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大人がかかると重症化するといわれる水ぼうそう。特に妊娠中は、感染しないように気をつけなければいけません。
大人が水ぼうそうにかかった場合、その症状や、かかった場合のリスクは? 予防方法は? 大人の水ぼうそうについてくわしくご紹介しましょう。
【監修】
イシハラクリニック副院長 石原新菜 先生
小学校は2年生までスイスで過ごし、その後、高校卒業まで静岡県伊東市で育つ。2000年4月帝京大学医学部に入学。2006年3月卒業、同大学病院で2年間の研修医を経て、現在父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。
著書に、13万部を超えるベストセラーとなった『病気にならない蒸し生姜健康法』(アスコム健康BOOKS)をはじめ、『「体を温める」と子どもは病気にならない』(PHP研究所)等30冊を数える。
■大人でもかかる水ぼうそう
水ぼうそうとは、水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルスによる急性の伝染性疾患です。水疱(すいとう)とも呼ばれ、季節的には7~12月の時期に、9歳以下の子どもが多く発症します。大人でもかかる病気で、写真のような水疱が全身にできます。
水ぼうそうの症状とは
水ぼうそうの主な症状は、発熱と盛り上がった赤い発しんの出現です。約3~5mmの赤い発しんが次々に全身に出ます。
発しんの症状ですが、初期は皮膚の表面が赤くなることから始まり、水疱(すいほう)、膿疱(粘度のある液体が含まれる水疱)ができ、最後にかさぶたとなり、治癒します。すべての発しんがかさぶたになるまでに約6日かかります。
水ぼうそうの症状〜大人の場合〜
水ぼうそうは大人がかかると、水ぼうそうそのものが重症化する場合があります。髄膜炎や脳炎などの重い合併症の併発もあります。
水ぼうそうは一度感染すると、生涯その感染症にはかからない終生免疫なので、再感染することはありませんが、ウイルスが体の中に潜伏していて、数年後に「帯状疱疹」という症状で再発することがあります。
日本では年間約100万人が罹患(りかん)し、そのうち約4,000人が入院し、約20名程度が死亡に至ると推測されている病気です。
子どもの場合
水ぼうそうは子どもに多い病気で、発症者の90%以上が9歳以下の子どもです。
水ぼうそうは子どもがかかった場合、多くは軽症で回復することが多く、重症化することはほとんどありません。しかし、熱性けいれん、肺炎、気管支炎等の合併症が出た場合は、まれに重症化することもあります。
妊婦が水ぼうそうにかかると危険
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水ぼうそうのワクチンの普及率は世界的にも90%以上と高くなっています。妊婦が罹患する確率は0.07~0.1%と低いのですが、妊婦が妊娠後期に水ぼうそうに罹患すると、水痘肺炎など重い病気が併発することがあります。
胎児への危険性も高く、流産、早産、子宮内胎児発育不全などで死亡する例もあります。感染時期によりますが、胎児が乳児期帯状疱疹、周産期水痘などさまざま病気にかかる危険性があります。
人にうつる期間は?
水ぼうそうは空気感染、飛沫感染、接触感染で広がり、感染から10~21日間潜伏し、その後発しんの症状が現れます。大人の場合は、出現前に全身に倦怠感を覚え、発熱が伴うこともあります。
感染したウイルスは、気道粘膜から体の奥へ侵入して増殖します。感染力は極めて高く、人にうつる期間は発しんが出る1〜2日前から出現後4〜5日まで、または発しんがかさぶたになるまで感染する可能性があるといわれています。
学校保健安全法では、第2種感染症に定められているため、すべての発しんがかさぶたになるまで出席停止期間となっているため、医師の判断のもとで発行される登校許可証の提出が必要な場合もあります。