© hakase420 - stock.adobe.com
多くの女性にとって、生理とは悩みの種。生理中はもちろん、生理前からはき気や腹痛、貧血など不快な症状が起こることも。だからこそ、生理中の経血がいつもより少なかったり、ほかの人より量が少ないとしたら、ラクだと感じるでしょう。
しかし、生理が軽い、経血が少ないからといって、必ずしも良いとは限りません。本当に喜んでいいのかどうか、自分の生理の量をチェックしてみましょう。
【監修】
イシハラクリニック副院長 石原新菜 先生
小学校は2年生までスイスで過ごし、その後、高校卒業まで静岡県伊東市で育つ。2000年4月帝京大学医学部に入学。2006年3月卒業、同大学病院で2年間の研修医を経て、現在父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。
著書に、13万部を超えるベストセラーとなった『病気にならない蒸し生姜健康法』(アスコム健康BOOKS)をはじめ、『「体を温める」と子どもは病気にならない』(PHP研究所)等30冊を数える。
■生理の経血が少なくなる原因
© kei907- stock.adobe.com
▼そもそも経血の正常な量はどのくらい?
日本産婦人科医会によると、正常な月経血量の目安は20~140g。しかし、普段から月経カップを使っている人ならまだしも、自分の出血量を知っている人はほとんどいないでしょう。
でも、生理用ナプキンの交換の頻度から、自分の経血量が多いか少ないかを知ることならできます。
© Studio KIVI - stock.adobe.com
経血量が多いと感じる日でも昼用ナプキンの交換が2時間おきで大丈夫なら、一般的な経血量であると判断でき心配はいりません。
もし、昼用ナプキンが1時間もたない場合は、経血量の多い「過多月経」、反対に生理期間を通してナプキンを変える必要のない程度の経血量の場合は「過少月経」である可能性があります。
▼経血が少なくなる原因 1:ホルモンの異常
生理の量が少ない過少月経の場合、排卵を伴わない月経である可能性があります。つまり、無排卵性月経(むはいらんせいげっけい)です。
排卵が起こらない原因は、エストロゲンという女性ホルモンの分泌不足によるもの。
ホルモンバランスが乱れる原因としては、ストレスや無理なダイエット、また肥満などが挙げられます。
© koti - stock.adobe.com
無排卵性の月経は周期が不規則になり、月経の間隔自体が正常な時に比べてのびる傾向があります。無排卵性月経に自覚症状はありませんが、不妊症の原因になることも。生理の量が少ないと感じたら、まずは月経周期をチェックしてみて。
© golubovy - stock.adobe.com
▼経血が少なくなる原因 2:子宮の病気
子宮内膜の癒着のせいで生理の量が少なくなることもあります。子宮内膜炎といい、子宮内膜症と似ていますが別の病気で、子宮内膜に炎症が起こるものです。
子宮内膜炎には、急性子宮内膜炎と慢性子宮内膜炎の2種類があります。どちらにも自覚症状はないのですが、慢性子宮内膜炎の場合は経血量が少なくなることがあるのです。
© beeboys - stock.adobe.com
急性子宮内膜炎は、生理で子宮内膜がはがれる時に細菌も一緒に排出されるので、自然に治ることも。しかし、慢性子宮内膜炎は、細菌が子宮の基底層という部分に入りこんでいるせいで子宮内膜が作られるたびに感染してしまい、自然に治ることはありません。慢性子宮内膜炎にかかると卵管にまで炎症が拡大し、不妊の原因になるとされています。
子宮内膜炎は早めに治療をすることで重症化が防げる病気です。
生理の量が少ないのに加え、妊娠を望んでいるのになかなか授からない場合は産婦人科で相談してみましょう。
▼経血が少なくなる原因には更年期もある?
最近、経血量が減った気がする…そう感じ始めたのが40代半ばに差しかかったタイミングなら、ひょっとしたら更年期の始まりかもしれません。
© naka - stock.adobe.com
更年期に差しかかると女性ホルモンのエストロゲンが減少し、月経の周期が乱れがちに。月経周期が短くなり、経血量が少なくなることから更年期が始まることが多いようです。更年期になると経血量が減るのはよくあることなのです。
更年期は、閉経前の5年と閉経後の5年をあわせた10年間のことをいいます。日本人の平均閉経年齢は、早い人で40歳代前半、遅い人では50歳代後半と、個人差があります。