2021年3月27日 14:30
友人の妊娠出産が喜べず限界…不妊治療をやめてすぐ訪れた奇跡【後編】
なかなか計画通りには進まない不妊治療。仕事をしながらの通院は、困難を極めます。治療内容によっては早退遅刻、休暇も必要になることも。仕事仲間に打ち明けられず、両立にストレスを感じる人も少なくありません。
職場には知られたくないーー。そう思って、こっそり通院した女性の物語をお届けします。ケース2、下村豊華さん(42)の場合。
総合商社で正社員管理職の下村さんは31歳で結婚。
34歳で稽留(けいりゅう)流産し、手術のために入院したタイミングで多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断され、35歳で不妊治療を開始。朝6時半に家を出て不妊治療後、出社する仕事との両立で体も心も疲弊してしまいます……。
友人の妊娠出産が喜べず限界に
タイミング法での妊娠を待った通院から約2年が経ち、人工授精へステップアップしないかと医師からアドバイスされた。
周囲は出産ラッシュを迎えていた。地元の仲のいい友だちから来る妊娠・出産報告。友人が出産するたび、ベビーコーナーで離乳食の食器やチャイルドシートなどのお祝い品を奮発した。次第に友人との集まりには、子どもや赤ちゃんが増えていった。
「地元の友だちはみんな大好きだけど、さすがに会うのがつらくなっていきました。
おめでとうって顔では笑っていても、心では笑えなくて。親友の1人がそんな私の様子に気付いてくれて、『今は無理しなくていいんだよ』って言われ、少し気持ちが落ち着きました」
そして豊華さんは、約2年続けた不妊治療の中断を決意する。
「限界だったと思うんですよね。基礎体温に一喜一憂して、生理が来るたびに『あぁ、まただめだった』って落ち込んで。これは本人しかわからない気持ちです。タイミング法だと夫との行為も義務的になってしまって、精神的にもつらかったです。何より仕事と通院の調整がもう限界でした。一度休憩したいって先生に伝えました」
まさかの妊娠、不妊治療していたことを職場に告白
通院を休んで少し経ったころ、基礎体温がだらだらと高い日が続いた。
生理も来ていなかった。もしかして……。受診するとおなかには新しい命が宿っていた。36歳の時だった。
「治療をお休みしてすぐ妊娠したので驚きました。