小5で特別支援学校へ転校、宿泊学習…息子の大きな成長を見て「お友だちできたよ」と言えるまで【読者体験談】

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お子さんのプロフィール
  • 年齢:11歳
  • 診断名:ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、知的障害(知的発達症)
  • 診断時期:ASD(自閉スペクトラム症)2歳、知的障害(知的発達症)3歳、ADHD(注意欠如多動症)10歳
  • エピソード当時の年齢:10歳(小学5年生)


「この内容なら楽しめる」写真越しの不安が安心に変わるまで


息子にはこだわりが強い面があり、初めての場所や慣れない活動には慎重なタイプです。特別支援学級に在籍していた頃は、上の学年の宿泊学習の写真を見ては「息子が楽しく参加できるだろうか」と不安を感じていました。内容は通常学級の子に合わせたものが主で、写真を見る限りでは息子には難しそうに思えたからです。
しかし、小学5年生で特別支援学校に転校してから、その不安は安心へと変わりました。配布されたしおりには、息子が無理なく楽しめる内容が記されていました。何より、学校で宿泊学習の練習を何度も重ねている話を本人から聞き、「これなら大丈夫だ」と思えたのです。
特に本人が楽しみにしていたのは、宿泊先近くのスーパーへのお買い物です。これも学校で事前にしっかり練習をしていました。
出発当日、私が「楽しんできてね」と声をかけると、息子は心配そうな様子を見せることなく、いい顔をして「うん」と答えてくれました。

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先生との連携で実現したアレルギー対応の食事


息子を送り出した後、家にいる私には別の大きな仕事がありました。息子には食物アレルギーがあるため、宿泊場所まで食事を届ける必要があったのです。
夕食も朝食も、みんなが食べるメニューを先生から事前に聞き、材料を準備して、「なるべく同じ内容のお弁当」をつくりました。息子だけ食事の時間にご飯がないという事態は絶対に避けたかったので、先生に指定された時間にアクシデントなく無事に届けられるか、そのことで頭がいっぱいでした。
正直、自宅で食事を出すより大変な面もありましたが、夕食も朝食も問題なく届け終えた時は心からほっとしました。離れて過ごしている間、不思議と息子自身に対する心配はなかったのですが、それはきっと「学校が何度も宿泊練習をさせてくれた」という信頼感があったからだと思います。

連絡帳と再会の瞬間に見た充実感


宿泊場所に迎えに行った時、目に入ってきたのは、疲れはあるものの晴れやかな表情をした息子でした。
帰宅後、息子は「またやりたい」と口にしており、先生からも連絡帳を通じて楽しんでいた様子を詳しく教えてもらいました。

帰り際、息子がクラスのお友だちを見つけて声をかけました。その子がパッと振り返り、息子を見てとてもいい笑顔を見せてくれた瞬間、私自身もうれしくなりました。

転校直後の4月に学校へ行った時は、まだお友だちとそこまで親しくない様子を見ていたので、この宿泊学習をきっかけにぐっと距離が縮まったのだと感じました。実際、この日を境に、息子の話の中に登場する先生やお友だちの名前が目に見えて増えていきました。

以前、特別支援学級時代のお友だちに「新しい学校でお友だちできた?」と聞かれ、その際は「まだみたい」と返事をしていました。けれど、お迎えの時のお友だちの笑顔を見て、今度は「できたよ」と言えるなと思ったのを覚えています。

「全部参加できた」という経験が大きな自信に


今回の宿泊学習を振り返ると、何よりも「すべての課題に参加できた」という事実が、息子にとって大きな意味を持っていたと感じます。


特別支援学級にいた頃は、行事の内容によっては本人の参加が難しく、みんなが取り組む姿をただ見ているだけ、という場面もありました。けれど今回は、布団をたたむ練習やスーパーでのお買い物など、宿泊先での動作を繰り返し教えてもらったおかげで、不安なく、自分の力でやり遂げることができました。

「またやりたい」という言葉が出るほど、本人にとってすべての課題に参加できたことは、大きな自信に繋がったのだと思います。

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何度も練習を重ねて、当日へ繋げてもらえる安心感


宿泊学習は何をするのかが分からないと、本人も家族も心配なものです。でも、当日自信を持って参加できるように、何度も練習をさせてもらえる。そうした細やかな準備のおかげで、不安なく楽しんで参加できたことが、何よりも良かったと感じています。

こうした学校での積み重ねがあったからこそ、私も安心して息子を任せ、お弁当を届ける役割に専念することができました。この宿泊学習をきっかけに、息子の話の中に登場する人が増えたことも、大きな喜びでした。

今、不安を抱えながらお子さんを送り出そうとしている保護者の方も、学校での積み重ねた日々を信じて、ぜひお子さんの「いい顔」での帰宅を待っていてほしいなと思います。

イラスト/マミヤ
エピソード参考/りん

特別支援学校での宿泊学習について、転校直後のお子さんの変化や成長を丁寧に聞かせてくださりありがとうございます。
宿泊行事は、発達特性のあるお子さんにとって非常にハードルの高い活動です。慣れない環境で寝泊まりすること、集団行動、初めての活動、人間関係、食事や睡眠など、負担になりやすい要素が一度に重なります。そもそも地元の通常学校の学校行事では「多数派である通常学級の子どもたちが楽しめる形」を前提に組まれているので、たとえ支援学級でサポートがあっても、少数派には無理が重なることも少なくありません。もちろん配慮やサポートは行われますが、「みんなに合わせた活動に、どこまでついていけるか」という構造になりやすく、ご本人にとっては“見学に近い参加”になってしまうこともあります。
その点、特別支援学校では、行事そのものが子どもたちの特性や発達段階に合わせて設計されており、「安心して参加できること」「自分でできた経験を積めること」が重視されています。記事にあるように、布団をたたむ練習や買い物練習などを事前に何度も積み重ね、「できる状態」を作ってから当日を迎えるという準備を、当たり前のこととしてみんなで取り組める環境は、とても安心感があります。
こうした丁寧な準備があることで、「参加できた」ではなく、「楽しめた」「やり遂げられた」という経験につながります。

筆者さんは、食物アレルギーへの対応として、毎食みんなと同じ内容に近づけたお弁当を届け続けられたとのこと、本当にご苦労様でした。お迎えの時の晴れやかな表情や「またやりたい」という言葉をきいたら、頑張った甲斐があったという手ごたえを感じられたことでしょう。転校したばかりの息子さんが宿泊学習をきっかけに、お友だちとの距離がぐっと縮まっていったのは何よりうれしかったですね。行事を「みんなと同じようになんとかこなす場」ではなく、「安心して一緒に楽しめる場」になったことで、他生徒との距離感や連帯感も生まれたのかもしれません。
「全部参加できた」という経験は、お子さんにとって大きな自信の土台になったことでしょう。ご本人に合った環境の中で、“等身大で楽しめる経験”を積み重ねていくことの大切さを、改めて感じました。(監修:小児科医新美妙美先生)

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。
現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。
ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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