コミックエッセイ:おかっぱちゃんの子育て奮闘日記
「どうなる? 無職のお父さん~前編~」 おかっぱちゃんの子育て奮闘日記 Vol.31
息子が生後2ヶ月の時、夫が無職になった。
大学卒業からずっと勤めていた銀行の営業職を辞め、安定から不安定の道を爆走中。
“夫が無職”と言う、この状況を耐えるには、母であるわたしにとってたやすい事ではなかった。
退職金や、失業保険で数ヶ月分はカバーできても、次の仕事は決まっていない。夫もこの状況から脱するべく、毎日のように頭を抱える日々。妻のわたしが仕事を続けているとはいえ、この状況は辛すぎる。
夫がハローワークに出かけている間、わたしは乳飲み子を背負いながら、パソコンに向かって仕事していた。
「お父さん、どうなるかねえ」。
眠る息子に声をかけるも返事はない。
夫は、次の仕事に就く時は「好きなことを仕事にする」と、心に決めていて、わたしがいろいろと就職先を薦めてみても「うーん、見てみるよ」と適当な返事をするばかり。
アートや音楽、映画などの文化関係の趣味を持っていた事もあり、美術館などの文化施設に就職することも考えてはみたものの、給与が少なかったり、学芸員の資格が必要で条件が合わない。
文化に触れられる、何か良い仕事はないものか? それに加えて、育児も手伝ってもらえるように、就業時間が早い会社はないものか? 早く次の仕事に就くには、まずは夫の頭の中を整理しなくてはいけない。
それにはどうしたらよいか…。わたしは夫にこう言い放った。
「ひとり旅、してきたら?」
産前わたしは毎年のようにひとりで海外に出かけていて、旅先ではよく将来の夢を具体化するために人生設計をしたものだ。
夫がこれから何をしたいのか明確にするには、きっとひとりの時間が必要だろう。それに就職してからずっと長期の旅行にはなかなか行けなかったし、子育てが始まってひとり旅なんてこの先行けるか分からない。
真面目にサラリーマンを続けた夫へのご褒美だ。夫から出た言葉はこうだった。
「俺、NYに行くわ」。
え!? 国内じゃないの? 海外でもいいっちゃいいけど、お金もかかるし、アジアくらいにしてくれればいいのに…。と内心思いながらも、NYは確かに世界中からアーティストが集まる場所だし、発表の場もある。勉強になるのは確かだな……。