「濡れちゃってんじゃん…」家に連れ込もうとした不審な男が突然、泣き出して!?<誘拐されかけた話>
ほや助さんが大人になった今でも強烈に思い出すのは、小学校4年生のときに体験した「誘拐未遂事件」。事件が起こったのは、自宅からほんの数分の場所。突然、車から降りてきた見知らぬおじさんに話しかけられたと思ったら、おじさんは大声で女児向けアニメについて語り出しました。これが通称“キュアおじ”との出会いです。キュアおじは女児向けアニメの変身セットを取り出し、「着替えてみせてよ」と要求。ほや助さんの腕をつかみ、自宅へと誘います。しかも、キュアおじの車の中には、まさかの女児用下着が! あまりの恐怖にキュアおじの手を振りほどこうとしますが、その瞬間、キュアおじが手にしていた変身セットが水溜まりに落ちてしまいました。すると、怒ったキュアおじはほや助さんを突き飛ばし、さらには手を上げようとしたのです。
「叩かれる……!?」
ほや助さんは、とっさに目をつぶります。
怒りの表情から一変、涙の理由は…
「お願いだから、誰か通ってよ……!」
身の危険を感じたほや助さんは、心の底から願いますが……
「何も、起こらない……?」
どうしてなのか、キュアおじは上げた手を下ろします。
「最悪だよ……かわいそうに。痛かったねぇ?」
ついさっきまで怒りに満ちていた表情が一変。女児向けアニメのキャラクターに対して言っているのか、キュアおじは涙をこぼしながら意味不明な言葉をつぶやきます。
キュアおじの変容ぶりにあぜんとする、ほや助さん。すると今度は、急にほや助さんのことをにらみつけてきたのです。
「またかよ……!」
キュアおじは捨て台詞のようにつぶやき、悪態をつきながら車に乗り込むと、その場を去って行きます。
ほや助さんは、ついに解放されたのです。
キュアおじから解放され、無事におうちに帰り着いたほや助さんですが、全身びしょ濡れの姿を見たお母さんは驚きの表情です。
「行く途中で知らないおじさんに会って……無理やりおじさんの家に連れていかれそうになった……」
「はっ!?」
娘に起こった一部始終を聞いたお母さんは顔面蒼白。気が気ではありません。
「あぁ、無事で本当によかった!」
ほや助さんの話を聞いたお母さんは、半泣きで警察の通報したのでした。
ほや助さん、どうにか解放されて、本当によかったですね。
しかし、未遂だったとはいえ、幼少期の恐怖体験がトラウマになってしまうことも。なかには恐怖体験を打ち明けられず、心の傷を深めているお子さんもいるかもしれません。
お子さんの精神状態が気になったときは、地域の保健所や保健センター、精神保健福祉センターなどに設置されている「こころの相談の窓口」を頼ってみてはいかがでしょうか?
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著者:マンガ家・イラストレーター ほや助