コミックエッセイ:おかっぱちゃんの子育て奮闘日記
「へその緒の行方」 おかっぱちゃんの子育て奮闘日記 Vol.13
へその緒。それはお母さんと赤ちゃんをつなぐ、大切な大切な命綱。皆さんは、ご自身が生まれた時についていたへその緒を見たことがあるだろうか?
わたしの場合、母が大切に保管していてくれたので、中学生に上がったころ、一度見せてもらったことがある。
小さな木箱に納められた自分のへその緒は、カラッからに乾燥していて、くちゃくちゃになっていた。
それはまるでホームに捨てられ、誰かに踏まれたガムのようだった。
当時の私はこう思った。
「へその緒なんて、つまらないものだな」。
そう思っていた自分が恥ずかしい。
母になった今、へその緒がどんなに尊いものか分かる。
母体の胎盤から赤ちゃんへ栄養を送り届けるために必死に頑張ってきたへその緒。
あぁ、お前がいなかったらこの子が育っていないのだねえ。ありがとう、へその緒よ。
死ぬ思いで産み落とした我が子。あの瞬間のことは今でも忘れられない。
「へその緒、切りますね」先生の言葉がやけに重く感じた。息子と私はまさにつながっていたんだ。
生後4週間が経ったころ、だんだん育児にも慣れてきて、おしめ替えや授乳も暮らしに定着してきた。みるみるうちに大きくなっていく息子。
もうすぐ1カ月検診が迫っている。検診が終わったらいよいよ実家での暮らしともお別れだ。
朝、いつものようにおしめを替えていると、
「ポロリ」とへその緒が取れた。
「わ~! やっと取れた。これがへその緒か」。
まじまじと見つめてみると、昔私が見たへその緒と形状もほとんど同じように感じる。
生まれた瞬間ついていたへその緒は水分を含んだ状態でぶわぶわだったのに、
今はこんなにもちっちゃくなってカラッカラだ。
息子から離れたばかりのへその緒。
なんだか愛おしく感じる。
日本ではへその緒を大切に保管している人が多く、中にはお守りとして扱う人もいるらしい。
「さて、私はどうしようかな。そうだ、後で母に相談しよう。保管するにもケースを買わなくちゃ。とりあえず、へその緒は枕元に置いて…と! さて、朝食にしようかな」。
私の両親は共働きで、その日、母は仕事に出ていた。息子を抱っこしながら、母が用意してくれた朝食を食べる。しばらくゴロゴロしてから部屋に戻ると、、、あれ、ない。へその緒がないではないか!
おむつケースの中、枕元、部屋の隅から隅まで探してみるも、さっきまであったはずのへその緒はどこを探してもなかった!
はっ! そういえば、さっき朝食を食べている間、私の部屋から掃除機の音がしていたな…。
これは…父だ!!!
たまたま休みだった父が、産後の私を気遣い、家の掃除していたのだった。なんと!! まさか、まさかの最悪パターンである。