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妊娠期間中はすべての期において胸の張りを感じることがありますが、妊娠中期では、妊娠を継続しやすくしながら、赤ちゃんが成長しやすいようママの体内を調整するはたらきを持つ卵胞ホルモン(プロゲステロン)が関係します。
プロゲステロンの分泌が盛んになると乳房の乳腺組織が増え、血管が膨張するため、内側から圧迫された乳房に張りや痛みを感じるようになると言われています。これは、乳腺や乳管の組織を発達させ、赤ちゃんが生まれた後すぐに授乳できるようにするための変化だと言えます。
プロゲステロンは妊娠8~9ヶ月ごろに分泌量のピークを迎えるため、妊娠中期から後期にかけ、胸の張り症状が現れる傾向があります。
・胸全体が張った感じがする
・胸にチリチリ、ムズムズといった感覚がある
・乳首の周りに違和感を感じる
・乳首が衣服などに触れると痛みを感じる
・乳首や乳房にかゆみを感じる
妊娠中期の胸の張りが現れる時期とは
妊娠中期の胸の張りは、胎盤が完成する妊娠16週~27週頃にかけて起き、妊娠後期の35週目頃にピークを迎えます。
それ以前の妊娠初期では、子宮内膜を厚くして受精卵を着床しやすくするなど妊娠を継続させる環境を整えるためにプロゲステロンがはたらきます。そのため胸の張りなどが症状として現れることがあります。
妊娠中期の胸の張りの症状
内側から押し上げられるかのような胸の張りのほか、チクチクした痛みやかゆみ、むず痒さ、乳首の周りの違和感などが現れることがあります。
この時期はプロゲステロンのはたらきで乳房の乳腺組織が発達するため、乳首から透明や黄色の分泌液が出ることもあります。乳房の内部では、母乳が通る乳管が枝分かれしはじめ、乳汁が溜まる腺房と呼ばれる房のようなものができます。ここに溜まった最初の乳を初乳と呼び、お産後1週間かけて赤ちゃんに飲ませることになります。
初乳には赤ちゃんを守る抗体成分や貴重な栄養が含まれており、赤ちゃんを病気から守る効能があります。乳首を軽く圧迫させると分泌液が出るのは、内部に初乳が溜まりはじめている証拠です。
基本的には、胸の張りは妊娠のために必要な身体の変化の一環として生じるものであり、その症状が続くことで別の疾患や病気を引き起こす心配はありません。
ただし、胸の張り以外にしこりを発見したり、乳首から出血がみられたりするような場合は、乳腺症や乳腺線維腺腫、乳ガンなど別の要因が考えられます。
速やかに産婦人科を受診しましょう。