篠山紀信さん83歳、坂田利夫さん82歳での“老衰”による逝去に「若すぎる」の声…医師解説「老衰が急増」の理由
死因でみてみても、2018年に老衰は脳血管疾患を抜いて3位となり、最新の22年の調査でも、1位はがん(24.6%)、2位は心疾患(14.8%)、3位は老衰(11.4%)となっている。
なぜ、老衰で亡くなる人はこんなに増えたのだろうか。
「以前は、亡くなると最後に心臓が止まることから、安易に“心不全”を死因とするケースが多かったのです。しかし、厚生労働省から指導もあり、近年は『心不全』と診断せずに、『老衰』と診断するケースが増えているのです」
そう解説してくれたのは、ナビタスクリニック立川の内科医の久住英二さんだ。
確かに、2005年の『虚血性心疾患死亡数年次推移における心不全死亡診断基準の改訂による影響』というレポートでも、1995年に心不全死亡診断の基準が大きく改訂されたことから、心不全は大幅に減少し、がんや脳血管疾患、心疾患の死亡数が増加したと報告されている。
また厚労省の『死亡診断書記入マニュアル』でも、正しい死因統計を出すために《疾患の終末期として「心不全」「呼吸不全」は記入しないようにします》と呼びかけられているのだ。「最終的に心臓が止まって亡くなったとしても、たとえばその原因が別にある場合、死因を『心不全』としてしまうと、正しい死因の統計をだせないという考えに基づいてのことです」