【専門家監修】シトラスの香りで幸せになる! “香りと呼吸と記憶” の関係性
オレンジやレモンの香りが漂うとスッキリとリフレッシュした気分になりますよね。このように、シトラスの爽やかな芳香を「いい香り…」と感じたとき、脳や身体にもたらされる影響は思いのほか大きなものなのだとか。
そんなシトラスの香りを上手くライフスタイルにとりいれれば、いっそうキレイに、より前向きに過ごすことができるといいます。そこで、
香りと呼吸のメカニズムを専門に研究している医学博士の政岡ゆり先生に、
香りの持つ秘密について教えていただきました。
医学博士 政岡ゆり先生
いい香りは深い呼吸を誘う
「気付いていない方も多いですが、人は “いい香り” を感じると、自然と呼吸が深くゆっくりとなります。また、不安を感じると呼吸が早く、浅くなりがち。人前でスピーチをする時に、つい早口になってしまった経験はありませんか? それは緊張や不安によって、自ずと呼吸が早くなっているのです。そんな時、深呼吸をすると少し落ち着きますよね」(政岡さん)
まさに、いい香りを嗅ぐことは
自然な深呼吸のようなもの。いい香りをかぐと深い呼吸になることで不安感がなくなり、リラックスにつながるという訳です。呼吸は酸素を吸うためにしているだけではなく、感情や気分と密接にリンクしているんですね。
強くリンクしている “香りと記憶”
「少し専門的なことになりますが、鼻から吸った空気とともに香り分子が体内に入り、そこから、
脳内の感情や記憶をつかさどる辺縁系という部位へ情報を直に伝達しているのが嗅覚です。
いい香りという情報が入ってくると、とたんに気持ちがリフレッシュするのはこのためです。また、この辺縁系という部位は記憶を司る海馬という部位に直結しているため、過去の記憶を呼び起こしやすいのです」(政岡さん)
例えばオレンジの香りを嗅ぐと、≪幼いころにおばあちゃんがオレンジをむいてくれて、一緒に食べた楽しいシーン≫を思い出すというように、香りによって思い出される記憶は極めて明確で、シーンそのままを空間的に思い出すのも特徴なのだそう。
このように
香りは記憶とリンクが強く、いい香りはいい記憶と結びつきます。そのため家族と美味しい食事を楽しんだり、友人たちとホームパーティーで盛り上がったりといった、
楽しいシーンで香りを漂わせると、またその香りを嗅いだ時に楽しい気持ちになれるのです。
そして『またあの時のような楽しい時間を過ごしたい』と、前向きな気持ちになることができます。
シトラスの香りは幸せの象徴
シトラスの香りを嫌いな方はあまりいないのでは?と思いますが、オレンジやレモンは幼いころから食卓にある身近な食材です。シトラスを食べた時の味覚と嗅覚による爽快感やリフレッシュ感を経験し、身体はそれを記憶しています。
そしてその記憶の背景の中には、家族で食卓を囲んだ平和な風景があったりしませんか?その時に感じた安心感や幸福感がシトラスの香りを “いい香り” だと好きにさせているのでしょう。
「以前私が、留学先の研究室で論文の執筆に頭を悩ませていた時、近くの席の同僚がオレンジをむいて食べ始めたんです。その香りがとても素晴らしかったのです!一瞬にして気分が変わり、息が深くなるのを感じ、執筆もはかどりました。
次の日には、ほかの同僚たちがみんなシトラスを持参してきていて驚きました。実は、私もマンダリンを持っていったのですが!」(政岡さん)