© Sakoodter Stocker - stock.adobe.com
「ブラッシングすると髪がよく抜ける」「朝起きたら枕に抜け毛がたくさんついていてびっくりした」…。
そんな経験はありませんか? 髪の毛がいつもより多く抜けると、病気ではないかと心配になってしまいますよね。今回は、女性特有の抜け毛の原因やその対処法をご紹介します。
【監修】
成城松村クリニック院長 松村圭子先生
婦人科専門医。1995年広島大学医学部卒業、同年広島大学付属病院産婦人科学教室入局。2010年、成城松村クリニックを開院。女性の「体の健康」「心の健康」のために、一般の婦人科診療だけではなく女性のあらゆる面をトータルにケア。講演、執筆、TV出演など幅広く活動。
著書に、『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)、『医者が教える女性のための最強の食事術』(青春出版社)など多数。
■髪の毛が抜ける理由とは
▼髪の毛は自然に抜けるもの
みなさん、人間の髪の毛はどのくらい生えているかご存じですか? 多い人で15万本、少ない人で6万本、平均で10万本といわれています。
ただ、髪の毛にも寿命があり、女性の場合、1本あたり4〜6年で抜け落ち、また新たな髪の毛が生えてきます。1日に抜ける量は、だいたい50~100本ほど。つまり、健康な人であれば、毎日100本程度抜けたとしても、それ自体は異常なことではないのです。
抜けやすい時期がある(出産)
ただ、抜けやすい時期があるのも事実。女性の場合は出産後が代表的です。エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンの分泌が増える妊娠中は、それほど抜け毛に悩まされませんが、出産後、ホルモンバランスが急激に出産前の状態に戻ると、一気に抜け毛が増えます。
抜け毛は出産2~3カ月後から発症するといわれていますが、半年~1年ほどで解消されることがほとんどです。
季節も抜け毛に関係する
抜け毛にもサイクルがあり、季節の変わり目に多く抜けるといわれています。とくに抜け毛が気になる季節が秋。理由は諸説あり、動物が冬毛に生え換わる生態メカニズムの名残とか、夏場に受けた頭皮ダメージの影響から、などといわれています。
本当の理由は定かではありませんが、秋口にある程度抜けるのは問題ありません。ただ、冬本番を迎えてもなお抜け続けるようでしたら、一度病院を受診してもよいかもしれません。
▼ストレスなどで多めに抜けることもある
精神的なストレスも抜け毛の原因になります。ストレスを受けると、乳毛頭(毛根の一部、髪の毛に栄養を送る組織)が活動を一時停止してしまい、そのため髪の毛を作るための栄養が行き渡らなくなります。
その結果、抜け毛が増えてしまうのです。円形脱毛症もストレスが発端となって発症することがありますが、これもまた部分的に毛髪が抜け、一時的に新しい毛髪が生えないために起こるのです。
▼女性に多い抜け毛の種類と原因
© Basicdog- stock.adobe.com
前述の産後抜け毛のほかにも、女性に多い抜け毛にはいくつか原因があります。
1)不規則な生活:何かと慌ただしい現代人。とくに女性は仕事や育児に追われて生活も乱れがち。栄養不足や睡眠不足が続くと、体内での新しい細胞づくりがスムーズに行われず、抜け毛の原因になります。
2)血行不良:酸素や栄養を運ぶ毛細血管の血流が悪くなると、体の末端にある頭皮まで血が巡らなくなり、その結果、毛根まで栄養が行き渡りにくくなり、抜け毛を引き起こします。頭皮の血行不良は白髪の原因にも関わっています。
3)過度なダイエット:摂取カロリーを大幅に制限するような短期間のダイエットも抜け毛の原因に。極端に食事量を減らせば、おのずと頭皮まで十分な栄養が行き渡らなくなり、抜け毛や薄毛になるのです。また過度なダイエットは心身ともに大きな負担となり、ストレスからさらなる抜け毛を招きます。髪に良いとされる緑黄色野菜や豆類、海藻類などを含む食事をバランスよくとり、運動を取り入れた減量法が髪の毛のためにも優しいダイエットといえます。
4)加齢:髪の成長に関わる女性ホルモン・エストロゲンの減少も原因の一つ。エストロゲンの分泌は加齢とともに減少する傾向があり、とくに40代後半から抜け毛や薄毛を気にし始める人が多いようです。