フィデリティ投信株式会社 投信ビジネス本部 副本部長。国内系証券会社、投信会社の企画担当を経て1998年にフィデリティ投信入社。以降特に個人投資家の皆様に投資信託を広めるための取り組みに従事しています。最近ではセミナー等で女性の皆様への啓蒙活動も積極的に取り組んでいます。
みなさんは「資産運用はまとまったお金があるからできるもの」「やっぱりタイミングが肝心」と思っていませんか。じつは、資産運用の本来の意味は、「将来の自分への投資」なのです。 2015年にフィデリティ投信が会社で働く1万人の男女を対象に行ったアンケートで、「余裕資金があったら何に優先的に使いますか」と聞いたところ、結果はこのようになりました。 ■20代、30代は「投資」に意外と前向き 全体の平均で一番多いのは「貯蓄」で、43.6%です。20代から50代のどの年代でも、男性より女性の方が貯蓄の比率は高くなっています。 余裕資金の使い道(単位:%) 「投資」については、年代や性別で大きく変わってくるのがわかります。20代、30代の男性は比較的投資の比率が高くなっています。30代女性の場合は、「貯蓄」「旅行」に次いで「投資」に使う、と答えた人が多いようです。 ■気になる傾向―「投資の中身」と「二極化」の動き 20代、30代の投資の中身を見ると、40代50代と比べて「外国株式」と「為替証拠金取引FX」をしている人が多いようです。 「為替証拠金取引FX」は、為替の値動きを見ながら売ったり買ったりすることで、もうける仕組みの商品です。ずっと持っていて利益がでるという、長期の資産形成のための商品ではありません。 若い世代には、時間を味方につけて、じっくりコツコツ投資できる方法を選択して欲しいところです。 投資に前向きな人が増えている反面、まったく投資をしない人の比率も過去のアンケートと比べて増えています。これは、ちょうどアンケートを実施した時期が、「アベノミクス」効果で日本の株式市場が値上がりした時期と重なったことと関係があるかもしれません。 「ずいぶん値上がりしたなあ、ここから投資してももうからないのでは? むしろ下がるのでは?」と考える人が多かったようです。 というのも、アンケートで判明した「投資をしない」一番の理由は、「資金が減るのがいや」だったからです。 ■アラサー女性オススメの「少額積立投資」 このアンケートを見ると、やはり「投資=売り買い=タイミングが肝心」と思っている人がまだまだ多いようですね。 アラサーあるいは20代のみなさんには、まったくちがう2つのことを心に留めていただきたいのです。 ひとつめは、投資はまとまったお金や余裕資金があるからするのではなく「まとまったお金」や「趣味や楽しみに使うための余裕資金」を“つくる”ためにするものだということです。 たまに「余裕資金がないから投資をしない」というシニア世代の声を耳にします。これは、逆の見方をすると「とりあえず生活はしていけるから、将来に向けての資金づくりをリスクを負ってまでする必要はない」ということにもとれます。 それもひとつの考え方です。しかし、アラサーのみなさんには、よりイキイキと自分らしい人生を楽しむための「将来の自分への準備」のひとつとして、ぜひ「投資」を捉えていただきたいのです。 ふたつめは、「周りの環境に振りまわされない投資」です。たとえば、株式のように価格が変動するものに投資した場合。価格が上がれば下がる前に売却して利益を確定したい、下がればこれ以上下がるのはいやだと思って売却したいと、値動きに過敏に反応しがちです。 また、投資とはそういうものだと思うと、「たびたび値動きをチェックする時間はとれない」と投資に二の足を踏む原因にもなります。 こうした心の動きを避けるためには、できれば投資にはあまり時間を使わず「放っておく」方法で長期の資産運用を行っていただきたいと思います。 具体的には、お給料から天引きするなど、定額・定時で積みたててゆく「少額積立投資」をオススメします。 ある投資信託の基準価格(10,000口あたり)推移イメージ(単位:円) これは図のように、相場に関係なく高いときも安いときも一定金額を買いつづけることで、結局は相場変動を長期で均すことができる「時間分散」の効果をもっています。 毎月の金額は小さくても投資の期間を長くとれるみなさんには、もっともメリットのある資産形成の手段のひとつです。 アラサーのみなさんは、まさに「時間分散効果」を味方につけられる特権階級。お仕事や趣味のスキルアップなど「将来のなりたい自分」への投資のひとつとして、まずは資産運用の一歩を踏みだしてみませんか。
2016年01月19日平均寿命80歳を超える現代、みなさんは自分の老後がどうなると想像しているでしょうか。フィデリティ投信が2014年に行った女性1万4,000人アンケートで、アラサー女子の未来観を聞いています。 ■独身か既婚かで変わってくる「将来のイメージ」 2014年3月末から4月にかけて全国の勤労者3万人(うち1万4,109人が女性)に行ったインターネット調査で「退職後の生活のイメージ」を聞きました。 女性の退職後の生活のイメージ(単位:%) 20代女性は既婚・未婚を問わず「のんびり・マイぺース」型がもっとも多くなっているのが特徴です。一方、30代、40代では、既婚と未婚で大きなちがいが出ています。既婚者は「明るく・楽しい」が一番多く、未婚者は「つらく・不安」が一番多いのです。 いまの高齢者と比べると? 「いまの高齢者と比べて自分の老後はどうなるのか」という質問では、驚きの結果がでています。 女性が考える退職後の生活の程度―現在の高齢者と比較して(単位:%) 20代女性は既婚・未婚ともに「いまの高齢者よりよい生活が送れると思う」と答えた人は、全体の1割にもおよびませんでした。 さらに、「いまの高齢者より悪くなっていると思う」人が5割近いのです。皆さんかなり悲観的に考えているようですね。 老後に必要な生活費のイメージは? 老後の生活費は、働いていたときと比べてどのくらい減るのでしょうか。交際費などは少し減るような気がするものの、「よくわからない」というのが本音かもしれません。 退職における生活費の変化(単位:%) アンケート結果でも、20代女性の5割近くが「わからない」と答えています。それ以外の回答で多かったのが「働いていたときの3割未満/5割未満」です。みなさんかなり減少すると考えているようです。 実際にはどうでしょう。過去の家計調査の結果などから分析すると、現役時代の「7割程度」という目安がみえてきます。老後にかかる生活費のイメージがつかないために、安く見積もりすぎてしまったようですね。 このアンケートの結果をみると、とくに20代女性は、「退職した後の生活を理解しないまま」(=5割近くが「わからない」と答えています)、「その生活を心配している」(=5割近くが自分の老後の生活は、いまの高齢者より悪くなると考えています)といえそうです。 見通しを立てるところからはじめてみましょう 退職後の生活なんて、いまから想像できないですよね。でも、目安をもつことは意外と簡単にできるのです。 アンケートに回答した50代未婚女性の平均年収は約345万円です。「退職後は退職直前年収の7割が必要になる」とすると、年間で約240万円。60歳で退職して仮に85歳までと設定すると、6,000万円(345万円×7割×25年)が必要となります。 このうち、公的年金でカバーできる部分もあります。女性の受給額(厚生年金受給者の場合)は、年間平均で110.0万円。※1 受給は65歳からとなりますので、単純計算で、20年間で2,200万円(110.0万円×20年)もらえます。この場合、差額の3,800万円が自分で用意する必要のあるお金といえます。 ただし、今後一層の高齢化が進展する日本で、いまの年金水準を将来も期待することはむずかしいといわざるを得ません。支給額が減り、自助努力で用意しないといけない金額は、より大きくなると思っておいたほうがよさそうです。 「わからないから不安」から「実際の必要額を知り、早い時期から準備」という次のステップへ、一歩踏みだしてみませんか。 ※1 出典: 「平成24年老齢年金受給者実態調査」(厚生労働省)
2015年12月27日平均寿命が80歳をこえる現代。あなたがアラサー女子であれば、この先人生約50年ということになります。 いまから老後の心配をしても仕方ない、と思う反面、銀行預金をしてもなかなかお金が増えないし、インフレも気になる…。同年代の女性たちは、「お金」についてどのくらい考えているのでしょうか。 フィデリティ投信が2014年に行った、女性1万4,000人アンケートから“イマドキのお金事情”がみえてきます。 ■「将来のために貯金する」が半数以上 2014年3月末から4月にかけて全国の勤労者3万人(うち1万4,109人が女性)に「余ったお金はどうしていますか」というインターネット調査を行いました。 余裕資金の優先的使い道(単位:%) 20代、30代の女性の回答で一番多かったのは「将来のために貯蓄する」で、全体の5割以上。みなさん思った以上に将来の準備をしているようです。 この比率は、特に未婚の方の場合、年代が高くなるにしたがって、40%程度から60%程度にあがっていきます。次に多いのは「趣味に使う」「旅行にあてる」で、合わせて3割でした。ファッションにあてるお金は、年代を追うごとにだんだん下がっていく傾向にあるようです。 ■実際、みんなどのくらいためているの? 同調査では、年代別未既婚別の現在の資産総額も聞いています。20代未婚女性の平均額は617.8万円、同じく既婚女性で589.2万円でした。 「え、そんなに多いの? 調査の対象がかたよっているんじゃないの?」と思われた方もいるのでは。でも今回の調査では、20代未婚の平均年収は227.7万円で、50代未婚の平均も345.6万円です。また全体の約4割が正規雇用、それ以外が非正規雇用なのです。 未・既婚別女性の資産の分布(単位:%) じつはこれは、統計のマジックなのです。平均をとると高い数字になるものの、内訳を見てみると、20代未婚で「100万円以下」と答えた方は37.5%、「100-500万円未満」が35%です。 また、20代未婚女性の65%が、「老後の資金として準備できている資産は0円」と答えています。このへんが、みなさんの周りの典型的な姿かもしれませんね。 ■将来退職したあといくら必要になる? 少し先の話になりますが、「60代になって支払われる年金以外にいくら資産が必要だと思うか」についても聞いてみました。年代や未婚既婚に関わらず、平均で「2,000万円の後半」という結果がでました。 また、「現代のお年寄りと比べて自分の将来の生活はどうなると思いますか」との問いには、どの年代も40%前後が「いまの高齢者より悪くなっていると思う」と答えています。国民年金に頼れない世代、退職後の生活に関しては結構シビアに見ていますね。 このアンケートで浮かびあがってくるのは、「将来お金をたくわえていないと楽しい老後が送れないことはわかっているけど、いまはまだ具体的な準備はしていない。でも余裕資金はできる範囲で少しずつ貯蓄しています」というみなさんの姿です。 しかし、銀行の金利が極端に低い環境で、預金だけで2,000万円のお金をつくるのは、なかなか大変です。たとえば、金利0.0025%で2,000万円を30年間でためようと思うと、毎月5.5万円の積立が必要になります。 預金だけでは資産を増やすことがむずかしい場合、資産投資や運用も選択肢のひとつとして考えられます。 投資をしている人の比率(単位:%) 「そうはいっても、投資や運用なんて、みんな考えていないのでは?」と思う人もいることでしょう。たしかに「将来のための資産形成」と「投資」はまだまだかけ離れたものかもしれません。でも、今回のアンケートで約2割の方が「投資をしている」と答えています。 「投資をしている」人にその理由を聞くと、「老後の資産形成」「資産を増やすには運用しかない」が半分以上を占めます。特に20代既婚の方の3割強が「資産を増やすのは運用で」と答えていました。 じつははじめている人も多い投資や運用。もしかしたら、隣の人もはじめているかもしれませんよ。
2015年12月09日