子どもの脳とカラダの発達を促す子育て~抱っこ・スキンシップ~
私たちの母親世代が育児をしている頃は、抱っこに関して「抱き癖がつくからしょっちゅう抱っこしなくてよい」という説があったように思われます。
これは19世紀末、ヨーロッパで産業革命が始まり、女性にも「労働力」が求められるようになった際、赤ちゃんを親がコントロールする「抱かない、触れない育児法」という説を学者が提案したのがきっかけといわれています。この説はアメリカをはじめとした先進諸国にも広まり、やがて第2次世界大戦敗戦後の日本にも浸透したという歴史的背景があるようです。
しかし、近年では抱っこをはじめとしたスキンシップを頻繁に行った赤ちゃんとそうでない赤ちゃんを比較したところ、発達や情緒面の安定で大きな差異が生じたため、「しょっちゅう抱っこしない」説は世界的にも否定されるようになってきています。
こうしたことからもわかるように、実は「抱っこする」「肌に触れる」ということは、赤ちゃんにとっても親にとっても大変魅力的な行為なのです。
■親とのスキンシップは、赤ちゃんにとって最高の愛情注入!ママやパパに優しく触られたり、抱きしめられたりした時に感じる「心地よさ」。それが副交感神経に作用すると、ストレスホルモンのレベルが下がり、安心して満ち足りた気持ちになるといわれています(情緒の安定)。
また、「愛されている」という感覚はまだわからなくても、親が自分を「大切にしてくれている」ということは赤ちゃんにもしっかり伝わるので自己肯定感が高まり、心に余裕が生まれていろんなものに興味を持てるようになります。
いっぱい抱っこされたり、スキンシップされたりした経験を持つ赤ちゃんは癇癪(かんしゃく)を起こしにくいという研究成果もあるのです。