■大人の水ぼうそうは重症化リスクが高い
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大人の水ぼうそうは水痘そのものが重症化するリスクが高く、合併症の併発頻度も高いのが特徴です。免疫力が下がっている人がかかると、命の危険が伴うこともあり、大変危険な病気のひとつとされています。
水痘肺炎
大人の水ぼうそうに合併する病気は、水痘肺炎とよばれる肺炎が多いことが特徴です。発症の引き金となる危険因子が男性であること、妊婦であること、喫煙者であることとされています。喫煙者は非喫煙者の15倍の発症数があるとされています。
その他の合併症も
その他の合併症としては、皮膚の二次性細菌感染や脱水、無菌性髄膜炎や脳炎を引き起こす中枢神経合併症などが報告されています。脳炎では小脳に失調をきたすこともあります。また、子どもに多い水痘脳炎は大人でもまれに併発することがあります。ほかには肝・胆道・膵(すい)酵素上昇、横紋筋融解症などの合併が知られています。
■大人の水ぼうそうを予防する
水ぼうそうは人から人へ感染する伝染病のため、一番の予防法は、感染源となる人との接触を避けることです。しかし、感染源を特定することはできませんから、予防接種を受けることが一番の予防策となります。
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予防接種・ワクチンは受けられる?
予防接種は任意のワクチンの扱いとなります。予防接種を受けるには、居住する市区町村へ問い合わせをしてみると良いでしょう。
1回の接種で水ぼうそうの重症化をほぼ100 %予防することが可能で、2回接種することで水ぼうそう自体の発症を予防できるといわれています。
平成26年からは、水疱ワクチンが定期接種となっています。1歳の誕生日から3歳の誕生日の前日までが対象とされています。
また大人の場合、一度、水ぼうそうを発症したことがある人は免疫があるため、予防接種を受ける必要はありません。
受けたかどうかがわからない場合は医療機関や居住の市区町村へ相談する必要があります。
再感染の可能性も
水ぼうそうは初感染から回復すると、終生免疫を得て再感染はしないとされていますが、予防接種の場合、麻疹や風疹などのワクチンとは違い、抗体の獲得率が約92%のため、再感染する可能性がります。
しかし、万が一かかった場合でも症状は発しんも少なく、極めて軽症のケースが多くみられます。ウイルスは生涯潜伏しているため、子どものときにかかった水ぼうそうが大人になってから帯状疱疹として症状が出る人もいます。
■家族など身の回りで感染が確認されたら
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水ぼうそうに感染しないためには、感染者に近づかないことが一番の回避策です。しかし、家族間の感染を防ぐことは難しく、家庭での感染率は90%との報告もあり、家庭内での隔離の難しさを表しています。
今後の治療に期待できる、このような研究結果も出ています。水ぼうそうがすでに流行している施設や家族内において、感染者と接触した場合、少なくとも72時間以内に水痘ワクチンを緊急接種することで、発症を防止し、症状の軽症化が期待できるというもの。心配な場合は、受診をおすすめします。
水ぼうそうは子どもの病気と思われがちですが、大人にもうつる病気です。しかも大人がかかると重症化する危険があります。
妊婦がかかると、妊婦だけでなく胎児にまで影響を及ぼす可能性があります。
妊娠してからでは予防接種はできないため、水ぼうそうにかかったことがない人、心配な人は、妊娠する前に病院を受診し、予防接種の相談をしてはいかがでしょうか。
参考資料:
・東京都感染症情報センター「水痘」
・厚生労働省「水痘」
・国立感染症研究所「成人水痘ー妊婦の水痘などを中心に」
・国立感染症研究所「妊娠中の水痘:帯状疱疹ウイルス初感染により妊娠第2三半期に子宮内胎児死亡に至った1症例―兵庫県」
・国立感染症情報所「日本で接種可能なワクチンの種類」