コミックエッセイ:おかっぱちゃんの子育て奮闘日記
「どうなる? 無職のお父さん~前編~」 おかっぱちゃんの子育て奮闘日記 Vol.31
ここは夫の将来が明るいものになれば良いと、わたしは置いてけぼりという立場から、少々ふてくされつつも、最後の最後には気持ちよくNY行きを承諾したのだった。
NY10日間の旅。予算は大事に取っておいたボーナス30万円。旅のテーマは「仕事について考える」。この条件の中、夫はひとりNYに旅立ったのだった。
夫が旅行期間中、わたしは息子とふたりで過ごした。育児に追われていると、時間の経過は恐ろしいほど早くなる。あっという間に10日間が経過し、夫が帰国。
日本に帰ってから、夫は毎晩のように思いついたアイデアをノートに書き出して、NYで得た刺激をもとに試行錯誤しながらも、自分が何を仕事にするべきか考えていたようだった。
会社を辞めてから半年が経ち、息子が生後10ヶ月になるころ、ようやく夫の考えがまとまった。
「おれ、仕事決めたよ。夫婦で仕事をして、育児もする。東京おかっぱちゃんハウスで文化関係のイベントの企画と運営をしていく。人が集う場所になるように、同時にカフェ営業もしようと思うんだ。良い考えだと思わない?」。
わたしはイラストレーターの仕事を10代から始めて、すでに12年が経過。副業として始めた、文化交流複合施設「東京おかっぱちゃんハウス」も不定期でイベントを開催していた程度だし、夫が加わる事で本当にうまくいくのだろうか。
夫は自営業暦0年。わたしでも軌道に乗るまで5年程かかっているし、子どもがいる状況で、この不安といったらない。カフェ営業? 飲食経験といったら大学時代、飲食店でアルバイトをしていたことくらいじゃないか。
しかし、夫は頑に「アルバイトも、転職もしない。自分でやる」の一点張り。
心の優しい人だけれど、こんなにも頑固だったとは。
どこかで修行をせずに、ほぼ未経験から自分の道を作っていく。根が真面目な夫とは言え、そんなことができるのだろうか?
つづく
※「東京おかっぱちゃんハウス」とは、練馬区上石神井にある、Boojilが主宰の古民家を利用したアトリエ、シェアオフィス、イベントスペース、カフェ、BAR、ショップを併設した文化交流複合施設です。
次回は「 どうなる?無職のお父さん~後編」をお送りします。
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