権力が作り上げた「血穢」という意識…「生理」の歴史を振り返る
が、女性自身の生活も意識も、大きく変えた。
「これが日本で初めて生まれた使い捨てナプキンです。生みの親である坂井泰子さんは、もともと専業主婦。この商品の登場によって、それまでカット綿や脱脂綿を使ってしのいでいた女性の生理が格段に快適になっただけでなく、おしゃれなパッケージと商品名で、生理そのもののイメージをも一変させたのです。それまで『月経』という言葉を口に出せなかった女性たちも、『アンネ』という代名詞で語られるようになったのですから。高度経済成長期を経て女性の社会進出は飛躍的に進みましたが、もしこの使い捨てナプキンが誕生していなければ、その歩みはもっと遅れていたことでしょう」
宮廷権力の強化をはかった、時の為政者により生み出された「血穢意識」。千年の時を超え、その意識の払しょくに大きな役割を果たしたのは、市井の一人の主婦だったのだ。