTwitter投稿の話題も。「誰にも確認しないで、勝手に投稿している」、「政治家のSNSで、揚げ足をとられないような投稿ばかりしている人がいるけど、それは、つまらない。SNSは、個性がでないと単なる業務報告になっちゃうから、それは、どうなの? って思う」など、河野大臣ならではのSNSの運用ルールが明らかになる。それに対し、きゃりーが「政治とか難しい、と思っている世代の子たちも、つぶやきが面白いから見てみようって思って、そこから色々知る事があると思う。めっちゃ勇気もらいました!」と目を輝かせながら語ると、河野大臣が「炎上したら、水持っていきますから!」とツッコミを入れ、スタジオに笑いが起こる一幕もあった。■河野太郎大臣コメント若い世代から見える政治家は、何しているのかよくわからないと映っていることを実感しました。実は若い世代と政治は密接に結びついていることを、政治家がもっと伝えていかなければいけませんね。きゃりーぱみゅぱみゅさんの、柔らかくも率直で鋭い物の見方に感銘を受けました。是非またご一緒したいです。■きゃりーぱみゅぱみゅコメント今日はいろいろ収録をさせて頂いて、本当に楽しかったですし、いろんな方といろいろなお話ができて、もっともっと考えないといけないな、とか、もっともっとこうなったらいいなって思うことがたくさんありました。ニュースを観たり、友だちとお話をしていて、あれってどうなんだろうな? とか、これってこうなのかな? みたいな話で、私も全然知識がないので、わからないことだらけでモヤモヤしていたんですけど、今日は河野さんをはじめ、たくさんの専門家の方にお話が聞けてすごく良かったなと思います。今日お話した「ポリコレ」って、本当にほんの一部だと思っていて、まだまだ、たくさん世の中に「ポリコレ」ってたくさんあると思いますので、また、ぜひ、番組で紹介していけたらいいなと思ってます!
2021年06月03日日本が世界に誇る芸術、浮世絵。数多い絵師のなかでも国内外を問わず、高い支持と評価を得続ける葛飾北斎の、謎多き生涯を見つめた映画『HOKUSAI』が5月28日から公開になった。柳楽優弥とともに、2人ひと役で北斎に扮した田中泯を直撃した。世界的なダンサー、舞踊家であり、『たそがれ清兵衛』(02年)以降は、唯一無二の空気を放つ俳優としても活躍し、本編でまさに“画狂人”と呼ばれる北斎を体現している田中。北斎は、90歳まで生き、死ぬ間際に「あと5年あったら、本物の絵描きになれたのに」と言ったとされるが、現在76歳の田中も、まだまだ表現の道を模索、邁進している。そんな田中が、「芸術家とか表現者は、『私の』踊りなどと言うが、そんなこと言えるはずがない」と持論を語り、2024年から「ブレイクダンス」がオリンピック正式種目となることにも吠えた。○■死ぬ瞬間まで、もっと生きたいと思い続ける人生を送りたい――もともと北斎がお好きだと聞きました。昔、マッチ箱に「冨嶽三十六景」が刷られたことがあって、夢中で集めました。水にちょっと漬けて、パカっと剥がれた絵を台紙に貼って集めてましたね。それにしても北斎は、本当に人間が好きなんだと感じます。あんなに克明に人の体の瞬間を描き続けた人なんて、ほかにいないでしょう。だいたい絵描きといえば、描く対象をじっとさせるわけです。それで絵描きのテンポで描いていく。北斎は逆です。ちょっとした瞬間を逃さず切り取る。もう愛としか言いようがない。好奇心と、愛の力。あんな情熱のある瞬間を生きられるだろうかと思いますよ。――田中さんはずっと踊られてきましたが、北斎と同様、人や自然を見続けてきましたか。もちろん。師匠から教わりました。他者に対して好奇心を持たない人間に、だれが興味を持つんだと。――北斎は90歳まで生きて、死の間際に「あと5年あったら、本物の絵描きになれたのに」と言ったとされています。その思いに共感できますか?うん、できる。どうせ死ぬならそういう風に死にたいですね。死ぬ瞬間までもっと生きたいと思い続けるような人生を送りたい。――常に走り続けたい?別に歩くでもいいんですよ。1日1日、あるいは1年1年でも。とにかく人が語る人生観には乗りたくない。みな自分にとっての新しい瞬間が常にやってくるわけでしょ。それに自分はどうやって付き合っていくか、それだけです。生きるなんて言ってみれば方便です。偶然がもたらしてくれたたくさんのものとともに、自分は一瞬一瞬を過ごすことになる。ほとんど偶然ですよね。自分が決めたものではないものばかりのなかで、生きているわけです。でも少なくとも、自分の1歩、1日、一瞬というのは、自分から始めることができるはずだというのは思います。○■「私の」踊りなんて、そんなこと言えるはずがない――田中さんが映像面で活躍されるようになったのは57歳以降ですが、これまでの表現の仕方とは全く違いますね。映像の世界といってもピンからキリまであるだろうし、これも偶然に近いのかもしれない。そこに集まってきた人たちでチームができる。このチームの形というのは、ひとつとして同じものがないわけです。それが場を作り、瞬間を作り、それが結像したものとして残る。それをさらに編集して宣伝をして人々のところに届く。スリル満点ですよね。一体だれがどうやってコントロールしてものにしているのか。ひょっとしたら偶然のほうが強いかもしれない。――ライブでおひとりで踊っているときより、さらに統制が効かないと思いますが、スリル満点だと。面白いですか?面白いですよ。僕が踊っている踊りは映像にはなりませんと若いときからずっと言い続けてきました。踊りのライブには繰り返して再生していく能力というのは一切ない。そこが映像とは決定的に違うところです。芸術家とか表現者は、「私の」と言いますよね。「私の踊り」とかね。でもそれは僕には本当にバカバカしい。そんなこと言えるはずがない。私のやっている動きなんて、同じことをやっている、やってきた人はごまんといるわけです。でもその時間と、見てくれる人と、場所とさまざまな偶然が形成しているなかで、たまたま私が踊って、無名ではない、みんな名前のある人たち、ひとりひとりが見ていて、そこで成立する。それは二度と起きない。――北斎は絵を究極的に求め続けますが、「自分であること」へのこだわりもある気がします。よくわからないな。――田中さんは踊りは「自分の」踊りではないと。全然自分でなくてかまいません。――北斎は自分であることも求めているような気がするのですが。そうかな。あなた知ってるの? 北斎の頭のなかにあることの何万分の1も僕らは知らないですよ。でも図々しくも映画にしてるわけ。この映画も、これが北斎だという決定版じゃ絶対にありえない。永久に無理です。でもだからこそラッキーにも北斎の作品をこうして映画で観られるのはすごいこと。北斎の頭のなかに浮かんでいたものが何なのか、想像もできないけれど、少なくともこうして残した絵を見ることはできる。こんなちっちゃな人でもひとりひとりの体をきっちり描いて。こんな作家はいませんよ。○■ダンスがオリンピックの競技に? いい加減にしろよ――北斎は大病したあとも描き続けますが、やはり絵が好きだからでしょうか。好きだからかなんて尋ねますけど、私たちには想像がつきませんよ。どのくらいのことなのか、どういうことなのか。そっちを考えたほうがいいんじゃないですかね。分かりようがないのだから。すごいとしか言いようがない。続けたことだって彼の中では取るに足らないことかもしれないし。でも今の世の中は、一生懸命言葉にして均そうとしてしまう。分かるわけないのに。――確かにそうですね。田中さん自身のこれから先の野望はありますか?野望は好きです。野が好きなので。日本語は本当にすごいなとますます思うようになりましたが、「野」を「望む」と書く。踊りというのは、個人を有名にさせる道具じゃない。今ほど技術を追い求めて、技術が成就すれば踊りになると思っている時代はありません。それはひっくり返したいと思います。それだとスポーツとどこが違うんだと。昔の人は、あの人には踊りの心がある、絵心があると言ってましたが、つまり心があれば踊れるということです。動くだけじゃ半分なんです。同じことをやっていても、「あの子はいいな」と思うことができるでしょう? パリのオリンピック(2024年)からブレイクダンスが競技として加わります。ストリートダンスというのは抵抗の踊りだったはずなんだけど、それがオリンピックの競技になると。いい加減にしろよ、です。田中泯1945年生まれ、東京都出身。74年に勝つ小津を開始し、78年には海外デビューを果たす。スクリーンデビューは02年の『たそがれ清兵衛』。同作で日本アカデミー賞新人俳優賞、最優秀助演男優賞を受賞した。近年ではダンサーとしての活動のみならず、役者としてさまざまな作品で存在感を見せている。主な映画出演作に『隠し剣 鬼の爪』『八日目の蝉』『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』『アルキメデスの大戦』。公開待機作に『峠 最後のサムライ』がある。
2021年06月02日上質な日本美術のコレクションで知られるアメリカのミネアポリス美術館の名品がならぶ展覧会『ミネアポリス美術館日本絵画の名品』が、サントリー美術館で6月27日(日)まで開催されている。ミネアポリス美術館(通称 Mia)は、アメリカ中西部にあるミネソタ州最大の都市・ミネアポリスに1883年に設立された美術館。約9万点のコレクションのうち1割を超える約9500点が日本美術のコレクションだ。本展は室町時代から近世までの日本絵画の流れを、Miaの充実したコレクションでたどっていくもの。また、展示作品の3分の1以上が日本に初めて里帰りするものだそう。展示風景より展覧会は、日本絵画の主要ジャンルを8章構成で紹介していく。第一章「水墨画」では、躍動感あふれる描写で鳥を描いた雪村のほか、迫力とかわいらしさが同居する山田道安の屏風などを展示する。雪村周継《花鳥図屛風》室町時代、16世紀山田道安《龍虎図屏風》室町時代、16世紀とくに、山田道安《龍虎図屏風》は、虎の表情や吹きすさぶ風の描写など、細部まで楽しめる作品だ。山田道安《龍虎図屏風》部分室町時代、16世紀山田道安《龍虎図屏風》部分室町時代、16世紀続く第2章「狩野派の時代」では、当時の主流派であった狩野派の作品を展示。仙人と童子を描いた狩野山雪の《群仙図襖》は、9名の仙人と童子が描かれた襖。それぞれの仙人の表情やポーズを描き分けている。狩野山雪《群仙図襖(旧・天祥院客殿襖絵)》江戸時代、正保3年(1646)画面右端にいる仙人は「劉海蟾(蝦蟇仙人)」。糸を通した小銭を使ってガマガエルと遊んでおり、その姿が愛らしい。狩野山雪《群仙図襖(旧・天祥院客殿襖絵)》部分江戸時代、正保3年(1646)第3章の「やまと絵―景物画と物語絵―」では、日本独自の絵画様式となったやまと絵を紹介。もともとは中国的な主題の「唐絵」に対して、日本の風俗や事物を主題にした絵を指していた「やまと絵」は、時代を経ていくうちに日本独自の絵画様式として発展していった。武蔵野の平野を描いた《武蔵野図屛風》はその一例だ。第4章の「琳派」も日本で生まれた独自の様式である琳派を紹介している。作者不詳《武蔵野図屛風》 江戸時代、17世紀第5章の「浮世絵」は、江戸時代に花開いた大衆芸術、浮世絵を紹介。葛飾北斎や東洲斎写楽などの誰もが知る浮世絵版画のほか、肉筆浮世絵も展示。江戸の文化がいかに豊かであったかを垣間見ることができる。三畠上龍《舞妓覗き見図》江戸時代、19世紀三畠上龍《舞妓覗き見図》部分江戸時代、19世紀三畠上龍《舞妓覗き見図》は、謎が多い対幅の作品。左幅には美しい舞妓、右幅にはまぶたをこじ開けている丁稚姿の少年の図が描かれている。作品の主題はなんなのか、現時点ではわからないが、インパクトが強い作品だ。そして、第6章の「日本の文人画〈南画〉」、第7章「画壇の革新者たち」、最終章「幕末から近代へ」と続く。とくに第7章の「画壇の革新者たち」は、伊藤若冲や曾我蕭白など近年人気が高い奇想の絵師たちの作品が並んでいる。伊藤若冲《鶏図押絵貼屛風》は若冲が好んで描いた鶏が並ぶ屏風。筆の濃淡を巧みに使った躍動感あふれる鶏が描かれている。曾我蕭白の《群鶴図屛風》は、若冲とはまた異なるスタイルで鶏を巧みに描いており、両者を見比べると、絵師の特徴をわかりやすく捉えることができる。伊藤若冲《鶏図押絵貼屛風》江戸時代、18世紀曾我蕭白《群鶴図屛風》江戸時代、18世紀本展は室町時代から近代に至るまでの日本絵画の魅力がわかりやすくまとめられている展覧会。豊富なジャンルの日本絵画のなかから、お気に入りの絵師や作品を見つけ出しにいってみよう。取材・文:浦島茂世【開催情報】『ミネアポリス美術館日本絵画の名品』4月14日(水)~6月27日(日)、サントリー美術館にて開催
2021年06月02日現在公開中の映画『HOKUSAI』より、田中泯が演じた老年期の葛飾北斎が、当時の海外アーティストたちを驚愕させた北斎ブルー「ベロ藍」を生みだしたシーン映像が公開された。代表作『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』が新千円札のデザインやパスポートに採用されるなど、今なお愛され続ける世界的アーティスト・葛飾北斎。ゴッホ、モネなど名だたる印象派アーティストたちに大きな影響を与え、米LIFE誌“この1000年で偉大な功績を残した100人”に選ばれた唯一の日本人である北斎の知られざる生涯を初めて描いた映画『HOKUSAI』が公開されている。本作が描くのは、流行り病や権力者による表現への弾圧など、決して自由とは言えない制約された状況でも、何ものにも屈せず“自分らしさ”を貫き通した葛飾北斎の生き様。コロナ禍の緊急事態宣言下で休館している劇場もある現在において、葛飾北斎やともに生きた人物たちの姿は、先の見えない今を生き抜く秘訣を伝えてくれるはずだ。5月28日に公開を迎え、SNS上では田中泯演じる北斎に「全てが葛飾北斎!」や「田中泯さんのダンスの様な美しい演技の表現には見惚れました」、「北斎が宿ったかのような魂で演じていた」といった、絶賛の声が。年老いてもなお自分らしさを追求し、新しい手法を追いかけ、絵を描くことに心酔していた北斎はベロ藍の美しい色合いを見つけ、青い絵の具を手に取り、雨中で歓喜に舞い始める。実は当初の脚本には舞を踊るという演出はなかったそうで、田中のアドリブであったと監督が明かしている。突然雨の中に飛び出したその様子に現場スタッフも驚嘆し、カットがかかると思わず現場は拍手に包まれたという。世界でもダンサーとして活躍する田中泯だからこそ実現できた奇跡の1シーンだ。あるシーンの撮影では「俺の中の北斎が逃げていってしまう!」という声が田中から漏れる一幕もあったそうで、まぎれもなく本作の中で、たしかに彼が北斎として生きた時間が存在していたといえるのではないだろうか。また本作『HOKUSAI』とともに現在公開中の『いのちの停車場』(東映)では、吉永小百合演じる主人公の医師の父親役という重要な役どころで田中泯は出演を果たしており、現在週末の興行収入ランキングに入る2作品にて名を連ねる。そんな彼の俳優デビューは57歳。現在76歳にして俳優として大ブレイクを果たしているのは、まるで70歳を超えて世界的に注目されることとなった代表作「冨嶽嶽三十六景」を生み出した、葛飾北斎そのものと言えよう。『HOKUSAI』公開中
2021年06月01日テンデンス(Tendence)から、新作腕時計「ジャパンアイコン(JAPAN ICON)」コレクションが登場。2021年5月28日(金)よりテンデンス直営店および一部販売店他にて先行販売された後、6月18日(金)より一般販売される。テンデンス"日本文化と日本の四季"デザインの新作腕時計3種デザイン性の高い腕時計を展開するスイスのウォッチブランド・テンデンスから、"日本文化と日本の四季"をモチーフにした「ジャパンアイコン」コレクションが登場。葛飾北斎の浮世絵や国花である"サクラ"など、海外でも人気の高い日本のアイコンを、繊細なデザインの中に落とし込んだ。「HOKUSAI」大波の奥に見える青々とした富士山が美しい、葛飾北斎の浮世絵『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』を描いた腕時計「HOKUSAI」。ダイナミックな波を表現するために、ダイヤルをレイヤー構造にして立体感を加えた。また、時計の裏蓋にも波をイメージした刻印が施されている。「SHARAKU」「SHARAKU」は、侍、歌舞伎、舞子など、海外から見た日本の華やかな伝統的要素を腕時計にしようと、「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」をモチーフにデザインされた。歌舞伎役者を描いた東洲斎写楽の絵は、見覚えのある人も多いのでは。ゴールドとブラックを基調としており、中心に立体的に配された役者絵がより印象的になっている。ストラップや裏蓋、スリーブには、日本の伝統的な波模様としてお馴染みの"青海波"が用いられている。「SAKURA」儚いものの象徴である"サクラ"。「SAKURA」は、その一瞬の美しさがを表現すべく、表面のピンクのグラデーションにはマザーオブパールを使用し上品さを演出した。2層になった桜のデザインは桜並木の奥行を感じさせ、ストラップには散っていく花びらがデザインされている。春の"サクラ"を堪能できる繊細な仕上がりだ。【詳細】テンデンス新作腕時計「ジャパンアイコン」一般発売日:2021年6月18日(金)先行発売日:2021年5月28日(金)先行取り扱い店舗:テンデンス直営店および一部販売店、公式オンラインストア■商品「HOKUSAI」ケース径:50mmケース素材:ナイロン/ステンレススチールガラス:ミネラルガラス防水:10気圧防水ストラップ素材:シリコン「SHARAKU」ケース径:50mmケース素材:ナイロン/ステンレススチールガラス:ミネラルガラス防水:10気圧防水ストラップ素材:シリコン「SAKURA」ケース径:41mmケース素材:ナイロン/ステンレススチールガラス:ミネラルガラス防水:10気圧防水ストラップ素材:シリコン文字盤:マザーオブパール
2021年05月31日