パパも頑張っています! 男性歌人がうたう「育児と子育て」の短歌
父と母とで異なる、子が育つ楽しさと戸惑い
「子が乳を飲まなくなりし寂しさと いうを聞けどもついにわからず」 松村正直『やさしい鮫』
「子とふたり ならんで用を足すときの 何だろうこのかなしみのごときは」同上
子が育つ楽しさと戸惑いにも、男女で温度差があるようです。
しかし、卒乳の寂しさも、子と2人並んで用を足すときの哀しみに似た感覚も、ある意味では同じ気持ちだと言えるでしょう。
赤ちゃんが、すこしずつ小さな人間に成長していく過程は、かすかな鈍痛をともなうものかもしれません。
「出勤の前のひととき 仰向けの二十一本の子の歯を磨く」 同『午前3時を過ぎて』
だからこそ、毎日が新しい感情の連続で、父も母も子の時間もまぶしく輝いているのではないでしょうか。