2019年12月25日 11:00
「手術前やるべきことは?」けいゆう先生教えるがんとの向き合い方
「いまでは、患者さんは外来を受診する前にインターネットなどでなんらかの情報を得ています。しかし、ネット上の医療情報は出典も執筆者も不確かで間違いだらけの記事も多く、まともに信じてしまうと、命の危険さえ伴います」
そう話すのは、外科医の山本健人先生。山本先生はこの状況を改善したいと、「外科医けいゆう」のペンネームで’17年に医療情報サイト「外科医の視点」を開設、患者に寄り添った視点で語られ人気サイトに成長。新著『医者が教える正しい病院のかかり方』(幻冬舎)も話題を呼んでいる。
今回は、けいゆう先生のもとに多く寄せられる疑問のうち、がん治療に関するものを紹介。“外科医の本音”を聞かせてもらった。
【Q1】がんを切るべきか、切らざるべきか迷ったときは?
「切るか切らないか、そのメリットとデメリットが等価値である症例は、現代のがん医療ではほとんどありません。なぜなら臨床試験で、『どれが有効か』という答えが得られているから。
その判断を医師と患者が頭を抱えて迷わなければならない例はそもそもあまりないのです。それを前提に、多くのがん(固形がん)は取りきれる場合においては手術が有効です。手術で取りきれないような転移が認められている場合は、切除したとしても一部のがん細胞が残存し増殖を始めるので、手術は有効ではないと判断します。